橋本 龍太郎元行政改革担当大臣記者会見概要
(行政改革関連)


平成13年
4月26日(木)閣議後記者会見 4月17日(火)閣議後記者会見 4月13日(金)閣議後記者会見
3月20日(金)閣議後記者会見 3月27日(火)閣議後記者会見 3月23日(金)閣議後記者会見
3月9日(金)閣議後記者会見 2月23日(金)閣議後記者会見 2月9日(金)閣議後記者会見
2月6日(火)閣議後記者会見 2月2日(金)閣議後記者会見 1月30日(火)閣議後記者会見
1月19日(金)閣議後記者会見 1月17日(水)日本記者クラブ 1月6日(土)閣議後記者会見

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本概要については、追って修正する場合がございます。


平成13年4月26日(木)

<質疑応答>

【問】 就任以降を振り返って、行革担当大臣としての感想如何。

【橋本大臣】 相当難しいだろうとは思いながらも、例えば公務員制度については、「公務員制度改革の大枠」を3月いっぱいでオープンにし、6月いっぱいで基本的な方向を定めると言ったり、特殊法人も公益法人についても同様であるが、随分と無理な日程設定をした。特に「公益法人の総点検」については、各省庁にも膨大な作業をお願いし、ほぼすべて、予定した期限内にその内容を公表することができた。
 ここまで作業してくれた諸君に本当に礼を言いたい。担当大臣が変わっても、方向はすでに定まっているわけだから、その方向できちんとした結果を出していただきたい。本当にそう願っている。

【問】 今回の省庁再編の大きな目玉として内閣機能の強化があるが、特命担当大臣として機能が強化された側面を十分に使えたか。

【橋本大臣】 内閣機能の強化を使えたというよりも、「大枠」をとりまとめるに際して、使う必要があった。内閣府や内閣官房の調整システムを活かす、そうしたタイミングと内容がちょうど合ったのが、「公務員制度改革の大枠」であった。
 私自身がこうした構想をまとめた本人であるわけだが、使ってみてやはり役立つ、そして、これから先いろいろな場面で総理がリーダーシップや指導力を発揮する上でこのシステムは役立つだろうということを今実感している。

平成13年4月17日(火)

<冒頭発言>

 本日は閣議前に中央省庁等改革推進本部の第21回顧問会議が開催された。私の方からは、中央省庁の新体制がスタートした後の、公務員制度改革、特殊法人等改革、公益法人改革について進行状況を説明した。
 公務員については3月27日に「公務員制度改革の大枠」を公表、特殊法人改革については4月3日に論点整理を、行政委託型公益法人等の改革については4月13日に改革のための視点と課題を公表し、あわせて総点検結果を公表した。また規制改革についても3か年計画をスタートさせるとともに内閣府に総合規制改革会議を設置したことを報告した。
 顧問会議では主として公務員制度について議論となった。会議終了後、今井座長が記者会見をすることとなっている。

平成13年4月13日(金)

<冒頭発言>

 閣議前に開かれた「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」において、「国所管の公益法人に対する総点検の結果」及び「行政委託型公益法人改革の視点と課題」について報告した。内容は以下のとおり。これについて、閣僚の皆さんにご了承を得た。関連して総務大臣から総務大臣の方で進めていただいていた内容について報告があった。
 (1)去る一月三十日の閣僚懇談会において、国所管のすべての公益法人を対象に、三月中を目標として総点検の実施をお願いした。このたび、いただいた報告を整理したものを閣議終了後に公表する。各閣僚におかれては、総点検を通じて是正すべきと判断された事項のうち未措置のものについて、できる限り早急に措置を終えていただくようお願いする。
 (2)昨年十二月一日に閣議決定された「行政改革大綱」に沿った作業については、現在、夏頃を目途に改革に向けての基本的な考え方を策定すべく取り組んでいるが、このたび行政改革推進事務局において、今後の検討の事務的な指針として「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」をまとめ、総点検の結果と併せて公表することとする。
 ここでは、@公益法人に対する国の関与を、廃止を含め厳しく見直した上で、委託等については国の関与が残る場合であっても、公益法人、営利法人といった類型にとらわれず、能力のある法人については委託等に係る事務・事業への参入を認める、いわば「能力主義」に転換する方向で、また、推薦等については、原則として廃止する方向で、それぞれ検討すること、A単に補助金等分配の経由機関となっているいわゆる「第三者分配型」や「補助金依存型」となっている公益法人にあっては、当該補助金等について、廃止を含め厳しく見直すこと、B国との関係が密接な公益法人については、主務官庁や当該法人に対する新たなルールの設定を検討することなどの考え方を示している。
 さらに、本日取りまとめた総点検の結果等も踏まえた、より抜本的な公益法人制度改革の検討の必要性についても言及した。
 (3)この「視点と課題」に沿って、総点検結果の分析も行いながら公益法人改革の作業に取り組んで行く。その際には各府省との間で十分議論を行いたいと考えているので、引き続き協力方お願いする。

