○:委員
●:事務局

第12回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年7月28日(水)18:00〜20:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ それでは皆さんおそろいですね。始めましょう。
 今日は資料が19-2というのから順番に並べられていると思いますけれども、それに基づいて最初に事務局の方から説明をお願いします。

● 本日御用意いたしました資料19-2は、前回の資料19と基本的には同じ資料ですが、19-2といたしましたのは、前回御議論いただいた部分については、その御議論を踏まえた修正をしたためです。本日はこの資料の17ページ、「五 計算等」から御議論いただければと思っております。17ページから社団関係について一通り御議論いただきました後、別に綴ってあります資料20で財団の基本財産関係について御議論いただき、その上でまた19-2の財団に戻って御議論いただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速19-2の17ページ、「五 計算等」から簡単に御説明を申し上げます。これは漢数字の五で区切ってよろしゅうございますか。

○ はい。

● それでは、「五 計算等」でございますが、「1 計算書類の作成及び承認」です。本文については、ワーキング・グループにおける議論の方向性どおりということで、特に修正はございません。
 ※1において、書類の範囲を「なお検討」としておりますが、これは端的に申し上げれば、損益計算書をつくれとするとか、収支計算書をつくれとするのかという、むしろ書面のタイトルに近い話なのですが、会計原則のあり方との兼ね合いもあるため検討中というふうにさせていただいております。※2は、監事が置かれた場合には、監査報告書をつくるというようなことも加わってくるという規律でございます。
 「2 計算書類等の開示」のうち、(1)、(2)は、これまでの議論や御指摘を踏まえて整理したものであります。整理の内容は、従前と同じです。(3)が新たに御提案している部分でございます。前回の資料19では、(2)の※という形でこの決算公告についての御提案を申し上げたのですが、(2)とは別個の制度であると思い直しましたものですから、※というよりは、新たに項目を立てて正面から御議論いただくことが相当ではないかと考え、資料を修正いたしました。
 決算公告を義務付けようとする趣旨につきましては、※に書きましたとおり、新たな非営利法人制度においては、主務官庁による監督がなくなり、また設立時の財産保有規制もなく、かつ社員の責任は有限責任であるということになりますので、事業年度ごとに決算公告を義務付けることによって、法人の財務状況を一般的に開示させるものとすることが相当ではないかと考えた次第です。
 ※の第2段落ですが、なお、これまで有限会社は決算公告を義務付けられていなかったわけですが、会社法の現代化の御議論の中で、有限会社に相当するタイプも含めた新たな株式会社については、その規模等にかかわらず、すべての株式会社に決算公告を義務付けるという方向で御議論がされているということでございます。準則主義で設立が可能で、社員の責任が有限、設立時の財産保有規制もないといった点で共通いたします非営利法人につきましても、決算公告を義務付けるということにそろえてはどうかという御提案でございます。
 (4)の定款等の開示についてですが、これは※1と※2で論点を記載してございます。今までも御意見をいろいろいただいているところですが、資料としては、これまでの議論の整理を記すにとどめております。
 (5)の社員の帳簿閲覧権に関する規律を置いてはどうかと考えております。※を付け加えた趣旨は、現行の有限会社法のように作成された書類の範囲によっては、帳簿閲覧権の有無が変わるという法制もありますが、中間法人法にならって計算書類の範囲によらず、帳簿閲覧権はあるということを明確にする趣旨でございます。
 五につきましては、以上でございます。

○ それでは、そこまででいかがでしょうか。

○ 18ページの決算公告の義務付けですが、これは会社法の方でも義務付ける方向になるんですね。

○ そうです。

○ 情報開示という点ではわかるんですけれども、間違ったものを開示するというのは、かえってたちが悪いわけで、そうすると中身が正しいことを担保する仕組みというのは何か考えられているんですか。

○ 無論、虚偽の公告をすれば、それに関するペナルティは課せられます。公認会計士監査を経ていない貸借対照表等まで決算公告を法律で強制することがいいのかどうかという議論は確かにありましたが、公認会計士監査までいかなくても、さっき言いましたように、虚偽の計算書類を作成すれば、それに関するペナルティがございますので、そういった一応の手当をした上で作成された計算書類については、開示をさせるのが本来あるべきことであろうということになったわけです。

○ ペナルティとしては、今、過料ぐらいにとどまっているのではなかったでしょうか。

○ 現在の決算公告の制度について言えばそうかもしれないですが、実は会社法現代化においては、決算公告に対し過料だけでなくて、実質的に適正な公告を担保できるような制度改正も併せて行うということが了解されていまして、ただ、それをどこまでやるか、そこまでは法制審段階では決めていないというところです。

○ もし会社法並びにすると、こちらでも、違反に対するペナルティということが検討されなければいけないということになりますかね。

● 御指摘のとおりだと思います。それをもちろん反映させた御提案を再度させていただきたいというふうに思っております。もちろん方向性はそうだと思います。ただ、一点言えますのは、仮にそのペナルティの内容、程度が内容の正確性を担保するものとしては、若干不十分ではないかというものとなった場合であったとしても、会社でされるべき決算公告の真実性確保の程度が低いという理由によって、会社では決算公告を義務付けるが、非営利法人ではその程度が低いから義務付けることはしないという選択は相当でないのではないかと思っております。

○ 公告又はインターネットでの開示ですか。

● これは公告をまずするべきだと。ただ、公告に代えてインターネットですることも構いませんという会社法の整理にならっているつもりであります。

○ 日刊紙というか、新聞等には。

● 商法の場合には官報が原則で、加えて規模によっては日刊紙という法制でございますが、非営利法人では、そこはむしろ官報という制限すらなく、現行で言えば、定款で定めるところの公告の方法であれば足りるということになろうかと思います。

○ それはしかし事務所に掲示するというのはだめなのですね。

● 事務所の掲示場に掲示するということであればよいと思います。事務所内に貼ってあってもだめであります。一般の人が誰でも見られる状況のものではなければだめだと解釈されております。

○ 例えば掲示板みたいなものを設けてあれば、それは構わないのですか。

● はい。それは現行の、例えば中間法人法の公告の方法も同様の規定及び解釈であります。ですから、官報による公告が義務付けられていないという部分については会社法よりは程度は下がるかと思います。ただ、その場合には、非営利法人は公告の方法そのものを官報としなければいけないことにするかどうかという問題もあろうかと思いますし、また、決算公告だけは官報以上にしろという議論もあり得るかもしれません。今の私ども事務局からの提案といたしましては、現行の中間法人法における公告の方法に関する規律及びその解釈に沿った形で決算公告をすることをまず義務付けてはどうかという趣旨であります。

○ 公益法人についても議論があったかもしれないけど、現実にはかなり小さい団体もあって、事務所に掲示するというのも、事務所があるものはいいのだけれども、事務所がないものもあるのです。ここでの議論は非営利法人についてだけど、公益法人と比べればなおさら非営利法人では、掲示するような事務所や場所があるとはかぎらない。新聞に出せと言われてもまたこれも大変で、インターネットも非常に簡単な、公益法人だと公益法人協会みたいなところで掲示できるような形になっていれば非常に簡単かもしれないけど、非営利法人一般について、そういうのが設けられるということはちょっとないと思いますので、そんなに簡単ではない。あるいは内閣府あたりで、そういう掲示板を設ける?

● 恐らく、公益性のある法人のディスクロージャーの関係で、判断主体その他が何かお考えになっている仕組みを、公益性がない法人が間借りできるかどうかわかりません。だめかもしれませんけれども、何か検討は全くできないではないと思います。ただ、事務所がない法人というのも、実際にあるのかもしれませんけど、むしろ主たる事務所を定めて登記簿にも書かなければならないという規律があるとすると……。

○ 設けることは設けるのですが、実際にある公益法人の中には、間借りしているようなのがあるわけです。

● 事務所が多分あるということでございますね。

○ そういう意味ではあるけど、掲示板に貼るような場所があるとは限らない。

● 掲示板と言っても、ドアの外かなんかに置いていただければ。例えば、ポストの横にでも置いていただければ、理論的にはそれで構わないのではないかと思いますが。

○ 某財団は、某大学内に財団の事務所を持っているけれども、どこかに掲示しろといわれても、やっぱり掲示する場所があるわけではないんですね。こういう小さい団体はほかにもたくさんあるんじゃないかと思うけどね。そういう理由で、ちょっとここの規律は重いような感じが私はしますけどね。

● それによって決算公告義務を全くなしにしてしまうか、例外的に規模の小さい法人だけはどうするかというような手当をするのか、それとも、やはりこの資料の提案のような方向がよいのかをご検討をいただければと思うのですが。

○ NPOの場合にはどうなっているんでしたっけ。

● 役所に関係書類を提出する形になっております。

○ 役所に出して、そこで誰でも見られるようになっている?

● はい。ちょっと詳細を確認しておきます。現時点での記憶で申し上げますと、まず決算公告義務はないと思います。ただ、財務状況等について定期的といいますか、所轄官庁に報告する、提出する形になると思います。そこで公衆が縦覧をするという手続があると承知しております。

○ 法人を使って不正なことをするということに使いやすくなることはよくないけど。

○ 事務局の話にありました中間法人法上の決算の公告ですか。

● 中間法人法上は決算公告の制度はありません。ここは現行の有限会社にならっておるのだろうと思います。

○ 非営利法人としての初めてのことを議論していることになりますか、そういうことになりますね。

● そうです。

○ この公告の方法について、商法と違う規律をこちらについて独立に運用の施行細則になるんでしょうか、そういうことを考えるということは考えられませんか。公告の方法について、いろいろ簡単なのも軽いのもあり得るよというふうな特別の。

● 事務所の掲示場でもよいというのは、商法では現在もそれはだめです。既に今の提案自体が商法より軽くてもよいという提案のつもりであります。

○ 中間法人法で計算書類等の公示という規定がありますよね。公示というのと、公告というのとはどういうふうに違うんでしょうか。

● それは公示という言葉が何を意味するのかですが、61条を見ますと、備置、関係者による閲覧又は謄・抄本の交付請求ができるという規律の条見出しが公示だろうと思います。

○ 中間法人の場合、関係者しか見られない?

