○:委員
●:事務局

第14回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年10月1日(金)10:00〜12:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ さて、まだお見えでない委員もおられますが、時間ですので始めましょうか。
 それでは、今日は一応最終回ということで、まとめなくてはいけないわけですが、かなり論点もまだ残ってはおります。
 いずれにせよ、前回やった続きからということで、今日は第4の「財団形態の法人」ということで、そこから始めたいと思います。
 それでは、またいつものように事務局の方から説明をお願いします。

● それでは、今日は22ページの第四から御議論いただければと思います。
 資料につきましては、下線部分が前回の資料からの修正点でございます。修正点を中心に御説明申し上げたいと思います。
 23ページの中ほど、注3でございますが、これは後に御議論いただきます社団の定義を「営利を目的としない社団」と修正して御提案していることと平仄を合わせる趣旨でございます。
 ただ、このかぎ括弧は定義という趣旨ではございませんので、営利に(剰余金を社員に分配すること)と続けております。
 「一 設立」の「1 寄附行為」部分ですが、ここについて、新たな御提案を一部申し上げております。御説明いたします。
 本文は、財団の設立行為としての寄附行為の概念、意義を明らかにしたものでございます。それに伴いまして、寄附行為という書面、「※1寄附行為(根本規則)」と書いてあるものには署名をしなければならないという規律を別に設けております。
 ※2は、民法の解釈の説明でございます。
 ※3が新たな御提案なんですが、上記のとおり、設立行為としての「寄附行為」とその寄附行為によって定められる根本規則、これも「寄附行為」と現行呼ばれておりますが、その後者の「寄附行為(根本規則)」については、法令上「定款」ですとか、あるいは「根本規則」等と名称を改めることの当否についてどう考えるかという御提案をいたしております。
 その趣旨は、「設立行為」というものと、「その結果できる書面」が同じ「寄附行為」という言葉であるとすると、若干紛らわしいのではないかという点がございます。その他、事前にいくつか御指摘いただいているところを含めてでございます。
 ※3の括弧書きにつきましては、社会福祉法と更生保護事業法を掲げておりますが、これは、実は財団形態と言いますか、社員のいないタイプの特別法上の法人についても、「定款」という言葉で根本規則のことを表しているという例をご紹介する趣旨でございます。
 ※4につきましては、前回、先生から御指摘いただきまして、その場でお答えしたことの再度確認の趣旨でございます。「法人を設立しようとする者は、財団を構成する財産を自ら出えんしなければならないものとするが、後記4の最低保有財産(300万円)全額を自ら出えんする必要はないものとする」。つまり、設立行為の当事者は、設立者となるためには財産を拠出しなければならないけれども、最低保有財産額全額を自ら出さなければならないという意味ではないということでよろしいか、再度御確認いただきたいという趣旨でございます。
 24ページの2の※1の部分に線を引いてございますが、ここはワーキンググループで大変御議論を深めていただいたところなんですが、なかなかA案、B案両論について結論を出すことがなかなか難しいところではないかと思っております。ただ、本日、もしこのA案、B案それぞれの論拠について、改めて再度御確認いただくというようなことができますれば、御意見を賜れればと思います。
 25ページに移りまして、4でございますが、これは従前の資料では、基本財産(仮称)というふうに別項目を立てていたわけですが、よくよく検討いたしてみますと、特に独立の項目として概念を定立するというよりは、設立行為をする際に遵守しなければならない規律、あるいはその存続中に遵守しなければならない規律として300万円以上の純資産を保有するということにすぎないのではないかと思われ、また、「基本財産」という言葉は現行の指導監督上の「基本財産」という言葉とどうしても混同してしまいますので、4のような表現にしてはどうかという趣旨でございます。
 ※2でございますが、先日の親会議で委員から御質問がございましたので、念のため、この300 万というのは金銭に限るという趣旨ではなく、財産の種類は法律上制限をしないということの確認でございます。
 5のFのところに線を引いてございますが、これはこちらの方で形式的なミスの修正です。財団においては代表理事を定めるという規範になると思いますので、「代表すべき者がいないときは」という表現になっていたんですが、それを改めました。
 以上、ここまでで区切って御議論いただければと思います。

○ 管理の前のところまでですね。そこまででいかかでしょうか。
 ここに関連することで若干補足いたしますと、親会議で幾つか議論があって、その1つはこれは何度か議論した点ですけれども、非営利の財団というものを認めるのは適当ではないという意見を、これは公益法人協会からですけれど、出てまいりまして、その理由はそういうものを認める実益が余りはっきりしない、その反面、濫用される恐れがあるということが根拠だったと思います。
 もう一つ、先ほどの最低保有財産規制のところの300万ですけれども、財団法人の中には段階的に解消をしていくという財団法人があっていいのではないかと。300万という下限があると、それが難しいのではないかという意見でありました。
 後者のことについて言いますと、勿論、定款ないし根本規則でもって段階的に解消していくということを方針とする財団法人があって構わないと思います。この場でもそのような意見を述べてきました。段階的解消をする財団法人にとって300万というのが持つ意味は、事業活動の段階的縮小につれて法人財産が300万という線に至ったときに、最終的に本当に財団を解消する方向で進めるのか否かを決断をするということになるのだと思います。そしてその後、実際に300万を割っても、直ちに解散ということではなくて、300万を割ったら増やして維持するか、あるいは解消に向かうかという選択をすることもできます。このように、当初から段階的に解消するという方式の財団法人にあっては、解消していくという方針を基準額の線に至ったときに改めて確認するという意味があるだろうと思います。
 最初から定款にないけれども、途中から状況の変化によって段階的に解消せざるを得ないと判断した財団にあっても、300万を割った段階でいよいよ本当に解散するのか、それともやはり立て直すのかということを決める。そういうきっかけになるというふうに答えておきました。そんなことがちょっと親会議でありましたのでご紹介します。
 いずれにせよ、ここまででいかがでしょうか。

● 済みません。今、先生から御紹介のありました、「財団は公益性のある法人に限るべきだ」という御指摘について、公益性があることを何で担保するのか、準則主義を前提に公益に限るとおっしゃっているのか、その公益というものをだれがどう判断するのかという点についてよくわからなかったものですから、昨日、委員に確認してまいりました。その結果、2階部分で議論中の公益性の判断主体が財団の「公益性」を判断するという意味でおっしゃっているということでした。
 したがいまして、ワーキンググループでのこれまでの御議論は、準則主義を前提に、公序良俗に反しない限り制限を設けないというA案と、何らかの制限を準則主義の下で実効性のある担保も含め、内部ガバナンスが中心でございますが、検討を進めてはどうかというB案のいずれが相当かという御議論でしたが、親会議委員のご意見は、このB案を支持するということでもないようでありました。

○ 要するに公益性のある財団法人に限る、その2階の部分しか財団法人は認めないという意見に帰着するわけですね。恐らく。

● 準則主義を放棄するのかとお尋ねすると、それはそうではないというようなことをおっしゃるんですが、ただ、論理的にはそうなりませんでしょうかと申し上げているところです。というか、それに違いないと思いますけれども。

○ いずれにせよ、ここで一応、報告書と言いますか、ワーキンググループの方の大体の方針は決まりますけれども、その内容はまた親会議でもって議論されて、今の議論はまた蒸し返されるとは思います。
 一応、今までA案、B案はちょっとどちらがいいかということについての最終的な決定はしていませんけれども、いずれにせよ準則主義の下での公益に限定されない財団法人というものもあっていいのではないかという立場からすると、その報告書を親会議に出して、それに対して、また今のような意見が出てくると思います。親会議で最終的に結着が付くということになると思います。今までこれはさんざん議論した点ですが、この点については先ほどの24ページのA、B、ここはまだ絞れないけれども、非営利の財団法人は一応認めるということでよろしいでしょうか。
 

○ これまでも申し上げていることで繰り返しになって大変恐縮なのですが、やはりA案が適当なのではないかと考えております。
 その根拠としては、準則主義を前提といたしますと、法人の実際の活動がその目的・事業の制限を遵守しているかという点について、実効性を確保するのは困難ではないかと考えております。
 特に設立後にあっては、監督する公の機関もないので、目的・事業を制限したとしても、実効性を確保するのが難しいのではないか。そうしますと、法令上は目的・事業に制限がある、つまり広い意味でよいことを目的としている法人であるという名の下に、かえって制度が悪用される懸念があるのではないかなと思うのです。

○ 要するに、法律でもってそういうふうに書いておくと、建前とギャップがかえって生じて困るということですね。
 今の点はかなり議論した点ではあるかもしれないけれども、非営利性についても似たような問題があり得ないではない。財団法人ですから、構成員に直接分配するという制度は制度上はもともとあり得ないけれども、しかし、制度としては、構成員には分配しないという制度でありながら、実際上、構成員に分配してしまうということがあり得て、それをチェックすることはやはりできない。だから、そこのギャップも生じるんですね。 勿論、御意見は十分ここでは踏まえて、今後また議論したいと思いますが。

○ B案について、改めて今ここで発言しておく必要はないですね。

○ もし新しい何か論拠とかあれば。

● 現在お出ししている資料には、A案、B案それぞれの中身を若干書いておりますが、それぞれの論拠、懸念について余り触れていないものですから、むしろ今、A案の方からA案はこう考えますということがあったので、B案について、もし特に意見があればいただいて、それぞれ資料に盛り込むようなことも考えているのですが。

○ 委員はどちらにしろ、親会議の方にも所属しているから、そこで言ってくださっても結構ですけれども。

● なるほど。では、資料には今まで御議論いただいたB案の論拠、懸念をこちらで精査して、親会議への報告までに資料に盛り込むことでよろしいでしょうか。B案の懸念は、22ページ、23ページの記述と重なる部分もあるとは思うんですが、工夫して盛り込んだ上で、親会議への報告までに改めて御相談させていただきたいというふうに思っています。

○ 1つ、これはA案とB案のどちらがいいかという議論ではなくて、むしろ先ほど言った、そもそも非営利の財団法人を認めるべきではないという意見の方からの、非公式の、会議終了後の意見ですけれども、やはり一種の家族財団というのか、相続税逃れに使われる可能性があることを懸念しているということを言っておられました。勿論、十分それは意識して我々も十分議論したわけですが、脱税一般の目的であれば、これは財団法人でなくても営利法人であってもいろんなものが使えるわけですけれども、財団法人の場合にはその構成員がいないという形をとっているので、それが問題だというわけです。これに対して営利法人を使って相続税逃れをしようとすると、持ち分がありますから、各構成員に持ち分という形で財産が帰属しますから、そこに課税される。相続の場面でも、持ち分の相続に課税されるけれども、財団法人には構成員がいないので、持ち分もなく、実質上相続税逃れに使われやすいということも言っておられました。
 しかし、持ち分の有無の関係なく、誰かが実質的に利益を享受していれば、その段階で税として捕捉すればいいのではないかという気もします。何か改めて今のA、B案についての新たな論拠、今のように非営利財団そのものを認めるべきではないという意見に対する、賛成でも反対でも結構ですけれども、御意見があれば言っていただくとして、特になければ、よろしいでしょうか。
 それでは、最低保有財産規制についても、先ほどの説明でいいと思いますが、先に行ってよろしいですか。

