○:委員
●:事務局

第16回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年7月15日(木)9:30〜12:00
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ おはようございます。定刻でございますので、ただいまから第16回公益法人制度改革に関する有識者会議を開会いたします。
 能見先生が、急に学校の御都合で欠席されることになりました。それから、岩原先生は御都合により遅れていらっしゃいます。宇賀先生は、御都合により途中で退席される予定です。金子先生はいらっしゃる予定ですが、間もなく到着されると思います。
 お暑い中、皆さんお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それから、7月2日付の異動で、新しく松田事務局長が御就任となりました。局長からごあいさつをお願いします。

● ただいま御紹介いただきました松田でございます。
 前任は、総務省の行政管理局長でございまして、宇賀先生などに御指導いただきながら、個人情報保護法の成立を図り、電子政府の推進などをやっておりました。実は2年半前まではここにおりまして、特殊法人の改革室長をやっておりまして、道路公団や整備公団などの整理合理化計画をつくって、行政管理局の方に参ったわけであります。したがいまして、この公益法人の御議論は横目で見ながらまいったわけでございますけれども、特にその後、抜本改革ということで本会議の先生方には大変御熱心に御議論いただき、ありがたく思っている次第でございます。この御議論につきまして更に詰めていただきまして、所期の改革が実現できますように誠心誠意努力してまいりたいと思いますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。

○ ありがとうございました。というわけで、大変なこの世界のベテランでいらっしゃるので御指導いただけると思っております。
 それでは、今日予定しております議事と配付資料について、事務局から説明をいたします。

● 議事次第と配付資料一覧を御覧いただきたいと思いますが、本日は全体的討議の第1回でございます。議論の中間整理を3月末に公表して以来、行われたこれまでの議論を踏まえた全体的な討議を行っていただければと存じます。
 そのための資料が資料1としてございます。
 それから、資料2の「個別事項討議用メモ」とございますのは、その中でも特に今回、議論を深めることが必要ではないかと考えられる事項につきまして、別冊で討議用メモとして準備させていただきました。
 それから、資料3を隔てまして一番下に「関委員提出資料」とございます。非営利法人における拠出型非営利法人設立についての御提案をいただいているところでございます。
 以上でございます。

○ 関さんからの資料については、後ほど議事を進行する途中で一言言及をいただきたいと思います。
 ただいま御紹介がありましたように、資料は「全体的討議用メモ」について今日は皆さんに意見を述べていただく予定でございます。4月から6月までにわたって行ってきました議論を整理したのが今回のメモでありまして、これは最終報告を意味するものではありません。こういうようなテーマが並んだということをまとめたわけでございます。その全体像を見ていただきながら方向性ですとか、あるいはまだ検討すべき課題があり、まだ2つあるいは3つの意見があるような問題もあります。しかしながら、それを今日から16回、17回、18回と3回にわたって夏前に皆さんに討論していただくわけですが、そこで何かを決めつけるというつもりは毛頭ございませんので、ここでいろいろ立場の違いがあるのでしたら、立場の違いをはっきりしていただいて、そして、秋の本格的結論づくりに向かってシナリオをつくっていきたいと考えているわけです。そういう意味で準備してございますので、本会議の報告書の素案という位置付けではございません。したがって、この討議用メモを議論していくことで、秋以降の皆さんの最終的検討の土台が完全にでき上がるということを予定しているわけであります。
 そこで、本題に入りたいと思いますが、全体的討議ということでございますので、資料1「全体的討議用メモ」について一通り説明をいただいた後、事項ごとに区切って検討を進めてまいりたいと存じておりますので、それについて事務局から御説明を申し上げます。