● はい。

○ 公示と公告の違いというのは、事務所の内側に掲示するか、外に掲示するかということなんでしょうか。

● そのとおりです。ただ、公告の方法として、「官報に掲載する」と定めておる中間法人もございます。その場合には決算公告も官報にするということになります。つまり、自ら定めた公告の方法によって決算公告もするということになるのだろうと思います。

○ ですから、公告の場合は既に債権者でない人、これから債権者になろうという人も、それを見て取引をするということができるようにしているのに対して、既に債権者になっている人、あるいは社員など社団の関係者の人だけが見ることができる制度を「公示」と呼んでいるわけです。

○ そうしますと、非営利法人の場合に、従来の中間法人よりもよりオープンにすべきだという理由は、御説明いただいたかもしれませんけれども、もう一度お聞かせいただけますか。

● はい。公益法人のような主務官庁による監督がなくなり、財産保有規制も法律上のものとしてはなくなる。でもなおかつ有限責任だということを享受する新たな非営利法人制度にあっては、やはり、財産のみが債権者あるいは債権者となろうとする者の引当てになるわけですから、財務状況を一般的に開示させることが理念として必要ではないかという理由であります。

○ 私の質問はちょっと舌足らずだったかもしれませんが、非営利法人と中間法人とを比較して、なぜ中間法人の公示よりもより広い範囲を対象とする公告になるのかという、その理由付けなんですが。

● 中間法人法が不十分だったのだろうというように思うのですが。それは有限会社法の現行の規律がございますから、営利法人である有限会社にないものを中間法人に義務付けることはできなかったのだろうと思います。理念としては、本当は検討されて、しかも導入されてしかるべき事柄ではないかと考えているというのが理由になるかどうか。なるのではないかと思っておりますが。

○ あるいは中間法人の方では300万円の最低基金制度がありますから、有限責任の恩典をあずかるには、それなりの代償を払っているという説明もできるかもしれませんが、ここで考えられているのは、それを取り払おうという話でしょうから。

○ 基金がないものもあるわけですからね。基金というか、今度は拠出型でもって一定の拠出金の公示をするものはあるけれども、そうじゃないタイプも許容されている法人についてどうするのでしょうか。

○ 確かに委員の御指摘のとおり、今回の会社法改正作業で、従来有限会社として決算公告が強制されてなかったような会社も今度は株式会社に入ることになりますけれども、そのような会社にも決算公告を強制する一つの大きい実質的な理由としては、最低資本金制度が廃止されて、開示以外に、そういう有限責任の制度をとる法人がそれなりに財産的基礎を備えていて、有限責任の利益を享受できる体制にあるということを担保する制度がなくなるものですから、開示を強化する必要があるだろうということで、いわば最低資本金制度の廃止の見合いの形で一般的に決算公告の強制をするということになった経緯であります。

● 今、両委員から補足いただいたとおりの理由だろうと思います。私の説明では、財産保有規制がなくなるというところで言ったつもりではありましたが、失礼いたしました。訂正させいただきます。

○ 公告の方法として非常に軽いものを認めれば、そんなに負担はないかもしれないけれども。

○ それもあるんですね。従来、株式会社では官報か新聞紙での公告ということで、大会社は大体新聞紙で公告をやっていたわけなんですけれども、インターネットのホームページによる開示も可能になりましたので、実際上公告をする負担が以前に比べれば軽くなって、そんなに困難ではないということも実質的な理由としてはあると思います。

○ 私の関係している財団法人は、1万円でも惜しい。1万円でも管理費が出せないぐらい厳しい。

○ はっきり言うと公証人のところで公証させるのさえ数万以上かかるわけです。

○ そういう費用がかかるんだとしょうがないので、事業の方を削らざるを得ない。そういう選択をせざるをえない。

○ 公証人の認証さえ省けというような話までなっているかもしれないですね。

○ そういうところでもって、公証人の認証というのは、最初の方は設立の段階だからかもしれないけど、全体的な問題としては、事業に回す分と管理関係のコストに回す分とのバランスをどうするかということがあるんじゃないかと思います。コストのかからない非常に軽いものが可能であれば、それが一番いいのかもしれないけれども、新聞なんていうのはどうなんですか。

○ 100万円ぐらいだと。

● 今おっしゃったような数十万から100万円単位のものだと思います。

○ そんなに高いの? とても出せない。

● 官報の場合は、正確ではありませんが、たしか4、5万から高くても10万円くらい。破産の公告では数行で3、4万だったと記憶しておりますので、決算公告になるとそれよりももう少しスペースが増えますので10万くらいかなと。すみません、ちゃんと調べておりませんが。

○ さっきの小さい財団法人は、財団法人ですから取り崩ししないで利息だけでやってきているけれども、年間の事業費がもう50万を切るわけです、小さいところは本当に苦しい。とてもじゃないけど新聞には出せない。

● ですから掲示場を。

○ 掲示場と言っても難しい。

● 不特定多数の人が見られるところであればどこでも。どこでも、というのはおかしいので、公告の方法として定めなければいけません。法人をつくる以上。ですから、それぞれに定款に「官報に掲載して公告する」と書いてある法人もあるでしょうし、官報と書いてある中間法人もあれば、「当事務所の掲示場に掲示して公告する」という定めもございます。それは登記事項となります。官報では負担が重いとすると後者の定めをすることを御推薦するほかないと思います。もちろん、まだ今御提案している段階であって、法制化するとすればですけれども、一番軽いものはそれじゃないかと。

○ 実際上は、建物の中でどこか掲示するというのは、いろいろな理由ではっきり言うと難しい。インターネットの方が安くて5,000円ぐらいで済むのであれば、それが一番ありがたいと思いますけどね。

● 掲示であっても困難な場合があるのですね。

○ これはもともと大学の中に住所があるということが問題かもしれないけれども、事務所を独立に持つことができるほど資金的余裕がないので、そうなっているわけですね。

○ 管理者の許可が得られないでしょうね。

○ 恐らくだめですね。

○ 研究室のドアに貼るなんてことはとても……。

● 法律上の義務になった場合には、管理者の方にもぜひ御理解をいただけないでしょうか、だめですか。

○ なかなか難しい。

○ しかも内容について正しくないと制裁が待ち構えていますので。

○ それが次にあるね。

○ ちゃんとプロに見てもらわなくてはならないということになりますね。

● 過料は、公告をするしないという問題だけではなく、計算書類に不実の記載をすれば、それだけでも過料でございますので、プロに見てもらうかどうかはともかく、書類の作成については、御注意いただきたいとは思いますけれども。

○ 情報開示とかということ自体は結構なんだと思いますけどね。コストがかかると大きな制約になるので、その点について十分な配慮がないと、ちょっと難しいなと思います。

○ 個別の話になってしまいますけど、民間の会社がやっている無料のホームページサービスでしょうか、そういうものを使うということでも公告になるのであれば、URLがちょっと責任を持てないようなものになってしまうのかもしれませんけれども、先生の御懸念は大分解消するのではないかと思います。

○ 実際には、さっきのは公益法人ですから、公益法人については、公益法人協会がそのような場を提供してくれれば、それを利用するのがいいと思いますけどね。ただ、非営利法人になるとそういうものがないので。

○ そうなると、そういうサービスを提供する会社が当然出てくると思うんですね。

○ 御懸念はわかるんですが、そうしますと、例えば計算書類の備え置きということについても、その事務所に備え置いてということなんですね。

○ 団体の方も、もっと現代化しなくちゃいけない部分があるのは確かですね。

○ そこはさっき事務局がおっしゃいましたけれども、法律ができたら、それに合わせてまた対応するということじゃないでしょうか。

○ 書類の備え置きの方は、そんなに費用がかからないからいいのですが、公告というのは費用がかかる点が違うのです。

○ そうじゃなくて、掲示板に貼るということを何か学内で認めてもらわないと。

○ それはなかなか難しいんじゃないでしょうか。

○ そうすると、貸し掲示板みたいなものができてくるんじゃないですかね。

○ そういうことが嫌だったら、無限責任という制度を残すかという議論になりますね。

○ それまた極端な話ですね。実際上そういうところは、非営利法人になるとまた違うのかもしれないけれども、そういう小さい公益法人というのは別に取引をするわけじゃないのでね、実際上は債権者なんかほとんど出てこないわけですね。ですから、そういうのについてまで、あんまり余計な費用をかけさせるというのは本末転倒だろうという感じがするので。

○ 先生のお話は公益法人の話ですか。

○ 実際の例がそうだから、公益法人について話してます。しかし、非営利法人についてももちろん最低限同じ規制になるわけでしょう。

○ そうなんですが、ただ、公益法人の方はもっと公開性が強くなるんじゃないかなと思うんです。

○ ですから、公益法人の方は、さっき言ったように公益法人協会みたいなものがあるので、そこを使えれば安い費用でやっていく方法があるだろうと思います。公益法人であれば、場合によっては内閣府の方でもって掲示板を設けても、おかしくはない。非営利法人となると、そこがちょっと違う。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。じゃ、次行きましょうか。

● それでは、「六 定款の変更」から解散、合併、清算ぐらいまでの御説明をさせていただければと思います。
 「六 定款の変更」につきましては、1、社員総会の決議、2で決議要件でございます。特別多数の決議要件を御議論いただいたところであります。※印で別段の定めは、現行法人法制上、別段の定めを許容するタイプとしないタイプとそれぞれございますが、許容しないタイプという設計でどうでしょうかという御提案であります。
 七の「解散」につきましては、今まで御指摘いただいたことをまとめております。(2) は、解散の決議は特別決議によらなければならないとなってございます。※印は、解散事由によっては、法人の継続ということも考えてはよいのではないかという趣旨でございます。「2 休眠法人の整理」、「3 解散命令」につきましては、準則法人ということになりますので、その休眠状態のものの整理ですとか、不法の目的で設立された法人の存続は許さないという会社法にならった規定を置いてはどうかということでございます。今までの御議論でも、いずれも必要な制度であろうというところであったと思います。4の「解散を求める訴え」につきましても、これも置いてはどうかと考えております。
 「八 合併」につきましても、ニーズがあると思われますので、今、中間法人にありますが、民法には規定がございませんので、所要の規定を置いてはどうか。※印の組織変更につきましては、まだ社団タイプの中に別類型があるとなった場合には、組織変更の問題が生じてこようと思いますが、今のところは現実化しておりません。生じた場合には検討すべきであろうという趣旨でございます。
 九の「清算」につきましては、「1 残余財産の帰属」で、本文はこれまでの御議論のとおりであります。※印は、ワーキング・グループ、あるいは有識者会議に対して、本文の規律ではよくないという強い御意見がございますので、その指摘を書きました。「しかしながら」という部分は、その指摘について法制上どういう理由があるのか、又は仮に御指摘のような規律を別途置いたとしても、実効性がほんとにあるのかという問題指摘をしてございます。「2 設立の無効及び取消しの訴え」、「その他」については、説明はございません。
 以上であります。