<質疑応答>

【問】 「総点検」の結果について感想如何。

【橋本大臣】 まず第一は、国が所管する公益法人というのは、数もその業務内容もものすごくたくさんあるんだなということ。スタートさせた時はどうかわからないが、総点検でチェックしていくなかで対応を済ませたものもあるかと思われる。ポイントとして、民業を圧迫していないか、ユーザー利益を阻害していないか、目的と活動の整合性はとれているか、情報公開はできているか、あるいは、役員の報酬・退職金は高額すぎないか、委託先・発注先の選定の公正性はどうか、それ以外の問題点はあるかといった点について点検した。
 総収入に占める管理費の割合が大きいと指摘されているところもあるし、役員報酬の多いところもある。随意契約を5年以上、あるいは20年以上継続している、という法人もある。外部から問題点を指摘されているというケースや、評議員制度がない、会計監査が不十分、必要な文書が作成されていない、公開されていないといった法人が随分ある。大半の法人はきちんとしているという印象を一方でもったが、いろいろなものがある。常勤役員の報酬を削減することで管理費を削減することを検討しているところもあったり、委託先・発注先の選定に関して改善措置中のものや情報公開について改善中のものがあったり、事業未実施というものもある。全部チェックした結果、問題がないというところもあり、まさに千差万別だ。大半がよくやっているのにこういう指摘をうけるところもある、というのが率直な印象だ。このように公平に申し上げられるのは、各省が非常に一生懸命チェックして、点検し、報告してくれたからだと思う。

【問】 これまでも各省はそれぞれ指導監督基準を備えていた。にもかかわらず、これだけ問題点が指摘されていることについて、管理体制の見直しを含めて検討すべきではないか。

【橋本大臣】 それも含めて総務大臣から報告があった。所管する公益法人数が多い省庁も少ない省庁も、チェックをきちんとしていた。各省庁はそれぞれ問題点としてこれから考えていく、そういう体制をもっていると思う。総点検の結果として、各省が新体制の下でこれだけチェックし、実態を把握したものを提出していただいたということは前進だと思う。これから先の作業で活かせるものがたくさんあると思う。文書を作成していない、公開していないという法人もあり、情報公開も重要だ。

【問】 「行政委託型公益法人の視点と課題」については、点検作業のなかでこうした例がみられたため、という考え方でまとめたのか。

【橋本大臣】 そうではない。1月30日の閣僚懇の席上で申し上げた視点・考え方を変えるものではない。そのうえで、点検結果は今後の見直し作業を進めて行く上で活きて来るだろうと思っている。

平成13年3月30日(金)

<冒頭発言>

 本日、規制改革3か年計画が閣議で認められた。閣議前の行政改革推進本部で認めたものをそのまま決定した。閣議終了後、総理から規制改革担当の辞令を受け、努力してまいりたいと申し上げた。

<質疑応答>

【問】 公務員の大枠について、労組側は労働基本権を入り口で決着すべきと主張しているが、これは6月の基本的方向が打ち出される前に調整されるのか。

【橋本大臣】 これまでも、「大枠」ではバッティングするものもあるだろうし、大きく相当荒い作業をすることになると言ってきた。労働基本権の問題が大事なことは分かっているつもりである。これは、給与制度をはじめ労働条件に関する制度を、どのように改革するのが必要かが明らかになって初めて議論ができる。はじめから労働基本権の扱いだけを単品で取り上げるのは制度設計上問題である。そういう議論があることは知っているが、そのために全体が壊れるのは好ましくない。基本的方向がはっきりしていくなかで必要ならば議論していく。

平成13年3月27日(火)

