○:委員
●:事務局

第9回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年5月26日(水)18:00〜20:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ それでは、少し定刻を過ぎましたが、早速始めたいと思います。
 では、本日の資料の説明等からお願いします。

● それでは、本日の資料でございますが、WG資料といたしましては、14と15を用意してございます。いずれも2枚ものです。
 そのほか、机上配付資料として、ドイツの租税基本法55条と59条の抜粋を御用意いたしました。左肩に参考資料と書いてあるものでございます。前回、委員から御指摘のあったとおりの内容の条文となっておりましたので、御確認いただければと思います。
 それでは、WG資料14について、この検討に至る経緯を含めて、御説明をさせていただきます。
 まず、○の※の部分でございますけれども、これは3月までのワーキンググループでのご議論では、抜粋したWG資料12の※1に書いてありますとおり「社員が任意に非営利社団法人(仮称)に財産を拠出することは妨げないこととする方向で検討する。また、社員が法人に財産を拠出した場合の法律関係については、@拠出額の限度でその返還を受けることは妨げないのではないか、A@の返還請求権は、他の債権者に劣後するものとすべきではないか、などの点に配慮しつつ、引き続き検討をする」というところまで御検討いただいたところでありました。
 3月末の議論の中間整理をまとめる段階になりまして、有識者会議の方で出資型の非営利法人制度の創設を検討すべきであるという御指摘がありました。このときは、その御指摘に係る出資型非営利法人なるものの内容を完全に把握できなかったこともあり、議論の中間整理ではワーキンググループにおける議論と抵触しない範囲で、WG資料14の○に書いてあるかぎ括弧のような表現といたしました。その後、議論の中間整理を公表いたしましたところ、外部からも出資型非営利法人制度の創設を求めるといった意見がありましたので、有識者会議での御指摘と外部からの御意見の内容がどういったものかという点を、この間確認してまいりました。
 と言いますのも、もし御要望が営利法人や協同組合における出資と同じものを意味するといたしますと、「社員に剰余金を分配することを目的としない」ですとか、「社員は法人の財産について持分を有しない」という、現在、ワーキンググループで検討中の非営利法人制度の基本的な性格に反する可能性が高いと考えたからであります。
 しかしながら、確認の結果、ワーキンググループで検討をしている財産の拠出の在り方と、ほぼ同じ御要望であるようでございました。少なくとも御主張に係る出資は、法人財産について持分を発生させることを意図するものではなく、営利法人や協同組合における出資とは違うということでした。そうすると、いわゆる実際のニーズとワーキンググループにおける議論の方向性が一致したということになりますので、従来の方向性に従い、更に詳細を詰めていただくことが相当ではないかと考え、資料14を作成した次第です。
 それでは、1から御説明いたしますが、1は、法人は、定款で、社員の法人に対する財産の拠出に関する規律を置くかどうかを決めることができるというふうにしてはどうかという提案であります。
 ※1は、出資という用語に関するものです。出資という用語については、現行法令上、持分との結び付きが高いと思われますものですから、誤解を避けた方がよいのではないかと思います。資料では、拠出または拠出金という用語を用いております。
 ※2は、拠出者は社員でなければならないという規律は不要ではないかという趣旨です。非営利法人にあっては法人に対する財産の拠出の在り方について、営利法人のような社員との結び付きは必須ではなく、むしろ拠出金の調達の面でもいろいろな選択肢があった方がいいのではないかと考えた次第です。
 2の方に移りますが、2では1の規定を設ける場合には、その内容について一定の規律を設けてはどうかという提案であります。
 なお、本資料では、2の(1)から(5)までをいずれも定款でその旨を定めなければならないと作成いたしましたが、よく考え直してみますと、(2)から(5)までは、この旨を定款に書けというのではなく、むしろ法律で直接規制をした方がよいのではないかとも思うところでございます。この点も含め、御意見いただければと思っております。
 (1)からでございますが、(1)は拠出金の総額です。財産の拠出に関する規定をおく場合、その規模をあらかじめ定めておくことが相当ではないかと考えた次第です。
 ※1は、拠出金の総額を登記事項にすることによって、非営利法人の財産的基礎を公示してはどうかという趣旨です。
 ※2は、後に述べます(4)のとおり、拠出金が返還された場合には、それと同額が積み立てられることを前提に、拠出金の総額にはこの積立金を含むとする趣旨です。
 ※3は、非営利法人の成立時における財産的基盤の確保について、ワーキンググループでは会社における最低資本金制度に関する議論を踏まえて、改めて決定するという点に配慮した規律であります。
 (2)ですが、拠出金の返還の要件です。※がその具体的内容です。
 @は、社員総会の決議が必要とすること。
 Aは、返還は毎期の剰余金の範囲内で行われるべきことであります。
 後段は、もし、@、Aの規律に違反する返還がされた場合の債権者の権利について定めるものであります。
 この意味でも、法律にこの部分は書かなければ、なかなか難しいのではないかと思い直した次第であります。
 (3)は、拠出金の返還の際の付利禁止。利息を付けることはできないとする御提案です。その趣旨は、※1に書きましたとおり、実質的な利益分配を防ぐ趣旨であります。
 これに対し、※2のような方法で利息を払ってもよいとすべきではないかという御指摘が寄せられております。これについても御検討いただければと思います。
 (4)は、拠出金が返還される場合には、返還される拠出金に相当する金額を積み立てなければならないものとし、この積立金は取り崩すことができないとするものであります。その結果、※のとおり、拠出金の総額は拠出金の返還があっても減少しないということになろうかと思います。
 (5)は、清算時における他の債権者との関係で、その劣後性を定めるものです。
 以上、述べましたとおり(3)(4)(5)も法律で直接定める方がよいのではないかと思っております。
 3の部分につきましては、1、2の部分の方向性が定まった段階で検討してはどうかと考えて別立てといたしました。
 (1)は、拠出金増加の手続の在り方です。出資型非営利法人、このネーミングも拠出型の方がよろしいかもしれませんが、御要望が自己資本的な規律・仕組みを求めるものであるとすると、その増強の手続もあった方がいいのではないかと思います。
 (2)は、金銭以外の財産の拠出の可否及び可とする場合の手続です。※に「必要性の有無を踏まえ」と書きましたが、恐らく否定する理由は余りなく、むしろその場合の手続をどの程度厳格にするかどうかということが問題ではなかろうかと思います。
 以上であります。よろしくお願いします。

○ そういうことで、出資型の法人と言うんでしょうか、非営利法人であるが出資が可能な法人というものをここで提案しているわけでございます。若干ここに出すまでの経緯を御説明いたしますと、事務局から御説明がありましたけれども、我々の会議の中では、いわゆる協同組合的なものについてどうするかということを一応検討したわけですが、そのときに、現在の協同組合関係の法律があれば、一応十分ではないかというような、十分調査した上での結論ではありませんけれども、そういう判断をして、それでこの問題についてはそれ以上検討しなかったということがございます。
 しかし、今、説明がありしまたように、実際にはそういう協同組合に少し似たものであますけれども、出資型と称するものの、そういう非営利法人を認めてほしいという要望がありますので、ここでやはり検討しておいた方がいいだろうと考えました。また、これは、我々が考えている非営利法人という枠の中で、解決が可能であろうという判断に至りましたので、細かいところはともかくとして、そういうことで御提案しているというものでございます。
 しかし、なお、いろいろ検討しなくてはいけない点があるかと思いますので、御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

○ 今日、お話を伺った拠出金に関する(1)から(5)までの制度は、中間法人法の有限責任中間法人の基金の制度とどこが違って、どこが共通なのかということをお伺いしたいんですが、違いは恐らく中間法人法の方は必要的に300 万円であって、今ここではそこはオープンになっている。あるいは差し当たって定款で決めれば拠出になるというところかと思いますが、そのほかの拠出金返還請求権の性格等はいかがでしょうか。

● 同じものと考えております。

○ 十分にそのニーズと言いますか、こういうのを主張している人たちの要望の中身については、私も十分検討していないところがありますけれども、単なる貸付金では困るという希望があるんですね。
 その理由は、1つは、エモーショナルなものかもしれません。つまり参加という、単に貸しているのではなくて、やはり出資して参加しているということが言いたいというのが1つ。
 もう一つは、どこまで根拠があるのかわかりませんけれども、企業などがお金を出すような場合に、出資という方が出しやすいという話なんですが、その2つがどの程度、法的に論拠があるのかよくわかりません。
 ただ、ちょっと今話を聞いていて確かめたい点が生じましたが、後者の点ですけれども、これは企業などが、もしこういう拠出金を出すというときの拠出金の性格づけと言うんでしょうか、どういう形で会社の計上をするのかよくわかりませんけれども、会計上、貸付金という形でこういうのは計上されるものなのですか。

● 出す方がということですか。

○ そうです。どのような処理がされるのかよくわからないので。

● それは恐らく、もし会社が中間法人をつくって基金を出した場合に、どういう整理をされておるかということが、まず参考なるかと思うんですが、ちょっと調べてきておりません。
 受ける方は、貸借対照表上どう記載すべきかは、中間法人法第59条第3項に省令委任規定がございまして、基金に返還にかかる債務の部分は負債の部には上げないとか、基金の部分は資本の部に書けという中間法人法施行規則の12条でございますが、規範がございます。

○ 私が思った疑問は、仮に貸付金だという性格づけにされると、全然利息も付かない貸付金というのはなかなか出しにくいのという感じもちょっとします。出資だったら大丈夫なのかというと、そこはよくわかりませんけれども。

