○:委員
●:事務局

第20回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年9月29日(水)10:00〜12:45
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ それでは、おはようございます。御苦労様でございます。定刻になりましたので、もう20回になるわけでございますが、「公益法人制度改革に関する有識者会議」を開会いたします。
 宇賀委員と、田中委員が学校の急用があるということで、急に御欠席になることになりました。
 それから、今、田中清委員と、能見座長代理がまだ見えておりませんが、追っ付けおいでになると思います。遅れられておられると思います。
 本日の議題に入ります前に、今回の内閣改造で金子前大臣の後任として、村上大臣が行政改革担当大臣に着任されたわけでございます。
 今日はお忙しい中をお二人においでいただきまして、金子前大臣と村上新大臣からそれぞれごあいさつをいただきたいと存じておりますので、よろしくお願いします。

◎金子前大臣 おはようございます。福原座長を始め有識者の皆様方には、昨年の11月の末だったと思いますけれども、スタートしていただきまして、もう20回に及ぶ大変濃密な議論を積み重ねていただいております。有識者の皆様方のテーブルの上に、こんなに厚い、学究の部屋に来たかという感じがいたしますけれども、議論の過程は逐一在任中拝見をいたし、議論をさせていただいてまいりました。できるだけ早く税調ベースの議論に巻き込んでいきたいと、どうしても政治決断というものがあります。そして、その方向というものが具体的に公益法人、現存するものも動かしていくという意味では、大変インパクトのある社会的にも大変影響のある部分というのがこれから出てくるわけでありますが、20回積み上げていただきまして、11月にまた方向を出していただけると。そこから先、相当政治の社会というのも入ってくるかと思いますけれども、福原座長の人柄も極めてありまして、精密な議論をしていただいておりますことに、本当に心から改めて感謝を申し上げる次第であります。改めて御礼を申し上げます。
 後任として、村上大臣、重量級の大臣が、同期でございますけれども、大物が来てくれたものですから、大変力強く思っております。引き続き御指導をよろしくお願い申し上げて、御礼とさせていただきます。ありがとうございました。

○ ありがとうございました。心強いお言葉を。引き続いて政界の方からまた応援をしていただくようにお願いいたします。
 それでは、新大臣お願いします。

◎村上大臣 どうも先生方、おはようございます。この度、内閣改造で行政改革を担当することになりました、村上誠一郎であります。
 先ほど、ごあいさつがありました金子前大臣に引き続きまして、公益法人制度改革についても担当することになりました。
 まず最初に、本当に金子先生には久しぶりにお会いすることに非常に感激しております。先生は、全然30年前とお変わりにならないので、本当に慶賀の至りでございます。
 あと、先輩の岩原先生や、また加藤先生、本当にありがとうございます。
 先ほど金子前大臣からもお話がございましたように、本当に昨年の11月以来、20回にわたる先生方の御苦労に対しまして、深甚なる敬意と感謝の念を申し上げたいと思います。
 この明治以来の民法の歴史的改革に加えて、2万6,000 の公益法人をどのように速やかに移行していくか、非常に重要な問題で、なおかつ大変な課題だと思っています。
 先ほど金子前大臣の方からございましたが、私はずっと大蔵委員長や、財務副大臣をやっておりましたもので、特に、税の問題を、今、非常に感じております。
 特に、このセクターを生き残らせながら、私は、今の日本の真の構造改革は財政と経済と教育の立て直しだと思います。
 今日、お集まりの先生方と財政と経済と教育を一日も早く立て直して、次の世代を生き残らせていきたいと、それが私の政治信条でありますが、そういう面におきましても、引き続き活発な御議論を重ねていただけたらと念願する次第でございます。
 最後に、11月を目途に報告をとりまとめていただければ非常に幸いでございます。
 最後に、21世紀の民間非営利活動に伴う主体にふさわしい、新しい非営利法人の制度の構築に向けて、更に先生方の、なお一層の御指導と御鞭撻を切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お礼とお願いのごあいさつに代えさせていただきます。
 本日は、本当に早朝からありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○ ありがとうございました。だめ押しの11月までにというお言葉をいただきまして、今でも議論が追加されてきましたが、もう少し残った部分を精力的にまとめ上げたいと思っております。
 金子前大臣と村上新大臣は、ここで退席をされますので、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。

(金子前大臣、村上新大臣退室)

○ それでは、本日予定しております議事、配付資料、当面のスケジュール等について事務局から御説明をいたします。

● まず、資料の方でございますが、お手元の方に資料1から資料5まで配付させていただいていると思います。
 まず、資料1につきましては、これは前回の続きを本日御議論をお願いするということで、同じ資料を添付させていただいております。
 それから、前回お配りできませんでした、一部宿題となっておりました「内部留保に係る規律のあり方について」という縦長のペーパーも併せて配らせていただいております。 それから、本日もう一つの議題となっております移行関係の資料、これは資料3、資料4ということで配付させていただいております。
 資料5は次回の日程ということでございます。
 それから、○○委員の方から御意見をいただいておりますので、それも併せて机上に配付させていただいております。
 それから、資料1の関係で、一部ワーキング・グループの議論と関係することもございますので、その資料も併せて添付させていただいております。
 とりあえず、資料の関係は以上でございます。

○ 御案内のとおりでございますが、今日も御検討いただくことは、結構盛りだくさんであります。
 今、紹介のありました、○○委員のペーパーをいただいておりますので、今日の発言の最後に、要点だけ、大変よくまとまっておりますので、読ませていただければ、論点は十分御理解いただけるものと思いますが、念のため御発言をいただくようにしたいと思います。
 そこで、前回、4.の「公益性を有する財団形態の法人に固有の必要な規律」の中の「(1)公益性の判断要件のあり方(規律)」、更に「@ 評議員会構成の制限について」の途中まで進んだわけでございます。ここから始めたいと思います。
 この関連であらかじめお伝えいたしますと、次回は10月12日の会合を予定しております。一般の財団形態の非営利法人のあり方を含めて、ワーキング・グループの検討状況を検討していただくこととしております。
 評議員会の位置付け等については、詳しくは次回御議論いただければと思っております。しかし、今日発言するような場がありましたら、どうぞ、あるいは今日言った方がいいという御意見がございましたら、どうぞ結構でございます。
 そこで、まず、公益性を有する財団形態の法人の評議員構成について、同一親族が役員に占める割合を制限するというような公益性を有する社団形態の法人と同様の規律を設けることについての御意見があれば、お待ちしますが、いかがでございますか。
 公益性を有する財団形態の評議員構成は、同一親族が役員に占める割合を制限していると。これは現行どおりでございます。
 しかしながら、公益性を有する社団形態の法人と同様の規律を設けるというようなことについては、御意見はいかがかと、こういうことであります。
 いかがでございましょうか、どなたか御意見はございますか。

○ 前回も申し上げたのですが、評議員会の権限をどうするかということを決めてから制限の問題に戻るということになるかと思いますが、いずれにせよ制限は必要かというようには思います。

○ そうすると、10月12日にその議論をもう一遍やるということですね。

○ はい。

○ ほかにいかがでございましょうか。もし、お気づきでしたら、そこへ戻っていただいて結構でございます。ただ、何らかの規律があった方がいいということについては、○○委員からの御発言のとおりだろうと思います。
 それでは「A 残余財産の帰属について」というところを事務局から説明をいたします。

● では、資料1の16ページ、残余財産の帰属でございます。
 ここは、公益性を有する財団形態の法人の残余財産の帰属についてどう考えるかということでございますが、非営利法人ワーキング・グループの方では、一般の財団形態の非営利法人におきましては、残余財産の帰属については寄附行為によって定めるものとする方向で検討されております。併せまして、設立者の出捐額の取り扱いについては、引き続き御検討いただいておりますけれども、その下のポツでございますが、いずれにしましても、公益性を有する財団形態の法人の残余財産の帰属につきましては、いわゆる公益性を有する社団形態の非営利法人の残余財産の帰属と同様に、帰属者となり得る者を他の類似目的の公益性を有する非営利法人、あるいは国・地方等の一定の範囲に限ることとする方向で検討してはどうかという点につきまして、御意見をいただきたいと存じます。
 以上でございます。

○ ただいま御説明のとおりですが、いかがでしょうか。

○ これも社団よりも、むしろ厳しく考えるべきであるというように私ども考えておりまして、「留意点」の(2)に書いてありますように、出捐額を含め、残余財産を帰属させることはできないという制約が必要であろうと思います。
 財団法人をどこまでどう認めるかというのは、まだワーキング・グループで御検討中でございますけれども、仮に公益性のない財団も認めるとしても、公益性を認められた財団が公益性を失った場合にも残余財産は帰属できないということをはっきりさせておくべきだと思っております。

○ ただいまの御意見は、前回も議論したところですね。

○ そうです。

○ わかりました。ほかにございますでしょうか。

○ 私も○○委員と同じように、きちんと決めるべきだと思いますけれども、括弧の中にあります「一定の範囲に限ることとするべき」というときの「一定の範囲」を、今ここに掲げられております類似の非営利法人、国・地方公共団体だけでなく、もう少しほかの、公的プール資金のような仕組みをつくってもいいのではないか、そういうことも検討してもいいのではないかと思っております。

○ ちょっと事務局に伺いますが、「一定の範囲」というのは、大体どんなイメージでお書きになっていますか?

● 社団のところでも、御議論いただきましたが、基本的にはNPO法のものというようなものを念頭に置いております。NPO法で、現在規定されるような規定を念頭に置いております。

○ それでは、ほかに御意見はございますでしょうか。
 残余財産の帰属については、割合皆さんの御意見の方向が一致しているかのごとく、ただ細部になるとまた別ですけれども、申し訳ないのですけれども、学説的に言うと、若干異論があるかもしれないのですけれども、よろしいですか。

○ 一応、少数意見もあるということで申し上げます。私は、本来はできるだけ多様な形態で公益的な活動に参加するという道を開いた方がいいと思いますので、出捐者に戻ってくるということを認めていいというようにかねがね思っておりますが、ただ、ここでは少数意見だということをよく承知しておりますので、残念ですけれども、仕方がないですから。

○ ○○委員、いかがですか。

○ 結構です。

○ では、皆さんの頭の中にとどめるということで、あるいは場合によっては少数意見でそういうのがあるという記述になるかもしれませんので、よろしくお願いをいたします。
 そこで、Bの基本財産というのは仮称なのですが、その制度について事務局から御説明をいたします。

● それでは、17ページでございます。一般の財団形態の非営利法人におきます、仮称ではございますが、基本財産といった、いわゆる最低保有財産に係る規律に加えまして、公益性を有する場合に、何らかの追加的な規律を課す必要性があるかどうかでございます。
 まず、17ページの「留意点」の3つのポツは、現行の基本財産に係る制度につきましての説明でございます。
 1点目は、御承知のとおりでございますけれども、現行の財団法人におきまして、基本財産となる財産については、寄附行為の定めに委ねられておりまして、通常、その下にございますような記載が多うございます。
 それは、設立当初の財産目録中に基本財産の部に記載された財産、あるいは基本財産とすることを指定して寄附された財産、あるいは理事会におきまして運用財産から繰り入れることとされた財産等でございます。
 その下のポツでございますけれども、現行の指導監督基準では、基本財産は財団法人の人格の基礎であって、公益活動を行うための収入の基本となる重要な財産であることから、管理運用に当たっては、これが減少することは厳に避ける必要があるとされております。
 このため、指導監督基準、あるいはその運用指針では、その下の17ページから18ページにかけましてございますように、具体的に管理運用の方法についての規律が設けられているところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、18ページ、最初のポツでございますけれども、一方で、非営利法人ワーキング・グループの方では、一般の財団形態の非営利法人につきまして、今、申しましたような指導監督基準でいうところの基本財産の考え方とは別に、法人が存続中に保有すべき、純資産としての最低額を法定するという意味での、仮称でございますが、新たな基本財産制度を設ける方向で、今、御検討をいただいております。
 その関連で付言いたしますと、その下にございますように、純資産の最低額については、現行の会社制度における最低資本金の額等も参考しつつ、検討する。
 また、純資産の額が最低額を下回った場合の法的効果につきまして、解散事由となる、あるいは一定の期間内に純資産を回復しなければ、解散するものとするという2つの見解について御検討をいただいております。
 今回、御議論いただきたいと思っておりますのは、こうしました一般の財団形態の非営利法人の仕組みの下で、公益性ある場合にどのような規律が必要かという点で、3つの面から御意見をいただきたいと存じます。
 1つ目は、その下のポツの(1)でございますけれども、財産の規模に係る規律が必要かどうかという点でございます。
 2つ考え方があろうかと思いますが、1つは、1つ目のバーでございますけれども、公益的な事業の安定的・継続的な実施に必要な財政的基礎を確保する観点から、一般の財団形態の非営利法人に求められる最低額を超える、純資産ベースの基準を設けるべきかどうかという点。
 もう一つは、設立者や寄附者の公益的な意思の尊重等の観点から、そうした設立者・寄附者の公益的な意思等が反映された一定の財産、例えば、現行の制度における基本財産に相当するような財産をイメージいたしますけれども、そうしたものを他の財産と区別いたしまして、そうした財産について最低額を設けることとすべきかという点でございます。
 2つ目が、その下の(2)でございますが、一定の財産の管理運用についての規律が必要かどうかという点でございます。
 1枚おめくりいただきまして、19ページになりますけれども、具体的には先ほど申し上げましたような、規模の規律の有無に関わらず、設立者・寄附者の公益的意思を尊重する観点から、そうした公益的意思等によって指定された、あるいは区分されました一定の財産、これを他の財産と区分いたしまして、その財産について現行のような事細かな管理運用の規律の必要性は別にいたしまして、処分の制限も含めて、安全・確実な方法で管理運用するための規律を設けることについて、どのように考えるかという点でございます。
 3点目が、情報開示に係る規律の必要性でございます。
 法人の適正運営の確保について社会監視を重視する観点からは、今、申しましたような設立者・寄附者の公益的な意思によって指定された一定の財産については、必要な情報を開示するべきではないかというものでございます。
 なお、3点目につきましては、新しい公益会計基準の案が検討されておりますけれども、同様の考え方で、寄附者等の意思によって資産の使途が制約されている場合は、いわゆる指定正味財産ということで区分して明らかにすることとされております。
 以上でございますけれども、御参考までに、その後、20ページと21ページに現行の公益法人の基本財産の規模と、21ページの方では、今、申しました純資産におおむね相当すると考えられます正味財産の規模につきましてのデータを載せさせていただいております。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。ただいま御説明がございましたとおり、基本財産制度と、これは仮称ですけれども、基本財産というのがいいかどうかという問題もあります。後にこれも御議論いただきます。
 その中身は、今、御説明のとおり、一般の財団形態の法人については、現行財団法人制度における基本財産の概念と異なるわけですが、法人が設立時及び存続中に保有すべき純資産の最低額を設けるという方向で検討されているわけですが、ここでは特に、それも踏まえた上で、公益性を有する場合に、純資産として求められる最低額の規模をどうすべきか。または、現行財団法人制度における基本財産に相当する財産を他と区分した上で、その規模や管理運用のあり方について何らかの規律を設けることにすべきかといった点について御議論をいただきたいと存じております。
 その後、情報開示というようなことになります。