● 資料1「全体的討議用メモ」に沿って御説明申し上げます。
 Iとしまして「非営利法人(仮称)制度」でございます。意義・理念といたしましては、人々の自由活発な活動を促進するために、公益性の有無にかかわらず、登記により法人格を取得できる制度とするということでございます。
 以下「○」の単位で順次説明申し上げます。
 社団でございますが、法人の事業につきましては、格別の制限をしない。
 次に、営利法人制度と区別を明確化するということで、非営利の概念につきまして@からCまで掲げてございます。これまでの会議で御紹介申し上げましたとおりでございます。
 それから、設立時には一定の財産を保有することは要しないということで、現在、中間法人法は基金を300万円としてございますが、こちらの方は特に一定の財産を保有することは要しないとしてございます。それから、設立時の社員の最低人数は2人以上とするという「※」がございます。
 次の「○」は、拠出金制度の選択を可能とするということで、先だって6月17日の会議で能見座長代理の方から御紹介されたとおりでございます。
 次のガバナンスでございますが、社員総会は最高意思決定機関として置くということでございます。次に、理事を置く。2つ目の「※」で理事会を設置することも可能とする。次の「・」で定款の定めに基づき、監事を置くことができるものとする。次の「・」で、少数社員権及び代表訴訟制度を置く。最後の「・」でございますが、外部者による監査など、法人の規模に応じた特例の要否について検討するとございます。
 情報開示につきましては、相手方を社員、債権者として、原則として定款、社員名簿、計算書類などを開示することとする。
 次の「○」でございますが、定款の変更、解散、合併について所要の規定を置く。「※」でございますが、準則主義でございますので、裁判所によって解散関係の手続は踏まれるということでございます。
 次の「○」でございます。清算時の残余財産の帰属は、定款または社員総会の決議により定めるということでございまして、法人自身が定款または社員総会の決議により、残余財産の帰属をいわゆる構成員に分配不可であったり、分配可としたりというのを定めることができるということでございます。「※」でございますが、定款または社員総会の決議によって、社員に残余財産を帰属させてはならないと決めることができるわけでございますが、それだけでなく、法律上に残余財産を社員に帰属させてはならないとする法人類型を別途設けるべきであるという御意見も一般からいただいておりますけれども、これにつきましては、当該類型を設ける法制度的な理由の有無及び当該規律の実効性の有無などを踏まえ、なお検討するとしてございます。
 次の「○」でございますが、中間法人法との関係につきましては、社団形態の法人には中間法人法上の中間法人を統合する方向で検討するとございます。
 次に、財団でございます。
 公益性を要件としない、いわゆる公益性の有無にかかわらず、一定の目的の下に提供された財産に法人格を付与する制度として、財団形態の法人制度を創設するとございます。この点につきましては、ワーキング・グループの中でも法人の目的、事業につきまして、特段の制限をしないという案と、一定の制限を設けるべきであるという両案ございまして、検討がなされているところでございます。一定の制限を設ける場合につきましては、その合理的なチェック方法の有無も併せて検討するということになります。
 次に、ガバナンスの強化などの観点から、次の規律を法定するということでございます。まず、基本財産につきましては、設立時に一定規模以上の財産の保有を義務付けるということでございます。いわゆる1円財団ということは適当ではないのではないかということで、「※1」でございますが、その額の参考といたしましては、例えば、現在の会社制度における最低資本金は1,000万円でございますが、こういった額を参考としつつ検討するということで、いわゆる通常言われている公益法人の財団法人で3億円とか5億円といったレベルのものではないであろうということでございます。それから、次の「・」でございますが、設立者の意思を補完して法人の基本的な意思決定等を行う機関といたしまして評議員会を置く。次に、理事会及び理事を置く。更に、次の「・」で監事を置く、このような機関を必置とするということでございます。最後に、寄附行為の変更ができるものとするということでございます。
 次のページはII「考え方Aに基づく公益性を取扱う仕組みのあり方」でございます。
 1「基本的視点」でございます。まず、最初の「○」につきましては、その公益性を取り扱う仕組みを設ける意義につきまして、5行のうちの中ほど3行目ぐらいからでございますが、その意義につきましては、市場経済では提供が困難な財・サービスが安定的に提供されるということ。その次に、このような仕組みを設けることで寄附やボランティアといった私人の善意の受け皿となり得るということでございまして、このようなことを通じて、私人の公益的活動が促進されるという点で有意義であろうという整理でございます。
 次の「○」は、判断要件と判断主体についての考え方でございますが、判断要件につきましては、できる限り裁量の少ない客観的で明確な要件を設ける。判断主体につきましては、現在の主務官庁から中立的な判断を行い得る組織が行うということでございます。
 次の「○」はガバナンスと情報開示でございますが、公益性を有する非営利法人につきましては、その公益性を有するに相応しいしっかりとしたガバナンス、規律を備えるものとするということ。情報開示につきましては、プライバシーの保護等理由のあるものを除きまして、国民一般に向けた情報開示を徹底するという基本的視点でございます。
 次の「○」は、適正運営の確保でございますが、このようなガバナンスの強化、そして情報開示の徹底を通じて適正運営の確保を図るということを基本としつつ、不適正な事態が生じた場合につきましては、判断主体による事後チェックをきちんと行うということで適切に対処するということでございます。
 2の「公益性の判断要件のあり方」でございますが、判断要件につきましては、法人の目的・事業、規律の面から現行の指導監督基準の考え方を踏まえ、できるだけ客観的で明確なものとする。
 次の「○」でございますが、その判断の当初の公益性の判断、いわゆる入口段階では活動実績を有しない場合には、事業計画・収支予算が要件に適合していることが必要であると。また、当初の公益性判断の後につきましては、その公益性の維持・確保の確認に当たっては、活動実績により確認をすることが必要であると挙げてございます。
 最後の「○」は、公益性の判断ができるだけ早期に行われるよう、手続の簡素化等を図るということでございます。
 次のページでございますが、主な判断要件ということで、具体的な判断要件を挙げてございます。
 (1)目的につきましては2行目でございますが、不特定多数人の利益に係る受益の及ぶ範囲をどのように考えるか。それから、法人の本来的目的というのは公益ということでございますが、共益の取扱いについてはどのように考えるかという点を挙げてございます。括弧書きで「個別事項討議用メモ」とございますが、資料2と用意してあるものの方で、具体的に掘り下げた御議論をいただければと思っております。
 次の(2)「事業」でございますが、事業につきましては、公益的事業が全体の過半を占め、収益的事業に伴う利益については、原則として公益的事業のために使用されることが適当ではないかということでございまして、具体的な要件のあり方につきましては、客観的な指標の設定を含めてどのように考えるか。また、公益的事業が営利法人と競合状態にあるような場合につきまして、その合理的制限の可否についてどのように考えるか。次の「・」でございますが、公益的事業を具体的に列挙することの適否について、どのように考えるか。これらにつきましても、別に個別討議用メモを用意してございますので、そちらに沿って御議論いただければと思います。
 次に(3)「規律」でございますが、主な規律として「ア」以下のものが挙げられます。その際、規模の大小に応じて特例を設けることの要否についても検討するということでございます。この規律の要素につきましては、客観的な指標の設定の可否について検討するとともに、仮に客観的な指標の設定が困難な場合にあっても、国民一般にわかりやすい情報開示を行うということを基本とするとしてございます。
