○:委員
●:事務局

第21回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年10月12日(火)15:00〜17:30
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ 遅れまして申し訳ございません。第21回有識者会議を開かせていただきます。雨の中ありがとうございます。今日は初めから宇賀先生、加藤先生、河野さん、関さん、田中弥生さんは難しいということでございましたが、田中清委員は遅れていらっしゃるようでございます。皆さんお忙しいところ、予定がいろいろ立て込んでいるところに割り込むものですから、なかなか皆さんの御都合がつかないのですけれども、御出席いただいている方は、もちろん、ここで御発言いただければよろしいのですが、学校の都合等でやはりお出でになれない方もいらっしゃいますので、その場合、前回議事録について御意見をお伺いしてくるように事務局にお願いしてございますので、できるだけ御欠席の方の分の御意見も拾い上げていきたいというふうに考えております。
 本日予定しております議事、配布資料、当面のスケジュール等について事務局から御説明申し上げます。

● それでは、配布資料の方につきまして御説明させていただきます。
 資料1、それから資料2につきましては、「移行について」ということで、これは前回の続きでございます。後ほど御説明いたしますが、前回から時間もございましたので、幾つか論点を整理するとともに、資料を追加した部分がございます。この移行につきまして御議論いただきました後、資料3、資料4に基づきまして、非営利法人のワーキング・グループの検討状況、これを○○委員の方から御報告いただきまして御議論いただきたいと思います。
 これは次回からということでございますが、これまでの御議論を踏まえまして、報告書のとりまとめの方に移らせていただきたいということで今日御議論を進めていただければと思います。以上です。

○ それでは始めさせていただきます。
 御記憶と思いますけど、前回は現行公益法人の移行についてどう考えるかということについて皆さんの議論をいただきました。それからその次に、(2)で「新たな非営利法人(仮称)への移行方法」についての御意見をいただいている途中で終わりました。したがって、今の参事官の御説明のように、課題ごとの議論について今回で区切りをつけまして、次回からは報告書のシナリオをつくっていただいて、それを議論していきたいと思っております。したがって、各論は大体今日でおしまいということになります。
 そこで、前回に引き続いて資料1「移行について」の議論ですが、資料についての追加部分を事務局から御説明した後、今の(1)と(2)について、もし残った部分がございましたら議論していただきたいと、こういうふうに考えております。

● それでは資料の御説明をさせていただきます。
 1ページ目でございます。論点は先だって御説明させていただきましたように、(1)から(4)までの大きな論点を掲げさせていただいております。以下それぞれの論点ごとに留意点をまとめるという形で資料を整理させていただいております。
 (1)の「現行公益法人の移行に当たっての基本的考え方」ということでございますが、1ページ目につきましては、前回とほとんど変わっておりません。次の2ページでございます。「・」の1つ目でございますけれども、今般の改革は、現行2万6,000 の公益法人の設立根拠を抜本的に改めるということが前提としてございます。しかしながら、これらの法人が民間公益活動の主要な担い手として活動を行ってきているという事実、それから実際相当多くの受益者が存在するという事実、さらには新制度施行に無用な混乱、あるいは事務的なコストを避ける必要を考えますと、新制度への円滑な移行のためには何らかの経過措置、例えば、「組織変更」や「みなし」といった法令上の手当も含めました経過措置を措置すること、あるいは、その移行期間を設けることが必要ではないかというようなことが先だっての御議論を集約したことになろうかと思います。
 この「組織変更」ということでございますが、これは前回も触れさせていただきましたが、下の※印のところに説明を少し加えさせていただいております。今の制度でありますと、特段の措置をとらない場合には、一旦法人が別の法人格に移るには、解散あるいは新規設立の手続が必要になるということでありますけれども、そういう煩雑な手続をとらないで済むような形で措置するという手法でございます。
 ただ、 これもいろいろ調べてみますと、組織変更を実際にやっておる場合、あるいは特にそういう措置をとっていない場合、これはいろいろございます。資料の15ページ方を見ていただきますと、これは現在法律で認められている、あるいはこれまでに措置されたことのある組織変更の例を調べてみたものです。この中で、矢印で結ばれておるものについては、今認められておる組織変更ということでございます。
 それから、点線につきましては、過去に経過措置で時限で認められていた組織変更ということでありまして、例えば前回御説明いたしました左の方でございますが、公益法人から更生保護法人、あるいは社会福祉法人に移行する場合には、経過措置として組織変更を認められておりました。あるいは今ある法人形態といたしましては、株式会社と相互会社、有限会社といったような形態については、恒常的に組織変更の規定があるという整理になっております。これを見ていただけばわかりますように、それぞれ組織形態、あるいは事業の目的、内容等、それなりに類似したものについては組織変更の規定が設けられておりますけれども、例えば、公益法人から営利会社といったような形態のものについては、なかなかそこまでの組織変更ということは認められていないということでございます。以上(1)について付け加えさせていただきました。
 次に(2)の「新たな非営利法人(仮称)への移行方法」ということでございます。これがこの移行の議論についての主になるところでございます。@といたしまして、「法人格等の移行方法について」ということでございます。これも前回の御議論等を踏まえまして2つに整理させていただきました。1つは、公益法人から一般の非営利法人への移行ということであります。これは1階部分への移行ということでありまして、これにつきましては、次の4ページでございますが、中間法人の議論があります。これは後ほど御説明があるかと思いますが、中間法人から1階の非営利法人制度に移行するということにつきまして、ワーキング・グループの方で御議論いただいております。その辺、簡単に御紹介させていただきますと、有限責任の中間法人から新たな1階法人についてということでありますが、これは2案ございまして、非営利法人と「みなす」。B案といたしまして、組織変更を認めるという形式です。
 それから無限責任の中間法人から新たな非営利法人ということでございますが、この場合、新たな非営利法人に無限責任タイプを設けないという場合については、これは組織変更をしないといけないということでございますけれども、無限責任タイプを設けるということですと、先ほど申し上げました有限責任中間法人の取扱いに準じて検討を行うということでございます。
 これは中間法人自体、新たな非営利法人の1階部分の制度に包摂されるということでございますので、こういった整理も可能であろう、そういう御議論であったかと思います。
 もとに戻っていただきまして、同様のことが今の公益法人から一般の非営利法人のことにも言えないかと、そういう議論であります。
 それから、もう一つの考え方といたしまして、公益法人から公益性を有する2階部分への非営利法人に移行するという場合でございます。この場合は、整理といたしましては、一旦1階の非営利法人に移って、更に公益性の認定というプロセスを経るというのが理屈の話になるわけですけれども、そこは、実際相当事務的に煩雑になるのではないかというような問題がございました。ということで、1階から2階というプロセスを経ないで直接的に公益法人から2階の法人に転換できるような簡易な手続、こういったものが検討できないかというようなことでございました。これが移行方法の大まかなところであります。
 4ページの基準・手続ということでございます。これはどういうスキームで公益性を判定するかということでございますが、これについては資料の11ページを見ていただけますでしょうか。11ページに横長でポンチ絵をつけてございます。パターン1、パターン2というふうに書いてございますが、これはそれぞれ基準・手続のところに掲げております(ア)と(イ)に対応するというものでございます。
 上の「パターン1」の方でありますが、これは新法が施行して以降、経過措置期間終了までの間に、公益性の判定をそれぞれどの段階かで受けるということで、公益性の判定、認定されたものが公益性のある非営利法人に移る。認められなかったものは一般の1階の非営利法人に落ちると、そういうのを基本的に整理したものであります。
 それに対しまして、「パターン2」というのが本資料の(イ)に当たるものでありますが、新制度の施行時におきまして、一旦2階法人とみなしてしまうというものでございます。その上で公益性のある非営利法人に該当するのかどうかということをチェックした上で、経過措置が期間を終了した段階で効果が確定するということで、これは事後チェックに委ねる、そういう仕組みを想定しております。
 これも前回申し上げましたが、(イ)のような場合ですと、これは事務的には新法施行時には相当事務の軽減が図られるということがある一方、看板の掛け替えに過ぎないのではないのかとか、あるいは一旦公益性を認めるというような形をとってしまいますと、実際、事後チェックで本当に変な法人があった場合に取り消し得るかといったような問題があろうかと思います。といったようなものを図で整理をいたしてみました。
 資料の5ページの方を見ていただきますと、判定の基準ということでございます。これは(ア)と(イ)というように掲げておりますが、実際、この移行ということを考えた場合に、公益性を有する非営利法人としてふさわしくないといったようなケースも幾つかあろうかと思います。そういったものについて、この新制度の移行の段階で、それなりに振り落としていくということを考えると、何か別途に明確な基準が必要ではないのかというようなことを問題意識して掲げさせていただいております。
 それから、その下B時期・期間ということでございます。これは前回の整理を少し詳しくさせていただきましたが、2段階あろうかと思います。新法成立から施行日までの間、それから施行日から移行の経過期間満了までの間という、2段階があるということであります。
 1段階目の施行日までの間ということで考えますと、この間にいろいろ下位法令を整備する、あるいは判断主体、これは国・地方それぞれに設けるということ、あるいは会計基準といったようなものをやっていかなければいけないと思います。こういったことを考えますと、新法の成立から施行日までの間、1年以上必要になるのではないのかということを書かせていただいております。
 それからその次、移行の経過期間満了までの間ということを考えますと、これは2万6,000 法人を実際に完全に移行しきるということまで考えますと、これもやはり相当期間必要ではないのかということがあろうかと思います。これは法人サイドの作業ということまで考えますと、これも前回御指摘がございましたけれども、例えば、財団の場合ですと、新たに評議員会が制度化されるということになりますと、それぞれこの評議員会を制度として立てていかなければいけないということがございますので、これを一度にやるというのはなかなか難しいだろうというような事情もあるかと思います。こういったことを踏まえると、相当期間必要ではないのかということがあろうかと思います。
また、別の観点の御指摘といたしまして、申請・判定に係る判断主体の事務の平準化、あるいは簡素化といった点も考える必要があるのではないかということであります。ただ、この間は、新旧の両制度が並立するということも想定し得るという問題点がございます。その辺、どういうふうにバランスをとって期間を設定するかという問題点であろうかと思います。
 それから6ページに移らせていただきましてCであります。これは現行公益法人の新制度の移行措置の実施体制ということでございます。基本的には、判断は新たな判断主体が行うということでありますが、これも前回御指摘等あったところでございますが、この移行に関する手続が、法人にとって過度な負担にならない、あるいは判断主体へ過度の業務の集中がないということ、こういうことを考えますと、主務官庁の保有する情報を有効に活用するといったような仕組みが考えられないかという論点を掲げさせていただいております。
 それから併せて考え得ることといたしまして、現行制度から新制度への移行を円滑に実施していくということを考えますと、これは主として実務的な問題も含めてということでありますが、法律の施行前から、具体的には来年からということになるのかもしれませんが、法人2万6,000 の実態を把握し、あるいは判定に係る基準をどう設定するのかといったような準備作業を進めていくということが、実際には必要になってくるのではないのかということも念のため掲げさせていただいております。
それから7ページの(3)、ここからが前回御議論いただいておらないところでございますが、新たな非営利法人以外の法人類型への移行ということでございます。これも幾つかの場合が考えられるわけでありますが、@といたしまして、営利法人への移行ということでございます。※の1つ目といたしまして、今でも営利法人への転換ということが実際上進められてきたわけであります。ただ、今の公益法人の問題といたしまして、なお営利法人類似の事業を行うものがあるというような問題点が指摘されております。そういった問題点にかんがみますと、自然体でそういう営利法人の転換を促していくというだけではなくて、政府として積極的にそういう営利法人への転換に取り組むということが必要ではないのかといったような問題点でございます。
 一方で※の2つ目でありますが、これは先ほど触れさせていただいた点に関係するわけでありますが、営利法人への転換を一層促進するという点では、組織変更といったようなことも考えられるかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、公益法人と株式会社では組織として相当違いがあるというようなこともございますので、なかなかその点、慎重な検討が必要ではないのかということを念のため付け加えさせていただいております。
 それからAといたしまして、その他の法人形態ということで、例えばNPOであるとか、あるいは特別法に基づく法人、社会福祉法人とか、学校法人を想定しておるわけです。これをどう考えるかということであります。これも自然体で考えれば、一旦解散してそれぞれの法人の設立を行うということをすれば、どういう形にもなり得るわけですが、そうではなくて、何からの組織変更を行うなり、特別の措置をこういうそれぞれの法人形態との間でとるべきか否かという論点であります。
 それからBといたしまして、これは今の公益法人のうち、それぞれ移行したいものがある場合には問題ないわけですが、特にそういう公益法人に移行することを希望しない、あるいは実際に何の申請も行わないようなところ、こういうものに対してどうするべきかということで、例えば、移行期間後も旧民法34条の規定に基づく公益法人ということで存続させるということがあり得るのかどうかということであります。これにつきましては、※印でございますが、これも前回御紹介させていただいたものでございますが、一定期間満了したときに旧法に基づく法人は解散するといったような例、これは宗教法人の場合がこの前御説明させていただいたものでありますが、そういった立法例もございます。それから、この旧民法34条に基づく公益法人を恒久的に存続し得るということが適当なのかどうかという本来的な問題もございます。
 それから、Cといたしまして、これは少し別途の配慮であります。新制度の施行を契機に合併、分割、そういったことが考えられないかということであります。例えば、合併ということでありますと、小規模の法人、これはなかなか新制度では公益性のある法人として存続しにくいといったような場合でも、合併して相当規模の法人に移行するのであれば、公益性のある法人として存続し得るのではないのかといったようなことが想定されるかと思います。あるいは、これは前回御意見をいただいたところですが、この新制度施行を契機いたしまして、公益的な部分と、それから共益的な部分に分けて、この際事業を整理するといったようなことも考えられるかと思います。
 この辺につきましては、中間法人法におきましては合併の制度も認められておりまして、1階の今度の非営利法人制度においても、合併の規定を設けるということが検討方向として出されておるところであります。
 それから(4)の「移行に当たっての財産等の取扱い」ということでございます。この問題は、「・」の1つ目でございますが、現行公益法人から公営性を有する非営利法人に移行するということについては、基本的に財産、債権債務、雇用関係、そういったものを包括的に承継させるということでよいのではないのかと考えておりますが、問題になりますのは、現行の公益法人から一般の非営利法人に移行する場合でございます。これは先だっての御議論と同様、公益法人として蓄積されてきた財産が、構成員の間で分配が自由にできるというようなことは適当ではないのかといった問題点がここにも該当するかと思います。
 このあたりの議論につきましては、これも前回御紹介させていただいたところですが、中間法人法策定の際に、公益法人から中間法人に組織変更をするということについて、法制審等の場でいろいろ御議論ございまして、基本的にそういう組織変更という措置をとるという方向が出されていたというふうに承知しております。ただ、一方でこれは主として与党の方での議論でありましたが、公益法人で公益目的で蓄積される財産、これが中間法人にそのまま移行されて、あとは分配が自由になるということは問題ではないかという強い御指摘があったということで、結果として特にそういう組織変更等の措置をとらなかったというような経緯もございます。
 そこでどう考えるかということであります。基本的には念頭に置くべきことといたしましては、これまで前回御議論いただいた新制度下において、公益性を有する非営利法人が公益性を失った際の財産、この扱いに準じるということで考えるとよいのではないのかということであります。
 ただ、これも幾つか後ほど申し上げるような議論もございます。今申し上げました新制度下における取扱いということ、これもいろいろ議論があったわけですが、当面(ア)、(イ)ということで整理をしておりました。(ア)といたしましては、一般の非営利法人への組織変更後も引き続き非営利法人の解散時まで残余財産の帰属者に係る制約を課すということ。それから(イ)といたしまして、一般の非営利法人への組織変更を行う際に、どういう形かは検討の要はありますが、公益目的に使用されるべき財産を区分するということで、そういう財産については、処分は公益目的に限るという制約をかけるということであります。
 ただ、今の公益法人につきましては、これはいろいろ財産が混じっているということもございまして、実際に公益目的に使用される財産というのをどう区分し、特定するかということについてはなかなか難しいといったような議論もあるかと思います。
 それから10ページの方でございますが、最後の「・」、これは先ほど(3)のところで申し上げましたような別の類型の法人への組織変更、こういうことを考える場合には、同様に財産等の承継についての整理が必要だろうということを念のためにつけ加えさせていただいたところであります。とりあえず、説明としては以上でございます。

