第6回公益法人有識者ヒアリング議事概要

公益法人有識者ヒアリング

1 日時: 平成14年6月17日(月)10:00〜11:30
 
2 場所: 内閣府5階527号室
 
3 出席者: 入山  映 (笹川平和財団 理事長)
太田 達男 ((財)公益法人協会 理事長)
加藤 秀樹 (構想日本代表)
中里  実 (東京大学教授)
(50音順)

4 議事概要
(1)事務局より説明
(2)意見交換
次のような意見があった。

<税制について>
  • 法人はそもそも納税義務があることが基本原則であることを念頭におくべきである。
  • 営利企業と競合する活動を行う法人は、非営利法人であれ、公益法人であれ税の理論的整合性の観点から、課税せざるをえない。
  • 税の恩典を受けるための法人制度設計では問題。
  • 非営利法人だから税は減免されるべきであるという考え方は問題。これは、営利法人と非営利法人との間に著しくバランスを欠いた議論である。両者をパラレルに議論すべきである。
  • 現行の公益法人税制の前提となる、法人の設立許可制、官庁の指導監督制、残余財産分配の禁止などの原則が変わるのであれば、法人であれば当然課税という原則に戻らざるをえない。
  • 準則主義で法人を設立する場合、法人であれば原則課税である。課税すべきでないという判断はその後にすべき。
  • 営利企業と競合が生じていない活動分野について、収益を構成員が分配しないことを実質的に確保する手段が必要。
  • 税制に限らず、他のものについても同じであるが、新しい制度を作るにあたって、非営利法人に対して簡単に優遇という話にはならないのではないか。情緒的な説明だけでは理論的整合性に欠く。優遇すべき具体的な説明が必要。
  • 原則課税が唯一の考え方ではなく、納税者の意思に任せた公益活動という考え方もある。脱税等の問題もあるが、それは徴税技術の問題である。
  • 官庁の裁量なくオープンに設立を認め、公益活動後に所得控除が得られるという制度にすれば問題ない。
  • 千葉県我孫子市のように、補助金の公募にあたって、公益性の有無、すなわち社会に役立っているか否かの判断を独立機関に判断させ、行政がその判断に乗っかるという考え方もあって良いのではないか。税についても同様に公益性の判断と非課税の決定を分けて考えられると思う。
  • 寄付金収入について、非課税にすべきという議論はありうる。その場合であっても準則主義により設立できるのであれば、一旦課税とすべきであり、その上で減免すべきものは減免すべきである。
  • 憲法上の納税義務があるのに、自発的な納税制度というのでは論理矛盾ではないか。
  • 原則課税とした上で、その先の減免のやり方として、アメリカのように限定列挙した基準を満たしているのであれば非営利全般について非課税という考え方もありうる。
  • 事後チェック制とする場合、法人が公益を称して実際に公益活動を行っていない場合に得た利益に対し、どのように懲罰を与えるかを考えなければならない。 
  • アメリカ的な懲罰の考え方では、重い負担を課す例がある。
  • 懲罰のかけ方として、一般的に@逃れた税に加算税を含めて取り返すA逃れた利益に課徴金をかけるB法律上の罰金をかけるという3つの方法があり、これらを使えばよい。
<公益性について>
  • 民間機関や地方機関に公益性判断など課税要件の一部を委任することは、憲法84条の視点から問題。
  • 公益性の判断と課税権を分けて考えることは憲法上問題ない。法人制度の中に公益性を組み込む必要は必ずしもないのではないか。
  • 本来、公益性の判断と、法人制度とは別だという考え方を強調すべき。
  • 公益性の判断は税制に限って議論されるべきではない。郵便料金の軽減などに加え、低利の融資制度など、今後、税制以外にも行政上の優遇措置について議論の余地はあるのではないか。
  • 公益性の判断を単一の行政機関が行うことについては、現段階でコンセンサスが得られていない。民間の第三者機関が行うといった議論もすべき。
  • 公益性を行政機関が判断するという思想にとらわれず、第三者機関等が法人の活動が社会的に役立っているか否かの判断を行い、行政機関が裁量なくその判断に乗っかるという手法も採れるのではないか。
  • 公益性の判断について、行政機関が裁量なく行うにしても、例えば第三者機関等を選ぶとしても、その時点で行政の裁量が入ると言わざるを得ない。民間の格付け機関が勝手に格付けしたインターネット等からの情報が判断要素の一環として入ってくる分には問題ないが、法的権限を民間機関に委ねる瞬間に、法律上問題が生じてくる。
  • 事前チェックか、事後チェックかの議論については、法人の過去の活動実績のみで判断する事後チェック型とすべきである。実際に如何なる活動を行ったのかが問題。
  • 公益性が時代にそぐわなくなった場合の公益性認定の取消しを盛り込むとすれば、それは今回の改革に伴う法改正の後に行うのか、それとも、改正前に行うのか。平成17年度までに終われば良いのであれば、2万6千の法人を洗い浚いチェックすることも物理的には不可能なことではない。
 <パブリックコメントを求めるに当たって>
  • 今回の整理は、法人格の取得を容易にすること、所管官庁の関与を少なくすること、法人の目的に沿った活動が円滑になるようにチェックことなどが盛り込まれており、全体的にみて、大変よく整理されている。
  • この改革は公益法人制度の改革であり、行政委託型に関する記載がないことは解るが、パブリックコメントするにあたって、行政委託型公益法人改革については3月29日の閣議決定において既に方針が出されていることを明記しないと一般の国民の目から見て混同してコメントが出てくる危険性がある。
 <その他>
  • 公益法人は公益活動を行っているがゆえに寄付を集めることが可能となる。中間法人は構成員からは会費等を集められるが、広く一般に寄付を集めることはできない。公益法人と中間法人を区別する必要はそこにもある。 理事の責任や情報公開の範囲なども両者で違いがある。

(文責:行政改革推進事務局)


-
もどる