<冒頭発言>

 公務員制度改革については、本年1月に行政改革推進事務局を設置して鋭意検討を進めてきたが、このたび改革の基本的方向を示す「公務員制度改革の大枠」をとりまとめ、本日の行政改革推進本部において、私から報告した。
 総理からは、6月の基本設計のとりまとめに向け、内閣官房が主導的に総合調整を行っていくこととし、改革実現のため積極的に取り組むよう御指示があった。
 私なりに今回の公務員制度改革のポイントを申し上げると、次の5点にまとめられると思う。
 (1) まず、内閣の主導の下、短期集中的な検討を行ったことである。
 内閣官房に各省からの出向者を集め、民間企業からも人に来ていただいて行政改革推進事務局を設置し、民間の知恵も借りながら1月から短期集中的に検討を進めてきた。
 (2) 次に、政策調整システム第一号であることである。
 新たな内閣、内閣府の役割である総合調整を行うという「政策調整システム」を初めて発動させた。
 (3) 第三に、公務員の未来像を提示し、フレーム優先の検討を行ったことである。
 既存の制度にとらわれず、白地からあるべき制度を再設計することとし、従来ややもすればパーツを積み上げて検討してきたが、そうではなくフレーム優先で検討を行い、大枠を作成した。
 (4) 第四に、若手ヒアリングを重視したことである。
 正すべきは正しつつ若手がいきいきと仕事ができることを大きな目的の一つとして掲げ、若手職員からのヒアリングを重視して検討を行った。私自身も直接一部の職員から話を聞いた。この大枠は、彼らの思いも十分反映したものとなっていると思う。
 (5) 最後に、将来にわたり国民の期待にこたえられる制度設計を目指したことである。
 現行の国家公務員法は半世紀前に作られたものであり、いわばフルモデルチェンジの時期に来ているといえる。このため、民間の動向も取り入れ、将来に向けて思い切った改革を行うこととしている。
 これまで行政改革に関するホームページを「首相官邸ホームページ」内のコーナーとして設置していたが、本日付けで、行政改革推進事務局の独立したホームページを開設することとした。
 独立したホームページの開設に伴い、内容を充実させデザインも一新したので是非ご覧頂きたい。
 本日、大枠を示したことにより、今回の公務員制度改革は新たなステージに入ったものと認識している。
 今後は、大枠に則って、各府省との全面的な協力体制の下で知恵を出し合いながら検討を進めて行くこととしている。6月の基本設計においては、改革の具体的な姿を示すこととしており、新たな公務員制度の内容を確定させたいと考えている。
 なお、今日、行政改革推進本部において人事院総裁から、大枠の目指すところを理解した上で、人事行政の専門機関として長年の蓄積や勉強の成果をもとに意見を述べ、協力して行きたいとの御発言があったので、私からは、大枠に則って、建設的な方向での御協力をお願いするとの発言を行った。

<質疑応答>

【問】 公務員制度改革に関して新たなステージに入ったということだが、信賞必罰の人事制度を実施していく中で、人事評価は難しいと思う。この課題にどう取り組んでいくのか。

【橋本大臣】 ここでお示しするのは大枠であり、内容的にバッティングするものもあるかも知れない。
 民間企業の中でも、企業や業種によっていろいろと違うが、それぞれで工夫されている。また、民間企業の中にも企画部門等、成果が数字で出しにくい部門が存在するが、それでもいろいろ発想によって評価する仕組みを作って評価している。だから、事務局にも民間の方に入ってもらった。
 人事評価については、民間の手法も参考に公務員の特殊性も勘案して、納得の行くものを作って行きたい。例えば、手続きを簡素化することを評価する、また、職種によっては定められたルールに従って正確にやることが評価されることもある。これからの作業であり、今日お示しするのはあくまで大枠である。

【問】 大枠について、官僚組織を縛っていたものが解かれていく内容であり、官僚を喜ばせるものという見方もあるがどうか。

【橋本大臣】 前から申し上げているが、正すべきところは正すとともに、公務員がのびのびと働けるような公務員制度にする。一部の公務員の不祥事による公務員バッシングで萎縮している。こういう状態は問題があり、公務員にのびのびと働いてもらいたいと思っている。不承不承働いてもらうのが良いこととは思わない。そういう意味であれば、公務員にとって喜ばしいものとなっている。

平成13年3月23日(金)