○ 今見出しの説明をいただいただけで結構長くなるのですが、今日の時間割としては、5時半まで皆さんの時間をいただいておりますので、大体4時まで移行の問題を切り上げて、それ以降、座長代理が座長をやっていらっしゃいますワーキング・グループの方の最近までの状況を御説明いただいて、それに対してのディスカッションをさせていただきたいと存じております。
 それで、先ほど申し上げたように、次回からは皆さんの、今まで21回に及んでいただい意見をとにかく全部とりまとめて一度シナリオに書いてみるということにする予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 それで今の4つの論点がございますが、4つの論点を一時にやっていると非常に混乱しますので、前回(1)の現行公益法人の移行に当たっての基本的な考え方と、(2)新たな非営利法人への移行方法についての意見をいただいておりまして、ここのところについては、それほどの御意見はなかったように思っておりますが、追加するところはございますか。

○ 今回の資料で(参考資料7)、資料2の11ページにパターンを2つ書いていただいていまして、非常に明快になったのですが、このパターンでいくと、私が前にお話ししたとき、少しあいまいだったのですが、パターン2の方がいいのではないかなという考えでおりまして、新しい制度に基づく判断機関が、現在の主務官庁の意見も出していただいて、参考にしながら新しい判断機関の責任で判断をする。正式な免許といいますか、本免許といいますか、公益性があるという判断を、あるいは一般の営利法人に転換をするということを決める。それまでの間については、仮に公益性のある非営利法人扱いということでやっていきますと、判断責任というのが新しい判断機関というところで一元化されて明確になるということと、それから新しい制度が発足するという意味合いもこちらでやった方が明確になるのではないかと思います。

○ ありがとうございました。ほかにございますか。

○ 3ページの(2)の@のところでございますが、ここで2階の公益法人への移行のことが主に議論されたわけでありますけど、公益法人から一般の非営利法人へ移られる法人数もかなりに上ると思います。特に業界団体ですとか、従来公益性が問題にされたようなところで、一般非営利法人に移りたいというところはかなりの数出ると思います。そういうところが中間法人法ができたときには、中間法人に移行することをお考えになったわけですけれども、先ほどのお話に出ましたように、組織変更の規定が設けられなかったために、そこで資産に関する含み益の課税の問題が出る。それから、資産の登記等を変えるといったようないろいろなコストのかかる問題が出たために、結局、中間法人への移行をあきらめられたところが多かったわけであります。従って、今回、このような法改正をするときは、ぜひ組織変更の規定を入れることによって、税法上、あるいは登記その他の問題も起きないようにしていただきたいと思います。

○ ありがとうございました。要するに団体側のインセンティブといいますか、むしろ中間法人に変わりたいということに対しての新しい法律上の支援策をつくっておいて、そちらの方を促進するということですね。それから、先ほどの○○委員の御意見は、もしかすると技術的に2万6,000 が同時に我先に登録を申請したいといってくると、どのくらいの判断機関のキャパシティがあるかわかりませんけど、かなりの日数がかかってくるのですよね、第1案は。ですから、技術的にはむしろ第2案の方がやりやすいのかもしれないという気を持ったのですけどね。それはシナリオの中で両案を示して、また更に検討していただきます。

○ パターン1と2、それぞれあり得ると思うのですが、図で同じように時点を書いていますけれども、パターン2をとる場合には、新法成立から新法施行までの期間がもっと長くなるだろうと思うのです。そうしませんと準備ができないのではなかろうか。準備というのは、法人側の準備もあると思います。とりわけ、財団法人をどうするかということを考えますと相当準備が必要だと。他方で判断主体の方も準備が必要でして、とりわけ地方の判断主体をどうやって組織するのか、その基準をどうするのかということを考えますと、パターン2をとる場合には、成立から新法の施行までを相当空けなければいけない。そうだとすると、いち早く資格を持って十分新たな公益法人になれるはずの公益法人にも、それまで待ってもらうということにもなりかねませんので、結局、パターン1、パターン2は、技術的な問題だと思いますけれども、両方得失があるだろう。
 もう一つ若干内容的な問題といたしましては、パターン2をとった場合には、一時にまとめて切り替わるということになりますと、事実上主務官庁の判断が非常に強くなって、その結果、新たな判断主体の判断というのが形式的になってしまう。そうなると、せっかく新しい制度ができるのに、どうも引きずるというのはよくないのかなという面もあるかと思います。ですから、両方、利害得失あると思います。

○ 今の○○委員の御意見ですけれども、例えば、○○委員のおっしゃるように、一旦全部仮免許という形で認めるとして、本免許的なものの判断は新たな判断主体が行うとすれば、そういう意味で○○委員がおっしゃっていたような二重の判断になるということはないのではないかという気がいたします。

○ そういうふうに考えてよろしいですか。

○ ただ、仮免許という言葉の意味がどうもはっきりしないものですから。

○ 仮の方に意味があると、免許ではないですね。

○ ですから、もし仮免許だとすると、多分Aにもう一つ、1本線が入るのだろうと思うのです。その意味を明らかにしませんと、議論しにくいなという感じがします。

○ それからもう一つは、仮免許的な概念に対する法律上の根拠をどうするかということもありますね。

○ そうですね。

○ 基本的に○○委員の御意見でよろしいと思うのですけれども、1つは、新法施行前の準備期間の問題をどういうふうに考えたらいいか。というのは、新法施行後に、公益性のある非営利法人とみなされる法人というのは一体何か、あるいはそれに対してどの法律が適用されるのか、そこがはっきりしない。現在の公益法人、財団法人も含めて、何ら手を加えることなく、一旦は全部新しい制度のもとの非営利法人とみなすとした場合、みなすのだけれども、例えば理事会と評議員会の権限分配とか、そういうのは手当ができてないままみなしてしまうのか、それとも最低限、新法のもとで形だけは整えるように、新しい権限のもとの評議員会を新法施行の段階ではつくらなければならないのか、そこら辺が、みなすというときの、どういう前提で何をみなすのかというのがはっきりしない感じがしますね。

○ もしかして臨時の理事会でも開いていただいて、新法に適用されるような新しい組織にかえておいていただくということは。

○ それは1つ考えられますね。それをやると準備期間が相当必要になってくる可能性があるのですね。

○ そうですね。2年だと思いますね、せいぜい。

○ そうおっしゃるのは新法施行までの話ですか。

○ ええ、そうです。

○ 施行までの間に…。

○ 1年では少し無理ではないかという気がしますね。仮に2年ぐらいあると、どこの法人もそんなに無理なく、今のように人を選んだり、あるいは新しい、例えば人数を減らしたり、増やしたりする必要もあるわけですから、そのぐらいの手当は十分つくように思いますけどね。今年じゅうにおやりなさいというのは、少し酷ではないかという気がしますけど。
 ほかにございますか。その辺にしまして、かなりここはどっちかというとまだ簡単な方なので、3番と4番のところを少し今日は議論いただいて、各論の最後にしたいと思っております。
 3番は「新たな非営利法人以外の法人類型への移行等」でございます。つまり、現行公益法人からの移行に当たっては、公益性を有する非営利法人、あるいは今、○○委員がおっしゃったように中間法人、あるいは一般の非営利法人等、様々な法人への移行が想定し得るわけですけれども、これらの取扱いについてはどのように考えるべきか。(4)に、これと関連するのですが、「移行に当たっての財産等の取扱い」、これと関連してまいります。移行に関するその他の論点については、ここでは新たな非営利法人への移行を希望しない法人の取扱いに関し、他の法人類型への移行の要否や適否について御議論をいただきたいわけです。
 また、前々回、第19回の会議において、公益性を有する非営利法人が公益性を失った際の財産の取扱いについては、既に皆さんの御意見をいただいたわけです。しかし、ここでは、特に現行公益法人から、公益性を有する非営利法人または一般の非営利法人への移行の際に、現行公益法人の財産はどのように取り扱ったらいいかということについての議論をいただきたいというわけでございます。いかがでしょうか。まず、この営利法人への移行についてはどうお考えになるか。

