第1回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事概要−


1.日時:平成15年12月8日(月)15:00〜17:00

2.場所:虎ノ門第10森ビル4階

3.出席者

(座長)能見善久(東京大学教授)
岩原紳作(東京大学教授)
植垣勝裕(法務省民事局参事官)
金子宏(東京大学名誉教授)
中田裕康(一橋大学教授)
山田誠一(神戸大学教授)
山野目章夫(早稲田大学教授)
(50音順)
(事務局)堀江事務局長、西室長、長屋参事官、田中企画官、岡本企画官、野口調査官

4.議事次第

(1)メンバー紹介
(2)会議の運営について
(3)第1回有識者会議について
(4)検討課題について

5.議事概要

(1)メンバー紹介の後、
 
(2)会議の運営について

事務局から説明があり、

  • 議事概要及び議事録を作成し、公表する。
  • 会議資料は原則公開する。
  • 会議自体は非公開とすると、決定された。
 
(3)第1回有識者会議について

事務局から、公益法人制度改革に関する有識者会議(第1回)関連資料に基づき、説明があった。

 
(4)検討課題について

事務局から、非営利法人WG 資料1の説明あり、以下のような意見が出された。

(総論関係について)

  • 非営利法人の土台の上に公益性を有する法人が乗っかるような構造を前提に非営利法人とはどのようなものであるべきかを考える必要がある。公益的な法人と共益的な法人が共通の土台としての同一の法人制度の中に混在することになる。
  • 営利を目的としないというのは消極的な基準である。総論部分では、積極的な基準や統一された理念を検討することが大事であると思う。
  • 公益法人であれば、社会的貢献性などの積極的理念が考えられるが、純粋に共益を目的とする法人はその一方の極にある。これらを積極的な理念で統一的に説明するのは難しい。何が積極的なメルクマールとなるか検討する必要がある。
  • 職能団体等をどうするか、あるいは、ファイナンスの仕組みのための法人のように法人格を技術的に使うものをどうするか。それらを非営利法人の外に出すのか、内に入れるのか、もし中に入れた場合、共通の理念は非常に見えにくくなる。市民社会、社会貢献、生活世界などのいろいろな言い方があると思うが、それから外れてしまう。主たる目的はこうだと決め、結果的にそれがほかの目的に使われることもあるかもしれないが、それは仕方がないと割り切るか。それとも、消極的な定義をして、純然たる技術的なものとしてとらえるかの選択ではないか。
  • 中間法人の目的には、経済的な利益だけでなく、広く精神的な利益も入る。そうすると、法人の目的から積極的な理由付けをすることは難しい。むしろ、人の結合体が自由活発に活動できるという点に意義を見いだすべきではないか。
  • 株式会社、有限会社でも利益を上げずに公益活動をしているものがある一方、中間法人でありながら、ある意味では営利活動をしているものがいる。すでに現場では切り分けができない形で事実が先行している。ここでの作業を進める上では、中間法人法とは別のものを作ることのどこに意味を見いだすのかをまず考えてみる必要があるのではないか。
  • 中間法人は特定多数の共通の利益を図るのに対し、公益法人は不特定多数のために活動を行うところ、共通の要素を考えると、「多数」ということではないか。非営利法人の目的としては、団体の活動促進を図ること、法人としての規律を整備することの二つではないか。
  • 非営利法人については経過措置の問題がある。公益法人が受けてきた非課税措置を既得権として保護するのか、審査し直すのかという難しい問題がある。
  • 移行の問題については、3月までに集中的に議論することは難しいとは思うが親会議も含めた重要な論点。
  • 限られた時間で成果を上げるということを考えると、非営利法人については、中間法人法で足りない部分は何かを検討すべきなのではないか。
  • 実際には非営利法人のモデルとして中間法人法があるので、これを参考にしながらいろいろな論点を議論していくことになる。中間法人法自体に使いにくいところがあったり、財団法人をどうするのかという問題がある。
  • 中間法人法に何が足りないかというよりもむしろ、中間法人法から何を削るのかを議 論すべきではないか。例えば、中間法人法の有限責任と無限責任をどうするのか、基金制度をどうするか等を考えていくべき。