○ 少し補足させていただきたいと思いますけれども、これは非営利の財団についての話ですが、これは公益法人の場合ですけれども、まず、基本財産という概念が非常にわかりにくい、いろんな多義的な意味を持ちますので、一旦基本財産という概念はやめて、実質として何について財団法人については財産関係を規定したらいいかという観点から考えたときに2つあるだろうというように考えております。
 1つは、財団法人でありますので、社団法人とは違って、やはり何かの財産的な基礎が必要なのではないかと。そういう意味では、一定額の拠出というのでしょうか、それが財団法人の設立、かつ存続の要件となるべきではないかということで、最低額の問題です。
 しかし、非営利法人の方は、余り高い額を考えているわけではなくて、せいぜい300 万ぐらいでいいのではないかと。公益法人の場合に、それをもっと上積みする必要があるかどうかというのが論点なのだろうと思います。
 もう一つは、処分制限で、これが従来、現在の公益法人の下では、指導監督基準等によって基本財産とされますとなかなか処分が難しいと。そういうことで処分制限がかかっているわけですが、この処分制限の問題は、基本的には、少なくとも非営利の財団法人においては寄附行為の問題として考えればいいと。財団法人ですから、最初に寄附行為がありますけれども、その寄附行為でもって一定の財産について処分制限をかけたければ、それは寄附行為の中で書くと。しかし、そういう必要がないというのであれば、処分は自由であると。それから、後で寄附行為の変更をして処分できるようにするということも可能である。そういう意味では自治に任せようという考え方です。
 公益法人についてそれをどうするかということなのだと思いますが、私自身は個人的には非営利の財団について、今、申し上げたのと、それほど公益法人の場合に違う必要はないのではないかというように思いますけれども、こういうところを御議論いただけるのかということだと思います。

○ ○○委員に質問なのですけれども、基本財産と言わない場合の、例えばイメージというか、仮に名前の違う案はどういうことがありますか、拠出金ではちょっと。

○ 基本財産という概念を仮に、これは適当な言葉を考えるにしても、最低基準、財団法人として満たすべき最低の額だということになると、最低拠出金とか、何かございましたか、ちょっと事務局から。

● 10月1日のワーキング・グループに向けて、今日これから御相談しようと思っている案の段階でございますが、例えば「最低保有財産規制」というようなネーミングを考えてはどうか。まだ、ワーキングの何人かの先生と御相談しただけでございますが、そのような呼称でどうかと考えております。

○ 名前を伺いたかったのではなくて、どういうイメージをお持ちかということを伺いたかったので、大体わかりました。

○ 今、イメージとおっしゃいましたが、私も基本財産というのはお金なのか、それとも例えば美術品を持っている人が寄附して、それを中心にして財団を非営利であれ、公益であれ、運用していこうという場合、美術品のようなものも含まれるのではないかとすると、自由に処分できるということにすると、何か存立の基礎が失われるということにもなるので、そういう場合に存在させておく理由というか、根拠があるのかどうかということも含めて、ちょっと伺いたいと思いました。

○ 土地ですとか、あるいは美術品とか、そういうものが拠出されて、それを中心にして財団法人も運営していってほしいと、そういう設立者の意図が出ているときには、恐らくそれは寄附行為の中でこういうものは処分してはいけないということを書くということになるのだろうと思います。
 にもかかわらず、いろんな状況の変化によって、やはり少し土地は処分したい、あるいは絵も処分したいということがあれば、これは財団の自治の問題で、寄附行為の変更自体はそんなに簡単にはできませんので、一応、縛りはありますけれども、それにもかかわらず、その手続を取って変えたいということであれば、それをだめだという理由はないのではないかと思います。
 それから、場合によっては一定の金額、これはさっきの最低の財団法人として法律上この額は満たさなければいけないという額のほかに、例えばそれが300 万だといたしますと、ある個別の財団では1,000 万は切ってはいけないという意味で、金額についてある種の処分制限、処分制限という言葉はちょっと適切ではないかもしれませんが、そういう縛りをかけることもあり得ると思うのです。
 これは、まだ十分検討していませんけれども、さっきの最低拠出保有何とか額、それの言わば上積みみたいなものでして、ちょっと性質が違うのかもしれません。

○ 公益性を持たない非営利の法人については、今度の商法の改正をにらんで、大体300 万ぐらいというお考えなのです。
 そうすると、公益性を持つ場合に、なぜそれを上回る必要があるのかどうかということもあるわけですね。
 余り生々しい実例というか、確認もしていないので申し上げられないのですけれども、現行のやり方で、新しい公益法人を申請した場合に、省庁によって10億は必要だよとか、あるいは1億ではとてもそんなものが認められないとか、そういうような口頭のやりとりがあってどうしましょうというような相談がよく来るのですけれども、そうすると、やはり金額で決めるのがいいのか、どうかという疑問を持つのですけれどもね。

○ これまでの○○委員の御意見に私は賛成です。法人が人格であるとすると、例えば現行の指導監督基準というのは、未来永劫存続しなければいけないという哲学に基づいて、つくられているように思います。
 でも、人間にも寿命があるように、団体にも寿命があって当然だと思います。一定の財産を人格として認めるために必要要件はそれなりにあると思いますけれども、現行のように全く手を付けてはいけない、付けるときには、所管の大臣の許可を得なければいけないというようにして、多くのお金を死に金にさせているということが、今の民間非営利活動を停滞させていると思います。
 例えば当初寄附行為で設定した基本財産なり、基金なりの一定の部分についてそれを担保に借入金ができるようにするというような道も開くべきだろうと思いますし、設定した基金が一定の割合を下がってしまい、当初の目的達成が不可能になった場合、一般非営利法人とか、他の法人格に移る道とか、そういうような考えがあってもいいのではないかと思います。

○ ありがとうございました。通称基本財産を担保にして銀行から借入するというお話がありましたが、その場合でも理事会の決定が必要ですね。

○ ちょっと観点が変わるのですけれども、財団について使い切る財団、最近金利が低くなってしようがないので、使い切って終わろうという財団が出てきているようなのですが、当初から使い切ってやろうというのも認めてもいいのではないかと。勿論、公益性の部分についてですね。
 そうなると、最低正味財産なり何なりという縛りを付けると、ちょっとそれと符合しなくなるので、そういうのを認めるとすると、当初は勿論財団で財産に法人格を与えるわけですから、ある程度の拠出金というのは必要だと思うのですが、最終的なところまで幾ら持っていないと解散だというような規則は、使い切る財団というのをイメージすると、余り要らないのではないかと、かえって邪魔になるだけではないかという感じがします。
 それから、基本財産を含め、処分については、○○委員も○○委員もおっしゃいましたが、財団の自治に任せるというのが基本ではないかと思います。

○ 自治に任せた場合に、何か不慮の損害が起きたときに、それは一体だれが責任を持ち、だれが補償するのかという問題が残りますね。

○ 重過失とか、何とかあれば、当然理事とかの責任ということになると思います。

○ 重過失になりますか。

○ よろしいですか。

○ はい。

○ 私は、○○委員、○○委員と基本的には特定の財産について縛りをかけるか、かけないかというのはその団体の財団の自治でいいと、そういう考え方を持っていますけれども、もし、危惧される点があるとすれば、一定の公益目的を掲げていて、にもかかわらず、理事会あるいは評議員会が定款変更などをして、財産を流出させてしまったというのがどうかということかと思うのですけれども、ただ、これは基本的には当該団体の決定であって、それを公的に縛る必要は恐らくないであろう。
 ただ、本来の目的に反して処分してしまったときに、理事の責任が生じるかどうかなんですけれども、明確な義務違反があれば別ですけれども、定款変更の手続を取るとなかなか責任を取るというのは難しいような気がしますね。その辺はしようがないのかなというように考えておりますけれども。

○ 今、幾つかの御意見をいただいたのですが、1つは、今、通称基本財産と言っているものについて、これをただ運用も何もしないで、そのまま死蔵しておくことによって、その意味が失われているのではないかという御指摘と、もう一つは、○○委員の時限的な財団法人ですか、これは2つの理由があると思うのです。
 というのは、時代の変化がどんどん、情勢が変わってきて、必要となる財団の使命というのが、10年ぐらい経つとなくなってしまう場合もあるのですね。それをあらかじめ見越すかどうかということは別として、多くの財団では、財団の元の使命がちゃんと生きているのは、大体30年と言われているのですが、それはただ別に学説的に言われているわけではなくて、経験的に皆さんおっしゃるので、そのことともう一つは、今のように現在ある基本財産をただ備蓄しておくだけではなくて、貯金しておくだけではなくて、それを使い切って終わるという新しい制度を設けるかどうかということだと思います。これは、ちょっと検討の必要があるのではないかと思うのですが。

○ 経団連でつくった財団にも利回りが得られなくて、何年かかけて基本財産を使い切ることにしたものがあるのですけれども、やはりこれからは○○委員がおっしゃるように何年間で財産を使い切って使命を終えるという財団も増えてくるような気がいたします。そういう制度をつくるというのは、検討に値するのではないかと思います。
 それから、株式会社の制度も参考に、最低基本財産の額を設けたらというわけですが、聞いているところでは、1円で株式会社も設立できるようになりつつあると聞いておりますので、株式会社との比較で検討するのであれば最低基準はなくてもいいような気もするのですが。

○ ただ、公益的な性格を持つ非営利法人についてはどうですか。

○ 額が小さければ利息が非常に安くて、運用収入というのは全く意味のないことになります。ですから、その辺を考慮して各財団がどういう規模で運用するのかを決めていけばいいような気もするのです。ただ、必ずしも絶対にそういうのを設けるべきではないという主張ではございません。

○ それからもう一つ、今、私たちが議論しているのは、目先、金利が当分上がりそうもないという状況で議論しているので、これがまた5年先、10年先になって金利で十分食っていけるというときになると、議論が変わるようだと余り普遍性がないと思うのです。ですから、どちらでも使えるようにしておかなければいけないのではないかと思っています。

○ 1つは、先ほど最低保有財産と言ったかな、ちょっと言葉はともかくですけれども、財団法人としては最低このぐらいの額の財産がなくてはいけないだろうという意味での財産ですけれども、これは株式会社などとは違って、財団法人の場合には、とにかくその財産しか活動の原資がありませんので、最初に高い額を設定するわけではなくて、300 万であれば、300 万、そのぐらい集めてくださいという程度の話なのです。
 恐らく、先ほどから議論になっているのは、その途中からそういうのを満たさなくなった、あるいは満たせなくなるような状況があったときにどうするかという問題だと思いますけれども、私も個人的には財団法人についても食いつぶす形があっていいと思います。 ただ、現在ここでそういう特殊なタイプは必ずしも正面に出さないで、一応、基本的なタイプというのを御議論のために、非営利の方では議論しているわけですが、食いつぶすタイプというのも、ちょっといろんなタイプがあると思いますけれども、最初からそういうように食いつぶしていくのだというタイプと、それからいろいろ金利の状況によって、どうもこれがだめだというので、だんだん食いつぶして、現に私どもにちょっと関係しているのも、そういうのもありますので、その両方に対応できるような柔軟な制度でいいのだろうと思います。
 ただ、最低の額というのが300 万程度の低い額ですから、それが維持できなくなったということで、それでは解散の方向といいますか、食いつぶしていく方向にしようということをその団体としては、その段階で決めると、そういう決めるきっかけになるということなのではないでしょうか。
 ちょっとわかりにくい言い方をしたかもしれませんが、要するに300 万というのが一応の基準のラインだとすると、現在、それをもう維持できないような状況だというように考えたときに、それではどうしようかということを団体としては考える、そういう考えるきっかけを与えるということになるのではないだろうかと思います。

○ ちょっとその前に今の経団連関係の法人で、基本財産を取り崩していって、そして解散したというお話がありましたね。その基本財産の取り崩しは、現行の指導監督基準の下でどういう手順でおやりになるのですか。そう簡単にできないはずなのですがね。

