○:委員
●:事務局

第18回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年7月28日(水)10:00〜12:30
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ それでは、まだ一部の方が遅れておられますけれども、間もなくおいでになると思いますので、第18回の有識者会議を開かせていただきます。
 能見委員、宇賀委員、河野委員は、今日は御欠席でございます。
 岩原委員は、途中から御出席になるということを伺っております。
 加藤委員は、いらっしゃるのですが、途中から退席をされるかもしれないということを伺っております。
 本日、予定しております議事、配布資料については、前回、前々回同様なのですが、一応残りが何かというようなことも含めて、事務局から簡単に御説明をいたします。

● 全体的討議の第3回ということで、資料は同じものを用意させていただいております。本日の議事につきましては、資料14ページ目の最後のエ、内部留保のあり方というところから検討をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○ そういうわけで、今日は3回目で、しかも最後でございますので、皆様に取っていただいた予備日までとうとう使わせていただいて、本当にありがたいと思っております。その最後、一応7月までの討議の最終日になります。そこで、できるだけ残された論点について、なるべく漏れがないように意見を交換しながら、今日中に一通り最後まで皆さんに議論をお願いしたいと考えております。
 ですから、ちょっと矛盾しているのですけれども、丁寧にやりながらスピーディーにやりたいということでございます。
 前回の資料の1の4ページ、ウ、残余財産の帰属、そこまで検討が終わったと考えております。そこで、今の内部留保から検討したいと思います。
 まず「個別事項討議用メモ」、資料2になりますが、その中の「内部留保の取扱いについて」というところについて、事務局から御説明をいたします。

● それでは「個別事項討議用メモ」の5ページを御覧いただきたいと思います。「内部留保の取扱いについて」でございます。まず、基本的考え方ですけれども、これまでの御指摘といたしまして、一定の手元流動性は必要という御意見の一方で、本来公益的な事業のために使われるべき資金が使われることなく法人内部に蓄積されることは望ましくないという御意見がありました。
 また、営利企業として行うことが適当な事業の取扱いとも関係いたしますけれども、本来単年度の収支において大幅な黒字を有するものではないと考えられることが、指導監督基準では指摘をされております。
 税制上の措置との関係も考慮いたしますと、適正な法人の活動を制約しない範囲内で、将来の公益的な事業の実施に必要な範囲を超えて過大な資金等が留保されるとすれば、これに対する何らかの規制が必要ではないかと考えられます。
 こうした考えから、現行の指導監督基準においても、内部留保に関する規律が設けられているところでございます。
 また、こうした合理的な範囲内の規制であれば、むしろ公益性を有する法人、あるいはこうした取り扱う仕組みに対する社会的信頼の維持や確保にも資するのではないかと考えられます。
 具体的には、規律のあり方でございますけれども、2点ございます。
 まず1点は、内部留保の定義について明確化が必要という点でございます。
 もう一点は、実態のヒアリング等を行いましたが、それも踏まえまして、内部留保の水準に関して一律の基準をすべての法人に適用するということは難しいと考えられますが、以下のポツで1つの具体案を提案させていただいております。それは、一定の基準、例えば、一事業年度分の事業費あるいは管理費等といった、1年の標準的な運営費といったものでございますが、そうした水準、あるいは現行の運用指針でございますと、その30%となっておりますが、そうした一定の基準を設けまして、その範囲を超えるような過大な資金の留保は認めないこととする。ただし、判断主体が特に合理的な理由が認められると判断する場合には、この基準を満たさないことも許容するというものでございます。
 その際、こうした過大な資金の留保を、どのように捉えるかということが問題になります。その点につきましては、いわゆる現行の内部留保の定義の明確化、先ほど申し上げたようなものによる対応、あるいは正味財産といった新たな観点からの考え方も含めまして、更に検討することとさせていただきたいと存じます。
 なお、別の考え方といたしまして、下の※にございますように、公益的な事業の実施のために資金を適切に使用しないことが問題という観点から、いわゆるペイアウトルールに類似する仕組みについて御指摘もいただきました。ただ、例えば、純資産の何%を公益に使うのかといった難しい問題がございますので、その実効性を含めまして、慎重な検討が必要かと存じます。なお、アメリカにおけますペイアウトルールは税制上の措置であるということにも留意が必要かと存じます。
 私どもの方からの説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ このペイアウトルールというのは、若干の御説明がなくていいですか。

● 以前、会議の資料で御覧をいただいたので、済みません、ここでは資料を付けさせていただきませんでした。

○ よろしいですか。それでは、御理解いただいていると思いまして、今の内部留保について、あるいは規律の問題についてでも結構ですけれども、その辺を御議論いただきたいと思います。
 現行の指導監督基準にあるのですが、これがまた解釈がまちまちであるというので、何らかの管理基準を設けるべきではないかということも考えられるかと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
 どうぞ。

○ まず、事業の実施に必要な範囲を超えて過大な資金を留保することを規制する。これは、何の異議もありません。ただ、それの実際の解釈になりますと、いろいろ問題があろうかと思います。ここの提案で挙げられておりますけれども、一事業年度分の事業費、及び管理費の合計といった基準もこの範囲であれば適正だろうと思います。ただ、実際に事業を行っている場合は、一事業年度だけでは済まない部分があります。例えば、私どもの建物は大正8年にできたものですが、これを建て替えるとなると、やはりそれなりの積み立てをしていかなければいけない。大体20年ぐらいにわたって私どもで積み立てをするわけですが、これは一事業年度という概念ではなかなか取り扱えない。ですからここにも合理的な理由が認められる場合には許容するとありまして、ここの中で読まれてくるのだとは思います。税法上なかなか難しくなってくる問題で、引当金というのがあります。引当金は、通常2〜3年で処理されますが、それがなかなか処理できないといった事情がある場合には、そういう引当金などを別にして一事業年度分の資金が必要なのだろうと思います。

○ ありがとうございました。今のお話は、仮に減価償却ようなものを認めるとすると、それで代えることができるということになりますね。

○ 新たに、例えば事務所をつくろうとかいう場合には、減価償却という概念から外れてきますので、ある程度合理性があると認められる場合には、そういうものも認める方向が必要だろうという意味合いでございます。

○ 要するに、ある基準をつくっておいて、そして、その基準を超えたものについては、説明責任というか、説明が可能であるかどうかということを判断主体になる方々が認めるかどうかということですね。

○ そうですね。決算書や財務諸表にもきちっとそれが明記できるような形のものであれば認める。

○ 他にいかがでしょうか。

○ 内部留保については、かなり技術的な問題がございますので、特に公益法人会計の専門の方に、どういう数字、バランス上、あるいはP/L上、新しい公益法人会計はもう案ができ上がっておりますけれども、それを踏まえてどこの数字をどういうように考えてどう規制すればいいかという、できれば案を会計の専門家の方に出していただいて、その上でということで進めればいいのではないかと思います。

○ これは規制するというよりは、それを超えた場合にどうするかということは、ちょっと規制という概念は余りそぐわないような気がするのですけれども。規制するなら、使ってしまえということになるので。

○ いずれにしましても、どの部分がどうなると余り好ましくないという判断なのかというところで、どの勘定科目のどの数字とどの数字を合わせたものが、ここで言う内部留保的なものということで問題になるのかということを、もうちょっと公益法人会計の専門家の方々で固めていただくのがいいのではないかと思います。

○ それから、これは私たちの直接のあれではないのですが、あるところを超えた場合に、その部分は課税対象になるかどうかという問題もあるかもしれませんね。

○ ちょっと違うような感じが、その辺も会計の専門家の方に御検討いただければと思います。

○ ここに、○○委員を除いて会計に近い専門家はいらっしゃらないのですが、どうぞ。

○ 普通の所得課税の問題ではなくて、昔、税調でそういう場合にはイクサイズを課したらどうかという議論が行われたことがありました。イクサイズというと普通は消費税を意味しますが、そうではなくて、アメリカではいろんな雑税もイクサイズ・タックスと呼ばれることがあります。不当な留保に対しては、イクサイズを課すべきではないかという議論が、アメリカであったりしまして、税調でも場合によってはそういうイクサイズを不当留保税として課したらどうかという議論が随分あったことがございました。結局答申には入りませんでしたけれども。だから、特殊な税金ですね。

○ アメリカで、その議論になったイクサイズ・タックスというのは、行われなかったのですか。

○ 一時行われたのではないかと思います。

○ 少なくとも現行ではないということですね。

○ はい。

○ いかがでしょうか。どうぞ。

○ 公益法人については、借金がかなり制限されております。経団連の場合にも、借金をするというときは、総会にかけないといけないということで、これは基本的に借金するなということになっておるわけでございますので、そういう公益法人が大きな事業というか、今、ビルの建て替えの話もありましたけれども、そういうときには方法として、これは内部留保とは言わないと思いますが、やはり資金を毎年積んでいかないとできないと。
 あるいは、つくるとなったときに一挙に寄附を得られるか、特別の会費を出してくれるかというと、今の時代そういうことは大変困難でございますので、基本的に借入金が制限されているというところが、営利法人などと違うところでございますので、そういう意味でも弾力的にといいますか、余り厳しいルールをつくらない方がいいのではないかと思ったのですが。

○ と言って、今のお話で逆に、では借入金を容易に認めるかということになると、これはまた別な問題が出てくるわけなのですね。ですから、これは現行どおりで総会で決めるということしかしようがないのではないかと思います。そうでないと、もし借入金をして、それが返済できないときには、基本財産に手を付けなければならないということになってしまって、しかもその基本財産を超えるような借り入れをしていた場合は一体どうするかというような厄介な問題が起きますね。
 ほかにございませんでしょうか。○○委員、この辺はよろしいですか。

○ 私は専門家ではないので、特にないのですが、判断主体が特に合理的な理由が認められると判断するという場合について、今、教えていただいたような積み立てのケースと、もう一つは法人の規模に応じて少しその割合が変わってくるというのと、幾つかあると思いますが、そこら辺どういうものがあるか整理していただいたらいいかなと思いました。

○ この内部留保の問題は、一面では前回最後に議論した残余財産処理の問題と絡んでいて、過大な内部留保をしておいて残余財産の処理も自由にできるということになりますと、これは公益法人としていかがかということになってくると思うのですけれども、その残余財産の処理が、そんな不当な扱われ方をしないということであれば、むしろ原則としてなるべくそれぞれの法人の順番に、将来計画に従った内部留保ができるようになった方が好ましいということは言えるのですね。
 あと内部留保の問題は、法人としての行動が妥当かどうかという事後チェックの中の項目にすぎなくて、法律上こういうことができないという話ではないのだろうと思います。

○ ありがとうございました。大体この辺が結論かと思います。
 その次、個別事項討議用メモの「規律のあり方」について議論しているわけですが、オの管理費の水準、カの財産的基盤の確保、キの株式保有、それぞれについてはこれまで皆さんが議論されたことをややまとめた形になって、考え方が示されているわけですが、こうした考え方を担保する規律というのは、一体どういうようにあるべきか。あるいは、情報開示の対象とする必要性について、引き続き検討が必要と考えられるわけですが、現時点でここに書かれたものに対して、更に付け加えるような問題について御発言はございますでしょうか。
 繰り返しますと、オの管理費の水準、カの財産的基盤の確保、キの株式保有でございます。どこでも結構ですから。

