○:委員
●:事務局

第13回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年9月3日(金)13:00〜15:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ 夏休みも終わって、最初の非営利法人のワーキング・グループということですが、いよいよ大詰めで、今回と次回でもって一応まとめることになりますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。

● 私どもの関係で異動がありましたので、ちょっと御紹介申し上げたいのですけれども。

○ お願いします。

● 担当参事官の長屋が7月30日付で交代いたしまして、後任に総務省の行政管理局の方から横田信孝が参りましたので、御紹介申し上げます。

● 横田でございます。よろしくお願いします。

○ よろしくお願いします。

● ちなみに長屋は、総務省の行政管理局で行政改革担当の管理官ということになりまして、公益法人改革の担当、行政管理局の方でカウンターパートとして異動しましたので、また、いろいろあるかと思いますので、よろしくどうぞ。

○ こちらこそよろしくお願いします。
 それでは、資料に沿って早速入りたいと思いますが、事務局の方から説明をお願いします。

● それでは、お手元にございます横書きの資料21に基づいて御説明申し上げたいと思います。
 まず、この資料に付してある下線や「★」について御説明いたしたいと思いますが、下線を付してある部分は、前回、御議論いただきましたWG資料19−2から表現を改め、あるいは追加をしたという部分をあらわしております。また、左側に「★」がついておりますのは、今般、資料35ページにわたりますので、事務局として、座長とも御相談させていただいた上、きょう特に御議論いただければと思う部分に印をつけてございます。ただ、当然のことながら、この「★」がついていない部分につきましても、ぜひご意見いただければ幸いでございます。目安ということで「★」をつけてございます。
 それでは、特にこれからは下線部と「★」を中心に御説明させていただきたいと思います。適宜、区切りまして御説明をさせていただきます。最初に、4ページの解散命令までの部分を御説明いたします。
 それでは、1ページに戻っていただきまして、「第一 基本方針」ですが、「二 民法第1編第2章の改正」の※1のアンダーライン部分でございます。御議論の結果、新たな非営利法人(仮称)制度の立法形式については、単行法を制定するという方向の御議論いただきましたが、その理由を対外的にも明らかにした方がいいだろうということで下線を付してございます。
 「なお」書きの部分につきましては、御参考までということですが、商法典から会社法に関する部分が分離・独立すること。また、民法典の現代語化案の中で、民法35条の規定が削除される方向が法務省から示されていることなど報告いたしております。
 ※2ですが、ここは「★」がついてございますが、そのような※1の方針に従った場合に、民法にどのような規定を置くかが問題になろうかと思います。おめくりいただきまして、括弧書きで、例えばということで、まず民法に残るであろう規定、つまり非営利法人法に書くべきではないと思われる規定を列挙いたしました。ここにありますとおり、33条、36条、43条、49条というところが第11回のワーキング・グループの議論でも問題の部分は一致を見たのではないかと思いました。
 問題としては、そのほかに残すべき規定があるかどうかということになろうかと思います。そのほか残すべき規定として話題になったものは、34条、35条、44条、54条等でございますが、34条、35条につきましては、民法の現代化と併せて考えた場合にいかがかという問題点、また、44条、54条につきましては、43条のように一般的なものになるかどうか、各個別の法人法で書き下ろし、あるいは準用しているケースもいくつかございますので、また、改めて御議論願います。
 1点、つけ加えまして、今般、法制局に御相談させていただく機会がございまして、この部分についても若干の、まだ確定的なことではもちろんございませんが、御相談させていただいたところ、もし民法に残すということであれば、法人一般に関係するという規定という位置づけがなされないと、なかなか民法に残すということについてはよく検討が必要ではないかという御指摘をいただいております。
 それでは、第二の方に移りますが、2ページ、第二の部分についての下線のところはございませんので省略をさせていただきます。
 3ページの「七 名称」のところに進ませていただきます。※1の種類のところにアンダーラインを引いてございます。種類というのは、社団形態、財団形態に応じた名称ということでございます。第11回の議論では、拠出タイプを示す文字の使用につき御議論いただいたところでございますが、前回の議論、深めなければならない部分もあるかと思いますが、ただ、形式的に名称に限って、つまり、登記簿に書くべき名称という意味では、使用しなければならない文字の規制としては、拠出タイプは別の法人類型になるというわけではございませんので、不要ではないかということで資料には書いてございません。
 3ページの下、九、おめくりいただきまして、4ページの一〇でございますが、これに下線が引いてありますのは、前回の資料では、社団形態の法人と財団形態の法人にそれぞれ同じように書いてあったものを両者に共通するということで総則的事項にまとめました。説明は以上でございます。

○ それでは、今までのところで、いかがでしょうか。

○ 1ページの一番下の※2以下、2ページ目にかけてなんですが、ここに書いてあるもののほかに規定すべきものはほとんどないのだと思うんですけれども、ただ、1点、49条を残しておく必要があるのだろうかとの思いがあります。前回、議論が済んでいたとしたら蒸し返すようで申し訳ないですが、49条、これは外国法人の登記ですね。

● そうです。

○ 登記するかどうかは登記法の問題かもしれません。実質的には49条の2項の方が意味があるのでしょうね。「登記ヲ為スマテハ……成立ヲ否認スルコトヲ得」という規定ですけれども、これがどこまで意味を持つかということですが、36条で、「外国法人ハ国、国ノ行政区画及ヒ商事会社ヲ除ク外其成立ヲ認許セス」とありますが、商事会社は49条2項と同じ規定が商法にありますので、「商事会社」の部分は要らないので、そうすると残りは国の行政区画ですね。これについて登記するまでは「成立ヲ否認スルコトヲ得」という規律が要るのかについては、ちょっと考え直さなくてはいけないという気がしていて、これはそもそも要らないのではないかという気がするのですが。ですから、これは残すというふうに確定稿にしないでおいた方がよろしいかなという気がいたしますが。

● 規定を残すかどうかをこちらが決めるのかどうかという問題が本当はあって、非営利法人法をつくるというときに、非営利法人法には取り込まない規定という意味で本当は整理しなければいけないところを、残す、残さないを、こちらのワーキング・グループで決定してしまうような表現になっているところから御指摘になったのかと思います。要するに民法典として、49条2項を含め、どうするかということだとすると、こちらの所管といいますか、検討課題ではないのではないか。ただ、御指摘の問題は理解はできるところでございます。

○ そういう意味では、民法に何を残すべきかというのは、あまりここで決めてもしようがないことだと思いますけれども、それでも一応議論しておくのがよいと思います。外国法人の規定というのは、法人一般に関する規定とはちょっと違う種類の規定だという感じがしますけど。少なくとも36条で書いてあるようなことは。

○ 36条はいいと思うんですね。

○ 36条は。ただ、これが本来、民法にあるべき規定かというと、法人格与える旨の規定ですから、そういう意味では民法でもいいのですが、もっと一般的なレベルの規定のようにも思えます。

● もしかすると、外国法人の認許に関する法律かなんかが別にあってもいいのではないかという気が……。

○ 自然人の外国人に関する2条がありますので、対応しているとも言えるかもしれません。

○ 私法上の行為能力と権利能力を与えるものというのはここでしかあらわれないんですよね。

○ 少なくとも商法の会社法改正では、36条があることを前提に法案をつくっておりますので。

○ 商法は民法のどういう規定を前提に考えているか、そういうことも確かに考えなければなりませんね。そういうことも意識しつつ、民法に何があるべきかを、民法の問題としてどこかで検討することが必要ですね。一応このワーキング・グループでもある程度の考え方を示すことはおかしくない。
 それから、これは前にも議論がありましたけど、このほかの規定としては、53条、54条の関係というのがあっていいのではないか。それぞれの個別法に規定があるかもしれないけれども、54条みたいな表見代理に関する規定は、これはかなり一般的な規定でなのでやはり民法に規定があるのが望ましいと思います。しかし、あまり時間をこの問題にばかりかけて議論することはできません。きょうは一通り全部をやりたいので、そして、もっとほかに重要な点がありますので、特に御意見がなければ、先に行きたいと思いますけれども、よろしいですか。

○ 意見というわけではないのですが、民法に何を残すべきかというのを、ここで決めないということは合意しておいた方がいいのではないかと思うんですね。

○ この場で最終的には決めないということですね。

○ それだけです。

○ 54条に関しては、挙げてないというのは、ほかの法律で大体準用規定を持っているから挙げてないのですか。

● 準用するか、それとも54条の規律はよくなくて、代表権の制限があれば登記をするですとか、別な形で対外的な代表者の権限というものについての規律を置いているものがあります。御指摘のとおりでございます。

○ あと、70条の破産の規定ですが、これは破産法に規定があるから要らないということなんですか。

● これは、破産法の規定がありましたでしょうか。

○ 破産申立てに関する破産法19条です。

● 申立権者という意味ではございますが。

○ そちらから規定しておいた方がいいと思いますけど。ただ、70条2項の「破産宣告ノ請求ヲ為ス義務」というのは、これは実質的にかなり問題があるところなんですね。

● 商法典でも削除されたというふうに聞いております。

○ これは法人一般の規定ではないと見るのですか。

● 公益法人についてだと思いますが、ちょっとわかりませんけれども、そう見るのか。

○ そうだとすると、むしろ非営利一般法をつくったときに、これに関する、このような規定を入れるかどうかというのが問題になりますかね。あるいは公益法人に関する規定か。

● 要するにこの70条2項が今でも維持すべき機能的な規定かどうかというところがまずあって、残すべきだというふうになった場合には、今度は70条を一般非営利法人に妥当する規定と見るのか、公益的なものに妥当すると見るのかという順序で、私の考えとしては出発のところで、商法でも削除されておりますし、70条2項自体は維持する必要のない規定だろうと思っております。

○ 議論の余地があると私は思っているわけでして、ドイツなんかは今でもあるんですよね。

○ 私もどういう議論がされているのか、あまりよく理解してないけど。

○ ですから、まさに危なくなった法人の理事は、もうぐずぐずしてないで、早く破産を申し立てなさいということで……。

○ 破産法というのはそうなんだけど、破産の手続の申立てというのだから、債権者にやらせればいいわけですね。にもかかわらず……。

○ 理事は一番よく法人の財務を知っている。大抵破産の申立てとかああいうのはぐずぐず遅れて被害を大きくするものですから、破綻状態になった法人の理事は、なるべく早く破産を申立てて、債権者の被害を最小に食いとめる義務があるというのが70条2項の思想ですね。ヨーロッパでは割とそういう規定を置いている。