 まず、アとしまして、役員構成につきましては、同一親族が役員に占める割合を制限するなど、所要の規定を置く。
 イとしまして、役員報酬につきましては、公益的な事業の実施に支障を来たすような不当な役員報酬等は適当ではないであろうということでございます。「※」としまして、その合理的な規律の可否というものを検討するとございます。
 ウ、残余財産の帰属について、構成員に帰属させることは不可とするということでございます。「※」でございますが、法人が公益性を失った場合につきましては、そのまま構成員に分配できては適当ではないであろうということで、引き続き構成員への残余財産の帰属を不可とするということでよいか。あるいは本来、社会が受け取るべき分は社会に帰属させるということで、残余財産を吐き出させるという方法も考えられるかということでお示ししてございます。
 エとしまして、内部留保のあり方につきましては、討議用メモを別に用意してございますが、考え方として将来の公益的な事業の実施に必要な範囲を超えて、過大に資金等を留保しているということは不適当ではないかという問題意識の下で、その考え方も含め御議論いただければと思っております。
 5ページでございます。オの管理費の水準につきましては、その割合が過大で、公益的な事業が適切に行われないこととなるのは適当ではない。
 次にカ、財産的基盤の確保につきましては、公益的な活動を行っていくための財産的基盤は必要である。
 キといたしまして、株式保有などについて、営利企業の支配を通じた制度の濫用が行われることは適当ではないと挙げてございまして、このような認識の下で具体的な規律につきまして、その要否を含め検討するということで御議論いただければと思います。
 3といたしまして「適正運用の確保のあり方」でございます。
 「ガバナンスのあり方」とございます。このガバナンスは既に今、御紹介申しましたアからキのほかに以下のようなものがあるということでございます。
 規模の大小に応じて特例を設けることの要否についても検討するということで、アといたしまして意思決定機関、執行機関、監事のあり方につきましては、原則として理事会・監事を必置の機関とすることでよいか。小規模な法人につきましては、理事会・監事を任意の機関とすることも選択できる方向でよいか。
 役員の責任につきましては、法人や第三者に対する責任の明確化を図るということでございまして、代表訴訟類似の制度につきましては、寄附者や国民一般にも役員の責任を追及することができるかどうかにつきましては、フィデュシャリーの責任の考え方によって役員の責任を基礎付ける必要性の検討と併せ、更に検討するということでございます。
 外部監査につきましては、一定規模以上の法人に外部監査を義務付けるということでよいかということでございます。
 情報開示のあり方でございますが、現行の指導監督基準上、原則として一般の閲覧に供することとされている書類がございます。財務、業務関係書類として事業報告書とか財務諸表等ございますが、これにつきましては開示する。更に加えて、例えば今、御紹介申し上げましたような公益性の判断要件となり得るような項目については、国民一般にわかりやすく情報開示することを基本とする。その他、更に開示すべき項目は考えられないか。それから、例外的な事項として、プライバシー保護の観点から社員の住所については一定の配慮をすることが必要ではないかと挙げてございます。
 それから、開示の方法につきましては、インターネットによる情報開示を極力活用するということで、今後インターネットによる情報開示の義務付けを含め、具体的な方策について検討するということでございます。
 6ページ目でございます。情報開示につきまして、判断主体において開示情報を一元的に管理し、インターネットを通じて、できる限り法人間の比較が可能な形で国民一般に開示するとございます。
 次に、事後チェックのあり方でございますが、その監督の内容といたしましては、事業報告書等の定期的な提出、報告聴取、立入検査、勧告・命令、公益性判断の取消し等が考えられるということ。それから、その発動要件の明確化を図るということでございます。
 次の「○」につきましては、国民一般が法人の不適正な運営を発見したような場合、その事実を通報する仕組みにつきまして、これは法制度に限らず運用上の対応も含め、どのように考えるかということ。
 それから、次の「○」につきましては、公益性の有無につきましては、この改革におきまして公益性を一度認められたら認められ続けるということではなく、見直しをする必要があるということで、一定期間ごとに法人の活動実績を踏まえて見直す仕組みが必要と考えられる。その仕組みの中の1つとして、その更新制度を導入することについて、どう考えるかお示しさせていただいております。
 4「判断主体のあり方」でございますが、最初の「○」は判断主体に求められるものとして3点ございます。主務官庁から中立的に判断を行い得る組織であること、専門性を有し、効率的で実効性の高い組織であること、適切な責任を果たし得る組織であることといった要件を満たすことが必要であろうということでございます。
 次の「○」は検討の観点でございますが、判断要件の客観性・明確性の程度を踏まえ、判断の公正性・中立性をどのように確保するかということで、判断要件に客観性・明確性が、仮に乏しく、裁量的となったような場合には、例えば、判断の公正性・中立性を確保するためには、一般的に独任制よりも合議制の方が適切ではないかといったような考え方もありましょうし、そういった観点も踏まえて御議論いただければと思っております。それから、判断主体には公益性判断、不服申立て、事後チェックといった機能のうち、どのような機能を担わせるか。事後チェックを担う場合には、地方組織を含めた相当な体制が必要となり得るということに御留意いただきたいということでございます。それから、公益法人の移行措置をどのような仕組みで行うかということで、現在、数多くの公益法人の移行の判断を判断主体で仮に行うということになれば、それ相応の組織が必要になってくるといったような点がございまして、それぞれの観点の検討次第で、その適切な組織体制のあり方が変わり得る。その際には、行政組織の膨張抑制の観点に留意するということでございます。
 その具体的な判断主体といたしましては、@として行政委員会、Aといたしまして審議機関、Bとしまして特定の行政機関、大臣の下で判断を行い、不服申立てにつきましては、審議機関において行うといったものがあり得るということで、前回の会議でお示ししさせていただきましたものと同様でございます。
 次のパラグラフは、前回の会議で出された意見を要約してございますが、判断主体の独立性に着目すれば、行政委員会が望ましい。ほかに、審議機関であれば独立の事務局を置くことが望ましい。行政組織の現実を踏まえた検討を行うべきであるといった御意見が出されておりますけれども、いずれにしても、適切な組織体制のあり方について更に検討するということでございます。
 最後のページでございますが、地方における判断主体につきましては、都道府県を単位として組織とする方向で今後検討する。その際、公益性に係る判断等の取扱いには、国と地方とで整合を欠くことのない仕組みとなるよう留意するということで、とりわけ全国統一的な法効果を念頭に置いた場合には、このようなことが言えるのではないかということでございます。
 5「その他」でございますが、最初の「○」につきましては、公益性の判断に伴い付与すべき具体的な効果というものを別冊の討議用メモに記してございますので、御議論いただければと思います。
 次の「○」につきましては、拠出金の拠出を求めることができる社団の形態につきまして、その公益性判断の観点からどのように考えるかということ。
 最後の「○」につきましては、財団形態の法人に必要な規律につきましては、ワーキング・グループの検討状況を踏まえ検討するということでございます。したがって資料1の4ページ、5ページで御紹介いたしました規律、ガバナンスにつきましては、社団を前提として記しているものでございます。
 以上でございます。

