1 行政情報の公開制度
(1) 行政情報の公開制度は、国民から信頼される公正で民主的な行政の実現のための基盤的な制度であり、行政改革の重要な要素である。
政府は、行政情報の公開を制度化するため、関係法律案を早期に国会に提出し、その速やかな成立を期すべきである。
(2) さらに、国民と行政との関係をより透明・公正なものとするため、先に指摘したパブリック・コメント制度の導入を図るとともに、行政手続面にあっても、国民の権利義務、国民生活に影響を及ぼす計画の策定手続や、規則・命令の制定手続の透明性を高めるほか、事後的な手続としても、不服審査や救済手続の一層の改善を進めるべきである。
2 地方行財政制度の改革
(1) 地方行革の推進
国における行政改革と地方における行政改革は車の両輪として、ともに積極的に推進する必要があり、地方公共団体におけるより一層の行政改革への取組みを強く期待したい。
(2)地方分権の推進
地方分権推進委員会の勧告については、遅くとも平成12年3月31日までに法律の整備を完了し、着実に実行するものとする。
(3) 新たな地方行財政制度に向けた本格的な取組み
@ 地方分権の推進については、地方分権推進委員会が、主に機関委任事務を中心とした国の関与を縮減するという面で、これまで大きな成果をあげてきた。
今後地方分権をさらに本格的に進めるに当たっては、地方への財源・権限の委譲を大幅に進めていく必要があるが、これに当たっては、地方におけるその受け皿の整備を行うことが不可欠である。このためには、地方公共団体のア 規模の問題、イ 財源の問題、ウ 人材の問題に積極的に取り組む必要がある。
A 具体的見直しの方向
ア 規模の問題
地方分権の受け皿となる地方公共団体の規模の拡大が要請される。これに際しては、ひいては道州制等地方制度の在り方を抜本的に変革していくことも視野に入れなければならない。これは、国と地方の関係の根幹、まさに「この国のかたち」にかかわる問題であり、全政府的に取り組むべき課題である。
また、その取組みは国が一方的に進めるべきものではなく、国と地方の対等な関係を前提とすべきものである。
イ 財源の問題
地方公共団体の自立はまさにその財政的自立にかかっている。地域住民が自ら負担し、地方公共団体が自ら財源を確保し、自己の責任において地域行政を主体的に運営することができるよう、国、地方を通じた税制の見直しを進めるとともに、地方の自立を阻む主たる要因となっている国による補助制度、団体間財政調整制度についてその基本に立ち返った改革を進めなければならない。
ウ 人材の問題
地方分権を実効あらしめるためには、地方公共団体において人材を確保し、国と伍してその行政を遂行していく力をもつことが不可欠である。これに当たっては、中央省庁から地方公共団体の主要ポストへの出向が常態化し、それが中央省庁における人事ローテーションにも組み込まれている現状は是正されるべきである。
B 本格的な検討体制の確立
以上のような課題に対しては、一省庁の枠を超え、政府をあげて、国と地方が一体となって本格的に取り組むことが必要である。地方分権推進委員会は、4次にわたる勧告の提出を終え、さらに今後の活動に移ろうとしている。以上に述べたような観点に立てば、まさにこれからが、制度の根本に踏み込んだ大きな改革を必要とする段階である。政府においては、このような認識の下に、これらの課題に関して、国と地方の総力を結集して本格的な検討を進める体制を確立していく必要がある。
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