○ そこまででいかがでしょうか。
 ここ自体の問題ではありませんが、残余財産と少しは関係するんだけど、定款で社員になる者に一定の拠出を求める拠出型の法人で、拠出金は返還しませんというように定款を定めたとき、その扱いというか、各自の拠出した財産についての扱いですね。今まで拠出金は法的には債権だと言っていた、返還しないという債権というのは法的にはどういうことになるのだろうかということがちょっと気になっていたのですが。つまり、拠出した段階で、基金はあるが拠出者の債権はないという形にするのか、一つはそういう説明がありえますね。もう一つは、債権という形は残っているけれども、最後残余財産の分配といいますか、その処理のときに拠出者には返さないで、どこか別なところに処分するという説明が考えられるでしょうか。どの時点まで、拠出者の財産権的なものが残っているかということなんですけどね。

○ 寄附とはどう違うんですか。

○ どの段階で処分されるかということです。最初設立の拠出したときにもう既に寄附になっちゃうのか、最後解散のときに寄附になるのか。

○ 拠出型というのは、返ってくることを前提に拠出するのであって、それこそ財産権の侵害になっちゃいませんか。

○ 定款で決めるという前提ですね。

○ 最初に拠出するときの条件として、劣後はしますけれども、少なくとも債務をとった後で財産が残れば、その中から拠出分が返ってくるということを前提に拠出するわけですね。

○ もちろん、それが拠出型の典型ですが。

○ そうでないものもつくろうと、そういう発想ですか。

○ それは定款でできるわけでしょう。つまり社員の地位と、法制上は社員の地位と拠出というものは当然に義務付けるわけじゃないけれども、社員になる人は出してくださいということで定款で義務付けて、だけど、それは返しませんよというタイプがあり得るわけですね。

○ それは寄附ですよね。私は拠出型という言葉を使うのは、後で返すことを前提に出してもらう場合を拠出型と呼ぶのかと理解していたんですが、今の先生のお話ですと、もっと広く拠出型という言葉を使って。

○ 広いというか、そういうものもあり得るだろうと考えていたのですが。

○ 当初から寄附した場合と、それから返還請求権を放棄して拠出するというものの違いがよくわからないんですけれども。

○ 実際上の違いがあるかどうかわからないけれども、最後、残余財産の分配の段階でもって、初めて残った拠出分というものを拠出者には返さないで、しかるべき類似の団体とかいうものに残余財産として帰属させると、そこまでは財産権として残っているわけですよね、拠出者に。

○ まさに返還請求権は、じゃ、生きているわけなんですか。

○ 生きているというか、行使しないという形になるのでしょうか。

○ 税の関係でかなり問題が起きてきますよね。

○ そうです。税の関係がちょっと厄介だろうと思っています。

○ 最後の清算する時点で個別の同意があれば、もちろん、そういうことはできると思いますけれども、そうではなくて、先生のおっしゃるのは、あらかじめそういうこともあり得べしということを同意したタイプの。

○ 定款でそれを定めちゃうということですね。

○ それは定款変更で決めてもいいんですか、定款変更でそういうことを決めても。

○ 定款変更はちょっとまた別問題として、それは定款変更自体の問題点があるので。はじめから定款で決めるというのはどうですか。

○ 5ページの拠出金の定義にかかわる問題の提起を今いただいたということになるんでしょうか。5ページの一番下のところの※1で拠出金の定義がなされていて、拠出金の定義自体は、一応、拠出した金額が戻ってくる返還義務を負うということになっていますが、しかし、後記の規律に従い返還義務を負うというふうにあって、5ページの一番下には、Aとあって、拠出者の権利に関する規定を定款で置くことができますから、定款でどこまでの規定を置くことができるか。例えば、半分しか返ってこないようなこともありますが、それでもよいですかというふうにあらかじめ定款に書いておくというような拠出金があるのか、それとも、そうじゃなくて、そこは拠出金の定義の本質であって触ることができなくて、残余財産が債務を弁済した後、残るということになったときには、そこには債権が残っていて、やっぱり全額の限度で権利を行使することができるという規律以外に考えられないというふうに考えるのかということの選択ではないでしょうか。

○ これは最初の原始定款で、そういうことが後の定款変更等で決めるということが書かれていないといけないんでしょうね。

○ 定款変更でというのはどうして。

○ 定款変更でということじゃないんですか。とにかく拠出金を出してもらった時点で、定款に定款変更でそのようなことを決めることがあり得べしということは明示されていないと……。

○ それは権利を奪うわけですよね。

○ それはまずいんじゃないかと思うんですね。

○ 私が考えているのは、2つの要請を両立させるということなのかもしれないけれども、社員には、とにかく何口か出してもらう、それとしかし、最後は返しませんというタイプも定款で認めるということなのですが。

○ それは先生のお話の中に、最初の方にありましたけれども、入社する際に寄附を義務付ける、定款に基づいて行うというのでは足りないんでしょうか。

○ それでもいいのかもしれないけど。

○ しかし、実質それと差がなさそうだけれども、先生のおっしゃっているような法律構成で拠出金の法的性格を一旦与えた上で定款で、入社したときの定款ですけれども、後からのものじゃない定款で解散時には返還請求権がなくなる。あるいは解散時でなくて、それを以前も先生は返さないというふうにお考えですね。

○ 今の場合は、一応そういうふうに考えていましたけどね。解散前には返すということもありうると思っていましたが、解散前も返さないというふうに考えた方が一貫していますね。

○ 全部について、中途退社しても返さないということをお考えですか。

○ 要するに、親会議で、分配というか、返還できないタイプをつくってくれという希望があったわけですね。それに対して、私はそれは定款でできますというふうに答えていたわけですが、定款でできますということの意味がどういうことなのかということを考えようということなのです。

● 残余財産を定款でどうするという規律という範疇で考えると、拠出金制度の方は、残余財産を構成する前に弁済しなければいけない債権債務関係となっておりますので、まずそれはちょっと難しいんじゃないかと思います。ただ、定款の定めの工夫によって、残余財産とするのではなくて、拠出金を返す前の段階となった法人にある財産を定款でどうこうするという処分を決めていいのかどうか。それを定款で決めてよければ、何か考え得るのではないか。つまり残余財産という概念でやってしまうと、拠出金との関係では順番が付いてしまうと思うので、拠出金の返済原資及び残余財産というんでしょうか。

○ もう一つ前の段階ですね。

● はい。それを団体自治によって実現することが可能なのかどうか。ちょっと疑問なのは、解散前に決めていいのか。ほんとうは、できればそういうのを債務として、拠出金より優先する債務と契約してしまって、類似の団体にあげちゃうんですね。そして空っぽにして解散すれば、それでいいのだと思うのですけど、そのことをあらかじめ定款で決めておけるかどうかというふうに考えると可能性が出てくるのでしょうか。

○ 拠出金の権利には手を付けないということですね。

● 拠出金を返すべき原資が処分によってなくなっているだけの話なのですけれども。

○ 拠出金という言葉の使い方の話になってくるのかなという感じがしまして、いわば寄附のあるタイプのものを拠出金という名前の制度の中に入れてみてはどうかという御提案じゃないかという感じがします。実質寄附でもう返ってきませんよというタイプで、社員に寄附をいわばお願いすると、戻ってこないものとして出してくださいというタイプのものも拠出型という非営利法人として整理するという、そういうニーズもあるのかもしれません。しかし、法技術的に言うと、今までの議論していた拠出金のものとは、かなりいろんな扱いが違ってきますから、それは寄附と整理した方が合理的かと思います。法律的な差異としては一応別にした上で、さらに上位の拠出型というのをつくるということはありうるかもしれませんが。

○ 拠出型というのは、拠出した財産がこれだけあるということは、どこに出すんでしたっけ、定款に書くのでしたか。登記もできるようにするんでしたか?

● 拠出払込総額は登記をするというものであります。

○ そういう意味での扱いが、寄附ではできないわけですね。

○ 親会の前回までの議論で、私は拠出金は返さない拠出金も当然あり得るんだと思っていたのですけれども、今日の親会議だと、何か拠出金は出資だから返すのが普通だという意見が強かったように思います。

○ 原則なんでしょうけどね。

○ by definitionというのか、そういう性質のものだというふうに理解する見解がむしろ強かったように思ったのですけど。

○ 今日の親会議で?

○ はい。

○ そうですか。

○ どうでしたか、委員は。

○ 私はさっき委員が御指摘になった5ページの定義にありますように、拠出金というのは、一般の債権よりも劣後するけれども、しかし、残余財産には優先する形で返還される。しかも、それを定款でもって決めておくものだというふうに理解しておりました。

○ たしかそういうふうな感じでしたね、今日の親会議は。

○ 恐らく拠出金というものが多義的であったりしますとまた混乱が生じたりするでしょうし、今日の親会議でも、拠出金というのは残余財産を分配しないということの脱法に使うのではないかというような意見もあったり、拠出金自体についていろいろあり、全面的にみんなこれでいこうということではないんじゃないかと思うんです。

○ 親会議の方は、むしろ拠出金を返すというのに対して拒否的な反応が今まで強かったわけですね。

○ 前はね。

○ 何で急に。

○ 今日は何か違っていましたよ。

○ 今まで否定的だったでしょうかね。

○ 今まで否定的ですよ。

○ そうですか?