● 出資の方が増えるかもしれませんけれども、ゼロになってしまうかもしれない、勿論、貸付だって債務超過の程度がひどくなればゼロになるんだろうと思いますけれども。

○ ただ、出資は増やして戻さないというふうにすると、増えないわけですね、減ることはあってもね。

● そうですね。

○ 貸付金との関係で言うと、企業の方からすると、貸付金だと無担保、無利子の貸付ということなって、なかなか難しいのではないかと思うんですが、それが拠出金ということだと出しやすいのかという問題だと思うんですね。それは単に税の問題だけではなくて、企業として出しやすいかどうかという問題だと思います。

○ やはり、出資する会社がその社内で説明するときに、多少違うことがあるのかもしれない。

○ あるいは株主に対する説明ということもあるのかと思います。
 それから、ニーズとの関係なんですけれども、中間法人法の制度を使えば、今、求めていらっしゃる方は対応できるはずですが、にもかかわらず、中間法人ではだめで、新たにできる非営利法人に期待しているとなると、それはどういうところにあるのか御説明いただければと思います。

● 出資型非営利法人の創設を求める団体の方に直接伺ってまいりましたところ、理論的ではないと思うんですけれども、中間法人は、まず中間法人という名前が自分たちの求めるものではないものなんだそうです。自分たちは非営利活動あるいは公益活動をするわけであって、中間法人法に対する誤解かもしれませんが、とにかくおっしゃっていたことは、自分たちは「中間」法人ではないということをおっしゃっていました。
 その団体の方々は、NPO法、中間法人法ができる前から、自分たちに合った協同組合的な法人格法制を求めておられたところ、なかなか実現することができず、NPO法では構成員の出資と言いますか、財産を拠出するという仕組みがNPO法から排除されたと理解されております。
 次に中間法人に行くんですが、そういう運動をしている中、できないできないと言われた中間法人一般法が自分たちのあずかり知らないところでぱっとできてしまって、そういう法律は使いたくないとおっしゃっていました。

○ いろんなグループがいるので、いろんな答えが返ってくるのだと思いますけれども、実はこれはいつだったか、5月の何日かの土曜日に、この出資型の法人に関するシンポジウムというのが明治大学で行われて、私も出ていろいろ話を聞いていたんですけれども、その中で出てきた話は、やはり本来はNPO法人で出資をしたいということのようでした。ですから、その意味では、NPO法人はあそこで列挙されている目的からして、公益的な活動をするということであり、本来はNPO法人を使いたいということかもしれませんね。だけども、今、事務局が説明されたように、NPO法人は出資というのを受けるような仕組みとしてはできていないというので、今のところ出資型で非営利ないし公益の活動をする法人制度がないという理解なんですね。
 ですから、非営利法人の枠組みですると言いますか、中間法人の場合だと、中間法人でも公益活動をすることはできるんだけれども、そこがNPO法人とはちょっと違うという意識があるのは1つ。
 もう一つは、最終的なねらいとして、公益性の認定を受けたいというところもあるようですね。すべての人たちがそう考えているのかどうかわかりません。社会福祉活動などしているグループは公益性の認定を受けて、やはり税の優遇も受けたいということを考えている。
 中間法人は、最初からそういう税の優遇はないという考え方でできているので、そういう意味では使えないと、そういうこともあったんじゃないですか。

● もう一点、付け加えさせていただきますと、中間法人法の残余財産分配に関する規律が自分たちの望むものと合っていないとおっしゃっていました。つまり、制度として残余財産を社員に帰属させることができないこととなっている法人格でありたいというようなこともおっしゃっていました。
 私は、中間法人法は別に分配しなければいけないとなっているのではなくて、いずれにせよ定款又は社員総会の決議で決めるものであり、「残余財産を社員に帰属させない法人です」というふうに定款で自らを律することはできるんですよと申し上げましたが、それはそうかもしれないけれどもということでありました。

○ だから、さきほどの税と関係していて、定款で分配しなければいいのではないですかというふうに話をしたら、法律の制度として残余財産の分配ができないような制度にしてほしい、ということでした。
 その理由は、残余財産が分配できるような法人だと、結局、課税されるので、そうしてほしくないというような理由も挙げていましたね。

○ そうしますと、残余財産の分配は禁止するけれども、基金の返還は認めるという制度を考えているわけですね。

○ そうです。ただ、その残余財産の分配をしてほしくないということの趣旨が、一切返さないという意味なのか、出したのと同じ額だけは返すという意味なのか、そこをはっきり確かめてはいないんですけれども。

● 私が聞いた限りでは、出した分は返してほしい、だけど残余財産、つまり利益がもし残ったとしても、実際に残ることはまずないとも同時におっしゃっていましたけれども、もし残った場合、それは要りません。でも、出した分は返してほしいということでした。

○ そうしないと、出資型という意味とも矛盾するわけですね。出資型だったら本来、もっとはっきり言うと持分的なものだと思いますけれども、それは当然残余財産分配のときには戻ってくるというのが、むしろロジカルなはずですけれども、それは政策的な配慮、つまりさっき言った税との関係などがあって、そういうものは返さないようなタイプの法人をつくってほしいということだったのですね。
 だけど、今日、出ている案は残余財産の分配のところは・・・。

● ここには書いてございません。この資料に書いてある拠出金返還に関する債権債務関係は、残余財産になる前に整理されるものであるというふうに考えております。

○ だけれども(5)番があるわけでしょう。

● (5)番は、他の債権者との関係で。

○ 他の債権者に弁済した後は返るという趣旨で、そこまでは含めていないのですか。

● いや、返るという趣旨です。

○ それを含んでいるわけですね。

● そういう意味では、そうです。

○ この(5)をした後、いわゆる一番狭い意味での残余財産分配になり、分配か残余財産処分の問題になるということですね。持分を持っている構成員、拠出者にはその狭義の残余財産は配られないと、実質的には、シプレなり何なりになるんでしょうかね。
 こういうものを導入することについての可否であります。私は賛成でありまして、ちょっとこういうものが是非必要だと考えている人たちのお考えというのは、まだ十分に理解、共感できないんですけれども、その法人のみが責任を負うというタイプの法人を今つくろうとしているわけですから、強制的に、いわゆるこういう劣後的なデットを要求するかどうかはともかく、そういうものを安定した制度として法律で可能にするということは望ましいことで、それを定款であるとか当事者の契約でのみつくるというのは、最後の倒産手続などにおいて、必ずしも透明なルールにはならないだろうと思います。
 したがって、中間法人法の規律を設定された後は借用するというものであれば、中間法人法についてのさまざまな意見があろうかと思いますが、差し当たってはそこから議論を出発させて、中間法人法の基金制度の強制的な300 万円というところを除く部分でも何か既に問題が指摘されているならば、それを取り込んだ形で手直しをするという方向で考えるのがいいのではないかと思います。
 ただ、その残余財産分配のところが中間法人法ですと、今まさに一通り議論されたように自由ですが、それとこの出資型非営利法人というときに、何かパッケージにして考えるかどうかというところが問題で、私のように法人のみが責任を負うタイプの、いわゆる簡単な言葉で言うと有限責任の法人における債権者保護というのから、こういう制度が望ましいと考えると、やはり残余財産のところはオープンにしておくのが基本になるだろうと思います。そこをうまく、そういうことを望んでいる人たちのニーズに合った形で絞るための理由が付くかどうかというところは、まだよくわからないところであります。

○ 中間法人と違ってくるのは、今の残余財産の分配のところだけなんです。少なくとも今ここで提案されているのではね。運動している人たちの希望からすると、要するに出資した額だけは戻すかもしれないけれども、いわゆる残余財産の分配は禁止してほしいというわけですから、そこが中間法人と違ってくるわけですね。それをどうするか、単に自分たちの定款でそういうふうに定めるという形にするのか、やはり法律の制度として、基金型の場合にはそういうふうに出資した分しか戻ってこないというふうに規定してしまうのか。だけど、なかなかロジカルにはそうならないところが問題ですね。

● 今のお話ですと、出資型を入れる法人の残余財産の帰属は、他のシプレみたいなことにすると。

○ 制約を受けるというのを多く望んでいらっしゃるわけですね。その当事者の方は。

○ でも、全額ではないでしょう。出したものは戻るということです。拠出額を超えるその上の上積みは別ですね。それはシプレで処理するか。

● 他の類似団体にとおっしゃっていました。
 あと済みません、300 万を集めるのも難しいということも同時におっしゃっていました。

○ 大きさが大き過ぎると。

● はい。

○ 額は自由に定めればいいんでしょう。

● 今回の提案は、そもそも非営利社団法人が、財政的基盤をどうするか、会社法との見合いで、ある程度方向は見えていると思いつつも、一応、留保段階になっている。

○ 今のお話の300 万集めるのが難しいというのも、これも恐らくいろんなグループがあって、一方でなぜ出資型が必要かというと、こういう非営利活動の中でも相当お金が必要な活動があって、青森の方で風車を一基建てると相当のお金がかかる。そのための資金を集めるというような例があるというのですが、そういう場合は300 万どころかもっとたくさん集めなくてはいけないわけですね。
 他方で、小さい活動しかしないような小さいグループでは300 万集めるのも難しい。そういう考え方を持っている人たちもいます。しかし、300 万でも集めにくいというのは、一部の意見であるように思いました。
 ただ、基金の額については、我々も任意ではあるが基金という制度を設けてもいいのではないかという議論は少ししたと思いますけれども、その場合の額は、最低限を定めるというということではないので、300 万の問題はなくなると思いますね。

○ 会社法になる。

○ 会社法ではありますけれども、会社法でそうなっても、こっちは違うとすることはできる。

○ 上積みの残余財産の分配のところまで分配をすることができないということを法律に書き込んでくれということまで、この方面の運動の方々がお求めになるのだとすると、立法上の技術としての負担が重くなるでしょう。1つの一定の類型を設けてしまうことになりますので、そこのところはそれぞれの法人の定款で決めることで明確にすればいいとも考えられます。税制上もそれである程度見通しができるんだということになるのであれば、せんじ詰めれば、これは拠出金返還請求権の規律だけ法律に設けておけばよいということになりますから、立法上の負担が簡単になると思いますので、その辺りのニーズについて引き続き精査をいただけるとよろしいという気がいたします。