<冒頭発言>

 本日の閣僚懇談会において、3月末までにとりまとめることとしていた「公務員制度改革の大枠」につきまして、私より、
 (1) 27日に開催される予定の行政改革推進本部に、大枠を提出したい
 (2) この大枠は、内閣官房として政府全体の方針を示すものであり、今後、6月にとりまとめる予定の基本設計に向けて、内閣官房として戦略的かつ主導的に総合調整を行っていく所存である
 (3) この大枠に則って、思い切った改革に向け検討を進めていきたいので、閣僚各位の御理解をお願いする
 という発言をさせていただいた。
 このことは、昨日、野中本部長はじめ自民党行政改革推進本部メンバーとともに、総理、官房長官を官邸に訪問させていただいた際に、総理から了解を得たものである。
公務員制度改革については、行政改革大綱を踏まえつつ、本年1月に行政改革推進事務局を設置して、以来今日まで若手職員等のヒアリングも行い、検討を進めてきたところである。現在、大枠のとりまとめの最終に向けての作業中であり、今後、与党調整も経た上で、行政改革推進本部に提出することとしている。
 これは、従来の枠組みにとらわれず、いわば白地から制度の再設計を行い、思い切った改革に取り組もうとするものであり、内閣としてその方針を示した上で、内閣のリーダーシップの下、強力に総合調整を行おうとするものである。
 中央省庁等改革においては、内閣の強いリーダーシップの下で国政全体を見渡した総合的、戦略的な政策判断ができるよう、新たに内閣機能の強化をしたところである。この新たな総合調整は、耳新しいかもしれないが「政策調整システム」と呼ばれるものであり、内閣官房が政策の方針を示して戦略的かつ主導的に総合調整を行い、政府全体の総合的な政策を機動的に形成しようとするものである。
 このため、「政策調整システム」、今回が最初の例になるわけだが、これを発動することにより、行政改革推進本部が示す大枠に則って、内閣の主導による総合調整を行い、思い切った公務員制度改革を実現したいと考えている。
 従来であれば、次官会議を経て閣議を経てという手続きを踏んできたところだが、今回はそういう手続きを、寧ろこの政策調整システムを動かすことによって、行政改革推進本部決定したというものをもって、これからの作業を進めるというやり方をとることになる。

平成13年3月9日(金)

<質疑応答>

【問】 公務員制度改革について、人事院が同様のテーマで方向性を出しつつあるようだが、人事院レベルでまとめようとしているものと大臣がやっているものとの違いは何か。

【橋本大臣】 人事院はあくまで現行制度に立脚して考えている。我々は、白紙の状態から制度を見直そうとしている。人事院総裁が人事院としての作業をしたいとおっしゃったときに、我々の作業はそれに拘束されません、せっかくやっていただいても我々としての方向が出てくればそれでやらせて頂く、と答えた。

平成13年2月23日(金)

<冒頭発言>

 公務員制度改革については、先般、私の方から、「制度設計に当たっては、若手の職員などから幅広く意見を聞いた上で検討を進めていきたい」旨お話ししていたところである。
 私の指示を受けて、事務局は、霞ヶ関で働く若手職員や早期に退職した若い人たちに対し、日頃業務を行っている中で感じている問題意識、退職された方については当時感じていた問題意識、や今回の公務員制度改革に期待すること等についてヒアリングを行ってきたところである。
 本日皆様に配布した資料は、その結果をとりまとめたものであり、内容については、後で事務局より説明をさせる。
 国会の審議と平行して進めたため、なかなか時間がとれず、私自身が直接聞いたのは一度だけであるが、7名の若手職員から直接話を聞いたところである。
 私自身が直接聞いた意見については、全てをこの場で紹介することはできないが、例えば、
 (1)公務員においても、信賞必罰を徹底し、一生懸命仕事をしている人が報われるようにすべき。
 (2)慢性的な長時間労働を解消し、政策をじっくり考えたり勉強する時間が確保できるようにすべき。これは国会の責任も大きい。
 (3)政と官の役割をきちんと整理した上で、官としての役割をきちんと果たせるような制度改革を行うべき。
 (4)緊急かつ重要な行政課題に迅速に対応できるよう、組織・人員の配置が弾力的に行えるようにすべき。
 (5)官民交流の促進等により、行政の専門性を高めていくべき。個人的にも、研修・留学・交流等を通じて、自らの専門性を高めていきたい。 等の意見があったところである。
 それぞれ、自分自身の実体験を踏まえた真剣な意見だったと思っている。
 資料としては配布していないが、この他に、私の指示を受けて、事務局は、先進的な取組みを行っている民間企業や地方公共団体から、人事システムについてヒアリングを行ったところである。
 例えば、民間企業においては、仕事の質の変化、価値観の変化等、人事システムを巡る環境が大きく変化する中で、年功序列・横並び型の従来の制度を改め、
 (1)能力・職責・成果等を重視した処遇制度への転換
 (2)(1)に関連するものとして、評価制度の整備
等をダイナミックに進めているところである。
 いずれにしても、これらのヒアリングの結果も十分参考にしつつ、今後とも、幅広く意見等を聞きながら、公務員制度改革の検討を進めてまいりたい。
 今回は、その検討の基礎になるヒアリングの結果がまとまったので、公表させてもらった。