○ 親会議の方も必ずしも整理がついていないんじゃないでしょうか。残余財産の分配があるということを認めるということに対しては否定的な意見が非常に強い。しかし、それが同時に、委員がおっしゃるような意味での拠出金の制度を否定するということまで言っていたかどうかは、必ずしもはっきりしていなかったのではないでしょうか。

○ 何度も残余財産の分配とは違うということで説明していたけど、それでも否定的な反応が強かったように思いますけどね。

○ 多分、そういう制度だということを十分理解されていなかったんじゃないでしょうかね。

○ だけど、十分理解できる人が反対していたような気がしたけど。

○ そうですか?

○ 違う印象をお持ちでしたか。

○ ただ、拠出金について負債性を認めないと、初年度に拠出金として振り込まれた財産が初年度で税金の対象となってどっと税金で持っていかれてしまいます。中間法人でなぜ基金というのを設けたかというと、税金のことをも考えての話ですから、拠出金を返さなくてもいいという仕切りにすると、負債性がないと判断されると思うんです。

○ 負債性はあるんだと思うけど、最後の分配のルールを別途定めるということなんですかね。

○ それに限定するのならまだ何とかなると思いますが。

● 残余財産の分配というのは、やはり拠出金を返した後のものを分配するということにならざるを得ないと思います。そして、ご指摘は、矛盾する要請を何とか実現することができないかというお話だということは十分わかった上なのですけれども、先ほど申し上げたような技巧的な説明をすればともかく、ただ、それは制度ではなくて、当該法人がそういうやり方をしたというに過ぎず、それを定款でやったのか、それとも清算直前に理事会が決めてやったのかということの結果なだけであって、制度化されることではないのだろうというふうに思うんですけれども。

○ 事務局がおっしゃったウルトラCの手段があり得べしということは理解しつつも、それについて何か法文規定を置くという話ではないと思うんですね。それは解釈に任せるということになりますかね?

● もちろん、そうだと思います。それが拠出金制度の脱法だとか何だとか、つまり拠出者がそのようなやり方に文句を言うことだってあり得ると思いますので、その観点からは当該契約がおかしいというようなことは、最終的には裁判所で決着が付けられることになろうかと思います。

○ 恐らくそういうことですよね。そうすると、おっしゃった寄附と拠出との間のいわばハイブリッドな何らかの存在が、現実的ニーズがどれくらい強いのかということを一方では確かめるとともに、それがかなり強いということになったときに、何か規定を置かなくちゃいけない話なのか、それとも事務局がおっしゃった、いわば残余財産が確定する論理的な一瞬手前のところの操作によって切り抜けるということを解釈に委ねて、こちらは知らんぷりをするというので乗り切るか、そのあたり幾つか選択肢があるということになるんですかね。

○ ニーズというのは、寄附じゃ嫌だというわけですね。つまり自分は出資者であるということを最後まで明示したい。

○ そこまでニーズがあるのかどうか確かめていないけどね。ただ、非営利法人について分配できないタイプの、これは残余財産の分配のことを考えているかもしれないけれども、分配できないタイプというのを設けてほしいというのがあったわけですね。我々はそれを法制化はしない。しかし、この制度の中で定款の定め方によってできるということなのか、それとも、今のお話の大勢だとできないということなのでしょうか。寄附ならばいいから、寄附でやればいい。それ以外、たとえば拠出型で非分配はできませんよという話なのか。

○ 今の話は残余財産のことをおっしゃったんですか。

○ 残余財産というか、残余財産ももちろんですけれども、拠出されたものの返還も。

○ 基金の返還も分配の中に入るということですね。ここで定義されている残余財産の分配ではないんですが。

○ 基金の分配というか、基金の処理の仕方ということですね。

○ 個別の拠出者の同意なしにということですか。

○ もちろん最初に定款のレベルでの同意があるわけですよね。

○ 最初のというか、拠出したときの定款の中にそういうことがあり得べしということになっています。

○ 非分配型の定款でやるというのはそういう意味ですよね。

○ それこそ税法的に大変問題になるでしょうね。債務として分類してもらえるのかどうか。

○ だから、そこが最初に寄附だと言ってしまえばできるけれども、拠出金の場合は最後まで債務としてあるのだけれども、最後の段階でなくなるという……。

○ 免除益が生ずるんじゃないんでしょうかね。

○ そこで、解散の段階で贈与がなされたという扱いをしてもらいたいということですね。税法的に。

○ 可能なんでしょうね。今、先生がおっしゃったのは、法人が解散するときに残った基金・拠出金の返還請求権を放棄するような形ということですね。それは同意があればよろしいんでしょうね。

○ 今、法的にはね。税法の扱いはちょっと別としてね。

○ それはあらかじめ放棄するわけですか。解散を停止条件として放棄する。

○ 債務免除をすると、債務免除により基金返還請求権が消滅するということでしょうか。

○ 債務だけですね。

○ そうですね。

○ いろんな決め方があるでしょうね。そのときに、社員総会決議で定めるところに従うとか。

○ それもあり得るかもしれない。

○ もし、もともと返還請求権があるのだったら、最後に出すケースで決めて、全員の権利を奪うことができるのか。

○ 最初の定款で多数決で将来決めることはあり得べしと書いていれば、それでいいかという。

○ それもあるかもしれない。

○ 現にそういうことは問題になるんですね。合名会社の定款変更は総社員の同意が必要と法律には書いてあるんですけれども、全員の同意で多数決で変えることができるという解釈もありますので、それと同じような形で、将来多数決でそういうこともできるという定款の定めを置くということも、一つの考えとしてあるとは思いますが、一方でそこまで将来のことを考えて拠出者になっていってよいかという問題があり、将来のことへの同意をどこまでカウントできるかかなり不確定なんですね。

○ 今まで分配しないタイプというか、返還しないタイプについては、ここではあまり取り上げなかったので、ニーズもあんまり正確じゃありませんけれども、そういうのを主張する人たちは、最初からそういうものとして法人をつくるわけだから、最初の段階で合意は明確にあるわけですね。

○ それは法人と社員との個別の合意で先生はお考えでしょうか、それとも、定款に書いてあって、それを承認して設立する、あるいはそれを承認して入社すれば、当然に解散時直前の基金返還請求権免除というのが生ずると。団体法的にもできるとお考えでしょうか。

○ 団体法的にむしろできるのではないかと思いますが、あるいは、できるが定款自治の範囲内でできるのではないのかということですけど。

○ 内輪の親しい人によって構成された団体であれば、それでいいのかもしれませんけど、だんだん団体が大きくなっていって、はっきり言って定款なんかよく見ずに加わるような人もあらわれるような団体になっていくと、ちょっとどうかなという気がするんです。

○ 消費者法的な問題が別個生ずるように思います。説明義務の問題になるのかもしれませんが。

○ 中には社団法人で万を超える社員もいるようなところもありますし。

○ ちょっと別のことでお聞きしてよろしいでしょうか。先ほど、親会議の方では、残余財産分配禁止の法人を認めるべきであるという意見が強いとおっしゃいましたが。

○ 公益活動をするタイプの法人について考えているんだと思いますけど。

○ そういう意味ですね、1階の方ではないんですね。

○ じゃなくてですね。

○ わかりました、失礼しました。

○ しかし、また蒸し返すようだけれども、1階のレベルでもそういう法人をつくるべきだということは、その時は積極的には主張されませんでしたが、非営利法人についても拠出したものを返還できるというタイプは適当でないという意見はあったと思います。それに対しては親会議で検討したかどうかわからないけれども、その主張をされた親会議の委員が考えておられたのは、非営利法人であって活動するときにも、ちょっとあんまり正確な紹介じゃないのかもしれませんけれども、要するに分配しないという法人として寄附などを集めたときに、後から定款変更で分配できるようになるのは適当ではない、ということです。それは非営利法人のレベルで寄附を集めて活動する場合の話です。つまり公益法人に上がったり、非営利法人に下がったりすることとの関連でではなかったと思います。

○ 残余財産の問題とはちょっと違いますね。

○ そうですね。

○ あるいは、こういうことかもしれません。私はその立場をとるわけじゃないんですけれども、社員の人たちは基金として出していると。そして私たちこれだけ出しているので、世の中から寄附をしてくださいといって活動したと。寄附の方はどんどん使っていってしまって、基金の方はデットとしてずっと残っていますので、やめようというときに何らかのものがまだあると、その基金についてはまず債務の弁済で清算のプロセス、債務の弁済の中に入ってしまいますので、そこで返されてしまうと。そうすると中心になった人たちは、うまく活動がいった場合なんですけれども、結局出したものは戻ってくるけれども、その趣旨に賛同した人たちは寄附をしたままで持っていかれてしまったというふうに思われるのが嫌だという、中心の人たちの考え方なんじゃないでしょうか。

○ そういう議論もありました。そういう脈絡の中で、結局一切返還しないというタイプのものもあっていいのではないかということだったと思うんです。

○ 残余財産を一切分配禁止とするというのはちょっと理屈が難しいですね。非営利法人が目的を問わず自由活発に活動することを促進するとしますと、財の使い方自体は特段目的が限定されているわけでありませんから、法人を廃止する段階で残った財はどう使おうと国が口出しする話ではない。

○ それは法人の構成員が決めればいいということですよね。

○ そうですね。

○ それは非営利法人一般の話ですね。

○ かえって民間の財の処分権限を国が奪ってしまうことの方が理屈付けが難しいと思うんですね。外国の制度でも、公益法人は別ですけれども、非営利法人で残余財産を分配しちゃいけないというのは多分ないですね。

○ アメリカの州法の全部を知っているわけじゃないけれども……。

○ フランスのようにあまり法人に好意的ではないところでも残余財産は分配を認めて、ただ出資の限度に限定するというような規制にしてある。

○ アメリカの州の中には、もしかすると、だめだというのがあるかもしれない。

○ 非営利性を担保するために何らかの制限があることはあり得るかもしれませんね。

○ 先ほどからの議論は、思いつきということではなく、前から分配しないというタイプについて気にはなっていたものですから、議論していただきました。今、社団法人についての最後のところなので、ここで御議論いただたわけです。
 ほかの点はいかがでしょうか。

○ 社団法人は最後ですか。

○ そう、最後なので。

○ 検査役の選任というのはどこかに入っていましたっけ。現物拠出には入っているんですが、そうじゃなく、不正のおそれがあるというような場合の。現物拠出の方は結構なんですが、そうではなくて。