○ 何か結論としては、そういう方が制度としての説明はしやすい感じがする。 それで、公益性の認定の方の問題は、ここでは直接議論はしませんけれども、仮に定款で残余財産の分配は禁じる法人であると定める。特に上積みについてはね。そういうことが定款に書いてあれば、残余財産の分配はしないという性格の法人なんだということで、公益性の認定を受ける際の組織に関する要件についてはクリアーされる、と考えることもできますね。
 ただ、税務当局の方では定款を変更して、いつでも分配できるようにしてしまう可能性があるから困る、と思うかもしれないけれども、それは公益性の認定を受ける団体一般についてはあり得る話であって、たとえば後から公益性の要件を満たさなくなったらどうするかという問題で、それで対処すれば可能なのかなと思いますね。

○ 公益性が認定される法人について、拠出金の範囲では返還を認めるという制度は、私はかねてからそれがいいという考えでいたんですけれども、ただ、私の見解はずっと入れられませんで、一旦出したものは戻すべきではないという長年の慣行が今も支配していると思っておりました。
 それで今回、その2階部分で拠出金の分を返すという制度が取り込めるかどうかというのは2階の方の議論も必要になるのではないかという気がいたします。ですから、委員がおっしゃったのと両方の問題があるのかなと思います。

○ それは恐らく、公益性を認定する際の組織に関して要求される要件として、拠出金という名目であれ、それを取り戻すのはだめだという議論が強くなるのかどうか、ということです。この点は、これから議論しようとしています。
 ただ、委員の意見は、出した分だけですか。増えたものは返さないと、ということですか。今の公益法人についても、理論的には出した分については返すことができると・・・。

○ 現在はだめですね。

○ 現在はだめというか、法律の運用はそうなっているわけですね。

○ 民法上は可能ですけれども、運用上はだめだということなっているわけですね。それを今度認めるということは、私のもともとの意見には合っているんですけれども、ただ、なぜだめと言われてきたのかということを考えてみる必要があるかなと思います。

○ なぜなんですか。

○ わかりませんが、例えば、残っているお金が拠出金に当てるべきものなのか、それとも本来は公益目的に使うべきものなのかということもあるのかなと思います。たまたま残っている部分が税の優遇であるとか寄付を受けた分が残っていると。それを本来、そちらの方でシプレで使うべきものなんだけれども、まずその拠出金の返還に当てていいのかどうかというようなこともあるのかなと思います。

○ 少しずるいようだけれども、そこでは貸付金だという言い方をして返してもらうというのはどうだろうか。そういう議論に対してはね。

○ 私がそういう議論をしたわけではないんですが、なぜ今までだめと言われてきたのかということですね。それは非常に強くだめと言われてたきたわけでして、その辺り、もし御存じだったら。

○ 今の現行の公益法人に対して、財を拠出するときには、寄付などという形で当然戻らない、返還請求権は存在しない形になっていましたね。

○ 運用上そうなっているんで、もともとの民法の規定は戻っても構わないではないかということだったと思うんです。

○ 出し方の問題と思っているんですけれども。貸付金だったら公益法人を相手に貸したって構わないわけでしょうから、それは返還請求権を認めることについて何の問題もないはずです。

○ 公益法人の現在の民法の規定の中でも登記事項ですか、出資という言葉を使っていますしね。

○ そうですね。

○ ですから、そういう意味では、そこはそんなに厳密にというか、どちらの意味の厳密かわかりませんけれども、出したら戻せないという意味で使っているのか、あるいは出資だから出しても戻せるというふうに使っているのか、そこはどの程度厳密に議論しているのかわかりませんけれども、少なとも民法の起草者の説明などでは返せるということになっていたのではないかと思いますけれどもね。

● 弁済の順序が民法には明文で書いていないので、運用が入ってしまうんだろうと思います。もし、法律で弁済の順序を定めておれば、法人の中に残っているお金がどこから来たかというのは、それは勿論もともとわからないというか、確実に判定はできないんですが、弁済の順序で少なくとも一般の債権者にまず返すということは多分だれも異論なく受け入れることだと。

○ それは現在の民法の法人でもそうなるのではないですか。

● そうです。ですが、一般債権者にはそうなのに、一般の債権者とは立場の違う出資者と言いますか、拠出者。

○ 例えば、その公益法人に対して寄付などがあったときにね、それは債権でも何でもないわけだから、それが残余財産という分配でもって、その出資した人に全部行ってしまうというのはおかしいだろうと。

● ですから、今回あくまでもこのペーパーは1階部分だけの議論でありますが、こういう形のものは恐らく(5)のような規範を入れるということは、一般債権者との関係の順序しか書いておりませんが、残余財産との関係でもこれは意味を持つのではないかというふうにも思うのです。
 というのは、中間法人法の基金返還請求権はどうなっているのか。基金返還請求権を弁済し終わった残りが残余財産なのかどうか、そう違いないと思っているんですけれども。

○ 今ここにある(5)というのは、とにかく債務の弁済を先にしなくてはいけないというだけですので、今言った法人にとって債務という形になっていないもの、単純な寄付であるとか、仮に税の優遇があれば、その税の優遇措置があったために営利法人と比べて減るべきだったものが減らなかったとか、何らかの形でそういうものが残っている場合があり得るわけですね。それをだれに返すかという問題です。
 今の(5)だけだと、そして拠出者にその債務の弁済後のものは全部返すというふうにすると、その上積み部分も行ってしまう。ですから、上積み部分は行かないというルールをもう一つ入れるか入れないかというのが論点でしょうか。

● それは出した額しか戻らないという規律で。

○ それはそれでいいはずです。そこまではっきり書くならね。ただ、それがうまく法律に書けるかどうかということです。 それから、出した額も戻すべきではないという反対論が論拠としていることについて、さっき委員が説明されたのは、どういうことでしたか。

○ さっき座長がおっしゃいましたように、残っている分の原資が寄付であるという場合には、それは本来は拠出金を戻すためのものではなくて、その類似目的のために使うべきものではないか。

○ 寄付で説明するのがわかりやすい。例えば、最初に100 万を拠出して、さらに寄付があり、最後清算時に債務を弁済した後に20万が残ったが、その20万が寄付の分であることが明確なときには、それは拠出者に戻さないで、シプレでどこかに行くようにすればいい。これは債務の弁済に使ったのが基金であるという前提ですが、いままでの事業や清
算時の債務の弁済に使ったのがどちらなのかがわからない。寄付金を先に使ったのか、それとも基金を先に使ったのか、わからないときどうするかという問題ですね。

○ 出資は使い切ってしまって、寄付があったので出資に見合っただけ残っていると。それは第三者から見て寄付なんだから、シプレで使うべきだという主張が通らなくなってしまうということなんだろうと思います。
 それは多分、実質は確かにそういう懸念と言うんでしょうか、危惧に支えられた意見というのが十分に強いんだと思いますが、従来の公益社団法人の社員が出資をすると同時に、社員であることに基づいてのような形で実質的に貸付をし、その貸付については社団法人解散のときに返済するというような実際の例が行われているということが中間法人の検討のときに何度か紹介されていましたが、それは恐らく異論なく公益法人、公益社団法人であっても、そこは債務なんだからということで容認されていたように思いますので、やはりその法律の形式というんでしょうか、法形式の方にもやはり依存していることなんだろうと思います。

○ 言葉はともかく、出資型あるいは拠出金だという言い方すると、やはり本来事業のために使うお金だということになるので、寄付金だとかいろんなのが混じっているかもしれないけれども、やはり事業のためにはまずこれを使うということになるのかな。拠出金だからちょっと違うのかな。

○ 拠出金はやはり債務であって。

○ 拠出金は法人の財産としてできるだけ残すという最後の担保みたいなもので、むしろ使わないお金なのかなとも思ったのですが。

● 入ったお金は全部使うんだろうと勿論思いますけれども。使っていけないということは多分なくて。

○ 使ってもよいが、価値として残すということですが。

● 剰余を計算するに当たっての資本類似の話になるのではないかと思います。ただ、非営利法人では剰余金の分配がありませんから、余り意味はないかもしれません。

○ 基金というのは本来その額は最低その法人に残っていなくてはいけないというお金だから、そういう意味では基金は使っていません、寄付があって、それが混じっていても、最後、解散するときには基金の部分は残っているんだと考える。それを返すだけだというのではだめなのかな。

● 消えてなくなるんではなくて、何かに変わっているはずで残っているということですね。

○ 拠出金も一般債権者との関係では劣後するけれども、寄付をした人との関係では、寄付はもう出し切りで、拠出はやはり債権が残っているので、最後、残ったらその額面を上限として返しますということが社会的に受けられるかどうかですね。社員であるかどうかはともかく、インサイダーの人たちですね、その基金を出そう、拠出金を出そうと。その人たちは結局残れば額面を上限にして返してもらえるという本当には出し切らないと。足りなくなったら、それは使われてしまって返ってこないと。だけど、世の中広くに対しては、どうぞ寄付してくださいというような形のものが、何かずるいのではないかということになるんだろうと思います。

○ 要約するとそういうことになる。

○ それを今の文脈に置き直していくと。まず、自分が寄付してから世の中に対して寄付を募るのではないか。それはそれでいいんですけれども、そうではないのを禁止すべきかということで、禁止しなくてもいいんだろうと思うんですが。