○ 公益法人が設立されたときには問題なかったけれども、だんだん競合する相手が出てきて、営利法人に近い構造とみなされるようになってきたところも随分ある。事業そのものは、社会的に悪いことをしているわけでない。少し具体的に申し上げますと、たとえば学校給食です。学校給食を行うというのは設立された当時は非常に公益的な仕事であったのだろうと思うのです。しかし、今は一般の営利企業でもできるようになってきた。

○ 市場競争が適用される世界ですね。

○ ええ。ただ、そういう事業がなくなってもいいかというと、必ずしもそうでない。営利法人に移る場合には、それまでの内部留保的なものははき出させたうえで認めればいいのだろうと思うのです。事業を継続していく上で必要な分ぐらいは、そこの組織に蓄えることができるというようなことが必要ではないかと思うのです。内部留保をどう定義するかという問題ももちろんあるのです。

○ 内部留保については、前回大体純資産の増加分というような感じがあったのですよね、意見としてね。

○ 事業の継続性を考えないといけないということになりますので。

○ もう一つは、今の継続性も考えて、ある一定の部分以上は取り上げるという御意見がありました。取り上げるというのは、一体どういうことになるでしょうかね。

○ 難しいですが、事業がそのまま継続できるような状態を保てるかどうかの配慮が必要かと思います。

○ 営利法人でございますと、株式会社になるということになって株主ができるわけですね。株式を得た方は、当然ながら財産権を持ったわけですから、対価を払っていただく必要が出てくる。その対価部分が公益法人、もとのあったところへ支払われて、それが公益分野に充当されるべき財産ということで回っていくというようなシステムかと思うのですね。ですから、ある法人が営利部門を子会社化して、その株式を譲渡すると、株式を売った代金、株式を得た方からもらった対価については公益分野に残していく。営利部門はそのまま継承して、継続するという形が基本ではないかなと思っていますけれど。

○ 私もこれはよく考えてもよくわからない問題なのですけれども、非常に単純に、ある公益法人が財産を持って事業をやっていると。これはしかし公益法人の下でつくられた財産であるので、基本的には勝手に処分はできない。だけど、今、○○委員がおっしゃったように、今度は営利企業になるので、株式会社にして出資をして、お金が集まりますね。ですから、このお金でもって、さっきの今までの事業に使っていた財産を買い取る形で、財産、例えば土地とか、あるいはいろんな資産は営利部門に移りますけれども、代わりに買い取ったお金が今までの公益法人の下でつくられた財産の代わりに公益のところに入ってきて、これが公益法人のときにつくられた財産なので、あとで処分制限がかかってきて、解散したときには類似の法人ですとか、国庫ですとか、そういうところに帰属することになる。ですから、集めたお金で今までのものを買い取るという形になる。そういうことですよね。それが1つのパターンだろうと思います。ただ、ほかにもいろんな難しいパターンがありそうで。

○ 今の○○委員の御提案は非常にきれいでいいと思うのですが、しかしそのためには資金が必要になりますね。つまり買い取るということになるわけですから。買い取った分を公益に帰属させるということですと非常にシンプルでよろしいのですけれども、それだけの資金が調達できるのかなという気がいたします。
 それで、前回も少し御提案いたしました公益部分を目的によって拘束して、それで時間をかけて買い取る、あるいは社会に帰属させるというような方法の方がマイルドかなというふうに思ったのですが、今の○○委員の御提案ですと、組織変更のときに資金が必要になるけれども、それは大丈夫でしょうか。

○ 収益の上がる事業であれば、株主は出てくると思いますけどね、相応の対価で。

○ まず、このような組織変更の規定が必要かどうかということですけれども、私の先ほどの意見と関連していると思っていまして、従来、公益法人であったけれども、やっている事業内容が営利法人とあまり異ならなくなってきている分野というのは多いと思うのですね。初期の公益法人で言いますと、ゴルフ場ですとか、自動車教習所ですとか、そういうところがいろいろあって、これは今日では多くはむしろ営利法人として営まれている。私がさっき申し上げたのは、公益法人から非営利一般法人への移行で、そのときの問題を申し上げたのですけれども、場合によっては、むしろ営利法人までいきたいということはあると思いますし、また仮にそういうことが合理的だとすれば、そのときに、さっき申しました税法上の問題とか、登記とか、あるいは契約を全部新たに更新しなければなりませんので、そういうことを考えれば、組織変更によって、法人格をそのまま維持したまま営利法人に移るというニーズがあれば、組織変更の制度を設けた方がよいのではないかと思います。私はやれないことはないと思います。現に中間法人から一般の営利法人に移行する立法はございまして、例えば、保険相互会社を株式会社化する規定をつくったわけでして、私は十分できると思います。ただ、そのための立法作業が大変なので、事務局の負担が大変重いという問題はあると思いますけれども、できないことはない。先ほどから出ている従来の資産の扱いについては、むしろ、この後で議論する移行に当たっての財産等の取扱いのところで、純資産部分についての拘束を残しておけば、それで済むのではないかと思います。

○ 今の○○委員のお話は、純資産部分については同種の公益法人に移すとか、そういうことですね。

○ おっしゃるとおりです。

○ お伺いしますが、要するに公益法人時代に形成された財産も株式会社に移っていくということになるわけですね。その場合に、それが将来どうなるかという問題で、拘束をかけるということの意味内容はどういうことになるのですか。

○ 拘束をかけて、純資産部分については、本来の目的に使用させると。

○ その移行した法人というのは、私益の追求をする株式会社であると同時に、公益的な活動も行うということになるのですか。

○ というか、資産の使用については、そういう目的に使わなければならない。

○ 資産の使用についてはそういう目的に…。

○ 設立時の純資産部分…。

○ つまり資産を2つに分けて管理・経理するというか、そういうことですね。

○ おっしゃるとおりで、保険業法も実はそういう扱いをしていまして、従来の保険会社で蓄積されて、組織変更時の社員に本来帰属する部分の財産は、組織変更剰余金という特別財産として扱いまして、それについては、使い方についての拘束をかけるという立法をしております。そのような考え方が可能ではないかと思います。

○ 例えて言えば、その財産は公益法人に寄附するというのは、公益的な目的のために使うということですね。非常によくわかるのですが、仮にその部分を株主に分配してしまったら、それは法律上は無効であるとまで言えるのか、また、仮にそう考えた場合に、一旦分けてしまったものを取り戻す手段があるのかどうか。株主の意向で分けるわけですね。株主というか、株式会社の理事、経営者の意向で分けるのでしょうが、それは株主の意向ということでもある。分けてしまった場合に、それに対処するような立法措置といいますか、そういうものが何か必要なように思いますが。

○ それはいわば会社の拘束財産を使ってはならない目的に使った場合と同じですので、恐らく現在の商法290 条と同じように、仮にそういう利益処分を株主総会で決めれば、その株主総会の決議は無効になって、流出した分の回収ができるということになりますし、当然取締役や執行役等の責任が発生し、290 条違反ですという刑事罰も課せられます。それと同じような規制が可能ではないかと思います。

○ わかりました。要するに会社の役員が取り戻す努力をしない場合は、刑事罰を科されることになるので、取り戻す努力が行われるであろうと、こういうことですね。

○ そもそもそういうことをやること自体が刑事罰の対象になると思います。

○ わかりました。どうもありがとうございました。

○ ○○委員にご確認なのですけれども、株式を発行して会社に新しい資金が入ってくるわけです。そうすると、拘束するのは何を拘束するのでしょうか。もともとあった財産を拘束するのか、それとも新たに入ってきた資金を拘束するのか。あるいは新たに資金が入ってくるのであれば、その資金を類似目的に寄附するなりすれば、そこで公益性が外れると考えるのか。

○ 細かく技術的に詰めて考えているわけではありませんけれども、既存の純資産部分については、まず拘束をかけて、それを流失させたりすると、それについて、今申し上げたような規制がかかるので、新たに株主を募って株主が払い込んだ資金について、これは普通の会社の資本と同じ規制の対象になるということになります。

○ 恐らく、○○さんが考えているのと○○委員とそんなに違わないのだと思うのですけれども、仮に今までゴルフ場をやっていて、今度ゴルフ場の経営自体は、むしろ営利的なものだということで、営利企業としてゴルフ場を続けていくと。そうなると、これは営利企業の財産としてゴルフ場が必要なわけですよね。だけれども、ゴルフ場をそのまま営利企業の株式会社の財産に移すわけにいかないので、これは今まで公益法人として集めてきた財産ですから、ただ移すわけにいかない。そこで、株式会社の場合だったら株主が支払ったお金でもってその財産を買い取って、代わりに今までのゴルフ場に相当するお金の部分は、いわば拘束を受ける財産になる。これは類似目的の法人などに寄附したりする。そういう形になるわけですよね。

○ 実際上そうなると思います。

○ そうしますと、そのお金を寄附した段階で判断主体のコントロールから外れると理解してよろしいのでしょうか。

○ 寄附をすれば、当然それで公益性の部分についての役割を果たしたことになりますから、普通の株式会社としてそれからはやっていくということになります。

○ そうですね。そうしますと、むしろ払い込みを受けた段階でそのまま類似目的に振りかえて、それで判断主体が最初からコントロールしないという選択肢もあり得るということになるでしょうか。

○ 純資産分を全部類似目的に寄附したりすれば、当然、それでその企業は特殊な性格はなくなって、通常一般の営利法人になるということだと思います。

○ 大体考えていることは似ていると思います。

○ 今日、○○さんが急にお休みになってしまったので、○○さんのところがまさにこのケースを現実に既におやりになっているわけですよね。あのときに一体どのような方法をとられたのか、どなたか○○さんのところに確かめてきていただけないでしょうか。そうすると、これから先ということよりも、現にもう起きてしまっているわけですから、起きたのはどうやってやったのかですよね。お聞きになっています?

● 具体的には伺っていませんが、恐らく営利転換の指針に遵うか、あるいは中心市街地活性化法の適用を受けられたのか。

○ もちろん、○○さんのところは民間ではなくて、地方自治体が絡んでいるわけだから、それはまた別な整理方法があったのかもしれないですけどね。

● 確認して御報告したいと思います。失礼しました。

○ 次回、○○さんが出られたら、○○さんの口からそれを言っていただいてもいいし。

○ よろしいでしょうか。○○委員のおっしゃったことに関連して、公益的な財産が別に管理される財産として残るわけですね。その部分については、やっぱりこの新しくできる判断機関のコントロールを依然として受けるということになるのでしょうか、それとも、罰則とか何かによって担保するということになるのでしょうか。

○ それはまさに制度のつくり方次第だと思うのですけれども、恐らく、財産にした部分を類似の目的等に使うときに、それが本当に類似の目的に使われたかどうかというようなことを多分判断機関がチェックするということになるのではないかと思います。そうでない限りは絶対流失させてはいけないという形の規制を受けると。

○ 進め方が順を追っていないのですが、7ページと8ページ、9ページのところをぱっと御覧になって、ここで今漏れた問題がございますか。逐条的とは言いませんけど、カバーしているように思うのですが、いかがですか。○○さんどうですか、よろしいですね。

● はい。

○ 別に漏れていることがあるということではなくて、今、議論がいろいろ錯綜していたので、自分なりに整理いたしますと、恐らく3つ問題があって、1つは、先ほどのように、具体的にどういう形でお金を集めて、今まで公益法人のもとにあった財産をどういう形で営利法人の下で使えるようになるのかという、そのシナリオですね。それは株式会社がお金を集めて今のように、ゴルフ場だったらゴルフ場をいわば買い取るというような形でゴルフ場はそのまま株式会社の下で継続するけれども、代わりにお金が今までの公益法人の財産の代わりになって、これがいろんな拘束を受けると。そういうシナリオといいますか、どういう形で実際に営利法人に移行するかという問題と、それを組織変更という法律をつくって、法人格が同一であることを、いわばきちんと担保してやるかどうかというのが2番目の問題であって、3番目は、先ほど○○委員が言われたように、ある種の財産が今までの公益法人の下でつくられた財産だという理由でもって、何らかの拘束を受けるとすると、そこに何かコントロールが、新しい判断主体の下での規制といいますか、コントロールが及ぶかどうかという大体その3つ問題ではないだろうかという気がしますね。