○ 多分、財団の理事会、評議員会で決議をして、並行して主務官庁と相談されて、そういう方向で持っていきたいと、どうにもならないので、それでもう解散するのだけれども使い切って解散しますということで了解を取られて、それで決議をして、それをやる。

○ では、解散先にありきで、その方向が決まって、だったら使い切って、そうですね。

○ はい。それで若干残余財産が残ったのですが、それを最終的に類似の財団に寄付しました。

○ 残余財産はね。

○ 必ずしも解散をしなくても、監督官庁の許可を得て、基本財産の一部を運用財産の方に切り替えるということが、現在でも認められています。

○ そうですか。
 どうぞ、○○委員お待たせしました。

○ 私が今いるところは株式会社なのですが、前身はまちづくり公社という財団法人でした。5億円の基金を持っておりましたが、今回、20ページにあるように、1億から10億が一番日本で多いのですけれども、基本的には東京都等含めて、今、最低5億と言われています。
 そういった意味では、私ども株式会社に変えたのは、5億が結局金利が低いこともありまして果実を生まない。それと寄附行為の変更で新しい時代の要請に合わないということで株式会社に変えてきた経緯があります。
 そういった意味から申し上げますと、基本的に最低資本金というのを300 万円という形で御提示をいただけるというのは、ある意味、これから準則で財団法人ができますけれども、公益性があるという形で、いろんな形で厳しい規定の中で、公益性ある財団に上がっていく場合にも、少なくとも最低300 万という金額が出るということは、逆にある意味でつくる方にとっては、意外と数字があった方が、ある意味での最低基準をクリアーしているという意味でのスルーという形のハードルがある方が逆につくりやすいという部分が1つあります。
 もう一つ、使い切り型の方は、最初から定款でそれを最初に寄附行為で認めるということであれば、それは最低資本金が最後ゼロになるまで使い切るという形での運用をすればいいのではないかというように思いますので、そういった意味では、最低資本金を300 万という低いハードルに逆に設定をいただくということは、つくり手にとって割と使い勝手がよろしいのではないかというように逆に私は思います。
 つくるときに、今、非常に大変なのです。なぜ5億か、なぜ10億かの根拠がないのです。でも逆に最低を付けることによって、今の有限会社、株式会社もそうですが、逆に言えば、そこの額までいけばつくれるわけです。ですから、そういう意味でのつくり方としてはよろしいのではないかというように思います。
 もう一つは、ちょっとここで疑問になったのは、寄附行為の変更ですね。最初は準則でつくっていくので登記で済みますけれども、その後の寄附行為の変更のときに、理事会、監事会だけでできるのかどうかと。現在は、相当主務官庁さんの御指導をいただいて、ある意味でやりたいこともできないという状況が財団法人というのはあるのですね。それを今回新しい公益法人、非営利法人の公益性のある形にした場合の寄附行為の変更というのは、いわゆる自治でできるというイメージでよろしいのでしょうか。その辺をちょっと教えていただきたいなと思います。

○ 我々議論していたのは、非営利の方なので、今の問題は、まさにここで御議論をいただくことだと思いますけれども、最初に設立するときに一体何を見るかですね。
 そのときに、寄附行為も含めて、定款も含めて、こういう公益目的のために、この団体としては、こういう寄附行為でやっていくのであれば、構わないだろうということを全体として見るとすると、寄附行為の変更自体を発議するというか、言い出すのは勿論団体自治の問題で、その団体でしょうけれども、場合によっては変更についての何らかのチェックが必要なことがあるのかもしれないという気がいたします。

○ それは、後ほど○○委員からも御意見があるのですが、公益法人を審査する機関といいますか、監督指導する機関といいますか、それで可能ではあるのですね。

○ ただ、全面的に見るのかといいますと、財産の区分を変えるとか、そういうものは公益性そのものに余り関係がないので、チェックするのは公益性の中身だということになれば、定款変更の全部についてチェックするのではなくて、何か限定があってもいいのかもしれないという気がいたします。

○ そうですか、○○委員が大変現場的な、現実的な御意見をいただいて、ある程度300 万なら300 万というのも、使い手の方からは納得性があるかもしれないねということについては、確かにそうかもしれません。
 しからば、なぜ100 万ではいけないのか、500 万ではいけないのかということがあるので、この辺はいかがなものでしょうか。

○ 今の300 万、ここでそれを議論する場所ではないのかもしれませんが、株式会社を1円でつくることができるということを含めて、最近一般論として参入をとにかくやさしくようと、ベンチャー育成だとか、どんどんつくりやすいようにしようというのが一つの風潮というのか、流れなのですね。
 私は、それはそれで否定はしないのですが、しかし、今度できて活動し始めた後の債権者の保護なり、そういう観点がややもすると薄くなっている面があるのではないかと思います。
 そういう面から見て、非営利法人にしても、公益法人にしても、財団と別に社団をつくるという方法もあるわけですから、その違いというのを考えると、300 万というのは、今の感覚からすると、随分小さいなと。何かそんなものでいいのかなと。私は水準については全くわからないのですけれども、何か感覚的に大丈夫かなという気がついしてしまう。
 そういうことについて、財団の場合には債権者とは言わないかもしれないと思うのですけれども、出捐者なり、利害関係事業者なり、ステークホルダーの保護という観点というのはどの程度議論されたのか、もし一言で、いやもうそこはいいのだということであればいいのだと思うのですけれども、どなたかに伺えればと思います。

○ 今まで出たことを何かまとめるだけかもしれませんけれども、4つほど意味があると思います。
 1つは今出てきた債権者保護という問題だと思うのです。それが300 万で十分かどうかということがありますけれども、その辺りかなということが1つです。
 2番目に、余りにもテクニカルな設立をチェックするという面があると思うのです。というのは、財団である以上は、やはり何か財産がないといけないのではないかということと、それから1円でも法人をつくって何かほかの目的に使うというようなことを限定するということがあるのかもしれない。
 この2つが多分非営利の場合に最低額を決めるということになっているわけですが、公益性のあるものについて、これを加重すべかというと、それほどその必要はないのではないかなという気がするわけです。
 後の3点目と4点目が公益性に関係するのですが、3点目というのは、その財産で公益活動をすべきであるということなのです。しかし、現在の金利の状況を考えると、その財産の運用で公益活動をしようというのは、どうも現実的ではなかろうということで、勿論、将来変わるかもしれませんけれども、余りこの点を強調することはないのではないか。 
 そうすると、最後に残っているのは第4点でして、公益活動をするという目的との関係で、一定の財産を維持する必要があるのではないかということで、これがさっきから出ていることだと思うのです。
 その場合に、法人の自治に任せるということでよろしいと思うのですけれども、設立者、それからもう一つは寄附者の意思に反するということをどうやってチェックしたらいいのかということだろうと思うのです。既に寄附した人ですね。
 その方法が2つあって、1つは、それはもう寄附した以上、あるいは出資した以上、そこには口をはさませないというのが1つの方法で、その場合には情報公開を最初から徹底しておくということが1つの選択だと思います。
 もう一つの方法は、やはりそこで何か意見を述べる機会を与える。手続に関与させるという方法で、その場合にはさっき座長もおっしゃった判断主体と設立者あるいは寄附者の意見等を統合するような形で何かそこをチェックすると。そんな方向かなと思います。

○ それをうまくシステムで1つに組み上げればいいわけですね。

○ そうなのです。

○ わかりました。

○ 今までの多くの委員の方の御議論を伺っていまして、まず大きく問題が2つに分かれて、1つは非営利一般の財団に対して、最低その財産保有規制をかけるかどうかという問題。
 もう一つが、公益財団法人について、言わば従来の基本財産規制をどのように変えていったらいいかと。恐らく、私は先ほどの○○委員の提起された、その財産を食いつぶしていくタイプのも認めていいのではないかと。むしろ後者も基本財産規制についてもっと柔軟化をすべきではないかと、むしろそちらの文脈で出てきたので、最低の300 万云々を特に問題にされたのではないのではないかとむしろ感じるわけです。
 まず最初の非営利一般法人について、なぜ300 万のその最低基本保有財産規制をかけるかということなんですけれども、これは1つは、ここでこの後、多分御議論いただくことになると思うんですけれども、財団法人の中に公益財団法人以外の一般非営利財団というものも認めるかどうかという問題にも関わってくると思いますけれども、少なくともその公益でないような非営利一般財団まで認めるとすれば、それはいろんなものがあり得るわけで、そういうものが活動する場合に、活動の基礎はその財団法人で使う財産しかない。そうすると、まさにさっき○○委員が御指摘になったような債権者保護などの問題がストレートに財産で担保するしかなくなると。
 社団法人については、財産がなくてもその社団の社員の人たちの活動で、いろんな活動があり得るので、それをなるべく活発化させるということで、本来、私も社団タイプについても最低限の財産がないと債権者保護は図れないのではないかという考えを持っているのですけれども、そこは最近の大きい傾向として、なるべくその参入をしやすくしようということで、社団については財産がなくても社員の人たちの活動でということで、1円法人も認めようという最近の傾向で、会社法改正もそういうことになると思うのですけれども、しかし、この一般非営利財団ということを考えると、これはもう財産しか活動の基礎がないわけですから、これについては少なくとも最低限その債権者の人たちに迷惑をかけないぐらいの財産は用意してくださいということで、現在の有限会社の最低資本金である300 万は、それで本当に大丈夫かと言われると私はちょっと心もとない気はしているのですけれども、最低限それぐらいは用意してくださいと。何か活動する以上、事務所を設けるなり電話を引くなりでも、やはり最低限それぐらいの財産がないと活動できないのではないでしょうかということで、300 万の最低の保有規制をかける。
 この300 万の最低保有規制については、この後で御議論になるかもしれませんけれども、単にそれをちょっとでも割ったら、すぐ法人としての資格を失くすというのではなくて、それを結局、その300 万の最低保有財産を回復できなければ、最終的に解散してもらいましょうということですから、まさにさっきの○○委員がおっしゃったように、使い切りということをその制度の中でやることもできるわけですから、そういう点ではまず制約にならないのではないかと考えます。
 むしろ大きい問題は、公益財団法人についての現在の寄附行為の余りにもきつい縛りを変えるべきではないかということが、ここでの大きい問題で、○○委員が提起された問題は、その寄附行為による現在の寄附行為とその主務官庁の免許による余りにも厳しいのをもっと柔軟化して、寄附行為の中で使い切りみたいなものを認めるとか、そういうことを可能にすべきではないかと。基本財産についてですね。多分そういう御提案ではないかと思いますね。
 そういう公益財団の寄附行為のあり方については自由化を図るという、先ほどの○○委員や○○委員の御意見は、私もそうでいいと思いまして、まず最初の寄附行為を決めるときにその決め方については自由度を高めて、その中に使い切りなども含めた寄附行為もあっていいというようにすべきではないかと思います。
 ただ、もう一つ問題なのは、寄附行為をつくったときには、その現在のような低金利が考えられてなくて、そういう使い切りみたいなものが最初の寄附行為に書いていないときに、事後的に寄附行為を変更して基本財産の規制を緩めることができるかどうかと。むしろそちらの方が大きい問題で、それがこの寄附行為の変更をどれだけ認めるかという、要するにこの後での検討課題で御議論いただければよろしいのではないと思います。

○ ですから、それは現行の公益法人は別として、新しくできる公益法人、特に公益活動をしていると認められる法人については柔軟な解釈をするというようにすればよろしいかと。それで解決するのではないかと思いますけれども。
 今、○○委員が大変クリアーに2つに分けていただいて、一般の非営利法人と公益性のある法人との区別。債権の保護みたいなことについて、柔軟なその処理の方法をどのように組み入れるかというようなことについて、貴重な提言をいただきました。これは十分組み入れられると思います。
 ○○委員が先ほど言われた債権というのは一体何かということなのですが、それはただ今、基本財産を抵当にして借り入れするなどということは、それはあり得ませんので、そうしますと債権というのはその財団が活動しているときの、例えば、ホールを借りて国際会議をやると。そのホールの借り賃はどうなっているかとか、あるいはその人件費はどうなっているかとか、事務所はどうなっているかということで、債権に挙げられるものは結構多いのですね。
 ただ、この辺がちょっと難しいのは、大きな活動をしているところほど、債権は大きくなる。そうすると大きな活動をするところは今の300 万円ではとても足りないではないかということがあって、しかし、それを条件に挙げていくということになると、これは果てしのない話なので、それを一律300 万円で切るということだと思います。

○ これも、あくまでも一般論で、私は実務がわからないので、ただこういう観点もということで御参考までなのですが、私、毎回申し上げますけれども、この場所での議論はどうしても立派な財団の方もいらっしゃいますけれども、とても超一級の立派な団体の方ばかりなので、どうしてもそちらに引きずられがちなのではないかと思うのですね。しかし、数としてはそうではない方が多いわけですから、一方で参入をなるべくしやすくするというのも大事ですし、一方で関わるステークホルダーたちの利益を守るという観点もやはり大事なのだと思います。
 参考と申し上げましたのは、株式会社資本金1円化のときに、私もこういうことを仕事にしているものですから、資本金1円にすることについて、そういう提案をしてくれと随分頼まれたことがあります。主には、学生もいましたし、当時ビットバレーというように渋谷の辺りでIT、いわゆるドットコムビジネスを始めようという若い人たちが中心でした。私は聞いていると、つくりやすくするというのは最もだと思う反面、やはり何かいいアイデアを持っているからというだけで、しかしお金がない。だけれども、やはりそれを1,000 万集めようと思ったら、それなりの説得力が要るわけですね。1,000 万がかなり高い金額ではあっても、やはり何がしかのお金を集めるだけの説得力を、お前は持っているのかというところがどうしても引っかかったわけです。説得力がなければ、やはりお金は集まらない。日本の場合には、そこは非常にしんどいハードルであるというのはわかるのですけれども、では、1円でいいのかなというと、その人たちの感覚というのは余りにも軽くて、法人をつくる、会社をつくるということが社会的にかなり大きいことだという感覚はほとんどなかったと、私は思いました。
 現にその当時そうやって言っていた人たち、ビットバレーという言葉も含めて、ほとんど消滅してしまいました。ということを考えると、経済学者を中心にして、どんどん参入をというのは結構なのですが、どうも一時の流れ、ファッションに流されている面もあるなという感じがするものですから、申し上げました。