○ 場合によって責任も追及される。

○ そういうことですね。

○ そもそも理事に関する規定を民法に置くかどうかさえ決まってないわけですね。

○ これはむしろ公益法人や非営利法人の中にこういう規定を入れるかという問題として。

○ なかなか難しい。

● 商法や中間法人等にはもちろんございませんので、事務局第1次案としては、非営利法人の今般の資料21にももちろん入れておりません。

○ どうぞ、時間をかけないでください。

○ 公益法人の債権者というのは、いろいろあり、破産申し立てなどをすることが期待できないような債権者もいます。ここで話題にしていいのかどうかわかりませんけれども、最近ある法人が倒産して、そもそもどういう段階で破産申し立てをすべきか、その判断ははなかなか難しいのだと思うけれども、この法人に対する債権者である学会などは、破産申立をしていいのか、よくないのか、ほとんど判断ができないのです。普通の債権者、取引上の債権者と違うのです。そういう債権者が公益法人の債権者には多いかもしれない。そういう意味では理事の方に責任を負わせておくというのは、公益法人などについてはあり得るし、現実的かもしれないという気がします。商法なんかでは取引上の債権者のように迅速に行動できる債権者がいるわけですが、それとは違う債権者がたくさんいるということが公益法人の場合には前提になっているのかもしれない。
 商法の方で落としているということになると、少なくとも法人一般の規定としては、民法に残すというものではないのかもしれない。場合によっては非営利法人法の中に置くのか、そこはちょっと判断が難しいところだけど、検討課題としてはありますね。

● 実際問題、まずもって使われたことがなく、違反して処罰されたこともない規定ではないかと思います。もちろん、今、機能していないからといって、新しく置いて機能させるようにすべきだという見方もあろうかと思いますが。ただ、どこで検討すべき事項なのかなというのがよくわからなくて。

○ 機能してないという意味はよくわからないけど、普通会社などで倒産のときにはだれが申立てることが多いのですか。

○ 両方ですね。

● 95%以上自己破産です。

○ 自己破産ですか。理事が……。

● 代表者が。

○ 代表者がやっているということですか。

● はい。

○ それはどうにもならなくなって申立てるわけです。なぜ、商法で削除したかと申しますと、1つは計算規定との関係がありまして、計算上は債務超過になっていても、いわゆる取得原価主義の会計の下では、それでも会社の運営自体が成り立っていく場合が多いものですから、そういうのを債務超過だということだけで、破産原因ありとされ、破産申立義務を課すのは行き過ぎではないかということが1つにはあったんです。しかし、最近、時価主義会計に変わってきていますので、そういう面から本当は考え直す余地もあると思うんですね。

○ 昭和25年改正ですか。

○ 戦前の昭和13年改正だったと思うんです。そのころから取得原価主義会計は入っています。会計の問題は当時からあったんです。むしろ最近では、特定の業種については早めの申立義務を課す方向です。保険業法なんかはそういう規定を入れていまして、特に会計が現在のようにだんだん時価会計になってきて、会計上の数字と企業の実態が近づいてくると、むしろ早めに破綻に瀕した会社には申立義務を課した方がいいという議論もあるわけで、特に公益法人みたいなところについては、安全を図ってそういう申立義務を課すということは考えられる1つの行き方だとは思います。

○ 破産法は制定の準備の議論をした段階のときに、恐らく70条2項の規律を維持するかどうかについて議論があったのだと思うんですけど、あのときの議論のことを詳しくお調べいただく必要があると思うんですが、雰囲気としては70条2項の義務にしている規律というのが、改正前の破産法にも何カ所か義務にしているところがあったのを大幅に今回整理したのですけれども、これも要らないのではないのかという雰囲気があって、ただ、民法の実質的な規律を変更することになるので、破産法の議論のときには見送りにしようというふうな、大筋そういうふうな経緯があったのだろうと思うんですね。
 だとしますと、ただいまの実態の話もそうですけど、そのときの議論のことをもう少しお調べいただいた上で、御指摘のように、保険の場合のような政策的に残さなければいけないような規律部分が残るところは検討する必要があると思いますけれども、一般的には、これを新しい一般的な非営利法人法制の中に残さなければならない非常に強い理由があるのかどうかはちょっと疑問なような感じをいたしております。

○ たしか、限定承認の場合の相続人の破産申立義務というのが今回の改正で削除されたのだと思うんです。その際に、この規定についても議論になったわけですけれども、今、おっしゃったようなことで、破産法の方では見送りになったわけです。
 今回、70条2項の取扱いについて、まず民法でその規定を置くのかどうか。それから、非営利法人法の中で置くのかどうか、この2段階のうち、恐らく民法の中で置くということには多分ならないだろうと。そうするとこの非営利法人一般法の中で、例えば34ページの「六 解散」というあたりで検討事項にするかどうか、そういうあたりなのかなと思います。

○ 私は、もしかあり得るとしたら公益法人の方かなという感じはしますけど。

○ 非営利法人ではなく。

○ 非営利法人一般まで強い要請とは多分言えないと思います。ですから、上の有識者会議の方のレベルの話かもしれません。

○ 直感的にはそういう感じがする。

○ まさに34ページの財団法人ですと、21ページの社団法人と両方ということですね。

○ 両方ですね。ありがとうございました。

○ これはさっき委員がおっしゃったように、破産法の改正の方の議論も少し参考にしながら、ここでの大体の意見は非営利法人にまで強くこれを求める必要はないということのようです。ただ、公益法人についてはあり得るかもしれないというぐらいの意見ですね。結論はもうちょっと調べてからにいたしましょう。
 それではほかにいかがでしょうか。設立以降のところも、これも今までの議論のとおりだったと思いますけれども、解散命令もこの程度の議論は今までしてきました。よろしいですか。では先に行きましょうか。

● 4ページの第三から7ページ終わりまでを御説明したいと思います。
 まず4ページの下から4行目、これは形式的な表現の訂正ですが、B「設立時の」を「設立当初」に改めました。
 続きまして、このBに関係する※1が5ページの上に書いてございます。このBを定款記載事項とする趣旨を※1で明らかにいたしました。事前に御説明する中で、設立当初の社員が発起人のような重い責任を負わないにもかかわらず、定款記載事項とするのはなぜかというとお尋ねがございまして検討をしました。その結果を御報告いたしますが、確かに今般の法制では、商法の発起人のような重い責任はないのでありますが、例えば※1に書いてあります署名する者を明らかにする意味に加え、5ページの「4 理事の選任」等をする社員といいますのは、この定款に記載された当初の社員が集まって決めるという意味もございますので、定款に設立当初の社員というものを明らかにすることが相当ではないかと考えた次第でございます。
 ※2の拠出金を求める場合の定款記載事項に下線が引いてありますのは、前回、拠出金の項に書いてあった文章をそのまま定款記載事項の項に移したために下線が引いてあるものでございます。
 5ページ一番下の、登記事項としての拠出金の拠出を求める場合についても同様の趣旨で下線が引いてございます。内容についての変更はございません。
 6ページに移らせていただきますが、ここで大きく変わったのは「二 社員」となってございます。前回の資料では「二 拠出金」という整理でございましたが、拠出金の項でも改めて御説明いたしますが、拠出金というのは、今般の非営利法人法制においては、設立の要件ではございませんものですから、まず、どの非営利法人にも必要な手続、規律を先に書き、一通り終わったところで拠出金という資料の順序にした次第でございます。
 中ほど2の※2に線が引いてございます。前回の資料では、無限タイプについて、置くか、置かないかを検討するという表現にしておりましたが、この間の検討をふまえ、方向性としてはやはり設けないとする方向でいかがかという御提案でございます。ただ、もちろん前回、宿題でございます現行の無限責任中間法人の利用状況ですとかニーズの有無も踏まえるということはもちろんつけ加えてございます。ここについては調査中でございまして、最終回あるいはこの回の間に何とか少しでも御報告ができればと考えております。そういう趣旨で表現を訂正いたしました。
 7ページ部分、社員の入・退社についての規律、社員名簿についての規律についての資料の変更はございません。
 以上です。

○ そこまでですが、いかがでしょうか。

○ 定款に記載する事項で、4ページのB、設立当初の社員を定款に記載させるという趣旨ですが、趣旨として5ページの※1で、「定款に署名する者を明らかにする趣旨」と書いてあるのですが、実質的な意味は何かというのがちょっと気になっているんですね。株式会社のときの発起人と同じような立場ですよね。強いて言うならば。発起人の場合には、株式の引受責任や払込責任があるのできちんとわかるように、次の3の定款認証が必要になってくるというふうに結びついてくるんですよね。当初の社員について全く責任がないという前提で、果たして定款認証まで求められるか、ちょっと危惧を持つのですが、商法の193 条の方ですと、発起人の損害賠償の規定、「設立ニ関シ其ノ任務ヲ怠リタルトキハ」という規定がありますね。それと同じような責任は付加してもいいのかなという気もしているんですけれども、これはいかがでしょうか。

● その部分については、193条に相当するものは置いてもよいのだろうと思います。

○ もし置くのであれば、そういう責任があるのだから、署名をさせて明確にし、そして定款認証も必要であるというふうに、素直に説明すべきだと思います。

● 中間法人法で193条の規定は準用していなかったと思うのですが、そこを置いた方が定款記載事項とすることがよりよく、より実質的に説明できるという御指摘は非常によく理解できるところなんですが、ただ、それがないと記載事項から落とすべきだというところまでになると、果たしてどうなのかなと。先ほどの御説明の範囲でも記載事項とすることは可能ではないかと考えております。もちろん、それとは別にもう一度、設立当初の社員の設立手続に問題があった場合の損害賠償責任等については再度検討いたしたいと思います。

○ 中間法人には確かに発起人の賠償責任のような規定はないですけど、基金制度があるからではないかと思うんですけれども。

● 193条類似の規定を非営利法人、社団タイプに置くべきではないかという御指摘については、今の御指摘を踏まえて検討いたしたいと思います。その前に、先生方からヒントをいただければ、さらにいいとは思いますが。

○ 今、委員から御指摘のあった問題は非常に奥が深いと思うんです。商法193 条を挙げられましたが、193 条は「発起人ガ会社ノ設立ニ関シ其ノ任務ヲ怠リタルトキ」と書いてあるわけで、発起人には会社法上設立に関する任務があるということを前提にしているわけですね。まさに会社の場合は、物的会社として資本充実等を図って会社設立の段階で資本に見合うだけの財産がきちんと確保されているような体制をつくる必要があり、それが取締役だけの責任でなくて、発起人にも一定の役割が期待されていると思うんですね。例えば商法ですと、170条その他、取締役等が選任される前から発起人等が設立中の会社の実体形成に一定の義務を負うということを前提にした規定があって、それを受けて193 条の「任務」という言葉が出てくると思うんですね。
 それに対して今回の非営利法人法は、法人の設立手続に関する実体規定がほとんどないというか、特に資本充実の規定が設けられておりませんので、ですから、そもそも発起人の任務が何かということがあまりはっきりしていない。設立プロセスに関する規定はほとんど用意してない。

● 財産形成のところですか。

○ 財産形成のところです。ですから発起人に当たる当初の社員の任務が一体どこまでなのかというのがはっきりしてないので、任務懈怠に関する責任規定もなく、定款に当初の社員の名前を書く必要がどれだけあるのだろうかということも、そこから多分疑問が出てくる、そういう問題の順序になっているのではないかと思います。