● 中間法人の70条ですね。今は資料に盛り込んではおりませんが、別に否定する趣旨で載せていないというほどの決断もありません。先生方でやっぱりこれは入れてあった方がとよいとのご意見が強ければ、中間法人法でも規律を設けておりますし、資料に盛り込みたいと思います。多少重いかなとも思ったりしているところではありますが。

○ ただ商法では、むしろ検査役による調査を定めた294条の方が本筋で、帳簿閲覧権よりも、ほんとはその方がいいんだという意見が従来は強かった。

● 事務局はニュートラルでございますので、御検討いただきまして。

○ 中間法人の制度があんまりよくなかったとか、重すぎるという意見があればそれを考慮することができますが、そうでないと積極的に落とす理由もあんまりないかもしれないですね。

● 選任されるケースは少ないと思います。

○ 実際上は少ないと思いますが。

● そういう問題ではないですからね。

○ 株式会社ではかなり使われていると思います。

○ そんなに多くないと思います。

○ 数は多くはないですけれども、結構おもしろい事件がある。帳簿閲覧権はあくまで帳簿だけですし、しかも素人である社員が見るということだけなのに対し、商法294条の検査役による調査の方が、裁判所の選任した信頼できる弁護士の人に見てもらう。そこから帳簿を見るだけでなくて、あらゆる不正の行為の検査をしてもらうという制度ですので、商法では昔から伝統的に、帳簿閲覧請求権よりは濫用のおそれの少ない、しかも調査権の範囲の広い検査役による調査の方を重視すべきだという判断が強いことは確かです。

○ 非営利法人では重すぎるかなという感じもしないではないけどね。大きなのはあるかもしれないけれども。

○ 自律的なガバナンスというときに一つの方法としては考えられるのではないかと思うんです。たしか信託でも検討しているところでして、そうすると、幾つかの自律的なガバナンスの担保方法として、検査役による調査というのを最初から外すこともないのかなというふうに思いますので。

○ 中間法人についてはうまく説明できないんですけれども、信託は受益者ですかね、株式会社はまさにエクイティホルダーですよね。この非営利法人は、社員はガバナンスの源泉ではあるんですけれども、財産的に利益を預けているという関係にないという相違点はあるようには思います。ですから、検査役までいかなくてもいいのか。しかし、中間法人はそこはそろえていますので、もう既にそこで問題は解決しているのかもしれません。

● 資料には盛り込む形にして、「ものとする」というよりは、「なお検討」という形で対応させていただければと思います。

○ 19ページの「その他」の前あたりになるんですか。

● 「その他」の前、あるいは「その他」の中に入っていたというべきかもしれませんが、別項目を立てたいと思います。

○ わかりました。

○ じゃ、検査役について、一応取り上げて検討するということにしましょう。
 じゃ次行きます。

● 定款変更の特別決議の要件の※は、別段の定めはないという方向でよろしゅうございましょうか。つまり、定款変更の特別決議はもう法定のものだと、軽くするようなことはしてはいけないと、中間法人法はそうなっております。NPOと民法は別段の定めがよいということになっております。商法は別段の定めがよいのですが、定足数の下限が定められておるという状況です。

○ 参考にならないと思いますけどね。

● 民法の場合には、定款変更について、主務官庁の許可が要ります。NPOも同様です。今度完全に準則主義になりますので、ここは定款自治で通常決議で定款変更してよいとする判断もあろうかとも思いますが、そうすべきでないという御提案であります。

○ 4分の3以上ということだから、今、問題となっているのは、軽くするやつだけですね。重い方はもともと。

● 重くする方も別段の定めという条文がなければですね。

○ だめ?

● そこは解釈になろうかと思います。つまり争いになったときに、4分の3の賛成がある場合に、自主ルールによると満たないということでどうなるかで裁判になるのだろうと思いますが、別段の定めがなければ、法定の要件を満たしていてだめだと言いにくいのではないかと思いますが。

○ 原始定款に、定款変更は全員一致と書いてあっても、恐らく4分の3まで下げられるんでしょうね。私はそう解釈しますね。

○ この※印は、重くする方も軽くする方も例外は認めずに4分の3で一律決めるという趣旨だったとして受け止めて、最初はそれでいいであろうと思っていました。民法の規定はもう変えるということで。ただ、先ほどの拠出金のお話とか伺っていて、事項によっては、全員一致でこれこれは変えなければいけないみたいな規律をしなければいけない事項が、これから後の議論でもしかしたら出てくるかもしれないような気もするんですね。そういう特殊な問題を除けば、この※印の御提案のとおりでいいのではないかというふうに思いますけれども。

○ 話がまた戻ってしまって恐縮ですが、残余財産分配について厳しい規律を課せられるようなタイプを求められる方々というのは、定款に委ねていては定款変更も行われるのだから安心できないと、定款変更を厳しくしよう、そういう議論に結びつくのでしょうか。

○ なりやすいでしょうね。定款ではできないようにしてほしいというのが究極の意見だと思いますけどね。

○ その種の議論に半ば政治的と言うと言い過ぎですが、いわば政策的に対応するために、ここのところをもうちょっと考える必要がある事項がひょっとしたらあるかなという趣旨で申し上げたんですけれども。

● 引き続きこのままで。

○ じゃ、次へ行きましょうか。

● 漢数字の一〇だけ残っております。外部者よる監査等、ここで社団関係は最後でございますが、社団で残る課題としてこの部分があると思います。中間法人制度の創設の際にも大規模法人の特例ということで検討がされたのですが、新しい制度ということで外部監査は見送られたという経緯もございます。今般の対象は、幅広い非営利法人全般といいますか、既存の公益法人制度の法人格部分と中間法人を対象とする制度を構築しようと考えているわけですから、移行の問題もありますし、公益性の方での外部監査という議論もありますけれども、1階部分で積極的に考えてよいのではないのかなというふうに思ったりするところでございます。※1で基準が問題となるわけですが、資産と負債を基準にしたうえで、1階部分でも外部監査を認める方向、導入する方向でいかがかと思うのですが、御意見をいただければと思っております。

○ ここでも資産あるいは負債の額で一定の基準を設けることならばいいのではないかという意見が強かったんじゃなかったでしたかね。

● ここはそういう御意見が強かったんですが、必ずしも、お時間の関係もあって議論され尽くしておりません。

○ 商法というか、営利法人の方はどうなって。

○ 資本金5億円以上か負債総額が200億円以上。

○ 同じ基準じゃだめなんですか。

● 負債の方は同じ額として、資本という概念を使えないので、資産の方をどうするか。例えば、100億円とするか。でも、100億円にしたら、該当する法人がほとんどないのではないかと思いますけれども。どのぐらいになると外部者による監査が必要な法人なのかと。

○ 営利法人よりも厳しい基準というのはあんまり理屈に合わないでしょう。

○ 1階について言えばそうだと思いますね。

○ 公益性のある法人だとまた違った観点が入りますけどね。

○ 200億円の負債ってあり得るか、ないでしょう。

○ まずないでしょうね。

● じゃ、やっぱり必要なかったということなんですかね。

○ これからは非営利法人でも相当大きいのが出てくるかもしれない。それはわからないです。

● 公益性の中身如何にもよると思いますけれども、1階法人になる。これは財団にも影響すると思いますので、財団法人については資産額基準で外部監査を、恐らく大きくなれば任意で自ら外部監査を入れるに違いないとは思いますけれども、法制度の方でもよっぽど多いものについては入れたほうが良いのではないか。

○ SPCなんかでファンドとして使う場合があり得ます。そうすると非常に大きい資産になるので、むしろ負債でなくて資産規模を問題にしなくていいかとか、そういう話も出てくるかもしれないんですけどね。

○ 資産100億円、負債200億円、資産というのは、純資産でなくて資産ですよね。そうすると、資産と負債というのは大体同じぐらいのものになるわけですよね。貸借対照表をつくって……。

○ SPCの場合はそうじゃないですよね。まさにファンドそのものですから資産しかない。

○ そうですか。

○ それがさらに債券を発行する形をとれば負債が出てくる。

○ お手元に置かれています公益法人の年次報告の63ページから64ページにかけて資産規模、それから負債規模、正味財産規模ということで表がありますので、こんなのが参考になるのかなというふうに思います。負債規模でも10億円以上というのが結構たくさんあるわけですね。

○ 実際上、非営利法人のままでという場合はあんまり問題というか、大抵大きいのは、財団法人なんかだったら、公益法人だったりしているんだと思うけれども。だから、商法とほぼ、営利法人とほぼ同じような基準で設けるというのは一つの考え方だと思うんですね。実際上適用される場合はそんなにないかもしれないけれども。

