1.日時:平成16年3月26日(金)15:00〜16:50
2.場所:虎ノ門第10森ビル3階会議室
3.有識者会議出席者
(座 長) 福原義春((株)資生堂名誉会長) (座長代理) 能見善久(東京大学教授)
石川睦夫((財)住友財団専務理事・事務局長)
勝又英子((財)日本国際交流センター常務理事・事務局長)
加藤秀樹(構想日本代表)
金子宏(東京大学名誉教授)
田中清((社)日本経済団体連合会常務理事)
田中弥生(東京大学助教授)
東ヶ崎邦夫((社)日本アイソトープ協会総務部長)
中田裕康(一橋大学教授)
(岩原紳作東京大学教授、宇賀克也東京大学教授、河野光雄内外情報研究会会長・経済評論家、関幸子(株)まちづくり三鷹 事業部プロジェクトグループマネジャーは所用により欠席。)(50音順) (政府側) 堀江事務局長、西室長、長屋参事官、田中企画官、岡本企画官、野口調査官 4.議事次第
○ 議論の中間整理に向けた審議
5.議事概要
○ 議論の中間整理に向けた審議
議論の中間整理の案文について審議を行った。主な意見は以下のとおり。
[改革の意義]
[新たな非営利法人制度]
- 非営利法人による公益性のある活動が今後の社会においてますます重要となるとの視点や、公益法人については、今後も一層の活動が期待されるとの視点を追加してはどうか。
- 多くの企業が非営利活動の促進に積極的な役割を果たしているとの現状認識を追加して欲しい。
- 多くの企業が民間非営利活動の促進に積極的な役割を果たしていることは認めるが、新たな非営利法人制度の構築とは直接には関係がない。
- 民間非営利活動というときの、民間という言葉は不要ではないか。
- 政府の仕事も非営利であり、非営利活動の中で公的セクターと民間セクターを区分するためにも民間という言葉は必要と考える。
〔公益性を取り扱う仕組みのあり方〕
- 民間非営利活動の重要性を踏まえ、公益性がある場合だけでなく、非営利法人にも税制上の措置が考えられる旨の記述を検討課題として入れてはどうか。
- 公益性を有するものの取扱いを考える場合には、税の効果が非常に大きいので記述している。あらゆる法人について、税の取扱いという点が課題としてあるのはある意味で当然だが、この点については、政府税調の場で検討するという考え方ではないか。
- 非営利法人=公益的な法人=非課税という期待感が自然に生まれるようだと問題。非営利法人には、公共のサービスを提供する法人も、共同の利益を追求する法人も、分配はしないが利潤を追求する法人も含まれることを説明し、税制上の取り扱いについて過剰な期待を抱かせないようにすべき。
- 非営利法人が、収益活動を含め、あらゆる活動ができるというのはおかしいのではないか。非営利法人について、公益性に結びつく非営利活動が中心に行われるべきで、あらゆる活動ができると言うと論理が矛盾するのではないか。あらゆる活動の「活動」が分野を意味しているなら理解できるが。
- 非営利=非配分であり、非営利法人の中には公益活動を行う法人もあれば、必ずしもそうではない法人もあることについて、明確にすべき。
- 非営利の概念を共有する必要がある。非営利とは非配分ということであり、非営利ということがあらゆる活動を行いうることを妨げるものではない。
- 非営利とは非配分、即ち剰余金を分けないということを共通の認識とした上で、公益性を有する法人はどうあるべきかについて議論すべき。
- 新しい非営利法人は、現在ある中間法人と公益法人の受け皿となるものであり、今後は両方とも一つの制度に入ってくる。同窓会的なものもあれば、公益活動を行うものもある。
- 新しい制度ができた場合、人格なき社団がどのような形で入ってくるのか、又は入ってこないのかといったことも議論すべき。
- 権利能力なき社団については、法人格を取得していないので非営利法人制度の議論の中では、触れる必要はないと考える。
- 非営利法人の概念は現行の中間法人とほぼ同じだと考えてよい。事業の範囲もほぼ同じ。民法の公益法人をなくすと法人の受け皿が必要なので、非営利法人を新たに考えたもの。
- 非営利法人は中間法人とほぼ同じとのことだが、それであれば改革の意義として民間非営利活動の促進を位置付ける必要はないのではないか。非営利法人とはどのようなものかをきちんと議論しないといけないのではないか。
- 新しい非営利法人は中間法人と全く同じかというとそうではなく、人の団体的活動をしやすくするという理念がある。現在の権利能力なき社団も制度に入りやすくなるのではないか。中間法人では基金として300万円必要だが、新しい非営利法人では不要とすることも含めて検討中。
- 中間法人は原則課税、人格なき社団は原則非課税。今の税制を適用した場合、人格なき社団が中間法人のような法人になるとしたら、問題ではないか。
- 非営利で利益分配を行わないから税制の優遇が受けられるということは、考えとしてあるかもしれないが、当会議では議論していない。
- 法人の効果として税の議論になるが、それは政府税調で検討すべき議論。ただ単に課税は困るというのでは問題。
- 当会議は昨年6月の閣議決定を受けたものであり、法人格と優遇措置を分離するというのが会議の出発点であることを想起すべき。
- 公益性のない非営利法人があるということは分かるが、非営利法人はどのような活動でも行ってよいというのは問題ではないか。全ての非営利法人が原則課税というのは問題ではないか。
- 原則課税かどうかなど、ここでは議論していない。
- この議論は、非営利の基本的な考え方を整理すれば解決できる問題ではないか。営利と非営利に分け、非営利には今の中間法人も公益法人も含まれる、という定義の話に帰着するのではないか。税は次の段階の議論。
- 新しい非営利法人制度は、中間法人と一体化した制度とするのか。