○ 御苦労様でした。せっかく今日は皆さん朝早く、9時半にお集まりいただいたのですが、もう10時になってしまったわけです。ということは、これまでこれだけたくさんの論点を皆様が集積してきたということをまとめたのを簡単に説明すると20分掛かるということであるわけです。16回、17回、18回を今予定しておりますけれども、この全体討議用メモを1個1個フォーローしていきたいと思いますが、とても1日で全体をやるということは不可能だと思いますので、できるところまで、できるだけ皆さんの論点を漏らさずに更に補強していきたい、あるいはもし全体のコンセンサスみたいなものがある部分については、なるべくコンセンサスのような雰囲気をいただいておいた方がやりやすいのではないかという程度に考えております。
 せっかく非営利拠出型法人についての御提案がございますので、まずそれを、文章の方は読めばわかるわけですから、手短に御説明をいただくようにお願いします。

○ では、今日はせっかくの機会ですので、今まで私は地域の方で活動してまいりましたので、現在、地域がどういう思いで動いているかという部分と、それをベースに拠出型への提案という形をとっておりますので、それを説明させていただきたいと思います。
 今、地域の中では2つの大きな変化があります。1つは高齢化と言われているのですが、私どもは中年化というように見ていまして、50歳以上の方々が非常に早くに地域に戻られている。その方々が残り、男性で言えば30年ぐらい地域で職業なく、ある意味無冠で、居場所ない、名刺ない、地位がないといいますか、肩書なく生きている方が非常に多くなってきています。その方々が、やはり自分の時間で自分のお金で自分たちが何かやれることはないかということを探していらっしゃるというのが1つ変化です。
 もう一つは、子育てをしながら主婦の皆様が、やはり自分たちも地域の社会参加をしたいということで、子育てをしながらNPO法人をつくったり、もしくは生活協同クラブをつくったり、自分たちの生活の視点の中で安心・安全というようなことで動きをされていらっしゃる。そういう動きを見ておりまして、今までのNPOでありますとか、ワーカーズコレクティブでありますとか、そういった方々の中で一番苦しんでいらっしゃるのが、今日提案にありますような資金調達の確保という部分になります。
 現在、NPO法人は当然会費制、それと事業経費でやっていることが多いのですが、財産を取得したり、もしくはお金を借りようとするときに、やはり基本財産がないという部分は非常にネックになっていらっしゃいますので、そういった部分でも今回の拠出型の非営利法人の設立という部分については、非常に活動の自由性とやはり活動領域もしくは経営の安定という部分で非常に高まっていくだろうと考えています。
 2つ目の視点は、実質上の今度は資金を提供する側の視点になりますけれども、寄附ということだけではなくて、日本の文化というのは割と寄附文化が根付いていない部分にありまして、男性陣もずっと会社社会という形で資本金というものに非常になれている国民の1つになっています。そういった意味では、資金を提供する側も寄附だけではなくて、今までで言えば資本金という形で、拠出型で資金をお預けすることによって一定の事業を継続的に安定してやっていただくことに対して資本をお出しするということをしたいという方も非常に増えています。
 例えば、私どもの地域では農家の方が非常に多いのですけれども、その農家の方々がこれからの地域社会の中で出そうという部分のところでも、割と受け手がないという部分も多く出ています。更に、ベンチャー系の企業の成功者とかSOHOの成功者の皆さんも、ベンチャー投資というだけではなくて、地域として受け皿があれば出してもいいという方も当然増えています。これは、ある意味では日本の社会が成熟化していまして、必ずしも稼ぐということだけが成功ではなくて、やはりそれをどう地域に還元しながら自分の生活というか、地域全体の生活が豊かになっていくかという視点を、今みんなが模索している時代ではないかと思いますので、受け手側と出す手側の両方のニーズといいますか、需要から見ても、拠出型というのはそろそろこの時点で制度化してもいいのではないかと思っています。
 拠出金と劣後債のところは、後ほど読んでいただければ明確だと思います。
 最終的に拠出型の方の具体的な提案になりますが、(1)から(6)までここに書かせていただきました。実質上(1)から(5)につきましては、ワーキング・グループで書いていただいたものと同じなのですが、最後の議決権のところだけ今回私はちょっと違った考えで提案をさせていただきました。これは、拠出額に応じて一定程度の議決権は連動することができるようにするという提案になっております。これは、やはり一定程度の拠出をすることによって運営者の方が客観的に評価していく、あとは法人運営に関して一定程度、経営する側と実質上資金を提供する側との間に緊張関係が生まれるというようなこともありますので、そういった意味では実際、法人を経営される方にとってのガバナンスを向上させることになるのではないか。客観的な評価が非常に強まるのではないかということになりますので、議決権は一定程度連動するという方向でもやれるのではないかというふうに、ここでは提案をさせていただきました。
 最後に私が申し上げたいのは、実質上、先ほど申し上げたいろいろな意味で職業を持っている方も、メインで働きながらサイドワーク的にNPO法人をつくられたり、もしくは地域のボランティアに活動するような形になっていまして、職業である程度の人生を終わる、1つ人生を終わるということには今ならない人生になってきています。多様性が求められておりますし、非常に高齢化の中で変化を求められていますので、そういった意味では、地域の受け皿としての拠出型の非営利法人というものについては、これからの高齢化社会、中年化社会の中では、地域は非常に求めているというのを現場の方から提案させていただきたいと思います。