● ありがとうございました。

○ 検討しましょう。

● それでは資料の20の方の御説明をさせていただきます。
 資料の20は、基本財産という概念を新しい制度でどうするかということに関する資料です。参考資料7は、現行の財団法人における基本財産はどういう根拠に基づいて、あるいはどういう寄附行為上のルールとして決められておるということを紹介する趣旨であります。
 資料20の方に戻りまして、ワーキング・グループで前々回御議論いただきまして、その議事録をよく検討した結果、こういう分析ができて、後に書いてあるような検討をしてみて、どう制度設計をすることができるのかできないのかということを検討した資料であります。
 分析は、(1)は設立当初に財団を構成する財産という切り口があるのではないか。(2)は、設立者の意思(寄附行為)による処分制限がされた個別財産という切り口があるのではないか。(3)、が法人の存続中に保有すべき純資産の枠、これは、計数上の数額になりますが、こういう切り口で財団形態の法人の財産というものが見ることができて、それを新たに基本財産という概念として制度化できるものはどれなのか、あるのかないのかということを検討しようという趣旨でございます。
 (1)、(2)、(3)もダブるものも本当はあると思うのですが、整理の上では、それぞれ分断して思いつく論点を※印で書いてございます。(1)は設立当初、今後、「当初財産」と呼ばせていただきますが、当初財産を基本財産と位置付けるようなことができるのかどうかでございます。
 ※1は、当初財産を考える場合に下限規制を設けるかどうかという論点でございます。下限規制を要するとすべきではないかと考えました。その考え方でありますが、財団というものは、当該財産の利用によって目的、事業を遂行するというタイプが中心になろうかと思われますので、そのためには、一定規模以上の財産がまずある必要があること。仮に下限がないといたしますと、当初財産が1円でもよいというような濫用的な使われ方をするおそれもあるのではないかということから下限規制を設けてはどうかという論点があると思いました。その場合、当初財産が金銭であるときは金額を、金銭以外の個別財産であるときは評価額を下限規制の基礎と考えるべきではないかという論点でございます。
 次の論点、※2は、寄附行為の記載事項とすることの要否でございます。これも記載事項とすべきではないかと考えてみました。考え方といたしましては、事前に御教示いただく中で御指導いただいた部分ですが、法人をつくる人、つくろうとする人からの財産から法人の財産となる財産を明確に区別するため、当初財産を寄附行為に書くことによって、それを明らかにするという意味があるのではないか。おめくりいただきまして、最後に「民法51条参照」とございますのは、現行民法典では、寄附行為に書けという規範はないのですが、設立当初の財産目録をつくるという規範があるので、参考になるのではないかと思います。
 ※3はさらに進んで、その当初財産を登記事項とすることの要否でございます。2つの考え方があるのではないかと思いました。必要とする考え方が@です。当初財産を一般的に開示すべきであると。財団を構成する財産というのは、誰にでもわかりやすくした方がいいのではないかということに重きを置けば、登記をするということにも意味が出てくるのでないか。ただ他方、不要とする考え方については、寄附行為上で明らかになっていれば、まず足りるのではないかという点、また登記事項とした場合には、財産の種類によっては特定が不十分となる可能性があることですとか、設立後の当初財産の変動が登記簿に反映されないということになってしまいますと、登記に書いてあるのだから、これがあるはずだという無用の誤解を生じさせるおそれもあるのではないかということからすると、不要とする考えもあり得るかと思います。
 その次※4でございますが、当初財産を基本財産と考えた場合、その取り崩し、今の概念で基本財産の取り崩しは難しいと言われているものですから書いてありますが、当初財産に過ぎませんので、それを取り崩す分については、法制上の制限はないということになろうかと思います。
 以上の検討を踏まえて、※5で当初財産を基本財産と位置付けることの意味はどんなことがあるかということを整理いたしましたが、仮に基本財産と位置付けたとしても、当初財産が何かという点を寄附行為上、あるいは登記までということもあるかもしれませんが、明らかにするという程度にとどまって、基本財産だからどうというふうな、法効果はなかなか難しいのではないか。(1)の財産という切り口からはそういう検討結果になったわけでございます。
 (2)ですが、「処分制限財産」と呼ばせていただきますが、寄附行為によって処分制限財産を基本財産と考えた場合にどんな論点があって、どういう意味を持つかを検討いたしました。
 ※1は、その処分制限財産について、理事が制限に違反して処分した効果はどうなるかであります。これは代表権の制限ということになろうかと位置付けられると思いますので、善意の第三者には対抗できない。結局、理事の権限制限の違反にすぎないということになるのではないか。ただ、御指導いただく中で次の矢印ですが、処分制限の内容如何によっては、寄附行為に定められた目的の範囲外の行為、つまり民法54条ではなく、民法43条の問題になるのではないかという御指摘もいただきました。ただ、ここについても、もし民法43条について見解が分かれておりますが、仮に理事の権限制限という解釈に立てば、結局は同じであることもあるのではないかと思います。ただ、もちろん、ある不動産を特定の目的に利用することがその財団のあり様だとすると、その不動産を処分してしまうことについて、単に54条でよいのかどうかという問題はあろうかと思います。ただ、不動産を取得した第三者から見ると、やっぱり54条じゃないかという気もいたします。
 ※2は、処分制限の方法に関する規律の要否という論点があるのではないかと思った次第ですが、これは2つあって、すべて寄附行為に委ねるという方法と、一般的なデフォルトルールを定めておく方が寄附行為者、設立者にとってわかりやすいのではないかという御意見があったと思います。
 ※3につきましては、それを登記事項とすることの当否についても考えました。ただ、これは否定であります。登記によって、処分制限について悪意擬制が働くことになりますと、これは取引安全の観点からは相当ではない。特に有価証券が処分制限財産となった場合には、制度の衝突が起きると思いました。
 ※4は取り崩しの点ですが、この取り崩しは処分制限を解除するかどうかということに尽きると思います。
 というような検討を踏まえ、※5ですが、処分制限財産を基本財産と位置付けたとしても、法人内部における個別財産の処分制限にとどまって、※2のデフォルトルールを定めるという意味はあり得るかもしれませんが、その限度になってしまうのではないかというふうに考えた次第であります。
 (3)は、存続中に保有すべき純資産の枠を基本財産と位置付けてはどうかということについての論点でありますが、まず※1で、その保有すべき純資産の枠、以下「枠」と申し上げますが、その基礎は何か。いろいろ考えられて(1)の当初財産とする、(2)の処分制限財産、法人ごとに自由に設定した処分制限財産を基礎にするということもあり得るのではないか。それ以外もあり得るのではないか。
 ※2は、下限の要否でございますが、ここは下限を定めた方がよいだろうと思うと同時に、法律で定めた下限については、単なる枠を超えて、「最低枠」という位置付けがなされるのではないかと思いました。
 ※3は枠の増加、枠の減少の要否、要とする場合の手続如何でございますが、枠は純資産と考えておりますので、増加についてはその裏付けが必要。減少については、内部手続のほか債権者保護手続の要否についても問題となるということを前々回御指摘いただいたとおりだと思います。
 ※4でございますが、枠の維持義務違反した場合の効果はどう考えるかでございます。これをさらにいろいろ御教示いただく中で2つに分けて整理をいたしました。
 まず1つ目、@が最低枠の維持義務に違反したとき、Aは、その最低枠を超える枠を設定していた場合の維持義務に違反した場合が2つ考えられる。@の方からですが、最低枠の維持義務に反した場合、アの考え方、欠損が生じたことによる直接の法効果を生じないと見る考え方であります。考え方としては、財団には配当の問題は生じ得ませんし、また制度上、設立当初の財団を構成する財産は少なくとも解散時まで取戻しがされることはない。そして財団の理事のみに欠損填補義務を負わせることは相当でないというような見方をしていきますと、仮に最低枠の欠損が生じたとしても、そのことによって特段の法効果は生じないとみる考え方があり得ようと思います。
 他方、そうではなく、イですが、欠損が生じたことによる法効果が生じると見る考え方もあり得ると思います。これには2つ、A案、B案があり得るのではないかと考えました。程度問題なのでありますが、A案といいますのは、欠損が生じたらその最低枠すらも維持できなかったのですから解散をするべきだという考え方。B案は、直ちに解散ということではなく、所定の期間内に欠損を回復しなければ解散をする。ここの「解散するものとする」と書いてございます部分は、客観的な解散事由になるということではなく、何らかの手続、解散の申立てをして、どこかの機関が解散を命ずる云々というようなことをも含む趣旨であります。ただ、中身は今後の検討となろうかと思います。
 考え方としまして、申し上げたとおりですが、最低枠を維持できなくなった場合には、もう法人格がなくなると。この最低枠をすごく低く見ていけば、例えば300万円としたとすれば、300万円すら維持できないのであれば解散してはどうかという考えであります。
Aは、最低枠を越えている枠を設定している場合についての検討でございます。アの考え方は同様にあり得ると思います。枠の維持義務に反したとしても、それはうまくいかなかっただけということで、法人の生死には影響しない。イは、影響するという考え方ですが、ただ、最低枠ではないことになりますので、一律にイのA案を採用するのは難しいのではないか。また、イのB案を採用するというふうな考え方に立ったとしても、法効果が生じる欠損の程度を、単に枠を1円でも欠損になったというのではなく、重大な欠損と考えるとか、あるいは回復すべき期間をもう少し延長するというようなことの対象も考えられるのではないかというふうに考えました。
 この考え方ですが、最低枠を超える維持義務を法人に課すことにより債権者保護機能をより高めることになると思うのですが、ただ他方、法人の基本的な性格の捉え方にもよりますが、若干複雑なものになります。以上のようなことを、基本財産という概念をぜひ置くべきであるということから、制度化する必要があるのかどうかということが問題になろうかと思います。
 ※5は、登記事項とすることの要否でございますが、純資産の枠を財団に設けるということであれば、しかも、※4の@、Aイのような考え方による場合には、維持義務が強行法規として強制されるので、登記する意味があるのではないか。他方、直接の法効果が生じないというアのような考え方による場合には、その意味で登記すべき意味はなくなってくるのではないかと思います。
 ※6でありますが、枠を基本財産とした場合、取り崩しの可否、ちょっとここは最低枠との関係がきちんと反映されておりませんが、取り崩しは難しくなる。不可となると思います。
 最後に評価でありますが、要するに枠を基本財産と位置付けることの意味について、※4がポイントだと思っておりまして、直接の法効果、欠損になった場合の法効果を法定する、強行法規化するというのであれば、これを基本財産と位置付ける意味が出てくるのではないか。そうでなければ、余り意味がないのではないかというのが検討の結果でございます。
 これをたたき台として、制度設計について御議論いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○ 前回、基本財産ということについて、いろんな意味、いろんな脈絡で問題になるという御議論がありまして、今日整理した資料が出てきたわけです。これについていかがでしょうか。