○ オとカについて異議はないのですが、このキについて株式保有は一般的に営利企業の支配を通じた制度の濫用が行われるということで、禁止、あるいは何%以上持ってはいけない、ポートフォリオに従った持ち方でないといけないとなっているわけです。
 ただ、皆さんに御意見を伺いたいのですが、私は基本的には、例えば収益部門を持っている公益法人については、その部分を切り離して、本来収益部門と本来的な公益を活動する部門とを分けて考えるのが筋ではないかと思います。そうしたらむしろ株式保有を認めて、大規模になるどうなのかよくわかりませんが、小規模な部分についてはそれを株式会社として完全に分離して、それは世の中で株式会社として活動してもらう。そして、その株式会社の所得に課税した後、改めて公益部門に寄附をしてもらうというような仕組みを考えてもいいのではないかと思うんですが、いかがなものでしょうか。

○ どなたか、この件について。○○委員、どうぞ。

○ 公益法人が基本財産の運用と申しますか、投資の意味で株式を持つということは、それはあってもよいと思いますが、子会社のようなものをつくって、そこから収益を上げようということをいたしますと、そちらが本業のようになってしまったり、あるいはそちらで大きな損害が生じた場合に、公益法人の活動が阻害されたりということがあるように思いますので、それを私はなるべく制限的にというよりは否定的に考えた方がよろしいのではないかと思っております。
 この前、公益法人はどこまでほかの事業を行うことができるかという問題が出たときに、制限的に慎重に考えるべきではないかという御意見が数多くというか、何人かの方から出されましたけれども、その問題の一環として考えるべきではないかと思っております。

○ 今、○○がおっしゃった問題は、営利部門を別会社にするとしますと、それも含めて本体での公益事業と、子会社での営利事業というものの割合について同様の規制を行うということで、ある程度は解決できるのではないかと思います。
 営利部門を子会社にする場合のメリットといいますと、経理上完全に分離されますので、非常にわかりやすいということと、それから営利子会社ですから、当然上がってくる収益についての税金については、一般の営利会社と同じ税率で課税されるということになりますので、イコール・フッティングの問題が解消されるということがあろうかと思います。
 ただ、その営利子会社が本体に寄附をするときに、今までのいわゆるみなし寄附等をどうするのだといったことは、またこれからの検討課題ですが、基本的に子会社をつくって、そこで営利事業を行って、それが本体の公益事業を妨げないと、むしろプラスになっていると、しかも公益事業を大きく超えることもないということであれば、認めてもいいのではないか、むしろ透明化につながるのではないかと思います。ただ当然、その営利子会社についても、ある程度情報開示するということは必要になってくると思います。

○ ただ、リスクはどっち道あるのですね。上場株式を資産運用のために取得したとしても、その株式が一朝にして資産価値がなくなるという場合もあり得ますし、それから御自分のところで営利子会社を設立したとしても、それが成功するとは限らないというところもありますし、○○委員、何か追加の意見があったようなので。

○ まだ、議論が進んでないのですが、移行の問題をいずれ考えないといけないのだろうと思います。日本の場合、ほとんど社団法人は、自分のところで収益事業を持たないと、公益的事業を行うための資金が得られないというのが、実際のところなのだろうと思います。
 そうしますと、そういう部分をどうするかというのを考えないといけない。そのときに、例えば、○○委員のおっしゃる意味もよくわかるのですが、その場合に現に持っているものについては、それを分社化することができる。分社化という言葉が正しいのかどうかわかりませんが、収益部門を切り離すことができるというような規定を置くことが必要なのではないかと思うのです。
 そうすることによって、従来の公益事業はそのまま続いていくし、今、問題になっているような収益部門が大過ぎるか、そういう問題も併せて解決できるのではないかと思います。

○ どうぞ、○○委員。

○ 公益法人とは全く別の問題ですけれども、7、8年前のことでしょうか、石油公団が子会社としてたくさんの株式会社をつくっていて、それらの多くは赤字であるという記事が出たことがございます。やはり子会社をつくるということが、いろんな人の配置を可能にするとか、社長さんをたくさんつくるとか、そういういろんなことが起こり得るような感じがするのです。それだったら、公益法人が会社をつくるのではなくて、全く別の会社ができて、そこから公益法人に寄附をすればそれでいいように思いますし、それから○○委員の言われたことも、移行の過程でそういう難しい問題があるということは、私も今伺っていてよくわかりましたけれども、そういう会社を市場に放出すると申しますか、売り払うというか、あるいは、全く公益法人とは切り離した形で企業経営を行うような独立の法人にして、ただし収益が上がったら寄附はしてもらうとか、そういうアレンジメントをすればいいのではないかという、そういう感じがいたします。

○ 私どもこの会議の中でも、大分公益法人のガバナンスを強化するということで、いろんな制度改革をやってまいりました。そういう意味では、公益法人が今までのように主務官庁の枠の中でずっと経営するよりは、自分たち理事、もしくは応援団を含めて、いろんな自助努力といいますか、自律的な活動ができてくるという形になると思います。 そういった中では、公益法人の公益性のある事業とともに、一定程度公益事業をするための元金を稼ぐ、収益事業の方にも客観的に言えば、相当力点も置かれてくるだろうというように、今後更にそういう形になるだろうと思います。
 そういった意味では、○○委員が言われたように、その公益法人を公益事業をやるために収益事業が非常に大きくなる場合があると思うんです。
 その場合には、実質上の法人の透明性とか、実質上の営利的な動きがしやすいような形に株式会社化をすると、その事業だけは株式会社化するということは、今後かなり可能性が高いのではないかと私は思っておりますので、規制をするというよりは、実施上それも含めてガバナンスの中でしっかりと公益法人自体が自分のチョイスができる形にしておいた方がいいと思います。
 一律規制をするということについては、反対をいたします。

○ 先ほどの○○委員の御指摘の中で重要だと思いましたのは、公益法人自身が行うことのできる事業範囲の問題の一環として考えるべきではないかという御指摘ではないかと思いまして、確かに多くの委員の方が御主張されているように、もし公益法人本体がやれる事業を、その営利的部分を切り離して子会社にするだけであれば、本体でできるのに何で子会社にできないのという疑問が当然出てくると思うのです。○○委員御指摘のように、その方がむしろある面で、会計その他の点でむしろフェアーな扱いができるという御指摘もあるところだと思います。
 ただ、一方でそういう子会社をたくさんつくって、そちらの方の活動がむしろ主たるものであって、言わば公益法人が一種の事業グループようなものになってしまって、全体として見ると確かに一番上のトップにいるところは、公益法人で公益的な活動も行っているけれども、子会社を含めたグループ全体として見ると、これは大変な事業コンツェルンになっているということになって、さっきの石油公団がある意味で言えばそんな感じになってしまったのかもしれないのですけれども、そうなると当然これはいかがかという議論が出てくると思いまして、ですから、子会社を含めて全体としてやっている事業が、まさに前に議論した営利的な部分が従たるものにとどまっているかどうか、そちらの問題として全体として判断する方がよろしいのではないかという感じがします。

○ 例えば、子会社をつくって株式の保有を認めて、そこから生まれた収益を公益的な活動に還元するという考え方と、それからやはりそれについての、それはむしろ別会社でそういうことをやった方がいいのではないかというような、2つの考え方があるということを、ここで確認させておいていただければと思っております。
 戻って、管理費の水準というのは、いかがでしょうか。管理費の水準について、管理費の総支出額に占める割合は過大であると、そして、公益的な活動、事業が適切に行われていないということになるとすると、それは適当ではないのではないか。ならば水準というのは、いかがなものを意味するのかということなのですが、この辺はいかがでしょうか。

○ この辺りは、やはり公益的な事業が適切に行われているかということが事後チェック等を含めて最大の眼目であって、管理費の水準がどうかというのは、二次的な現象なのですね。
 ですから、まず一義的には公益的な事業が適切に行われているかというところでのチェックで、それが適切に行われてない場合に管理費が過大であるとすると、それは問題だということになってくると思います。

○ ということは、例えば、公益的な事業に投下された全体の支出額がどのぐらいで、それから管理費と公益的でない部分の事業に投下した費用がどのぐらいであるか。その比率ようなものでチェックするという方法もあるわけですね。

○ でも、数字だけではないような気がするのですけれどもね。

○ これはなかなか、ほかのところでもみんなそうなのですけれども、例えば、パブリック・サポート・テストなんていうのもそうですけれども、数字だけでチェックすると、中身を適切に反映したものとは言い難いし、しかし数字的な根拠がないと、では恣意的これは多過ぎるとか、そういうことになってくるので、何かある程度の数字的な目安を示しておいて、そして先ほどのような説明ができるかどうかということになるのではないかとも思うのですね。

○ おっしゃるとおりです。

○ ○○委員、どうぞ。

○ グラントを出す立場の仕事を17年ほどしておりましたので、そのときには国際的なUNとか、ドナーでもきっちりと決めたものではないのですけれども、何となくでき上がっている合意というのがありまして、プロポーザルで予算申請をしていただくときに、管理費が全体の3割を超えるものについては、これは一言言うような慣習的な了解はあったのですが、ただし国内で活動する場合と、インターナショナルに渡航費と人件費が非常にかさむものについては、管理費が占める割合というのは変わってきました。この辺、事業のタイプ、形態によってもかなり変わると思います。
 それから、実際にチェックをしてみてよくわかるのですけれども、管理費が膨らみ始めますと、事業費の中にうまく人件費等々をすべらせてバランスを取るということもテクニカルにはできるかと思います。
 そういう意味では、余りかっちり線引きをしても、しきれないところがあるかもしれないと思います。

○ 伺いますけれども、今、国際的なドナーとおっしゃったのは、主としてアメリカのことをおっしゃっているのですね。そうでもないですか。

○ でも、国連というのはアメリカと言わなくていいと思うのですけれども、それから欧州の、いわゆるプライベートのファウンデーション、財団もそうです。

○ それが3割ぐらいね。それから、後者の費目をこっちに滑り込ませるというようなことについては、例えば、人件費をもぐり込ませるということについては、公益法人の管理会計基準が新しくできて、そこである程度の管理ができれば、滅茶苦茶なことは行われないと考えていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。それでも危険とお考えですか。

○ 危険だとは思いませんけれども、いろんな方法はありますよということです。

○ わかりました。○○委員、どうぞ。

○ そういうテクニカルな面で言いますと、例えば、人件費についても、当然事業人件費と管理人件費とを明確に、明確にとはなかなか言い難い部分があるのですけれどもある意味では区分けできるはずだと思います。事業だけに関わっている人の分は、あくまでそれは事業費であって、管理費ではない、そういう物の考え方がまだ日本の公益法人の中で、ある公益法人会計基準の中で明確にされていないと思うのです。
 それと、管理費の中で、それこそアメリカ的な考え方でいけば、アメリカのシンクタンク、例えば、ブルッキングス研究所などは、管理費を2分の1まで、50%まで上げてくるところもあります。要するに人件費が事業に関わるものであれば当然事業人件費としてアメリカの財団等は認める訳です。日本の現状に照らしてみて、何が事業費に入るものであり、何が管理費になるのかということを専門家の先生方、会計の方々ともきっちりと検討していただく問題だと思います。
 あと国民の目から見て、管理費が多過ぎるといったときに、事業の割に比べて、大変立派な事務所で、大変ゆったりとしたスペースで、たくさん人を抱えていて、やっている事業がこれだけではないかとか、そういう客観的、常識的観点から見たインバランスというものに対しての不信感が非常に強いと思いますので、一般的水準に加えて、やはり事業行為等の結果においての管理費のバランスというものが、何らかの形で示された方がいいと思います。