○ ありがとうございました。幾つかの見方があるようで。

○ 先ほど、○○委員の方から御提案のありました、寄付者の一定の意見も入れるような規則があってもいいのではないかというお話に関連してアメリカの例を申し上げたいと思います。アメリカにおける基本的な考え方は、一旦助成したり寄附したら、相手の自治に任せるというのが基本原則なのですけれども、しかしながら、寄附するに当たって、その寄附者の意思を反映してもらいたいということを権利として認めるドナー・アドバイズド・ファンドという法律がございます。
 これから企業から、あるいは個人からもっと寄附をいただきたいというときに、いただいたお金はもう私どもの自由で、あなたはもう黙ってくださいというだけではなくて、ある程度寄付者の意向を反映できるようなものがあってもよいのではないかと思います。

○ 寄附者の意思をどこまで通すことができるかという保護ですね。

○ アメリカの場合に関しては、アドバイスをする権利はあるけれども、決定する権利はあくまで団体の方にあるということになっております。

○ それは法律で決まっているのではなくて、その団体の規定で決まっているわけですね。

○ いえ、法律です。

○ 法律ですか。

○ そこまで詳しく知りませんでしたけれども、恐らく法律でどの程度明確に書くかは別として、寄附者の意思を尊重しなくてはいけないような、そういう寄附。これは設立者と別の話でね。後から寄附したような人と。寄附をそもそもどういうように法律構成するかというのは、日本で余り議論がされていなくて、ただ、今のように明確にこれはこういう目的で使ってほしいというようにして、寄附をすれば、また信託という概念を使いますけれども、一種の信託財産であるというように見て、その拘束を受けるという考え方は可能なのだろうと思います。
 ただ、今、○○委員が紹介されたのは、もうちょっと広く寄附者の意思というのを認めるということなのでしょうか。例えば余り目的自体はそんなに限定しているわけではないけれども、寄附した以上はある程度アドバイスをしたいというときのそのアドバイスをしたい意思を尊重する制度というように理解してよろしいでしょうか。

○ ありがとうございました。
 大体今までこの300 万を巡って、300 万というのはどういう根拠か、もし根拠があるのだったら、やはりそれの合理的な説明も要るのではないかということと、その運用についての柔軟性ということについて議論をしていただきました。この辺はまた報告書を書くときに、今のような点を取り入れさせていただきたいと思っております。
 そこで次に(2)の「財団形態の法人に係る適正運営の確保のあり方」。これは情報開示でございます。それについて、事務局から御説明をしていただいて、今の基本財産の規律ということと、例えば、ドナーの意思のようなものと、情報開示のようなものと、これらの関係について、また御議論があろうかと思いますので、よろしくお願いします。

● それでは、22ページでございますけれども、情報開示の関係で、いわゆる公益性を有する財団形態の非営利法人につきまして、評議員の氏名、住所を開示する方向で検討してはどうかという点でございます。
 これは留意点の2つ目にございますように、理事、監事、社団形態の法人の社員に同様に、こうした財団形態の非営利法人の評議員につきましても、もとよりプライバシーの保護あるいは個人識別情報の取扱いの観点に留意しながらでございますけれども、氏名、住所を含めまして、開示することを基本としてはどうかという点について御意見いただけないかということでございます。
 以上でございます。

○ 御説明ございましたとおり、情報開示について、財団の評議員の氏名、住所の開示等についてはプライバシー保護という問題があります。理事、監事及び社団形態の法人の社員と同じように取り扱うということについてはいかがかということでございます。これを皆さんに確認的に御議論をいただきたいと思います。

○ 名前を開示するということについては、基本的に賛成でございます。この理事のときもそうなのですが、必ず住所というようにお書きになるのは、これはその方を特定するためには住所が必ず必要だというようなことなのでしょうか。
 今、プライバシーの関係で住所を出すというのは割りとナーバスになっている風潮があるのですけれども、ある方を特定できると、例えば、座長であれば、資生堂の福原さんと言えば、もう確定するわけですね。同姓同名の方はほかにいらっしゃっても、それで確定するわけですから、確定させられる属性を書けばそれでいいのではないかなという感じはするのですけれども。必ずこういうのに住所と入ってくるのですかね。どうなのでしょう。

○ 住所が入る場合には、もう間違いなくいろんな種類のDMが来たり投資の御勧誘が来たり、それならいいのですけれども、もっと悪質なものは幾らでも考えられるわけなので、住所までは幾らなんでもあれですね。無理ではないかと思うのですが、では、人の名前だけでいいのか、あるいは人の名前に号が付いていた場合にどうするのか。通称何々、だけど、本籍上は何々というのだというようなことがあるので、それはどうするのかというようなことがありますね。
 そもそもこの情報開示というのは、この財団の評議員等について、新しく任務をここで、今までもあるわけですけれども、情報開示をしなければならないという義務を課すかどうかということですか。そうではないのですか。

● ここでの御議論はそうした義務化が必要かどうかということで、勿論プライバシー保護等の観点に留意するということですから、今、御指摘のあったようなところも含めて検討すべきだとは思いますけれども、基本的には義務化が必要かどうかということでございます。

○ 今の私の申し上げた、例えば、氏名だとか、そういうことについてはどういうようにお考えになっていますか。例えば、通称何々という、それで通るのかどうかとか。戸籍の名前で出すのか、戸籍で出すのでしたらば、本名で出すわけだけれども、そうするといずれにしても住所は調べるとすぐにわかってしまうわけですね。

○ これは通称で通っている人は多いわけですし、女性の場合ですと、結婚した場合に旧姓でということもあるわけですし、本当に必要があって特定しようと思えば、さっき○○委員がおっしゃったようにすぐ特定できるわけですし、どちらでもいいのではないかなと私は思います。住所、氏名を必ず書かせたいということ自体がとてもお役所的だなという気がしますね。

○ そういう意見もございます。
 しかし、今度、架空の人物ということになると、これも困るのですね。

○ 私も住所を書く必要は全くないと思います。常にほかの国のやり方がいいというわけではないのですけれども、例えば、就職とかの履歴書においても、住所も性別も年齢も書く必要もないと。その人個人そのときのものだけで判断せよというような風潮も極端に言えばあるわけですけれども、こういった法人に関しても氏名で、最小限度何が必要かと言われたときに、その人の持っているどこかの属性1つを書くということが最小限度かなとは思いますが、それとても必要ないという気もいたします。
 公益性のある、あるいは公益性のない財団形態における評議員にもそれを法律で課すかというときに、私は理事会の名前の公表だけでとどめて十分だと思っております。

○ 理事会の名前だけで、評議員会は要らないと。

○ はい。評議員会は法律で規制しないと。

○ という御意見があります。いかがでしょうか。

○ ここで議論している非営利の法人というのは、将来、公益法人に移行する可能性を持っているということで、ここで議論しているのだろうと思います
 成長過程ととらえれば、やがて公益法人に育っていってほしいという希望もあるわけです。そうすると外から見ている人にとっては、そこでどういう人たちが実際に中心になってやっているかということが分かる必要があるだろうと思います。今回のこのペーパーでは評議員会の権限も随分強くなるわけですから、評議員会のあり方、どういう人たちがやっているかというのも、今回の改正においては重要な事項になるのではないかなという気がいたしております。
 先ほど来、住所は全く必要ではないのではないかとの発言がありましたが、座長のようにたくさんやっておられるといろんな問題も起こることも百も承知なのでありますけれども、やはり登記をする場合には恐らく住所は書かざるを得ない事項だと思いますし、そこに書いてあれば、情報公開のときにその同一性がある程度確認できる。例えば、号である場合に、本名を付けた方がよければそれを併記するとか、いろいろな方法があるのではないかと思います。こういう方々がその法人を運営しているのだということは最低わかるようにする必要があるのではないかなと、そんな気がいたします。

○ どうぞ。

○ 更に、○○委員の御意見に反論させていただきますと、個人の住所を載せるということは、非常に大きな問題が起こり得ると思っております。個人の住所は載せるべきではないと思います。DMの問題以上に、何らかの政治的なイシューに関わるような活動をしているところに対してのいろいろな被害というものが実際に多く起こっております。住所、名前を特定していなくても、調べたい人は本当に調べる。その登記所なり何なりに調べに行けばわかるけれども、そこをあえて規則によって一般情報として情報開示をする必要はやはりないというように思います。
現実の問題としては、今どこの財団法人でも理事、評議員会を設置している場合は、その名前は出しているところがほとんどだと思います。それはその団体の自主性に任せて、法律の上で義務とするのは執行者である理事に対してであり、その執行に対して何か疑義がある場合は、その理事に対して申し立てて、理事は評議員会に報告する義務を持つということではないかと思います。

○ 寄附をするかどうかという判断をする場合に、やはりどういう人が評議員をしているのかということが重要な判断要素だと思いますし、この人が評議員をしているのだとちょっと危ないというように思うこともあるかもしれませんし、やはり評議員の名前も公表した方がよいのではないかと私は思っております。

○ ですから、評議員のお名前であって住所ではないですね。

○ そうですね。住所はちょっと危険かもしれないという感じはいたします。しかし、それは調べればわかることですので。

○ 調べればわかるけれども、一般情報として公開する必要はないのではないかというのが、○○委員の御意見ですね。

○ そうですね。私もそう思います。

○ ここで言っているのは、いわゆる法といいますか、最低基準をどこに定めようかということだろうというように思います。自主的にその団体が出せるものという判断はまた別ということで、ここでは最低限という形で言えば、理事会のお名前だけで十分ではないかなというように思います。
 それ以上、寄附をされたい。この団体について調べたいという場合には、当然ここに聞けばいいわけです。それで事務局なり理事会から情報をもらえるという別の行為という形で取れるわけですから、この委員会の中では最低限の規則、法律なりでどこまでという形で言えば、理事会のお名前で十分ではないかなというように思います。

○ ただ、今、ワーキング・グループで検討をお願いしておりますのは、評議員会が今のままでいいかどうかという、評議員の機能について、もう少し牽制機能を増す方法があるかどうかということを諮問しているわけなので、それとの兼ね合いもあるのですね。

○ 評議員会の方の権能については、まだ議論中ということで。

○ そうです。ですから、それによって今度はこちらの問題も大きくなるかもしれない。

○ 連動するというように思いますが、現時点では、私は理事会で十分ではないかというようには思っているのです。

○ ありがとうございます。いかがですか。

○ これは全く私の個人的な、皆さんの御意見を伺っての感想ですけれども、1つは評議員会というのはどういう位置付けになるかということが前提にはなると思いますけれども、これはやはりあくまで執行機関ではなくて、執行機関である理事会をチェックする権能を幾つか認めたいという程度ですので、おのずと理事とは違うだろうというように思います。
 ○○委員が言われた点が重要だと思いますけれども、寄附をする者にとって、その必要な情報かどうかという観点から見るということだと思いますけれども、ただ、寄附を受けたければ、つまり評議員の名前が出ていないので寄附したくないという人はしなければいいだけの話で、団体の方から見れば、寄附をしてもらいたいので、たくさん情報を開示するという自主的なルールで十分なのかなという感じもちょっといたしますね。
 ですから、最低限、執行機関は名前が出ていた方がいいと思いますけれども、評議員とのころまではどうかというのが、ちょっと思いました。

○ まだ、ワーキング・グループで評議員会そのものを検討していただいた後にこの問題をもう一遍検討していと。評議員会については、今、大勢は名前だけ出すか、あるいは名前も要らないかということだと思います。今日はその辺にこの問題をとどめさせていただいて、その次に、内部留保はどのくらいが適正かという、前に議論をしたことがございますが、何回でしたかね。そのときに内部留保についてはむしろ会計専門家の意見を聴取してはどうかというような御指摘がありました。そこで事務局がいろいろヒアリングをしていただきましたので、その結果の報告をお願いしたいと思います。
 それは資料2でございます。では、よろしくお願いします。