○ わかりました。その辺を先ほど申し上げたように、シナリオづくりのときに、場合によったら2案をお示しするような形で、もしまとまるようでしたら、一つにまとめてお示しして、そして皆さんの御意見をいただくようにいたしたいと存じております。
 移行の問題についてはいろんなことがありますが、あと中間法人に移るにはどうしたらいいかとか、いろいろあるわけですけれども、大体今までおっしゃったような…。

○ 質問ですが、今、こういう改革が起こっていますので、この際、財団法人から社団に変えたいという希望があるのですね。この移行は法的には可能ですか。それとも、全く新しくつくって移り変えるということしかあり得ないですか。

○ 新しいのをつくってきて、既存の下ではあり得ないですね。それを組織変更という法律の中で、要するに新しくつくれば、今度新しい法律になりますから、今までの法人の下でもって得ていた許可ですとか、営業の許可とか、そういうものは引き継がないですよね。

○ 財産の問題もありますね。

○ だけども、それを組織変更という法律の下でもって法人としての同一性があるというふうに扱うか、それは不可能ではないのだろうと思いますけれども。

○ 法的には随分違う形の法人でございますね。

○ そもそも組織変更というのが、これは○○委員にお聞きしたかったのだけど、この場で聞くべき問題かどうかわかりませんけれども、要するに組織変更でもって扱える限界というのが理論的にあるものなのか、それとも、それは政策で決まるもので、別にないのだ、とにかく同一性を認めればいいわけですからね。どういうものなのだろうかということですね。

○ これは一般的な学界の了解というわけではないですけれども、私自身は政策的な問題だと思っていまして、15ページの資料にあります組織変更の規定のない場合といういのは、実は規定をつくるニーズがそれほど大きくないということと、あと、規定をつくるのは非常に難しいということからできていないのが大部分だと思います。例えば、人的会社と物的会社である株式会社の間の組織変更の規定も検討したのですけれども、規定自体が非常に面倒で、そうすると、一旦解散して新しくつくるのとほとんど変わらないのではないかということで、結局、その規定は入れなかった。
 ただ、今私が申しましたように、税法上の考慮や、○○委員の御指摘のあったような契約や免許認可等をそのまま引き継ぎたいというニーズが非常に強いのであれば、組織変更の規定をつくろうと思えばつくれる。理論上はあり得ないことはないと私は思っています。

● 参考資料の8ページの方を御覧いただければと思いますが、中間法人法を法務省で検討いたしました際に、財団法人から中間法人へ、中間法人は社団でございますが、その組織変更についても、中間試案レベルではございますが、法制審の当時のメンバーの先生方で御議論いただいております。法制審の方でもまさに○○委員がおっしゃったように、財団から社団への組織変更が可能であるという検討がされておるということを御紹介させていただきます。

○ これは中間試案であって、実際に法律はなっていないと。

● もちろん法律ではございません。ただ、これができなかったのは、むしろ財産承継の話で、これができなかったと聞いておりまして、財団から社団への組織変更が法制的に難しいからできなかったという理由ではないのではないかと認識をしております。

○ ○○委員の御説明と同じですね。○○委員、今のようなニーズというのはどのくらいあるのですかね。

○ 私がメンバーになっています公益法人協会でも、余り財産がないので、この際社団にしようかといったことを考えていますが、同じようなところはあると思います。会員制でやっているところ、これは形からすると財団よりむしろ社団の方がフィットするのではないかということがありますね。かつては相応の財産を持ってやっていたのでしょうけど。

○ 法律的な議論はさておいて、実体的にはいろんな法制があって、それの中の使いやすいというか、一番活動のしやすいところを選んで動いていただくというこの方がやりいいのですよね。そうすると、そこにまた移行のための法律をつくるかどうかという、今の○○委員のお話になるので、非常に悩ましいところですね。
 では、大体移行のところが済みましたので、引き続きまして、ワーキング・グループでずっと検討を重ねていただいていたわけですけれども、最近のところまでの報告について、○○委員から御報告をいただいて、本会議の方の皆さんの御意見をいただくということにしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

○ それでは、非営利法人制度に関する資料としては、今日は資料3と資料4というのがあると思いますが、資料3の方は、いわば骨子でございまして、資料4の方は詳しい全体でございますが、一応資料3の薄い方に従って御説明を申し上げ、必要に応じて資料4の細かい方を御覧いただければと思います。
 順次かいつまんで御説明いたしますと、最初に基本方針ということで、新たな非営利法人制度の創設の意義が書いてございます。これは今までも御議論いただきました点ですので、ここで改めて繰り返すことはいたしません。私が自分なりに考えているときに思ったことがございまして、それを紹介したいと思うのですが、今般、統一的な、統一的なというのは、公益を目的とするものも、目的としないものも含めた統一的な包括的な非営利法人制度をつくるということでございますが、考えてみますと、今までの中間法人も公益目的のために使うこともできるという意味では、非常に広い法人制度だったわけですね。ところが、中間法人と新しい非営利法人制度とは違う点があると思うのですが、それは、今までの公益法人制度のもとでの中間法人というのは、中間法人のための法律と、それから公益法人になるための法律というのが別になっておりますので、そこで例えば、自分のところの団体が公益性があるかどうかまだわからないとか、あるいは、しばらくは非営利法人として活躍したいと。そういうときに一旦中間法人を選んでしまうと、今度公益法人になろうとするときには別の法人制度をつくらなくてはいけない。そういうところに面倒くささがあり、またそれがゆえに、中間法人を選ぶということについて躊躇が生じる、中間法人が使われない一つの理由だったのではないかという気がいたします。
 今度は新しい法人制度の下では、法人制度としては1つですので、そういった中間的な非営利活動をしていて将来は公益法人にもなりたいと考えているものは、とにかくこの制度のもとで、包括的な制度の下で非営利法人を選んで、将来公益性の要件を満たして公益法人になる、そういうことが可能ですので、一見すると中間法人と新しい非営利法人制度というのは似ているところがあるのですけれども、これは全然違うのだということが1つあるのではないかと思います。今のはいわば基本方針の「一」のところの「新たな非営利法人制度の創設」のところの問題です。
 「二」のところで民法との関係でございますけれども、今度非営利法人制度をつくるのに伴って、民法の公益法人制度というのは必然的になくなりますが、民法に何らかの規定を残すのか、それとも残さなくていいのかという問題でして、これは多少技術的な問題もいろいろありますけれども、1つの考え方として、やっぱり民法というのは、市民生活の基本的なことを規定した法律なので、普通の人が民法を見ると、大体どんな制度があるかというのはわかるようにしておくのがいいのではないか。そういう意味では、法人に関する最低限の条文は残しておいた方がいいのではないかと非営利法人ワーキング・グループでは考えております。
 ただ、具体的にどんな条文を残したらいいかということについてはいろんな意見がございまして、まだ煮詰まっているわけではございません。
 さて、次の第二の総則的な事項ということで、定義ですとか、幾つか書いてございますが、皆様に御意見を伺った方がいいかもしれませんが、ここに書いてありませんけれども、名称として、新しい制度の下での非営利法人を何と呼ぶかということなのですが、非営利法人のレベルでもって社団タイプと財団法人両方のタイプがあるということを前提にいたしまして、社団タイプについては、「社団法人」というのが一番素直な表現であります。あるいは「非営利社団法人」という言葉もあり得るかもしれませんけれども、非営利のワーキング・グループでは、「社団法人」ということでいいのではないかと一応考えました。
 それから、財団タイプについては「財団法人」という言葉を使うということでどうだろうと。ところが、この名称を使いますと、新制度と旧制度の両方が過渡期には重なり合う部分がございまして、つまり、今日移行のところで御議論いただいたように、旧制度の下での公益財団法人とか、公益社団法人ですが、これが先ほどの第1案の方ですと、新しい制度の法人制度に切り替わっていないという状態が生じて、そういう法人が残っていると、「財団法人」という言葉は、一方で旧制度の下でも公益財団法人を意味し、新しい制度の下では、非営利の財団法人というのを意味する。ですから、同じ言葉が二重に使われる可能性があって、これが嫌なところなのですけれども、そんな問題点があるということも踏まえつつも、しかし名称としては、余り複雑な名称をつくるよりは、「社団法人」、「財団法人」、将来的には一本の制度になりますので、その簡単な名前の方がいいのではないかと考えたわけであります。
 解散命令については省略いたしまして、次のページをめくっていただいて、第三の「社団形態の法人」のところでございます。いろいろ御議論いただいたうち、社団法人形態ですから、第一の設立のところに書いてございますように、定款を作成して一定の要件を満たすわけですが、どうしても社員は必要であるということになって、この※印のところに書いてありますように、1人というのもあり得るのですけれども、やはり社団ということで団体ですので、2人以上というのが自然ではないかということで、一応2人以上ということを考えております。
 財産の保有規制は設けない。したがって、社団法人タイプの場合に、幾らの財産がなくてはいけないという保有の規制は設けない。この点は財団法人と違うということであります。ただ、保有規制とは違いますけれども、任意に定款の中で社員に一定の財産を拠出させるということは、これは自由にできるということは、また後で申し上げます。
 それから「二」の社員の資格等について、これも※印のところが少し重要かもしれません。今般は中間法人に相当する無限責任のタイプというものは設けないという方向で考えております。ただ、聞くところによりますと、現在の中間法人のもとでも無限責任の中間法人を選んで既に活動しているところが100 ぐらいでしたか?