○ 今度は公益法人自体のガバナンスというか、その強化をいろいろ議論してきているわけでございますし、基本的にはそこで管理費が多いとか少ないとか、当然情報公開も含めてわかってくるはずなのです。
 ですから、我々の方も財務の委員会を開いて、この管理費で通るとか通らないとか、いつもやっておりますので、そこが強化されれば基本的には大丈夫なのではないかと思います。
 それから、今回、特にいろいろガバナンスを強化するという中で、そうすると結果的に理事会を開く、評議員会を開く、そういう回数が増えてくる。場合によって公認会計士の監査を入れるとかもでてくる。これらは多分基本的には管理費の中に入ってくるのだろうと思いますし、小さな団体にとっては、今回のこの会議で議論しているガバナンスの強化が行われますと、これが上がってくる可能性がかなりあるのですね。
 ですから、そういう意味でも余りここのところでガバナンスは強化する、だけれども管理費は余りは上げてはいけないとか、そういうようにしない方がよろしいのではないかと思います。

○ わかりました。大体皆さんのお考えがこれにいてはわかったと思います。
 今、幾つかの宿題をいただいておりますので、これは夏の間に会計の先生方と事務局で少し研究をしていただきたいと思っております。
 それから、もう一つは、今の○○委員の御発言のように、大きな財団と小さな財団という、ずっと私たち言い続けてきているのですが、では大きな財団とは一体幾ら以上、あるいは何人以上が従事しているのが大きな財団なのか、小さな財団というのは一体何を意味するのか、それから財団、社団、同じなのですが、例えば、10人でやっているようなところだってないわけではないわけですから、そういうようなちょうど大企業とは何か中小企業とか何か、中小企業というのはもう大企業になってしまっているから、今度は小企業を分類しなければならないのではないかということと、同じような問題をここで抱えているのです。
 これは、秋以降にこの規模の問題について少し皆さんに細かく考えていただきたいと思いますので、是非夏の間にお考えおきをいただきたいと思います。
 管理費については、大体皆さんの考えがわかりましたので、次はカ、財産的基盤の確保について、公益的な活動を行っていくための財産的基盤は必要であるというのは、これは当然であるわけですが、これについて御意見はあるでしょうか。

○ 先ほどの内部留保との関係もあるのですけれども、これから公益的な団体が活動するに当たって、その資金源の中の借入金というものに関しての融通性をある程度持たせないと、苦しい状況がまだ続くのだろう思うのです。財政的基盤の中で、例えば基本財産というものを必置とするかどうかはわかりませんが、そういう銀行等の借り入れの担保となるようなある程度手を付けない財産を一定の範囲内において認めるということは必要だと思います。しかし、その点に関して、絶対手を付けてはいけないと厳しくすることは活動の柔軟性を拘束することにつながると思います。

○ ほかに財産的基盤について、御意見ありますでしょうか。
 それでは、その次に3番目、適正運営の確保の中の「ガバナンスのあり方」について検討していただきたいと思います。ここでは、特に法人の機関のあり方について、原則として理事会や監事を必置の機関とし、ただし小規模な法人については、それらの任意の機関とすることでもできるというような方向でよいかどうか。
 それから、役員の責任に関して、受託者責任の考え方をどう取り扱うこととすべきか。または、一定規模以上の法人には、外部監査の義務づけを求めることでよいか。こういう点について、議論していただきたいと思います。
 まず、アの意思決定機関、執行機関及び監事のあり方等について御議論をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ここで例のとおり※が付いて、小規模法人については云々というのがあって、それでは小規模法人というのは何かという問題は、ちょっと今日ここで議論しておりますと、お昼までかかってしまうと思いますので、それはもう少し、例えば今の中小企業法とか、いろいろなことも含めて検討していきたいと思っております。いかがでしょうか。

○ 監事でございますけれども、現行の法人における監事というのは、中身が本当にわかる方が監事になっている団体もあれば、決算報告の読み方も御存じない方が監事をされている団体も結構現実としてあります。ですから、ガバナンスを本当にここで監事という役職の中で問うとすれば、事業の中身と合わせて資金の流れ、使い方、あるいはそういう財政というのが適正に行われているかということが、きちっと見られる方、ですから、ある一定の規模以上の団体に対しては税理士とか公認会計士とかを中心に、例えば2人監事を置くというようにしないといけないのではないかと思います。

○ そういう考え方もあると同時に、もう一つは、監事は監事として、別にある一定規模以上の法人については、公認会計士の何らかの関わり、あるいは税理士の方々の関わりということを義務づけるのか、あるいはそうした方が好ましいという表現にするのか、その2つの方法があり得ると思うのですが、そういうことでよろしいでしょうか。

○ 座長のおっしゃるとおりだろうと思います。現実には、やはり公認会計士を入れないと、監事の引き受け手もないということでございますので、理事の方もですね。

○ 経済団体連合会の実情をちょっと教えていただきたいのですが、監事は。

○ 経団連の場合には、理事とか監事というのは、やや名誉職的なものですから監事になられる方も、全部チェックしようという気はないですね。それから、公認会計士の監査を厳しくやっていただいておりますので、そういうことで実際には書類に目を通して判子をいただくことになっております。

○ 余りそういうことを申し上げるといけないのですけれども、実際には私ども関係している法人の総会にまいりますと、監事の方が何月何日に行って、すべてを実査して、帳票書類等も全部チェックして、間違いがないことを認めるというようにおっしゃいますね。だけれども、どうもその時間はないのではないかと思っているんですけれども。
 そうすると、監事というものも必要は一体あるのかという疑問があるんですね。公認会計士がきちんと付いた場合に、公認会計士の方が監事になっていただければ一番いいんですけれども。

○ ただ、公認会計士は数字のチェック、不正がないかどうかというところが主でございます。

○ そうすると、業務監査を含めての監事ですね。

○ そうですね。そういう御意見を監事の方よりいただくということはよくやっておりますし、ありがたいことだと思っております。

○ 経団連のやっていることはこれでいいのかということも含めてですね。

○ はい。

○ わかりました。それでは、続きまして。どうぞ。

○ 財団の関連では評議員を意思決定機関とするというような案が出ていましたが、この社団的な考え方の中では、あくまで会員総会と理事会が上に立つというように考えていてよろしいわけですね。

○ そうですね。とりあえずはね。ただ、評議員会そのものについては、これは私自身なんですが、別に座長としてではなくて、私自身としては機能してないと思うんですね。この前、○○委員から御指摘がありましたが、理事長を誰か決めると言ったって、評議員会が選挙したって、誰も引き受け手がないと思うんです。実際問題としてね。
 それから、もうお願いしてこの方にお願いするということをあらかじめ決めておいて、評議員会で選挙した形にならざるを得ないんですね。
 それから、私を選挙してくださいなんていう人が理事長になったとしたら、これまた必ずしも好ましいことではないと思うんです。
 というわけで、評議員会というのは、一体何をするところなのか、それまた整理しますので、秋に十分討議していただきたいと思っております。
 役員の責任については、いかがでしょうか。

○ 今回の公益法人制度改革のそもそもに戻ることだと思うんですけれども、できるだけ法律的な規制というものは緩和をして、社会的な監視によって浄化と活性化を図ろうという精神に基づけば、これは寄附者や国民一般にも責任を負うという考え方というのは、私は必要ではないかと思います。

○ 必要ですね。
 ほかに御意見ありますでしょうか。

○ 先ほども申しましたように、やはり理事になっていただくことによって、その法人への理解を増進していただくとか、その法人の活動を一生懸命やっていただくということで役員をお願いしているケースがほとんどだろうと思うので、これに下手に代表訴訟的なものが加わると、全くなり手がなくなってくるというところがあります。
 営利を目的としていないわけですし、財産の処分だとか、そういうことについては、ほとんどこういう制度を設ける理由がないわけでございますので、これを厳しく導入するのはいかがなものかという気がいたします。

○ もともと非常勤の理事の方に報酬があるというケースは、まずないと思うのです。その方々に是非お金と時間を使っていろいろ働いてくださいとお願いしておいて、そして最後にそれがいろいろ善意でやった結果が訴訟の対象になるということになると、これは引き受け手がないということは当然だろうと思うのです。
 かといって、では何でも善意でやれば構わないのかということになると。それも放っておけないような気もするのですね。

○ こういう公益法人の役員でも、非常勤的な人と、それから専務的な人とあると思いますけれども、専務的な人というのは、ある意味では日常の業務を一手に背負ってやっているわけですから、そういう場合に、恣意と言うのでしょうか、好ましくない行為があれば、やはり責任を追及するということはあり得た方が、そういう制度を少なくとも使われるかどうか、あるいは、使うべきかどうかは別として、やはりあった方がよろしいのではないかと思います。

○ その場合、非常勤の理事長はどうお考えになりますか。

○ 非常勤の理事長の場合、恐らく見過してしまっていたということが多いでしょうね。監督不行き届きで、専務的な人がいいようにやっていたということで、責任があることは確かですけれども、実質的な責任という点では、恐らくそれほど重くはないと思いますので、どうなのでしょうか、責任を追及された場合に、恐らくはその点が考慮されて、責任の結果はそれほど重くはならない場合が多いのではないかと思いますけれども、ちょっと私もその辺はわかりません。素人ですので。

○ 悪乗りするようですけれども、もう一つ世の中にときどきあることは、理事長が専断横行と言いますか、その常勤の専務理事を命令して、この金を持って来いということになってということがありますね。そういう場合と、今、私が最初に申し上げた場合と、どういうように切り分けたらよろしいでしょうか。

○ それは、何と言いますか、実際問題としてこの代表訴訟類似の制度が、どういう場合に使われるか。それから、その結果がどうなるかということでおのずから違ってくるのではないかと思いますが、分けることはちょっと難しいと思います。

○ 難しいですね。今ここで代表訴訟と言っているのは、社員の方による代表訴訟でして、社会からの代表訴訟ではないということですね。

○ ちょっと違ったアングルから今の問題を考えてみたいのですけれども、特に資金調達をしなくていい公益法人の場合というのは、やはり外部からチェックがかかりにくいです。自分の意思で活動を決定するスペースが大きくなると思います。というのは、資金調達をしなければいけないところというのは、必ずそれに対して何らかの形でアカウンタビリティーメカニズムが働きますけれども、その資金調達をしないで自己資金で活動できるところというのは、プレッシャーがかかる割合というのは圧倒的に低くなりますので、私はやはり社会の目というのが非常に重要になってくると思います。

○ ただ、どうなのでしょうね。自己資金でおやりになっていて、それで法的に不正な行為をしたら具合が悪いのですが、それで一応公益的な事業をやっていて、それで結局経理的に少しおしくなっているという場合に、チェックは一体利くのでしょうか。