○ 23ページの下の方に★が付いているところがございます。2つあるうちの※4については、当然のことの確認ということでよろしいんだと思いますが、もう一つの★は、当否についてどう考えるかというお尋ねですので、意見を申し上げさせていただきますが、このような考え方、定款あるいは根本規則等の名称に改めるということはあってよいのではないかというふうに思います。
 やはり寄附行為という言葉が2つの意味を担うということが、一般から見てわかりにくいということがあると思います。また、その実例としても、例えば、私がたまたま知っているもので、私立の大学が学校法人で運営されているときには構成員がいないわけですので、性質上財団法人なわけですが、その根本規則を寄附行為というふうに呼ばないで、「

○大学基本規定」というふうに呼んでいたりするような実例もございますので、やはり運用上の寄附行為という言葉に違和感があるんだろうというふうに思います。
 その上で、定款にするか根本規則にするかは、今後御検討いただいてよろしいと思いますが、定款にしたときの1つの留意点としては、社団法人の基本規則と財団法人の基本規則が同じ名称で呼ばれることになることをどう考えるかということがあります。そのことはわかりやすいという面がある一方で、変更の可否について、硬軟の段差の違いがございますので、同じ定款という言葉で呼ばれながら、それなどについて違いがあることが一般の誤解を招かないかと言ったような問題点はあると思いますから、そのような点も踏まえて、なお言葉について御検討いただければというふうに思います。
 以上でございます。

○ 今の点も重要な点なんです。
 委員、どうぞ。

○ 今の委員の御意見にほぼ賛成でして、付け加えるとしますと、寄附行為特有の現行法の規定、例えば、40条であるとか41条であるとかがある、という特徴も寄附行為にはあるだろうと。その意味で定款と区別する一つの要素になるかなということです。

○ 今の御意見は、定款という言葉よりは根本規則とか、そういう言葉の方がいいだろうという御意見ですね。

○ 何か区別した方がいいという要素になるかと思います。

○ 遅れて来て済みませんでした。私は専門ではないのでちょっとだけ伺いたいんですが、例えば、上に社団の定款とか財団の定款とか、そういう限定を付けても、やはり問題は起きるんですか。

○ 理論的にどうかということよりも、その与える印象の問題だと思うんです。変更の可否であるとか、あるいはさっき申し上げた2つの規定の適用の有無ということにおいて、違いがある規則を同じ名称で呼ぶことの当否という、それだけのことです。

○ よくわかりました。
 それから別のことで、租税回避に使われるのではないかということをおっしゃいましたが、これは相続税法の65条と66条だったと思いますが、租税回避の否認規定がありまして、公益法人に財産を寄附した場合で、その寄附者の親族や相続人がその公益法人から受益をしている場合には、相続税や贈与税の負担の不当な減少に当たるということで、その公益法人自体を相続税や贈与税の納税義務者とするという非常に例外的な規定がありますし、また、公益法人から利益を受ける者に対して、相続税、贈与税をかけるという特別の規定がありまして、非営利法人について、そういう規定を適用すれば問題は大幅に解消されるのではないかと私は思っていたんですが、ただ、それをおっしゃった方はいろいろな実例を考慮して、そういうふうにおっしゃったのかもしれません。

○ 私も先ほど申し上げた以上に詳しい話は聞いておりませんけれども、そうおっしゃる背後には、また更にもっと詳しいお話があるのかもしれません。いずれにせよ、また委員も親会議にもおられますし、親会議の方で御本人から御議論があると思います。
 それでは、以上の部分に関してよろしいでしょうか。
 では、次に行きましょう。

● それでは、25ページ、「二 管理」から御説明申し上げます。
 下から2行目に★が付いてございまして、評議員会の権限について、ワーキンググループの案に対して、親会議の一部の委員から異論が寄せられておりますので、今日、御議論を更に深めていただければと考えております。
 資料自体は、評議員会の権限を法律で定める事項に限るということにして、評議員の権限を縛っていくのか。それとも、やはり寄附行為で膨らませたいというニーズは若干あると考えますので、そうすると寄附行為で広げられるようにするのか。ただ、寄附行為で広げられ過ぎてしまって、極論をすれば、業務執行権までが評議員会の属するというようなことまでいってしまうと、これはやはり権限分配の関係として相当ではないのか等々、それを防ぐという意味も含めて、例えば、ここに書いてありますような、設立時の寄附行為で与えられた権限は評議員会にあるが、それを後に膨らますことはできない。ただ、寄附行為の変更に関するルール等の必要かと思いますが、そういう案も含めてこの25ページの一番下のかぎ括弧の中に書いてございます。
 おめくりいただきまして、26ページの※2に★が付いてございますが、書いてある文章自体は前回御説明したことと変わっておりません。一部、線が引いてあるところが冒頭申し上げた評議員の権限をどうするか、冒頭の御説明に平仄を合わせた修正がしてございます。
 27ページでございますが、(4)のところに★が付いてございます。これは評議員会の決議方法について、本文、頭数過半数と出席評議員の過半数で決するとしておるわけですが、これについて、寄附行為で別段の定めをすることができるかどうかについて検討すると書いてございます。
 「商法第260 条ノ2参照」とございますが、これは取締役会の決議方法についての条文でございます。取締役会決議につきましては、定款で別段の定めをすることはできるんですが、この決議要件を下げることはできない、加重することはできるという規定が商法にございます。参考にできるのではないかと考えておるところでございます。
 27ページの2の(1)の下線部分のかぎ括弧は、先ほどの説明と同じでございます。
 おめくりいただきまして、28ページの中ほど、3の(2)の下に★のみが付いております。下線を取っているのは、前回の資料に書いてあったから下線を取っているわけでございますが、これも評議員の権限が強くなり過ぎるのではないかという指摘についての配慮の御提案でございまして、理事の解任事由を法定して、評議員は解任権を持つのですが、心身の故障、その他の事情がなければ自由に解任することはできない。社団は勿論、選任権者が自由に解任できることになっておるわけですが、その解任権を制限することで若干のバランスが図れないかという御提案でございます。ただし、なかなか法制上の例としては、独立行政法人等を除いては、こういう規範は法制上は置かれていない実情にございます。
 28ページの(5)に★が付いてございますが、これは前回の資料と記述の中身自体は変わらないのですが、表現ぶりを訂正いたしました。財団においては理事会を必置とし、その理事会の決議によった代表すべき理事を定めるという規律を置いてございます。株式会社の取締役会と同様の規律を置いておるところでございますので、そこにおいての代表理事と、また対内的な業務執行を行う理事という者の概念をAで明らかにした。これは商法の260条にならった書きぶりでございます。
 29ページの★、上の2行目の※の部分については、理事会の決議方法でございます。先ほど御説明した評議員会の決議方法と同様の指摘、御提案が書いてございます。
 29ページの中ほど、(7)の※2の★につきましては、理事の責任制限部分でございます。これは後ほど、社団のこの部分に該当したときに、別の資料23を用意してございますので、その中で御議論賜れればと思っております。
 おめくりいただきまして、30ページの下から3行目の★につきましては、監事の責任制限でございます。同様でございます。
 31ページのところの中ほどに点線で区切ってございます。これ以下は、前回の資料と同じになっておるという区切り線でございますが、とりあえず管理のここまでで区切っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○ それでは、管理のところについてですが、いかがでしょうか。
 前にも申し上げましたけれども、理事と評議員の権限分配については、相当親会議では懸念が表明されて、特に財団の実務に相当詳しい方から議論がなされ、恐らくまた親会議でも更に議論がされるであろうと思います。
 そういう議論が出てくる背景の1つには、現在の理事と現在の評議員、具体的には、ある自分たちの属しているその財団法人における実際の理事と評議員というのを念頭に置かれて議論されているということもあるんだと思うんですね。そういうときに、現在、選任されている評議員というのは、恐らく諮問機関としてそんなに強い権限をそもそも与えることを予定していないで人選していますから、そういう人たちにこれだけ強い監督権限を与えるのはどうも適当ではないのではないかと、そういう懸念もあるのかもしれません。 しかし、ここでは勿論、新しい制度の下で、そういう権限を与えるとすれば、どういう人を評議員に選ぶかという形で議論していただきたいと私は思いますけれども、今のような背景もあるのではないかと推測しております。

● 伺ってまいりまして、一番強くおっしゃるのは、人事権を評議員会が全部持って、評議員自身も自分で自分の後任を決めるという案にワーキンググループの案はなっておるだろうと。そうすると、人事権をすべて自分が持っていて、ただ、評議員ですから、責任はむしろ負わない。理事は業務執行で失敗すれば責任を負うけれども、評議員は負わないと。そういうような「オールマイティーな権限を持った」と表現されておりましたが、この点に疑問を持っておられました。私は、評議員は理事のように業務執行権を持っていないんだからオールマイティーではありませんと申し上げたんですけれども、そういう見方をされておられました。
 もしそれにお答えするような案を考えるとするとと断って、解任権の制限のことも申し上げたんですが、任期の途中で解任してまで理事をコントロールするなどということはないのであって、2年の任期が切れたところで気に入らない人を取り替えるというやり方をするはずだから、解任権を制限したって余り意味がないと言われてしまいました。
 そうすると、むしろ2つあって、評議員の後任を選ぶときにオールマイティーに選べないことにして、理事会が評議員の候補者、後継者を提案することにして、その中から評議員は選ぶと。最終決定権は勿論評議員にあるけれども、この案でも結局みんな×を付ければ気に入った人になるんですけれども、一定の歯止めがかかるのではないかということ。
 もう一つは、理事の後任を選ぶ際にも評議員がオールマイティーになっている部分を仮に制限をするとすると、やはり理事の後任についても、理事が候補者を出すというようなこともある得るのかなということを考えてみたんですが、検討が不十分で恐縮なのですが、御意見を賜れればと思います。
 それとも、もともとのオールマイティーだと言う理解自体が一面的な見方。これはとにかくオールマイティーに行使しようとすればできる可能性があるというだけのことであって、こうしたからそんな評議員ばかりになるわけではないはずだとは思うんですけれども。

○ この点に詳しい委員が今日はおられませんが、ほかの法人形態でもって、似たようなものはあるんですか。

● 参考にいたしましたのは、委員会等設置会社の指名委員会というのがございまして、これはこの指名委員会が取締役の候補者を推薦すると言いますか、株主総会に提出する取締役の選任に関する議案の提出権、決定権は指名委員会にあるというのがございます。
 ただ、これも全く同じに言えないのは、結局、株式会社の場合には最終的にはすべて株主総会で決めると。その中で、取締役と株主総会で現在の関係を少し改めようとしていることですので、ぴったりしてはおりませんので、例はないのかもしれません。
 ただ、事実上は現行の株式会社でも社員総会、株主総会が動議を出して取締役の後任を選任するというのは、買い占めをして5割取った株主がいるとかいう会社でなければ、普通はなくて、取締役会が取締役の後任はこの人でどうでしょうかということを承認するというのが株式会社のほとんどの実態であろうと。