● 公益性を要件とする法人ではありませんので、とは言え、非営利だということで社会的何がしかの。

○ ここでの法律制度のつくり方としては、定款に任せてしまっていいんだと思うんですね。むしろ、後で公益性の認定のところで問題となる議論なのかもしれませんね。そこで説得性があるかどうかですが。
 そういうふうに言われると、なかなか難しいかな。

○ これは、出資証券を発行するんですか。

○ 何証券というのかわかりませんけれども、生協だとか、ああいうのも一種の出資をしていますけれども、何かカードはもらうけれども証券までは発行しているかな。ただ、自分の出資の割合を示す何か書類は残るはずですから、そういうものはあるでしょうね。

○ 指名債権ですね、流通することは余り予定されてはいないんでしょう。その証拠になる書類は勿論出すべきで、紙切れが何もないということはないでしょうけれども、それは何か株式とかみたいに転々譲渡した何とかという話ではないんでしょうね。

○ そういう意味では証券ではないのかもしれませんね、紙があったとしても。
 どうですか、今日は一番ご意見がありそうな委員が欠席されているので、このくらいにしましょうか。ただ、今日出している案の範囲内であれば、従来もある程度認めてきた点なのでそんなに異論はないかもしれませんね。

○ 多分、委員がおられないんですけれども、おられると、どのように受け止めていただけるか、その辺りを想像しながら考えますと、例えば、利息を付ける辺りは、あの辺を野放図にやると、商事会社に対する規律とは余り境界がなくなってくるよというような御心配はあるかもしれないですね。
 ですから、ここは制度趣旨を明確する見地から言えば、無利息が基本だというふうに考えて、立法技術的に見ても、この利率の上限を法定するとかというのは、なかなか大変ですし、民事法定利率だったら、がばがば利息もたくさん付いてきますから、その辺はむしろ実態上、特段の社会的ニーズがないなら付利を禁止するぐらいのことをやった方がはっきりするかもしれないですね。

○ 中間法人は禁止ですね。

○ 禁止です。

○ 中間法人のときも、その議論がありまして、実質的な価値から言いますと、利息を付けることが本当は価値の同一性があるといえる。通常は10年間同額というのはかえって価値が減価している。そうすると一定限度の利息を付けることを認める方がよいと思うんです。けれども、どれぐらい付けるといいかというのは、この低金利の時代ですから、なかなか難しい。それならニーズもないことであるし、思い切って付けない方がいいというところではないでしょうか。

○ 金融論的常識から言うと、委員がおっしゃるとおりで、むしろ付けた方が目減りの分をカバーしてやるんで同価値になるんだと思うんですが、1つは立法技術的に、おっしゃるように上限の率も選び方が難しいのと、もう一つは、そのぐらい我慢しなさいぐらい言って成り立つ制度であろうという気も政策的にしないではないですね。

○ 出している個人については、全く問題ないんだと思いますね、利息を期待して出しているわけではないでしょうから。

○ 会社の方が出すときですね。

○ そういうときにどうなのかというのは、ちょっとよく事情がわかりませんけれども。

○ あと、だれが拠出できるかというところが疑問文になっていますが、第三者を含んでよいのではないかと思います。特に社員の地位の変動には連動しないものだろうと思いますので、債権譲渡もできるんですね、ですから、第三者、ニーズがどれだけあるかというところはよくわかりませんが、禁ずる必要はないのではないかと思います。

○ むしろ、第三者も含むことにした方が持分的なにおいを醸し出さないで済むという部分もあるかもしれないですね。

○ 地位と結び付いていないですからね。

○ 定款で社員であれば、拠出すべしとか、あるいは拠出者、拠出の制度を設けながら拠出は社員に限るというのは構わない。

○ 私は構わないのではないかと思います。

○ それは、それでいいんだろうけれども、法的なルールとしては、一番広いところでよろしいように思います。

○ あとは、先ほどちょっと抽象的に申し上げ点なんですが、中間法人法の基金の制度に入口のところだけ異なっていて、中身はならっているとすると、なお検討すべき点は、中間法人法の基金制度で、中身の点で何かこうしておけばよかったということがあるのかなというところですが、ちょっとおぼろげな記憶ですけれども、相殺がどうだとか、そんな話をちょうど立法前後にしていたように思いますが、そういう問題は、それなりに解決していたんでしょうか。

● 済みません、ちょっと中間法人法の立案時も含め調べてまいりたいと思います。

○ 返還するのは決議が要るんですね。

● 要ります。

○ 決議のないときに相殺ができないというのは、当然なんですかね。

○ 本来、そうあるべきですね、そうじゃないと基金が減ってしまうわけだから。

○ 払い戻しと同じような効果になってしまいますので、恐らく、十分に手当をされたんだと思いますが、もう一度それを、踏襲するのであれば。

● あとちょっと気になったのは、減資の手続がない、減資というと変なんですけれども、3で拠出金増加の手続はどうでしょうかというふうにお書きして、恐らくあった方がいいんではないかと思っておるんですが、中間法人ではどうも減らせないんです。
 そこについて問題があるのか、ないのか。

○ 民法上の債務免除してもだめですか。

● そこがわからなくて、基金返還請求権というのは、放棄や免除ができるのか、特に中間法人は300 万の最低額がありますから、免除なり放棄を一方的な意思表示でやってしまって、法人の基礎を変えてしまっていいのかという疑問も起きたりもします。

○ そうですね、最低基金制度との関係ですね。

● 最低基金制度がなければ、そこは多少柔軟になってこようかと思いますけれども。中間法人法立案時にその点御検討があったのであれば、自分で調べなければいけないんですが、もし今お気づきであればと思って、ちょっと伺った次第です。

○ 中間法人法のときに、そのことであったかどうかは覚えていないんですが、どんどん規定が精緻化していったんですが、それに対して、企業の御出身の委員の方が余り精緻化するのもいかがなものかという御意見をおっしゃいまして、そこで少し緩やかになったという経過もあったと思います。

● 現物出資に係る調査、検査役等々について、会社法がどうなるかをまず見た方がいいんだと思いますが、なんでそこまでしなければいけないのかというような気は、ちょっといたしております。裁判所に検査役を選んでもらう必要があるんだろうかというふうに。

○ この辺はちょっと緩くしてもいいかもしれませんね。

● ただ、そこは委員の御意見も聞かなければいけないと思います。

○ あと、拠出金の返還の要件ですけれども、要するに脱退するときに持分といいますか、返還を受けられるかどうかという問題なんですけれども、当然には受けられなくて、ここに書いてあるような中間法人と同じような要件を満たした場合に初めて返還をうけられるというふうに、ここではなっているわけですね。
 これも拠出金で構成される基金というものの性格をどう考えるかによるんだろうと思うけれども、中間法人のように、最低額基金制度というのを設けたときには、恐らくこういう要件が必要なんだと思いますけれども、しかし、最低額を設けないということになると、拠出金の返還のところは、もう少し緩い条件にすることも可能かもしれない。

○ だから、劣後的な債務というふうに性質決定をもし先にすると、払い戻しについては、やはり貸借対照表上の純資産の分の範囲というのは出てくるんだろうと思います。
 ですから、そこも劣後的な債務という性格づけも、払い戻しというんでしょうか、中途脱退における払い戻しの方を先行させて、それに即した形で、したがって最後倒産のときにはとか、そういうふうに後退というか、少し変質させるかどうかの問題なんだろうと思います。

○ 劣後性を倒産時だけに要求するか、平時においても劣後性を要求するかという問題ですね。

○ ニーズの関係で、無理にそんなことをやる必要もないのかもしれないから。

○ ニーズは、劣後的な会計上の塊をつくろうというのではなくて、なんかもう少し抽象的なものであるとすると、平時においては劣後性はともかく、脱退する人には返してもいいんじゃないかというのが出てきそうだと思うんですが、そこを私はやはり劣後的なものというので一般債権者保護というところで拠出という制度を比較的わかりやすいものにするのが望ましいのではないかなと思います。

○ 理論的にはそっちの方が説明しやすい。

● それは脱退時とは結び付けず、(2)の※に書いてあるような規範を置いた方がよいという意味ですね。(2)というのは、社員総会の決議に基づいて毎期の利益の範囲内だと。

○ そうですね、少なくともAが実質的には重要だろうと思います。

● 例えば、協同組合なんかは脱退した時点で一旦返して、だけど債務超過だったら戻すとかという規律になっていたり、実質は同じことでありますけれども、ただ一旦返してもらえるかどうかで、随分違うかなとも思ったりしますが。

○ そういう意味では、やはり何らかの制約はあるということですね。

● そうですね。

○ 途中で、事務局がおっしゃったことですが、私も当然前提と思っていましたが、この文章には必ずしも明確でないのかもしれませんけれども、拠出金についての返還請求権は、額面でというのをもう少し明確にするのが、この狭義の残余財産分配との混同を無駄に生じさせないだろうと思います。

○ 額のことですか。

○ ですから、要するに債権であって、拠出金の額面で返すと、それが上限であると。

● (2)と(3)を併せると出しただけだと、つくった方が考えておるんですが、確かにもっとはっきり書くことはできると思いますので。

○ 書きにくいんですね。文章としては、拠出金を、といったところで一応額面のことは言っているつもりなんです。

○ 貸付金を返してもらうだけですから、貸付金額というのは当然だと思いますけれども。

○ ただ、私も実質はそれ以外ではないんですけれども、それ以外の解決をすべきことではないんですが、出資ではなく拠出という言葉を使うとか、そういうところに込められているんだと思うんですが、ちょっとややプロ向けの表現になっているのであれば、別にそこは、よりわかりやすく。

○ 表現というか、これも結構こだわりがあるようです。やはり出資だと、貸付金ではないと。そのニュアンスを出そうとして事務局がいろいろ苦労して拠出金ではどうかという案なのですが。