● それでは、資料2でございます。
 「内部留保に係る規律のあり方について」でございますが、資料2の4ページ目になりますけれども、最後の別添にございますような5名の会計専門家の方々に御意見を伺ってまいりましたところ、次のとおりでございました。
 まず、内部留保の定義についてでございますけれども、現行のいわゆる内部留保の意味といたしましては、この会議でも手元流動性といった指摘があったところでございますけれども、この点につきまして、使途を特定されない資産であって手元流動性に近いといった御意見がある一方で、2つ目の○でございますけれども、例えば、棚卸資産、前受金あるいはその法人の運営に不可欠と認められない固定資産等、こうしたものは内部留保を増加させる要因になりますので、手元流動性よりは広い概念になる可能性がある。あるいは逆に、借入金でもって法人の運営に不可欠な固定資産を購入された場合は内部留保を減らす要因になりますので、手元流動性よりも狭い概念になる可能性があるということなど、必ずしも手元流動性とは言い切れないところがあるという意見もございました。
 3つ目の○でございますけれども、いわゆる名称の問題として、企業会計の内部留保とは違うということから、いわゆる内部留保というこの名称がやや混乱を招く元になるのではないかといった御意見もございました。
 また、現行の内部留保の定義の妥当性についてでございますけれども、現行のいわゆる内部留保のルールでやっていくべきではないか、あるいは、この計算式は定義としてはおおむねよくて、1つの考え方としては肯定できるといった見解が多かったということでございます。
 一方で、現行のいわゆる内部留保の計算式には技術上の若干の問題点があるということで、そうした問題を整理する必要があるといった指摘もございました。具体的には1ページの下から2ページ目にかけてでございますけれども、例えば、前受金と同額の前払金があった場合に、その手元資金は残っていないのだけれども、前受金相当額の内部留保が膨らんで計上されたり、あるいは先ほど申しましたような借入金でもって固定資産を購入された場合、手元資金は残っていませんけれども、内部留保が減るといったことが生じるので、こうした点には対応が必要ではないかといったことでございました。
 また、その下の○でございますけれども、現行の計算式で例えば、公益事業を実施するために有している基金の積み立てに恣意性が入るのではないかといった指摘がございます。こうしたことにつきましては、基本的には指導監督の問題だけれども、そうした恣意性を排除することは必要で、そのためにガイドラインをつくったり、あるいは事例を蓄積する必要があって、そういうことが重要だという御意見がございました。
 次に「現行の『いわゆる内部留保』以外の定義の可能性」についても伺ってまいりました。そうしたところで幾つか御意見がありまして、1つは最初の○の前段でございますけれども、貸借対照表の正味財産のうちで自由に使用できるものが内部留保になるのではないかといった考え方に立ちまして、現行の定義式を使う代わりに、今申しているような貸借対照表の正味財産から、1つは寄附者等から使途が特定されている正味財産、これは括弧書きで書いておりますが、先ほども御紹介したような新しい公益法人会計基準の案では、指定正味財と呼んでおりますけれども、そういうものでありますとか将来の法人運営に必要な積立金等、その他の正味財産に属する資金で取得した固定資産、こうしたものを控除した残りの金額、これは内部留保と定義することも可能ではないかといった御意見がございました。
 中ほど下でございますけれども、もう一つの御意見として、貸借対照表上の正味財産から負債とひも付きになった資産、あるいは、使途が特定されている積立金等、こうしたものを控除した後の金額を内部留保と考えることもできるのではないかといった御意見もございました。
 更に3つ目といたまして、現行の公益法人の会計基準の考え方とはやや異なりますけれども、例えば、財団設立時の寄附金あるいはその後の基本財産として指定された寄附金などを、いわゆる企業会計で言うところの資本類似に相当するものとして定義して、貸借対照表上の正味財産から、こうした意味での資本的なものを除いた部分を内部留保と考えることも可能ではないかといった御意見もございました。
 また、こうした正味財産をベースに考えることに関連いたしまして、その下の○でございますけれども、内部留保を現行のように総資産から求めることとするのか、あるいは正味財産から求めることとするのかは、考えとしては基本的に同じで、アプローチの違いがあるだけではないかといった指摘もございました。
 1ページおめくりいただきまして、次にこのような内部留保の考え方について、仮に現行の枠組みを肯定的に解するといたしましても、その水準についてどう考えるかという点がございます。その点について、お話を伺いましたところ、まず現行の内部留保の比率の計算式については、次のような指摘がございました。
 まず内容については御承知のとおり、原則として、一事業年度におきます事業費、管理費、事業実施に不可欠な固定資産取得費の合計額の30%程度以下であることが望ましいとされているところですけれども、これについて、こうした計算式の分母の中に事業費、管理費という経常的な支出と事業実施に不可欠な固定資産取得費という、言わば経常外的な支出が含まれているということから、こうしたイレギュラーな要素を除いて、いわゆる経常経費を分母とするといった工夫の余地があるのではないかという御意見がございました。
 また、もう一つの御指摘として、こうした現行の比率の計算式は、分子がストック概念であるのに対し、分母がフロー概念になっているので、分母についても総資産を使うなどストック概念を設けるといった方向も考えられるのではないかと指摘もございました。
 一方で、では、適正な内部留保の水準について、どう考えるかということにつきましては、中ほどの○でございますけれども、公益事業費を賄う、その収入が何なのかということを把握した上で、適正な規模の事業運営が継続できるかどうか。また、実際に内部留保がもっぱら公益事業に使われているかどうかといったことを考えながら、適正な水準を決めるということが望ましいのではないのか。
 また、その事業費の何か月分あるいは何年分が適正な水準なのかについては、事業の形態によっても変わり得るので、会計の面から一概に言うことは難しいといった御意見がございました。
 もう一つ、御意見として多かったのは、その下の○でございますけれども、現行の30%程度という水準はやはり厳しいのではないかという御意見がございました。
 そこで内部留保に係る規律のあり方でございますけれども、その下の2ポツのところでございます。こうした会計専門家の御意見等を踏まえますと、法人の実態にも留意しながら現行のいわゆる内部留保の定義の考え方に基づきながらも、必要に応じて技術的な見直しを含めて何らかの対応あるいは改善を行う方向で検討し、同時にそうした恣意性ができるだけ入り込まないようにガイドラインを作成するなど、計算式の明確化を図るという一方で、適正な内部留保の水準につきましては、一事業年度に必要な事業費、管理費等の水準を超えないことといたしまして、ただし、合意的理由が認められる場合には、こうした水準を超えることも許容するということを基本に考えてはどうかという点につきまして、御意見をいただければと存じます。
 以上でございます。

○ 以上のとおりです。ですから、今まで内部留保、内部留保というように言われて、なるほどそうかと思っていたのですが、営利会社の内部留保とはまたちょっと違うということがわかってきました。
 もう一つは、30%問題というのは、やはりちょっと私たちも考えて、少し厳しいのではないかと。もう少しこれは柔軟に考えるべきであるという、大体の方向でございますが。

○ 今、お聞きになっておわかりになりますように、公益法人会計の専門家でも意見が分かれるわけですね。内部留保の問題の難しさというのは、何が内部留保かという基本的なことを明快に示すのが非常に難しい。こういう点にあるということでございます。 そもそも内部留保の問題というのは、収支余剰の多過ぎる公益法人というのが問題視されたということが発端でありまして、収支余剰の累積ということでの内部留保を問題とするというのであれば、公益法人の収支余剰の累積というのは、正味財産に入ってくるわけですから、正味財産をどう考えるか。その上で収支余剰にどう対応するかということになってくると思います。
 現在、指導監督基準で行われております内部留保の算式というのは、前、御説明したことがありますけれども、流動資産から流動負債を差し引いて、その金額に基金以外の投融資を加えた数値というものになります。これは正味運転資本プラス基金以外の投融資という数字になるわけですね。
 収支剰余金の累計とは、全く関係のない数字が出てくる可能性がある。つまり、収支余剰の累計でないものを収支余剰とみなして規制するという点で、はっきり申し上げると、これは間違いがあるということでありますので、規則としてこの算式を使用し続けるということには、私は絶対反対であります。
 収支剰余金の累計を正味財産との関係でどう考えるかということで見てまいりますと、財団法人の場合はその基本財産など基金として寄附を受けた金額というのは、割とはっきりしておりまして、正味財産のうち基金的なもの、資本的なもの、収支剰余金的な内部留保に当たるものというのを分けることが、財団内の作業で比較的簡単にできます。しかしながら、社団の場合、社団はよくわからないのですが、基金がないというのが通常でございまして、それならばその正味財産すべてが収支剰余金的なものかというと、そうであるとも言えるし、そうでないとも言えるという、社団の正味財産というのはお札のホログラフ印刷みたいなもので、見る角度で違う模様に見えてくるということがあります。 社団法人の場合、収支剰余金の累計が正味財産になっているから、その意味では正味財産はそのまま内部留保であるという言い方ができるのですけれども、その中身はすべて公益事業を行うために社員とか、あるいは賛助会員などから集めた資金がまだ公益法人の外へ使用されていない分の累計ということでありますので、ある意味ではこれは社員や会員からの預かり金、あるいは公益事業に使用するための前受金的な性格を持っている。
 会館建設等でその会員から寄附を集めたりされた場合は、この部分は資本というような性格を持っていると。更にまた一般的にその正味財産のかなりの部分というのは、公益活動のための固定資産の取得に既に使われているというケースが多いのですね。
 また、内部留保を収支余剰の累計と定義するとして、内部留保はどの程度であれば適正かというのも非常に難しい問題でございました。私の方は財団ですので、運用収入以外に収入のない財団法人というのを事例として、ここ十数年金利が低下しておりますけれども、そういう環境下でどの程度内部留保を持っていたら公益事業を縮小しないでやってくることができたらというのを逆に計算してみましたところ、10年前の1993年度にその年度の運用収入全額を事業費と管理費に使ったという財団があったとしまして、同じ金額の事業をそれから後10年間、2003年度までの10年間続けるには、1993年末時点で、その年度の事業費と管理費を足したものの3年分を内部留保として持っていなければできないという結果になります。
 ですから、事業費プラス管理費の3年分の内部留保があって10年しかもたないということですね。内部留保をその公益事業を継続実施するための準備金というような視点から考えますと、内部留保は事業費プラス管理費の3年分程度あっても十分ではないという考え方ができる訳です。
 結局その内部留保の問題は、私考えますと今思い付くのは6つポイントがありまして、1つは、その公益法人の正味財産額とその成り立ちですね。
 2つ目のポイントは、毎年の収支余剰額。これは今の収支報告書というのは、どれが収支余剰額に当たるかというのは非常にわかりにくいのですが、今、検討されています新しい公益法人会計では正味財産増減計算書の一般正味財産増減の部に出てきますので、比較的わかりやすい。数字をすっと拾えるということでございます。
 3つ目は、毎年の事業費と管理費の水準。
 4つ目が、貸借対照表を御覧になると、右側が資金の調達で左側が資金の運用という見方ができるのですが、そういうことで資金の使用状況というのを判断。
 5つ目に、将来予想される収入の減少、あるいは費用増加の可能性。
 6つ目に、その公益法人の公益事業等の性格ですね。この6つの点を時系列的な推移も入れて総合的に検討いたしますと、適正な判断ができるという問題だと思います。  結論としての考え方として、内部留保を事後チェックの対象項目にすることは結構であると思いますけれども、とりあえずは正味財産の金額とその内容、内部留保に関する当該法人の方針ですね。どういう方針でこれだけの正味財産になっているかということを開示することにして、それらを財務諸表とともに判断機関で判断するということでいかがかなというように考えております。
 そこでその判断機関で蓄積された判断ノウハウというのは、やがては蓄積改良されていって、ゆくゆく公益法人全般、あるいは社会に公開して役立てていくという方向で取り組めばいいのではないかというように考えております。

○ ありがとうございました。大変精密な議論の組み立てをしていただいて、これは公益法人会計の新しい原則がすべて普遍すれば、割合切りやすい問題になってくるのではないかと、私は思っています。
 今、○○委員の言われたような諸点については、これは十分考慮する余地があると思います。

○ 今の○○委員の御意見は余りにも専門的過ぎて、なかなか理解するのが難しいのですけれども、そもそも内部留保に関し、なぜ規則としてつくらなければいけないかということを考える必要があると思います。これは本来、公益のために使うお金が必要以上に蓄積されてはいけないということから発しているのだと思うのですね。蓄積されてそのままずっと死蔵された後で、分配できないとすれば、それはどこかに戻るという意味で考え方によっては、それは蓄積されたっていいではないかと、自分たちで分配さえしなければ最終的に公益目的のところに落ち着くという考え方も1つあるかと思います。
 ただ、そこでいろいろなケースがあり得て、内部留保という計算式だけで判断するという危険性というのは、今、○○委員も詳しくお述べくださいました。もう一つ違う考え方として、これも米国の例になりますけれども、ファイブ・パーセント・ペイアウトルールというのがございます。これは要するに、死蔵させないで、できるだけ公益のために積極的にお金を払い出すというもので、詳しいことは失念してしまいましたけれども、資産ではなくてある一定の財産の5%は毎年必ず公益のために支出しなければいけないというルールですね。
 ですから、それがその団体が持っているその資産の5%というのか、何の5%にするかというのは別途検討すべきことですけれども、いろいろ議論の余地があると思います。公益のためにできるだけ世の中にお金を回そうという考え方のとき、留保はいけないというような規則よりも、積極的に払い出させるような仕組みというものを考えてもいいのではないかと思います。
 その観点で、現在アメリカで議論になっているのは、この5%の支出項目に何を入れてもいいのかという問題です。これまではある一定の管理費を入れることができたわけですね。公益活動を行うについては、人が動くわけなので、それも一定の範囲で入れてもいいと。しかし、それを全額公益活動目的だけにするべきだという意見も今、起きているとか、いろいろそういうことの技術的な問題はありますが、こういう考え方が日本の中に導入されてもいいのではないかという感じがいたします。

○ ありがとうございました。確かにそうなので、公益目的に使われない資金というのは全く意味のないことなので、それもそのファイブパーセントでいいのかどうかということも、またあると思いますね。少なくとも半分ぐらいは公益に使われないと。概念の相違なのでわからないのですけれども、そうかと思いますけれども、その辺、研究させていただきたいと思いますけれども。
 では、いずれにしても、今のようなお二人の御意見を参考にして、この内部留保に関する今の指導監督基準における定義で、もう一度考え直すとか、水準についてももう少し弾力的に考え直すというようなことも含めて事務局の方で検討していただくことにいたします。