○ 株式会社は株主が多いから、株主の側でもって多数を形成するのが難しい。評議員は仮に20人ぐらいだとすると、恐らく簡単に多数は形成できるんです。

● そういう認識に立つと、逆に親会議の委員の御指摘が、あるいは更に現実味を増してくるのかもしれないと思っています。

○ 事務局が説明されたように、解任事由の方の制限は一応ありますからね。ただ、選任の方も。
 これは、私は別にこういうのがいいということで申し上げるわけではないけれども、理事の後任自体は理事が決めるというふうにして、選任と解任を分けて、評議員の方には解任権というのを与えるというのも妥協案としてはあり得るのかと思うんですけれども、理論的に評議員の方から見れば、選任権はないけれども、解任権だけあるというのがうまく説明できるかどうかというのが、ちょっと気にはなっているんですね。
 事務局がさっき説明されたのは、1つは理事の方でもって評議員会に対して、理事の原案を提示するという形でもって、評議員会としてはその中から選ぶという形にすれば、多少は人事権に関するオールマイティーという性格を薄めることができるのではないかということだったわけですけれども、何か御意見があれば、伺っておきたいと思いますけれども。

○ まだちょっとよくわからない部分もありますけれども、基本的に今おっしゃったような、後任の理事の指名と言いますか、原案を提出するというようなやり方を積極的に検討していくべきではないでしょうか。従来の財団の実務になじまないということをおっしゃる方々の懸念をどこまで除くことができるかわかりませんけれども、評議員会に関して言えば、権限が制約されているという今まで強調してきたことに加えて、権限の発動が受動的なキャラクターを与えられた機関なんだということをもう少し強調して説得を差し上げるというようなこともあってよろしいと思います。
 例えば、その活動の開始について招集は理事がする。それから、今、御提案あった議事の中身についても理事、監事の人選の原案を提示し、勿論言うまでもなく、計算書類の承認などは当然理事の方が原案を出すわけですので、評議員会が非常に一見大きな権限を持つように見えても、あくまでも原案を理事から提示されて、それに対してイエス、ノーを述べるというふうな位置づけの機関である。
 それについても、勿論、いろいろ評議員が語り合って、票を集めれば意思決定ができるという部分は、確かにオールマイティーに見える部分があるかもしれませんけれども、やはり限定された事項について、受動的な活動をする機関なのだという位置づけで、新しい財団法人の今後のガバナンスの在り方について理解がいただけるとありがたいなというふうな気持ちがいたします。

○ 選任のところだって、受動的と言う場合に、一番気になるのは理事の選任のところですけれども、提案自体は理事会が出して、その可否を評議員会が決めると。そういう意味では、その段階で拒否権的なものがあるというふうに考えることになりますかね。いろんなやり方があるかもしれないけれども、定数よりも少し多く出して選ばせるというやり方もあるかもしれないけれども、それはちょっと抵抗があるかもしれないので、むしろ提出どおり理事会の方で提案させて、しかし、適当ではないというものについては拒否権が発動できるという形にすれば、ある程度、整合的になる。

● 法制的には同じ意味なのかもしれませんが、申し訳ありませんが、教えていただきたいんですが、つまり、今、申し上げたことと同じことは、評議員会が自分でその議案について動議を提出して決定することができないということが実現して、初めて担保されることなんだと思います。
 ただ、本来の会議体の性質から考えれば、どこかほかに提案者が、機関が別にあったとしても、自らの権限内のことについては、構成員が提案して、それについての可否を決める、意思決定をすることができるということになるものが多いのではないかと思っております。
 それが本当はぎりぎり、その人に権限があるということの、一番というのはおかしいかもしれませんけれども、割と重要なことで、そこを否定されれば、もう本当に○×をつけるだけしかなくなっていいんですが、ただ、それが法制的に通るかどうか。あるいは法制的にあり得べきものなのかどうかについて懸念がございます。

○ 今度は弱くなり過ぎてしまいましたね。

● でも、同じことを言っているに近いというか、そこまで言わないと議案提出権がこちらにありますと言ってみたところで、実は解釈上疑義が生じて、明文で書かなくても、そこは解釈で、議案提出権が専属するみたいな形にしたことの解釈ということもあって、動議が出せないというようなぎらぎらした条文を書かなくても何とかなるのかもしれませんが。

○ いずれも動議は出せないというふうに考えているのではないの。寄附行為の変更はどうでしたっけ。

● 寄附行為の変更についてはっきり書いてはいないんですが、ただ、気持ちといたしましては、勿論、評議員の26ページの招集からして理事がして、※で「理事会の決議によらずに評議員会を招集できる場合について、検討」と書いてございますが、これが自律招集を認めるかどうかなんであります。
 株主総会も社員一人による自律招集というのは認められていなくて、少数社員で一定の要件の下だけで自律招集になっておりますので、こちらは否定しさるということもあり得るのではないかと。もし、招集が否定しされれば割と大前進でありまして、今度は招集された後に自分から動議を出せるかどうかの話になりまして、それについてもノーマルな形ではすべて理事側が提案すると考えております。
 ただ、そうでない動議を完全に否定すれる仕組みになっているかと言いますと、ちょっとそこはぶらぶらと言いますか。方向性としては余り念頭には置いておりませんが。

○ 言葉の使い方からすると、その計算書類の承認とか合併の承認というのは、これは恐らく動議ではなくて、原案で出てきたのを承認する。

● 合併契約書をつくるのが役員でございます。計算書類の方も、つくるのがこちらしかありませんので。

○ だから、これは承認しかない。そうすると、理事の選任と寄附行為の変更だけなんですね。

● おっしゃるとおりです。

○ どうぞ。

○ 私、全くの素人ですから、見当違いかもしれませんけれども、やはり理事と評議員は権限をセパレーション・オブ・パワーと申しますか、そういう考え方できちんと分けて、その上で評議員あるいは評議員会に、理事会の独走と言うと悪いですが、コントロールするというような方式を確保しないといけないのではないかという感想を持っておりますけれども。

○ そうですね。基本的な理念はまさにおっしゃるとおりで、それを一方でどういうふうに確保するかと。しかし、他方で、親委員会で出てきた現在の案は評議員会の方がむしろオールマテイティーで強過ぎるという御意見なので、そこら辺、本当にそうかどうかも検討しなくてはいけませんけれども。

○ 現状は、恐らく理事会が非常に強い。そして、それが当たり前でノーマルな姿だと考えると、評議員会の権限を強めることには反対が強いかと思うんですが、本来どうあるべきかということも考えに入れておかないといけないのではないかという感じがいたします。

○ そうですね。委員のおっしゃるとおりで、反対意見の中には、評議員が諮問機関にとどまるべきだという御意見をはっきりとおっしゃった方もおられますね。これはまさに委員の言われた、その大前提の権限分配をするのか、諮問機関にとどめるのかという、その第一段階の議論なわけですね。
 大体よろしいでしょうか。

○ 今の先生の御意見に賛成ということと補足なんですが、その大前提の権限分配なのか、それとも諮問機関にとどまるべきかという議論と、もう一つ、仮に権限分配をしたときに、マイナスが出ないかという心配も感じているのかなという気もします。 マイナスというのは2つあって、1つは実際には同じような人たちがなるので、単に手間がかかるだけであるというのと、もう1つは、評議員会が、例えば設立者の相続人たちがなって、自分たちはそれに使用されているというようなことになるというような、理事の職務が非常に小さくなること自体よくないと、そういった懸念もあるのかなと思います。 ただ、いずれにしても、やはり基本は先生がおっしゃったようなことにあると思いますので、あとは具体的な権限事項をどうやって調整するかという、そういう三段階の問題になるかなと思います。

○ どうぞ。

○ 同じサイドからの発言になってしまいますけれども、最初の問題はここでは共有されていますけれども、一旦確認するのが適当と思われるのは、現行の監督制度の下の財団法人と、そうでない新しい監督がなくなる下での財団法人ということで、やはり評議員会の存在を強調すべきだろうと思います。ここでは何度も繰り返されていたことですけれども、それが必要だと思います。
 あともう一つは、移行の問題を少し考えることによって、ある程度解決するのかなと思います。それは現行、ある財団法人が、今度、強制設置となる評議員会を設けることなると思うんですが、その評議員をだれが選ぶのかということで、そこに現行の理事のイニシャティブを与えれば、要する最初のところは理事が評議員を選べますので、それによって実質的には相当程度、解決するのではないかなと。ですから、今の理事会のグループが、ある者は理事になり、ある者は評議員になりというふうに分かれていくことによって、現在の財団法人の実質的なガバナンスというのは新しい制度で評議員会に相当程度パワーを与えることによっても継続するのではないかなというふうに思います。

○ それは非常に大きな問題で、ちょっと非公式には事務局と少し相談したこともあるんですけれども、だれが第1回目の評議員を選ぶかというのはすごく難しい。理念からすると、今の委員の御提案というか、現在の理事が選ぶというのはどうかなという気もするんだけれども、継続性のことも考えると、恐らくそうせざるを得ないのかなと。

○ これは移行のところをどういう基本デザインと言うんでしょうか、基本思想で考えるかという問題になりますが、私は現行制度の財団法人が新制度における財団法人を設立するというふうに考えるとすると、現在の財団法人が出えん者になりますので、その者が理事を選び、評議員を選び、スタートさせると。それで一応、権限を分けて、ある程度チェック・アンド・バランスが取れるようにしてスタートすると。
 そうすると、現行制度の財団法人というのは理事者が代表しておりますので、監督官庁は今まであったわけですけれども、監督官庁はその段階でどこまで口を出せるか出せないかというのはちょっとよくわかりませんが、しかし、もう評議会というのは現行制度では諮問機関として位置づけられていれば、そこに突然新しい法律ができたのでパワーを付与するというのもおかしいと思いますので、実質的にもまた理論的にも説明可能なのではないかと思います。

○ ちょうど設立者が最初のどうやってこういった権限分配をするのかというのを決めるのと同じですね。大変有益な御思想だと思います。
 それでは、ほかにこの部分についてなければ、次に行きましょうか。議論すべき点がほかにちょっとあったかもしれない。

● 今日、御提案していただきましたことを少し資料に書き込んで、また親会議に報告までに各先生と何らかの形で御相談をさせていただければと思います。

○ では、次をお願いします。

● 評議員会や理事会の決議要件、決議方法については、まず理事会の方の29ページの上の方の※は、多分取締役会並びで余り問題はないだろうと理解しております。
 ただ、評議員会の方はどちらとも何とも、いいのではないかと思うんですが、何か無理に時間がないところでご了解を求めるというのもちょっと気が引けるので、検討ぐらいでよろしいでしょうか。評議員会の権限を一人の評議員だけで何でも決められるようなルールの変更をするということ自体はとてもおかしいような気がします。社団とは違うと思っておるんですが。もしなければ、もうこのまま検討ということにしたいと思っております。