● 要望される方々には、出資が営利に結び付くという話は御理解いただけたようでした。そして、法制上の用語はどうぞみたいな感じでありました。

○ その、どうぞ、のところなんですが、今後も出資型非営利法人という、あの言葉と付き合いながら議論していくんですかね、何かちょっとしんどいような気はします。法制上、拠出と出資は違うということを強調して文章の中身では拠出をとするんですが、表題のところには、やはり出資するとか、出資型とかという言葉になってしまいます。何かいい言葉があるといいなという感想ですけれども。

○ そうですね、ちょっと私もいろいろ考えたんだけれども、なかなかいい言葉がなくて。

● 参加みたいなイメージが、拠出だと何か無色透明なものですから、私は拠出でもいいんじゃないかと思うんですけれどもち、もう一声あるといいかなと。

○ もう一声、参加型非営利法人とか。

○ 私もそれは考えたんだけれども、何とか金という形でうまく言葉がつながらないんですよ。非営利法人につなげるだけだったら参加型でいいと思うのですが。
 何かいい案がありますか。

○ いや、いい案ではなくて、後ろ向きの話になってしまいますが、参加というのに余りこだわりませんが、参加というのは、やはり狭義の残余財産に関与するというイメージが私にはあるように思います。

○ 確かにね、参加の意味は財産に参加しているのではなくて、本当は法人に参加することだと。
 言葉は、なおいろいろ検討することにして、大筋のところではよろしいでしょうか。もしかしたら、ほかに検討すべき点があるのかもしれないけれども。

○ 済みません、1点確認ですが(4)でございますが、拠出金に相当する金額の積み立てというのは、いわゆる代替基金に当たるものですね。

● そのとおりです。

○ 多少今後の作業との関係で、事務局にお願いというか、御提案なんですが、恐らくこのペーパーで御意見をお聞きになる前までは、要望を出しておられる皆さんがお考えのことと、こっちが考えていることに乖離があって、お求めになっておられる方々は恐らく今回は、こういう拠出型のものも一切排除されるんではないかと思っていたところが、そうじゃないというところまで理解の大筋はそろってきたんだと思うんですが、その上で、この細かなところについて多少実態というか、ニーズを聞いていただくことが必要であろうと考えます。利息の問題だとか、さっきの脱退時は返してほしいとか、劣後性が平時と倒産時でどの程度の絞りなのか、聞いた実態で全部こっちの議論が決まるものではありませんけれども、全然宙に浮いた議論をするのも変ですので、多少この辺も詰めていただけると、もしお手間でなければありがたいなという気もいたします。

○ それはちょっとやっていただきましょうね。

● 1点、拠出金の総額のところについてだけ御意見がありまして、御紹介させていだきますと、最初に拠出金の総額を決めなければならないとされるのは困ると。1人幾らで、何人集まるかで総額が決まるんだという御意見がございました。そんなことも含め、そういうところも聞いてこいという御趣旨だろうと思います。

○ ただ登記事項。

● ただ、そこは最初の計画と最後の登記のところで、集まったもので登記すればいいのではないか、集まった後に定款上の拠出金の総額を定めればいいのではないかと思いますと私は申し上げましたけれども、こう書くとやはり最初に決めたものはとにかく集めないといけないと思われるようであります。

○ 今の話で、思いついたのですが、こういう運動している人たちの団体というのは、最初にびしっと集まって、びしっとつくるというのではなくて、もしかすると、徐々に賛同者が集まってくるというものかもしれない。
 そうなると、拠出金も徐々に増えるわけですね。拠出金の総額、基金増加ということで対応すればいいと思いますけれども、資本の増加は、ある程度のお金が集まって、増加していくというイメージがありますが、ぱらぱらと毎年数人ずつ参加するよいうような場合には基金の増加はどうするのでしょうか。

● 拠出増加の手続では重いのではないかと。

○ それはどういう手続をすることになるんですか。

● 社員総会の決議をしなければいけないですとか、現物拠出についてのルールを定めなければならないとか。

○ この指止まれの世界だと、それだとちょっと重いかもしれないですね。

● そこは、社員総会の決議をどこまでおおざっぱにできるかにかかってくるんではないかと思っておりまして、商法ではなかなか難しいとは思うんですが、中間法人の実態がどうなっているかとも思いますけれども、こんな目途で集めるというふうにしておいて、登記するときまでに集まったもので登記するというのも、必ずしもそれを排除しなければいけないかどうかというと、登記実務の問題かもしれません。排除しなくてもいいんではないかという気はいたしますが、ちょっと不十分なところです。

○ よろしいですか。ニーズについては、これでは全然だめだということになったら困りますから、また調査をして、その上でもう一回議論をするということで、よろしいでしょうか。
 では、この件はこれで。
 それでは、次をお願いします。

● それでは、WG資料15、財団関係でございます。御説明いたします。
 本資料は、冒頭の○の次に書いたとおり、前回まで御議論いただいた考え方について、骨子といいますか、ポイントを絞って整理をしたものでございます。A案、B案とございます。
 A案は、社団の場合と同様、公益性を要件としない財団法人を準則主義で設立できることを基本としつつ、その場合に考えられる制度の濫用については、ガバナンスに関する規定の充実や、あるいは目的事業等の制限を設けることによって、できるだけ防ごうという考え方であります。したがいまして、(1)設立は準則主義となると思います。
 (2)の目的及び事業については、大きく考え方が2つあり得るんではないかと思われます。また、その中にもそれぞれコメントを書きました。
 @は、公序良俗に反しない限り、目的事業についての制限は設けないという考え方であります。
 ただ、この考え方については、少なくとも※のような規制が必要であろうという前回の御議論だったかと思います。
 ※1は、社団における非営利とは、形式的には異なるんですが、関係者による利益分配の在り方について規制を設けるべきではないかという御指摘です。
 ※2は、法定の存続期間を設けてはどうかという御指摘もございました。
 Aは、目的事業について、一定の制限を設けようという考え方でございます。
 ※のアは、私益目的の排除。
 イは、収益事業の制限。
 ウは、広い意味での公益を含む公益目的による制限という考え方です。
 ウの考え方が、前回の議論で新たに出てまいりました。
 (3)は、財団には一定額以上の基本財産を備えることが必要だとする考え方です。基本財産制度の細部についての御議論は、まだまだこれからだと思いますが、基本財産が必要ではないかという大まかな合意はあったところだと認識しております。
 (4)は、ガバナンスの在り方です。社団のように社員によるコントロールが財団にはない分、理事、監事、評議員といった法人の機関を複数並立させてガバナンスの強化を図ってはどうかという考え方です。
 後に御説明するB案のように、法人の外からの監督を設けないのであれば、このようなガバナンスの強化が必要であろうという点も、おおむね一致しているのではないかと考えております。
 (5)は、寄附行為の変更であります。現行民法とは異なり、寄附行為の変更に関する規律が必要だという点では、御意見が一致したところだと理解しております。
 ただし、※に記載しましたように、一定の事項については、設立者の意思に配慮した規律の在り方を考えるべきではないかという御意見が比較的強かったのではないかと理解しております。
 (6)は、残余財産の帰属に関する規律です。本文と※の第1文は社団の場合と同じにしてはどうかという考え方です。
 しかし、財団にあっては、社員総会の決議に相当するものがありませんので、※の後段のような制限を設け、ガバナンスの場合と同様、社団の場合とは異なる規律を設けるべきではないかという御指摘がございました。
 (7)は、財団の場合にも解散命令、休眠法人の整理に関する規定を設けようとするものでございます。
 前回までの資料に明示的には書いておりませんでしたが、事務局といたしましては、ここは社団と同様であろうと考えております。また、設けることについては、特段の異論はないのではないかと理解しております。
 次にB案を御説明いたします。この案は事務局なりに、前回御議論のあった考え方、すなわち財団法人にあっては、その成立範囲を公益目的に限定することとし、公益性がなくなった場合には、当該法人の存立を認めないという考え方をまとめたものでございます。
本日、御欠席の委員には、事前に資料を、直前ではあったんですがお送りいたしましたが、その内容を直接御説明してございませんので、の前回の御指摘を誤って理解している部分がある可能性もございます。
 誠に申し訳ありませんが、本資料は、事務局なりに前回の御議論を理解したところをまとめたものという位置づけでお願いできればと存じます。
 (1)は、準則主義といたしました。設立時には(2)のように公益性を担保する仕組みは設けないのだろうと理解したためです。
 ただし、法律上、公益目的に限定するということになれば、公証人の認証の段階や、当機関による審査の段階で寄附行為に記載された内容が公益目的であるとかどうかのチェックを受けることにはなるだろうと思います。
 (2)は、目的及び事業は公益目的そのものに限定し、それを担保する仕組みを設けるというものでございます。
 その仕組みについては、※1のとおり、有識者会議で検討中の公益性の判断主体の在り方がどうなるのかによるのではないかという御指摘だったと理解しております。
 また、ここで言う公益には、狭い意味と広い意味の公益があるだろうという御議論だったと思います。
 (3)と(4)の本文はA案と同じです。
 (4)の※は、小規模な法人の負担を考えると、法人の外側に監督者を設ける場合には、自律的なガバナンスの仕組みを緩和してはどうかという御指摘であります。
 (5)は、寄附行為の変更ですが、財団の目的を公益、広いものも含みますが、公益に限定し、それを確保する仕組みを設けるわけですから、寄附行為の変更に当たっても、当該公益目的に反しないかどうかを判断主体といいますか、判断機関がチェックする仕組みになるのが自然ではないかと考えました。自然といいますか、そういう御意見につながるのではないかと考えました。
 (6)についても、公益のために拠出された財産については、いわゆる類似目的にという原則が適用されることになるのではないか、したがって、出した人に返るという規律は置けないのではないかというふうに考えました。
 (7)は、株式会社と同様に解散命令や休眠法人整理のほかに、公益性を失った場合には、法人格を奪う仕組みを設けて、規律の実効性を確保すべきではないかというふうに理解したものであります。
 というのは、もし、ここで法人格を奪わないといたしますと、結果的には、公益性を要件としない財団法人というよりも、むしろ公益性が否定された財団法人が法人として残るということになってしまいますので、先に述べました(2)の規律を維持できないと思われたからであります。
 なお、B案を採用する場合には、閣議決定にいうところの公益性と法人格の分離という部分は、財団法人には当てはまらないという理解をしなければならないという問題があるのではないかと思います。
 また、公益性の中身につきましても、広い意味の公益を含むという部分が親会議で御議論中の公益性との関係で、調整が必要ではないかという問題もあるかと思います。
 以上、簡単な資料でありますが、財団法人の在り方に関わる根本的な問題について、今一度御議論いただきたいと思います。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ ということですが、何度も議論した点ですけれども、難しい問題で、もう一度議論していただきたいと思います。