● 160 ほどあると思います。

○ かなりあることはありますので、やはり、そういうニーズがあるのかどうかというのをもう一回確かめて、場合によっては、無限責任タイプというものも考えないではないというぐらいですが、今のところ、そういうことは必要ないのではないかと考えております。
 それから社員の権利義務の内容については、※印の2のところに書いてあるように、このたびの社団法人は、出資義務は負わない。法律上、必ず出資しなくてはいけないというものではない。しかしながら、これも何度も繰り返しますように、定款でもって社員となるものは一定の出資といいますか、拠出をしなくてはいけないということを定めることが自由である。そういう形でもって、社団法人になってからの活動のための原資を集めるということは一向に構わないけれども、社団の自律に任せるということであります。
 しかし、仮に拠出をしたとしても、営利法人になってしまっては困りますので、非営利性というものは維持しなくてはいけない。したがって、剰余金などの利益分配請求権などはないということになります。残余財産の分配請求権も当然にないわけですが、ただ、非営利法人にとどまっている限りにおいては、これもあとで残余財産のところで申し上げますが、定款、あるいは社団の総会の決議によって残余財産を構成員に分配することも可能であるという仕組みになってございます。
 それから次の「三」の管理のところですが、社員総会、あるいは理事会とか、理事の権限をどのように分配するのかというのが、ここでも重要な問題でありますけれども、社団法人タイプの場合には、やはり社員というものが基本的な構成員として、法人のあり方を決めるという基本的な権限があるだろうということで、原則は社員総会は強行規定で、幾つか規定がない限りは、いかなる事項についても決議をすることはできるという、いわばオールマイティ的な権限を与えてございます。
 しかしながら、定款でもって理事会設置タイプというのでしょうか、要するに理事会という会議体を設けて、そこで基本的に決めていくというタイプの社団法人をつくることも可能である。こういうタイプの場合には、社員総会の権限をいろいろ制約し、理事会のところに権限を集中する。そういうタイプの規律も定款で自由に決めることができるというものであります。
 次の理事の任期とか、権限等については省略いたしますが、多少御議論があるのが理事の責任でございます。理事の個人的な責任と言ったらいいでしょうか。理事は、まず法人に対する関係で委任類似の関係にありますから、そこから生じる法人に対する責任というのがある。その中でも重要なのが理事の忠実義務などによる善管注意義務と忠実義務による責任ということになります。これはある種契約責任ですね。それから第三者に対する責任、これは商法266 条ノ3に相当する責任で、直接理事とは契約関係、法律関係にないけれども、しかし理事にその職務を行うに当たって、こういう重過失があった場合には、第三者に対する責任を負うというわけでございます。
 非営利法人の場合ですと、基本的に一番問題となる第三者というのは債権者だと思いますが、商法の場合ですと株主も第三者に入ってくるのかと思いますけれども、非営利法人の場合には、基本的には債権者に対する責任ということになるのだろうと思います。法人の財産だとかが減少して、債権者に対して弁済する財産がなくなってしまった。そういうときに、理事にこういう重過失があって職務違反があったというときに第三者に対する責任が問題となってくるわけであります。
 それから代表訴訟、これも非営利法人のレベルにおいてもと言ったらいいでしょうか、公益法人の場合、公益性のある2階に上がった場合も視野に置いておりますけれども、代表訴訟というものを設けるということについては、大方、この場でもそれほど異論はなかったかと思いますが、とにかく非営利法人の方では、このようにしてございます。
 監事につきましては御意見があればまだ御説明いたしますが、省略いたします。監事あるいは計算は省略させていただきます。
 3ページの一番下のところの「五」の拠出金でございます。これは先ほど言いましたように、社団法人、これは非営利法人ですから、必ず社員が出資をしなくてはいけない。出資をして持分が生じる、そういうものとは違うわけですが、にもかかわらず、法人の活動の原資を集める必要があるということで、拠出金という制度をつくることで、社員に拠出してもらって運営していくというタイプを考えております。
 これは社員が拠出する場合、第三者が併せてといいますか、拠出するような場合もあります。この拠出金というものは、基本的には返還される、法人が解散する場合には返還されるという性質のものでございます。これも大変御議論があったところですが、そういうものを一切返還できないような、仮に拠出という形で拠出したとしても返還できないようなタイプの法人類型を設けてほしいという御要望がございました。非営利法人の中でも議論はしたのですが、結論的には、そういうものは設けなくていいのではないかという意見になりました。これについては、改めて○○委員あるいは○○委員から、また御意見をいただければと思います。
 拠出金というのは、構成員や社員などが法人をつくるときに出したお金で同額のものが戻ってくるというのが基本的な考え方ですが、法人が解散するときを考えますと、法人には拠出金の部分だけでなくて、活動によって増えた財産などもあります。ですが、最後残っている財産というのは、拠出金を超えるような額になっている可能性があるわけです。解散のところの問題ですけれども、今説明いたしますと、法人の債務などを弁済して、清算をして、この拠出金も対外的な債務を弁済した次の段階でもって拠出金も返済する。なお残る財産というのがございます。この全体の非営利法人の制度の中で、残余財産という言葉を使っている場合には、今の拠出金も返した後の最後の部分、言葉は法律的でないかもしれませんが、今までの残余財産と混同するといけないので、いわば純粋な残余財産とでも言ったらいいでしょうか、そういうものが残っている場合もあります。
 次の定款の変更については省略させていただきまして、むしろ財団法人のところが重要かと思いますので、財団法人についての話ですけれども、後で検討いたします。
 清算の問題、今申し上げたとおりですが、拠出金なども返済した後の残りの純粋な残余財産、この帰属に関しては、非営利法人といたしましては、公益性のある団体の場合は別として、2階部分は別として、非営利法人の段階では定款、それから社員総会の決議によって帰属先を決めることができる。したがって、社員に返還することもできるというものでございます。
 拠出金の定義はここに書いてあるとおりですが、先ほど私が説明したことが書いてあります。繰り返して読みますけれども、拠出金の拠出がされた法人における残余財産とは、債務、この債務というのは対外的な債務だけでなくて、拠出金の返還にかかる債務も含めと書いてあります。この両者を完済した解散後の法人に残存する財産をいうということで、先ほど私が説明したようなものが残余財産ということになります。
 以上が社団法人のタイプでございます。
 次に財団形態の法人についてですが、設立のところは、従来とそれほど違うわけではございません。従来というのは、現在の法人と。ただ、一定の最低保有財産の規制というのを設けたらどうかということが議論されております。この親会議の中でも御議論があった点でございますが、その最低保有財産に関していいますと、財団法人ということですから、社団法人と違って、やはり法人の基礎なる財産というものがあった方がいいのではないか。活動の上でもそれは中心になるであろう。そういうものを全然設けないで、例えば1円を拠出して、それで財団法人だというのは、やはり適当ではないのではないかということで最低保有財産規制というのを考えております。ただ、その額は、そんな高いものを考えているわけではなくて、300 万円ぐらいが、現在のほかの法人法制との比較からすると1つの基準になるであろうと。この300 万というのは、設立時に要求される最低の保有財産であると同時に、その法人が存続している最中にも、必要な最低の保有財産であると考えているわけですが、そういたしますと、これは親会議で御議論いただいたように、だんだん食いつぶしていく、段階的に消滅していくような財団法人というのもあっていいのではないかという御議論がありまして、私もこれは全く同感でございます。ただ、そういうタイプの財団法人は、一応この案の中でうまく適応できるのではないかと思うわけですが、段階的に財産が減っていって、300 万円をいよいよ切るような段階になった。そうすると、その段階でどうするかということをその法人としては考えて、このままどんどん食いつぶしてなくなっていいということであれば、そこで解散の方針というのをある程度決めることになるわけですが、厳密な意味での解散の決議とは違うかもしれませんが、解散する方向だということを決めることになります。そしてそのままどんどんなくなって解散してしまえば、それはそれでいいし、場合によっては、何かの理由でもって、財産が入ってきて、また復活するということもあるかもしれません。そういう制度も組み込んだらどうかという議論があります。
 ということで、一応300 万を切る段階で、その法人としては、ほんとにこのまま解散に向かっていくのか、どうするのかということを確認してもらう、そういう目安として一応この300 万を切ったら、一定の期間内に純資産額を回復できないときは解散するという方向で考えるということが※印の1に書いてございます。
 この「一定の期間内」というのをどのぐらいの期間にするのかということについては、ここでは「翌事業年度の決算期まで」と書いてございますが、これは御議論によっては、あるいはもう少し延ばすこともできるかもしれません。
 それから、ここに書いてないもう少し簡単なことから言いますと、寄附行為という言葉が、財団法人というものをつくり出す行為のことを寄附行為と読んでいると同時に、つくられた財団法人の根本規則というものも寄附行為という概念で今まで呼ばれております。寄附行為の変更などというのは、財団法人の根本規則をどうかえるかという問題です。
 ところが、寄附行為という概念は非常にわかりにくいので、財団法人をつくり出す行為の方は、仮に寄附行為という言葉を残すといたしましても、つくられた財団法人の根本規則の部分は社団法人の場合の定款と同じようなものですから、定款という言葉を使うとか、あるいは根本規則とか、もう少しわかりやすい言葉を使った方がいいのではないか。少なくとも寄附行為という概念は、根本規則の意味での言葉としては使わないようにした方がいいだろうということを考えております。全体の方には書いてあるかもしれませんが、資料3の方には書いてございませんけれども、補足でございます。
 それから、※印の2のところが今まで親会議でも御議論いただいて、なかなか難しいところでございます。要するに財団法人について、公益を目的としない財団法人、中間的な純粋非営利の財団法人というのは設けるかどうかということでございます。
 これは何度か御説明はしたかと思いますけれども、基本的には、そういう公益目的でない財団法人というものを認めていいのではないかという立場で、この案はつくられております。
 その理由は、純粋に公益ではないような、前にも例を挙げたかもしれませんが、例えば、会社の従業員のための福利厚生施設などを法人形態でもって所有する。そのときに、財団法人形態を使うというのが1つの例であります。言ってみれば、公益という概念がある程度固まってまいりますと、どうしても周辺的なものというのがいろいろあるわけですが、その周辺的な目的を実行するために、遂行するために財団という形式を使えるというと便利な場合がございますので、そういうものとして非営利の中間的な財団法人というのを使えたらどうかと。
 あるいは最近では需要がそんなにないかもしれませんが、資産の流動化というようなときに、流動化の器として中間的な財団法人というのを設けて、そこに財産を移転するというようことも、あるいは考えられていいかもしれません。更にもっと積極的に言えば、家族財団というのでしょうか、もう少し私的な目的のために財団法人を使うということもあり得ていいのかもしれません。
 いずれにせよ、非営利の中間的な財団法人というものがあっていいという前提で考えております。ただ、そういう前提の上で考えたとしても、社団法人と同じように、広いいろんな目的のために、もちろん非営利という枠はかかりますが、その非営利の中の広いどんな目的であっても、財団法人がつくれるのだという考え方をとるのか、あるいは財団法人の場合には、社団法人と違って少し設立の範囲というものを制限したらいいのかどうか、これが※印の2のところに書いてある問題であります。
 これはワーキング・グループの中でも意見が対立しているところでありまして、公序良俗に反するのはもちろんだめとして、A案というのは、制限を設けない。制限を設けるといっても限界が明確でないし、また、制限を設けるということになると、その制限に反しているような財団法人がつくられたら今度はどうなるのか、それに対してどういう規制を及ぼしていくのか、今回は準則主義でつくるわけですから、基本的には、規制というようなものはあまり向かないわけですけれども、そういう意味で制限を設けないという立場がA案でございます。
 B案というのは、公序良俗に反する場合に加えて、一定の制限を設ける。例えば、さっき言った私的な目的、家族の財産を財団法人という形で所有して、相続逃れというのは、ここで言っていい問題かどうかわかりませんが、いずれにせよ、非常に狭い私的な目的のために、財団法人を使うというようなものについては排除していいのではないかというような考え方が一定の制限を設けるという考え方です。しかし、これも一定の制限をまた更にどういうものについてだめだということになるのか、それについてはいろいろ議論があり得るということがございます。
 次に管理のところで、これもまた親会議でも大変議論された問題でございます。評議員とか、理事、あるいは監事、こういった権限分配を財団法人の場合にどうするかということであります。今までワーキング・グループでは、基本的には理事が執行機関としてある、それに対して評議員は単なる諮問機関というのではなくて、やはり理事の業務をいわばチェックするような、そういう機構、そういう権限の分配が望ましいのではないかという考え方を基本的な考え方として据えてございます。
 その理由は、今までの公益財団法人の場合のように、主務官庁による監督というものがなくなる今後の財団法人の下では、やはりガバナンスということが重要であり、理事にすべての権限が集中していて、何でもできると、それに対してどこもチェックできないというのは、やはりまずいのではないか。そういうことで評議員会が、これは一定の法律で定めた事項に限っての話ですけれども、最低限のチェックをするというシステムにするのが望ましいのではないかという考え方でできております。
 ただ、評議員会に余り強い権限が来てしまうのは困るという御意見もございました。そこで、非営利法人のワーキング・グループでは、少し歩み寄ったというのでしょうか、そういう提案もなされておりますが、第一の※印のところは、これは今までと同じかもしれませんけれども、要するに評議員会が理事会に対してチェックできるというのは、法律で定める事項に限っての話である。したがって、社団法人の場合の社員総会とは違うという考え方でございます。
 それから、親会議で問題となった、ある意味で一番大きな問題は人事権だったと思いますが、理事会のメンバー、理事を評議員会が選任、あるいは解任し、評議員会のメンバー自身も評議員会で選ぶということになると、人事を通じて評議員会がオールマイティになってしまわないかということについての御懸念がございました。
 これについていろんな考え方があり得るとは思います。グルグル回りで理事を評議員が選び、評議員を理事が選ぶということもあり得るかもしれませんが、これは先ほどの基本原則である、理事が基本には業務執行を行い、一定の事項に限って評議員がそれをチェックするという基本的な仕組みに反しますので、それは望ましくないだろう。ただ、こういう考え方はあり得るのではないかということで書いてございますのは、これは大きい方の資料には、もう少し詳しく書いてあるかと思いますが、何ページになりますか。