○ 今の点はいかがでしょうか。よろしいですか。

● では、31ページの「三 計算等」の方でございます。
 これは線はたくさん引いてございますが、社団に合わせて、計算と社団とほぼ合わせた形になっております。違う部分の御説明をいたします。
 32ページでございます。「4 寄附行為等の開示」の部分が若干★を付けてございます。
 本文は★が付いていないんですが、寄附行為や評議員会議事録、この寄附行為というのは書面のことの方を言いますが、備え置きというのは必要ではないか、閲覧、謄写についての規律を置くことも必要ではないかと考えております。
 ※1は、評議員が寄附行為や評議員会議事録を見ることができるということもよろしいのではないかと考えております。
 ※2が、御検討いただきたいところなんですが、債権者が寄附行為を見ること。これはよろしいかと思います。では、議事録をどうするか。これについて、社団と同じでよいか。
 社団の方は、後ほど確認いただきますが、前回の御議論で、権利行使に必要なときに社員名簿と議事録を見ることができるというようなことになっておるんですが、まずここでは議事録について同様のことが言えるか。利益処分案等を決めるとすると、法人の債権者が議事録は見てもよいのではないかと思っておるんですが、御検討いただければと思います。
 評議員名簿が載っていない部分について、若干補足させていただきますが、前回の資料では、評議員名簿をつくっておいてはどうかと書いてあったんですが、どうも社員名簿を法定文書、公示文書として作成し、備え置き、だれかの閲覧に供するということについて、社団の方では特に債権者に対する開示の関係では、違法配当ですが、経費支払い義務の不履行ということを根拠に考えておったんですが、評議員の方は同様の議論はちょっとしにくいのではないか。そもそも評議員名簿を、内部的につくるのは御自由だと思いますが、法定の公示文書としてつくるべきかどうかについて、ちょっと積極的な説明が付きにくかったものですから、御提案として書いてございません。
 ※3は、検査役による調査でございまして、社団に加えましたので、財団でもあってもよいのではないかという部分でございます。
 ここまでをお願いいたします。

○ それでは、今までのところで。
 債権者は議事録を閲覧、謄写できるかについては、社団法人と特別に区別する理由はなさそうな気がしますけれどもね。

● 資料に書いていないことで恐縮です。評議員名簿について、もし何かきっかけ、アドバイスだけでもいただければと思ったりもするんですが、資料でちゃんと案あるいは論点を提示していないのにお伺いするのも大変恐縮なんですが、社員名簿と全く並んで置くというのが何となくわかりにくくなってしまったところなんですが。

○ これは直接今の問題とは関係ないんですけれども、少しは関連していますが、親会議で、これは公益性のある財団法人についての話ですけれども、評議員の名前を開示すべきかどうかというようなことが議論になりました。いろいろ御意見がありましたけれども、私の感触では、どちらかと言うと評議員については開示しなくていいのではないかと。これはインターネット等で積極的に開示するという話ですね。そういう開示をしなくていいのではないかという御意見の方が多かったような気がいたします。
 ただ、いずれにしせよ、これは公益性のある財団法人についての話で、ここでは一応、非営利の一般的な財団法人の議論をしております。
 開示の問題と、そういう名簿を備えるかという問題もまたちょっと違いますので、ただ、御参考までに御紹介します。
 少なくとも社員名簿と同じ並びで議論するというのは、ちょっと違うだろうという気がしますね。

● 名簿は資料には特に書かない形にしたいというふうに思います。

○ それでは、ここまでよろしいですか。
 では、次にまいりましょう。

● それでは、32ページの「四 寄附行為の変更」について御検討いただければと思います。
 変更の可否につきましては、変更することができるということで一致しておると思います。変更の要件に関する規律、資料は従前のままでございますが、A案は、寄附行為の変更に関する規律を法定する、すなわち、社団の定款変更のように法律の定める要件で、例えば下に書いておりますが、評議員会の特別多数で変更できるということも法定してしまうという案です。他方、B案は、寄附行為の変更に関する規定を寄附行為の必要的記載事項とすることによって、寄附行為がどんな要件でどの事項について変更できるかを寄附行為の定めにゆだねる案で、この両論がございます。
 B案の場合には、※のような補足が必要かと思っております。つまり、@として、寄附行為の変更に関する規律を置かなければならない。これは置かないと、要するに寄附行為が変更できないということになってしまうからです。もちろん、変更することができる、できないを寄附行為者にゆだねるという議論もあるかと思いますが、民法ができないというのが不便で、今、実務上できるという流れからすると、@のように、変更に関する規定を置くというようなことをプラスしてはどうかと思っております。
 Aで、その際には変更の要件、限界についても併せて定めること。もう少し付言いたしますと、変更するときはどの機関のどういう要件でということを寄附行為で定める。A案のようなことを寄附行為で定めるですとか、変更できる事項とできない事項というのを寄附行為で明らかにするというようなことを書いております。
 ただ、これもその部分自体を変更できるかどうかとか、とても困難な問題も出てきてしまいます。
 ついては、A案、B案、方向性は大きく分かれるものですから、どちらかに一致しなかったとしても、どちらかが多数でどちらかが別案みたいな感じがつかめるとありがたいと思っています。勿論A案、B案以外が今日の御議論で多数の御意見ということでも結構でございます。寄附行為の変更の部分だけで区切らせていただければと思います。

○ いかがでしょうか。ここら辺はそんなに、もう決めてしまえば、どちらでもいいというぐらいのところかもしれませんけれども、両方で多少理念が違うかもしれませんね。

○ 問題状況は、今、事務局が確認してくれたように、現在、民法に変更に関する規定がなくて、読み方によっては変更できないのではないかというような懸念から来る不便というのが出発点だったと思うんですが、それで考えたときに、特に強くA案を推すというわけではないんですが、B案について若干テクニカルな、詰めなくてはいけない問題点があって、そこを克服しないとB案の運用が不安定になるであろうという心配はあるように思います。
 例えば、寄附行為の変更に関する規定というものの中に、この寄附行為の変更は許さないという規定を置くことは許されるのかということとか、あるいはそれは除外されるんだという解釈をとるとしても、例えば、寄附行為の変更には評議員の100 分の99の賛成を要するとか、事実上不可にするような規定も認められるというようことになってきますと、その問題点の出発点で懸念されていた事項が必ずしもクリアーされないということになりますので、その点から言うとスマートさはA案の方にあるのではないであろうかと思いますが、なお御検討いただければと思います。

○ 私もちょっと似たような懸念が若干B案についてはありますね。感触としてはどうですか。どちらの方が多数であるかというぐらいの感触がもしあれば、なかなかそれは決めかねる。

○ 私は委員の意見とほぼ同じです。

○ 私もB案の場合、変更の要件というのが全く自由に決められるということになりますと、いろいろ問題が起こるのではないかという感じがいたします。

○ Bの限界がまだはっきりしないんですね。

○ 私も基本的にB案には問題があるかなという気はするんですが、A案については、これは強行規定にするという前提ですね。それがちょっとかたいかなという気もします。
 ただ、逆にそれを任意規定にしてしまうと、A案のメリットが失われますので。

○ 任意規定にするということに意味は、A案をとりつつ、Bというのは。

○ 例えば、要件を加重することが。

○ 加重する方には構わないというのですか、だめだというのですか。どちら。

○ 例えば、そうした場合に、実質的にはB案にどんどん近づいていってしまう可能性があるというわけですね。ですから、やるとしたら強行規定になるんだろうと思うんですが、それがちょっとほかに比べて、その自治をそこだけが非常に厳格になっている印象があるということです。

○ 全体が比較的自治で貫かれているときにね。
 では、大体の意見はわかりました。よろしいですか。
 では、次に行きましょう。

● 「五 解散」、33ページでございます。
 ※3の★でございますが、これは最低保有財産規制の効果を書いてございます。前回、即解散事由となるというA案ではなく、一定期間内に回復しなければならないというB案ということで御意見が一致したと思いますので、その方向で書いてございます。前回の議論の反映でございます。
 おめくりいただきまして、34ページ、「2 解散を求める訴え」のところですが、これは恐らく目的事業を制限するかしないかと関係してくるんだと思いますが、もし制限をするとすると、その実効性確保のための一つの手段として、評議員に解散を認める訴えを認めるとともに、その解散を求める訴えの中身として、目的事業に制限に違反するという場合を付け加えるということになろうかと思います。
 目的事業のところが両論でございますので、こちらもそのまま両論と言いますか、明確に両論を反映する形になっておりませんが、B案も含めた形での※が付いてございます。
 「七 清算」のところでございますが、残余財産の帰属についてです。本文は寄附行為で決めるというふうに書いてあります。※でそれに加えまして、寄附行為の内容について、A案、財産を出して設立した人が出えん額の限度で帰ってくるのは構わないが、それ以上は不可とする案。
 B案、設立者には出した額も含め、一切残余財産を帰属させることはできないという制約を課すかどうか。これも恐らく目的事業の制約との関係が、論理必然かどうかは若干留保が要るかと思いますが、流れとしてはあるかと思っております。もし、目的事業に特段の制限をしない自由な財団ということであれば、まずは本文の規律でよいのではないかということにもなろうかと思います。
 ただ、目的事業をもし制限するということであれば、その目的事業の中身にもよりますが、A案あるいはB案というような御意見にもなろうかと思います。現在はその関係を特に資料上書いておりませんが、もし今日、今申し上げたような整理でよろしいということになれば、わかりやすさの観点から、ここについても目的事業の両論と関連づけた書きぶりをしてはどうかとも思っております。その点も含め、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○ それでは、そこまででいかがでしょうか。

○ 七の「清算」、「残余財産の帰属」ですが、A案の方向で考えるのがいいのではないかと思います。
 その理由は、非営利の財団法人であるということをここで確保するということでありまして、非営利ということを確保するために、B案は過剰であろうと思います。これを強行的に要請することは過剰であろうと思います。
 事務局が最後におっしゃった、寄附行為で定める内容についての制限との関係でありますが、私は目的事業の制限、24ページの※1についてはA案が適当と考えるものでありますが、それとの関係は24ページ※1をA案でとるならば、さまざまな残余財産があり得ると。さまざまな事業によって得られたものが残余財産に残る可能性があると思います。
 しかし、どのようなものであっても、出えん額以上のものを設立者に帰属させるということは許さないということで、最低限でありますが、非営利性を確保するというつながりになるのではないかと思います。

○ そうですね。非営利性ということからすると、そんな感じのような気がするけれども、制限を設けるという場合が、24ページの方で、B案を取ったときにどうするかというのが、これは単に非営利性の問題ではなくて、目的的な拘束を残余財産についても受けるかどうかという問題ですね。だけど、論理必然的につながるわけでもないんですね。

○ 今、委員がおっしゃったように、非営利性の問題と、それから目的事業の制約の問題と2段階あって、しかし、後者については、必ずしもつながるわけではなかろうと。
 非営利性については、現在の中間法人法でそこは決めなかったわけですね。つまり、そういう規律をしたとしても、幾らでも容易に潜脱できるではないかと。親族などに分配するということが可能ではないかということで、制約しなかったわけですけれども、非営利性を貫くとおっしゃっているような方向になると思うんですが、では、それを本当に担保できるんだろうかという問題だろうと思います。

○ 中間法人の場合は、一応社団形態だけども、帰属すべき財産の額については制限していないと。それを財団法人の場合には少し厳格にする、厳格という言葉は適当ではないのかもしれないけれども。