<質疑応答>

【問】 7名の若手職員から直接話を聞いて、特に印象に残ったのはどのようなことか。

【橋本大臣】 政策の企画立案という目標に取り組める、取り組もうという気持ちで公務員を志望したにもかかわらず、実際には、ルーティンワークで時間を取られたり、国会対応等で時間が不規則になっている。そういう状態では、政策の企画立案という目標に向けて必死で取り組み、勉強をする時間も気力もなくなることへの不安が大きい。現時点では、時間についてはすでにないが、気力はまだ残っている。しかしながら、この状態が続けば気力までなくなってしまうというのが、言い方は違うが、ほとんどの人に共通した問題意識だったと思う。この問題は、私たちが汲み上げていかないといけないことの1つだと思っている。
 また、一生懸命仕事をしている人と、そうでない人とを、ほとんど同じ処遇にしているということについても、ほとんどの人が好きではないという感じであった。やはり頑張った人が報われ、そうでない人にはペナルティーを与えるような制度が必要であり、頑張るためにも、勉強をしたい、そのための時間が欲しいという声が強かった。
 その他にも、技術系の職員からの技術的な立場からの意見があったり、女性職員から、女性を代表してということではなく、たまたま女性がいたからということだと思うが、女性の視点から実体験に基づいた意見があったり、紹介を始めればいろいろな意見があったが、皆に共通していたのは、やはり信賞必罰の人事制度と、それが当然のこととなるよう、勉強する時間が欲しい、能力を活かせるような職場にしてほしいということであった。言い方は1人ずつ違ったが、総じてそういう意見が多かったように思う。

平成13年2月9日(金)

<冒頭発言>

 本日、官邸ホームページの中に行政改革のコーナーを開設した。いずれ3月中には、行政改革専用のホームページを立ち上げたいと考えている。
 ホームページの中に、行政改革に関する国民の皆様のご意見を伺うためのメールボックスを設けた。多くのご意見が寄せられることを期待している。頂いたメールについては、行革を進める上での参考にさせて頂く。
 私自身のホームページにも行政改革に関する意見が寄せられているが、なかなか良いポイントをついている。その内の3通ほどを、今日、行政改革推進事務局に渡すつもりである。今回は、行政改革専用のホームページを開設したわけなので、是非良い意見を頂戴したい。宜しくお願いする。

平成13年2月6日(火)

<冒頭発言>

 本日の閣議で、石油公団や住宅金融公庫の業務内容の改正を含む法律案の説明があった。自分からは、各特殊法人等については、昨年十二月に閣議決定された行政改革大綱に基づき、事業についてゼロベースから見直し、併せて、組織形態等についても、抜本的に見直すこととしている旨発言した。
 また、これら特殊法人等の業務内容の改正等を含む各法案については、いやしくも今般の特殊法人等改革に係る今後の取り組みを一切制約するべきものではなく、改革の趣旨に反してはならないと考えているところ、各位の御理解をお願いした。

平成13年2月2日(金)

<質疑応答>

【問】 来週2月5日で省庁再編によって内閣府がスタートして1ヶ月が経過することとなるが、内閣府の機能強化についてどのように評価しているか。

【橋本大臣】 他の審議会や閣僚の担当されている分野も多く、内閣府全体のところまでは正直わからない。ただ、少なくとも内閣府という各省よりも一段高い立場でそれぞれがやりがいをもって仕事していると感じている。もちろん、試行錯誤の部分もあり、かみあわない感じのする場合もなかったわけではないが、自分の関係しているところでは、この1ヶ月で新しい仕組みに慣れて、仕事の状況も落ち着いてきた。それぞれの分野がスムーズな回転になりつつあると感じている。

平成13年1月30日(火)