● 26ページでございます。

○ それの※印の1のところですけれども、その中の@のところに書いてある点でございまして、理事の選任権、つまり理事の補充ですとか、そういうものについては基本的に理事会でもって決めると。理事会が選任権を持っている。ただ、評議員会の方には、解任権というものを与えたらどうかということでございます。そういう考え方が1つございます。
 今のは@のところの※印の1の話ですですが、次の※の2の方は、少し私の考え方が違うかもしれないけれども、私が考えていたのは、仮に評議員会の方に理事の選任権があるといたしましても、理事の名簿のようなものは理事会の方でつくって、出された名簿に基づいて評議員会の方が決定すると。そうすれば、評議員会の方でオールマイティになるということは少しは防げるのではないか。そんなことを考えておりまして、それが26ページに書いてあることでございます。これが理事会と評議員会のバランスの問題でございます。
 それから理事会プロパーの問題といたしましては、財団法人の場合には、基本的に理事会というのを設けて、つまり理事会を設けないというようなタイプは望ましくなくて、理事会を設けて判断していくというのがいいだろうと。代表理事というのを決めて、代表権限はその代表理事に与える。もちろん、全員に与えるというようなことも可能だと思いますけれども、理事会でもって判断をし、それを執行するのが代表理事である。そういう仕組みにしたらどうかというのが「二」のところの(2)でございます。それから理事の責任については、これは社団法人の場合と大体同じでございます。
 ただ、理事の場合には、社員というのがございませんので、いわば代表訴訟的なものが少し違ってくるわけでございます。法人に対する責務、それから第三者に対する責務については同じでございます。
 それから、監事については、業務監査の権限まで与えるというところは中心でございますが、細かいことですので、あとは省略させていただきます。計算についても省略いたします。
 そして次の「四」のところで寄附行為の変更、先ほどの私の言葉で言えば、根本規則、あるいは定款の変更ということですが、現在の財団法人では、この根本規則を変更する手続が法律上規定されていないために、現行の財団法人の寄附行為の中で変更手続が書いてあれば、それによることはできますが、それが書いてないと変更の方法がないということで、いろんな環境変化のもとで、財団法人が適切に適応していくというために、定款変更といいますか、寄附行為の変更する手段がないというのがどうも困るだろうということで、寄附行為の変更についてはきちんと条文を設けるという考え方でございます。
 ただ、これは先ほどの理事会の決議と評議員会の権限の分配の問題が関係してまいりまして、一応理事会の決議に基づく変更に関する議案というのが出されて、評議員会の特別多数でそれを承認する、決議をすると、そういう仕組みがいいのではないかという考え方が書いてございます。
 清算については、社団法人と似たところもありますけれども、社団法人と違いますのは、社員が拠出するという拠出の部分が違ってまいります。財団法人の場合にも、活動するために一定の財産が拠出される。それから、特に財団法人の場合には財産の保有規制がございますから、300 万集めなくてはいけないわけで、そういう意味で必ず拠出がなされます。
 しかし、社員の身分と結びついてどうなるかという問題はここにはないわけでございます。純粋に拠出の問題ということです。したがって、拠出が問題となるのは、将来財団法人が解散する段階で拠出した額が、あるいは拠出した分がどうなるかという問題で、非営利の財団法人、2階に上がった場合はともかくとして、非営利の財団法人にとどまっている場合には、この拠出した分については、まず拠出者に戻すということも可能である。残余財産の帰属は寄附行為によって定めるというのはそういう意味を含んでいるものであります。ただ、拠出した分をもとに戻すのはいいとして、財団法人の財産が最後は増えていて、拠出分を超えるような場合に、その超えている部分についてまで、最初の拠出者に返すということがあっていいのかどうかということは多少議論いたしました。
 といいますのは、増えて戻ってくるということになりますと、一種の非営利の原則に反するのではないかという意見もないわけでないからであります。財団法人の場合の営利とか非営利というのは、社団法人とは違いまして、とにかく構成員がいませんので、構成員に剰余金とか、利益を分配するという意味での営利という問題は、財団法人にはないわけでありますが、ただ、似たような問題は、最初に財産を拠出した人、これが財団法人が終わった段階でたくさん戻ってくるというのは、非営利性に反すると言えなくもないので、その拠出部分を超える部分について、拠出者に返していいかどうかという点はもう少し詰めて議論する必要があるだろうと考えております。
 大体大ざっぱなところだけですけれども、今までの親会議でもって問題となった部分も含めまして、簡単に御紹介をさせていただきました。また御議論があれば追加して私なり、あるいはほかのメンバーからお答えできると思います。

○ ありがとうございました。ワーキング・グループの先生方には、随分夜遅くまで何回も細かいことを論議していただいて、しかも、この本会議の方で両論あった、あるいは両論どころか、3つも4つも案があったものを、更にまたワーキング・グループでも同じようなことを検討されて、そこでもまた議論が分かれるというようなことがありましたので、難しい点を含んでいると思っております。とりあえず、○○委員から細かく御説明をいただきましたので、皆さんのこれに対するざっとした御意見だけで結構ですから、今日いただいておきたいと思っております。
 今、お話しいただいたものについて全部御意見をいただくと大変ですから、第一の「基本方針」、例えば、民法を改正するのかしないのかというようなこととか、第二番目の「総則的事項」、第一の「基本方針」と第二の「総則的事項」、とりあえず、これについて、つまり1ページの部分だけです。これについて御意見があれば、伺っておきたいと思います。いかがでございましょう。○○委員ありませんか。

○ ノスタルジアかもわかりませんが、民法に最低限残していただきたいなというふうに切望いたします。

○ 私はノスタルジアいうより、国際的に見てやっぱりシビルローにはこれがなければおかしいのではないかという気がいたします。ほかにございませんでしょうか。

○ 今の点に関するワーキング・グループの御議論を紹介しますと、私は基本的なものを残した方がいいという意見ですけれども、ただ一方で、今後は民法そのものに基づいて法人というのはつくられない。すべて非営利法人法という別な法律に基づいてつくられるので、民法のところでもって法人の規定を残すことが難しいのではないかという意見もあるのですね。しかし、それにもかかわらず、すべての法人の共通するような基本的な原則ですとか、幾つかのものは残せるのではないかと思いますけれども、そんな議論がございます。

○ 総則的事項まで含みましてほかにいかがでしょうか。この総則的事項については、非営利法人の定義でありますとか、あるいは法人格、法人の住所、能力、設立、登記、名称、会計帳簿に関する規定等を置くと。これは既に本会議で検討されたところでありまして、どなたも御議論はないのではないかと思います。それか※1、2、3というのも、ここで議論されたことがありまして…。

○ 若干議論がありましたね。

○ その線なので、あとはシナリオの中でこれをどこに落とし込むかということだけではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。そうしたら問題は、第三以降にございますので、第三の「社団形態の法人」について、まずお伺いをしたいと思います。財団形態の方については、後にいろいろ御意見をいただきます。ですから2ページ、3ページ、4ページの半分まで、ここまででございます。御意見がありましたらどうぞ。
 例えば設立時社員2名というのは、これはこの会議でも既に議事に残っておりまして、どなたも御異論がないと思います。それから財産保有規制も問題がないと思います。無限責任を認めるかどうかということついてはいかがでしょうか。
 中間法人の無限責任を認めたことによって、何が中間法人のプラスになっているのですか。

● 中間法人法立案時の資料から窺い知れるところを考えますと、これに限られるかどうかわかりませんが、1つあることとして、有限責任タイプというのは、最低基金として300 万が必要である。また監事を必置にしなければならない等の重い規律がある。これに対して、もう少し小規模な人数で社員そのものが業務執行を担うという小規模なタイプで、一定規模の財産も必要がないという法人に対するニーズを汲むために無限責任中間法人という類型が別途設けられたと聞いております。

○ 法律の仕組みとしては、まさにそのとおりで、実際に160 ほどある団体がどういう目的でつくっているのかというのは、まだわからないところがあって、事務局の方で調査をされていると思いますけれども。

○ 幾つかは調べてみる必要がありますね。

● 監督官庁のない法人なものですから、官庁に聞けば実態がわかるというわけではない点に苦労しておるのですが、登記簿その他で集められる情報を現在集めておりまして、その中から一定の御報告ができればと考えております。

○ 何も160 全部調べることはないわけですからね。いかがでしょう。どうぞ○○さん。

○ 登記の件ですが、先ほど財団法人と社団法人という名前を非営利法人の方で使うとありました。これは登記に載ってくるのだろうと思うのですが、公益法人の方の名前というのは、まだ何も考えていないのでしょうか。

○ まだ決まっていないわけです。

○ 公益性を有する法人の方でも使える名前があるといいなと思っています。公益法人ということが今まで通り分かるようにしてほしい。

○ 例えばこういう名前がありますよというような御示唆をいただければ。今日でなくても結構ですから。

○ 今まで名前の点は気にはなっているのですが、まだ議論していないのですね。

○ 全部仮称になっているのです。

○ 公益性を有する法人というのは長すぎるでしょうから。

○ これはいつも問題になるのですけど、概念ができてしまって、名前がないと通らないのですよね。コミュニケーションができないわけですね。

○ そうですね。

○ 名前ができてしまうと、今度概念がそれに規定されてしまうということになるので、どっちこっちなのですけど、しかし、名前がないでいつまでも仮称、仮称でいっているのもいけないですよね。

○ それともう一つ、公益法人というのは、登記簿上に記載されるのでしょうか。

○ 私が答えるあれかどうかわかりませんけれども、恐らくまだ全部詰めていない、今まで少しは議論しましたけど、この非営利法人のどこが公益法人と違うかという部分、まだ最終的には全部詰めきっていないところがあると思うのですね。恐らく、それを考えてから、それを全部決めてから考えるべきものだと思いますけれども、私の感じでは、本当は出た方がいいと思うけども、うまく載せることができるかどうかですね。考え方としては、登記簿であらわれた方がいいかと思いますけれども。

○ ぜひ載せる方向で検討していただきたいと思っております。

○ それから伺いたいのは、社員総会とございますね。社員総会はどういうときに開くとか、その規定は当然置かれるわけですか。

○ はい。

○ 例えば、臨時に社員総会を誰かが提起するという。

○ 今規定があったかどうか、ありましたっけ? 招集というのが8ページにございますね。原則は理事が招集する。しかし、少数社員による招集請求というものもできるということで、議決権の10分の1以上を有する社員、あとは定時総会という仕組みになってございます。

○ この「一定の時期」というのは、例えば決算期後1か月とか何か必要とするのではないでしょうか。

○ 事務局からどうぞ。

● ワーキング・グループの方で具体的な期間等について明示的に御議論いただいてはおらないのですが、ここの部分につきましては、商法ですとか、中間法人法の規律を準じることを念頭に置いて御議論いただいていると思います。例えば、中間法人で言えば、定時社員総会の日から5週間前までに決算関係書類を社員に送付するとか、その他の所要の規定を設ける前提で考えております。

○ その場合ですと、今までの公益法人ですと予算主義を基本としておりましたから、予算理事会と決算理事会と2回が大体必要とされていたわけですけれども、この評議員の中の権限の中に、計算書類を承認するという意味では、決算だけを見るということで、予算に関しては、いわゆる予算主義という考え方はここではもうなくなると考えていいのでしょうか。

○ そうではないのではないですか。

○ 厳密な意味での予算主義というのはないといいますか、要するに今まで公益法人でもって予算を決めて、その範囲内でもって業務をしなくてはいけない、事業活動をしなくてはいけないという意味での予算主義はなくなると思いますけれども、事実上どういう方針でこの法人が1年間やっていくのかというようなことを決める、そういう予算だと思うのですね。

○ 例えば事業計画をつくって、その事業計画がミッションに合っているかどうかということが1つあって、もう一つは、事業計画を実施するために幾らかかって、それで最後は0になるか、あるいは100 万円残るか、その辺の事業計画を実施するための予算というのは絶対必要だと思うのですね。

○ 実際、運営上はもちろん必要になると思うのですけれども、これまでの考え方でいきますと、年度が終わって3か月以内に要するに決算をいたしますよね。その前に予算が開かれないというときは、決算のときに、後追いで予算はもう既に発効していますけれども、これでやっておりますということで良しとするかどうか。

○ 現在、我々がやっている小さい公益法人も年1回の会議ですので、実際上、そういうやり方でやっているのですね。ですから、フィスカルイヤーが始まっているけれども、後から予算を承認してもらっていると。少なくとも非営利法人に関しては、それで十分ではないかと思います。公益法人の場合に、もう少しきちんとしたルールを設けるかどうかは、また別に御議論いただければと思います。