○ 私の理解に自信がないんですけれども、中間法人の場合も、定款であらかじめ設立する者に残余財産を分配することについて、分配すると定めることは許されないのではないかと思うんですけれども、それは具体的な条文はありませんけれども、非営利性との関係で、無効になり得るものではないかと思います。
 しかし、実際の清算の段階で、清算人が残余財産を設立した人、出えんをした人に支払うということは許されるという2段階の構造になっているのではないかと思うんです。
 そうすると、財団法人についても、そのような関係があり得て、したがって寄附行為でだれに残余財産を渡すかということを定めるときに、設立者と書いた場合には、それは出えん額を限度にすると。
 しかし、ここから先はわからないんですが、第2段階目のところで、財団法人についても清算するときに、寄附行為で十分に定められていないので、清算人が裁量でだれに支払うかということの判断がゆだねられる場合がもしあるとすると、そこは両方考えられますが、現行の中間法人と同じように考えることも可能なんだろうと思います。

○ 清算人のもう一つ前の段階で、解散の決議などをした場合には、その決議でも決められる。

○ 理事が清算人になるんだろうと思いますが。

○ そうすれば、一応さっきの中間法人と同じ考えに。

○ はい。ですから、あらかじめ決められるかどうかということと、その時点で何ができるかということとが、2段階になるのではないかなと思います。

○ 今の御議論に触発されて考えてみたんですが、今の議論の前提としては、営利性の判断を設立者で考えるということが前提になっておりますね。社団の場合には、社員を前提として考えていますが、ただ、財団における営利の基準は何かということは、必ずしもはっきりしないわけですが、既に今の御議論には設立者を基準にするというのが入っている。その当否ということが前提問題としてあるだろうと思います。
 もう一つは、設立者にもし禁じるんだとすると、その相続人に対しても禁じなければいけないということになろうかと思うんですが、それが本当にできるんだろうかという気もいたします。

○ 私は、一旦社会に財産を放出するというと変ですが、出した以上はもう戻ってこないというふうに考えるのも1つの考え方だと思うんですけれども、これが社団の場合と、いずれにしてもシンメトリカルに考える必要がある問題ではないかと。

○ 幾つかの原則、例えば非営利性の原則とか、そういうものの適用においては、ある程度シンメトリカルでしょうけれども、ただ、財団法人の場合には、さっきの非営利性の関係で言うと、もともと利益を享受する社員というのがいないために、委員が言われたように、財団法人における非営利性というのは何かというのが、まずはっきりしない。それで、設立者が財産を出して、解散したときにたくさん増えて戻ってくるというのが、どうも非営利性に反するのではないかということで、今、御議論があったんだと思うんでね。
 ですから、ある程度は平仄と言うんでしょうか、バランスは考えるにしても、完全にシンメトカルに行くのかどうかという辺りが少し気になるところですね。

○ ちょっと伺いますが、これは金額が同じであるということですね。価値が増加している場合には、同じ財産ではなくて、処分した金額の中の出えん額と同じ金額を返すということですね。

○ 本当はそこは両方あり得るのかもしれませんね。つまり、土地などを出したときに、一定年限でもって財団法人は最初から解散することを予定している。そのときに、その土地は戻してくれということを定款で書くということは、あり得るのかもしれないですね。それは、非営利性に反するとは言えない。価値は増えていても、それは時代とともに増えただけであって、儲けたわけではない。しかし、そこら辺はちょっと詰めなければいけない議論かな。
 いずれにしても、これは公益ではないので、委員が言うように、一旦出したらもう戻ってこないということまで強く言う必要は必ずしもないんではないかというふうに考えていますけれども。
 土地なんかの場合はどうですかね。現実的にはそういうのが結構あり得る。お金を返してくれというのは、余りないかもしれないけれども、土地は返してくれなんていうのはあるかもしれないですね。

○ 建物で修繕したりして、有益費部分が出てくるともっと困難になりますね。

● 出捐額の書きぶり自体も、むしろ疑義を呼ぶということですね。

○ 今のはそういう問題ですね。

○ 1つ前に戻ってしまうんですけれども、34ページの七の1の「残余財産の帰属については、寄附行為によって定めるものとする」という、この寄附行為の定めのイメージですが、例えば解散をするときは、その時点における理事会が、残余財産の帰属先を決めるというのでも構わないと。それで、手続を決めることでも構わないということでしょうか。

● 民法は帰属者を寄附行為で指定するとなっておりますけれども、この書きぶりは、むしろ御指摘のようなものも含む趣旨でございます。

○ 非営利性というのは、ここでもって貫徹するのは意外と難しいという問題なるのかな。
 相続人の方は、目をつぶるというのか、探し出してやればいいということになるのかもしれないけれども。

○ A案の考え方を少し緩和させることになるかもしれませんが、もしかしたら先ほどと同じことですね。例えば、理事会が決めるというふうに定められていて、そのものが設立者に、あるいは設立者の相続人に実際配分してしまうと、それは中間法人と同じように恐らく許されてよいと思います。しかし、それをあらかじめ寄附行為で定めること。これは明文で強行的に禁止するという考え方を先ほど申し上げましたが、そこまでしなくとも、しかし、やはり非営利性との関係、寄附行為のその部分は無効になるというふうに考えるべきではないかと思います。

○ その部分は無効なので、あとは理事会が決めるということですね。

○ そうですね。何も決めていなかったことと同じになると思います。

● 何も決めていなかったときの決め方が理事会に行くのかどうかについて、中間法人は、まずは、定款で定めることとし、定款で決まらないときは、社員総会で決めるというルールになっております。
 今の先生のお話を踏まえると、そこまで本当はちゃんと突っ込んで書いておかないと、解釈問題になるということだろうと思います。民法を確認しますと、まずは、寄附行為で指定することとし、寄附行為で指定していないときには、主務官庁の許可が必要とされていて、類似目的のところに寄附するということで抑えをしております。そうすると、こちらでも、評議員みたいなものをやはり置いて、この部分についても評議員会の判断によるものとすべきかもしれないですね。
 勿論、寄附行為で理事会にゆだねるとすることも、中間法人が定款で「理事会で決める」ということが有効となることと同様ですね。そうすると、財団も寄附行為で理事会で決めれば、1項の世界で、寄附行為によって理事会となり、それがない、あるいはそれによって決まらないときは、2項、次の補充規定に基づいて評議員会が決めると、中間法人並びのルールが相当ではないかと思います。
 その中の解釈問題として、最初の寄附行為で決めるときに、設立者に全部返すというようなことがいいのかどうかという論点がある。非営利をどこまで強調するかという整理になるんでしょうね。
 そういう意味で、資料を少し整えて、またこの部分は特に御確認いただきたいなと思っております。

○ 幾つかまだ残っている問題があるとは思いますけれども、さっきの出えん額というようなところとか、出捐したものというか。

● 極力整理してみたいと思います。

○ ほかはよろしいでしょうか。

○ 今の確認なんですが、七の1でA案を取る場合の根拠として、それが非営利性に反するからなのか、それとも事業について専ら収益を図る目的であってはならないということを担保するためなのか、両方あり得ると思いますけれども、委員の御議論というのは、非営利性から持ってきておられるわけですね。
 そうしますと、やはり財団における非営利は設立者を基準にするということをここで決めるということになりますが、それは全体に関わることですので、問題は全体を検討する必要があるということだけを付け加えておきます。

○ 設立者だけなのかと言われると、もう少し広くとらえるべきかもしれないけれども、少なくとも設立者に関しては、そこに財団法人の事業の利益が行くとか、あるいは今のように残余財産が増えて戻ってくるというのは、実質的な意味で非営利性に反する。
 だけれども、厳密に言うと、設立者以外の者に、財団法人を運営中にいろいろと利益を享受させることがあり得るわけですけれども、それは非営利性に反しないのかと言われると、判断が難しい。法人の運営に全く関係ない第三者に利益を与えるのは構わないわけですが、何らかの関係がある者に与えるとなるとどうか。ここではどういう議論をしたのでしたか。構わないということになったんでしたか。
 例えば、家族財団みたいなもので、事業から上がるものは家族に分配してしまうというのはどうなのか。法人の財産を拠出したのは、別の誰か特定の人であるというときに。そういうのは営利性に反するのか、反しないのか。何か限界がありそうだが、営利性からだめというとは、ちょっと感じが違いますね。利益を無償で分配しているということなんですね。それは営利とはちょっと違う。
 こうした難しい問題がありますが、少なくとも拠出した設立者に関しては、ほかの国の財団法人でも、そこに利益が行くのは、営利的であるからだめだ、という規制をしている国があったような気がします。

○ A案には「妨げないが」とありますが、これは清算人の裁量事項だという考え方になるわけですか。

○ これは、寄附行為で定める場合の話ですね。寄附行為でもってそもそも設立者に財産が行くということを定めて構わない。

○ 寄附行為では明確に定めるということですか。

○ そういうこともできるんですね。決めていないときに、清算人あるいは解散の決議をする理事会、あるいは権限は評議員会なのか、そこはまだ残っていますけれども、そこで設立者に戻すということを決めても構わないと。2段階あると思います。

○ 清算人には裁量はないというふうに考えるということですか。

○ 何も決めていなければ、一定の裁量権があるんじゃないでしょうか。

○ そうですね。

○ よろしいでしょうか、ほかの点も含めて、1ページ前の33ページの方の★の付いているところも、これでよろしいですか。
 ちょっと細かいことだけれども「解散するものとする方向で」ということで、余り厳密に書いていないので、これでいいと思うけれども、次の年度ということになると、もしからすると、異論が出るかもしれないですね。さっきの段階的に解散するのを認めるとすると、そうですね。かと言って、いつまでもだらだらとやっていていいのかというと、それも適当でない。

● 私は清算手続の中で、残り300万を最初の目的、あるいは300万以下になっていることもあると思いますが、取り崩し財団ですから、それが清算人の仕事、理事から清算人の仕事になるだけでも、多分実現はできるのではないかと思うんですが、感情的に受け入れられないかもしれないかなと思っています。

○ ちょっとわかりませんけれども、例えば、前から申し上げている例として、私が関係している財団法人は非常に小さい財団法人で、今、恐らく600万ぐらいしかないんですね。
 勿論、それだけでは運用財産でやっていけないので、もう一つの選択肢としては、どんどん取り崩して、主務官庁がそれを認めての話ですけれど。基本財産を取り崩して、どこかでなくなったらおしまいにするということができると選択肢が広がる。
 そうすると、毎年どのぐらい取り崩すかだけれども、50万ずつぐらい取り崩していくと、結構もつわけですね。300万切ってからも6年間もつ。そのほうが事業を行うことができるので有意義だと思うのです。そういうことが、この制度の下で許されるかということですね。

● 解散事由にしてしまえば、もう解散になってしまいますし。

○ それはまだ解散ではないですね。細々だけど続けているんですね。途中でもし大口の寄附でももらえれば、また復活して。

● そうすると、300万という線引きが、その目的の50万ずつのタイプには、ちょっと衣が大き過ぎるということになるんですが、では6年としてしまうのは、また何の根拠もないような気が、翌々期ぐらいまでであれば、おそらく許容だと思いますけれども、そうすると、ここは一定の期間内ということで、むしろ「例えば」を取ってしまって。

○ いや「例えば」はどのみち例えだからいいんですけれども。

● どこかで線引くしかないと思うんですけれども。

○ 今の場合も、なくなれば解散するという方針は立てることになるんだと思うんですね。しかし、その期間がそんなに短いわけではなくて、今のように取り崩していくと数年はもつ。これは柔軟に適用すれば何とかなるとは思いますけれども。