○ ありがとうございました。
 今のこの提案は、今まで寄附型の文化というのが育っていないという御指摘がありましたが、それを阻害するということはなくて、両方を育てようということと考えてよろしいのですね。

○ はい。選択肢の幅を広げようということになりますので、今ある部分については、寄附型の税金の控除も含めまして当然に広げていきたいと思いますが、チャンスをもう一つ増やしていきたいと思っています。

○ わかりました。大変充実したペーパーをいただいて、ありがとうございます。
 それで、先ほどからお話が続いておりますが、非営利法人ワーキング・グループでは現在、社団・財団の制度設計に関する試案の検討を行っております。この部分は次回になりますが、7月28日のワーキング・グループでも引き続いて議論されるという予定になっております。
 今、全体討議用メモについて御説明いたしましたが、まず、社団の項目、最初の方の項目について、補足の御意見があればどうぞお伺いしたいと思いますが、いかがでしょう。

○ 社団についての補足の意見ということではなくて、まず、このメモ全体の位置付けについての意見です。
 このメモがもう少し集約されて、報告書の素案の土台になるだろうということを考えました場合に、この有識者会議が何をビジョンとして論議を行っているかということが、どこにもまとまって打ち出されていないということを強く感じております。ここでまとめていただいたのは言わば各論であって、それは非常によくまとめていただいてあると思いますが、最初の「○」だけがビジョンに該当するところと言えるとしたら、ビジョンと言うには余りにもお寒いものではないかと思います。有識者会議が非営利法人制度をどういうふうに見ているかと。新たな非営利法人制度の中で市民の自由活発な活動を促進するという点については誰も異論のないところだと思いますが、そこからすぐ登記制度の話しに入ってしまうのでは、それはビジョンではなくて、あくまでテクニカルな論点だと思うのですね。この新たな非営利法人制度では、これまでの財団法人、社団法人と言われる公益法人だけではなくて、新しい国民のニーズに合った活動を行おうとするさまざまな活動を包含できるような制度であるべきだと思います。そのため、積極的な支援の制度をここでもって打ち出そうということを最初に強く言うべきであろうかと思います。その観点から言いますと、何が積極的な支援制度かといったときに、メモの最後の方でその効果というものについて論ずることになっていますが、それは各論であって、今国民がこの有識者会議を通じて訴えてほしいと思うのは、具体的には、きちんとした税を含む支援制度というものはどういうものであるかを前段できっちりと打ち出すことではないかと思っております。

○ ありがとうございました。
 これは後ほど事務局とまた相談しておきますけれども、私の考えとしては、余りそのような体裁を整えると、これはもう報告書そのものの素案であるというふうに皆さんに考えられるので、ここでは報告書をつくる前の材料を全部羅列するのだという考えであります。それも前回3月にまとめたわけですが、あのときは本当にただのキーワードだけだった。それに多少1個1個考え方を入れてまとめてきたということなので、今おっしゃるような前段のビジョンというのは全く必要なことなのですが、それは秋からの報告書にそのことは完全に盛り込むように、そのことについても随分議論しているわけですから、それはひっくり返せば幾らでもまとめる材料はありますので、それは必ず入れることになりますので、私はここで余り入れてしまうと、これで秋に一瀉千里にまとめるのだなどというふうに捉えてしまうと、かえっていけないのではないかとも考えているわけです。事務局と相談してみます。

○ 今の○○委員の意見に賛成なのですけれども、それはビジョンの問題だということですが、例えば2ページのところで「社団形態の法人には、中間法人法上の中間法人を統合する方向で検討する」とさらっと出てきておるわけですが、ここのところが例えば大問題で、中間法人というのは営利法人でも公益でもないということ、それが定義になっているわけですね。今回は民間の非営利活動を促進する、公益活動を促進するという観点、それが考え方だとすると、その考え方にある意味で反するかもしれない。
 今度、二階建ての新しい公益性のある法人というのができようとしているわけですが、例えばそれに至る前のまだ幼稚園児というか、それが公益活動を目指すのだけれども、それがまだ認定されるほどに至っていないということもあろうかと思いますし、それから、現実問題として、一度申し上げたらちょっと否定された感じですけれども、1万何千あるNPO法人、これは民法の体系の改正だとすれば、それをどういうように新しい制度の中に入れていくのか。それから、人格なき社団というものもかなりあるわけでございますね。それがどういう形で入っていくのか、そういうことの検討も必要だろうと思いますし、ここでもガバナンスがどうあるべきだとかいろいろ書いてありますけれども、それがどの程度の税制上の措置というか、優遇措置を想定しているものなのか。そこも少し優遇措置というか、それとの見合いでどういう制度にすべきなのかというものも、やはり考えなければいけないのではないかと思います。