● 大変よく理解できるのですが、ただ、責任規定があるが故に記載事項となっているのかどうかはちょっと私自身は疑問があって、財産形成任務がない場合には、だれが当初の社員だろうかはわからなくてよいとしてしまっていいのかどうか。

○ ある種の何らか財産形成までの義務はないにしても、法人を設立していく過程での何らかの義務はあるのですか、ないのですか……。

● 私自身は根本規則たる定款の内容を確定し、法人の機関を理事、監事を置く場合は監事を確定し、設立登記を行うと。

○ 設立登記を実際に行うのは、理事の方……。

● だれにすべきかを考えております。

○ 選ばれた理事だけで設立手続がすべて行われるのであれば、当初社員の任務ということが論じる必要がなくなってですね……。

● 理事を選ぶまでになってしまうということですね。

○ それで定款に記載するまでもないのではないかという委員の疑問も出てくるかなと。

○ 定款作成という法律行為の当事者がだれかということを定款に自ら書くということには意味がありませんか。

○ その範囲であると。

○ ええ。署名をするということが、だれが当事者かというのを実際上示すのかもしれませんが、名前が書いてあるのが、どういう意味合いで書いているのかというのを確定するためには、だれが、合同行為なのでしょうか、合同行為である法律行為である定款作成、あるいは社団の設立行為にかかわった者なのか、それを定款に書く必要があるかないかという点については、責任の有無以前に私は必要ではないかと思います。

○ となると、5ページの一番上の※1の「定款に署名する者を明らかにする趣旨」というのは、定款に署名している人はどういう資格で署名しているかということを明らかにすると。

○ 要するに定款を作成した者を明らかにする趣旨と同じ意味ですけれども、ちょっと言いかえるならば、そういうふうに私は考えます。

○ 定款作成者は自動的に必ず社員にならなければいけないわけですか。

○ 社団であれば、自ら社員になって、ということだろうと思います。

○ 商法の発起人には引受義務があるわけですけれども、そういう意味ですか。実際上の意味は非常に少ないですけれども。

● 実際上の意味というのを会社と比べたら少ないというだけのことであって、私は、では、その結果、定款記載事項でないとなったときの弊害といいますか、弊害もないと言われてしまえば、それこそなんですけれども、私はそこは感覚を異にする……。

○ 定款記載事項であるかということと、定款を作成した当事者であるから署名するかということと何かちょっと違う気もするんですね。違うというか、定款記載事項というのは、本来であれば、中間法人だと、当初の社員に限らないわけでしょう。

● 当初の社員です。

○ 当初の社員だけなんですか、記載するのは。

● はい、そうです。その後、入社しても定款変更いたしません。

○ そういう趣旨なのですか、これは。

● この※1は、法務省の中間法人についての説明と同じ説明でございます。

○ 定款というのはどこかに署名する欄というのがあるんですか。

● はい、通常。署名義務を課している法制においては、民法などは署名義務を課していませんのでありませんが。

○ そうすると、そういうところに署名すればいいことであって、要するに、それをつくった人はだれであるかという欄に署名している人が出ていればいいことであって、定款という会社の根本規則のところに出さなければいけないという問題とはちょっと違うような気もするんですけれども。それが契約だったら、契約に署名すればいいだけだと。そこに名前が出てくればいいという問題とは違うんですか。

● 私は、そういう言い方もできるかもしれませんが、3人でつくろうと言っていて、2人しか署名しなかったと。それでも2人でできることになりますね。でも3人の名前が書いてあって2人しか署名していなければ公証人のところではねられることになります。

○ それ、はねるべきなのか……。

● はねなければ……。

○ 3人でつくろうと言っておいて、それで実際に2人でつくったというとき。そうすると、その3人目の書いてない人は定款を作成しなかったということになる……。

● 抜けたと、脱退したということだけです。

○ 抜けただけですよね。

● それは設立当初の社員が署名しなければならない、設立当初の社員、まあ、そうですね、そういう見方も……。

○ 契約と同じように考えれば、契約の条項の部分と署名しているという、そういうふうに分けると、署名のところの問題なのかなと思った。

● そうすると、そういう趣旨の争いがなくなるという意味があるのではないでしょうか。1人抜けていると。もう抜けちゃえばいいような気も、強いて言っているようで、大変失礼なような気もいたしますが。

○ これは両方あるわけ、定款の社員の欄に記載して、もう一回、署名させて、それが一致してなかったらだめだと。

● もう一度、確認いたしますが、恐らくそうなっておって、発起人は間違いなくそうなっておると思います。

○ 発起人は責任がいろいろありますからね。そうですか、そこまでやる必要あるのか……。

○ 確かにおっしゃるように、例えば売買契約のときに、契約の条項の中にこの契約の売主は誰で、買主は誰ですと書かないわけですので、契約書の最後のところに署名をするわけですから、それとのアナロジーでいくと、ここのBの項目がやや奇異な感じ、理論的に説明が難しいような気持ちがしてまいりますけれども、しかし、社団法人の制度趣旨ということを考えてみたときに、そういうテクニカルな説明とはまた別の問題として、社団というのは人の集合体である、それに対して法律が人格を与えるのだという出発点に立ち戻って考えてみますと、一体その社団は出発のとき、だれとだれがいたのということをサインでも確認できるではないかというのは、確かにテクニカルにはそうですけれども、やはりきちんと人の集団がいるということの実態を確認する場所ということがもう少しオフィシャルな形で必要というよりも、あった方が望ましいのではないかという見地から、恐らくこのBというのが入ってきて、商法193 条のような規律を入れるかどうかは議論されてよいと思いますけれども、それとはまた別の次元の問題として、やはりこういうものがあってもいいのではないかというふうな気もするのですけれども、いかがなものでしょうか。

○ ただ、従前はそういう人の責任があるので、その人たちに対する責任追及の容易さ、明確さのために記載させ、そしてそれを認証してという仕組みではあったとは思うんですね。

○ 従来はというのは、今の御説明ですと、しかし、5ページの一番上のところは、従来は法務省の説明だというふうに。

○ そういう意味ではありませんけれども、これはこれでいいんです、署名する趣旨は。ただ、なぜ、こう書かせるのかというところは、中間法人法でも20条で基金の拠出について担保責任がありますから、書かせるということですね。そこに書くのはきちんと署名をして、初めてそういう資格が発生するという意味では、署名をすることを書くんですね。

○ 委員がおっしゃったのはわかるのですが、現在の社員がだれかということは大いに意味があると思うんですけれども、30年、50年前にできた当時、だれたちがいたのかということはそれほど意味があるのだろうかという気もしますけれども、いかがでしょうか。

○ 確かに社員名簿もつくることになっていますから、追っつけ、だれが顔ぶれなんだというのは別途文書上どこかでオフィシャルにわかるのだとおっしゃられれば、確かにそういう部分があるんですけど、オリジナルのところのメンバーが、定款の中にあったら、望ましいのではないかということです。その程度の話で、絶対ないと、何かが困るという事柄ではないというのは、委員も先ほどから御指摘になっていらっしゃるとおりではないかと思います。

● むしろ落としてしまう方が、何かを落としてしまっているような結果を導きはしないかという心配の方が強い気がいたします。

○ 委員の、認証は責任と連関しているという御趣旨の今お話をいただいたように思いますが、準則主義の下で法人設立を認めた場合に、書面上ですけれども、準則にかなっているかどうかということが認証に期待されていることでもあるのだろうと思います。その責任という要素がなくても、認証に関する、私一般理論よくわからないのですけれども、認証というものを求める理由になるのではないでしょうか。

○ 一番大きな理由ですか。

○ ええ、なるのではないでしょうか。

○ もし、先ほどのところだけで定款の認証が必要だというのだったら、ちょっと私言い過ぎですね。失礼しました。

● さらに、同じようなことになって恐縮ですが、責任があったとしても、署名した人だけが負えばいいとなったら、やはり書かなくてもいいような気はいたしますけれども。

○ なかなかこれは難しい。

○ そういうことは書かなくてもいいのではないですか、どっちにしろ。

○ どっちでも構わない。

○ すいません、私が口火切っておきながら、ここに記載する自主的な事由をちょっと再確認したかったというだけなんです。

● 先ほどの御説明ではやっぱりまだ不十分だったと思いますので、私が心配しているのは、今、資料に書いておりませんが、当初の社員に何らかの責任をまた詰めていけば、忘れている可能性もございますので……

○ あるかもしれない。

● そこがもし何かありますと、多分皆さんが本当は違うのではないかと、最後申し上げましたが、多分望ましいということに方向が一致してくださると思うので鋭意検討をいたしたいと思います。

○ さっき、商法で193条で、任務というのは難しい問題があるとお聞きしたのですが、ただ、2項だったでしょうか。第三者に対する連帯賠償責任がございますね。これは会社に対する任務とはちょっと違うと思うのですが。

○ 恐らく193条2項というのは、商法266条の3と対応していて、ここで言う、「重大ナル過失」というのは、最高裁判所判例で会社に対する任務懈怠だとされております。

○ そうでしたね。

○ 多分それと同じなのではないか。

○ やっぱり同じ問題がありますか。失礼しました。

○ よろしいですか。

● Bを書く意義について、さらに検討するというふうな形で、署名する趣旨であるとともに、その意義について、さらに検討するというふうな形で。

○ ほかの点はよろしいでしょうか。では、先に進んでよろしいですか。次に行きましょう。

○ F理事であって法人を代表しない者があるときは、当該法人を代表すべき理事の氏名、これもアンダーラインも何もないところなんですけど、これは……。

● 代表者の名前を書くということですね。

○ 理事であるけれども、代表権がない人がいる場合ですよね。登記を見ると、名前が載ってない理事があるとすると、その人は……。

● 理事の名前はEにより全部載るんです。

○ ですけど、代表すべき理事のところに書いてないとすると、もちろん代表権がないということはわかるんですね。代表権がないということは公示されるという意味ですね。

● そのとおりです。

○ ですから、原則は理事というのは代表権を持ちますけど、それに対する制限がかかっていて、その制限が公示されている、こういう仕組みになるんですね。

● そうです。

○ そうすると後で民法の54条に類する規定を設けるかどうかというところとの論理矛盾が出てこないかどうかがちょっと気になっているんですが、10ページだったでしょうか。10ページの下から5行目ぐらいに※2で、そこら辺の整理を聞きたかったんです。

● 中間法人法と同じ整理でございまして、中間法人法も54条と同じ規定が、45条の5項で置いてあるのでこういうことになっております。ただ、確かに何で中間法人法でそうなっているのかを今説明しなければならないのだろうと思います。

○ そんなに問い詰めるつもりではないんです。ちょっと頭の整理をしなくちゃいけない部分かなと思っていたんですが。

● 恐らく代表を定めるということができたときには、54条は、登記されることによって、もうみんな悪意に多分なっちゃうんだろうと。

○ いや、そうじゃないと思います。54条でいう制限というのは、一般的に代表権がある、なしではなくて、一定の限定を超えたときの……。

● 失礼しました。

○ それ以外の制限ですね。

● 代表については、54条の制限ではないという整理ですね。失礼しました。そうすると、中間法人法も、後で調べますが、きっとその整理だとすると、併存することは何の問題もない。