● 準則の世界ですから、いかようにでも柔軟にはできるんですけれども、なかなか積極的には説明しにくい。

○ 積極的に説明しにくいんですね。

● 法人は解散してしまえば、その後は、野となれ、山となれとなってしまうケースが多いですから。

○ 最後の50万かける6年という部分を法人形態じゃなくして処理するということが実際には出てくるんじゃないかと思うんですけれども、法人は解散して。

○ 恐らく解散するという立場を取った場合の話でしょう。

○ そうですね。任意の団体にするなり、信託にするなりという方法はあると思うんですが、それでうまくいかないというのは、その後、寄附が入って復活するということだと思うんですね。
 その復活する可能性を残すということになると、こういう制限を課すること自体が、やはり難しくなってくるかなということですね。

○ 最初の段階での制約は全く問題ないと思いますけれども、やはりだんだん切ってきたときにどうするかと。
 ここでは、とりあえず、少し緩く考えて、親会議の方の議論も踏まえながらもう一度考えるということでよろしいですか。それとも、もうちょっと何か積極的な御意見があれば。

○ さっきの復活の点について、そういう法制を仕組むことは可能ですね。一旦清算に入ったけれども、また戻ると。ただ、ちょっと手続が重くなるのかなという感じがします。

○ そこまで認めるんだったら、300万切ったら解散ということを言わなくてもいいのかもしれない。

○ 一応、300万については、それで基準を出しておいて、それで300万を切ると清算段階になっていくけれども、しかし、また戻ることができるという法制はあり得ると思います。

● 社団には、解散後の法人の継続の手続はございますので。

○ 清算手続になった段階でもって、特別にいろんな制約とかが生じるのでしょうか。

● 制約は、清算の目的の範囲内でしか事業ができないというのが1つございます。

○ 今までの事業をそのまま継続していくこと、これもどういう事業かによるけれども、例えば奨学金を寄附していくというような、それはできるわけですね。それは続けながら減らしていく。そういうのは別に構わないですね。清算の目的というのは、とにかく事業はそこでやめてしまって、あとは債務の弁済だけだというわけでもない。

● 恐らく新規の奨学金受給者を決めるとかになると、解釈問題が出てくるような気がします。すでに受給者が決まっていて、その履行という形であれば、清算業務の範囲内であると解釈できるのではないかと思います。

○ そうなると、毎年50万ずつだけれども、奨学金の受給者を決めるんですね。

● 清算の目的の範囲内ということの解釈だと思います。今、新規を決めるというのは難しいと申し上げましたけれども、ただ清算手続が間延びしてしまうということだけですので、余り目くじら立てるようなことでもないような気もいたします。

○ まさに段階的に解消するというのは、そういうことなんですね。事業は継続しながら、そこで使う費用はどんどん食いつぶしていって、それでなくなると。なくなると言っても、きれいにゼロになるわけではなくて、どこかの段階では次の年度は事業ができないから、これでおしまいだと。そういうふうに決めるのだと思いますけれども。今の例で言えば、50万を切る、来年度は10万しか残っていないとなると、これはもう何もできないから、清算だということになる。

○ おっしゃるとおり、清算の目的という範囲の解釈の問題だと思いますけれども、奨学生を選ぶ基準とか何かがらっと変わるのなら別だと思うんですが、同じ基準で決めてやっていくこと自体は、清算の目的に入るというふうに言って言えなくもないような気もいたしますので、その辺り解釈の余地があるということを御説明いただくことと、また、いろいろ信託とか、別の法形態に移ってしまうというような、実務的に幾つか対処があるということを説明申し上げれば、御納得いただける部分もあるであろうという気もいたします。

○ 奨学生を新たに決めて出していくということは、ほかの債権者の利益を害するということにもならないでしょうか。

○ 清算段階に入っているとね。

○ そうですね。やはり、清算というのは債権債務の整理という意味だろうと思いますね。

○ 今のは難しい問題だな。

● ただ、清算のために事務所を借りることもできると思いますので、そこはトータルで債権者を害しているのかどうかということなんだろうとは思いますけれども。
 いずれにしましても、資料はこのままで、多分今の御議論ですと、継続のようなことを頭出しするか、ただ、そこはそういう御指摘もワーキングではあった、資料には書いていないけれどもというのと両方あるかと思うんですが、書くのも十分あり得る。それは、むしろ法制化をしないと継続はできないと思いますので。

○ いずれにしろ、資料はこれで構わないと思いますけど。これは、法制度的には最初の段階で300万要求するけれども、後は一切要らないというと、最初に要求することの意味が何なのかというのがかえって問われてしまうと。そういうところに問題点があるということですかね。
 一応、存続中は満たすべき基準としてないとおかしいと。言わば、見せ金みたいなあれになってしまうわけですね。口頭で説明すれば、資料はいいんじゃないですか。

○ さっきの継続の点については、社団についても、社員がいなくなったときに、また戻して継続するということがあり得ると思うんですね。
 そうすると、どこかで、ここでなくても構わないんですけれども、何か継続について備忘的に入れておくというのもあり得るかなという気がしております。

○ それでは、次に行きましょうか。

● それでは、35ページの第五、第六について御説明いたします。
 第五は、大規模な法人に関する特例で、基本的に商法特例法にならいまして、負債額200億以上、また、資産の面で見ると、前回の資料では資産額100億円としておったんですが、むしろ、拠出金や純資産の方も5億円というふうに商法に並べてはどうかという御提案でございます。
 第六は、経過措置等でございまして、一の1は、親会議で御議論いただいております最中でありますが、民法法人が非営利法人に移行する場合を検討中でございます。
 2以下が、中間法人をもし統合するという方向、今、そういう方向でございますが、その場合の移行を書いてございます。
 (1)が有限責任中間法人が新たな非営利法人に移行する場合でございます。A案、B案書いてございますが、なお、ほかの考えもあるかという形で本文になっています。
 A案は新法施行時に現在存在する有限責任中間法人は、すべて新たな非営利法人と見なすという案でございます。
 ※1は、その場合、基金等、若干規律の異なる部分がございますので、その場合の経過措置を置くと。
 ※2は、移行を希望しないといたしましても、自ら解散しない限り、新たなものに見なされてしまうということになることの確認であります。
 B案は、それとは違いまして、有限責任中間法人が組織変更をして非営利法人になることができるとする考え方を取ってはどうかという案です。
 この場合には、組織変更でございますので、※1のような所要の手続が必要になろうかというふうに思ってございます。大きく違うところは、Cの債権者保護手続を、こちらの場合には必要になろうかという部分でございます。
 ※2は、移行を希望しないという有限責任中間法人がいた場合に、B案の下ではどうなるかと、甲乙と書いてございますが、甲案は組織変更しなければ解散したものと見なすという案でございます。
 乙は、解散と見なすわけではなく、なお、中間法人法の効力が生き残るという案でございます。
 ただ、この案の場合には、新法施行後も非営利法人になった中間法人と、中間法人のままのものが残るということで、若干問題があるんではないかと考えております。
 (2)は、無限責任中間法人からの移行でございまして、@は、新法に無限タイプを設けない場合、その方向の検討に基づくものでございます。
 この場合には、有限タイプの新たな非営利法人になるわけでございますので、組織変更手続が※1のようなものが必要と考えてはどうかと思っております。
 ※2は、やはり変更を希望しない、無限責任中間法人の取扱いが問題となり、甲案のように解散すると見なすか、乙案のように、なお新法施行後も中間法人法の組織変更をしない無限中間法人が生き残るという案でございます。
 Aは、新法に無限タイプを設ける場合です。設けるとすると、(1)に準じた経過措置の検討が必要と。
 二は、所要の経過措置という部分でございます。
 ここまででお願いいたします。

○ それでは、第五、第六のところですが、いかがでしょうか。第五は、委員の御意見でも、これでよかったのかな。

● こういう感じで。

○ そういう意味では、そんなところですかね。移行の方は余り今まで議論していただいていないんですけれども。

● 済みません、最後の段階になって恐縮です。

○ ここで考えておりますのは、あくまでも非営利の段階での移行の話でもって、端的に言えば、中間法人から非営利法人に移行するというときの問題ですね。

○ ここのところは、改革の理念と申しますか、理念に基づいて、この席でやっている作業の目標の確認から申し上げますと、今ある中間法人よりも、恐らくより立派な非営利法人法制をつくるんだと、また、そうしなければならないんだという原則論から行けば、まず、少なくとも36ページから37ページにまたがって書かれてありますB案の※2の乙案で、ずっと現行有限責任中間法人が残り続けて、関係規定もなお効力を有するというのは、これはやはりこういうものを避けなければいけないというのは、ここでの作業の目標なんだと思いますので、これは適当ではないのではないかと考えます。
 資料的にも甲案と乙案が対等な立場で並ぶような代物であるかということについては、疑問を感じるということを、まず指摘させていただきたいと思います。

○ そうですね。

● 規律の中身からすると、恐らくA案の方向を積極的に考えてよろしいのではないかと思っておるんですが、なお、やはりB案を取るべきだという理由はどこにあるのか。端的に言えば、A案であっても※2にあるように、法人であることをやめさえすれば、移行はしなくて済む。 B案であっても組織変更したくない人は、今、乙案がもしなくなるとすれば、やはり解散したものと見なされてしまうわけですから、AとBに本質的な違いはない、移行を望まない中間法人についての取扱には、本質的な違いはない。
 そうすると、実は、債権者保護手続を経て、新法の法人に移行するという手続を、現行中間法人に課すかどうかという点に実質的な違いがあると理解できるんではないかと思うんですが。
 そういたしますと、有限責任であって、基金は拠出金と見なすことができるとすれば、債権者保護手続を強いて必要とするほどの法人格の断絶があるといっていいのかどうか、むしろ消極と考えてもよいんではないかと思ったりするんですが。

○ 違いといいますか、要するに自由は確保するという前提で考えたときに、債権者保護手続があるか、ないかという違いというのは、今一つ私はよくわからないけれども、仮にA案で新たに非営利法人だというふうに見なしていくタイプですね。これだって、見なすことは見なすけれども、両者の間には実際上少しはギャップがあって、債権者の利害を害する可能性があるんであれば、それは別途債権者保護手続を入れた上でということにはならないのですか。

● 債権者保護手続が必要であるとすれば、それは、恐らくみなせないんではないかと思います。

○ そうですか。

● みなしているのに、債権者保護手続を取らなければならないとすると、もし、債権者保護手続に違反した場合には、「みなし」がさかのぼってなくなるのかとか、ちょっとよくわからないことがございます。

○ 債権者だけの異議だからね。法人関係者は移行したいと思っていて、異議が出たというときの扱いですね。

● だから本当はB案で債権者保護手続が絶対に要るのかどうかから逆に考えなければいけないのかもしれないですけれども、そこがどっちがあるべき姿なのか、若干よくわからなくて、B案の債権者保護手続が必要と書いてあること自体が、もしかしたら違うのかもしれないんですが。