○ ありがとうございました。
 NPO法人のことについては再三申し上げたのですが、この有識者会議の直接的なテーマではありません。
 それから、もう一つは、できて数年のNPO法を再びここで統合するということを考えてしまうことは、果たしていいのかどうかという問題がありますので、その件については別途考えさせていただくと。ただ、中間法人については、議論の最初の方で中間法人というのは整合性から考えて、こちらの方に統合した方がいいのではないかという議論がありましたね、最初の方で。ですから、その流れを汲んで、ここにはそう書いてあるわけです。
 今おっしゃったようなことは、大変重要なことなので当然、秋からの報告書にはその辺をどうするかということを書くわけですから、今日のところはお考えを言いっ放しで結構ですから、そういう形でどんどんお出しになっていただいて結構だと思います。ただ、全体としてはそういうことですから、この報告書の最後の版ができるところで、法的な整合性というものについては一度レビューしなければいけない。しかし、その法的な整合性をこの有識者会議で決めるということは、非常に難しいことではないかと私は思います。
 それから、税法上の優遇についても、こちらから予め決めておくということは、税調の専門部会に対して少し行き過ぎではないかと。むしろ、どういうことをすれば、何をやらなければならないよと、つまり今行われているような税制よりは更に優遇していただくような方向に持っていかなければいけないわけですね。それには、こちらの方がいかに説得力のある議論ができるかということだと再三申し上げてきたのですが、大体そういうふうにお考えいただければと思います。

○ 前書きの部分なのですが、中間整理の文章に前書きが少しついておりまして、私の周りでは前書きを見たとき涙が出るほどうれしかったと言う方が随分いまして、よく書けているのではないかと思います。ただ、中身がそれに伴うかどうかは、また別問題なのだけれどもという釘を刺されているのですけれども、前書きの趣旨はよろしいのではないかと思います。
 1ページ目の非営利法人のガバナンスの件なのですが、最高意思決定機関として社員総会を置く、理事を置く、理事会を設置することも可能となっているのですけれども、これは規模がありますから難しいところだとは思うのですが、理事会くらいは人数が少なくても置いた方がよろしいのではないかと思うのです。社員総会では、中身を社員一人一人に全部理解してもらうことは難しいのだろうと思います。ですから、ある程度のことは理事会でもってきちんとやっていかなければいけない。それが、非常に負担になるというところは、そういうガバナンスそのものを少し大目に見るというような形、逆の形の方がいいのだろうと思うのです。ですから、原則として理事会を置く。ただ、これこれこういう条件であれば置かなくてもいいという形の方が、よろしいのではないかと思うのですけれども。

○ ということは、理事会を置かなければならないこととするみたいなことにしておいて、理事会にガバナンスの責任を強く持たせるということですね。

○ 実際に事業活動を展開していくときに、その趣旨に賛同して社員の方がいろいろな拠出をしたり、ボランティア活動をしたり、いろいろな面で手助けをしてくれると思うのですけれども、実際の事業の細かいところまではなかなかわからないですから、やはり理事の方にある程度の責任を持たせる、そういう形の方がよろしいのではないかと思います。

○ わかりました。ほかにございませんでしょうか。○○委員、先ほどの税法上の問題については○○委員のお話にありましたが、どの程度までこちらで書いた方がよろしいでしょうか。

○ まだ具体論に入っていないのでわからない。一般論としては、外部の議論の流れを聞いていても、今よりも財務省自体は支援の強化をするべきであると、それが流れであって、民間なりボランティアでそういう公的な仕事を相当程度引き受けるわけだから、そういうところぐらいまでの議論というのは、そんなにどこかで衝突するような話ではないと思うのです。問題は、誰がどういうふうな基準でそれを裁く能力を持っているか、第三者委員会をつくるとここに書いてあるけれども、何人が集まって、どういうメンバーが集まって、どういう理事が集まって、これが裁けるのかと。今、主務官庁が全部やっているわけだから、あの連中を全部除外してやるとするならば、どういう権限で、どういう責任体系で、世間に説明できるのか。それがいいかげんだったら、この話はすぐにグズグズになってしまうのです。そこが一番根本的な問題なのですね。議論を余り詰めていないけれども。そこにみんなが信頼できて、新しい組織、ああいう組織のトップは何の誰べえがいて、こういう認定をしたのだから、それはもうみんなが従うのは当たり前だなと、大方のコンセンサスに乗っているなということになれば、割合とスムーズに話は進むかもしれない。しかし、どうも判断基準が甘いか辛いかわからないけれども、何か明解でないところがあってということになると、そのこと自体が疑問の対象になる、疑惑の対象になる。それが一番怖い話。それがうまくいかないと、この話は何ぼきれいな言葉を使ったって、うまく機能しないかもしれない。それが一番根本。

○ ありがとうございます。
 そうすると、今、判断主体の方にちょっと話が移ってしまったのですが、後ほど判断主体の話に戻りますが、判断主体をつくるときにどういう構成であって、しかも、どういう判断基準を用意しておくことができるかと、そういうことになるわけですね。