○ 経理的なものというよりも、やはり公益的な活動をしていないとか。

○ いないときには、それはもう全然問題にならないですね。している限りはチェックが難しいですね。
 いかがでしょうか。

○ 先ほど座長が、大きい公益法人、小さい公益法人というお話が出ましたけれども、これからは割と小さい公益法人がたくさん生まれてくるという可能性を、私は前から発言させていただいております。
 その中で、理事にしろ、監事にしろ、実質上責任と権限と報酬が伴ってないという実態があります。その中で、この代表訴訟まで責任を問われるという形になりますと、なかなか理事長、それと理事、監事についても、なり手がないというほどではないにしても、実質上躊躇されるという方は、多くなるかもしれないとは思っています。
 ただ一方で、今の既存の大きいところについては、当然かなりの部分の、闇とは言わないですけれども、深い谷をお持ちかもしれませんので、そういった意味ではこういう制度自体がちゃんと制度として確立していないと、国民の信頼性、公益法人そのものの信頼性が損なわれるという両方の面を持っていると思っていますので、そういう意味では先ほど規模の一定程度の制限のようなところで、少しこの制度の運用をもうちょっと柔軟性を持って運用できないかというようには考えています。
 もう一つは、寄附者と国民一般にも広げるかどうかという部分については、やはり私は責任と権限と報酬というのが伴ってないという実態がある以上、余りそういう意味での広げ過ぎというのは、私はどうかというようには思っています。実態と実質で合わないだろうと思っているのです。
 ですから、余り実質上の国民一般まで広げるということについては、私としてはちょっと躊躇させていただきます。

○ ですから、理論的なステークホルダーとしては、国民全体なのだけれども、実際にはそこまで広げることは無理だということですね。

○ もともと代表訴訟は、私の専門の会社法の制度が他の法人にも大体準用されているものでありまして、法人である以上理事者が非常に不当な行為を行ったときなどは、構成員が責任を追及して法人に対して賠償させるという制度が必要だということは、多分多くの方お認めいただけると思うのですが、特に一部の法人などで、非常に極端に悪質なことも行われますから、そういうときに構成員がそういうものをチェックするための代表訴訟というのは、一般的にはやはり私は必要であるし、諸外国も大体認めていると思っています。
 いろいろ御指摘になった点、ごもっともな点もありまして、確かに理事の中にもいろんな立場の方がいらっしゃるわけですから、それに見合った形での制度にしておかないと、場合によってはその理事者の方に酷なこともあり得るでしょうということですから、それは会社法についても、例えば、社外取締役の方については、責任限定をかなり広く認めるとか、そういう理事のタイプに応じた責任の定めを商法はやっておりますので、それと同じような工夫がこの公益法人についても行うことができるのではないか。一般的に代表訴訟を認める、認めないで、どうしても時には感情的な反発も出てくると思うのですけれども、実態に合った形で制度の工夫はいろいろできるわけで、誰が見てもこれは悪質だろうというときに、代表訴訟が全くないということは、これまた困りますし、一方で確かに立場上、こういうときは余り期待できない、そもそもそういうときは本当は代表訴訟の前に責任自体がないことが多いとは思うんですけれども、責任法制の方もそういうように実態に合ったものに工夫することができますし、それから代表訴訟の責任限定も会社法も認めておりますので、そういうものにならった工夫をすれば、それなりにそんなに極端でないリーズナブルな制度ができるのではないかと考えております。

○ 今の○○委員のお話に具体的には尽きるのだと思いますけれども、もともとこの会議に求められている基本的な考え方として、これまでにいろいろ見られた公益法人の不祥事とか、いわゆる行政との癒着というようなものに対する規制強化の面と、それからもっとパブリックなことをやろうという人たちが、この分野に入りやすくしようという二面的な、もともと相反する要求を我々満たさないといけないわけですから、すべてがそこに、今のようなガバナンスのことに関しても集約されるのだと思うのです。
 ですから、それをどこで解決するのか、多分既に会社であっても、大企業と中小企業ということで、それは今までに経験してきたことでしょうから、恐らくそういう営利の中でいろいろ今まで工夫されてきたことを参考にするのが一番現実的な方策かなと私も考えております。
 同時に、現在の公益法人というのは、恐らく今からの参入者に比べると、現在の公益法人というのは小さいところでも、それでもやはり大きい、結果的にはそうなるのではないかという気がしますから、そもそも理事にそんなに立派な方を何人もということ自体が、そういう余裕もないし、なかなかそんな必要もないというところが増えてくるのではないかと。
 ですから、本当に今、小さなNPOでやっているようなところも、非営利法人の中に参入してきて、そういうものも公益性を持ってやりたい。したがって、公益法人がすごく零細規模でということが増えてくるということをかなり重視した方がいいのではないかという感じがしております。

○ ○○委員が、かなり要件をすべて御説明いただきましたし、今の○○委員の追加の補足のことで、更にそれが補強されたと思います。ただ、私は、○○委員が冒頭におっしゃった、いろんな意味で規制を強化しなければいけないということと、それからこれからのパブリックな国民の活動をできるだけ活発にしなければいけないということは、決して相反するものではないと思っているのです。
 これは両立するような仕組みをつくることができるのではないかと思うのですけれども、できたらそのように皆さんで是非考えて知恵を絞っていただきたいと思います。

○ 結論を申し上げるわけではないのですけれども、今回の議論で法人自体の理事会をどうする、情報公開をどうするというように、ガバナンスがかなり強化される。
 それから、公益性の判断主体がまたチェックをかけるということで、かなりガバナンスが強化される。
 そういう中で、また代表訴訟ようなものまで係るということになりますと、少し行き過ぎるような感がする。ですから、全体のバランスの中で検討していただいたらいいのではないかと思っています。

○ そういうお考えもありますけれども、ここではどちらと決めることはないと思います。
 次のところなのですが、これはもう議論するまでもないと思うのですが、ウでございます、外部監査について一定規模以上の法人には外部監査を義務づけることでよいかと念を押してあるので、よいということであると思いますが、何か違った意見をお持ちの方いらっしゃいますか。
 これは、今まで議論してきたことだと思います。ただ、一定規模以上というのをどうするかというのは、先ほど私申し上げたとおり、もう少し考えてみなければいけないということだと思います。

○ ですから、こういう外部監査を義務づけるということであれば、それに加えて代表訴訟まで、ちょっとしつこいですけれども、そういうことまで必要かどうかということですね。

○ いろいろ理論武装があるわけで、よく頭の中に入れておきましょう。
 次に3なのですが、「適正運営の確保のあり方」の中の情報開示のあり方について検討していただきたいと思っております。この情報開示も、前に何回も皆さんであれしたことですが、おさらいでございます。ここでは、現行の指導監督基準上、一般の閲覧に供することとされている資料、あるいは判断要件となり得る項目のほかに、社員総会や理事会の議事録を含め、社会監視の考え方から更に情報を開示すべき項目は考えられないか。
 その際、プライバシー保護の観点から社員の住所については、社員の住所ばかりではないと思うのですが、社員の住所については一定の配慮をすることが必要でないかというような点についての御議論があれば、是非伺いたいと思います。
 今、申し上げたとおり、この点については、随分何回か皆さんお触れになっていただいたところなのですが、更に追加がございましたら。
 こういう考え方でよろしいでしょうか。では、大体この辺の考え方を中心にたたき台をつくっていきたいと思います。
 次に、3番目ですが、「適正運営の確保のあり方」の事後チェック、つまり監督というか監視というか、それのあり方についての検討をしていただきたいと思います。
 国民一般による判断主体に対する通報の仕組みについては、運用上の対応とすることも考えられるけれども、一定期間ごとに公益性を見直す仕組みとして、更新制を含めどのような方法が望ましいかということであります。
 まず、監督の具体的措置内容についての御議論がありますでしょうか。
 全部一緒にして議論していただいても結構なのですが、その次が国民一般による通報の仕組み、これは前にイギリスのチャリティーコミッションのときにお話がございましたね。
 それから、次に一定期間ごとに、例えば、2年ごとか3年ごととか、あるいは毎年とか、公益性が確保されているかどうかということを見直す仕組みについての御意見はありますでしょうか。いかがでしょうか。
 一定期間ごとに公益性を見直す仕組みというのをつくれば、監督の具体的内容というのは、そこにある程度そこに盛り込まれることが当然だと思うのですが、一定期間ごとに公益性を見直すような仕組みについての異論というか、反対という御意見はありますでしょうか。

○ 反対ということではないのですけれども、どれだけ公益性のある非営利法人ができるかという数にもよるのですけれども、実際問題、例えば、1万、2万というようになったときに、例えば判断主体の本部が東京にあって、各地方にそういうものをやってくださるところがあるとしても、2年ごとぐらいに本当にきちっとしたことが見られるかどうかというと、かなり非現実的な数字になってくるのではないかという気がいたします。
 そういう意味では、情報開示の中できちっとしたものが開示されているか、いないかということをある一定の年限、例えば5年間ぐらいでそれがきちっと出ていれば簡単な見直しで済むけれども、例えばこの年に決算報告が出てないとか、理事会の議事録がないとか、開催されてないというように、一定の要件が満たされてないところについては、立ち入り検査等を行うというくらいにしておかないと、実際問題非現実的になるのではないかと思います。

○ 私、2年と申し上げたのは、仮定の数字でありまして、必ずしも2年ということではないので、5年ということでしたらそれもあり得ることだと思います。ただ、それでも、今の○○委員のお話は、5年間にさかのぼっていろいろなものが整っていて、きちんとした活動をやっているかどうかということをレビューするわけですから、それはやはり一定期間ごとの見直しということになるかと思います。

○ 公益性の判断は、永遠ではないという建前を貫いていけば、定期的な更新というのは、今、○○委員おっしゃったように、この監督機関でどの程度の人員が許容されるかということとも関係してくると思うのです。相応の人数の体制が、国民の同意が得られてそれでいいということになれば、その更新制度というのも運用可能でありましょうけれども、実際上何万という数になったときにできるのかどうかという、実際上の懸念が生じてまいりますので、効率から考えると定期更新というよりも、公益性の判断は永遠のものではないと、いつでも見直しできるのだということで絶えずチェックしていくということで対応していくということかと思います。

○ これは仮定の問題なのですけれども、確かに1万になるということが1つの目標であるかもしれませんけれども、例えば、今度の新しい非営利法人制度ができたとして、2階建て部分が突然1万になるということはなさそうだ思うのです。

○ もし1万にならないとなると、これは制度の後退だと思います。現行の、今の公益法人がそのまま移行するということではないのですけれども、新しく参入する分も含めて、かなり幅広く公益性のある法人が新しい中で認められるべきだと思います。そこを目指さないといけないのではないかと思います。

○ 私が言ったのは、今の公益法人を除いてなんですけれども、新しいものが突如1万来年からできるかとか、そういうことはないのではないかというように思ったのですが。

○石川委員 更新制度ということになりますと、既存の分も含めてということになれば、既存の2万6,000 の公益法人プラスNPOが今1万7,000 ぐらいですか、その中からこちらに入ってくる方、あるいは新設の公益法人で入ってくることを考えますと、累積残としては比較的短期間の間に数万という単位になると思うんです。
 それで、3年か4年か5年かで更新といっても結構な数になって、これは実際やるとなると大変ではないかと思います。

○ 私は、この場所の役割に常に立ち返らないといけないと思うのです。やはり原理原則を決めるのが、我々の与えられた一番大事なことだと思いますから、その原理原則から言うと、更新制というものは当然の話、そこからすべてはスタートしていると思いますから、あと運用がどうかこうかというのは、それは大事な話ではありますけれども、あくまでもそれは行政当局の話であって、それは行政の仕組みをどうするかということの1つであると思います。