  • 中間法人法をにらみながら、足りない部分、多すぎる部分を修正して非営利法人一般法をつくっていくことになろう。民法に何を規定するかも問題である。
(社団関係について)
  • 残余財産の帰属について非営利の概念との関係で確認したい。営利は分配をする義務を負っているが、非営利は分配の義務を負わないということで、分配を禁止してもいいし、しなくてもということでいいか。
  • 利益の分配は非営利性に反するが、残余財産は分配しても非営利と矛盾しない。非営利法人の一般的な制度を考えるのであれば、残余財産分配禁止ということにはならない。
  • 制度としてはフレキシブルにしておいて、定款でどちらを規定してもいいというやり方がいいのではないか。公益法人は非課税の関係もあるし、分配するのはおかしな気がするが、同好会等を想定するなら、分配禁止にするのはおかしい気がする。
  • 残余財産の分配ということで実質的な分配を行う、営利で行うべきことを非営利法人として行うという、法人制度の潜脱の問題はないか。
  • 残余財産の分配という行為をそうみなすのであれば、中間法人ですでに行われている。
  • 分配を途中でやることもあるが、それを許すのかどうか。
  • 営利でも分配は決議を経ないとできない。営利法人では、多数決でも奪うことができない権利がある、というところが非営利法人と最低限異なる。営利法人は定款に「分配を認めない」と書くと無効だが違いはそれぐらい。非営利法人では、「配当」ということではなくても、実質的な分配はできる。そこまで考えると、営利と非営利は非常に連続的なものである。非営利法人で行われうる、実質的な利益分配をどう考えるか。
  • ここでの問題は、@配当として請求できる権利があるか。A利益の処分という形で分配できるか。B残余財産の分配の可否の3つの問題がある。
    「利益の分配」についての考え方は国によってもいろいろ違う。アメリカの州の中には利益分配はだめだが、社員に分配請求権を与えても非営利性を損なわないと考えるところもある。
  • 持分を認めるか否か、買取請求権を認めるか否かがポイントになる。広い意味の非営利法人として、協同組合等は、持分の買取を認めている。非営利法人といっても、相当バラエティに富んでいる。
  • 代表訴訟だけでなく、少数社員の権利をもう少し書いてほしい。社員に、どこまで情報開示請求権を認めるのか、理事に問題がある場合にチェックできるのかというところが重要である。
  • 一般論としての情報公開の問題も非営利法人の理念に関わってくる重要な論点。
(財団関係について)
  • 財団は公益限定となったとしてもWGで議論するのか。親会議で議論するのか。
    (→ 制度の基礎になる部分はやはりWGでご議論いただきたい。)
  • 非公益財団を認めるか否かは、社団における検討の仕方との関係も含めて、大きな問題である。
  • 特定の人が自分と特定の関係のある人のために財産を出すという形での一種の中間的な財団というのも考えられるのではないか。
  • 中間的な財団には制度の濫用のおそれも考えられるが、ニーズもある。例えば学校の同窓会のための財産など。公益の概念をどう決めるかとも絡んでくるが、特定のものに限定してそのための財団を認めることもできるのではないか。
  • 公益信託についても財団法人と公益信託との機能分担といった観点から議論する必要があるのではないか。
  • 社団と財団との違いは何か。運営実態などのデータをみるとそれほど変わりがあるわけではない。財団の積極的な意味づけをどうするのかが問題。
  • 理念とは別に社団と財団の区別が曖昧になっているという現実が問題とも言える。
  • 財団、社団の区別なく利用されている中で、区別があるのはガバナンスの在り方。財団の方がガバナンス弱い。
  • 評議員(会)制度に関しては、「財団法人のガバナンス」という形でその中の論点として取り上げるべきである。
  • 基本財産制度も難しい。財団といえども基本財産だけ、財産運用だけではやれないという現実がある。
  • 基本財産を一定期間で使い切る、という形での財団も悪くはないのではないか。但し、第三者の利益を害してはいけないことはもちろんである。
 
(5)次回は12月24日(水)10時から開催し、総論、社団関係について討議を行う予定。


(文責:内閣官房公益法人制度改革推進担当)


-
もどる