○ 本来的には、税制の方を先に決めるべきであったろうと私は思います。ただ、今の段階でそれを主張することは当然できないわけですから、ある程度税制を想定した上で、ここでは実際に法人制度づくりをしていかなければいけないのだと思うのです。ですから、今私などが想像するのは、公益法人についてはこういう税制上の優遇がなされると想定をして、もし、そういう税制上の優遇を受けるならば、こういうガバナンスが必要であり、ディスクロージャーが必要であり、こういう建前でやっていかなければいけない。イギリスの例などでは、税制の方を先に決めて、こういう税制優遇をするから、それに見合う組織をつくれという形で進んだように聞いております。それも1つの方向であり、日本ではそれと同じことができないわけですから、ここである程度のことを是非想定して、そういう組織づくりをして、これなら大丈夫ですよということを説得しないといけないのだろうと思います。

○ 今の点に関連してですが、やはり税制の問題は税調が主幹の担当機関としてございますので、こちらで余り細かいことを決めるよりは、例えば、現在の税制上の取扱いを念頭に置きながら、税調といろいろ協議していくというやり方が恐らく実際的ではないかと思います。その場合に、これは私の感じにすぎないわけですが、税調の方では恐らく公益的な非営利法人がどこまで営利事業を行うことができるか。営利法人を子会社のような形でつくって収益を上げて、それを公益目的のために使うという仕組みについてどう考えるかという点について、意見が食い違うということはあり得ると思います。その辺はそういうものをつくっても、その収益に対してはきちんと課税が行われるし、それから、その収益の一定割合以上は、必ず公益的な事業のために使われるということについて、説得力のある提案をする必要がある。公益的な非営利法人の活動がなるべく活発に行われることをエンカレッジする、ただし、不合理な点は取り除くという努力を、この委員会としては十分にしているのだということを言うということで、一定の妥当な解決策を見出すというやり方がいいのではないかと思っております。

○ ありがとうございました。大変よくわかる御説明で。
 それでは、資料1の1ページからずっとレビューしてまいりましょうか。御意見のある方はどうぞおっしゃってください。
 社団については、法人の事業については格別の制限をしないと、これは特にございませんね。この文章を何と書くかということは、また全く別な話ですが、アイデアとしてはそういうことについてはよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、営利法人制度と区別を明確化するということ、これは先ほどの出資型法人ということは別なテーマとして必ず設けますので、ここでは今までの考え方の中で、この程度の整理ということでいかがでしょうか。一番大きなところは、利益配当請求権がなく、残余財産分配請求権がないということです。
 その次に、設立時に一定の財産を保有することを要しないとございますが、設立時の社員の最低人数は1人でもいいかという御議論があったと思いますが、これは2人以上ということの方がいいのではないかというのが大勢であったように記憶しますが、いかがでしょうか。1人でも認めるべきだという御意見はありますでしょうか。
 それから、設立時に一定の財産を保有することを要しない、これは先ほどの御提案は別として、これまでの流れではこういうことになるわけです。
 それから、拠出金の選択制度を可能にするということは、今のお話と同じでございます。
 それから、ガバナンスに関する規律については先ほどお話がございましたが、○○委員の御意見では、どんなに小さな法人でも理事あるいは理事会を設けて、そこにガバナンスの責任持たせるということの方が実際的ではないかということだと思います。そうしますと、定款の定めによって理事会を設置することが可能であるというより、定款の定めで理事会を設置するということになるのですが。

○ 必ずしも理事会はつくらなくてもいいということでもいいと思うのですが。

○ その場合は、何でそれを担保するのですか。

○ 規模によって、例えば、年間の収入が何百万円以下のものについてはいいとか、やはり規模を考慮しないといけないのだろうと思います。私がなぜこういうふうにこだわるかといいますと、どうしても理事会を設けなければ機能しないような大きいところがあるわけですね。しかし、そういうところの有力者が、理事会を置かないで社員総会だけでやるという形式をとり、組織を支配する場合があるかもしれません。

○ 逆に大きなものの場合ですね。そうすると、小さな方の場合は、反対に理事会がなかった場合には社員総会で担保するということですね。

○ そうですね。

○ それから、業務執行を監査する機関として、定款等の定めに基づき監事を置くことができるものとするということについては、いかがでしょうか。この前、規模に応じて、例えば、監査機関であるとかあるいは税理士、公認会計士等とするか、あるいはもっと小さなところはそれも置かないで、ただ監事を置くかというような議論がありました。その辺はいかがでしょうか。

○ 専門家の先生にちょっとお聞きしたいなと思っているのですが、理事は置かなければいけないと。監事は置いても置かなくてもいいと。代表訴訟制度は置かなければいけないと、この3つの関係がよくわからないというか、普通は例えば監事を置くなら監事がいろいろチェックします。そこのチェックが不十分な場合には代表訴訟というか、そういうものが置かれますというような順番だろうと思うのですが、監事については置いても置かなくてもよくて、代表訴訟は制度としてかちっと置くと、この辺の関係はどういうふうになっているのでしょうか。

○ 代表訴訟は不適当であるというお考えだったら、それでもいいわけですよね。

○ そうですね。

○ 非営利法人制度については、代表訴訟はなじまないということはあるかもしれませんね。
 監事そのものについては、いかがでしょうか。

○ 監事を置いても、別にそんなにコストが掛かるわけでもない。ただ、監事になる人が、いいかげんな経理をやっているようなところの監事をやるのは嫌だということはあり得るかもしれませんが。