○ つまり事務局の課題であるということですね。それで、原理原則から言えば、今、○○委員の言われたことについては、2つの要素があると思うのです。
 1つは、あるとき公益性があると思って始めた事業が、10年経つとそれではもう公益になってないという、ですから、善意で自分たちは公益でやっていると思っても、世の中から見ると必ずしも公益ではないのではないかということがあると思います。
 もう一つは、公益性のある事業をやっていくという定款のようなものをおつくりになってやっているのですが、実際にはこの事業はそこから全く脱線しているという、その2つのことがあり得ると思うのです。
 ですから、どっちにしても、今、○○委員が言われたように、ここの会議としてはそれがやはり原理原則として言えば、確かめていくことが必要であるということになると思うのですが、技術的な問題については、また別な話です。

○ やはり今までの主務官庁の指導の下に許認可でできたものが、準則主義という形に変更になった形での公益法人ができてきますので、○○委員が言われるように基本のところではこの一定期間ごととか、あとは事後チェック機関の大きさと、数は別としても基本的なところではこの一定期間の更新を必ずするということは、ここでは提案を是非していきたいと思います。

○ 更新という言葉が、人によっていろんなニュアンスがあるかなと思います。例えば5年なら5年だけ公益性を認定して、全くまたゼロからスタートして更新になるのか。例えば、プロ野球の監督とかサッカーの選手のようなイメージでいくのか。それとも本来は長く続いていくのだけれども、そこで毎年のチェックに加えて重点的により重いチェックをするのか。両方あると思うのです。
 それを含めていろんなやり方があるわけでして、例えば、3年とか5年の期限付きの公益性の認定という仕組みも、勿論考えられはすると思うのですが、少し固くなってしまうように思いますし、また、更新時だから判断主体が簡単に更新を否定できるというような議論は、それほど現実的ではないという気がいたします。
 それから、公益法人の長期的な事業なども考えますと、やはり当然にその期間が来ると切れてしまうというよりも、むしろ普段のチェックを重点的にして、かつ何年かに一度より詳しいチェックをするという辺りがいいのではないかと思っております。

○ 私も○○委員の御意見に賛成でして、本来更新が必要なのは、公益性を確認するために必要なことなのだと思うのです。
 そのためには何年かに一遍更新という形を取らないといけないのかどうか、あるいは今回第三者機関ができるとすれば、そこへの通報制度ですとか、そういうものによって、やはり毎年検査をしないといけないところも生じるでしょうし、あるいは5年に一遍のところがあってもいいでしょう。明らかに問題ないというところは柔軟に対応しても、それはそれで構わないと思います。
 一律に、2年に一遍、3年に一遍やらなければいけないという必要性はないのではないかというように考えます。

○ ありがとうございました。前の○○委員のイギリスのチャリティーコミッションの視察の中で、社会から何か怪しいのではないかというように通報された場合に、それを調べるというのがありましたね。

○ ございました。それと、あそこは職員が確か600人弱で19万弱の対象のチャリティーがありますので、かなり規模の大きなところを主にやっているということを言っていました。余り細かいのをやってもそんなに意味がないと、ただ通報があるのはチェックするということで、やはり効率を考えてやっているということです。

○ 今のに追加させていただきますと、例えば、総収入が200 万円以下のようなところについては、全部やらなければいけないという性質のものではないと思うのです。200円万が100円万でも構わないのですが、そういったところについては、自由に活動をさせておいても、実質的な問題というのは生じないのではないかという気がいたします。

○ これは、規模の問題のところで、いずれにしてもまた、先ほど話したように、秋に一体規模をどのぐらいまで何を要件とするかということを考えなければならないと思います。

○ 今、寄附について免税団体となる、ならぬというのがございますね。これを維持するというのは、かなり大変なんですね。もういろんな形で2年に1回ぐらいチェックを受けますので。

○ それは特増の場合ですね。

○ そうですね。これが、団体の存続に関わるような更新制度になりますと、しかも期限というかインターバル期間が短ければ、何か馬車馬のようにずっとやってないとどうしようもないというような状況が生まれかねませんので、そこら辺は団体の実態というのも御理解いただければと思います。

○ わかりました。○○委員、どうぞ。

○ 言葉尻をとらえるわけではないのですが、○○委員も御苦労はされているのだと思いますが、私も零細な団体で、これはもう毎日馬車馬なんですよ。ですから、私はそれが現実だということも含めて考えないといけないと思います。ですから、それはむしろ、この更新制をどうこうではなくて、むしろ特増、今は特増というとても固い仕組みになっているわけですから、寄附を含めてもっと緩めるということと、それとその次に、しかしそれをときどきチェックしてないと緩んでしまうからということだと思うのです。それが、さっき座長がおっしゃった、締める部分と両立しなくはないという、そこの知恵の出しどころだと思うのです。ですから、私は更新制という言葉よりも、本来は公益性があったときにそれが世の中から認められるというのが本来の形であって、何か得たものを更新するという発想では、本当は違うのではないかと。
 ただ、それはもう言葉の問題ですから、公益法人になったところが次にどこでチェックされるか、それを更新制と呼ぶのはいいと思いますし、ただではどういう仕組みでやるかということについては、これも先ほどの○○委員がおっしゃった、企業の仕組みにもいろんな参考にするところがあると思いますから、私はそれは法人側に立ってどういう仕組みをするかということを考えるべきであって、余り行政の手間がどうかということは、それはかなりの程度の行政が考える話ですから、という意味で原理原則をきちんとしておけばいいんではないかと。
 例えば、税務調査を例に出すというのは、余り好まれないかもわからないですけれども、税務調査にしても、やはり行政側のコストパフォーマンスを当然税務署は考えているわけですから、さっき○○委員おっしゃったような、200 万、300 万というところは、まあ大丈夫だろうと、そうめったに行かないわけですし、優良法人になればかなり期間があくわけですし、そこはいろんな仕組みの組み合わせではないかと思います。

○ 大分議論を尽くしていただきましたので、眼目でございます「4.判断主体のあり方」に移りたいと思います。ここでは、判断主体の検討に当たって、判断要件の客観性・明確性をどのように確保するか、公益性の判断主体には公益性判断のほか、不服申立て、事後チェックといった機能のうち、どのような機能を担わせるか、現行公益法人の移行措置を、どのような仕組みで行うか。行政組織の膨脹抑制の観点もあります。以上を踏まえることについて、確認的に御議論をいただいて、具体的な判断主体のあり方について御議論をいただければと思います。
 前提として、今、各省庁に任せられている判断を一元化するということについては、大体皆さん御理解があると思いますので、それならその判断主体というのはいかにあるべきかということであります。これも前に○○委員からもお話がございましたが、更に付け加えることがあればということです。

○ 2点、異なったコメントを申し上げます。
 1点目なのですが、公益性の判断と事後チェック、これはいずれも必要な機能だと思うのですが、これを一か所で両方の機能を担うというのは、私は危険性を伴っていると思います。これは同じ組織の中でも独立させる何らかの牽制行為が働くということを考慮の上に、この2つの機能を持たせることが必要になると思います。
 2点目ですが、これは今までの議論の中でも、何度か出ましたけれども、いわゆる指導をする、監督をするということではなく、アドバイスをする。つまり判断をしたときに、もう少し改善点があるということについて、これはアドバイスをして相手の改善なり向上を促すという姿勢と機能が必要であると思います。

○ ありがとうございました。大変重要な点を御指摘いただきまして、ありがたいと思っています。
 ほかにございませんでしょうか。
 今、申し上げたのですが、事後チェックについては、もう既に先ほどさんざん御議論いただいたわけですから、現行の2万6,000 の公益法人の移行措置をどのような仕組みで行うかということについての御意見は、どなたかございませんでしょうか。

○ まだ、考えなければいけないという意識だけで、具体的な答えは出ておりませんが、財産移行の問題とかいろいろあって大変難しいですね。

○ そうですね。では、当面は両方が並列するわけですから、新しい方式ができたときに、全部そのまま移行するということはないと思いますから、それをどのように移行させるか、その仕組みについてアイデアがあれば、どうぞ。

○ 公益性の判断については、新しい判断主体が行うということに決まりますれば、ある程度期間を置いて既存のものについて順次判定していくというのが、一番現実的なことだと思います。

○ ほかに御意見ございませんか。○○委員、何かありますか。

○ この移行の問題は非常に難しい問題だろうと思います。まず、1つは自分から公益性を放棄するというところが場合によってはあるかもしれないですね。

○ もう役目は終わったと。

○ 役目は終わったという場合と、営利法人になりたい、あるいは一般非営利法人の方に入りたいということが実際問題としてある。ただ、法人組織そのものは維持したいという希望があると思いますので、まず移りやすい仕組みをつくらないといけない。これは税法とも絡んでいて、恐らく非常に難しい問題があると思います。
 私どもは社団なのですが、総会を1年に一回しか開かないものですから、意思決定が遅いということで、財団に変えたらどういうことになるかということで検討したことがございます。
 検討の結果、新法人は消費税が3年間免除されるということがあって税法上の問題はなかったのですが、一般のところでやるとかなり難しいなという気がいたしました。その仕組みを一つつくらないといけない。
 それから、移行の場合に、ここで規模を言うとまた叱られてしまうかもしれませんが、小さな規模のものについては、自動的に公益法人になりたいというところは移していくというぐらいの決断が必要ではないかと思います。そうしないと、実際上移す場合に、全部やっていたら、2万6,000 もあったら恐らくできないし、また併せて一般非営利法人と同時に申請をするところもあろうかと思いますから、これは難しいと思います。
 ただし、大きいところについては、やはり相談を少し早めにやるということが必要なのだと思います。1、2年の経過期間は置かれるのだろうと思いますが、その間の相談窓口を設けるなどの配慮が必要だと思います。
 結論として、今の公益法人は公益法人として残りたいというのが一般的な思いであろうと思いますから、そっくりそのまま移行というと言葉は悪いのですが、一応の審査をかけて、それでOKということになれば、移項させる。事後チェックがその後どれだけ生かせるかというところが、勝負どころだろうと思います。

○ 技術的な問題を含むということですね。移行そのものについては、当然のことであるということですね。

○ この問題は、恐らく実際問題としては一番大きな問題で、今度の改革の成否がこれにかかっているのかもしれないと私は思っています。要するに、角を矯めて牛を殺すということにならないように、賢明に考える必要があると思いまして、そういう意味では甘いかもしれませんが、現在の公益法人で、公益的非営利法人として存続することを希望するものについては、例えば、3年間なり、5年間なりに限って、新しい制度の下で公益的非営利法人として判定されたものとみなすというようにして、そして3年間なり5年間なりの間に改めて申請をして、判定を受けると。
 甘いかもしれませんが、そういうようなやり方が恐らくは賢明なのではないかという感じがいたします。