<冒頭発言>

 閣僚懇において自分より、公益法人改革について次のとおり発言した。

 公益法人については、本来の趣旨・目的に沿った適正な事業が行われているかどうかという観点から、所管官庁において厳正な指導監督を行う必要があると考える。
 特に国所管の公益法人については、所管官庁による適正な指導監督が行われるよう政府全体として徹底を図っていく必要があるものと考える。
 具体的には、
 (1) 公益法人が、本来、民間企業でもできる事業を行い、この結果、民業を圧迫するのみならず、民間企業がやるよりも料金が高くなり、ユーザーの利益も害していないか。
 (2) その活動が、許可された目的どおり、本当に公益を増進しているのか。実際の活動は、目的を達するためのものとなっているか。この点を担保するために、法人活動に関する十分な情報の開示と主務官庁による厳格な監督がなされているか、
 (3) 役員への報酬、退職金が高額な場合が野放しになっていないか。高額の支払いが可能であるなら、法人事業の利用料を下げるべき、
 (4) 公益法人からの委託先や発注先が、公正に選定されず、委託先や発注先が長期間固定したり、公益法人とつながりのある企業が選定されているケースがあるのではないか、
 といった観点からのチェックが必要であると考える。
 各閣僚におかれては、主務官庁としての権限に基づき、その所管するすべての公益法人について、今年度内を目標に総点検を行い、その結果を私にご報告願いたい。
 また、公益法人の指導監督に関する事務の調整を所管する総務大臣におかれても、特段の御協力をお願いしたい。
 なお、都道府県所管の公益法人についても、国と同様に総点検を行っていただくことが望ましいと思う。

 行政改革事務局の公益法人チームでは、国から補助金等をもらっている等国と何らかの関わりのある約1,000の法人について現在作業を進めているところ。国所管の法人は、それらも含めて約7,000あるが、国と直接関わりのないものも含めすべての法人について事務局で作業に取り組むのは困難。したがって、それらの法人を所管する各府省に協力を申し上げた。

<質疑応答>

【問】 国と直接関わりのない公益法人については見直しの対象としないのか。

【橋本大臣】 直接国と関わりのある公益法人については、すでに行政改革事務局の公益法人チームが作業に入っており、今後のあるべき姿について検討しているところ。それ以外の国と直接関わりのない約6,000の公益法人について、所管する各府省に総点検をお願いしたい旨閣僚懇において各大臣に依頼したところ。

【問】 各府省が所管する公益法人について問題ありと認めた場合、どのように対処してほしいと依頼したのか。

【橋本大臣】 今日は、公益法人の点検を行い、その結果を報告して欲しいと、各府省にお願いした。公益法人の指導監督に関する事務の調整については総務省所管のため、総務大臣と協力して作業を進めてまいりたい。総務大臣からも今後協力していただける体制をとっていただける旨のご発言があった。

平成13年1月19日(金)

<冒頭発言>

 公務員制度改革の制度設計に当たっては、若手の職員などから幅広く意見を聞いた上で、検討を進めていきたいと考えている。
 私は来週海外に出張をするが、事務方には、早速来週からヒアリングにとりかかるように指示をしたところである。
 帰国後には、国会日程との調整が必要であるが、できるだけ時間をつくって、私が自ら、各省の若手の職員や早期に官の世界を辞めていった若い人たち、さらには、国際的な競争の中で様々な取組を進めている民間企業の方々などから生の声を聞きたいと考えている。
 特にこれを申し上げたのは、公務員制度改革が時間との競争となる中で、私が海外出張のためにいなくても検討はスタートするということ、そして、早い時期に辞めた若い公務員にもヒアリングを行うよう指示したことを皆さんにお伝えしたかった。

<質疑応答>

【問】 独立行政法人が4月からスタートするが、その効果に直結する中期目標の設定について、各省庁がハードルを下げ気味に設定するという動きが見られる。各省庁が自前に評価するのではなく、全体を見渡すようなチェックが必要ではないか。

【橋本大臣】 各省庁がそれほど非良心的な行動をとるとは思いたくないというのが、質問を受けての率直な感想である。独立行政法人を主管している閣僚は、各法人の中期計画を厳しくチェックするはずである。もし、おっしゃられるように各省が低い発射台を用意してスタートしようとするならば、当然ながら途中でのチェックがあり、事後評価が厳しいものになる。批判を浴びるような中期計画を出せばその法人を主管している閣僚が批判を浴びる。それが世論というものであり、私達が望む支援であり追い風だ。中期計画は各閣僚にきちんとチェックをしておいてもらいたい。不十分な中期計画であれば、事後評価で厳しくたたかれる、その点をきちんと認識しておいてほしい。

【問】 公務員制度改革について、官僚の中には、政と官の関係のあり方、日本型モデルというようなものの議論が必要だ、それを検討しないと官僚が誇りを取り戻せないのではないか、という意見もあるようだが。