○ 昭和25年改正前の商法はそういう理解でやっていました。

● 商法も54条を準用していますね。失礼しました。

○ 民法の場合は、54条の場合は、代表権の制限というのも54条……。

● 民法の場合は、代表権の制限も54条の範疇なんです。

○ 民法の場合は、代表権があるのが前提になっていますから。商法は、合名会社もそうですが、代表権のある理事者とそうでない理事者がいますから、そもそも代表権があるかないかのまず登記があり、その上にさらに54条の制限の問題が出てくる。

○ 商法の場合と民法の場合とで54条の持つ意味はちょっと違っていたんですね。

○ そういうことです。

● おっしゃるとおりです。中間法人は商法にならっておって、この試案は中間法人にならった御提案をしておるということになります。ちょっと一瞬ドキリとしました。

○ それは注意しながら、法人の代表のところでもう一回確認しておきたいと思います。それでは、ここまでよろしいですか。では、三へ行きましょうか。

● 8ページ、「三 管理」から、少し長くなりますが、14ページ、管理を全部御説明いたしたいと思います。8ページにお戻りいただきまして、「1 社員総会(1)社員総会の権限」でございますが、本文に変更ございませんが、「※」をつけました。もう少し丁寧に言うと、19−2では、管理の後に(注)が付してございまして、いわゆる理事会設置タイプを置くかどうかを検討するとしておったのですが、また、説明の際には、将来、落とす方向であるけれども、検討ということで残しましたと。ただ、前回の議論踏まえて、さらに事務局でも検討いたしまして、理事会設置タイプは一般的な非営利法人の方では置かないということにするとともに、それでは理事会設置タイプと同じ規律を望む法人が、それができないということになってしまうと、また、不便だと思いますので、念のため、※で、定款自治の範囲内で同様の規律ができると。特に問題となり得るだろうと思われる社員総会の権限を制限する部分についても、定款で制限をして、また、理事の各自業務執行・代表権を喪失させることによって、前に検討いたしました理事会設置タイプと同等の規律を定款で実現することができるということを資料上明らかにいたしました。
 次、8ページの下、(3)議決権の※2のところに「★」がついてございます。前回の議論で、※1の議決権のない社員というのは非営利法人では難しかろうと。ただ、これを明文化するかどうかは別ですが、解釈論としては少なくとも難しいだろうとすること以外に、なにがしかの制限、別の定めの制限が必要かどうかが詰まればと思いまして「★」をつけました。
 下の(4)の議決方法の本文の下線は、「※」に書いてあったところを本文に移しかえた趣旨でございます。
 9ページになりまして、今の項目の「※」に「★」がついてございます。決議方法につきまして、定款で別段の定めができるという本文の記述を前提とした上で、とはいえ、理事の選任決議の定足数等については、定款に別段定める場合であっても、その下限といいますか、限界を設けるべきではないかという御指摘を前回いただきまして、この点について、改めて御検討いただければと思い、「★」をつけました。
 このページは、その他の部分は変更ございません。
 10ページでございますが、10ページでは「(6) 法人の代表」の※1に下線が引いてございます。19−2では、この部分は※2と同様に民法53条及び54条に相当する規定を置くとしておったのですが、その後、事務局で検討いたしまして、53条と商法78条1項の規定というものは、代表権の範囲を画するものとして同じ意義なのだと思いますが、「法人の事務の執行」という53条の規定よりも「裁判上、裁判外の一切の行為ができる」という商法の規定を書き下ろす方が相当だろうと考え直したので、53条に相当するというよりは、商法78条に相当する規定を置くべきだということで書き改めたものでございます。
 11ページでございますが、(8)法人に対する責任の「※」が追加になってございます。※1は、法人に対する責任は、当然のことながら任務懈怠ですので、過失責任ということを資料上明らかにいたしました。今般の改正で理事の責任は重くなる、重くなるということが言われておりまして、ただ、重くなるとはいっても、無過失の人が責任を負うわけではないんですということを明らかにした趣旨でございます。
 ※2につながる部分を、※1の「また」で書いてございますが、ただ、この理事の責任は、総社員の同意がなければ免除することができないというのが、理事に対する責任を規定する中間法人ですとか、商法の規定では置かれてございます。代表訴訟が別途認められていることと関係すると思いますが、その趣旨のことも明らかにしております。
 それを踏まえまして、※2が新たな論点の提示で御検討いただきたいと思います部分です。理事の責任制限に関する規定の要否、要とする場合の制限のあり方についてどう考えるか。例えばということで、検討の視点を@、A、Bと提示してございます。
 この点については、本日、参考資料8を用意いたしました。商法の方で、株式会社の取締役の会社に対する責任免除又は制限について、近年、立法がされまして、その内容について、もう内容は御承知とは思いますが、よりわかりやすくといいますか、見やすくということで、(ア)、(イ)、(ウ)3タイプの免除あるいは限定の方法があり、その中身について資料を取りまとめました。必要があれば、この中身についても御説明いたしたいと思いますが、当面はこういう資料がございますという御指摘にとどめさせていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして、12ページにつきましては、一番最後の「※」が追加になってございます。ただ、この「※」は、理事の任期の方で、最初の理事の任期等について、小さな「※」をつけておったこととの平仄を合わせる意味で当然必要となるであろう所要の部分を追加したという趣旨でございます。
 13ページ、監事の職務の権限等については、前回の資料と変更ございません。
 おめくりいただきまして14ページですが、「(5) 監事の法人に対する責任」でございますが、これについても、責任の性質、責任制限の要否等について理事の場合と同じ問題がございますという趣旨で下線と「※」をしてございます。
 以上でございます。

○ ここまでで、お願いします。

○ 8ページの「★」のところから議論始めてよろしいですか。

○ お願いします。

○ 議決権を定款で自由に定めてよいかどうかということについて、商法の場合との比較をさせていただきますと、商法は、今度の要綱案では、株式譲渡制限の定めのある会社に限って、定款でこういう議決権の定めを自由に定めることができるということになっております。そして、また、法定種類株主総会の制度などと一体のものとして運用します。種類株主総会みたいな制度を、そういう議決権の定めの異なる社員の間でつくらなければいけないというようなことまで非営利法人には要らないだろうと思います。
 商法の場合、株式譲渡制限の定めがある会社に限って定款による議決権の定めを認めているわけで、その趣旨は、これは社員の資格について会社の方針として一定の限定を認めているような閉鎖的な会社であれば、社員の自治がそれなりに効いて、定款で定めれば、それに従って議決権の内容を自由に定めてもそれほど弊害が起きないだろうけれども、だれでも株主になれるような譲渡制限の定めのない会社、即ち、公開会社においては、たとえ定款に定めてあるからといって、株主になろうとする人がそれを十分理解して株主になるとは限らないし、一般の株主保護の観点から望ましくないということで譲渡制限会社に限っているわけですが、一般非営利法人の場合、こういう社員資格の限定は定款で定めることができるということになっていますので、社員資格の限定がなくて、だれでも社員がなれるような非営利法人についても、定款で定めれば、まったく自由に議決権について定めうる、例えば極端に言えば、ある一人の社員だけがオールマイティの議決権を持つというような定めをしてもいいと規定していいのかどうか、ひっかかります。

● 一番ひっかかるのが無議決権というのは、多分先生方全員がひっかかったので、※1、明文にするか、多分解釈だと思いますけれども、加えてということでございます。

○ こっちは経済的な利益がないので、ある意味で、そっちからいくと、多少なことを決めても、そんなに社員の利益を害することはないだろうと。

○ という前提なんですけどね。

○ 何らかの明確な限定はつけられないかもしれないけど、これは公序良俗とか何かはあり得るのか、こういう世界でも。

● それはあり得るのではないかと思います。

○ それで解決するということなんでしょうね、一般的には。

○ それで一体どれだけ機能するかということだと思います。ですから非営利法人といっても、中には中間法人みたいなものも入ってくるわけですので、実際には協同組合みたいに、社員の利益のための法人も当然含まれてくるわけで、そういうところで社員数が大きいような法人で、社員の議決権が全くゼロに近いような定めがある場合があってもいいのかというのはひっかかります。
 では、どういうふうにチェックしたらいいかというのは、単純に商法と比較するのであれば、社員の資格の限定がある場合にのみ認めるというようなことになるのかもしれませんけれども、それも直ちにパラレルには議論できないのかなと。

○ ※1というのは、さっき事務局から説明があったように、議決権を奪うというのはだめだということで、ただ、別段の定めで1対100という決め方をしてもいいということになる。

○ そうなってしまうんです。ですからほとんど名目的にできる。

● 恐らく現行法制も御指摘の問題を抱えておるのだと思います。民法もNPOも中間法人も特段の限定を設けずに、定款で別の定めをすることは妨げないということになっておりますので、※1の部分ですら限界を明定はしていないというのが現行法制でございます。

○ あえて、反対する人たちもいるのですが、一番あり得るのは、出資型と言われるもので、出資に応じて議決権を与えるというものですね。これは一応前に議論したときは、許容していいだろうということでした。それは公序良俗に反しないということだったので、それならば、そういうのもあり得るということはどこかに明記しておいても構わないのではないかと思います。非営利性の観点からこのようなことを許容することに反対する人たちがいるので、あえて触れないということも考えられますが、逆に論点を隠しているのもおかしいので、非営利性に反するものではないと正面から議論しておいた方がよりと思います。

○ 協同組合法なんかは認めてないわけですね。

● 認めておらず、1人1議決権でございます。

○ ここでもそれを認めないという立場をとるのであれば、それはそれでよいが、それを認めるのであれば、そのことをむしろはっきり書くべきだと思います。

● 認めるということをはっきり書くのか、あるいは認められることがあるので、その場合には議決権制限についてという書き方で書くのか。

○ そういう形の方がいいと思いますね。

● 認めるということは、だめだと書かなければ認めるというのが……。

○ 我々の了解はそうだと思います。

● すいません、十分わかったようなところを失礼申し上げました。

○ 具体的な限界はなかなか難しいですね。

○ 定めようが難しいですよね。

○ 定めるとすると、どういう方向で定めるんですか。既に社員になっている人のだれだれさんの議決権はと、これは書きやすいかもしれませんけど、今度入ってくる社員の議決権を非常に低くするというのは具体的にどうやってやるのでしょうか、定款で書くときは。

○ 社員にAタイプ社員、Bタイプ社員みたいな、まさに会社の種類株主みたいに、そういうのを分けるのではないですか。ですから定款変更によって、当初社員は1人100の議決権持つけれども、ある一定の年から先に社員になった者については、1人1議決権だと思うんですね。それはあり得る話だと思います。

○ それを了解して入ってきたなら、それはそれでよろしいという考え方もできますよね。

○ ですから、非常に巨大化して、一般消費者に近いような社員になる人についても、定款をちゃんと見て、その意味を理解して、社員になった以上は覚悟しろと言っていいかという問題かもしれません。