○ B案で債権者保護手続をなくしたら、A案と本質は同じじゃないですか。

● 本質は同じです。

○ ただ、やはりさっき整理されたように、債権者保護手続を置くかどうかがA案、B案の間の実質な違いなんだというふうに理解したんですけれども。

● それが必要となるだけの法人格の断絶があると理解するかどうかなんではないでしょうか。すみません、同じことを、あるいは間違って整理してしまったかもしれませんが、先生のおっしゃるとおりだと私は思っております。

○ 違いは、B案の場合ですと、組織変更の登記が必要であって、かつ、登記をするか、しないかについて一定の期間を設けるということが違うわけですね。そういう利益を、あるいは負担を有限責任中間法人に課することの可否ということだと思います。
 そうしますと、債権者保護手続以外に現行の有限責任中間法人と新たにできる社団型の法人との間の違いは何かということを照合した上で、もしも、何か一定の期間を与えて、かつ組織変更という積極的な行為をなさしめることに意味があるんだったらB案ということもあり得るかもしれませんが、恐らくないんじゃないかという気がいたします。
 ただ、一応確認はした方がよかろうということです。

○ 恐らく有限責任同士であれば、まずないんだろうと思います。
 では、今の委員のサジェスチョンでよろしいですか。一応、有限責任中間法人と、それから新たな非営利法人の違いをもう一回詰めておいた上で、債権者保護手続は本当に必要なものかどうか。必要もないようなものであれば、A案でいいだろうということですね。

● 無限の方は逆、全然違ってしまうので、もう組織変更しかないんだろうと思っております。
 先ほどの先生の御指摘に従いますと、37ページの※2の乙案というのは、やはりないんだろうと。
 ただ、これは無限がなくなってしまうから、やはり無限がいいという考慮が必要かどうか。ただ、それは無限タイプを残すかどうかという判断と一致していなければいけないんではないかと思いますけれども。

○ 無限責任タイプで残りたいという人の意思を尊重して、無限責任法人を残すべきだということになると、本来、非営利法人法制の中で、無限タイプを設けるべきだということになるんですね。これは、少しは議論したけれども、無限タイプについては最後まで詰めていないところがある。

○ これは無限タイプが現在どういうふうに利用されていて、社会的な需要があるのか、ないのかという議論がここで出ていたと思います。

○ 幾つかは例があるという話だったんですね。

● 165法人ぐらいございます。残念ながら10月1日までに調査するのは難しそうであり、引き続き検討をさせていただきたいと思います。

○ その理由が、現在、中間法人も300万でしたか、それが集まらないから無限にしているのか、別な理由で無限にしているのか、そういうところですね。
 では、これはそういうことでよろしいでしょうか。あと関連規定の方はいいですか。 これで一とおりやったんですけれども、幾つか残っているものがありますか。

● 社団の方に戻って、幾つか御議論いただければと思っております。
 1ページからであります。
 1ページのところは、「第2章のうち、公益法人に関する規定を」というふうに全部改めるようなことが書いてありましたので、修正いたしました。
 おめくりいただきまして、2ページにその具体的なものが※2であります。33、36、49は公益法人のみに関する規定ではないのでということで。
 ※3は、民法43条も残すということなんですが、これは法人一般に関する規定と関するためであると。そうすると、このほかにも、何か類似の、残す、残さないというより新たに民法に書くかということも御示唆賜われればということで書いてございます。
 2ページの第二、一の※1の部分について、定義のところですが、これは「剰余金を社員に分配することを目的としない社団」と書いておったんですが、むしろ「営利を目的としない社団」という定義に改めてはどうか。実質は変えないんですが、表現ぶりとしてちょっと会社法における法制的なやりとりも踏まえまして、修正をしてございます。実質の変更というつもりではございません。
 3ページのところの★に御提案を申し上げております。法人の名称について、なお検討となっていたんですが、財団、社団を含め「非営利法人」と呼んだ上、その種類に従って、個々法人については「社団法人」、「財団法人」という文字を使用するというようこととしてはどうか。重ねて「非営利社団法人」ですとか、「非営利財団法人」というふうにしない方がよいのではないかという御提案でございます。
 今の論点について、御示唆賜われればと思います。

○ 時間が余りないのですけれども、2ページの※3のところで、民法でどんな規定が残せるのかという話ですけれども、これではちょっと寂しい感じがしますけれども、基本的な考え方、どういう規定が民法に残っていいかというふうに考えると、これはそう簡単じゃないのかな。
 私が思いつくのは、あらゆる法人について一応原則となるような一般的な規定があれば、民法に残っていてもいいという気がするんですけれども、ただ、非営利法人法というのが、非営利の分野における一般的な法だとすると、そこに一般的規定があればいいということになってしまうわけですね。
 それに対して、非営利法人法の中ではなくて、なお民法にあった方がいいんだという議論が通用するためには、非営利の法人だけでなくて、それ以外の法人、端的に言うと、商法も含めた法人ですか、それに共通するような何か原則があれば、それは民法にあるべきだといえる。法人の能力は、一応その一つの例ですけれども、それ以外に考えられるものとすると、法人と代表者の関係、委任の関係という規定とか、あるいはそこから派生する問題とか、そういうものは民法にあっていいのかなというふうにも思うんですけれども。どんなものでしょうか。

○ 私も今の座長のおっしゃったような方向で考えているんですけれども、考え方としては、2つあると思います。現行の民法から公益法人に関する規定を削除して、あとに残ったものを残すというのが1つの考え方です。
 もう一つは、新たにできる非営利法人法と、民法に置かれる規定との関係を考えるのというものです。
 多分、非営利法人法の中にどんどん入れていけば、民法は4か条ぐらいで構わないんだということも機能的にはそれでわからなくはないんですが、問題が2つあるように思います。1つには、さまざまな法律が準用している、その準用の源になっているものが民法にあるということがわかりやすいのではないかということがあります。
 もう一つは、これは法律にそういうことを期待すべきではないという考え方は十分承知しているんですが、やはり、法人という概念を国民が共有できる、そういう源があった方がいいのではないかという気がいたします。
 具体的な規定としましては、先ほど座長がおっしゃいましたような、法人と代表者の関係も含めて、組織一般についての規定、あるいは設立、解散についての規定というのがあっていいのかなと思います。

○ 結構、委員の御意見に基づいてやると、民法の中身も相当がらっと変わるところもあるかもしれませんね。公益法人に関する規定だけ落とすというものだと、残るものは、現在のままでいいのかもしれないけれども、もうちょっと新しいものが大分入ってくる可能性があるんでしょう。

○ そうですね。

○ これは、今、ここで決めなくてもいいと思いますけれども、そんな問題がなお残っているということです。
 ほかに、どうぞ。

○ もう一つ同じようなことなんですが、※2で49条を残すんだとしますと、49条が準用している45条、46条、48条というのも残らざるを得ないだろうと。そうすると、法人についての登記の制度が入ってくる。そうしますと、登記だけがあって、ほかの部分がないというのも非常に奇妙かなという感じがいたします。

● それは、外国法人の登記に特化して49条の中で書きくだすか、あるいは別にできた非営利法人の登記の規定を49条の中に準用だから格好悪いと思うので、書きくだす。つまり、45とか、46が民法に残るのではなくて、45、46のうち外国法人に関わる部分が民法に残るということになるんだと思います。

○ 形式的には、今、おっしゃったようなことで済むと思うんですが、ただ、法人については、やはり登記というのが共通の制度なんだという理解が前提にあるんだとしますと、入る可能性があるんじゃないかなということです。

○ 36条は民法に残すけれども、49条は外すということは、解決としてあり得るんですか。

● あり得ると思います。

○ そうすると、決めてしまわない方がいいですかね。改正の対象としないというふうに書いてしまっていますけれども、若干技術的な問題の部分はありますね。

● 「検討」としておきたいと思います。

○ 委員のお考えをよく理解するために、御質問申し上げるんですけれども、委員のおっしゃっているような考え方で立法化された場合に、民法に基づく法人というのは、それでもないんですか。それともあると考えるんですか。

○ 民法の33条に基づいて、法人が設立されるわけですね。

○ はい。しかし、33条は法律を要求している。現在は33条が法律を要求している、その法律にも民法が入っている。しかし、新しい制度の下では、33条がまず法律を要求する。その法律には民法は入らないんですか。

○ ですから、33条に基づく法律によって、各種の法人が設立されるけれども、しかし、その法人については、最低限こういうものが含まれている、それが法人なんだというイメージなんですけれども。

○ そうすると、33条が第1層にあるとすると、第2層に新しくできる非営利法人法、それから現行ですと商法、そしてその他の保険業法にある相互会社とかが並ぶわけですね。
 しかし、33条以外の民法に残る部分というのは、イメージを与えるという、その機能は確かに了解するんですけれども、法的な規律としての構造としてはどういうふうに仕組まれるんでしょうか。

○ デフォルトになると思うんです。各単行法で、それと違う規定を設けるということはあり得ると思いますけれども、それがなければ適用される、あるいは、それを準用する形で各法律の中で生きてくる。

○ 余り技術的なことに自信がありませんので、ここで頑張ってもしょうがないんですけれども、準用される条文というのは、それ自体が具体的に意味を持っている、適用対象を持っている規定が準用されるというふうに私はイメージしているんですけれども、しかし、今のですと、民法に置かれる33条以外の規定は、それ自体だけでは使われず、日本の民事法制における、抽象的な法人規定というような位置づけになるように思うんですが、それがだめだろうということではないんですけれども、今までの法人に関する諸法律の関係とは随分変わったものになってくるように思うんですが。

○ 恐らく、それは法典をどう見るかということの問題だろうと思うんですけれども、例えば所有権とか、債権とかという概念を民法の中で規定しているわけですね。債権については、定義というよりも別の条文になっておりますけれども。そういったレベルでの法人像というのを置いておいてもいいんじゃないかということなんです。

○ 例えば、民法の中の相続財産法人とかね。

○ それは民法ですね。

○ 幾つかあるかもしれない。そこにいろいろ適用する必要があるのかどうかわからないけれども、若干はあるかもしれない。

○ ちょっと民法のことを忘れてしまいましたので、教えていただきたいんですが、43条は残すとすると、44条の法人の不法行為能力というのはどうなるんでしょうか。

○ 私は、43条を残すんであれば、そういうのも残っていい候補の1つだと思います。しかし、非営利法人法の中にも規定は置くことになるかもしれない。

● そこは民法に残るかどうかなんですけれども、例えば43条を残すという話自体が、今、委員のお話を伺っていて、逆に43条が残せるのかどうかということに、むしろ疑問を持ってしまったぐらいなんですけれども、ちなみに43と44の取り扱いを分けているのは、44は商法でも準用しているからなんです。43は商法で準用していないので、まだ生き残る余地があるんではないかということで、ここに書いてあるのであります。

○ いろいろ意見があると思いますけれども、委員のような意見、あるいは私もこれに近いけれども、そういう考え方からすると、ある種の法人に共通する原則なので、直接民法に基づいて法人がつくられるわけではないけれども、すべての基になるものとして民法に置いておいたらどうかという考え方ですね。

○ つまり、法人は、最近いろんな特別法で設立が認められていますね、資産流動化法でもそうだったと思いますし、そうすると、やはり私は全くの素人ですが、44条があった方が自然な感じがするんですが。