【橋本大臣】 これは、システムの問題ではないと思っている。国公法や地公法に政治家との関わりについて示した項目などないはずだ。これはそれぞれの心のもち方、心がけの問題だ。それを検討する必要があると言われるのであれば、検討することもそれは結構でしょう。

平成13年1月17日(水)

<質疑応答>

【問】 公務員制度改革について白紙から検討すると言うのは、現行の国家公務員法と地方公務員法を一旦廃止して、新しい共通の公務員法を作るということか。

【橋本大臣】 今の時点で両方を統一して一つにするということは、まだ考えていない。それも含めて根こそぎ見直して行きたいと思っている。当然ながら、国家公務員と地方公務員の仕事の中身には共通する部分もあるが、その他に自ずと役割分担が異なる部分もある。その違う部分もあるということを承知の上で、一本の法体系にした方が望ましいのか、あるいは別のものにした方が良いのか、予断を持たずに検討したいと考えている。

【問】 自民党の中には一般職の公務員については労働三権を認めてはどうか、という考えがあるが、これに対する考えを伺いたい。

【橋本大臣】 公務員に対する労働基本権については、業務の特質に応じて制約がかけられていることはご承知の通りだが、公務員の中立・公正な行政運営を確保するため、身分保障の問題と労働基本権の付与の問題は、本質的には別の問題ではないのか、と私個人としては考えてきた。
 いずれにしても、公務員制度の改革に当たって白紙から議論すると言えば、避けて通ることのできない問題であることは否定しない。

【問】 人事組織管理の見直しについて「企画部門と実施部門の強化」とは、それぞれを担当する公務員の仕分けが進んで行くということか。

【橋本大臣】 頭から、「あなたは企画部門、あなたは実施部門」と入ったときから分ける人事があるのだろうか。私は業務としての特性を述べたのであって、採用の時点から、その人の運命を固定するという意味ではない。この点はどうぞ御理解をお願いする。
 むしろできるだけ前広に採用する方が、私は良いと思っている。例えば、今回の外交官試験の廃止についても、より幅の広い人材を採用しようとすれば、公務員全体の採用者の中から、その時に必要とする人材を外交の世界に迎え入れる、そういうことが必要であると我々は判断したわけである。

【問】 大臣が人事の権限を持つことについて、人事院との調整はどうするのか。

【橋本大臣】 公務員から争議権が剥奪されるプロセスの中で、制約のかかった部分に対する代償措置を講ずるために人事院勧告制度が運用され、その役割を人事院が果たしてきたという歴史は申し上げるまでもない。その上で、これから全く新たな公務員制度を白紙の議論で立ち上げる中で、今と同じ形の人事院が必要なのか、今とは違う形のものが必要になるのか、率直に申し上げて、まだ頭の中にきちんとした図を描くことはできない。
 私は、理想的には、各省に対し総人件費の枠を与えて、その中で弾力的に人材を得る、例えば、ある程度高い年俸を払ってでも本当に来て欲しい人を迎えることができたり、あるいは事務量が多く人手が必要な時期には定員を増やしたり、全体の人件費枠の中で弾力性を持てるような仕組の方が望ましいと考えてきた。そういう仕組をとった場合には、今の人事院の機能は変化する。その時点で、どういう名前になるかわからないが、公務員制度全体をチェックし、過ち無きを期すための組織、その身分を守るための何らかの組織が必要だろうが、その場合には、当然ながら、新しい制度に応じた仕組が考えられるべきだと思う。

【問】 省庁再編の目玉である官邸機能の強化は、特に日本の外交及び経済にどのようなインパクトを与えるか。

【橋本大臣】 私は新体制の設計はしたけれども、今影響はどうかと言われると的確な答は必ずしもできない。
 要はこれは仕組として作り上げたものなので、これを有効に使おうと思えば、官邸の権限というより、総理の権限、リーダーシップが非常に大きく発揮できる仕組だと思っている。しかし、そこに人が得られるかどうかということがもう一つの問題点。今は非常に素晴らしい人達をそれぞれ配置していると思っているが、それが継続するかどうかということもあるだろう。

【問】 民間企業においては、在職中に行ったことに対する責任を問い、元トップや役員に対して退職金の返納を迫るようなことが起きているが、公務員についても、見通しを誤ったことにより国民に迷惑をかけた官僚に対し、責任を遡って問う仕組みを今度の行革で入れることはできないか。

【橋本大臣】 公務員制度改革を考えて行く中で、私は信賞必罰ということを申し上げてきた。当然さまざまな工夫が必要になると思うが、遡及適用というものはなかなか難しいのではないか。道義的な責任は追求できても、例えば、それによって生じた被害額を算定して、などというようなことはちょっと無理なのではないかと思う。