○ 今のB案というのは、ここで今まで提言された案なんでしょうかね。これはなかったというような気がするんですが。B案というのは、公益性を要件とするというのが基本的な発想ですね。
 先ほど事務局がおっしゃったように、法人格付与に当たって公益性と切り離すという基本的な立場とはかなり異質なものですし、ここでこういう案として提言されたかどうか、ちょっと疑問にも思うんですけれども。

○ こういう形で明確には出てこなかったかもしれませんけれども、また、だれが言い出したのか、はっきり覚えておりませんけれども、次のような議論があったように思います。すなわち、財団法人というのは、性質上、本来的に非営利なので、非営利の要件を満たしているから、どんな事業として非営利性には反しない。
 これに対してある委員から、何でもできるというのはおかしい、例えば企業と同じような活動をするときに、財団法人を使うことの積極的な社会的な意義が証明できるのであれば、それも構わないが、それが証明できないのであれば、財団法人を使ってそのような活動をすることは適当でない、という議論でした。
 私も、積極的な意義まで証明することは難しいと思いました。そこで、同窓会などを含むように財団法人の範囲を広げることは必要だと考えていますが、営利活動というか、企業活動を目的とするようなものは排除するという意味で、財団法人については目的を少し制限することは考えられると議論したわけです。
 このように範囲を限定した財団法人の説明として、私は広い公益性という形で言葉を使った気がします。そこまでは議論しましたが、それから先、やはり広いとはいえ公益性が要件であるから、単なる準則主義ではなくて、何らかの認定というのか認証というのか、そういうものが必要となるということまでは、あるいはだれか議論したかもしれませんけれども、余りはっきりは議論しなかったですね。
 今回は、こうした議論をふまえて、これを明確な形で提示するのですが、これを取ろうとか、あるいはこれを積極的に使おうということではありません。

○ 今、座長がおっしゃられたのは、A案の(2)Aの※のア、イ、ウに集約されているような気がしますけれども。
 B案を取るかどうかですけれども、1階部分で公益性を積極的な要件といたしますと、公益性とは何ぞやという定義付けが不可避なってきますし、これは非常に難しい問題です。また、公益性を要件とするとそのチェックをする機関を2階の部分以外に1階の段階でも置くということになりますね。それはかなり難しい話だろうと思います。

○ そこで狭い意味でと言いますか、社団法人でいう公益性と同じ狭い公益性をB案でも前提にすれば、公益性の認定のところは、公益性の基準は同じだということになり、それはそれで制度的にははっきりしていると思います。しかし、ある種の公益性を要求した方がよいと主張された委員もそこまで強く狭い意味での公益性で縛るという意見ではなかったと思います。そうすると、財団法人については少し広めの公益性を要求するということになるわけですが、これだと公益性の限界というのがはっきりしなくなってくる。例えば、同窓会みたいなものは入れると、そういうのを含んだ意味での広い公益性とはどう定義するのか、その限界はどこか、というのが非常に難しいですね。

○ 積極的な要件ではなくて、A案の(2)のAのアですかね、私益を図る目的は不可とする、そういう消極的な要件設定ならまだ現実性がありますけれども。

○ 委員の意見を私も正確に理解しているわけではないんですけれども、ここのB案の(2)の公益目的というのは、別の表現の方がよかったかもしれませんね。広い意味での公益目的とか。

○ そういうふうに一応理解してはおりますけれども。

○ それで、またそれを前提にして準則主義で、2階には狭い意味での公益のものを。

○ そうしますと、A案の(2)のAのウとの違いはどうなりますかね。

○ 積極的な要件か、それとも排除する要件かと。

○ ウの方が、広い意味での公益を要件としている案ですね。すると、B案との違いがなくなりませんかね。

○ 2階に上がった後で降りる制度が違い得るのかなという気がするんですけれども。

○ 1階部分の段階で狭い公益を目的とするものに限定するということですか。

○ 委員のお考えかどうかわかりませんが。

○ 広い公益性のもとでのB案でなんだけれども、それは1階も2階も同じだという考え方なのか。それとも、やはりB案でもって更に狭い公益性の2階建てにするんですか。

○ B案も2階建てだと思うんです。

● この資料上は、どちらとも明言できていなくて、私もわからないところです。

○ 2階建てにすると、今、委員が言われたように、A案のAのとほとんど同じですね。だけど、B案では1階建てしかつくらないという案もあり得るわけですね。そういう案をもしかしたら委員は言っていたかもしれない。

○ 仮に狭くすると、認定機関を一緒につくらないといけない話になるわけですね。

○ そうですね、準則主義は難しくなる。

● 準則主義がなくなれば、B案というのは法人格と公益性が結び付けばよいので。
 今、ここに書いてあるB案というのは、入口では結び付いていないんですけれども、解散するときに結び付いているというか、公益性を失ったときに法人格と結び付いているという案なんです。

○ さっき私が言いかけたのは、そういうことでして、A案ですと、設立は準則主義で2階に上がって、それで2階からまた1階に降りるという可能性があるわけですね。
 B案の方は、設立が準則主義で、2階に上がるところまでは同じなんですが、2階に上がった後、降りるんではなくて解散になるのかなと思ったんですが。

● 公益がなくなったときに解散させるという規律なんだろうと思います。
 ただ、そこも理論的に狭い意味の公益を失ったが、広い意味の公益はあるから法人格はあるという規律も論理的にはあり得ると思いますが、それは何か変なので違うんではないかと思ったりもしたんですが。

○ そうか私は気がつかなかったけれども、B案も設立は準則主義と書いてあるんですね。

● はい、そうです。

○ B案も(1)があるから、最初は2階建てなんですね。2階に上がった後、公益性を失うと(7)で1階に降りるんではなくて、突き落とされるんです。

● はい、降りる階段がないんです。

○ 制度上のシンメトリーはどうなるんでしょうか。

○ 2つがかなり違う制度になるわけですね。とてもシンメトリックとはいかない。

● 公益性の担保といいますか、確保をどこまで見るかで、法人格を奪うところまで行かないと確保にはならないと考えるかどうかで、法人格を奪わないのであれば、確保といったところで、先ほど御説明したように、落ちた法人が法人として生き続けるわけですから、公益を要件としない法人をつくるのとほとんど変わらないんだと思います。元公益法人とでも言いましょうか。

○ というわけで、恐らくB案も論理的にはあり得るんだと思うんですが、最初に委員がおっしゃった御疑問は、なるほどと思うんですけれども、恐らく、B案それ自体をどなたかがずばり提唱したとかいうことよりも、財団法人制度に対するさまざまな疑念があって、それを背景とする思想からいくとB案みたいな考え方も出てくるところを想定しつつ、B案的発想からの批判に対して、A案をどのように鍛えていくかということは、多分、ここで求められている仕事なのではないかという気がしますけれども。

○ いずれにしても、B案で公益目的を積極的な要件とするというのは、やはり基本的な発想からも懸け離れているような気がしまして、A案をどこまでB案の発想に近付けるかという問題だと思います。

○ ある程度絞ったA案だからこそ、B案的な批判に対しても、そんなに濫用されない、ずぼずぼの財団ではないよと言えるくらいにしておけば、A案で十分行けるんだろうなという見通しですね。

○ 財団をつくるそもそもの意義が明確になっていないところから発生する問題なんでしょうね。

○ 準則主義で、公益性の事業の有無にかかわらず、それより広い非営利の活動をする財団をつくることに社会的にどういう意義があるか、ニーズがあるかと、その問題にかかわってきますね。今まで出てきた議論の中では、1つは同窓会のような団体、あるいは会社の社員のための施設を所有するような財団、そういうのがあります。
 それから、この会議の当初には議論をしましたけれども、その後は余りフォローされていませんが、証券化の目的でもって、財産を所有する器として使う財団法人です。現在は、中間法人など使う場合もありますけれども、それの代わりに財団法人を使わせていいのではないか、そんな議論があったと思うんですが。
 証券化の方は、どの程度強く、その必要性を訴える力があるのかよくわかりませんけれども、少なくともそのように使いたいと思う者に対して、それも否定する必要はないという程度なら言えるんだと思います。ただ、財団に関する基本的な一般法をつくるという観点からすると、余り特殊なニーズで説明することは避けた方がいいんではないかと思いますね。