○ 大変実際的な移行の手順を教えていただいて、ありがとうございます。

○ ○○委員おっしゃいますとおり、この問題は実際には非常に大きい問題だと思います。ただ、この問題を今回の制度設計の中に入れてしまいますと混乱するからということで、あえてこれまで切り離してこられたのだと思いますが、実際上はもうそろそろ考える時期かなと思います。
 その際に、当初、○○委員がおっしゃいました財産移行をどうするかという問題があって、特に現在の公益法人から最終的に新しい制度の下での一般非営利法人、あるいは営利法人になるというときに、従来持っていた公益法人であるがゆえの財産をどういうようにするのか、営利法人に引き継いでみんなで分けてしまうということだと、やはりまずいのではないかという問題があって、検討が必要になると思います。
 そうしますと、やはりどれだけの移行期間をかけてやるかというのが、実際には大きな問題で、先ほど○○委員から3年から5年というアイデアが出て、それは非常に具体的でいいと思っておりますが、どのぐらい長く、例えば10年ぐらいかけてやるのか、それとも1、2年でやるのかで随分制度設計も変わってくるかなというように思います。
 それから、○○委員のアイデアについて、1点もしお聞きするとすると、3年から5年経って、新公益法人とみなされなかった場合にどうなるのか、そこも更に検討が必要かなと思います。

○ 今、3年か5年か10年かというお話がありましたけれども、私の個人的な考えでは、今、世の中ものすごく急速に動いているので、何も1年、2年でやる必要はないけれども、10年はかけることはないと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○ 私も10年は長いと思っているのですが、ただ、どこまで強制できるかということだろうと思うのです。新しい制度に移らないということを、どこまで許すのか。

○ 移らないということはないのではないですか。

○ 既存の法人形態のまま残るということを許すのか、許さないのか。もし許さないとして、必ず。

○ それは、先ほど○○委員言われたように、とりあえず許して移行させるという、それで5年なら5年の猶予期間の間に再申請、あるいは再チェックが行われるというのが、○○委員のお考えだと思います。

○ そういう方法もあると思いますが、今の前提は既存の公益法人というのは、自動的に仮免許が与えられるという制度設計だと思うのです。そういう方法もあるでしょうし、やはり普通の免許の申請をするという方法もあるわけで、多分いろんな方法があって、かつそれをどこまで強制できるのかということとも絡んでくると思います。

○ これはひょっとすると、ワーキンググループの方でもう少し学者の皆さんのお考えをいただく方が適切かもしれませんね。それから、事務局の宿題でもあると思います。
 ほぼいろいろなことを皆さんの御意見をいただきましたので、最後に「5.その他」というところについて、最後の御意見をいただきたいと思います。

○ その前に、具体的な判断主体として今、挙がっている、行政委員会とか審議会とか、そこについて論議はされないのですか。

○ これは、前にいろいろ皆さんの御意見をいただいたことでして、具体的な判断主体をどのような形でつくるかということは、判断主体をつくるということに皆さんの意見が一致していると思いますので、その判断主体のつくり方については、具体的に言えば、例えば3条委員会でやるとか、8条委員会でやるとか、あるいは独立の委員会組織にするとか、いろいろあると思うのですが、それはむしろ政治的な問題でありまして、事務局で皆さんが適切と思われるような機能を満たす組織は何か。それから、もう一つは先ほど石川さんからお話がありましたが、イギリスの場合は600 人の組織でもって18万件のチャリティー組織を維持しているということになると、例えば、そういった観点からどのぐらいの組織が、どこにどうつくるべきかという検討を事務局の方でされると思うので、それは秋以降に出てくると思います。

○ さはさりながら、やはり今、提示されている3つに対しての、それぞれの特性とか、いろいろな問題があって、ここにいるメンバーとしてどれが一番理想と思うかということについて、この会議として提示してはいけないということはないと思いますし。

○福原座長 もし御意見があれば、どうぞ。

○ 私は、一番の行政委員会であってほしいと思っております。行革ですべて縮小しなければいけないという中で、新しいものをつくるということの難しさは十分に理解はできますが、しかしながら、新しい時代のニーズに合ったものをつくってはいけないというのが、行政改革の判断であるというのもおかしいことだと思っております。ここは、政治決断をしてほしいところです。
 不要なものはなくし、新たに必要なものはつくる、そういう中でこの新しい判断主体というのは、新たなものとして提案すべきものであると思います。
 なぜ審議機関ではいけないかというと、ダブルスタンダードとは申しませんけれども、審議会で判断したのとはまた別に、その上にある大臣が判断する、そのために、大臣を補佐する行政機関の判断と2つの判断というものが出てくる。そうすると、今までここでうたってきた独立性というものが失われる。
 したがって、私は、この第三の道の3つはまずなくて、やはり新たなニーズに合った行政委員会をつくっていくということを提案したいと思っております。

○ わかりました。それはたしか○○委員の前の御意見と同じですね。

○ はい、賛成です。

○ ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○ この組織のイメージなのですけれども、私が持っているイメージというのは、チャリティー委員会のように国に1つしかなくて、そこで600 人の方を抱えるというものではなくて、逆にこれから出てくるところは非常に地域の公益を担おうという、非常に普通の方が公益法人になっていくという形なものですから、それの判断をできるところという意味では、現場に近いところに判断主体を是非置いていただきたいと思っております。ですから、国に大きいのが1つあって、地方の人もすべて国の1箇所に申請と言いますか、判断基準を求めるということではなくて、7ページに「なお」と書いてあるのですけれども、なお地方ということではなく、もともと地方に最初に与えるべきものだろうと思っていて、その全体で、例えば、全国の公益法人になりたいという全国区であるときには、国の大きいところにいきますが、実質上はまさに地方に最初から持つべきものとして判断主体を置いていただきたいと。
 ですから、判断主体がたくさんあるというイメージで私はこれをつくっていただきたいと思っています。

○ 判断の条件が明確に示されていれば、それを国がメインテインしていけば、地方で判断していただくことは十分できるということですね。

○ そうです。ですから、このペーパーの「なお」というような書き方自体は、もう既に国そのものが。

○ 前に議論したところですからね。

○ ですから、この文書そのものが納得行かないという感じですので、是非よろしくお願いいたします。

○ 一昨日だか、イタリアのボーヴァ大使が地方分権について、読売新聞で大きな記事を載せてもらいましたけれども、イタリアはだんだん地方分権に急速にシフトしつつあると、その理由はできるだけ住民の人たちに近いところで決定を行うべきだということが原則になって、イタリアは地方分権に移っているのだということを言われておりましたけれども、それと似た話だと思います。

○ この3つの組織のうち、私は個人的には行政委員会が一番いいと思っております。ただ、もしそれが難しい場合には、審議機関という考え方になってくると思いますけれども、事務局にいろいろ調査、検討をお願いしたいのです。仮に審議機関ということになった場合に、制度の内容及び運用の両面で、どこまで行政委員会に近づけることができるかということですね。
 例えば、委員は審議機関であっても、個別の制度ごとに、例えば、国会の承認案件にするとか、そういうことによって権威を高めることも可能だと聞いておりますし。
 それから、もう一つは、行政委員会の特色というのは、規則制定権と不服審査権があるということなのです。そうすると、審議機関にした場合に、法律でどういう場合に公益的なものとして判定するかという一般的な規定を設けるとして、更に審査する場合には、より具体的な基準、そういうものをつくらなければならないと思うのですが、そういう基準の設定のようなものがどこまでできるのかということですね。
 それから、審議機関の中に3つの分科会を設けて、1つは判定を行い、2番目は事後チェックを行い、3番目は不服がある場合の審査を行うと、そういう分科会を持った審議機関というのは考えられるのかどうかとか。

○ 恐らく具体的にはそういう機能が必要になるでしょうね。

○ そういうようなこととか。それから、事務局は審議機関の事務局ではなくて、恐らく大臣の事務局が審議機関を手伝うというのが普通の審議機関のやり方だと思いますが、その辺をどういうように按配するか。これは多分に運用面の問題になってくると思うのですが、そういうこととか、その辺少し制度的にどこまで可能か、あるいは運用上どこまでフレキシブルにできるかということを御検討いただければありがたいと思うのですが。

● 直前まで、まさにその行政組織の管理をやっておりましたので、今の○○委員のお話、それから○○委員のお話を踏まえまして、より具体的な検討資料というのを、この夏の間によく考えてみたいと思っております。
 基本的に申し上げたいことは、政府としては行政組織の膨張抑制というのを非常に厳しくやっておりまして、行政組織をつくる場合にはスクラップ・アンド・ビルドと、どこかをつぶしてしか新しいものをつくらせないということをやっております。
 最近の例で申し上げますと、法務省に人権委員会という人権行政をまさに統括する行政委員会をつくる決定をいたしておりますが、そのときも司法試験を管理する別の独立行政委員会がありまして、それを廃止してつくるのだという、そういうスクラップ・アンド・ビルドの考え方でやっておりまして、独立委員会をつくる場合に果たしてそういうスクラップがあるのかどうかという、ある意味では公正取引委員会のようなものをつくることになるものですから、委員会だけではなくて独自の事務局、あるいは地方機構を持った組織を、恐らくこの行政委員会としてつくる場合はつくらざるを得ませんので、そういうものを言わばつくり得るような、逆に言えば整理をすべき、整理できるような組織があるかどうかという大問題がございます。したがいまして、厳しい、難しい話であるというように申し上げてきているところではあります。
 一方、いろんな工夫がありまして、審議機関でも、例えば、証券取引等監視委員会とか、あるいは原子力安全委員会ですとか、あるいはこの前つくりました食品安全委員会のようなもの、これは審議機関ですが、したがって実施の事後チェックの面は持ちませんので、地方機構等を要しませんから、そういう意味で言えば割とつくりやすいという面がございます。そういうものでも、原子力安全委員会、食品安全委員会、あるいは証券取引等監視委員会のように、かなりそこの判断が最終的な判断になる。あるいは、それにのっとって行政が動かなければいけないというものもございます。それはつくりようであろうかと思います。
 更にその中で、委員おっしゃいましたような、不服審査や何かを合わせてやる。あるいは、独自にやるというような審議機関をつくるということも勿論可能でありまして、情報公開審査会というのがございますが、各省大臣がそれは出せないと、公開できないといった場合に、そこに不服審査を請求いたしますと、そこで出せという判断になれば、これは大臣が従わなければいけないというものもございまして、それはつくり方であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど座長がおっしゃられましたように、委員方の御議論の結果として必要とされる機能をいかに組織面において実行できるようにするかということでありまして、それを非常に厳しい組織管理の中で工夫をして、必要に応じては事後チェック等について既存の組織の活用もしながら十分その機能を果たせるような組織を検討していかなければいけないと思っております。

○ もう一つよろしゅうございましょうか。今、○○委員がおっしゃったことですが、私もことによるとそういうのが時代の趨勢なのかなと思っているのですが、ただ、そうするとスタンダードが、中央と地方とで公益性判断のスタンダードが違ってくる。場合によっては、都道府県四十幾つあるので、それごとにスタンダードがあるというような制度がいいのかどうか。
 それから、ある県でつくったのが、ほかの県でも活動して、どんどん全国的な規模に広がっていくということだってあり得るわけです。いい公益法人だったらそうなる可能性があるわけなので、その辺は一体どう考えたらいいのか、ちょっと○○委員のお話をお聞かせいただければ。