○ 整理かもしれませんね。

○ 社団タイプではないんだけど、私の知っているある財団法人で、会員制度を設けていてその会員についての話なんです。だから、社員とは違うけど、その会員について特別優待会員とか、何とか会員とかいろいろ分けていて、それは出資というか、寄附の額に応じて分けているのがあるのです。こういうのは社員についてもあってよいかもしれないですね。

○ いいのではないでしょうか。

○ いいといえば、いいのかもしれないが。

● 定款に定めることによっていろんなバリエーションをするということ自体はよくて、今やっているのは、そのバリエーションの限界を画するかということで、現行法制を眺めると、協同組合タイプは1人1議決権から例外が認められない。出資の多寡があるにもかかわらず1人1議決権から譲れない。こちらの社団タイプの方は、むしろ議決権は定款で定めてよいと、両方なので、真ん中にもし統一的な合理的な何かが見出さればと。真ん中である必要はないのだと思うのですが、切りわけが難しいのだと思います。

○ さっきの商法、公開か非公開、閉鎖的かで分けていると申しましたね。消費者的な社員が入ってくるような巨大な非営利法人というのができるかどうかというのが実質的な問題だろうと思うんですね。実際には小規模なものしかなくて、入って来る以上は、まあ、それなりに理解して入ってくるだろうと言えるのだったら、これでもそんなに弊害は生じないだろう。少なくとも今まではそうだった。でも、これから先どうなるかということだと思うんですね。

○ それはかなり大規模なのがあり得るのではないか。JAFのような。

○ そうなんですね。

● 議決権のある社員がわずかです。

○ わずかですか。あれを全部社員にしちゃうとね。

○ 非営利法人はこれから多分相当利用されると思います。中にはそういう大きいタイプのものも出てくると思うので、そういうときにどうかなというのは懸念としては残っている。

● このままの案でいくと、もしかすると、裁判でこれはおかしいと、この別段の定めはあまりにも消費者的な地位の人を害するということになってくることはあると思います。

○ ゴルフ場なんかでも似たようなタイプの問題も起きるわけですよね。

● 置くとかえって自由にできるところをできなくするというおそれもあるものですから。

○ 難しいことは重々承知しています。あと、この定款変更の要件は、商法は、議決権の定めに関する定款変更は、特に普通の定款変更よりも重い要件にしているのですけど、ただ、重い要件にしている定款変更の要件と、この非営利法人法の案の「六 定款変更」の要件が同じになっているから、実質的には担保されているということかなと。

● 3分の2が4分の3ということですね。

○ そうですね。3分の2と4分の3ですね。総社員の半数以上。議決権の4分の3。

○ 先ほどの議決権のところですけれども、現行民法ですと、無限定に差を設けることができるわけですが、それについて、運用上、制約というはあるのでしょうか。

● 運用というのは、指導監督等ですか。

○ はい。今でなくても結構ですが、もしあるようでしたら、お教えいただければと思います。

● わかりました。

○ あと、「★」がついているのは11ページの、途中でももちろん結構ですが、11ページの責任制限に関する規定のあり方ですけれども、こちらはどうですか。

○ 本当はこんなことまで入れなければいけないのかという気はするんですが、ただ、上の親委員会の雰囲気からすると、これは入れないとどうにもならないと。

○ そうですか。

○ 有識者というのは、経団連代表が、そもそも代表訴訟等を入れるのはけしからんと非常に強調されておりますので、入れなければいけないのも情けない話だと思うんですけれども、とにかく上の方がそうですので、入れざるを得ないのかなと思います。ただ、商法見合いの、こんな複雑な制度を入れるのかという気はするんです。

○ 非営利一般法人法の話ですよね。

○ そうです。

○ それで入れるというのは、どういう観点から入れるという話になるのですか。

○ 商法の場合は、経営者が萎縮するというふうに非常に強く理由として主張されたんですけど。

○ これは非営利一般法人法でそんな配慮が必要ですか。

○ 思いませんけどね。

○ 非営利法人といっても、理事の判断ミスに基づいて、理事の法人に対する責任というのは生ずることはあるんですか。

○ ええ、ありますね。

○ 会社だと制限されて、非営利法人だと制限ないという、そこの平仄は合わないのではないかなと思います。ですから会社の方の問題なのかもしれませんけれども、会社が入っているという前提で考えると、あること自体はおかしくないように思うのですが。

○ さっきの経営が萎縮するという趣旨からして、非営利法人の場合、事業活動を考えているんですね。同じぐらいに考えなければいけないかという問題はあるとは思うんですね。でも、確かに委員がおっしゃるように、理事になる人にそれほど心配というか、極端に過失のあるようなことをしなければ、安心して職務を果たせるという安心感を持ってもらおうと。広い意味で言えば、理屈が成り立たないわけではないというぐらいのところで、ただ、こんなに商法並みに複雑の、特に定款の定めに基づく取締役会決議による免除みたいな制度までつけなければいけないのかという疑問が1つありますね。基本は社員総会の特別決議による免除、ここら辺はあってもいいのかなと思います。
 もう一つ、難しいのが、会社の場合は、社外取締役について、あらかじめ定款の定めに基づく責任限定契約というのがありまして、これが報酬の2年分ということまで限定できる。ただ、そうすると非営利法人、特に公益法人などの理事ですとむしろ無報酬が原則ですので、実質的に無責任の原則になるおそれが出てきてしまうので、それでいいのか、そのままパラレルに考えていいのかなという問題はあると思いますね。

○ これは非営利法人ですから、もちろん公益目的で活動をするものも含まれていますし、いろんな法人が入ってくるんですが、それでどうして責任限定というのを一般的に入れなくてはいけないのかというのが、今よくわからない気がしますね。

○ 逆に公益法人の場合だと責任限定できるとお思いですか。つまり、下の方で責任限定しないで、公益法人の方だけ責任限定するというのは非常に奇妙な感じがしますが。

○ 公益法人の場合ですか、仮に公益法人ができた場合。

○ 公益法人を含めての話でしょう、今のは。

○ 先生がおっしゃった、2階で公益法人ができた場合ということですね。公益法人でどうして責任限定が必要なんだろうかという気がしますけれども。

○ それを含めて必要ないという御意見だから、一貫しているのかもしれないけど。公益法人だけが必要だというふうにすると、下とのバランスがおかしくなってくる。

○ そもそも公益法人というのは、安心して寄附できるようにという仕組みできちんとやっているというPRといいましょうか、そういう制度だということが必要なんですね。それなのに、何か損害与えても理事は責任を逃れてしまいます、そういう制度ですというので、だれがそんなのに寄附するだろうかという気もしないでもないですけど。

○ つまり善意でやっているのだから、あまりうるさいこと言うとなり手がいなくなるというのが上の方の論理なんですね。それに今回、ある法人のことがあって、共感を覚える人が出るかもしれない。

○ でも、あれは逆に無責任じゃ困るということになる点も大きいんじゃないですか。相当あの理事の人たち、問題のある行動とっているわけですから。

○ 責任制限どういうふうにするかに関係するけど、報酬をちゃんともらっている理事と、それからもらってない理事とでやっぱり違うというところが感覚的にはあるわけですね。こういう区別が本当によいのかどうかなかなか難しい。

○ 当然の前提だと思っているんですけれども、社員総会の特別決議、あるいはそれに準ずるようなもの、類似するようなもので免除するということですね。当然に免責されるわけではありませんし、委員のおっしゃっているところがよくわからないのですが……。

○ 規定を置かなければ、それは全社員のことですよね。

○ 善管注意義務を法人に対して理事が負うと思います。それは代表取締役が会社に対して負うのと、善管注意義務の義務内容はそれぞれ営利のものと非営利のものとで違うでしょうけれども、そこは同じですよね。営利の方でいろんないきさつがあったのでしょうけれども、今の日本では一定の場合には、一定の責任は免れることはできると、それが非営利の仕組みにおいて、それを積極的に排除するのは、やはり寄附などを集めるからですか。営利の側では仕組みがあるわけですよね。会社については取締役の責任を免除するための仕組みがある。しかし、今、それを横目で見ながら非営利についての仕組みをつくろうというときに、積極的に非営利の理事が、そういう責任制限の仕組みを不要とする理由というのは、先ほどおっしゃったところからすると、寄附を集めたりするスキームだからということになりますか。

○ さっきは公益法人のときの話をしたんです。ただ、そもそも論で考えた場合、どうなんでしょうね。おっしゃるとおり、理事は会社との間の委任契約に基づき、契約上の責任、債務不履行責任を負う。そうすると、会社が理事に対する損害賠償請求権を取得する。そうすると、あとは会社がその損倍賠償請求権をどう処分するかという意思決定の問題ですよね。そうするとその意思決定というのは、だれがどういうふうにするのか。

● こちらでは※1の「また」で書きましたとおり、「総社員の同意」という規律を、純粋な契約関係の理論の一方かたの債権の免除に関する意思決定を重くしているので……。

○ 債権を放棄又は免除するようなものですね。それについては、どういう要件で本来は意思決定できるのか。

○ 本来、法人であれば社員総会なんではないですか。

○ 社員総会での決議、決議要件をどうするかというのを、先ほど定款で……。

○ 当然全社員ということには本当はならないんだけど、単独で提起できる代表訴訟があるから、それが平仄合うということを考えているのでしょうけれども。

○ 本来は多数決の原理でやるでしょうね。

○ 多数決もあり得るわけですね。

○ ただ、権利を放棄することについては、そんな通常の決議要件でよろしいのかという判断ですよね。ですから、それは財産を捨てるようなものですから、基本的には多数決原理が適用なくて、全社員の合意が必要であるという考え方なんでしょうね。それが会社法ではちょっと変容したんですね。

○ やむを得ず変容させられまして。

● 会社法だけ特別、経営者は自由な、思い切った活動をしてもらうことが世の中にとってよいという、社会的合意によって特別に免除規定があるとすれば、こういう結論になりますし、そうではなく理事の責任免除というのは、全員で免除するというのでは重過ぎるので、その重過ぎる部分を、一部限定という形で制限する道を一般的につくったのだと考えれば、営利も非営利もないのだろうと思います。

○ 理屈はそれぞれあるのですけれども、とにかく事実上、これを入れざるを得ないと思いますね。実際上は、法律を通すためには。ただ、会社とそのままパラレルでいいかというのは大いに議論しなければいけないので、それはぜひ御意見いただきたいと思いますが、ただ、ある責任制限方法を除くというと、また上の会議の委員の方から、会社でできるのが、なぜできないという御意見が出ると思いますので……。

○ 取締役会のような機関が非営利法人にはないんだと。

○ 今度の会社法の要綱案でも、取締役会を設置しないタイプについては、この責任限定方法は認めないというものがあります。

○ ですから(ア)を基本にして、そして年数と報酬額がゼロだった場合に、本当にゼロなのか、そういうことなんじゃないんでしょうか。非営利法人に即した形での会社法並びの責任制限というのはどういうものなのかということを考えるのが生産的になると思います。