○ では、移行の問題に移ります。

● 移行の問題につきましては、これまでまとまった御議論はいただいていませんでした。ちょっと今日は時間もあれでございますし、移行の問題については今回と次回にまたお時間をとらせていただいて、御議論いただければと思います。
 とりあえず、資料3に基づきまして、御説明をまずさせていただきます。
 1ページでございます。この移行の問題と申しますのは、一番上の「参照」の四角の中に書いてございますように、今ある公益法人が制度改革後の非営利法人に移っていくということを念頭に置いた場合に、どういう措置を取って円滑に移していくべきかという問題でございます。
 以下、四角の中に1ページから2ページにわたりまして、(1)から(4)まで、我々の方で論点を整理してみました。その後、それぞれの論点につきまして、留意点を列挙してございますので、それに基づいて御議論いただければと思います。
 (1)は基本的考え方をどう捉えればいいかということでございます。
 基本的には、この現行公益法人の移行については、今ある公益法人というのは、公益活動を継続的に行ってきておると。実際、受益者も相当程度存在するということがございますので、これは基準としては公平かつ合理的に、しかも手続も同じようにやっていかなければいかぬということは当然でございますが、一定の移行期間を設けた上で円滑に移行が行われることを基本とすべきではないのかというように考えられないかということでございます。
 この基本的な考え方と言いますのも、恐らく今ある全体2万6,000 程の現行の公益法人、国、地方併せて所管分ございます。これは報告書をおまとめいただくということにこの後なるわけでございますけれども、実際はそれぞれの法人につきましては、新しい制度に移行できるかどうかということが非常に大きな問題になってくるかと思いますので、その辺り、この報告書で大体自分たちの今後がどうなるのかというようなことについて、一定程度方向性をお示しいただければと思います。
 ここでまたいろいろ各法人が心配するというようなことになるというのも、いろいろ問題が多いかと思いますので、この辺りは基本的な考え方として何か一定方向をお示ししていただけないかという問題でございます。
 以下、(2)から(4)まで、これはやや基本的な話から細かい技術的な話まで含んだ形になっております。
 (2)といたしましては、新たな非営利法人への移行方法ということでございます。この場合、今の公益法人から新たな非営利法人、この場合は1階の一般非営利法人、2階の公益性を有する法人、両方にどう移行するかということを念頭に置きながら、具体的にどういう基準、手続期間で考えればいいのかということでございます。
 (3)につきましては、新たな非営利法人以外に移るということをどう考えるかということでございます。例えば、営利法人に転換する。あるいはその他、特別法に基づくNPOであるとか社会福祉法人、こういったものに移行するということをどう捉えるのかということであります。
 次のページ、(4)でございますけれども「移行に当たっての財産等の取扱い」としてございますが、この問題は今の公益法人が移行する際に公益法人として保有されておる財産とか権利義務関係、これが円滑な承継、取扱いがされるべきではないかというように考えられますが、そこをどう方向を示すかという議論でございます。
 以下、ざっと全部説明してしまいますが、留意点の(1)の「基本的な考え方」というところでございます。
 ポツの1つ目でございますけれども、基本的に今まで新たな法令を制定して、新たな制度をつくるという場合には、実際にはなかなかいろいろ準備もあるということもございますので、従来の秩序をある程度容認するとか、あるいは新たな秩序の設定に特例を設けるとかいうことで、基本的には経過的な措置を定めていくということが多いかと思います。 その次といたしまして、今回の改革、これは先ほどのやや繰り返しになりますけれども、2万6,000 の公益法人。これは設立根拠を抜本的に改めるということになってしまいます。これらの法人につきましては、公益活動の担い手として位置付けがなされておるわけでありますし、多くの受益者が存在するということに加えまして、実際2万6,000 の法人が移るに際して、無用な混乱とか手数をかけるということも適当ではないと思いますので、新たな制度に円滑に移行するためには、やはり何らかの経過措置を設けることが必要ではないかと考えられます。
 併せて今の公益法人の中には実際にこの民法の法人、相当昔からございますので、その設立時において法人格を取得する手段が民法しかなかったというような事情もございますので、その辺をどう考えるかという点もございます。
 その次、4つ目のポツになりますけれども、これはやや留意点と言うことになりますが、円滑な移行措置を設けるということで、最近の議論で申し上げますと、中間法人法の議論がなされていまして、これは法制審での議論でございますけれども、何らかの円滑な措置を設けるべきということで、「組織変更」の手続きをとれないか、これは、法人格を転換するということになりますと、普通は何も特別な措置をしないと一旦解散して新たに法人格を取得し直すということが基本になるわけですけれども、下の※に書いてありますように、解散とか新規設立の手続を経ないで、人格の同一性を維持しながら組織を変更する。別種の法人になるというような特別の措置を取れないかというような議論がされていたようであります。
 ただ、その後の議論といたしましては、やはり中間法人だと残余財産の処分の制限はないということもありまして、中間法人に対してはやはり一旦法人を解散させて、原則に基づいた措置をするべきではないのかというような議論を踏まえて、ここでは特段の措置がなされなかったというような事情もございますので、特別措置が必要だと言いながらも、いろいろな場合があり得るのではないかということでございます。
 そういった移行措置の検討に当たっては、新しい制度の具体化。これはこの前、御議論いただきました公益性の判断が取り消された場合に財産はどうするかといったような一般原則との兼ね合いをどう考えるかといったような問題もあるかと思います。
 3ページのところで、(2)の具体的な方法ということでございます。
 この方法につきましては、これは恐らく理論的にはいろんな選択肢があって、その組合せで結構法制上も複雑なことになってくるかと思います。ここではその切り口といたしまして、@といたしまして、どういう時期、期間か。
 Aといたしまして、どういう基準、手続か。
 Bといたしまして、どういう実施体制で行うことが適当かという、そういったところで一応議論を整理してみました。
 @の時期、期間ということでございますと、これは大ざっぱに考えますと、新法成立してから施行までにそれなりの周知準備期間が必要ではないのか。
 新法を施行してから、その新制度の完全適用、これはその時点で法人が全部移行し終わるということになりますが、それまでの経過期間がどの程度必要なのかという議論であります。
 これは資料4の方をちょっと見ていただければと思いますが、4ページでございます。
 これはざっと見ていただきますと、これまで法人格の移行を定めたものを幾つか列挙してみました。学校法人、社会福祉法人ということで、例としてはいろいろ古い例もございますけれども、これはそれぞれ移行期限を1年とか、あるいはそれ以上少なくとも取っておくということは、これでわかるかと思います。
 これにつきましては、これらの特別法に基づく法人と比べますと、恐らく今の公益法人はやっておる業務もそれぞれでありますし、あるいは国、地方、所管それぞれ異なっておるということも考えますと、更に時間が必要なのではないかなというようには思います。
 「基準・手続について」というAの方でございますけれども、基本的な法律上の手続ということを考えますと、今の公益法人は恐らく一旦非営利法人として新しい1階部分の法人に人格が転換するということが、まず第一段階としてありまして、更にその法人に公益性の判断をするという、この2段階が基本的な順番になろうかと思います。
 ただ、現行の公益法人につきましては、実際、今も公益活動をやっておるということがございますので、例えば、その手続を簡素化して、そういう2段階の手続を踏まなくても1段階で済ませられるようなことは考えられないのかといったようなことでございます。 この基準とか手続の関係で、これまでどういう例があったかということを資料4の2ページを見ていだければと思いますが、2ページの左の方でございますけれども、公益法人から更生保護法人に移行するといった場合の例でございます。これは公益法人として更生保護事業を行っていたものを、新たに更生保護法人という概念をつくったときにどう移行したかということでございます。
 この場合は実際に更生保護事業を営んでいる法人は、一定期間内に組織を変更して更生保護法人となることができるということで、先ほどの組織変更の手続を定めておるということがございます。
 実際には、この措置によりまして、全部法人は更生保護法人の方に移ったということでございますけれども、公益法人という基本的な枠組みは別途並行して存在しておったということでございます。
 右の方の例でございますけれども、これは宗教法人の関係でございまして、昔、政令上、定められていた宗教法人を法律上の法人に転換したという例で、これは昔の政令による法人というものがなくなって、全部新たな法人に移行するといった場合の形で、これが今回の措置により近いものであろうかと思います。
 この組織変更につきましては、古い宗教法人は、所轄庁の認証を新たな規則に作成しまして、その上で設立の登記をすることによって、新しい宗教法人になることができるということでございます。
 この場合、新しい宗教法人になるとする場合には、1年6か月以内に認証の申請をしないといかぬという定めがなされておりまして、これは実際に申請をしなかった、あるいは認証を受けることができなかったといったような場合においては解散という手続が定められておったようであります。
 元に戻っていただきまして、こういうようなことを念頭に今回の民法法人の場合をどう考えるかという議論であります。
 Aの2つ目の―で、全くちょっと別途の発想で、「あるいは」と書いてございますが、今の公益法人について、一旦すべて公益性を有するものというようにみなしてしまうということも考えられないかということを掲げております。
 この場合には、恐らく新たな判断主体で通常の事後チェックを行うか、あるいは一旦認められた公益性というものを仮免許的なものととらえて、別途厳しい検証、確認の手続を取るかというようなことも考えられるかと思います。
 ただ、この点につきましては、すべてみなすということになってしまいますと、恐らく予想される批判といたしましては、単なる看板のかけ替えではないかといったような議論であるとか、一旦認めた公益性を取り消すということになると、相当程度厳しい手続を踏まないといかぬというような議論も予想されるところであります。
 このほか、その移行について、過大な負担にならないようにどういう配慮をすべきかということも考えていくべきであろうかと思います。
 Bの「実施体制について」といたしまして、これは移行することについて、いろいろ作業があるわけですけれども、これを全部その判断主体が主導でやるか。あるいは新たな判断主体と今の主務官庁などの助けを得ながらやっていくか、この辺は実施体制がどういうように作業をすれば効率的かという、そういう議論でございます。
 (3)の新たな非営利法人以外の法人類型の移行ということでございます。これは先ほど申し上げましたように、新しい今度つくる非営利法人に移行するということが基本であるわけですけれども、そこに移行することを希望しない法人。こういうものをどう考えればよいのかということであります。
 例えば、その営利法人への転換ということでございます。これは今まで公益法人としてやってきたけれども、この際営利法人に転換したいというものにつきましては、今の手続ですと相当程度煩雑な手続を踏まないと移行できないということがございます。そういったものについて、この際、積極的にそういうことを転換が図りやすいような形は何か考えられないかということでございます。
 あるいは、今の公益法人制度に対する批判として、営利法人まがいのものが混じっているのではないかといったようなものについては、恐らくそれはそのまま今度新しい制度に移行させてしまうというと、また批判を受ける可能性もありますので、そういったものについて、営利法人への転換を促していくというようなことも必要かもしれません。
 また、その他の法人格ということで、NPOであるとか社会福祉法人、学校法人といったようなものについて移行するということについてどう考えるかというようなこともあろうかと思います。
 基本的には法人格を転換するという場合には、一旦解散して法人格を取得し直せば何にでもなれるということではございますけれども、そこで何か新たな特別措置で移行しやすくするかどうかといったような問題であろうかと思います。
 ※の2つ目でございますけれども、これと並行した関係になりますけれども、今ある民法法人というのは、いずれなくなるということにはなるわけですけれども、これを一定程度、存続させる必要があるかどうかということです。
 これも段階がございまして、例えば、その公益性を認定されるというまでに一定期間が必要だということになりますと、それまでの間は恐らく現行の公益法人としての地位を有していないといろいろ不都合があろうかということで、それまでの間は公益法人として存続する必要はあるであろうということです。
 ただ、それ以降も何らかの理由でその公益法人という制度を残しておく必要があるかどうかといったような論点も付随して出てくるかと思います。
 ※の3つ目ということでありますが、これは今の公益法人で新しい制度施行を契機といたしまして、合併とか分割とか、いろいろ展開が考えられるということもありますので、そういったものについても何か特別に措置を講じる必要があるかどうかという問題でございます。
 (4)移行に当たってのその他の問題ということでございます。先ほど申し上げましたように、新しい制度の下で現行公益法人から公益性を有する非営利法人に移行する場合には、基本的には今の所有財産であるとか債権債務関係、雇用関係、こういった権利義務関係は承継させるということで考えてよいかという問題であります。
 2点目、こちらは1階の非営利法人にしか移行できない場合、あるいは1階の非営利法人に移行するということでよいというように考えた場合に、その財産はどう考えるかということでございます。これは前回の議論の延長にもなるお話でございますけれども、恐らく新制度下において、公益性を有する法人が公益性を失った場合、これは財産に何らかの制約を課すべきではないのかという議論がございました。
 恐らくその延長上にある議論でありますので、これに準じて考えるべきではないのかということでございます。
 ただ、恐らく新しくつくっていく制度の下では、例えば、その財産の区分などもある程度はっきりするということも可能であろうかと思いますけれども、今の制度の下にある公益法人については財産が明確に区分されていないとか、そういったような問題もありますので、それをどう考えるかといったような論点も付随的に出てこようかと思います。
 (3)で申し上げましたような非営利法人以外の法人に変更される場合、この場合、財産等をどう考えるかといったような問題も付随して出てこようかと思います。
 とりあえず、御説明は以上でございます。