○ 今、政府予算だってそうでしょう。予算が議会で決定するまでは仮、つまり年度末までに来年の予算を決定しているわけではないですよね。

● 最近ですと、基本的に年度末までに…。

○ でも、そうではない場合がありますね。

● そうではない場合は、別途暫定予算を議決するというのが原則です。

○ ということになると、例えば、今の厳しい公益法人のような場合には、暫定予算をつくって、それを承認しておくということはありますね。

○ 私どもでは、実際にその予算の承認を受けるまでの間は、例年どおりの形で使われるものだけを支出し、実際に何か事業を行うというようなときには、予算の承認を受けてから行います。総会は2回という考え方もあろうかと思うのですが、会員数が多い場合にはなかなかできないこともありますので、来年はこのようにさせていただくというのを総会で承認を取っておくという程度でいいのではないかと思いますが。

○ ありがとうございました。

○ 残余財産の帰属というところで、寄附を集める段階で残余財産を自由にはしないと、非分配だというような類型を設けておいた方が便利ではないかというようなことを意見として申し上げたのですが、案は、決議によって定めるということになっていますけれども、これは例えば、定款で残余財産については非分配、つまり特定のところにしか帰属させませんというのを定めて、これは定款変更しませんというふうに表現をした場合、民法上そういうのは拘束力を持つのでしょうか。というのは、そういうことがオーケーであれば、そういうことを法類型を設けなくも現実的に担保できるということになれば、今回の改革の趣旨自体が非営利活動を促進しようということですから、そういうのがあった方が活動はしやすいのではないかと思われるわけですね。ですから、現実的にそういうことは可能であれば、そういうことでもいいのかなと思っているのですが、いかがでしょうか。

○ 実は私どもそれを考えて、そういうのが可能であれば、○○委員も御満足されるのではないかと思っていたのですけど、自分で考えていて、定款変更については、一応デフォルトルールが、例えば特別多数で基準がありますね。そういうときに、これは定款変更しないという旨の、今の残余財産に分配について、分配しないという定款の条項については、変更しませんという定款があったときに、しかしそれも定款の一つなので、やっぱり定款変更の一般手続で変えられてしまうかもしれない。そこら辺が堂々巡りですけどね、気になって。ただ、考え方としてはあり得て、これは法律で書かないと、単なる民法の議論だけでうまくいくのかどうかわからない。ただ、ある事項については、定款でこれは変更しないと定めたらそれは変更できない、どんなことをやっても変更できない、そういうことは何かあり得るかもしれないと思いますけど、何か自己矛盾みたいなところもあるので、何かほかに例があればよさそうですけど。ただ、法律がないと民法の理論だけでは難しいのかなという気が少ししたのですね。

○ そもそも、変更不能なルールってありますか。

○ いろんな事情でもって何かで変更せざるを得ないというときに、絶対に変更できないというのは財団法人の方で議論しましたよね。財団法人の方でもって、一応定款変更についてのデフォルトのルール、どこかに書いてありますけれども、定款の中でそれをもっと重くするようなのがいいのか。例えば極端に言えば、すべての条項を一切変更してはいけない。財団法人ですから寄附者がいますので、場合によっては寄附者が非常に強い意向を持っていて、一切この財団法人は目的はもちろん、いろんなことをとにかく変えては困る。自分の最初の意思どおりに全部やってくれと。そういう財団法人があったとき、これはまずいだろうと。やはり定款変更できないと困るのではないかということで、今のような形で定款変更の要件を加重するというのはだめだと考えたのですね。ただ、今の残余財産分配に関しては特別で、それだけは法律でもって定款変更できないということを定款に書いてあれば、そのとおりにするということもあり得なくはない。歯切れが悪いのですけど、そのぐらいで。

○ できる方向で御検討いただければと思います。

○ どうですかね。

○ そういうのが可能であると、非常に使い勝手はよくなると思いますね。

○ 法律に書かないと、やはり無理だろうと思うのですね。憲法だって改憲の手続があるのでしょうから。法律に書くかどうかということは、結局はそういう類型を設けるかどうかということになるのではないかという気がいたします。

○ 類型を設けることには法的に問題があるのですか。

○ それは恐らく残余財産についての考え方によるのだろうと思うのですが、残余財産を分配しないということに非常に大きな意味を設けて、そこからいろんなことを決めていくというのには実際上少し無理があるのではないかなと私は感じています。残余財産を分配しない法人類型だから、内部留保については緩やかにするというようにどんどん結びつけていくというのが、視点が逆ではないかなという感じがするのですね。全体の構成の一部としてあるべきではないかなという感じがいたしまして、残余財産を分配しないという類型に過度の期待を持つということがどうも現実的ではないのではないかという気がします。

○ ただ、あった方が大変便利ではないかという感じは強くいたしますけれどもね。

○ 私自身はあっていいのではないかなと思っています。まさに立法の方針の問題であって、そういう定款の定めをなし得るということを規定すればいいのであって、商法上の会社ですと、原始定款に定めてあるときは、こういうことが可能だというようなことは、従来からも解釈でも認められています。ということは、原始定款で最初から決めているときは、それがずっと拘束していくということでもありますし、それはまさに決めの問題だと思っています。

○ 途中から、例えば定款に社員総会で追加してもいいわけですね。

○ それも法律で要件を定めておけばということだと思います。

○ 今の○○委員のポイントは、現在のそしてこれからの非営利法人にとって大変重要な問題だと思っております。その1つは、要するに税の優遇措置が与えられるかどうかという考え方の基本に、公益的な活動をしているということが当然第1点にあると思いますけれども、その第2点として、非営利であって非分配の原則だと、だから減税だと、あるいは免税だということになるのだとすれば、ここはかなりきちっとそういう考え方を明らかにしておかないといけないのではないかと思っております。

○ そのとおりですね。それから今まだ御意見が出ていないのは、設立時に一定の財産を保有することは要しないものとするとか、こういうところはよろしゅうございますか。それからもう一つ、社員名簿というのがあるのですが、社員氏名又は名称及び住所を記載した書面を作成しなければならないものとする、これは法人の事務所に保管するわけか、必要に応じて公開するのですか、それともしないのですか。請求があった場合に。

○ 非営利法人の場合は、これはどこかに。

● 資料の16ページでございます。「4 定款等の開示」の中にございます。Aが社員名簿です。(1)が備置でございまして、(2)が閲覧・謄写でございます。社員と債権者について、それぞれの規律を書いております。

○ 社員名簿に関しては大分議論がありましたけれども、名前とその所属先は公開の閲覧に供するものであったとしても、自宅住所に関しては、その必要を認めないという考え方でいっておるのかどうかを確認させてください。

○ 親会議の方では、その点がまさに議論になりましたけど、あまり細かいことは、そこまで正直言いますと議論しませんでしたが、社員名簿自身は、これは名前だけを考えていたのではなかったですかね。

○ それに、そもそも見ることができるのは、社員と自分の権利を守るために必要があるときの債権者だけですから、一般の人が見られるわけではない。

○ そうですね。

○ これは例えば代表訴訟を提起するときに、どういう社員がいるかということも知って集めなくてはいけませんので、そういう意味では、一応社員名簿は、社員が見ることができるというのが最大の眼目ですけれども、今の利害関係がある債権者も含まれている。

● 事務局の理解ですけれども、この社員名簿には住所も含まれているとされています。

● 補足いたしますと7ページでございます。「4 社員名簿」、ここで書いてありますとおり、社員名簿とは社員の氏名又は名称及び住所を記載した書面でございます。ただ、この住所について、自宅住所かという御指摘がございましたが、ワーキング・グループでといいますか、この記述で念頭に置いておりますのは、社員を特定するに足りるものとしての氏名、住所でございまして、それで足りるということであります。

○ そうすると、今の公益法人で要求されているように、登記所に対して、例えば戸籍抄本を提出するとか、その必要はないわけね。

● 現行の公益法人でも、社員について登記所に戸籍抄本を提出するということはございません。公益法人では理事についてだと理解しております。現行民法の公益法人では原則として各理事が代表権を持っておるという法制のもとに登記の仕組みもできております。

○ それでは、第四番目あたり、財団形態の法人、ここには結構いろいろ問題が、どうぞ○○委員さんから。

○ いろいろ文句が多くて申し訳ありません。財団につきましては、目的について、財団のやっている人たちの意見を聞きますと、ここでA案、B案とございますけど、ワーキング・グループで御検討いただいていますように、プラス面、マイナス面でいろいろ御検討いただいているところがあって、何ページですかね。

● 23ページです。

○ 23,4ページのあたりですね。心配することは非常にたくさんあるのです。ということで、大変心配になることが多いので、むしろ、もう公益だけに限った方がいいのではないかという意見がかなり多数になるのですね。公益目的のものだけに、財団については限った方がいいのではないかという意見が強いのですよ。悪用されるという心配をしているわけですね。一般非営利財団については。

○ 一般非営利の財団は必要ないと。

○ ええ。ただ、法制度として、一般非営利法人をまずつくって、それに公益性認定というところに、矛盾するのですけどね。矛盾するのですが、実際上の運営からいくと、プラス面、マイナス面を考えると、一般非営利財団を認めても、むしろ心配すべき事柄の方が多いのではないかということを心配する人が八、九割方占めていまして、プラスがあるかもわからないというので、一、二割賛成する方もいらっしゃいます。

○ 恐らく大きな財団法人と、そして公益性が認定されることについてあまり心配のない財団法人と、小さい財団法人とでも大分考え方が違うのではないかと思いますけれども、例えば、私どもが関係しているような小さな財団法人ですと、あまり公益法人である必要ないのですね。そんなにメリットがあるわけではなくて、寄附がもっとたくさんくればまたメリットが大きくなるかもしれませんけれども、細々とやっている財団法人としては、財団法人という形態でもって財産が持てればいい。社団法人になるとまた社員の資格とかいろんな面倒くさいことが生じますので、財団法人として保有できれば、あとは実際にやっていることは、いろいろ公益的な活動ですけれども、その公益性を認定されて、いろんな規制とか、更にいろんな厳しい基準とか、そういうもとで活動するよりは、簡単な形での公益活動も含めてですけれども、非営利活動ができればいい。そういう器としての財団法人というのは意味があるのではないかと思います。
 ただ、これは恐らく公益法人ないし、それに非常に近い領域の、そういう活動をするための財団法人ですので、先ほどのA案、B案ということで言えば、一応財団法人を認めるけれども、その範囲というものをある程度限定するという考え方に近いだろうと思いますね。
 ただ、私個人は、もう少し広く非営利の目的のために使えていい。それはどんな需要がこれから出てくるかわかりませんけれども、心配されている濫用というのは、租税回避とか、脱税とか、そういう目的であれば、これは本来財団法人の形態をとっていても、課税するときには課税するための規定が現在の税法の中にもあると思いますので、そういうものを使って、そんなに問題ないのではないかと思いますね。何かもう少し議論を深めるために○○委員の考えておられる問題となる利用の仕方を一例でも挙げていただけるとわかりやすいのではないのでしょうか。

○ あまり悪知恵がございませんで。財産隠しといいますか、相続税逃れで、例えば一家でやっている株式会社、あるいは有限会社で社長が御自分の持っている別荘を社員用の福利厚生用ということで財団をつくって、何とか会社の福利厚生財団とかいう名前をつけて、一般非営利ですね、社員に使わせるという名目でやって、実質上、専務の奥さんと常務の息子と家族で使って、別法人になっていますから、一応、形の上では相続税の対象外となるのですかね、というような税金逃れの対象に使われるというようなのがたくさん出てしまいますと、困るかなとか、あんまり悪知恵がないので、その程度ですが。

○ 前にもお話ししましたが、現在の相続税法に公益を目的する事業を行う法人に財産を寄附したり、贈与したり、遺贈したりして、それが寄附者又は寄付者と特定の関係のある者の利益に供されている場合には、その法人自体に相続税か贈与税をかけるとか、利益を受けている人に贈与税か相続税をかけるという規定があります(65条、66条4項)ので、それを非営利財団法人についても、適用するようにすれば、ある程度問題は解決できるのではないかという感じがいたします。
 それで、少し別のことですが、最近の「公益法人」という雑誌に、公益目的のものだけを認めればいいのではないかという意見が出ているのを拝見しまして、1つ問題だと思ったのは、1階と2階に分けるという基本的な仕組みが財団法人についてはなくなる。つまりすぐに2階に上るという形で、制度のシンメトリーが社団と財団とで違ってしまうという点が制度の設計としてどうだろうという疑問を持ったのですが。