○ いわゆる親会議、有識者会議の雰囲気という御議論が出ているのですけれども、そのことの関係で、恐らくこのワーキングの資料に、この理事の責任が過失責任なのだということが明記されたのが今日が初めてだと思うのですけれども、そのことを踏まえた説明をもう一度有識者会議の方にしていただいて、その御議論の様子も承ることがあってもよいのではないかという気がするのですが、それでも、なお、やっぱりルールを置かなければだめだという可能性もありましょうから、そのために何か考えておくということはあってよろしいと思うんですけれども、何か考えておくとすれば、今、おっしゃったように、参考資料の(ア)を基準としながら、しかし、ここまで複雑なものを非営利法人について考えるということは親しまないと思いますので、恐らく報酬のある、なしといったところあたりを基準にして、あまり過度に複雑でないような何らかのルールをやむを得ず置くのだとすれば、置くというふうなことを検討するということはいかがでしょうか。

○ そのときの親会議には出てなかったので雰囲気はわかりませんけれども、もちろんもう一回親会議でも議論することになると思いますけど、過失責任かどうかというところは、皆さんが同様に理解していたかどうかわかりません。ある人はもしかしたら無過失責任だというふうに理解していたかもしれません。ただ、大方は過失責任だという前提で理解していたのではないですか。

● ただ、過失も、自分が手を下してなければ過失はないと思うのか、理事になった以上監視義務があなたにはあるんですよということまできちんと念頭に置かれているのか、何とも言えません。

○ 何を過失とするかという問題ですよね。そこは本当は微妙な問題なんです。

● 年一回、理事会に行って出席するだけだったら、何も責任がない、過失はないとなってしまえば、多分そのお考えは本末転倒なのであって……。

○ 理論的な問題として、委員が言われたように、営利法人と非営利法人とでもって全然構造が違うというのは何となく説明しにくいような気がしますけれどもね。

● 構造の問題なのか、政策なのか……。

○ 政策だとしても同じで、アメリカなんかはむしろ逆ですよね。逆というか、非営利法人の場合には制限していいだろうという、営利法人は制限しないけれども、そういう議論はあると思うんですね。それが日本では逆になっているのだからおかしな感じがします。

○ この非営利法人の場合、社外取締役という概念があるのですか。

● 今はありません。もし入れると社外だらけになってしまいます。恐らく事務局長から上がった理事だけが社外でないことになると思います。

○ それでいて、一応全員代表権があるのが原則になって……。

● それを前提にいたしますので、そのとおりです。

○ そうだとすると、さっきの閉鎖会社に対する商法の規定を前提にしますと、報酬の6年分の免除しかないと。これはまたさらに複雑になっていまして、そういう場合でも、業務監査権限を有する監査役を設置している場合には、定款の定めに基づき、当該取締役以外の取締役の過半数の同意で、責任の一部免除という要綱案を入れていまして、さらに複雑なので。

○ そこまでは複雑にしなくても、とりあえず考えるべきは、とにかく責任制限に関する規定、すなわち特別決議という形でこれを免除することはできるかどうか。それから免除の要件、それから免除した場合の免除の範囲というのですか、この3つですね。ここでは今、結論が出ないので、何か入れなくてはいけないのではないかという感じはしますけど、私も。

● 今、いただいたヒントをもとに。

○ これは途中に一遍入るのでしたか。

● 9月15日に親会議がございまして、そこでこれそのものが話題になるかわかりませんが、理事の責任関係についての議題は恐らくのるであろうと思います。きょうのワーキングにおける指摘も踏まえて、親会議でいつ、どう取り上げるか、検討したいと思います。

○ そういうことで、現段階ではとりあえずこのぐらいにしましょう。ほかはよろしいでしょうか。それではまだたくさん残っているので、申し訳ないのですが、次へ行きましょう。

● 14ページの「四 計算等」から御説明いたします。15ページに計算書類の監査に線引いてございますが、これは前回の「※」を本文化したものと、「※」を本文にしたため、さらに細かい提出期限等々に関する記述を「※」で追加した趣旨でございます。中間法人ですとか、営利法人にある規定をそのまま写しております。
 15ページ一番下の「(3) 決算公告」の語尾のところについては、前回、御議論いただきましていろいろ問題点も御指摘いただきましたが、決算公告を入れる方向で検討するという表現に改めております。
 おめくりいただきまして、16ページの※2でございますが、これは前回御議論になりました決算公告を入れる場合の公告の具体的な方法について御議論のあったものを整理して掲げました。また、その中間法人法における公告の方法に関する法務省の通達も御参考までに引用させていただきました。
 16ページの「4 定款等の開示」のところは全部線が引いてあるのですが、これは前回の資料が、(1)、(2)に分けずに書いてあった部分を項目を分けた結果、全部線が引いてあることになっている部分もございます。
 したがいまして、(1)の定款等の備置については概ね異論がないところではないかと考えております。
 ただ、(2)の定款等の閲覧又は謄写の請求については、まず本文、社員が閲覧できるというところは問題がなく、また※1の、債権者が定款を閲覧とするというのも問題がないと理解をしております。
 ただ、次に「★」をつけました債権者が定款以外の社員名簿ですとか、社員総会議事録の閲覧、謄写の請求することの可否については、従前から大変問題になっているところでございます。前回までの資料では、プライバシーですとか、個人情報保護を踏まえ検討するとなっておったのですが、今般の資料では、それを踏まえた案を提示してございます。
 A案は、中間法人法と同じ規律でございますが、債権者はこれらの書類の閲覧等ができるとともに、法人は正当な理由がないのに拒んではならないという規定を置いてはどうか。
 B案につきましては、事前の御相談の中でアドバイスいただいたものをもとに事務局で考えたものです。ということで、表現ぶりなどについては不十分な点、アドバイスの趣旨をきちんとあらわしてない部分あるかもしれませんが、B案として書きましたのが、債権者は権利を行使するために必要があるときは社員名簿等の閲覧を請求できると。この権利行使を念頭に置いてありますのが、中間法人法の際に議論になりました経費支払義務の不履行ですとか、非営利性に反する利益処分があった場合の社員がだれかということを知るためというような案でございます。
 C案は、プライバシーや個人情報保護を最も重く考え、債権者は一切見られないというようなことも強調すればあり得るのではないかということで掲載した次第です。
 17ページの「6 検査役による調査」は、前々回でしたか、これが落ちているのはどうしてかということで、また置いてある方が商法でも重要な規定だということで置く方向で検討するというふうに資料に盛り込みました。
 以上でございます。

○ では、ここまででお願いします。

● 16ページの「★」のところを中心に御意見を賜れれば。

○ そうですね。社員名簿、社員総会決議の議事録を見ることができるかというあたりが争点の1つだったと思いますが。B案みたいなのは条文はなかなかつくりにくいのですか。利害関係といいますか、権利行使の必要性を示したときだけできるという。

○ ただ、債権者ではないのですけれども、商法の例えば293条ノ8などは「親会社ノ株主ニシテ其ノ総株主ノ議決権ノ百分ノ三以上ヲ有スルモノハ其ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ子会社ノ会計ノ帳簿……」を親会社としても見られるということで、商法ではそういう例がいくつかありますので、それを参考にこういう案をつくってはどうかということでした。

○ AとBとですと、証明責任というのでしょうか、それが逆になるということでしょうか。

○ 逆になることを前提にしているのでしょうね。

○ Aは、法人の方で、拒むことの正当の理由を示さなくてはいけない。恐らく実際の紛争は、その団体というか、法人において見せるのが適当でないというときには一応拒んで、それで債権者の方が見せろといって争って、そこでのどっちが証明できるかという、そういう争いになるのでしょうね。Aか、Bかぐらいは適当な気がするけれども、しかし、非営利法人の社員が何か責任を負わなくてはいけないというのは非常に例外的な場合で、さっきのような利益配当を実際に受けたとか、そういう場合ですね。だから、B案の方が非営利法人にはふさわしいような気もしますけれども。

○ 経費負担分を負っている場合に、債権者代位権で社員に対して行使するということがレアケースかもしれませんが、あるかもしれません。

○ 経費負担義務を負っているということは定款でわかるわけですね。だから、債権者の方は容易にそれを証明できる。

○ そうですね。

○ 会社が履行遅滞に陥っているとか、そういうことを言えば、その必要があるということが証明できた。

○ 議事録を保管しなくちゃいけないものですから、履行しなくちゃいけなくて。

○ 議事録まで要求するんですか。

○ 代位権を行使しようとする場合は。

○ 代位権だとそうですね。

○ 代位権を行使するために社員名簿を示さなければ。

○ 差し押さえたいからということで。

● 債務名義さえ取っておけば、あとは差し押さえのために……。

○ 議事録要りませんね。

○ 経費自体はそんなに大きいものではないですよね。

● 有限責任の原則に反しない程度のものでございます。

○ ですから実際上はほとんどない。

○ だからBでいいということになるんでしょう。

○ そうです。

● 中間法人法は、むしろ商法にとても強くならおうとした結果、A案ということだったのでしょうか。ちなみに御案内のとおり、商法の方は別に債権者はこういうものを見られるということになっております。それでは、Cは落とすということでよろしいでしょうか。

○ Cは落とす。

● 恐らく現行法制でも絶対だめというのは、もともとそのような書類をつくる義務がない法人というのがございまして、その場合には債権者は見ようがないというのはありますけれども。