○ (3)について少し発言をさせてください。前々回でしょうか、この場で話題になったときに、私は比較的(3)のイメージについて発言をしたように思います。そのときには、現行の中間法人における義務的な基金と類似した観点から考えておりまして、有限責任を享受するために一定程度の当初財産が必要で、その枠を債権者保護のためにも維持するという考え方があるのではないかと思っておりました。ですが、その後考える機会がありまして、どうもその考え方は適当ではないだろうと今は思っております。
 なぜならば、まず1つは、この4ページの※4の@のアの考え方のところに書いてあるところでありますが、株式会社の資本制度とまず比較しますと、配当の問題が生じませんので資本を維持すると、配当という形で流出させる際に資本を下回るようなことをしてはいけないという、その問題はここでは生じないと思います。株式会社でも営業成績や事業成績が悪ければ資本を割り込むことは生ずるわけであります。中間法人も配当はなかったわけでありますが、基金はデットとして構成されていますので、返還しようとすると代替基金を積まなければいけないという制度が、強いて言うと、その配当規制と似たようなものとして枠を維持するというもので意味があったのだろうと思いますが、財団法人においては、当初寄附行為者から出捐された財産はデットすらもないわけであって、渡し切りでありますので、したがって、寄附行為者の寄附が劣後性を持ったものではあるけれども、返還されるということは考える必要がないわけであります。
 したがって、財団であって、財団に対して寄附行為者が寄附行為をしたという事柄の性質上、中間法人で考えられている義務的な最低基金制度、あるいはそのさらに背後にある株式会社の現行株式会社法の最低資本金制度でねらっていたことは、財団であるがゆえにもう実現しているというふうに言えるのではないかと思います。
 したがって、この最低枠の維持義務というのは必要ではないのではないかと考えます。他方、法的効果が生ずるとすると、どういうことが考えられるかというのは、ここに事務局で分析していただいたとおりですが、いずれも過剰な規制であって、債務超過になっていないにもかかわらず、その最低枠維持義務違反の欠損が生じたことが認識されると、その法人が終了に向かっていくということになります。当然、終了なのか、一定の猶予期間が与えられてから終了なのかは2つあるようですけれども、終了に向かっていくのは過剰だろう。債権者保護という観点からもまだ純資産部分があるわけですので、必要ないのではないかと思います。したがって、考えるとすると、(1)ないし(2)の方向で考えれば足りるように思います。

○ 財産に関する規律の在り方を検討するに際しましては、目的あるいは効果との関連で議論するかということが重要だと思います。最も重要な目的あるいは効果は法人格を付与することですね。そうすると法人格付与の対象となる財産の集合体というものをどういうものに限定するのが適当かという観点から議論はスタートするんだと思うんですが、そのときに、法人格の必要性とか濫用のおそれというのを考えますと、やっぱり一定の大きさ以上のものに限るというのは、共通の認識だったと思います。そのときに、具体的にどういう基準を立てられるのかということを考えますと、ものの文化的な評価とか、社会的な評価でいい悪いというのは決めにくいと思いますので、そうしますと、自ずから客観的な経済的価値というもので基準を設けるしかないんだろうと思うんですね。
 そうしますと、法人格を付与する財産の集合体といいますのは、一定額以上の財産を保有することという要件しか考えられないのかと思います。つまり、3番目の純資産の額というのでしか基準を設けられないのかなと考えているのです。そうすると、法人格を付与するに値する財産の集合体の価額は法人格が続く限り維持しているべきであるというのが次の結論となると思います。
 そうしますと、途中でなくなってしまったら、それは解散事由とか、消滅の手続をとるべききっかけになると考えるのが筋であるというふうに私は思っております。3番目のが、法人格を付与するという観点からはこの基準でいいと。1番目の設立当初に財団を構成する財産というのは、法人格を付与するということと密接に関わるかもしれませんが、その目的がみんなに情報を与えるという意味だったら、それは単なる情報開示で、財産目録をつくって開示すればいいだけの話です。2番目の方は、これは単に重要な財産に対して理事などの処分権限を制限するという意味しかない。いずれにしても、どういう観点で議論するかということが重要と思います。

○ 最初の設立の段階に一定の財産額としてなくてはいけないということとの関係は?

○ それは必要だろうと思います。しかし、それは当初あるだけでいいだろうというものです。財団法人の事業によって様々なことがあり得るわけで、そしてそこで法人格を与えるということの持っている機能の一番重要な点は、他に責任を負う者がいないということであって、そうするとやはり債権者保護が重要だろうと思います。そうだとすると、債務超過というのが債権者保護に対して一番クルーシャルな意味を持つわけですが、財産が少なくなったということが当初法人格として認めた出発点としての要件なんだから、それが欠けたからといって、その段階で、ここで言っている欠損が生じた段階で財団法人を終了に向かわせる必要はないだろうというものです。

○ それは極端に言うと、設立のときに一瞬満たしていれば、それで済むことになります。御用意いただいた資料の1ページの下の方の※1のところの「考え方」のところに書いてある、先ほど委員がおっしゃったことと重なるんですが、財団である以上は、一定の財産の規模が欲しいし、下限を設けないと濫用的なおそれもあるだろうとここに書いてあることはもっともなことだと思うんですね。これを実効的にギャランティする観点から言うと、設立時に一瞬だけで満たして、極端に言うと翌日からはもう、あのとき一瞬だけお金があるのを、簡単に言うと見せればいいよということだけだと、この文章を維持した上で(3)を何も設けないというのは困るので、ちょっと説明としてどっちかを変えなければいけない関係になるのであろうという心配はあるんですけれどもね。

○ 私も実は同じ感じを持っています。本来、最低資本金制度を設けているようなところでは、設立後も最低資本金の維持を要求する制度が本来なんですね。EUは最低資本金制度を今でも続けていまして、EU諸国は大体、あらかじめ定められている最低資本金を会社資産が割り込むと、それを増資等によって最低資本金以上に戻す義務が課せられまして、それは満たされないと解散をする義務が取締役に課せられる。本当は最低資本金制度をとっている以上は、その方が少なくとも論理的だとは思うんですね。ただ、日本はいろんな事情があって、最低資本金制度をとりながら、そこまでの制度の導入はできなかった。平成2年の立法で、入り口のところだけは立法できたんですけれども、その後のアフターケアまでできなくて、いわば中途半端な制度になって、今回最低資本金制度を廃止する一つの大きい理由が、今の制度では中途半端であって、本来の趣旨が十分実現されていないということだったんです。
 ですから、もし財団法人である以上、財産の集合体だから一定の財産は備えているべきだという考えをとるとすれば、両委員のおっしゃったような考え方の方が制度としての一貫性はあるという気はします。

○ 私もその方がわかりやすいと思います。それゆえ、当初だけ一定の財産があれば後はなくてもよいという立場の方が説明義務を負って、それでよいことをわかりやすく説明すること必要だと思うんです。ただ、当初だけ財産的要件を充たせばよいという立場にも、多少共感するところがあります。さきほど委員が主張された内容とは違うかもしれませんが、財団法人には、段階的に解消していくとか、財産はどんどん食いつぶしていくというようなタイプというのもあってよくて、そういう場合には、財産減少により財団法人が活動中に設立段階の財産的要件を切ってしまうけれども、当初から計画に従って段階的に消滅していくのは認めていいんじゃないかという気がするんです。

○ 今の計画に従った取り崩しということは、合理的な形態であり得るという、そのヒントを踏まえて申し上げれば、4ページのところになりますけれども、※4で@とAと2つお示しいただいているうちのAの方は、余り固い重い法的効果を伴う規律を入れると、今のような計画的・合理的な取り崩しもあるということを考えれば、ちょっと重すぎるか、きついであろうという気がするんですが、ただ、そのことを考えても、計画的な取り崩しをしていっても、やっぱりこれがミニマムだよというところはあって、@の考え方は、依然として今のヒントを承った上でも、なおあってよいのではないかという気もするんですけれども、どんなものでしょうか。

○ どのぐらいの額になるか少し関係しますけれどね。仮に300万円ぐらいだとして100万円、10万円しかもう残っていないとなると、これはもうしょうがないということがあるかもしれないけれども、100万円ぐらい残っているのだったらどうか。

○ 財産を運用して、その収益で活動をするというタイプですと、300万円でも、今の時代ですと、今の金利情勢ですと全然足りないということだろうと思うんですけれども、しかし、財団法人という形態をとりながらも、やはり収支のあるという言い方、何と言ったらいいのかわかりませんけれども、取引をして、収支の差額を使って事業ができるというようなタイプのものもあっていいと思うんです。そうすると300万円という数字も、私も何となく根拠はないんですけれども、今の有限会社からくるんじゃないかと思いますが、あるいは中間法人から来るんじゃないかと思いますけれども、そういう数字を念頭に置くと、300万円を割り込むと、4ページの@のイですね、このような解散事由で欠損回復義務が課されるわけですね。というのは、濫用を防ぐという目的からすると過大ではないか。そういう財団法人があることは許容されてよいのではないか思います。

○ 委員の主張される例というのは、財団法人だけど、会社みたいにその財産をもとにして事業をやっているようなものを考えているわけですね。

○ 寄附とか、助成とかだけでなくて、そこで利益と言ってはいけないのかもしれませんが、いろんなところに問題が派生しますけれども、収支の差がプラスで生ずるということです。

○ まさにそういうことで、社団法人以外に財団法人というタイプをつくる必要というか、それをどう見るかという話になるんでしょうね。今や一人か二人でも社団法人をつくれるわけですから、それならそっちでやってという見方もあるかもしれないですね。

○ さて、ほかに委員のご意見はどうですか。

○ 今、終わりの段階の取り崩し型についての御発言があったんですが、設立の段階で最初は小さくつくって、それで寄附を募って膨らませていくというタイプの設立もあるのかなと思うんです。そうしますと、ここでの当初財産というのを余り大きく設定いたしますと、それが窮屈になるかなと思うんです。

○ これをかなり低くすると、どうですか。委員の御主張によれば、それでもそれを欠くと解散というのはまだ過剰な規制なのかもしれないけど。

○ それこそ10万円とかということであれば、考え方としてはなお反対したい部分がありますけれども、実際上はそれで私が考えているようなところで不都合が生ずるということはないだろうと。

○ 考えられる問題としてはね。

○ 恐らく、やはり今ここで繰り返すつもりはありませんけれども、新しい制度における財団法人についてのイメージが私が相当広く自由にできるというのをずっと持っていまして、恐らく先生方の平均的なところと、随分差があるというようなところも今のようなところに反映していると思います。

○ 財団法人で財産に法人格を与えるというのも、単なる説明ですからね。

○ 出発点における説明に過ぎないんじゃないかというのが私の考え方です。

○ 財団法人のもう一つの特徴というのは、社団法人との比較でいえば、当初の設立者の意思というものに従って活動するという。恐らく、そういう基本的な財団法人についての考え方をここで統一するというのはなかなか難しいので、少しオーソドックスな考え方と、委員のような考え方があるということを前提にして、最後は恐らく多数の方でもってまとめざるを得ないと思いますけれども、そういう考え方があるということをここでは注意しておきましょう。