○ ○○委員の前に○○委員から先に。

○ そうですね。これは○○委員の問題でもありますね。

○ 今の最後の点なんですが、その前に○○委員の御発言について、私は全くそのとおりだと思います。ちょっと順序がいろいろになりますけれども、まず私は行政委員会と審議機関、@、Aのどっちがいいかということについては、先ほど申し上げましたように、原理原則ということで言えば@の方が優れているのかもわかりません。しかし、一方で私も公正取引委員会で勤務した経験がありますけれども、やはりこれもここですべてを決めるとなると、やはり非常に集権的な行政機関になってしまうわけです。それと、もう一つは、今、○○委員は御担当かどうか知りませんけれども、経団連といろいろやっているように、1つの官庁になってしまうわけです。一方で、官庁としては非常に小人数の弱小官庁なのです。そうすると、独立と言いながら、なかなか政治的な圧力を排除しながら、本当に独立していくというのは、実はすごく難しいということにもなるものですから、余り幻想を持たない方がいいのかなというのが1つです。
 それから、2番目に事務局がまさにここは御専門ですけれども、スクラップ・アンド・ビルドでいくと、この前座長もおっしゃいましたように、よく行政の人数の手間のかかり方で、人日という計算をします。これでいくと、今、実際にはいろんな行政所管官庁で、この公益法人に関する仕事をしているわけですから、その人、日で掛け算し、合計して、そのスクラップ・アンド・ビルドでいくと、理屈の上では各省でかかっている人間を集めて、1つの行政組織をつくるのだということで言えば、そういう発想をしないと、なかなかスクラップする場所がどこにもないではないかということになるものですから、そういう観点も含めて是非事務局としては強く主張していただきたいと思います。
 最後に地方の問題ですけれども、これは行政組織全体と関わるわけですけれども、1つ中心になる、@であれ、Aであれ、Bであれ、中心になるものをつくって、それが主たる機関であって、地方のものはあくまでも地方部局なのだとすると、どうしても特に時間が経てば集権的になって、判断も画一的になるというのは避けられないと思います。 ですから、やはり最初から地方でやるということを考えるべきではないかと。そうすると、結果として東京にある機関というのは小さくて済むと思いますし、そこの役割分担を考えないといけないと思います。
 現在の仕組みですと、活動する場所が一地域であれば、それは県で判断する。それから、それが全国的なもの、あるいは複数の地域に広がりを持つものであれば、東京の所管官庁でということになっていますけれども、それはそうではなくて、複数の場所で活動するにしても、それは主たる活動の地が、例えば、山梨であれば山梨で判断するというようにした方がいいのではないかと。
 最後に、○○委員の今のお話ですけれども、私はスタンダードが変わるというところに大事なところが、やや理想論にすぎるかもわかりませんけれども、公益性のスタンダードが変わるというところにこそ大事なポイントがあるのではないかと、それが本来の分権というものの意味ではないかと、そこは大変行政側から見るとそんなことはだめだということになるわけですし、今度は国税が免除になるというときに、国税が地域によって違う判断できるのかということはありますけれども、そこはまさに私はチャレンジではないかと思っています。

○ ありがとうございました。大変重要なところを御指摘いただきまして、○○委員から、とりあえず○○委員に対するお答えをお願いいたします。

○ もうほとんど○○委員に言っていただきました。現場を見ておりますと、小さい公益法人ができてくるという形になりますと、それぞれの地域地域によって、もしくはやり方によってミッションは全く違ってきています。ある部分では、それが公益であったり、地方では行政がやっていたりという形で、公益をやる主体そのもののオーバーラップ、それと実際上の公益の事業がかなり違ってきているという形になりますので、そういう意味では○○委員、大変申し訳ないですけれども、地方によって公益は違うというように私は見ています。それを逆にできるからこそ、今は地方分権であり、これだけの公益法人の委員を集めて、ガバナンスを強化していくという意味で、やはり自律であり、自主決定ができるというところに、実はこの公益法人改革の根本的な役割という意義があると思っています。
 ですから、小さい、それぞれの地域にある事後チェック機関が、多くあればあるほど、実質上公益法人を見る方がその公益法人に関心を高める、更に透明性のあるチェックができると思いますので、その辺のところは是非一度三鷹というところに来ていただければ、いろんな方がいらして、その地方地方によっていろいろな考え方の方が自分たちの公益を自分たちで判断してやっていくんだというところに、私はこの日本が動いていくだろうという胎動を感じますので、是非それを実現してあげていただきたいと思います。

○ ありがとうございます。現実に、これはこのケースと全く同じとは言えないのですが、NPO法人の認証というのは、各府県に任されていて、2つ以上にまたがる場合は内閣府ですけれども、それによって何か問題が起きているということはどうもなさそうなのですね。ですから、この問題は今、○○委員の言われたような、1つの新しいものの考え方を、理想に対してどこまで現実との間で妥協ができるかというところを追及すべきだと、私は考えるのですが。

○ あともう一つ忘れておりましたけれども、○○委員、○○委員の大きい財団は、未来永劫ずっと継続性があるということで、非常に継続性を重んじると思うのですが、今、私どもが現場で見ておりますと、時限的な公益法人をつくろうという方もいらっしゃいます。それは、自分たちのある一定の対象の範囲の方が一定程度でもうなくなるとか、子どもたちが大きくなるからとか、逆に自分たちがもう年老いていくので、これについては一定程度の、10年なら10年というミッションを持った公益法人でいいのだというようなところで、最初から10年という期間を決めてつくられるという方も結構出ていらっしゃっていますので、そういった意味では公益性の継続という部分も含めて今かなり変化してきているのではないかと思います。

○ わかりました。さっき○○委員が、どうぞ。

○ 私も地方を重視すべきだというのは全く賛成なのですが、ただ○○委員が多分御懸念になってらっしゃるのは、国税との関係がどうなるかということを考えてらっしゃるのだと思います。
 そこで、このペーパーですと何か中央の判断主体がメインで、それで地方の方が付いているという感じですが、実際には地方との関係というのは、非常に重要だと思いますので、地方の判断主体のあり方、それから国の判断主体と地方の判断主体との連携のあり方ということもよく検討することが必要だと思います。
 もう一つは、今までの話で当然前提になっていると思うのですが、判断主体の組織だけではなくて、そこは入る人の問題が非常に大きくて、特に民間の人が中に入っていくということがここでの共通の意見だったと思います。
 その際に、地方の判断主体における民間の人材の確保、つまり役所のOBとか、あるいは政治的な思惑とは違って、本当に識見のある方を確保することも実際には重要なことになってくるかと思います。

○ 国税の側にとっても、国税庁と各地方の税務署との間にまた温度差がありますので、今、堀田力先生が頑張ってらっしゃるような、流山の論争ようなものができるわけですね。
 これはやはり私はこういう場合は一件一件判例をつくっていって、そして全体の体系というのが整合するようになるのが当然のなりゆきであって、堀田先生は今、大変努力されておりますが、あれがあるからいけないということではないと思うんです。
 どうぞ。

○ 公益は、地方ごとに違うということをおっしゃいましたが、公益的に扱わなければならない、問題は地方ごとに違うということではないと思います。
 例えば、ある病気があるところでしか起こらないという。

○ そうですね。そういうことでおっしゃったのだと思います。公益そのものについての概念の変化は普遍的だと思います。ただし、ある地方については、これは特に重要な話だという観点はありますね。

○ 地域ごとに特殊な問題があるということですね。

○ それでは、十分に議論をしていただきましたので、むしろ事務局側にかなりの宿題をお願いすることになりますが、十分御理解をいただいたものと思います。
 最後に「5.その他」についての検討をしていただきます。仕組みの効果でございます。最初に個別事項、討議用メモの公益性判断に伴う具体的な効果についてというところがあります。そこを事務局から御説明をいたします。

● それでは「個別事項討議用メモ」の6ページでございます。「公益性判断に伴う具体的な効果について」ということで、どのようなものが考えられるか。
 まず1つ目は「呼称の使用」でございます。これは、公益性に伴います判断要件を満した、非営利法人につきまして、法人の名称とは別に何らかの呼称を与えるということによって、そうした法人の社会的信用が高まり、寄附や労務の提供等を通じて、その活動の促進に資するというものです。これは以前中間整理の前に一度御議論をいただいたところでございます。
 次に「公益性の判断主体等による情報提供」ですが、これは例えば判断主体等が法人の開示する情報、あるいは提出された報告書等をデータベース化いたしまして、インターネット等で公開するといったことが考えられるというものでございます。これによりまして、法人間の活動の実態、実績が比較しやすくなると思われます。
 次は「公益性の判断主体等による相談・助言」でございます。これは、以前この会議で御意見をいただいたものでございます。ここでは、相談・助言を2つに分類しておりまして、1つは判断主体の公益性判断、あるいは事後チェックの機能に関連することといたしまして、関連の法令等についての説明、あるいは法人運営の判断要件への適合性について相談に応じるものでございます。
 もう一つは、法人活動の側面支援的な業務といたしまして、いわゆる公益的活動について蓄積される情報を活用する、あるいは法人等に対しまして、例えば活動事例あるいは適切な運営手法等の紹介、または国等による特別措置等についての情報提供といった形で、相談・助言を行うということが考えられます。
 次に「しっかりした規律の確保」でございますが、これは公益性に係る判断を受けた非営利法人は、必要なガバナンスの確保、判断要件の遵守等の義務を負うことになりますが、これによりまして法人の社会的信用が高まりまして、寄附や労務の提供等を通じまして、その活動の促進に資するというものでございます。
 最後が「税制上の特例措置」でございますが、これは御承知のように現行の法人税制、あるいは税制では公益性を有するなど一定の場合に税制上の優遇措置が講じられているところでございます。なお、税制上の措置を講じるに当たっては、公益性に係る判断要件とは別に、税制の観点から独自の要件が必要になる可能性に留意が必要と思われます。
 その他、どのような効果が考えられるかということで、主に税制上の措置以外の効果として、ここに挙げた以外に何か大きな効果があるかないかについて御意見を賜れないかと存じます。
 なお、御参考までに、その後に以前お渡しいたしました、「現行の公益法人制度に係る主な法律上の効果」という資料を付けさせていただいております。
 以上でございます。

○ 以上の御説明の点につきまして、御意見がありましたらどうぞ。公益性判断に伴う効果というのは、一体何なのかということです。
 参考資料が付いておりまして、その次のページに「現行の公益法人制度に係る主な法律上の効果」というのが付いております。
 ここのところで御意見、田中さん、どうぞ。

○田中(弥)委員 公益性判断からちょっと外れるかもしれませんけれども、先ほどの更新制度も含めてその効果ということを考えたときに、いわゆる質的な側面についての効果が記されていて、かつこれをエンハンスする、促進するということが書いてありますけれども、実際にある側面がガバナンスを厳しくし、そして更新制度のようなものを入れたときに、全体としての母集団を増やす効果も、または減らす効果もあると思うのです。それを、どのように考えるかによって、いろいろな要件のあり方というのは変わってくると思うのですけれども、私が見る限り今の議論を続けていくと、今の2万6,000 ある公益法人が減るのではないかと。数の上では減っていくのではないかと。ここで書く効果として適当かどうかわかりませんけれども、この公益法人全体像に対する量的な効果というものは、どの程度あるのかというのは、この中でも一度は議論の題材として乗せていただきたいと思います。

○ 減らすようなことになっては、この会議をやっている意味もないと考えるのですか。

○ そこは、どのぐらいの時間のスパンで考えるかなんですけれども、スクラップ・アンド・ビルドという言葉をこちらの方で使わせていただければ、あるところは浄化作用が働くかもしれない。一時的に入口の最初の導入の段階で減って、それが徐々に増えていく曲線を描いていくというシナリオも考えられますし、ただそのときに、一時導入時期に、もし減るとすれば、それはいろんな問題も引き起こすと思います。