○ ありがとうございました。今まで現行の民法34条の公益法人がどう移行させるかということを冒頭に申し上げたのですが、いろいろ議論をしていただいて、その移行の問題に取りかかることになったわけです。
 ここに想定できるあらゆる類型が掲げてあるので、非常に議論は細かくなってしまうのですが、事をもう少し簡単にして、まず(1)の「現行公益法人の移行に当たっての基本的考え方」というのは、「公益法人が現に公益活動を継続的に行ってきており、多くの受益者が存在することにも配慮しつつ、公平かつ合理的な基準及び手続により、一定の移行期間を設けた上で、円滑に移行が行われることを基本とすべきではないか」という点が主な点であります。
 「(2)新たな非営利法人(仮称)への移行方法」について、この2つぐらいについて、まず議論をしていただきたいと思います。
 多分、時間的にいって、そのほかの(3)、(4)の類型は次回になってしまうと思います。ここで現行の公益法人の移行問題を考える際の基本的な理念につきましては、公益法人の実態、現在の皆さんが御覧になっている実態等も念頭に置きながら議論していただくわけですが、新たな非営利法人制度への円滑な移行のためにどんな具体的な仕組みがあったらいいのか、期間はどのくらい見たらいいのか、公益性の判断をどのような基準にするか、どのような方法で行うかというようなことについての御意見をできるだけ、この1と2にとりあえず今日は絞ってお伺いしたいと思っております。いかがでしょうか。

○ 1の方ですけれども、基本的な考え方ですけれども、3行目の「公平かつ合理的な基準及び手続により」というところがありますが、基準自体はもうこれは新しい基準で、公益法人になるものは公益法人として残れるし、その基準でもって、公益法人になれないものは、何らかの手を打たなければいけないということで、基準自体は恐らく変えようがないのだろうと思いますけれども、手続の方なのでしょうか。
 ただ、基準に関しても、基準自体は変わりませんけれども、新しい基準だと公益法人にはどうもなれそうもないという法人に、やはり一定のチャンスというのでしょうか、公益性を満たすように、これはなかなか難しいのでしょうけれども、そういったチャンスを与えるというのが重要なのかなということだけ、ちょっと感じました。

○ ありがとうございました。どうぞ。

○ 現在の公益法人2万6,000 でしょうか、その相当部分が移ってくるとすると、期間がかかるし、どういう手続でするかとか、いろんな問題があると思いますが、いずれにしても、今、○○委員がおっしゃったように、基準は新しい基準でということになると思います。
 それから、今、伺っていてちょっと気がついたのですが、現在、たくさんの公益法人が1階部分に入ってきて、そして公益性の要件を満たしていると見られるものは早めに審査をすると。あと、そうでないものは、チャンスを与えると言うと変ですが、いろいろな助言をして、要件を満たすようにするためにある程度の期間が必要だと思いますが、その場合に、審査の順番というのは結構考えておかなければならない問題なのではないかと思います。それからこれも今、気がついたのですけれども、多数が審査してほしいと言ってきた場合に、どういう基準で順番を付けるのか。そんなに審査に当たる人がたくさんいるわけではないでしょうから、その辺も不公平にならないようにする必要がある。公正な基準というのは、どういうものかということもお考えいただきたいと思います。

○ 先生がおっしゃっていることは、例えば5年間で移行しなさいと言ったときに、5年待って、5年間にばっと2万6,000 が来るというようなことになると、またえらいことになるしということもありますね。

○ そう思います。それから、最初から自分のところは要件を満たしていそうだということで、何千かが一挙に申し出てきた場合、「あいうえお」順でやるのか、どういう順番でやるのかというのは問題ですね。

○ 2万6,000 もございますので、まず、公益性の判断をどうするかという時間の問題がございます。新しい法律体形になって、新しい公益性のある非営利法人ということで規律するということであれば、とりあえず、ある一定の通知期間を置いて、新しい法体系の下での公益性のある非営利法人という位置付けで、先ほどおっしゃいましたけれども、仮免許的なものを与えて、本免許はそれから後、何年間かの期間中に順次審査をしていくと。それで本免許に切り変わると。あるいは、そこでだめなものはある程度の修正をして通るものもあるし、あるいは、やはり一般非営利法人になるものもあるというようなことが一番あり得るかなというように感じます。

○ この問題は、期間をどのぐらいと考えるのかということと、期間が過ぎてしまった後、公益法人はどうなるのかということと、それから主務官庁がどういう役割を果たすのかということと、その3つの組み合わせになるのかなと思うのです。
 例えば、期間を過ぎても公益法人としてまだ生き残れるというのであれば、その期間自体短くていいかもしれませんけれども、恐らくそうはならないのだとすると、一定の期間を置かないといけない。
 では、今度はその期間内で、例えば全部移行を認めて、それで満たさないものを1階に落とすという方法とか、あるいは、今、○○委員がおっしゃった仮免許を与えるという場合には、それは専ら判断主体が判断するということになると思うのです。
 そうしますと、主務官庁はもう手が離れた後になるわけですが、それがすっきりしているような気もするのですけれども、やはり主務官庁が現在持っている情報なり、あるいは責任というものを考えたときに、全くそれを無視するということにもならないだろう。
 そうすると、主務官庁と新しい判断主体との連携をどの時点でどう考えていくのかと。その辺りがポイントかなと思っています。

○ ありがとうございます。私は、個人的に考えて、今、主務官庁が2年に1回、あるいは1年に1回チェックされておられるわけなので、その結果で責任を持って新しい機関に推薦するような、基準は変わるわけですが、そう大変な変わり方はないと思うので、そうなると、推薦すると、それについては、今の仮免許というのがいいのかどうかわからないですけれども、とりあえず、そのまま移行を認めるような、手続は別として、実質的には継続的に事業ができるようにしておかないと、非常に社会的に大変なことになるのではないかという気がしているのです。

○ よくわからないのですけれども、新しいシステムは、こういうようにするからどうぞ、これをやってくださいというように門戸を開けてとやるという根本的な発想がありますね。
 ところが、今、もう既に2万6,000 某の膨大な数の組織が存在していて、今、その移行期間の問題をやっているのだけれども、この機会に、既存の2万6,000 というのをそっくりそのまま皆さんいらっしゃいよというようにやるのか、中にはそろそろかったるいからやめたいと思っているのもあるかもしれないし、社会的に見て、そんなことしていたら始まらないというのもあるかもしれない、それは判断が難しいけれどもね。2万6,000 そっくり移行してもらわないと困るのだというような発想もおかしいので、合併しても何でも構わないけれども、もうちょっとよりすぐったものになる。それから新規の人が新しい基準でどんどん入ってもらうということにはならないのかなと思って、既存の、特に官庁系のものなんか、ぞろぞろ全部立派な名前で残ってくるということが大分引っかかるものだから、しかし、恐らくは全部残ってくるのでしょう。それはそれで仕方がないとは思うけれども、何かそっくりそのまま残るのですよと、それであなた方は大変だろうから、時間もゆっくり与えてやるから、慌てないでやりなさいよというのも、親心なのかどうかわからないけれども、私は実態がわからないから、印象としては、何かそっくり皆さん移ってもらわないと困るのだという話でもないのではないかという気がしているんです。

○ それはそうでしょうね。ほかにございませんか。

○ 基準というのが一応、明確になれば、今、○○委員がおっしゃられたうちの一部というのは動き始めると思うのです。

○ 自動的にね。

○ ええ、自動的に動き始める。というのは、私の知っているところでも、既に共益的な部分と、公益的な部分を分けて考えようという組織立てをつくるという動きが既に始まっておりまして、そういう動きというのが、今回の改正、2年後ぐらいに条文が示されるのだろうと思いますが、そういう実態的な動きというのは、ここのホームページや何かを見て、そういう動きというのが実際に起こっているということが1つありますので、それを踏まえた上で、基準をしっかりさせて、それでもなおかつ自分のところは、公益的な活動をしていきたいというところのものについては、これは逆にできるだけ残して活動をしてもらう。
 そして、先ほど○○委員がおっしゃったように、後でチェックできる。その期間については、公益的な活動をしているものとみなしてやっていくというのがいいのではないかと。
 それは、決して全部残らなければいけないという趣旨ではなくて、当然そこに事前の判断があって、基準というものがしっかりあれば、それはそれでいいのではないかと思いますが。

○ 今、2万6,000 ある財団、社団を含めた公益法人なのですが、実際は、現場で見ておりますと、そんなに問題がある公益法人が多いわけではなくて、本当に頑張って財団法人なり、社団を運営されて公益のために事業をやっているというところが多いはずなのです。
 ただ、この公益法人改革のテーブルができたように、一部いろんな意味での課題があって、変革をしなければいけないという形だろうと思います。
 そういった意味では、同じレベルで語るのではなくて、一定程度頑張ってやっているところについては、ある意味で法人を移行するだけでも相当なエネルギー、本来の事業のほかに、ただの組織改正そのものを含めて大きいエネルギーが必要になりますので、その部分は、やはり一定程度緩和してあげる制度というのが必要だというように思うのです。ちゃんとやっているところにとってはある意味で負担なわけです。
 ですから、その負担を軽減するという意味で言えば、2階部分にすぐにスルーできるような方式というのも1つ考えるべきものがあるというように考えています。
 もう一方で、公益法人の改革の懇談会ができたような形で言えば、特に大きくて政府系の機関の一定程度の見直しというのは、やはりただスルーさせるということではなくて、何らかのチェックをした後にスルーをさせるという形も必要だろうというように思いますので、逆に事前にその振り分けを、今の主務官庁か、もしくは都道府県が若干やって、スルー組と、大変申し訳ないけれども、ハードル越えをしてもらうところと分けて移行いただくというのはどうかなというように思っています。
 今日は今日の私の気持ちなので、またちょっと違った形になるかもしれないのですが。

○ それは、先ほど○○委員のおっしゃったものをもう少し具体的にと。

○ はい、具体的にという形です。今日、移行の問題ということで、今日の今日ということもあって、ちょっと判断は迷っておりますけれども。

○ まだ、移行の問題は、今度もっとほかの法人に変わるべきもの、あるいは御自分で変えたいもの、そういうところがありますので、次回3人でそのほかの類型を。

○ ただ、ここで私が申し上げたいのは、大多数の頑張っている財団法人、社団法人そのものに対して、余り移行そのものに負荷がかかるという制度ではいけないのではないかなというように思っています。

○ 頑張っているというものをどのように記述できるかですね。

○ そうですね。ですから、その辺が○○委員おっしゃったように、一定程度の、今までも御指導されているだろうと思われますので、その辺をまた逆に言うと、逆に所管庁さんの権限が強まる、もしくはある意味での裁量権が発生するというのは嫌なのですけれども、みんながみんな大変になるという必要もないのではないかという気もしているので、今日はちょっと矛盾した意見を申し上げているなというようには思っているのですけれども。

○ 嫌だと言っても、これが最後の機会になるわけですね。

○ その辺のところは、現場サイドとしては、なるべく負荷のかからない制度で移行をさせてあげたいという気持ちもあるということです。

○ ○○委員もおっしゃったように、この機会を使って、むしろ公益性の純度を高めていくような指導をしていくような、例えば合併の場合もあるでしょうし、それから活動の内容の場合もあるでしょうし、指導というのではなくて、そういうようにしないと生き残れないよというような形の方法があり得るということですね。

○ 私もできるだけ手続上の問題等も考えますと、スルー組をできるだけ多くするというか、スルーでそのまま2階に。

○ 現行から2階へ。

○ ○○委員 そうですね。それを多くした方がいい。そのためには、やはり役所の推薦という話もありましたけれども、今、見ている官庁の意見というのも、それが最大のものではないにしても、聞いていく必要があるのではないかと。
 ですから、移行期間というのは、今、指導するというようにおっしゃいましたが、そういうケースの外にも営利法人への転換を希望するところがあるかもしれないですね。ですから、その場合には、かなり時間もかかると思いますので、そういうことも考えた移行期間の設定ということは必要なのではないかなと思います。

○ それから、収益事業をやっていらっしゃって、収益を公益事業に投下していらっしゃるような財団で、収益部分を切り離そうかという相談を受けたことがあります。

○ 現在の主務官庁の推薦といいますか、そういうものに基づいて、すぐ2階に仮免の形にするか、本免の形にするかは別として、スルーを認めるということにしますと、役所は、自分が監督してきたものは、大部分が適格だというように判断するのではないでしょうか。
 ですから、少なくとも仮免ということにする。ただ仮免の制度は、私も最初は○○委員と同じように経過措置としては考えていたのですが、ただ一旦仮免を与えると、あなた1階に降りてくださいということを言うことは、なかなか実際問題としては難しいだろうという感じがいたします。

○ ちょっと別の件でよろしいでしょうか。先ほどの基準の点なのですが、先ほど公平かつ合理的な基準というのは、当然新しい基準でやるべきなので、不必要な形容ではないかというように思ったのですけれども、ちょっといろいろ考えていくと、例えば仮に評議員の制度、新しい基準ということになると、すべての財団法人が言わば寄附行為を変更しなければいけないという問題が出てくるのです。
 あと、内部留保なんかにしても、仮に何かの基準を設けたときに、内部留保の基準をクリアーしていないというと、もうだめだということになるのか、いろんな問題があって、つまり新しい公益法人の基準のすべてを適用して、新しい制度に移行させるのか、その中の幾つかだけでも移行させて、あとは順次適用させていくのかとか、ちょっと基準の適用についても幾つか問題があるような気がしましたので、少し検討しなければいけないのかなと思います。