○ よろしいですか。少し議論は残っているかもしれないけど、Bが比較的支持が強いというぐらいで。
 では、次へ行きましょうか。

● では、拠出金の部分、17ページの5から御説明いたします。拠出金をこの部分に移動しましたのは冒頭御説明したとおりでございます。本文、※1等表現に変更はございません。※2に変更ございますのは、趣旨は変えていないつもりですが、より中身を言葉を尽くしたという意味でございまして、財産的基礎の確保という言葉だけではなく、非営利に反しないようにですとか、資金調達の面もあるだろうということ。資金調達した後の、その集めた拠出金の固まりというのは法人の財産的基礎部分を形成する意味を持ち得るだろうということを書いてございます。
 「★」がついています※3が、拠出金を設立手続とは切り離して考えた場合に、まず設立後に拠出金の拠出を求めることは問題が恐らくなかろうと。ただ、それだけだとなってしまうと、恐らく不便だろうと考えまして、実際問題の規律としては、設立手続中であっても、拠出金の拠出を求めるとすることが相当だと思われますが、ただ、中間法人法のように、設立中の、設立に結びついた規定ぶりとは異なることになりますので、※3の趣旨を、切り離したとしても、設立中に拠出手続を行うことが相当かどうか、相当だという結論になった場合に法制上何らかの明示の手当てが必要となるかどうかという両方の趣旨で書いてございます。
 2が拠出金の募集、割当て及び払込み等についてでございますが、※1、※2、※3、※4、※5と「★」がついてございます。簡単に御説明申し上げますが、※1は、中間法人法のように拠出金の払込みは遅滞なくとするではなく、商法の新株発行の規律を見習いまして、払込期日を定めて打ち切り発行を認めようとする趣旨でございます。
 ※2は、従前の資料では、現物拠出については定款で書かなければならないという規律を中間法人法にならって置いておったわけですが、その後、よくよく検討いたしますと、今般の拠出金というのは、社員における現物拠出は社員が決めなければならないということでもなかろうと考えました。また、新株発行の手続を参照しても、取締役会がこれらの事項を決めるという部分もございますので、※に書いてあるような規律としてはどうかという御提案でございます。
 ※3、※4、※5をまとめて御説明いたしますが、※3、※4というのは、拠出金を募集する際の法人側が所定の情報を記載した申込用紙を作成し、それを拠出しようとする者に対して交付することによって情報提供をする。※5の@の趣旨です。そして、※5のAの趣旨を実現するためにもらった申込用紙に申込額を書いて法人に返すというやり方、株式申込証のやり方を置いた方がいいのではないかという再度の御提案でございます。前回、前々回の御説明では、設立手続と結びつかないので要らないのではないかと申し上げましたが、※5に書いたような趣旨は、むしろ設立手続と切り離されたとしても妥当するのではないかと考えた次第でございます。
 ただ、具体的なやり方、※3、※4は申込用紙という物をやりとりすることを考えておりますが、※5の趣旨が実現できるのであれば、申込用紙というやり方に限定しなければならないということでもないかとも思います。ただ、現行法制では申込用紙を使うということになっております。
 こういうことを申し上げますのは、まだ会社法の方で、この部分についての検討がなされておるというようなことも聞いております。ただ、※5の趣旨を失わせるということではないようでございますので、その点も含んだ上でこういう規律を置くことの当否について御指摘いただければと思いました。
 19ページの(3)拠出金の払込みのところの本文は、払込期日を決める、あるいは打ち切り発行するということに伴う所要の修正の提案でございます。
 ※1も同趣旨でございまして、払込期日を決めるということの法的効果はその期日までに払込みがなければ失権をすると。その時点で拠出の効力が生ずるということとしてはどうかという御提案でございます。
 おめくりいただきまして20ページですが、20ページの前に現物拠出の調査という規定があって、その次に現物拠出価格が、理事の決めた価格が現物の価格に著しく少ないという場合の財産価格てん補責任を新たに設けてはどうかという趣旨でございます。
 この間に、実は「拠出手続に関する調査」と「理事の払込担保責任」と「拠出金の増加」という項目があったのですが、この部分については、払込期日、打ち切り発行を認めるという規律にしたこと。また拠出金というのは、設立中でも設立後でもできるという見方をするということに伴いまして資料からは削除してございます。
 以上でございます。

○ たくさん「★」がありますけれども、そんなに難しくないものもあると思いますが、新しい論点ということで議論だけはしていただければと思います。

● ※1も、恐らく実務上では株式会社であっても、中間法人の場合であっても、払込期日は定めて運用はされておると聞いております。

○ これはあまり問題なさそうな気がしますけれども。

○ 18ページの最初の「★」のある※3ですが、設立中の法人ですから、最初ですよね。最初の段階でも拠出金の拠出を求めることができる。そのときにだれが行動するのかというところは、18ページの2の(1)の「★」は理事が募集するんですね。

● 理事です。

○ ただ、これはまだ設立中の法人ですから、社員の中で一応理事に予定される人を選任……。

● 理事を決めた後に拠出金の手続を開始してもらうという方が相当ではないかと考えております。

○ わかりました。そうすると、今度は20ページの4の財産価格てん補責任の関係なのですが、ここでは、価格が理事の決定した価格に著しく不足するときは、理事がてん補責任を負うわけですね。

● はい。

○ このてん補責任というのは理由は何なんですか。

● 理由は……。

○ これは会社のような資本充実責任とか、それに類するものであるのか……。

● 他の拠出者との関係で、もしこのままだと見合わない返還請求権を持つ拠出者が出てくることになるので、その引当てとなる法人財産を充実させるということになろうかと思います。

○ そうでしょうね。そのときに、社員の中から理事として選任されますよね。

● そういう場合が多いかと思います。理事は別に外から来ても構わないので。拠出者であろうとなかろうとも構わないと思います。

○ 理事が責任が負う根拠は、おっしゃっている趣旨と多分同じだろうと思うのですが、私が申し上げるならば、理事が価格を決定した、そのことが根拠になるのだろうと思うんです。

○ 価格を決定したからですか。

○ その価格に見合うものがなかったので、法人の中では、理事が10しかないのを30と評価してしまったと。30の返還請求権が拠出者に生じていることによって、今、おっしゃったように、他の拠出者がそれによって損失を被るので、その分を理事が、恐らく二次的になんだと思うんですが、担保責任を負うと、そういうものだと思います。資本充実の原則がなくとも、やはりこの責任は求めてよいものだろうと思います。

● 価格だけでなく財産そのものも理事が決めるということになっております。商法にならっておりますので、新株発行部分ならっておる部分ではございますが。

○ 拠出金をいわば商法の資本と準じた場合をするという考えでこの制度はできているわけで、この拠出金の額は登記される……。

● 払込みされた額は登記されます。したがいまして、現物拠出の方も給付があれば、その価格が登記、評価額が一たん登記される……。

○ 債権者はそれだけの拠出金の価値のあるものがその法人にあるということを信頼している。それを前提にしているのではないですかね。

● ※をつけましたとおり、もちろん調査役、検査役の調査受ければ、これは負わないと。ただ、現物拠出をした当の本人であったらそれはだめですと。

○ いくつか設立の手続といいますか、時間的な経緯との関係で、一番わかりやすいのは商法と同じように、拠出自体は設立とは直接関係ないけれども、拠出があって設立されて、登記されるというタイプですね。それから、設立だけは先にされて、登記もされて、後から拠出するというタイプもいいわけだから、その場合には登記はどうなるのか。

● まだ払込みがありませんから、その部分の登記はされません。

○ しないで、後で登記をするわけですね。

● おっしゃるとおりです。

○ 現物拠出と拠出金の登記は別の時点で行われるということですか。

● できるだけそうならないように払込期日決めて行われることが普通だと思います。ただ、理論的には御指摘のとおりのケースは起きると思います。

○ それで、ちょっと気になったのは、払込期日が後という場合、社員の資格の得喪との関係なんですけど。社員は拠出するということになっていて、しかし、支払いの期日は、法人が設立されていると。そのときに拠出しないということでもって社員が、これは19ページのところの「★」ですが、権利を失うというのは、社員の資格をそれで……。

● 払わなければ、拠出者たる地位を失う。

○ 拠出者たる地位を失うのだけれども、社員という資格を失うのかどうかということなんです。

○ それは6ページの方の社員の資格の得喪について、そういう条件をつけておくということじゃないですか。

● そういう条件が満たされない結果、社員になれないということになるのではないかと思います。

○ 社員になれないというか、一たん社員になっている場合ですよね。

● だから、そこはなっていると見るのか、それとも、とにかく払わなければ社員になれないというふうにするのかどうか、そこは社員の入社資格についての定款の定めによるのではないかと思います。とりあえず社員になると。それから遅滞なく拠出しなければいけないという定めであれば一たん社員になれると思います。そこは多分入社資格についての定款の定め方次第になって、そこが不十分な定款の定めであれば解釈をするほかないと思います。

○ 定め方にもよるのかもしれないけど、一たん社員になったときに、社員の要件というのが、拠出するということになっているので、それを満たさないので、遡及的に失うという形になるのですかね。

● なるケースもあると思います。

○ 得喪というか、地位を失うという一般的な規律との関係でアンバランスがなければいいんですけど。社員の一般的な地位の失格……。

● 一般的なものは全く置いてなくて、定款です、とにかく。

○ 全部定款でいくのか。

● はい。ただ、一たんなった人の退社手続は置いております。任意退社、法定退社、除名の。

○ むしろ除名に近いわけですね。

● それを除名と呼ぶかどうか……。

○ 法定退社。

○ 法定退社ですか。

● 7ページでございますけれども、定款で定めた事由の発生に当たれば法定退社になろうかと。拠出することが条件で拠出しなかったということであれば。そのときに退社するとはっきり定款に書いておいていただくと迷いがないと。

○ それでいいのかな。ほか、よろしいですか。いろいろ細かい点もあったかもしれませんけれども、次へ行きましょうか。

● 20ページの定款の変更から御説明をいたしますが、この部分については、特に形式的な変更をした部分だけでございます。つけ加えることはございません。「★」は定款変更の決議要件に別段の定めは設けないとする方向で御提案しているところですが、なかなか、じゃあ、そうしましょうとならないので、まだ「★」をつけてございますけれども、その部分だけですね。

○ 今の「★」、21ページはどうですか。大体こういう方向でよろしいですか。

○ 発言がないなら、そうしましょう。

○ では、これはそれで。財団の方に。

● 財団関係でございます。22ページから、(注1)、(注2)、(注3)と大きな変更はございません。(注3)に線が引いてある部分も非営利の意味をどう理解するかにかかわる論点が後に出てくる部分を加えた部分でございます。「★」がございますのは、財団の意義について、従前からこのワーキングの一番の問題ということで「★」がついてございます。
 「一 設立」については、特に23ページから変更ございません。
 24ページ、「2 寄附行為の記載事項」のCに線を引いてございます。これは前回、御議論いただきまして、設立当初の財産というものを明らかにする必要があるのではないか。その場合には書面たる寄附行為に書くということで明らかにするのが相当ではないかということで修正いたしました。
 ※1の表現ぶりには全く変更はございませんが、「★」がついているのは最も大きな論点ということでございます。
 25ページの方の説明に移らせていただきますが、「4 設立当初に保有すべき財産の要否」につきましては、前回の御議論を踏まえましてこのようにいたしました。法人は設立当初に後記二の基本財産(仮称)の額以上の財産を保有しなければならないものとする。その趣旨が※1に書いてございます。
 「二 基本財産(仮称)」に移らせていただきますが、この仮称がついているのは、指導監督上の基本財産という概念と混同しないように、書いても混同するかもしれませんが、仮称とつけてございます。中身としては、御議論いただきました、例の最低の枠を画すると。それが法的効果を導く考え方だろうということで多数の御意見を反映させました。法人が存続中に保有すべき純資産の最低額を法定する方向で検討する。
 この説明として※1の最初に要求する趣旨が存続中も妥当するのではないかということ。
 ※2は、その場合に、いくらかという部分について、前回の資料と同じなのですが、現行の会社制度で(有限会社は300万円、株式会社は1000万円)ということを書き加えてございます。
 ※3は前回の資料と同じでございますが、最低額を下回った場合の法的効果について、A案、B案ございますということでございます。
 以上であります。

○ これは最終的な案を確定するときに、24ページの目的の事業に関する制限の要否ですけど、これはどこまで、絞るか、絞らないかということがありますよね。

● そうですね。

○ なかなか絞れそうもなかったので、絞らないでもいいのか。

● やむを得ないかと。

○ やむを得ないですね。そういうことであれば、これはこのぐらいでいいのかもしれないですけれども。25ページの二 基本財産(仮称)、純資産の最低額のあたりはどうですかね。