- 当会議は、中間法人との一体化を議論するためのものではない。いずれ新しい非営利法人制度と中間法人との整合性を整理しなければならないとは思うが。
- 非営利社団法人の中で非営利法人の中身を説明しているのは、構成員への配分が禁止されていることを説明するためであり、社員がいない財団法人における非営利の概念についてはもう少し議論すべき点がある。
- 財団形態は、なんらかの形で必要。公益性を有する財団のみを残すのか、もう少し概念を広げることが適当かを議論している。
[その他]
- 公益性を有する非営利法人について特別の取扱いを行うことについては、私人の公益的活動を促進するという点において、意義があるとの方向性を出した方がよいのではないか。
- 公益性の考え方として、業界団体が行うような国民経済の発展への寄与といった視点も入れるべきではないか。
- 不特定多数の利益を図るという点については、弾力的な対応ができるように検討を進める旨を記述すべきではないか。
- 不特定をどの程度厳しく捉えるかについては、大きな論点であり、議論が必要ではないか。
- 公益性については、税法で規定するという考え方より、税法以外で規定するという考え方の方が多かったのではないか。
- 税法以外で規定するか、税法で規定するかといった考え方と判断主体とをセットで整理するのは適当ではないのではないか。例えば、税法で規定する場合でも、何らかの第三者的な委員会が判断することが考えられるのではないか。
- 考え方と判断主体については、両者がある程度自然に連なってくる面もあると思う。また、判断主体が第三者機関となる場合に限らず、仮に、単一の行政機関や課税庁が判断主体となる場合であっても、民間の考えを反映する視点の必要性については、判断主体のあり方についての今後の検討課題の中で指摘している。
- 所管省庁が公益性の判断に資する情報を保有しているという視点は誤解を招くのではないか。
- 所管省庁が行政分野に応じ公益性の判断に資する情報を保有しているとの認識は間違いと思う。今や省庁が日本全体についての公益性を判断することがますます難しくなり、的確に判断できなくなっている。民間の考えを取り入れ、あるいはローカルに判断することを考える必要がある。
- 官庁が公益性を判断する第三者機関に情報提供をするだけで、公益性判断に加わらないのであれば、官庁の情報も有益ではないか。
- 公益性について、定量的に捉える観点はどういうイメージで捉えると考えればよいか。また、定量的に捉える観点については、実態を踏まえ柔軟に対応するという視点が重要ではないか。
- 定量的に捉える観点については、例えば、公益事業の割合などが考えられ、4月以降議論が必要な点ではないか。
- たくさんある類型の法人の中から公益性のある法人をより分けるということを明確にすべき。何人かの委員は設立の段階で公益性のある法人ができるべきと考えている。
- 準則で設立されると同時に公益性の申請を審査・判定することはできるかもしれないが、そこまでの手続などの検討には至っていない。
- 設立と同時に公益性の申請ができるよう検討する旨をもう少し踏み込んで言及してはどうか。
- 設立と同時に公益性の判断が行えることの可能性について、今後検討すべきだが、議論が十分でない中でそれが既定のものととらえられるのも適当ではないのではないか。
- 自分は広い意味の非営利法人の中に優遇措置を受けるものがあると考えている。設立と公益性の判断が同時といっても、判断の方が一瞬遅れるはずであり、同時というと公益性のある法人について、非営利法人と別の組織として考えるかのようであり問題があるのではないか。
- 別の組織という意味ではない。
- 同時とすると、制度のあり方に関わってくる。準則の設立はその日にできるが、どのような主体であっても公益性の判断がその日のうちというのはできない。現時点で同時ということをはっきりさせると、今後議論を行う上で問題ではないか。
- 閣議決定でいう法人格を一定の優遇措置と分離するということは、優遇措置をなくすということではないと理解している。ある種の公益性が認められれば優遇があるということを明確にすべき。
- 税の話はとりあえず切り離すということなので、今の段階で税のことについては触れるべきではないと考える。
- 優遇措置は税だけではない。例えば、公益性がある非営利法人という呼称により社会的に信用されるということも含まれる。
- NPO関係者などは、優遇措置イコール税だと考えている。税以外にもあるということを明確にすべきではないか。
- 世の中の利益に資する団体と認められれば優遇措置を与えるべき、ということを明確に打ち出すことが必要ではないか。
- 当会議では、地方の問題について、例えば事後チェックを地方公共団体に行わせることはできないかといった議論もあったが。
- 地方の問題については、4月以降に議論すべき検討課題と認識している。
- 公益法人の移行先は非営利法人だけでなく株式会社など非営利法人以外への移行もあり得るので、その旨誤解のないような表現をすべきと考える。
- 現行公益法人は、例えば新たな法律に基づき非営利法人とみなした上で公益性を判断するというやり方もあろうし、新たな公益性を有する法人とみなし、一定期間中に公益性の要件を満たさなければ一般の非営利法人に格下げするといったやり方も考えられようが、いずれにせよ移行は微妙な問題であり賢明に処理すべき。
- 移行については議論していないので、現段階で移行措置について触れることはできないだろう。
- 中間整理ということだが、もう少し位置付けを明確にした方がよいのではないか。中間整理の性格を書いた方がよいのではないか。
- NPO法人との関連については、もう少し書いておいてもよいのではないか。
(文責:内閣官房公益法人制度改革推進担当)