【問】 当初民間人の総裁でスタートしていたのに、いつの間にか高級官僚の天下りポストになってしまい、それがずっと続いている特殊法人が多い。これではプロパー職員の志気が下がる。官僚OBは天下っても、ナンバーツー以上にはなれないようにすべきではないか。

【橋本大臣】 確かに言われるような問題があるのは間違いない。実は、一部の公益法人にも同じ問題がある。ただ、これから見直しをして行く中で、どうしても特殊法人でなければならないものを除き、一般の特殊法人については、その業務を洗い直された結果、民間になる場合もあれば、廃止される可能性もあるだろうし、あるいは独立行政法人化して行くケースもあると思う。
 独立行政法人化される場合の一番のメリットは、中期計画自体は所管の大臣が厳しくチェックするが、その計画期間中は年度を越えた仕事ができ、また人事の弾力化ができるといった、全く新しい選択肢が働くということ。その場合に、ナンバーワンが常にどこかの省の誰かといった姿が継続するようでは、私は世の中が許さないと思う。
 また、それぞれの特殊法人は機関債を出すことを目指している。機関債が市場に受け入れられるためには、人事、経理を含め一切のものが透明でなければならない。そして、財投債に依存するとすれば、財投が15%減になっている今年の例が良い例だが、それだけ厳しい経営になる。そうした安易な天下りというものを許さなくなるだろう。
 特殊法人そのものの見直しでもそうだが、その上で、権限とか予算を背中にした天下りの禁止は、徹底的に法的な対応も考えての措置を組みたいと思っているので、変わって行く姿を見て頂きたいし、声援を送って頂きたいと思っている。

平成13年1月6日(土)

<質疑応答>

【問】 自ら手がけた省庁再編が本日スタートするにあたっての抱負を伺いたい。

【橋本大臣】 一つは、「よくここまできたな」という感想である。行革会議をスタートさせ、省庁再編をしたいと申し上げた時は、行革会議委員の方々もあまり本気で出来ると思っておられなかったものが、「やっとここまできたか」という思いである。もう一つは、「さあここからが大変だな」という思い、その両方を感じた。

【問】 省庁再編に魂を入れる、とはどういうことか。

【橋本大臣】 公務員制度改革、すなわち公務員のあり方や意識、そこに本当に新しい設計をすることができるかどうかが一番大きな魂を入れる作業になるだろうと思う。
 ここしばらくの間、いろいろなことがあり過ぎて、官僚に対する批判というものが非常に強くなり、本当に萎縮してしまったんじゃないかという心配をすることもあった。若い官僚諸君に溌剌と仕事をしてもらう。もちろん悪いことは正さなければならないが、それと同時に若い諸君に夢をもって仕事をしてもらうことが悪いとは誰も思わないと思う。そのような制度設計ができるかどうかが、大事な鍵になるかと思う。
 公務員制度改革については、あるべき姿の大枠を3月中にも示し、6月の末には、その大きな枠組みの中で互いに矛盾するようなことを整理し、夏以降立法化の作業にかかれるよう、そこまでの議論を詰めて行くという日程で進めたいと思う。
 今日これから事務局の発足を迎えるわけだが、その意味では事務局に相当な苦労をかけることになるが、事務局内だけではなく、各省の若い職員や民間の方からもアドバイスをどんどん頂き、大きな枠組みをまず作りたいと思う。

【問】 公務員制度改革で一番の問題は何か。

【橋本大臣】 今までの流れの中で自然と身についている意識、自分が入った省から基本的には将来も動かないという前提や、人事院勧告を受け、同期入省の人たちが同じように昇給するという仕組の中で過ごしてきた諸君に、民間的な感覚、すなわち信賞必罰というものを改めて受け入れてもらう、これは大変なことだと思う。
 どこかでガラッと変える場所を作らないと動かない。意識改革に結びつくものは、まず役所の姿そのものを変えることからだ、そう思って中央省庁の統合からスタートさせた。そういう意味で、私は、中央省庁の統廃合について「始めの終わり」だという言い方をしてきた。

【問】 行革を登山にたとえると、今は何合目か。

【橋本大臣】 前山をようやく下り始めた、かな。山には富士山のように一つだけある山もあるが、日本アルプスのように、登ろうと思えばその前にいくつかの山を越えなければならないものもある。その目的地の手前にある山を、今登り終えて下り始めた。