● 前回の比較的多数という方向でまとめをさせていただきました。比較的多数の方の意見を……。

○ 存続中も維持しなくちゃいけないというところが特徴なわけですね。

● かなり厳しい規制になろうかと思います。純資産ということでございますので。

○ また、そうであるとすると、あまり高い額、1000万というのはちょっと高過ぎるので、適当ではないというふうに思いますけれども。

○ 金額もそうですし、効果もA案とB案では、恐らくB案であろうという気がいたします。

○ そうですね。これですぐ解散になったのではね。B案であればいいのかな。存続中も維持しなくちゃいけない額であるというのが気にはなるけれども、財団法人だから、しようがないということですかね。そういう点では、株式会社とか有限会社ともまたちょっと違う。大体そんなところで皆さん合意された。大体よろしいんですか、300万ぐらいで、B案で。
 そういう意味では、次はA案、解散というのは落としていいのではないでしょうか。

● 1000の方も、現行の有限にならうと。

○ ええ。

○ 概念の整理なんですけれども、23ページに設立の段階で、「財団を構成する財産を出えんし」というのがありますけれども、この出えんされた財産というのと、25ページの基本財産、あるいは設立当初に保有すべき財産、その関係はどうなるのでしょうか。もう少し言いますと、設立者が出えんする財産以外に、設立時に入ってくるお金というのはあり得るのか、例えば寄附であるとか、拠出金であるとかというものがあり得るのかということなんですが。

● 拠出金の方は制度化しないとないと思います。寄附につきましても、設立、恐らくこの基本財産、設立当初に保有すべき財産を、いつ確認するのかを詰めないときちんとお答えができないのかもしれません。ただ、寄附を排除する必要はないと思いますので、寄附も、拠出金を法定すれば拠出金も含め、とにかくそれを確認する時点で300万以上なければならないというルールを念頭に置いてあります。したがいまして、設立当初に保有すべきをいつ確認するかの時期をきちんとしなければいけないと思うのですが、そうだとすると、やはり設立時なんだろうと思います。設立以前に寄附を受けられるかということで、恐らく受けられるというふうに考えて、財団が寄附を受けて、そして設立登記時に純資産として出えん者が出したお金プラス寄附の合計が300万円を超えておればそれは規範を満たすというふうに考えてよろしいのではないかと思っております。ただ、寄附が集まるかどうかわからないので、最初に自分で300万を出えんするのが安心なやり方だろうと思います。
 ただ、難しいのはお金でなくて、物を出したときの評価をだれが、どう確認するかというのが本当は難しいのだろうと思います。そこはさらに詳細を詰めたいと。でも外部者に調べさせるか、検査役が出てくるのも重い話になります。言い値でしようがないとすると、底抜けになっちゃうのかもしれないですけど、すみません。

○ いわゆる現在の公益法人などにおける基本財産に相当するものは、これは定款で定める。

● 寄附行為で処分制限に関するそういう規律が必要だと思われる財団については、民法54条といいますか、当該理事の権限制限の規範に沿ってやっていただいて、主務官庁の許可ないということになろうかと思います。

○ 処分制限の問題として解決すればいいということですね。ここで説明する必要ないのかもしれないですけど、どこか書いてありましたか、その問題。

● ここには書いてありません。別途つけ加えたほうがよろしいでしょうか。

○ あった方がわかりやすいです。

● この仮称としてあるものと、現行の指導監督上の基本財産概念はどういうもので、それを新制度下においてどういう扱いになるかということをつけ加えたいと思います。

○ 時間になってしまったのですか、どうしますか。

● 恐縮ですが、評議員会の権限のところだけやらせていただければ……。

○ ではそこまでやりましょう。

● 御説明いたします。恐縮です。26ページ、管理でございますが、評議員会の権限関係について、少し説明、親会議の委員から意見いただいていますので、整理してございます。(2)で評議員会の権限について、法律〔又は寄附行為〕で定める事項に限って、決議をする機関だということを文章上も明らかにいたしました。寄附行為に鍵括弧がついてあるのは、後に説明します※3のところと関連いたします。
 ※2でありますが、ここはワーキング・グループの先生方の御意見を整理するとこのようになるのではないかと考えた次第です。つまり@からCまでのことを理事が最終的に決めるとすると不都合がある。他方、評議員会というのは社員総会と同じではない。そういう基本認識を踏まえると本文のような位置づけがよろしいのではないかという趣旨でございます。
 ※3部分は、そういう※2で考えたようなバランスを踏まえると、寄附行為で評議員会の権限を広げていくと。業務執行の意思決定権限までも広げることが寄附行為自治によって可能だとすると、理事会を法定した意味が薄れてくるのではないか。業務執行というものは理事会が法律上やるという趣旨をより明確にすると。若干の心配はございますが、評議員会というのは、法律で定める※1から※4に限定するというのも1案ではないかと考えた次第でございます。
 27ページの招集、決議方法等につきましては、評議員会が自律的に集まって理事を監督するというような誤解があってもいけませんので、理事が必要だと思うときに招集をされて、会議体としての意思決定をすると。ただ、年一回招集しなければいけないというのは、計算書類の確定という部分があるからという意味でございます。
 おめくりいただきまして、28ページの一番上の※でございますが、ここは評議員会が評議員、後任評議員を選ぶという部分について権限が強くなり過ぎるのではないかという懸念についての説明を書いてございます。先ほどの権限分配の説明と重複なのでございますが、まず評議員を理事が選ぶということでは、先ほどの点からして相当ではないと。また、評議員会の権限が限定されるということであれば万能となるわけではないので、強くなりすぎるというのは、社員総会ほど強くなるわけではないということを御理解いただきたいという趣旨でございます。
 2つほどつけ加えたいと思いますが、28ページの下の方の「※」でございます。先ほどの権限、評議員会と理事会の権限のバランスを考えますと、評議員会が理事を自由に解任できるということになると、もしかするとバランスが崩れるのではないかということで、事務局の方で「※」の提案を書いた次第なのですが、ただ、私法上の法人を見渡しすまと、このような規律を言っている規定例はございませんでした。そういう問題もあります。独立行政法人のような場合には理事の解任事由を制限しているという場合がございます。
 もう一つでございますが、29ページで本質的な変更した部分ございまして御説明いたします。
 財団では理事会を必置として理事を3名以上置くという規律、ここは合意に至っているところですが、理事が各自代表を持つかどうかというところについて、必ずしも今までは、むしろ各自代表という前提で資料をつくっておったのでありますが、理事会を必置にするということの趣旨をより徹底するといたしますと、むしろ株式会社タイプにならって、代表理事を選び、理事会は業務執行の意思決定を行い、代表理事が対外的、対内的業務執行を行うということとしてはどうかというふうに改めてございます。
 ちょっと長くなってしまいますが、あと、法人に対する責任のところも、30ページの部分の問題がございまして、先ほどの責任免除の規定でございます。ただ、こちらは財団特有の問題があることのみならず、財団、社団の方でまずたたき台をつくってからというふうにも思っております。
 説明の方は、以上でございます。

○ 全部議論できないかもしれませんけど、残ったところはまた議論するとして、基本的な考え等については御確認いただければと思いますが、いかがでしょうか。権限分配をするための制度であるからということが基本的な認識ですね。そういう意味で、最終的な決定権限、@からCについて、26ページですけれども、※1のところの、これを最終的に理事が決定するというのはおかしいだろうということで、評議員会の方で決定すると。だけど、評議員会の方もむやみに権限を拡大することができるわけではないと、そんなところですね。ここら辺はよろしいですね。

● 寄附行為というのはちょっと不安もあるのですが、法律だけに限れば、相当評議員会の権限は限定されていきます。

○ それでいいのではないですか。評議員会というのは、あまりいろんな自由に内容をそこに与える必要は、ガバナンスの観点からも、評議員会というのは、一定の事項について、理事会を監督する立場であるということで、権限拡大の方は本来あり得るのかもしれないけれども、一応理想的なバランスを考えて、ここら辺は少しパターナリステックだけれども、こんなところだろうというふうに定めたということなんでしょうね。
 評議員の責任とも少し関係するのだけれども、たまたまこの間、オランダに行ったときに非営利法人ないし公益法人について調査してきたのですが、理事の方は報酬だとか何とかはもちろん自由なんですけど、評議員というのは無報酬であるとなっていました。報酬を与えてはいけないということになっているんですけれども、法律レベルではなく、ある種のガイドラインです。評議員の責任ともちょっと関係しますけれども、評議員の方は、報酬の有無とか、その権限や地位などの内容について、ある種の定型性というのがあってもいいかもしれない。
 ほかにいかがでしょうか。次回、もう一回……。

● もう一度、御説明だけで終わってしまいましたので……。

○ 大きな基本的なところだけは議論しましょう。

○ 理事の解任事由のところなんですけれども、28ページの一番下なのですが、解任事由を法定するという話は、さっきの評議員会の権限を法律だけで決めるというのと平仄が合う部分がありますし、権限のバランスを図るという見地からもわかるのですが、実際上、何か不都合はないものでしょうか。財団法人のタイプごとにいろんな理事のあり方があると思うので、寄附行為で解任事由を決めることを認めないという御趣旨ですね、法定しというのは。

● そういうことです。つまり、無理由解雇ができないということ。つまり心身の故障とか、職務懈怠、法令定款違反があったときに解任ができると。それ以外は解任はできないという趣旨であります。

○ 法律又は寄附行為に定めた事由というのではなくて、法律で定めた事由ということですね。

● そういうことですね。先ほどのところを削るとなると。

○ 理論的にはその方がきれいだと思うのですが、ちょっと実際上の不便がないかどうか、多少気になったということだけ申し上げておきます。

○ 寄附行為でもっていろいろ対応を考えていいということですね。

● 現行の公益法人の理事の解任事由は、ほとんどの法人が自ら解任事由を制限しています。

○ そうですか。

● 心身の故障とか、ほとんどというのは全て調べたわけではないので言い過ぎですが、一般的な寄附行為例を見ると、社団の場合もそうですが、制度上、役員に関する事項がそもそも寄附行為自治ですので、心身の故障と職務懈怠。

○ わかりました。

○ 解任事由、どんなものが考えられるか、少し検討して、また次回議論しましょう。
 それでは、ちょっと時間オーバーしましたけれども、かなりの部分はできましたので、大体の目的は達したと思います。ただ、次回は最後ですので、きょう御議論いただいたところで、まだ少しいろいろパラエティーがあるところも含めて大体確定していきたいと思います。どうしても確定できないものは、もちろんいくつかの案を提示します。そういうことで、御協力をお願いいたしたいと思います。

● 次回の日程でございますが、10月1日の金曜日、10時から12時までということになっておりますので、よろしくお願いいたします。

○ それではよろしくお願いします。ありがとうございました。


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