○ 改めて財団法人の制度の意義はということになってくると、今までに幾つかまとめておきましたね。

● 幾つかまとめましたが、どうも実は政策的なものしか残っていないんではないかというような御議論だったと思います。

○ これは、なかなか議論がしにくくて、ほかの国がどうだから、こっちがどうだというふうに簡単に結び付けて議論することができません。ドイツでも財団法人制度が相当議論されて、結局、法律改正のレベルでは余り大きな改正はなかったんですけれども、それでもいろいろ議論されたのです。ただ、日本の議論と大きな違うと思ったのは、財団法人というのは、本来どんな目的のためにも使っていいんだと、公序良俗に反しないものであればどんなものに使っても構わないという原則があるという理解があるようです。この原則をどのように正当化するのか調べていないのでよくわかりません。社団法人の方は非経済的な社団に限定していて、営利は別に会社法があるからということなのかもしれないけれども、財団法人は原則として制約を加えないという考え方が、十分理解できていません。その議論を続けると、また家族財団とかの問題になるので、もう蒸し返しませんが。

● この点を何とか結論をと思うんですが。

○ 親会議で出た家族財団についての意見というのは、ここで紹介したことはありましたか。

● いえいえ、こちらでは紹介しておりません。意外と積極的な評価だったと思います。

○ そうですね。家族財団的であっても、当初はそういうものであっても、だんだん公益的な活動をするように発展していく場合もあるし、アメリカなんかの例を見るとそう思われるということです。従って、そういう意味で家族財団的なものも消極的に評価する必要はないのではないかという意見も主張されました。
 われわれの中でも委員が、比較的広く認めても構わないだろうという御趣旨だったかと思うんです。

○ 多分幾つかの前提を比較的容易に受け入れて、その準則主義とか、監督がない、それは同じことかもしれませんが、そういうのを受け入れると、後はエンフォースの面などを考えると、例えばA案の(2)のAのア、イ、ウ、どれも仮に置いたとしても、結局はエンフォースは難しくて、そうすると、いわゆる詐欺的とは言いませんが、目的に反するというようなことを言いかがりにして、本来、それで保護すべきでない取引の相手を保護するとか、43条に代わる規定をどういうふうに仕組むかという、もう少し一般論とも絡んできますけれども、かえって小さな混乱かもしれませんけれども、そういうのを残すだろうと。
 しかし、だからといって、今ある公益財団法人以外のもので積極的に認めるべきというものを何か持っているわけではなくて、比較的抽象的な議論のレベルで推論していくと、そうなるというのにとどまります。
 税の問題、相続税に対する回避に使われるのではないかとか、それからマネー・ロンダリングの温床になるんではないかとか、多様な懸念はあるんですが、それはそれぞれに対応していけばいいのであって、非営利社団法人で公益性がないのも、相当自由にできるわけですから、社員がいなくてもいいのではないかということですが、しかし、多分委員に代表される否定、消極説から言うと、非営利社団法人はニーズがあるから、そういう弊害の懸念があっても、それは認める必要があるだろうけれども、多分ニーズがないところに弊害の懸念があるのは、それぞれに手当をすればいいというだけでは弱いだろうということになるんだろうと思います。

○ 調べると、意外とニーズがあるかもしれない。

○ まさに法律制度というのは、現在のニーズも勿論反映するけれども、将来のニーズも汲みとってということでしょうからね。

● 1つ聞いたところでは、これはNPOでも既に克服されたことかもしれませんが、公益性の有無について見解の分かれる活動をするに当たって、財団形式で活動をしたいという部分に、あるいはニーズがあるのではないかという御指摘を伺ったことはあります。

○ それは、そのNPO活動をしたい人たちですか、そうじゃないんでしょう。

● NPOとは違います。

○ 財団法人は、恐らく全然違うニーズですからね。

● では、それで具体的にどういうニーズかというと、なかなか適切な例がわからないんですけれども。

○ 現在の公益性の基準からすると、まさに社員のための福祉施設だとか、あるいは同窓会の会館だとか、そんな類いですね。

○ NPO法人をつくるときの議論でできたものでは、余り変わらないかもしれませんが、一定地域の人たちを対象にした福祉活動というようなものが、その地域が狭くなれば、狭くなるほど、現行のかもしれませんが、公益法人としての公益性が認められにくいというようなことがありましたので、そういうことを財団法人形式でやりたいと、篤志家の財産を使ってどんどん減らしていくのかもしれませんが、一定地域の人たちの、それは公益性が操作可能な状態であれば、そちらの方で問題を解決するのかもしれませんが、今の事務局が言ったのを私なりに受け止めるとあり得るかなと思います。
 あとは、これも実質論ではないんですが、先ほど委員がおっしゃったことを私なりに発展させると、シンメトリー、社団法人と財団法人を今やっている作業の中でどれだけ維持するのか、あるいは実現するのかということで、財団と社団は違うんだから、シンメトリーというのは、おのずから限定があると考えるか。それとも、民法上のというか、商事的な色彩のない法人格を法人として与えるということで、ある程度シンメトリーを確保して、その後の解釈とか運用にシンメトリーであることが、一定の手がかりを与えるようなものとして仕組むのがいいと考えるかというところもあろうかと思います。
 これも抽象的な議論ですが、できるだけシンメトリーにつくる方が、その後、規定が具体的になくて、どう解釈したらいいだろうかというときには、いろいろな手がかりを与えられるのでないかと思います。

○ 完全にシンメトリックにつくるのは、恐らく難しい。例えば広い公益性と、本来の狭い公益性とかそういう概念を持ち込むと、かなり重要な点でもってシンメトリックな点が壊れるので、それはどうかというような問題はありますね。
 これは個人的な意見ですが、広い公益性という概念は、もしかしたら親会議の方でも、そういう議論があり得るかもしれないという気がちょっとしているので。

○ というのは、親会議の方が広い公益性イコール公益だという方向で進むことがあり得るということでしょうか。

○ そこまで行くかどうかわかりませんけれども、公益性を認定していろんな効果を結びつけるときに、その効果の中には何段階か違うものがあるかもしれない。それに応じて公益性にも段階があるということです。たとえば、公益法人と名乗って活動することは、広い公益性のもとで認めてもよいかもしれない。税の優遇とか、そういうことになると少し重い効果なので、狭い公益性がないとだめというようなことです。そんなこともあって、広い公益性という概念を問題提起として出すことは悪くはないと思うんですけれども、社団法人と財団法人のアンバランスを抱えたままだと、落ち着きが悪いことになってしまうかもしれませんね。

○ 委員がずっとおっしゃってきた御心配もよく理解できますし、野放図に認めてシンメトリーだけ追求すればいいというわけでもないと思いますから、確定的な態度決定がなかなか難しいテーマだとは思うんですけれども、何ていうんでしょうか、ここで決めてしまうというわけではなくて、当面の作業としては、やはり公益ではない、一般的な財団なしということで作業を進めるのは、少なくともそれは早いのではないかという気がします。
 2点申し上げますと、1点は、有識者会議の方で家族財団のようなものについても、それほど否定的な御感触ではなかったということや、それから閣議決定の趣旨ということもございます。
 もう1点申し上げれば、現にある公益財団法人が、新しい法制の下で全部公益性のテストをパスするのかどうかというと、それは勿論有識者会議での公益性のテストをどう築くかによりますから、かなり流動的だと思うんですが、仮に100 ある公益財団法人が100 全部合格するのではなくて、何件かは自ら辞退し、あるいは不本意かもしれないけれども、その認定が与えられないときに、それが権利能力なき財団になるというのは、いかにもちょっとラジカルな結論のような気もいたしますので、その辺りの議論を見なければいけませんから、勿論、結論を確定させることはできませんけれども、当面の作業は、やはりこの準則主義の一般的非営利財団ありということなのであろうというふうな気がいたしますけれども。

○ 前回、委員はたしか御欠席で、それで今日は委員が御欠席で、ですからどうも議論がすれ違っているかなという気がするんですが、また委員が来られたところで議論していただいたらいいと思うんですが。
 ちょっと、シンメトリーということについて考えてみたんですが、理念とかニーズという面で言うと、やはり財団の方が社団よりも弱いんじゃないかなという気がするんです。社団の場合には、団体としての活動ということを積極的に支援しようというわけで、それは別に公益じゃなくてもいいじゃないかということで正当化できると思うんですが、ところが財団の場合に、全く広い意味での公益性のないものについて、どこまで保護すべきか、推進すべきかというのは余りはっきりしないということがある。
 他方で、濫用のおそれという面で言うと、これは社団よりも財団の方が大きいのだろうと思います。つまり、遺言によってできるであるとか、あるいは単独でできるであるとか、あるいは社団の場合には、もし濫用的なものがあったとしても、社員の死亡によって変わっていくけれども、財団の場合には固定化してしまうということです。
 このように、多分、理念やニーズの方が小さいのに、濫用の危険が大きいので、どう調整するかということだと思います。
 それから、前回も申し上げたことですが、エンフォースメントとの関係で言うと、財団については、やはり特に相続秩序との関係があると思いますが、相続人がエンフォースする機関になり得るかなというふうに思っております。

○ いろんな御意見があると思いますけれども、やはりA案の方を軸に、一応、B案のようなタイプも検討した上で、一応A案の方で考えていこうというのが、ここの大勢のようですね。その中で、@あるいはAのどんなタイプを取るのかというのは、まだそこは議論の余地があるということでよろしいのではないかと思います。
 ちょっと1点補足ですけれども、前からドイツの比較でもって、ドイツはその目的にせよ、事業にせよ自由だという話を申し上げましたけれども、他方で、ドイツではどんな財団であっても全部監督官庁があるんですね。だからそこは大きく違いますね。準則主義で、そういう意味での主務官庁的なのはないというふうに考えたときの財団法人とドイツとは同じではないかもしれない。