○ 先ほどの優先的に現在のものはそのまま移行を認めるということになれば、そのときに○○委員がおっしゃったように、ほんの一部の人たちはもうこれで活動を打ち切ろうとか、あるいは営利法人になろうとか、そういうことがあるでしょうけれども、それは余り大きな数字ではないと思うのです。せいぜい1割あったとして、2万3,000 とか、2万とかということだと思うのです。それになったとして、今度は新しい一般非営利法人から上がってくる公益法人がそれに加わるわけです。そうすると、ほぼ現状どおりの数字からかなり上がってくるような感じになると思うのですがね。それは、思っているよりそういうことを書き込めということですか。

○ いえ、私は幾つかシナリオがあると思うのですけれども、これだけでないと、1つだけ決めつけるというわけではないのですけれども、幾つかシナリオを描いて、こういった規制をこういうように入れた場合には、どのぐらい数が減るかもしれない、また増えるかもしれないということについては、幾つかのシナリオを考えておいた方がいいのではないかと私は思います。

○ そのシナリオは、報告書ようなものに書き込むようなシナリオをつくりますか。それとも、それはこの会議の参加者だけがわかっているようなシナリオにしますか。

○ そこは、即答はできないのですけれども、それを公表したときに、どのような反響を世の中にもたらすかということを考えると、今、一言では申し上げられませんが、ただこれから具体案について話し合うときには、このような考えが必要だと。

○ わかりました。量的なものも考えておいた方がいいということですね。

○ 今、ここの個別の討議メモに書かれている一つひとつについてということではなくて、ここ全体の扱いについての整理になるのですけれども、効果という言葉を使ったときに、しっかりした規律の確保、ここのところまでは新しい制度ができてきたところに、当然付随してこういうことになるという意味での効果であると思います。
 しかし、税制上の特例措置というのは、これはただ単に効果というべきものではなくて、これは確固とした政府の支援措置であるという、効果とはまた別の扱いになるべきではないかと思います。

○ 受動的な効果と積極的な効果と、これを分けるべきだという御意見ですね。わかりました。
 御意見ございませんでしょうか。もうだんだん前回12時で終わると思って間違えたのですが、今日は12時半であと15分しかありません。もうほとんど皆さんからいろいろな御意見をいただいたわけですが、ちょっと次に、ほとんど最後の段階に入らせていただきますと、社団形態の非営利法人につきましては、定款の定めによりまして拠出金の拠出を求めるこができるとされているわけですが、そのような法人が公益性の要件を満たせば公営性を有すると判断することとしてよいか御意見をいただきたいわけです。

○ 前々回ですけれども、私の方から拠出型の非営利法人についての提案をさせていただきましたけれども、当然拠出型と言えども公益性のある事業をするという形を取れますので、その場合には今回と同じように事前・事後チェックを含めて判断基準を同じようにしていただきまして、公益性の判断のいわゆる2階だけ部分の方にも移行させていただきたいと思っております。

○ ですから、逆に言うと、拠出も認めるということですね。

○ そうです。是非お願いいたしたいと思います。

○ よろしいでしょうか。それでは、その次に、どうぞ。

○ これについては、○○委員に質問をさせていただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。

○ ○○委員に質問だそうです。

○ 拠出型の場合には、公益的な活動をしている拠出型の非営利法人もあると思うのですけれども、財産を出資額の限度で残余財産を分配させるということについては、これはいわゆる資本取引のような考え方で、課税の対象とはならないという考え方でよろしいのでしょうか。

○ その点はまだ余り議論されていなかったと思いますが、仮に残余財産の分配を認めるとしたら、そのような考え方が出てくると思います。今、座長が社団法人の中の一類系というように位置づけられたと思いますが、今まではたしか第3番目の類型というように整理していなかったでしょうか。 社団、財団、それから拠出型というようになっていたような記憶があるのですが、そしてその場合に商法上の、今度は会社法になるのでしょうか、会社法上の株式会社とは違いますが、それをモデルにしているということは○○委員のお話からよくわかっています。株式会社ではありませんから、資本取引という言葉を使うことは恐らくミスリーディングではないかと思います。ただ、性質はどうもそれに相当するようなものだと理解すれば理解しやすいと思いますが、そういう言葉を使うこと自体が恐らくミスリーディングではないかと私は思うのですが、○○委員は、その辺はどう考えていらっしゃいますか。

○ おっしゃるとおり、この公益法人の場合、資本概念がないのでしょうね、ということになりますから、資本取引という会計上の従来の考えとはぴったりとは合わないと思いますけれども、資本取引かどうかという区別は、むしろ税制との関係での御質問だと思うのですけれども、それは税制上どうなるか私はわかりませんけれども、拠出金の制度をどうつくるかによると思うのです。
 拠出した額の範囲でしか戻ってこないということであれば、当然そこで利益が出ることはありませんので、課税の問題等は出ませんから、多分御懸念のような問題はないのだろうと。むしろ、さっきちょっと手を挙げたのですけれども、場合によるとただこの拠出型を認めると、残余財産の分配を認めないという、前回議論した問題の、場合によると脱法的に使われる可能性はあり得るわけで、それとの関係をどう整理するかは考えておく必要があると思います。

○ ありがとうございました。さっき○○委員が、財団社団と拠出型という3つではなかったかとおっしゃったのですが、それは財団と社団という2つの議論をしていたわけです。そこへ○○委員、そのほかから拠出型というのもあるよということを言われたので、3番目に入れたということではないのです。ですから、社団の一部にそれを入れてもいいかもしれないと。
 それから、今の○○委員の御意見については、残余財産の分配について皆さんの御意見は、拠出した金額を限度として分配すると。例えば、拠出した金額も戻らないのではないかというお話も、さっき実は始まる前にあったのですが、そういうことも含めて最高限度は拠出額であると、その間の利息その他も付かないということです。

○ 私もそういうタイプは大いにあり得ると思うのですけれども、運用の仕方によると、大部分の活動資金や活動のための財産を拠出で賄って、言わば残余財産にはなる部分はほんの少しでして、実際には拠出したものが原則として戻ってくるというタイプの公益法人も工夫すればできることになり得るので、そこら辺のチェックをするかと。
 私は、言わば公益法人も社債を発行する代わりに、拠出金のようなもので資金を集めるということもあり得るとは思っているのですけれども、行き過ぎると今、申し上げたような残余財産の分配を仮に認めないという前提で制度をつくるとすると、それもやや選択的な利用のされ方も出てき得るので、そこら辺のチェックをする必要があるかもしれないということであります。

○ ありがとうございました。それから、もう一つは資本金と考えてしまうとおかしいので、これはやはり拠出金ですね。

○ これは言葉の読み方だと思うのですけれども、確かに資本という概念を使わなければ、その代わり、ちょっと異なるものとしてつくりますから拠出金と呼ぶということだと思います。

○ 何か残余財産の分配は認めないということが既定方針のようになっていて、少数派としては残念ですが、そういう方針であるとしても、だからといって拠出型というのは脱法でけしからぬと、そういうものではないのではないかという気がいたします。
 むしろ、いろんな形態で公益に参加するというやり方があっていいのではないかと思います。
 それから、残余財産との関係で言うと、普通の債権よりも劣後するという形になると思います。つまり、まず一般の債権者に返して、それでなお残っていれば、拠出金を返す、更に残れば今度は残余財産の問題になるということかなと思います。
 勿論、○○委員のおっしゃっていることが、全面的に脱法でけしからぬという御趣旨ではないことはよく承知しておりますけれども。

○ それは、そういうこともあり得るということなので、ですから、これは枠組みでもってそういうことができないようにするということもあるし、これは仕組みとしてできると思うのですがね。
 それから、○○委員、今日御欠席で申し訳ないのですが、それこそ欠席裁判なのですが、○○委員と○○委員が残余財産は分配する民法上の根拠があるということをおっしゃったということは無視してはおりません。ですから、そういう御意見があるということ。
 それから、実際に公益団体等の方々からは、残余財産は分配すべきではないというような、いろんなニュアンスがありますが、そういう御意見の方が多いということは、今の実態であります。
 何か普通と反対ようなので、普通はそういう社会の方々が残余財産は分配すべきだと言って、学者の方はそれは反対だと言われるのが、どうも普通のように思うんですが、この場合はちょっと逆転しておりますので、ここでは決め付けないでもう少し考えさせていただきたいと思います。
 もう一つは、先ほど夏休みに会計関係の先生方に少しヒアリングをしていただくようにお願いしたいと思いますので、そのときにこの問題についても少し研究を深めていただくように、事務局にお願いしたいと思います。
 いよいよ最後なのですが、公益性を有する財団形態の法人に固有の規律として、社団に求められる規律以外にどのようなものが考えられるか。その点については、秋に書いてあるたたき台のようなもので議論していただきたいと思いますが、今の時点で何かお考えがあれば伺いたいと思います。

○ 日本では、まだ存在しない財団の形態なのですけれども、ほかの国の中には、間違いなく公益活動をするけれども、一切ほかからの介入をしてほしくない、したがって税制とかいろいろな特典は何も要らないけれども、自分自身の財産を寄附して公益性のある財団をつくりたいというところがあるわけです。そういうところは、例えば、オフショアで運用をしたりとか、そういうことも含めて全く自由に運営しています。

○ ありますでしょうね。昨日お目にかかったNPOの方は、一切の寄附を受け付けない、自分の財産でもって5年間大学生のための就職開発のための事業をやってきたというのがありました。今後も一切の寄附を受け付けないということであります。
 NPOですから、何ら税制上の特典もないわけですけれども、NPOの範囲のことでやってらっしゃるわけですが、それはそれなりにかなり充実した活動をしてらっしゃるように伺ってびっくりしたのですけれどもね。
 別に諸外国ばかりではなくて、日本でもそのようなことはどんどんできてくるのではないかと思います。
 ほかにございませんか。それでは、もしなければ、お陰様で全体討議を一通りおさらいさせていただきました。全体討議をしていく過程で、これはもう少し研究しなければいけない、あるいはもう少し議論していただかなければいけない、あるいは議論が二通りになっているというような幾つかのことが残されておりますので、今まで頂いた意見を整理しまして、そして秋以降に更に検討を進めて、この会議として考え方をまとめたいというのが今のスケジュールでございます。
 ということで、事務局からこれからの日程について御説明をいたします。

● 次回の日程につきましては、ペーパーは特に用意してございません。夏休み明けということになりますが、改めて日程照会をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○ それはいつごろ皆さんにお知らせしますか。

● これまでの議論を一度整理させていただきまして、できるだけ早く、9月以降の日程につきまして調整させていただきます。

○ 9月からもう入りますか。

● よろしくお願いいたします。

○ ということだそうなので、皆さんお忙しいと思いますけれども、是非まげて御出席をいただくようにお願いしたいと思います。
 7月までの有識者会議は、この18回をもって終了させていただきます。毎回御熱心に討議をいただいて、大変ありがたいと感謝しております。会議の内容につきましては、いつものとおりこれから記者会見を行うことにさせていただきます。
 記者の方々の御関心は、そろそろ青写真ができたのではないかということであります。どうも皆さんの心の中にはほぼ青写真はあるわけですが、青写真というのは透けて見えるだけで、実際に建物を建ててみなければわからないということになりますので、それは秋以降に少しずつ足場から組んでいただくようにしたいと思っております。
 どうもありがとうございました。


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