○ わかりやすい感じがするんですね。法制局みたいなところは、そういうのはいかぬと言い出す可能性があって、それに対する、何かもうちょっと理論的な根拠があった方がいいと思う。特別法の中で、必ずしも非営利法人とは言えない、営利法人に近い、余りいろんな法人の色分けができないような特別法でできた法人などがあるときに、それの基になるのは一体何かというと、非営利法人の規定を準用するということもあり得なくはないけれども、ちょっと性質の違うものを準用しているかもしれないので、法人の大元になる規定が民法にあれば、それを準用するというのが適当だと思いますね。そういう考え方はあり得るとは思います。
 ただ、委員が言われたように、民法に基づく法人という典型的なものがないというところが、ちょっと痛いですね。

● 法制的な検討も含めて、そういう御意見がワーキンググループで強くあったと、最終的には法制的な観点からの整理になってしまうと思いますが、強い御意見があって、検討したいというふうに思っております。

○ いずれにせよ、これは前から議論になっているけれども、ここで決めてしまう問題ではなくて、恐らく民法についての議論がなされるところでするのでしょう。

● 法務省との御相談もあるかと思います。

○ これは立法手続の問題ですけれども、あとは法制審議会を通らないで、法務省がお決めになるということになってしまうんでしょうか。

○ ある程度ここで意見を出した方がいいと思いますね。

○ そういう意味で、今、申し上げたわけです。

○ 名称の方はよろしいですか。これもいろんな考え方があるかもしれないけれども。

○ 名称についてですが、経過期間の間に、混乱が生じないかという点が若干気になります。
 つまり、新たな非営利法人法における社団法人というのは、現行法制の下での中間法人に相当するものである。それから、経過期間の間は、現在の社団法人、つまり、新法制の下における公益性を認定された社団法人も残る。いずれも社団法人という名称で、違うものが入る。その混乱を何とか避けるために、どうしたらいいかということを更に考える必要があるかと思います。

○ それが一番の問題だと思います。では、それは検討するということで。

● お時間がほとんどないので、資料の6ページに社員の資格の法律上の制限を設けないと、本文と同じことの、念のための確認が書いてございます。
 8ページの★のところには同様でございまして、議決権の別段の定めについても特段の制限は設けないと。議決権については解釈にゆだねるということが書いてあります。
 10ページについてですが、★は全部譲渡する場合には、定款の変更または解散に結び付き得るということで、社員総会の特別決議を要求してはどうかと書いております。
 11ページが、もう一つ資料があるんでございますが、ちょっと飛ばして、12ページに代表訴訟について会社法の検討中のものを入れたらどうかということが書いてございます。
 16ページに、前回の御議論を本文化しております。Aのアの「(定款)」の前に(1)と、@がダブっておりますので「(1)@(定款)」と、それから「(2)@と同様とする」というふうになろうかと思います。
 それから、20ページに恐縮ですが、拠出金を法人が取得する場合の取扱いについて、中間法人62条の規定と同様のものがございます。
 これが、本資料の修正点でございまして、あともう一つ、事前に御説明させていただいた資料23で、理事の責任制限について、商法に基本的に準拠した御提案をさせていただいております。これらを併せて残りの時間はもうないんですが、コメントをいただければと考えております。

○ それでは、残り全体の中でいかがでしょうか。
 今、御説明いただいた範囲では、大体そんなところでよろしいかと思いますけれども。

● もし、お許しいただければ資料の23でA、B分かれているところが若干ございますので、資料23の方をお開きいただきたいと思いますが、第1の社団の場合で御検討いただきたいと思いますのが、責任免除の限度額について、商法並びが(3)で書いてございます。報酬を受けたことがない理事について、全額免除が可能となることを問題視するかどうかは※に書いてございます。ただ、商法でもそれは理論的にあり得ることなので、本文どおりとしてはどうかと考えております。
 もう一つの大きな話が、2の事前責任限定契約の方で、(4)A案、B案ございまして、B案のように、社外取締役のような切り出し方をするのか、A案のように、無報酬、非常勤理事については事前に責任免除契約をするというようなことが考えられるのか。これが社団での問題点かと考えておるんですが。時間がない中でお伺いするのも恐縮ですが。
 あるいは、免除額の方は、他の理事を基準とするようなことは、ちょっといかがかということで、本文どおりでおまとめいただければと。

○ 大体そういう方向だったような気がしますね。

● 事前に伺う中では、大体そういうことで。
 それで、2の(4)のA案、B案の本案については、若干決めかねるんですが、商法並びということであれば、B案ですし、公益法人、あるいは中間法人は違うのかもしれませんが、実態を踏まえると、無報酬、非常勤という切り出し方もあり得る。あるいは両論でもいいのかもしれませんが。
 甲乙決め難くて、商法を変えようとすると、A案の方がしっくりするような気もします。

○ 理事で業務執行権のないというのは、今後といいますか、現在でもそういうのは。

● 定款で制限すれば、業務執行権のない理事をつくることはできると思います。

○ 業務執行権というのは、対外的な代表とはまた別ですね。

● 対外と対内の両方ございまして、代表権を持っておれば、業務執行は当然あると思います。

○ 代表権のない理事だけれども、業務執行権がないというような書き方をする定款というのは、余り私は見たことがないような気もするけれども、あるんですか。

● それはないかもしれません。だから、商法で言えば、完全に社外から持ってくる人、過去に使用人でもなく、取締役になったこともなく、外部から来る人、そういう意味での業務執行権を有していないと。

○ なんか概念としてわかりにくいなという感じがするんですね。今、私のところも小さな財団があるけれども、対内的な業務執行権がないということの意味も余りはっきりわからないし、理事会に出て決議するだけだと。

● 商法の。

○ 商法はわかりますからね。

● そうですね、御指摘はわかりました。

○ Aの方がわかりやすいような気がしますけれども、どちらでもいいのかもしれない。

○ Aの場合には、現在非常勤であることというのは非常にわかりやすいんですが、報酬を受けたことがないというと、非常に古くまでさかのぼるということが、ややかたいかなという気がします。

○ では、いずれにせよ、ここでは絞らないで、A案、B案残しますけれども、御意見だけは伺うということにしましょうかね。

● ちょっとBを小さくするような扱いかなと。並列ではなく、Aを基本にしつつ、Bのようなことも商法を見るとあり得るぐらいで。
 それで、2ページの方が財団の方も同様に免除を考えておって、事後免除の方については1が評議員会だけの決議ではなく、寄附行為に基づくというような方向でいかがかということ。
 あと、(3)にA案、B案ございますが、事前に伺う中で、Bの総評議員の同意というのは、ちょっと厳し過ぎるんではないかというふうに伺っておりまして、A案を基にして第2の1を本資料に盛り込むような、勿論、いずれもこれは検討とせざるを得ないと思いますが、いかがでございましょうか。

○ 寄附行為にそういう規定がなければいけないというのは、少し重いかなという感じもしないでもないけれども、社団法人の方は、社員総会の特別決議があるからいいということですね。

● いいということです。寄附行為の変更権限が評議員に専属するということになれば、多分余り意味はないのかもしれないんですが。
 先ほど寄附行為の変更についてA案を基本に置くということからすると、実は第2の1の寄附行為に基づくというのが要らないのかもしれません。
 ただ、若干のちゅうちょは、やはり社員総会は理事の責任を免除する主体として大変ふさわしいのに対して、評議員会が必ずしも社団同様に言えるのか、設立者との結び付きを少しでも求めるように考えたのが、1のたたき台なんですが。

○ 設立者の意思もなかなか、どっちにしますかと言われたときに非常に困るだろうという感じがするんですが。いや、違反した場合にも理事の責任を免除することがあるという規定はどうですかと言われると、設立者としてはそれは変だろうというふうに思うかもしれないし、逆に非常に親しい自分の親族だとか、何とかが理事になっていると、やはりそういう場合には免除の可能性があった方がいいと思ったりするし、設立者の意思というのが難しい感じがするんです。

○ (3)でA案を取ったときには、(1)で規定がなかったときには、恐らく寄附行為を変更することになりますね。そうすると、特別決議のハードルが違ってくるかもしれませんけれども、いずれにしても、特別性のある決議を2回繰り返すという手間を強いるということになろうかと思います。
 それから、座長の社員総会の社団法人と違うじゃないかという理念というか、理論の部分はごもっともであると同時に、恐らくそれを踏まえつつも、特別多数決議をうまく仕組めば、それは、言わば実質的には兼ねているんだと考え、その寄附行為の変更によって、そうしたという部分も趣旨としては組み入れた上で一回でやればよいのではないかという議論も成り立たないことはないと思います。

○ そうですね。

○ 2回やることに、もし意味があるとすると、寄附行為変更手続自体について、ほかの何か制約がかかってくるという場合には意味があるだろうと。とりわけ、公益性のある非営利法人について、寄附行為の変更に何らかの監視が働くんだとすると、そこは実質的に変わってくる可能性がある。

○ わかりました。御意見を伺っておいた上で。

● そうすると、寄附行為の規定に基づくというのは一応入れておくことでよろしいでしょうか。

○ 一応入れておいてください。

● わかりました。

○ 最後駆け足で十分時間がなかったかもしれませんけれども、今日言い忘れた点があるということであれば、事務局の方に御意見を集約していただいて、親会議で報告するまでに若干の御意見が出た場合のとりまとめ方も御一任いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○ それでは、今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。

● 今後の御日程について、簡単に御説明します。
 10月12日火曜日3時から親会議がございまして、ワーキンググループの議論の状況を報告いたします。今、座長からお話があったとおりのとりまとめを進めさせていただいて、御報告申し上げたいと思います。
 親会議の方は、11月上旬、中旬に親会議の報告を公表して、本年末までに制度としての基本な枠組みのとりまとめをしたいと考えております。
 以上でございます。

○ これは、またワーキンググループが開かれる可能性というのはあるんですか。

● その点も含め、最後に西室長からご挨拶させていただきます。

● 本来は、事務局長の松田がご挨拶をする予定でございましたけれども、ちょっと国会の方に呼ばれておりまして、先生方には本当に、昨年の12月以来14回、しかも勤務時間外のお忙しい中をお願いして、精力的な御議論をいただきまして、お陰様でこれまでの検討結果というのを、ここにとりまとめていただくことができましたことについて、本当に心から御礼を申し上げます。
 この後、この報告を親会議に出していただきまして、親会議の方では、その後それを受けて全体の報告書、多分11月の中旬ごろになると思いますけれども、とりまとめていただく予定にしております。
 ワーキンググループも一応これで御議論は終わりなんですが、ただ、有識者会議の議論いかんによっては、ワーキンググループで是非専門的な事項について検討してもらいたいということがあり得るかもしれないと思っておりまして、ワーキンググループについては、親会議の議論の推移を見ながら、今後の運び方については御相談していきたいというふうに思っております。
 この改革につきましては、来年更に検討作業、法案化作業が続きまして、そして17年度末ということで再来年の3月を目途に法案提出を目指すという予定で進んでまいります。
 いずれにしても、これから先生方には、今後とも我々の作業に対して、よろしく御協力、御支援のほどお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○ それでは、これで終わりにします。どうもありがとうございました。


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