● 今の財団における基本財産概念は、(2)を根っこに置いているんじゃないかという気がします。プラス主務官庁の承認によってです。でも、今の多数意見は、恐らく(1)で当初財産を明らかにする意味はあるだろうと。
 (2)の処分制限について、ちょっと明示ではなかったかもしれませんが、それが法人自治によってあるのは構わないし、デフォルトルールみたいなものをつくることもあり得べしだろう。ただ、それは別に基本財産じゃないという概念で(2)を設計するということではないだろうかと理解いたしました。
 (3)については、当初財産の下限との兼ね合いもあると思いますけれども、まず当初財産があり、それを引き続き維持するためのテクニックとして、枠概念を考えて検討してみてはどうかというような理解でよろしいでしょうか。
 そうすると、本当は基本財産という名前はよくないのではないかという気もいたします。どうしても、今、財団法人における基本財産と言ったら(2)の処分制限である。参考資料7で書いたようなイメージを多くの法人関係者の方々がイメージがされると思うので。

○ 問題は、それこそそれぞれの財団が寄附行為で定めればいい問題で、権限の問題として、それで十分ではないですかね。基本財産だということでもって、自動的に処分制限がかぶるというような法制にはしないと。

● ありがとうございました。引き続き、今御議論いただいたことを今度は資料19の全体の資料の方に反映させて、また御提案させていただきたいと思います。

○ 今日の整理で大分明確になったと思いますが、債権者保護としての枠というのと、それから財団法人である以上は一定の財産があるべきだというのと、2つの筋があって、それが混じっているような感じがするんですね。債権者保護という方では、むしろ最低資本金制度などがなくなっていくという中で、なぜここだけがあるのかと。そうすると、それは結局、財団法人だから、財産の集合体だから、ということがでてきて、どうも議論がそこでねじれてしまうんじゃないかなという気がします。そこの整理が必要かなと思います。

○ 財団法人だからというのは、何となく説得性がいま一つ弱いんですよね。とりあえず、多数の方の考え方をもとにしてつくってみる、そういうふうに考えていきたいと思いますけれども、いざつくってみると、やっぱりというようなことになるのかもしれませんね。違う考え方をとった方がいいということになるかもしれないけれども、とりあえず、(3)の考え方を一応基礎にしながらということでいかがでしょうか。
 さっきの繰り返しになりますけれども、計画的な取り崩しとか、そういうものは認められていいだろうと思いますし、設立の段階と後の方では、規制といっても少し違う扱い方をしていいんじゃないかという気がしますね。

● 必須は最低枠の方で。

○ そうですね。最低枠じゃない方は、これはそれぞれの財団法人の自由にすることを決めていいのかどうか問題なんだけど。

● 債権者保護を入れるかどうかは、先生の御指摘で、入れるとすれば、それを登記し、つまり最低資本金ではなく、資本制度をまねしていくことになるんだろうと。資本制度は商法でも今でも現存しているわけですので。最低ではなく。

○ ただ公示するだけでしょう。

● はい。でも保有すべき配当規制もあります。

○ 配当規制の方はあるけれども、こっちは配当規制がないので。

● そういう意味ではそうですね。別に、資本はあったからといって、填補義務はありませんし。

○ だから、最低の方だけでいいんじゃないですかね。
 まだ蒸し返しの議論が後でなされるかもしれませんが、とりあえず、ここでの多数の意見はそういうことに。
 残りの時間で説明を。

● 御説明をいたします。資料22ページの「第四 財団形態の法人」でございます。注の1から3までは今までの資料と同じでございます。変えたところが「設立」のところの寄附行為、「寄附行為の作成」と前はしておりまして、書面の作成というふうに書いておったんですが、むしろ設立行為という整理をし、プラス書面の作成ということもあるのではないかということに基づく修正をしてございます。
 記載事項につきましては、「〔基本〕」になっているところがCなどございますが、これは今まさに資料20で御議論いただいたことを踏まえて反映をさせたいというふうに思います。
 25ページの評議員会の権限のところには※2を追加いたしました。ここは前回の親会議で、ワーキング・グループの結論に対して、「諮問機関」とすべきだとのご意見がございました。親会議資料の方の表現が、すなわち、私は株主総会がが基本的意思決定機関といわれており、新たな評議員会の権限が株主総会とほとんど同じなので、「基本的意思決定機関」と表現してみたんですが、それが若干よくなかったのかもしれません。この点、御議論いただければというふうに思います。その上で当該委員には、ワーキング・グループの検討結果をまた御説明に伺いたいと思っておる次第でございます。
 あと変えたところといたしましては、26ページの(4)兼任禁止に関する御指摘ありましたので盛り込むことを明らかにいたしました。それから権限について細かい所要の規定を※1、※3でプラスいたしました。27ページの監事の権限について全くブランクだったものですから、社団の監事にならう権限を書くこととしました。
 おめくりいただきまして、28ページの計算書類の開示の※を増やしました。ここについては、社団で御検討いただいている計算書類等の開示についての規律にならってはどうかというご提案でございます。
 あと最後のページに外部者による監査を入れたと。その上に設立無効・取消しを財団についても設けるべきではないかというのを盛り込んだ部分でございます。
 以上でございます。

○ さっきの25ページのところで評議員会の位置付けについては、かなり強い意見で、評議会は単なる諮問機関ではないか、あるいは諮問機関であるべきだという議論だったと思うんですけれども、全員がそう思っていたわけでは必ずしもないと思いますね。それからワーキング・グループでこれを検討した側からもいろいろ説明して、評議員会というのは法定された特定の事項について権限を持っているにすぎない。理事会をチェックする権限を持っているものであって、一般的な社員総会のような強い権限を持っているわけではないという説明をしたわけですが。親会議の議論をこちらに持ち帰ってきて、ここでどういうふうに議論するかですけれども、この場では単なる諮問機関でいいという意見は恐らくないと思います。

● 今日ちょっとわずかな時間、委員とお話をさせていただいたんですが、やはり評議員会というと、現行の指導監督上の評議員会が浮かぶようで、それがさらに機能しているかどうかについて今日も話題になったんですが、あまり芳しくないという評価を持っていらっしゃる方が多いようで、どうも名前もちょっとよくないのかもしれないのかなと。名前に逃げてはいけないんですけれども。ただ、中身が正しく伝わらないという思いをいろんな場面でしておるものですから。

○ 有識者会議の方での議論を伺っていて、はっきり言ってちょっと感情的な反発があるんじゃないかという気がします。その一番強い意見をおっしゃった方で、評議員会の権限を諮問ということに限るべきだと強くおっしゃった方も、理事の選任・解任は評議員会の権限であるいうことは認めていらっしゃる。それでいながら諮問とおっしゃるのはやや矛盾していて、法律的な言葉の使い方としてはおかしいと思います。理事の選任・解任に関しては、既に決定を行う機関であるわけですね。それを認めていらっしゃる。
 ただ、実質的に反対の意見をおっしゃった方が一番問題にしたのは、1つは、評議員が次の評議員を選ぶことができるという点で今までの慣行と違うということです。今までは理事会が評議員を選んでいたのを、評議員が自らの後任を選任して永続的な機関になって置くということがいいのかということを気にされている方がいる。
 第二には、25ページの(2)の※1の中で言えば、AからCですね。これは従来、評議員会の権限と必ずしも考えられていなかったのではないかという疑問です。

● 同意を得るみたいな表現、寄附行為は同意ですし、計算書類も同意だったと思います。その上で主務官庁に報告するという形だったと思います。

○ Cはどうですか。

● Cは、合併についてはございません。解散については、財団について自主解散がない。寄附行為で定めればいいのかもしれません。さらに評議員会に与えることもあると思いますが、一般的でないのだろうと思います。

○ そうすると、A、Bも現行の実務とは変わらないんですかね。そうすると評議員の権限も。

● では、評議員会の承認がないのに寄附行為の変更ができるかというと、恐らく寄附行為の変更について、評議員の承認をとってこなければ主務官庁が許可しないということにはなっているのだと思いますが、理事会は、自分たちが決めたと思うようです。

○ そこのややイデオロギーの点なのか、それとも、現行実務においては、計算書類や寄附行為の変更については、あくまで理事会限りで決めることができて、評議員会が反対しても決められるんだというふうに理解されているのか、一番強い意見をおっしゃった方は、どうもそこのところをそう理解されて発言されていたのかなという感じをちょっと受けたんですが。

● そこは確認してまいりますが、ただ同意を得ずに主務官庁に報告したら指導監督が入るのではないかと思いますし、ちょっとそこは。

○ 某委員を除けば、一番問題になったのは、評議員が次の評議員を選べるという点だったかなと。

● ワーキング・グループでは共選びといいますか、理事が評議員を選んで、評議員が理事を選ぶということ自体が、うまくいっていないだろうという問題意識で考える、御議論いただいた結果が今の案ということになんですが。

○ 委員が説明したので大体いいわけですけれども、例えば寄附行為の変更などについては、実際上は理事がいろいろ準備をするかもしれないけれども、今度の新しい制度だと、理事は形式的には、あるいは形の上では関与しないことになるんですよね。

○ 提案者になるんでしょうかね。

○ あるいは、実際上はそういうふうになるかもしれないけれども、理事の知らないところでもって評議員会だけでもって決めることも理屈上あり得ること。

● 評議員会の招集手続とか、招集権者を誰にするかというところも関係してくると思います。

○ それは株主総会よりも強いですね。

○ そこは強いわけです。

○ 株主総会はあくまで取締役会が提案した議題について、決議できる。

○ そういうふうにすれば、あるいはもうちょっと強い意見を言われた方に近くなってくるかもしれないね。
 ただ、委員も説明したように、評議員会が幾ら反対しても、理事会の方で最後は決められるんだという意見を持っておられると、相変わらずギャップは大きいと思いますけどね。

○ あの方だけが思っているんじゃないかなというふうに思いますね。

○ そこまで強い意見を持っておられるのかどうか、ちょっと私はよくわからないね。
 さて、これがちょっと大きな問題なんですが、もう時間も過ぎてしまいましたが、恐らくすべてここで議論できないと思いますけれども、何か今言っておいた方がいいという点があれば伺うことにいたしまして、あと残ったものはまた9月にやるということでいかがでしょうか。

○ それではどうもありがとうございました。

(了)


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