○ 社員がいないからでしょうかね。コントロールする者が一方にしかないからということですか。

○ 公益だけに限定していない以上はそうでしょうね。
 それでは、財団法人の目的の議論は一応そういうことで、あと関連して、先ほど御説明いただいた点などについて、いかがしょうか。
 ここには書いていないことなんですけれども、財団法人のいろんな使われ方の中に、これは特別な規定が必要かどうかわかりませんけれども、従来の財団法人というのは、一人が大きな財産をぼんと拠出してつくるという財団法人なわけですけれども、これもドイツで議論されたことですが、市民財団と称して、たくさんの個人が小さなお金を拠出してつくるという財団というものが非常に増えているというようなことが言われております。
 これは、寄附行為のところの問題だけなのかもしれませんし、寄附行為の概念でそういうものも共同で持って寄附行為をするということで十分対応できるのかもしれませんし、あるいは何か多数が設立する場合については、特別な手当というんでしょうか、少し配慮すべき点があるのか、ないのか、そんなのがもしかしたら問題点としてあるかなと思いましたけれども。

● おそらく、こういう一定目的の寄附行為のモデルをつくって、それでこれに参加しますかという意思決定の方法で足りるんではないかとも思いますけれども。

○ 財団法人の場合、後から参加するというのは、特に問題ないのかな。

● 基本財産を出捐するという意味では、別に寄附という形で、出したお金が基本財産に行くのか、一般運用財産に行くのかというところを決める程度でよければ、途中からでもいいと思います。

○ つまり、多数の寄附行為者がいるというふうに考えたときに、後から入る人たちは寄附行為に参加できる形になるのかどうか。恐らくできないんでしょう。そうすると、単純な寄附者になってしまうわけですね。贈与とかね。

● 実質的に関与しようと思えば、寄附行為の変更に関する規律が、まずどうなるかで、そこに実質的にどう関わっていくかと。ただ、それは多分委員のもともとの御発想とは全然別ルートのような気がいたします。

○ さきほどお話しした市民財団と称しているのは、そんなところに、私の感想ですけれども、問題点があるのかもしれません。特別な配慮が必要だとすると。これも要するに最初に財団を構成する人が、一堂に集まってつくるわけではなく、やはり後から共感して参加するという人たちが出てくると。それによって、財団の規模がどんどん増えていく。そういうときに、単なる寄附者ではなくて、最初の寄附行為者と同じような地位がほしいということですね。もっとも、寄附行為者というのは余り権限があるわけではないので、特別な意味がないのかもしれないけれども。

○ その違いはなんなんですか。10人いて10人が10万ずつ出したいという人がいると。1人が10万円で寄附行為をして、あとの9人か贈与するというのと、10人で共同してか合同してかわかりませんが、寄附行為をするということで、基金の額が違うんですか、それはまた別の問題ですかね。寄附でも基金に入れると、基金というのか何て言うのかわかりませんが、基本財産でしょうか、そこに入れるということができるならば、その問題の相違はなくなるだろうと思うんですが。

○ でも、いったん法人ができた後で拠出するわけですね。そうすると、契約当事者が変わりますね。

○ 1人と9人との間には時間的に一瞬必ず間に挟まるわけですね。1人の人が設立者になって寄附行為をして、財団ができた後、財団に贈与することになって、それを社会的には密着しているかもしれないけれども、法論理的には一瞬間に入るわけですね。

○ これも前に議論した出資型と同じような問題なのかもしれませんね。やはり、自分たちがつくったという形を取りたいと。

○ 単なる寄附じゃ嫌だと。

○ 以上、話題提供です。ほかによろしいでしょうか。いろいろ(3)以下の項目がありますけれども、大体ここら辺はこんなところでしょうか。

● もし、A案の(6)について御意見をいただけたらなと思っております。
 (6)は先ほど御説明したとおり、本文と第1文は出した人に戻してよいということなんですが、後段の部分には一定の制限、制限にもいろいろあるはずですが、「例えば、」以下で書いてありますのは、先ほどの拠出型とちょっと似ている面もあるんですが、出した額だけというような規制。これは残余財産という話、ちょっと難しいというか、本当はそこがごっちゃになっているような気がいたしますけれども。
 ただ、財団で劣後債というわけにはいかないんではないかという気もいたします。だから混ざっているのかなと。

○ 仮に出捐額を超えて帰属させてはいけないとしますと、残る可能性がありますね。それはどう処理するんでしょうね。

● それはそうですね。

○ 扱いに困りますね。公益法人ならまだしもね。

● それは、多分社団の方で拠出額ではなくて、利益の蓄積部分を禁止するとしたときに、どこにというのと同じ問題だと思います。
 「それとも、」という部分は、今、御議論の社団の残余財産の分配の規律とは変えてはどうかという意味です。

○ このA案的な言い方に対して、B案的な発想からいろいろな批判とか、疑義が出されるのに答えていく上で、いろいろ訓示的な規定を設けることもあっていいと思うんですけれども、それとは別に何らかの形でかちっと絞れるところを置いておくとすると、この資料で、今、御指摘の(6)の後段のような縛りをかけて、そんなにうまみがあるものではないものに逆に政策的にしておくとか、あるいは存続期間の制限を設けるとか、なんかそういうのを付けておくことによって、政策的な対処をしたという説明ができないであろうかという気持ちが恐らくあるんだろうというふうに思うんです。

○ 出捐者に出捐額を超えて戻ってくるというのは、ちょっと抵抗を感じるな。

○ 抵抗というのは、非営利性に反するということですか。

○ そうそう、非営利性というのは本来財団にはないけれども、やはり出捐者に戻ってくるという部分は、やはり実質的には非営利性の問題、営利、非営利の問題に関係してくる。

○ これも委員が、前の別の論点のときにおっしゃったように、本当は利息が付かなければ、経済的には目減りしているんだとかという議論はあるのかもしれないんですけれども、そこをむしろ非営利ということを厳格に言うなら、そのぐらい政策的に我慢してもらおうかみたいなのが、ワンクッション入るんだろうと思います。

○ それは社団法人でも一緒ですね。残余財産を戻して何が悪いんだろうと。配当については営利法人の規律の潜脱を防ぐという意味で、一定の制約をしようというのはわかるんですけれども、法人を終わらせるときまで、そんなに厳しくしなければいけないのだろうかと。

○ これは公益法人とも関係しますけれども、恐らく非営利法人の中には、公益性の認定を受けなくても、公益的な活動をしていくのもあるんですね。非営利法人をNPO的に使いたいと考えている人たちがいて、そういう非営利法人は、いろんな寄附やカンパだとか、いろんな形でもって受け入れるんではないかと思います。そうすると、さっきの公益法人についての残余財産の分配の禁止というのと同じような問題が生じるかもしれない。
 私も個人的には、戻すことを自分たちの自治で決めるのは構わないといってきましたが増えて戻っていいということまでは意識的に議論したことはない。出した分は戻ってきていいという言い方はしているけれども。

○ 税の恩恵が付いている場合には、非常に問題がありますけれども、それが付いていないという法制度を前提としていますね。
 そうすると、営利法人の規律を潜脱するような使い方をしてはいけないという意味で、ある一定の制約をかけるのはわかるんですけれども、それ以上に国が厳しく制約するという理由がよく理解できないんです。

○ 恐らくおっしゃるとおりで、委員がおっしゃる、もし国がそれ以上にというのをやるんだとすると、その根拠づけは、やはりこういう規律を入れるんだとすれば、多かれ、少なかれ財団法人というものは広い意味で公益的なものなんだという、言わば制度趣旨の出発点が、むしろそっちにあって、だから100万円拠出したときに残っているのが150万だから150万もらってしまいますというのはおかしいので、100万拠出したら100は戻ってくるけれども、それ以上は戻ってこないという趣旨で、世の中にあなたのアイデアは提供したけれども、お金までがぼっと持っていくことは可能性としては初めからあり得ませんというのが、もともと財団法人という制度なんですという説明の仕方になるんですかね。

○ それは、あり得る考え方なんですね。ちょっと繰り返しだけど、社団法人の場合も、基金制度でなければ、出資はするけれども基金制度ではないというのはあり得るのかな。

● そこは出資制度上でない形での任意のお金を出す約束の中身ということになりますので、現行中間法人法も恐らく規制は明文ではないんだろうと思います。
 ただ、基金制度を置くことによって、そういうお金の出し方を禁止するという解釈もあり得るかとは思いますが、ちょっとわかりません。

○ そうすると、社団法人の場合にも、最後残余財産の分配は社員に戻すという決定をすることができる。その社員たちが一定の額を当初に拠出しているとすると、形の上では拠出額が増えて戻ってくることもあるかもしれない、社団の場合はこういうことがあり得る。
 そうすると、やはり委員の言われるように、財団法人の場合も別にあまり厳しく制限しなくていいのかなと思いますね。

● 社団の場合には、社員総会で決める、定款で決めるとしても社員の総意で決め、かつその後の変更があり得る。財団の場合には、寄附行為で最初から決めてしまう。その辺の規律は、これから考えるところですが、重い軽いによって、重ければ利益を目的とする、利益分配を最初から目的としたものだという誤解を避けてはどうかということです。

○ 最初から設けるような仕組みの財団法人をつくって戻ってきてしまうというのは困る。

● 本来的にはいいんじゃないかと思いますけれども、そういう批判があるとすれば、1つの妥協案ではないかと。

○ ちょっと、この論点はもう少し検討しましょうか。

● 6月までの次回までにお時間が若干ありますので、また恐縮ですがお伺いさせていただいて、また方から御意見などをお伺いしたいと思います。

○ 半分ぐらいは残してもいいんじゃないかと思うけれども、恐らく、委員が一番強く反対すると思うので、これは彼のいないときに決めてしまうのは適当ではないですから。 それでは、本日はどうもありがとうございました。

● 次回でございますが、6月25日、皆様の日程の関係上、1か月先、18時からここの部屋でということで、よろしくお願いいたします。社団、財団の制度設計ということでございます。

以上


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