1.日時:平成16年11月16日(火)10:00〜11:30
2.場所:虎ノ門第10森ビル3階会議室
3.有識者会議出席者
(座 長) 福原義春((株)資生堂名誉会長) (座長代理) 能見善久(東京大学教授)
石川睦夫((財)住友財団専務理事・事務局長)
勝又英子((財)日本国際交流センター常務理事・事務局長)
加藤秀樹(構想日本代表)
金子宏(東京大学名誉教授)
関幸子((株まちづくり三鷹事業部プロジェクトグループマネジャー)
田中清((社)日本経済団体連合会常務理事)
東ヶ崎邦夫((社)日本アイソトープ協会理事・総務部長)
中田裕康(一橋大学教授)
(岩原紳作東京大学教授、宇賀克也東京大学教授、河野光雄内外情報研究会会長・経済評論家、田中弥生東京大学助教授は所用により欠席。)(50音順) (政府側) 松田事務局長、西室長、横田参事官、岡本企画官、野口調査官 4.議事次第
○ 報告書の審議(5)
5.議事概要
○ 報告書の審議(5)
事務局作成の報告書のたたき台を基に討議が行われた。主な意見は次のとおり。<改革の意義等について>
- 今回の改革の意義は2つあり、@個人の善意に基づく自由な公益的活動を推進する受け皿を創設することと、A民間非営利部門が社会の中で政府や民間営利部門と公共事務を分担するということ。報告書案ではAだけでなく、@についても記述してあるのは評価。
- よい制度ができても、運用上悪用されるおそれがある。実際に携わる人々の意識が大事。
- 新たな制度ができても必ずしもうまく運用されない場合の問題というのは、@改革の理念がうまく活かされない場合と、A悪用される場合が考えられる。
<一般的な非営利法人制度について>
特に意見なし。<公益性を取り扱う仕組みのあり方について>
〔公益的事業の規模〕
- 公益的事業の規模については、単に支出額のみで判断するのは問題。判断主体において委員会の意見に基づき、特に合理的理由が認められる場合という例外が挙げられているが、収益的事業の支出が利益に比べて非常に大きい場合なども例外として考えられるのではないか。
- 判断主体が特に合理的理由が認められる場合の中に、そのようなケースも含まれ得るのではないか。
(← 収支差が小さければ収益事業の規模がどんどん大きくなってもよいとするのは問題があるのではないか。)- 例えば、公益的事業のために会館運営を行っている法人などの場合、一般に純然たる公益的事業の比率に比べ会館運営の規模は大きい。当然支出額もチェック対象となるが、それだけでは判断しないこととすべき。
- 収支差をどのように使っているかが問題。見かけ上収益的事業の規模が大きくなったらすぐ問題というのではなく、それが公益的事業に使われる限りは問題ないとすべきではないか。
(← 経営資源の多くが収益的事業に使われるのは好ましくないのではないか。)<現行公益法人制度の新制度への移行のあり方について>
特に意見なし。<その他>
- 新たな制度が活きるような税の仕組みができればよいと考える。
- 公益活動を促進する観点からの税制上の検討を期待したい。一般の非営利法人と公益性を有する非営利法人の違いがガバナンスの厳しさの違いだけということになっては困る。
- 報告書に書く必要はないが、新しい制度における税制上の取扱いについて、例えば、寄附税制の拡大や一定の条件を満たした一般的な非営利法人に対する何らかの優遇措置といったことを主張する必要があるのではないか。
- 具体的な税制上の仕組みについて、報告書で書くというのは行き過ぎ。
- 税については具体的に触れるべきではない。その代わり、「民間非営利活動の促進にふさわしい税制の枠組み」といった大まかな方向性は示すべき。
- 税制上の措置について、報告書に書かなくても、税調には何らか伝えるべきではないか。
- この会議には税調の委員もいるので、特にそうしたことは必要ないのではないか。
- 今回の仕組みの中で判断される公益性には絶対的な権威があることを強調し、税制上この上に屋上屋を重ねられないようにすべき。報告書の具体化に当たってはその趣旨が十分反映される必要がある。世間は税に対する関心は高い。事務局を応援する意味でも、この委員会の有志として税についてもボランタリーに発言していってはどうか。
- そのとおり。報告書に書かれても実行されないと困る。今後は、判断主体の作り方が重要。税制は判断主体の判断に従うものだと考える。判断主体をどうつくっていくか、そのプロセスを透明・中立にして欲しい。今後、委員は制度の具体化を側面的に支援していくことが必要。
- 税や具体化に向けての期待について報告書でどう扱うか、残された日数の中で検討したい。ボランタリーな活動については、各自が自由に進めればよいのではないか。
- ボランタリーな活動には是非参加したい。
- 今後、しかるべきタイミングでパブリックコメントをすべきではないか。
- この報告書自体についてパブリックコメントを行う予定はないが、今後具体化を進める中でどうするか。
(← 政府として、年末にこの報告書のエッセンスと今後の取組み方針を示す予定。再来年の法案提出に向け、今後具体化を進めていく中で、各方面の意見を聞いていくことになろう。)- 意見は各人皆異なる。基本的に各方面の代表者が参加するこの会議で、ようやくここまでまとまったことを考えると、この報告書自体に対するパブリックコメントは必要ない。ただし、各委員がそれぞれ各自の意見を表明されるのは自由。
- 法制化のどこかの段階でパブリックコメントは行われるはずだと思うが。
(← 規制の新設に関するパブリックコメントは制度化されているが、それ以外については、国会で審議されるべきものについて事前に国民に聞くのはいかがかという議論もあり、その辺りも見極めながら進めていきたい。)- 税調での検討は、それなりの手続きを踏んで行われるのだろう。
- 今回は基本的に規制を緩めながらも、締める所は締めるというもの。
(← 法案を作成する段階で各方面の意見も踏まえながら進めていきたい。)- 今回の改革は、不祥事への対応と非営利活動の促進という両面に対応するものだという点を強調すべき。
- 次回の会合までに今日の指摘も踏まえて対応するということで座長・座長代理に一任する。
- この会議は事前に落とし所が決まっていたわけではなかったが、うまくまとめることができた。皆に感謝。次回の会議で正式に大臣に報告したい。
(文責:内閣官房公益法人制度改革推進担当)