○ 現在の有識者会議のその前の会議というのがあったのですが、その際に、非営利の財団法人形態を設けてほしいということは、むしろ公益法人の関係者の方から非常に強い御意見としてあったわけです。それに対して、いや制度の濫用があるではないかというような心配は、むしろ逆のサイドから出ていて、今、○○委員のおっしゃっていることが何か従来の話を聞いてきた身からすると、何か唐突な感じがするのですけれども。

○ そうですね。反対する方の方が圧倒的に多くなっていますね。

○ 反対の理由は何ですか。むしろ、もともとこの話は公益法人の関係者の方々が、例えば特定の範囲の人に対する支援のための財団というのを考えていいのではないかというようなことで、つまり不特定多数という意味の公益に当たらないけれども、しかし、奨学金のための財団を考えていいのではないかというような例を挙げられまして、非常に積極的におっしゃっていたのですが。

○ 公益について幅広い解釈をした方がいいという意味合いではないかと思います。

○ 仮に今の議論の延長線でいいますと、公益を広くするというのは、ここの考え方と思いますけれども、どこかで線が引かれて、グレーゾーンが出てきたり、いろんな公益、2階に上がれない財団法人というのは出てくるのだろうと思うのですね。やっぱり最低限そういうものを救うというか、拾う、そういう意義は非営利の財団法人はあるだろうと思うのですね。

○ 私もこれからの財団法人ということを考えたときに、必ずしも公益でないケースというのがあり得ると思います。いろいろ相談された中に、例えば自宅が重要文化財に指定されてしまって、住んではいるけれども、そこで補助金もなくて、高い税金を掛けられるのであれば、自宅を財団法人化して、ある程度そういう減免をしてもらいたいという話もありました。ある種悪用する財団が出てくる可能性ももちろんありますけれども、これからは広い意味での非営利の財団法人ができてほしいという人たちも間違いなくたくさんいるのではないかなと思うので、全部公益目的に限ってしまうというふうに言い切ると、今度の制度と若干相反するものになってしまうのではないかと思います。

○ 今伺って思い出したのは、犬山城を所有者が犬山市に寄附されたという話です。寄附をする方法と、それから財団をつくるという方法もあり得るのかなと思って聞いていたのですが、どうなのでしょうか。

○ 重要文化財だと財団になります。保存すると公益になります。

○ 公益の方を希望しないということもあり得るのではないですかね。変ですかね。

○ 財団法人化する場合は、ある程度一般に公開しなければいけないという条件がつくということを聞いたのですね。それを住居専用で自宅の建物がいかに重要文化財であっても、ほかの人には入ってほしくないと。だから住居は住居として住んでおきたいけれども、建物を変更したり、維持するのに非常なお金がかかってしまう、制限が加えられるその反対給付として、財団法人化したいという話など、これはある種のケースですけれども、そういう意味でのいろいろなケースが出てくるのではないかなという一例です。

○ 古い住宅の重要文化財というのは別な問題があって、住まないでいると、かえって傷むのですよね。住んでいると住んでいるために傷むこともあるという事例もあるのですよね。

○ おっしゃった例は、人に見せるということを考えておられるのかと思ったのですが、そういう要素が全然ない場合に、非営利の財団法人と呼べるのですかね。制度の仕組みの問題だと思いますけれども。

○ 非営利ですから公益ではありませんので、別に積極的に見せなくてもいいのだろうと思うのですね。今重要文化財というのは非常にわかりやすい例なので、皆さんが納得されると思いますけれども、恐らくそこまでいかないと古い建物で、この間の正田邸のような、ああいうのも保存すると、それなりに意味があるかもしれない。だけど、なかなかそれは公益というほどまでにはいかないかもしれない。そういうものを一応自分の財産から切り離して、財団でもって維持する。これもあまりそれがたくさんできると、今度困るということもあるかもしれませんけど、そこはまた別な問題の話で、少なくとも、そういうのがあってもいいだろうと思われるときに使える制度として財団法人、非営利の財団法人というのがあり得るのではないかという気もしますけども。

○ 非営利財団法人を構想したそもそものきっかけは、個人の持っている財産を人のために使うというようなことを考えていたのではなかったですか。

○ みんな各人、恐らくここは微妙に違って、私は比較的広い範囲のことを考えておりまして、基本的には財団法人という形態でもって、社団法人にはない、また違った社会的効用があるだろうということで、さっきの資産の流動化の器というものもそうですし、それから公益法人というものには、そこまで達しないけれども、自分個人の財産とは切り離して相続税の対象外にするということに意味があるような財産もある。そういうことで、必ずしも公益ということまで、社会貢献とか、みんなに使ってもらうとか、そういうことに結びつけて考えてはいなかったのですが、ほかの委員の中では、もしかしたら、もう少し○○委員に近い意見もあったかもしれません。

○ 失礼しました。つまり、これは地方税の問題などが絡んできて、非営利の財団法人には固定資産税がかからないということは、なかなか認められないのではないかという感じがするのですが。

○ 公益性のない場合ですね。

○ はい。保存しておくこと自体に意味があるという社会的なニーズですね、そういうのはあると思うのですけれども、固定資産税を免除されるとか、具体的なメリットがないとつくる意味がどれだけあるかですね。

○ 社団、財団ともに議論していないところがありますが、もうわずかでございますけど、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 評議員のところでいろいろ申し上げたので、案を16ページに書いていただいております。評議員が理事を選ぶというところから、別のチョイスとして理事の選任権は理事会が、解任権は評議員会が持つと、解任事由については、一応規則で定めて、一定の事由が生じたときというようなことであれば、つまり理事が自分たちの後任を選ぶ、評議員はまた自分たちの後任を選ぶ、ただ、評議員会は理事の解任権を持つということであれば、バランスはとれるかなという感じはいたします。この中では*1が望ましいかなという感じがいたします。

○ 質問でございます。財団をつくるときに、300 万円ぐらいを原資としたときに、移行ともかかわると思うのですけど、例えば10億円の基本財産を持っている財団が一般というか、公益法人に、次の新しい制度に変わろうと思ったときに、300 万とは言わないけれども、基本財産1,000 万ぐらいで最初のところを納めておこうと。残る数億円は運用財産とするということは可能な考え方でしょうか。それとも10億円の基本財産があったら、それをそのままいろいろな債務とか除いて整理した上で、残額がそのまま全額手をつけられない財産と考えるのでしょうか。

○ それはスタートしたときの基本財産はそのまま守られなければならないでしょうね。違いますか。

○ 違うのです。むしろ、それは自由になるというのが狙いですね。

○ 運用財産にできるのですか。

○ はい。もちろん、公益目的のために使うわけですけれども、今まで基本財産で縛りがかかってきたものが、今後は最低限の300 万の縛りしかない。それ以外はすべて運用財産にすることができる。ただし、場合によっては、寄附行為といいますか、設立者の意思によって、この財産はものというよりは、金額として、これは使ってくれるなと、そういう意味で金額なのだけれども、基本財産として使ってはいけないという意味での拘束を及ぼすような寄附行為がもし仮にあって、それが設立者の意思であったときには、その寄附行為をそのまま引き継げば使えないということになりますね。だけど、そこは移行の問題が絡むので難しいのですけれども、基本的にはできるという考え方です。

○ 議論の確認だけですけれども、ここの300 万というのと、一般非営利法人についての話ですね。

○ そうそう。

○ 今の○○委員さんのお話というのは、2階の部分のお話だと思いますから、少しそこの整理をした方がいいかなと思うのです。

○ わかりました。

○ ただ、この間公益も300 万と言わなかったでしょうか。そこまでやっていませんでした?

○ 300 万でいいという議論はありましたね。

○ 詰めていないのね。

○ 詰めてないです。どうぞ。

○ 固定資産税のことは、私も間違って申し上げたかもしれませんので、次の機会まで調べてみるようにいたします。

○ お願いいたします。それから、代表訴訟について、訴訟提起できるのは利害関係者だけですよね。

● 社団における社員のみという御提案であります。

○ そうですね。それから、最大賠償額が報酬の何年というようになっている例がありますが、報酬0の場合は全くあり得ないのですよね。

○ そうです。報酬を基準とする責任限定をすれば0になるわけですね。

○ ということは、報酬を得ていないような方というのは、賠償責任にならなくなってしまうのですね。

○ ただ、それは定款等でそういう定めをした場合の話ですね。何もしなければ一応責任がかぶってきます。無償ではなく。今の責任制限というのは…。

○ でも、報酬がある場合には何年分ということになるのですが、報酬がない場合は無限ですか。

○ いやいや。

○ そうではないですね。

○ ただ、これは定款で定めた場合の話ですね。

○ 定款でどこまで限定できるかという話ですから、定款で報酬の何年分という形で限定した場合は、その基礎になる報酬が0でしたら、限定にも限度がないということになりますから、0まで減らせるということになります。

○ 責任限定のための特約といいますか、定款なので、報酬を限度として6年分だったら、6年分を超える部分については免責します。そういう定款を定めた場合に、とにかく6年分がその理事にとっては責任を負う上限になるわけですね。そういう定款がある法人で、報酬を得ていない理事が、仮に責任を負わされたということになると、報酬を基準として6年分までが責任を負う限度ですけれども、報酬が0なので、結局責任を負わなくて済むと。定款でそういうことが書いていないといけない。その法人について。

○ 時間ですけれども、まだあればどうぞ。最後に監事ですが、監事というのは、現在ある法人については必ずしも会計のわかる人とか、そういう人ではない人が監事になっていますよね。一応、報告書には、全部の帳簿を見て、銀行残高も確認したというけど、私の知っている例で、銀行残高を誤魔化しているところがあるのですよね。こういうものまでとても見られないのですね。それで株式会社の監査役ですと、業務監査と会計監査と両方やることになっているのですが、この場合の監事というのは、やはりミッションというか使命に対しての監査と、今言ったような、それまで見抜くような監査が必要なのですが、それができなかったときに、この人たちは責任をとるのですかね。

○ 一応同じ責任ですが…。

○ この辺はシナリオをつくるとき少し補充をしていただきたいと思います。

○ 実態に合っているかどうかという問題ですね。

○ ほかにございますか。

○ いずれにしても、そういった監事の責任を重くするというのであれば、それは公益性を認められたものに対してという考え方だと了解してよいでしょうか。

○ そうですね。公益性が認められない方は、セルフガバナンスによるわけですからね。

● お時間を過ぎているところで恐縮でございますが、監事につきまして、社団と財団と若干規律が異なっておりまして、社団の方は13ページで、社団の監事の設置は任意でございますが、もし置くとなった場合には、その監事の職務は会計監査、業務監査、いずれも行う。また、この行う任務を実効的にあらしめるような各種の権限を法律上明定するとなってございます。財団の方は、監事が必置です。また、任務の内容は、社団で監事を置いた場合と同様となっております。ただ、これは公益性だからということではなく、非営利の法人についての監事の規定として、任務に相当する責任も負うという前提で案はつくってございます。

○ 大変進行の不手際がありまして、時間が過ぎてしまったのですが、これは議論の途中になるのですが、これだけのものを一回でとても片づくわけがないので、お約束したとおり、次回以降、報告書のシナリオをつくっていただくことになっておりますので、その中に今のような議論も含めて入ってくると思いますので、それをもう少し具体的に書き込まれますから、その中で御議論をいただきたいと思っております。
 事務局から次の日程について御説明をいたしまして、今日の有識者会議を閉会したいと思いますので、皆さんありがとうございます。

● 次回の日程につきましては、資料5にございますように、10月25日月曜日の3時から5時半ということでよろしくお願いいたします。議題につきましては、座長の方から御紹介がございましたとおり、報告書のシナリオと申しますか、そういうものを材料に御議論いただければと思っております。

○ それでは皆様、雨のところありがとうございました。今日はこれで閉会させていただきます。いつものように記者会見を予定しています。ありがとうございました。


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