○ 今、○○委員のおっしゃった点なのですけれども、基準の適用の問題と、それからそもそも現在ある法人に対して、新たな形態に移らないと解散させるということが理屈の上でできるのかという問題があるかなと思います。
 普通だったら許可の撤回になるでしょうし、あるいは財産の主体をなくすということになるわけですから、それが理屈の上で可能だという前提で考えているわけなのですが、その問題がないかということを確認した上で、その次に○○委員のおっしゃった運用の問題になるかなと思います。

○ ありがとうございました。移行というのは、かくもややこしい問題でございます。
 いつも申し訳ないことにお昼を過ぎますので、今日はこの辺でとりあえず、取っかかりを皆さんで考えていただいて、10月12日に(3)、(4)を含めて、(1)、(2)にも当然戻るでしょうが、特にほかの類型になる場合に一体どうなるのかということについて議論をしていただきたいと存じております。
 それで、お約束のとおり、○○委員から総括的な意見書をいただいておりますので、その要点だけちょっとお願いします。

○ お時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、最初に2つお願いがございます。
 今回の意見書は、あくまで私見でございますが、非常に重要な問題であり、皆様にとっての関心事だと思いますので、私がここに単に提出した紙として終わらせず、これを事務局において公表していただきたいと思っております。
 2点目といたしまして、提出して私が考えを述べるだけで終わるのではなくて、次回是非この問題について、移行の問題に併せて議論をするお時間を取っていただきたいと、この2点がお願いでございます。
 もう時間になってしまいましたので、簡単に私の申し上げたいポイントについて申し上げます。
 まず第1に、閣議決定において民間の活力を認めて、それを推進していこうということが認められたということは非常に画期的なことだと思います。
 したがいまして、これを100 %正面から受け止めて、いろいろな困難があるにしても、最終的にこれは是非とも政治決断でよりよい方向にしていただく問題ではないかと思いますので、そういった考えの下に答申をまとめていただきたいと思っております。
 基本的出発点は、この点を含めまして、どういう線が望ましいかという道筋を、るるまとめてございますので、それはそれで後でお読みいただきたいと思います。要するに、まず閣議決定を受けて、本当の意味で民間の活動を支援するという、そのための法制をきちんとつくるべきであって、規制とか、今まで不祥事があったから、そういうことが起こらないようにという後ろ向きの法制であってはならないと思います。
 更にそういったものを支援する一番の大きなポイントは税制であると私は考えておりますので、この税制というものをきちんと整備していただきたい。
 税の優遇措置を与えるという基本的な出発点が、非営利、非分配、公益活動であるとしたならば、これこれのものに対してこれこれの優遇措置を与えるのだということを法律で規定すべきだと思います。ではどういう税の優遇措置があるかというときに、ア.収益事業収入を除く法人税非課税、イ.寄付控除、ウ.みなし寄付、エ.消費税免除、オ.金融収益の非課税、カ.収益事業の軽減税率といったものが考えられると思います。このほかに相続税とか、細かく考えればもっといろいろなものがあり得ると思います。
 これらすべてを今回の改正で含めろというのは、大変難しい話だと思いますけれども、私は最初の3点、ア、イ、ウのみなし寄附のところまでは是非とも実現していただきたい税制だと思っております。
 この3点の税制の優遇措置を与えるとしたならば、どういう団体に対して、どの部分を与えるかということを考えましたときに、a.公益性を有する非営利法人で、利益および残余財産の非分配を貫く非営利法人、b.公益性を有するが、資金源を拠出、会費、寄付等さまざまな形態に求め、利益は分配しないが、拠出金の残余額の劣後返還を可能とする非営利法人、c.公益性を有しないが、利益および残余財産の非分配を貫く非営利法人、D.公益性を有せず、理恵あきおよび残余財産の分配を可能とする中間法人型の非営利法人、の四つの類型に分類してみました。
 4つの類型の中で、最初の3類型に対しては、まず、法人税を非課税とする。そこの中で更に公益性があるものについては、寄附控除の資格を与えるというところまでいかないと、現行の制度よりも後退したものになってしまうと思います。そうすると、一体何のための改革かということにもなり得ると思います。
 それと、細かく幾つかの起こり得るシナリオみたいなことを書きましたけれども、例えば、みなし法人が非課税である現状において、新しい一般非営利法人が課税されるとなったならば、新しい法律による法人格を取得する意味はなくなると思います。 では、両方ともに法人税課税ということになると、それはまさに改悪でしかない。前向きの制度として残る道は非課税しかないのではないでしょうか?しかしながら、一般非営利法人の類型に中間法人を含めることにより問題が複雑になってきます。2〜3年前にできた法人をまた変えるのかという問題と、中間法人そのものが非常に大きな問題をはらんだ不完全な制度だと思いますので、ここにこれを含めるのか否か、きちんと考えねばならない問題だと思います。 いずれにいたしましても、公益法人になったところに、いろいろな寄附が回って税収が減ったとしても、大きな日本の国家経済の中において、ごくごくわずかな部分でしかなく、それよりもこういう優遇税制を措置するという大きな政府の決断が、日本の社会というものを活性化に導くのだという考えを、私ははっきりと打ち出していただきたいと思っております。
 税制ではございませんけれども、一番最後の6ページに、非常に気になっております判断主体につきまして、これも私見を述べさせていただきました。
 これは、この前のときも結論が出ておりませんで、現実的な方向性として審議会方式ではないかというような御意見も事務局の方からもございましたし、委員の一部にもおありになったのかもしれませんけれども、当初から独立した判断主体をつくるというのが、この有識者会議の意見ではなかったかと思います。
 審議会方式というのは、私の解釈が間違っていなければ、これは2つの段階で判断が下されるということで、これは独立した中立の判断ではなくなるということから、私は現行の審議会をそのまま当てはめることは反対であって、やはり新しいものというものを是非ここで政治判断、政治決断で考えていただきたい。
 そこの中には、前回も強く出されました地方というものをどういうようにとらえるか。地域の判断主体に委ねるという、そういう大きなシステムというものを考えなければ、新しい法律ができても、それは機能しないのではないかと思います。
 これが、一応、私の意見でございます。ありがとうございます。

○ ありがとうございました。前の方に言われた、この資料を皆さんの目に触れるようにするかどうかということについては、これは今日の記者会見でも資料として付けて差し上げられるわけですね。

● 一応、私ども審議資料としてお出しいただいたものについては、公表しているのですけれども、個別の御意見については、記者に公表するというよりも、これまでも議事録の中に入れさせていただくというのが基本的な取扱いでございました。
 今日の件については、そういうことで、記者にまでは公開を致しません。ただし、次回以降、もしも提出資料についての御要望とか、そういうのがあれば、また考えていきたいというように思っております。
 それから、この総論的な問題は、これからとりまとめを行う際にいろいろ御議論をいただくことになると思いますが、ただし、税の問題につきましては、基本的には私ども有識者会議と、それから政府税調との役割分担というのがございまして、個別の税の問題については税調の方で御審議いただくということになっています。
 この会議で税の問題を議論していただく必要はないということではございませんけれども、ただし有識者会議としての報告書のとりまとめに当たっては、役割分担というのを守らせていただかざるを得ないかなというように考えております。

○ 今の○○委員の話、○○委員が自分で書いたこの文章を全部読んだわけではないから、時間がないからエッセンスだけやられたのだと思うのだけれども、2つ当面の印象として申し上げたいことがあるのです。
 1つは、室長が言ったみたいに、私はたまたま税調に片方の足を突っ込んでいるものだから、なおのことそれが最初から頭にあったけれども、閣議決定というのがあるのだね。閣議決定で座長が、これをさばいているわけです。その中にはちゃんと書いてあるから、それは、今、彼が説明したようなことがあるので、我々の11月の報告の中に税制についてかくかくの要望をここの合意として座長がとりまとめて書くということは極めて困難だと思います。
 しかし、同時に彼が言ったみたいに、議論することは全く自由だ。結局、しかるべき時期に税調でまた、メンバーはもう決まっているけれども、そこでまた議論することになれば、そこでいろんな意見が巷にもあるわけで、特に税制改正に絡むとするならば、この問題については何も公益法人に籍を置いている人ではなくてもたくさん意見を持っている人がいるのですよ。
 恐らく税調でやるとすれば、10人ぐらいのメンバーでやるのだと思うけれども、いろんな外部の人の意見を聞いて、激しい意見からいろんな意見がありますね。従来の税制上の判断から見て、いかにも飛び離れた意見を言う人もいるから、そのことはどうぞ自由に言ってくださいと、うちは一向に構わないから。
 しかし、どう判断するか、ここから先は税調にあるからね。ここは有識者会議だから、今日来た、村上大臣の諮問に答えることになっていますね。税調というのは、総理の諮問機関だから、それは上とか下ではないけれども、そういうシステムになっているから、そのこともしっかり頭に入れて議論しなければ有効ではありませんよということを申し上げたいのです。
 最後に一言、あなたが書かれたあれを見て、税金というのは、そんなに決定的に重要な話かなと。税金、税金とこれだけ免除されると書いてあるようだけれども、そんなものかと、私は根本的に違うと思っているけれども、何か税金天国をつくれば、この中にすぽっと入ってくるというようなこととは違うのではないかと。そんな議論をやっていると、そのことで税調に押してきてもほとんど通る可能性は少ないと思いますよ。
 もっとリアルな議論をここでやるのなら、来週の12日にやりたいとおっしゃっているから、私はたまたま中国に行っているから出られないのでね、残念なのだけれども、いればいろいろとしゃべりますよ。
 入口で申し上げたいことは、家で言えば、今のような2つの家だけです。ちゃんと考えてもらわないと、それは座長さばきの話だからね。

○ はい、わかりました。

○ 私も1つだけ申し上げておきたいと思いますが、閣議決定でここに渡されていることは、非営利法人制度のスキームを検討して案を出してほしいということで、税制については、政府税制調査会が検討するということ。つまり、こちらのスキームを前提として税制の問題はすべてあちらで検討するという前提になっているように思いますので、○○委員の言われたことに、私も賛成です。

○ ○○委員のおっしゃること、○○委員のおっしゃること、それから事務局のおっしゃることは、私も十分理解しております。
 しかし、現実の問題として、中間法人が原則課税になったときに、要するに税の話は一切答申には含めないと、答申には入っていなかったから、営利法人に近いから原則課税だと、そういう事態が起こったということを私は伺っております。それが事実かどうかはわかりませんけれども、税調がいろいろな方からいろいろな意見を聴取されるように、やはり有識者会議として、この非営利法人制度の枠組みの中で、どのような税制が望ましいかという、こうしろ、ああしろということではなくて、そういう意見があったということを全員の合意文書ではないにしても、何らかの形で私は伝えていただきたいと、そういうように思っております。
 それから、○○委員の最後の点の税金というものがそんなに重要かねとおっしゃいましたけれども、実務に30年関わっておりまして、これほど重要なことはないと、そのように思っております。
 まず、原則非課税ですけれども、例えば同窓会でも結構です。会費や何かでもって自分たちのやりたいことを運営している、その会費が課税されるとなったら、もう活動自体が本当に縮小してしまうわけですね。まして非営利で公益活動をやろうというところに、そういう税の仕組みが外されてしまったら、活動というものは活発化するとは決して思いません。
 ですから、その団体が持っている活動の可能性ですとか、有用性とか、そういうものによって、お金は流れて来る、来ないという話もありますけれども、仕組みとして税の優遇による支援制度をつくるということが、決して悪いことではないし、必要なことだと、そういうように思っております。

○ ありがとうございました。

○ やはり税の議論なしに制度論をやっていても、全く意味がないと思います。非営利法人はいろいろガバナンス等もきつくなるわけですね。だけどそれは、やはりいろんな恩典があるからという前提ですから、そういうことについて、やはりこの会議である程度共通の認識をつくって、それで制度をこう改革するのだというものを出さないと意味がないのではないかと思います。

○ 一言だけなのですが、私は税の話そのものは、ここで議論すべきものは、公益性の認定の仕方と基準、それに尽きるのではないかと。
 公益性のあるものについては、税金を何らかの形で緩める、あるいは払わないという、そこはいいわけですから、公益性の認定のところを徹底してやって、そこをきちんと主張していくことが税につながることになると思います。

○ そうですね。それで審議機関のことで、審議会方式とおっしゃいましたが、私の記憶では、そういう合意はないと思いますよ。
 ○○委員があのときにおっしゃったのは、証券取引等監視委員会という新しいモデルがあるではないかと。その前に私が申し上げたのは、会計監査の新しい委員会ができている仕組みがあるではないかと。
 ですから、中立機関の仕組にとしては、審議会方式、あるいは三条委員会、八条委員会という仕組みではなくても、新しいモデルはつくり得るので、たしかそういう方向になっていたと思うのですが、それは事務局でまたよく考えていただくところです。
 以上でよろしいでしょうか。

○ 最後に、私が言った話で、彼が何を言っているかわからないけれども、要するに11月の報告に、ここで問題提起して、具体論で賛成するかもしれない。全部字に書いて持ってくるのだったら私は反対だと言っているの。閣議決定のルールに反するから。しかし、議論することは自由だと、それで閣議の外でどんどんいろんな媒体を使って宣伝することも全く自由、一向に構わない、それをどう受け付けるかは、ルール上また別の組織が考えることになっている。そういう話ですよ。
 だから、減税の話をここで議論することは、私は一向に構わないと思いますよ。ただ、そのときはバランスの取れた議論をやってもらいたい、それだけだ。

○ ということでございます。
 それでは、大分時間を回ってしまいまして、申し訳ございませんでした。第20回の会議を終わらせていただきますが、今日の積み残しを含めて、10月12日、○○委員は御出張ですが、開かせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。


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