○ まず、理事、監事、代表訴訟の関係でありますけれども、社団であればまず業務執行機関が必要なことは当然ですから、理事は当然必要。それに対して、監事の有無と代表訴訟が社団の構成員に与えられるかどうか、これは必ずしも必然的な関係はなくて、有限会社の場合は監事は必置の機関ではなくて、監事のない有限会社というのも数多くあるわけですけれども、そういう有限会社でも社員全員に代表訴訟を提訴する権限を与えられているわけでありまして、必ずしもこれは両者が必然的に結びつくものではないと理解されます。むしろ、社団の構成員にどれだけ社団の業務執行者をチェックする権限を与えるかという根本問題で考えていただければいいことであって、監事はたとえ社員がチェックのために働かなくても、監事という特別の職責を負う人を置いて、より綿密に見てもらうか。特に大きい団体になりますと、社員による監視がそれほどきかなくなってきますから、そこで大きい団体であれば、やはり監事のようなものがあって、社員から代表訴訟によるチェックが働かなくても、監事の人が職務として、理事が不適当な業務執行を行ったときは訴訟を起こすという制度になっているのではないかと思います。ですから、非営利法人の団体の規模等を考えて、監事を置いたり置かなかったりするということはあり得る。それに対して、社団である以上は構成員が、理事者が違法行為等をやっているときは代表訴訟を一般的に起こせるようにしましょうというのが、この案になっているわけであります。

○ ありがとうございました。その次の、少数派社員の保護の観点から、各種少数社員権及び代表訴訟制度を置くという、これも皆さんの議論のまとめをここに書いてあるわけですが、今、監事とは直接の関係はないということであったわけですけれども、監事の方の問題はそれでいいとしまして、代表訴訟、そのほか、今の少数社員権等についてはいかがでしょうか。

○ 前回の全体会議のときにも代表訴訟制度についてどうかなと思いながら聞いていたのですけれども、少数社員の保護から見ると確かにあった方がいいのですが、実際にこれを運営する方の立場からすると、いわゆる非営利で公益性の代表に就きながらとなってくると、受け手がなくならないかなという心配はあるのです。この代表訴訟制度を入れると。

○ 受け手というのは。

○ いわゆる責任者の役をする方がどうかなというところがあるのですけれども。

○ でも、その場合は、当然理事長なり理事以外ですよね。

○ ですから、恐らく○○委員が御指摘になりたいのは、代表訴訟制度が設けられて責任追及が励行されることになるので、そういうことを恐れて理事の職に就く人が余り出てこなくなることが心配だということではないでしょうか。

○ 実情はそうなのです。大きいところなどだと、しっかりして大丈夫だと思うのですけれども、私たちの周りにいる方が実質上の代表とか理事をやっていますので、そうなったときに訴訟制度までさせられてしまうのはどうかなということは実質上あるかなと思っているので、この辺が必ずしも置かなくてはいけないかどうかというのは、逆に御議論をいただきたいなと思っているのですけれども。

○ 難しいですね。いや、私も迷っております。特に、公益法人の財団などで理事というのは大体著名な方にお願いするというケースが多いですね。勿論、無報酬でありますから、今は何となく名誉職的にお受けになっているというのが現実の運営だと思うのですが、代表訴訟制度でひょっとするとというようなことになると、そういう御心配は全くありませんという説明をして回らないといけないとか、あるいは小さなところだと理事の方がやりたくないという方が増えてくるということは考えられますね。ただ、ある程度少数の社員の権利というのも保護が必要ではありましょうし、その辺と現実とのギャップで少し悩むところではあります。

○ 代表訴訟制度というのは現在、現行法上、株式会社、有限会社等の営利法人と、それから、いわゆる中間法人と言われるもの、各種協同組合とかあるいは保険相互会社とかそういうところは一般的に入っておりまして、もともとの制度の考え方としては、そういう社団である以上は理事者が不当な行為をやっているときは、構成員はそれをチェックして、場合によっては損害を法人に与えるときには損害賠償を法人に対してするように訴えを起こせるというのが制度の趣旨ですから、そういう趣旨から考えると、営利法人と非営利法人でそんなに違うはずはないと私自身は思っているのです。ただ、営利法人の方でも当然、理事者がきちんと業務執行をしていて、過失がなくて損害が生じたときであれば、当然それは責任を負わないわけでありますから、非営利法人について代表訴訟の制度が入ったとしても、理事が過失なく普通に職務をやっていれば責任は生じない。
 あと、営利法人の方についても、平成13年の商法改正によりまして、取締役の責任の限度制限の制度が設けられておりますので、あるいはそういう特に外部の方に理事者になっていただくようなときについては、あらかじめ一定限度に賠償額が限定されるような制度も考えられるかもしれない。そうすることによって、そんなに心配せずに理事者になっていただくという、そういういろいろな制度の工夫もあり得るかと思います。ただ、本来の趣旨からすると、制度としてはある方が筋かなという気はしております。

○ 現実の問題を申し上げると、私は恐らく100以上の理事をお引き受けしていると思うのですよ。だけれども、かつてはそれは経団連のお偉方等の名誉職であったのですが、今は名誉職どころではなくて、サインして判子を押すだけでも、更に印鑑証明をとってこいとか煩雑な方ばっかりなのですよ。ですから、本当にこれは社会奉仕以外の何者でもないので、それに対して更に損害賠償を要求されたら大変なことなのですね。
 それから、もう一つは、いつも私は申し上げているのですが、この公益法人のガバナンスということが、いつも頭の中にあるのですね。ということは、理事になっていても中身がさっぱりわからないのですよ。勿論、決算があると総会があって、中身というのは一応会計表には出てきますけれども、それは本当の中身ではないのですよね。実際にどんな仕事をしていたのか、あるいは皆さんの給料はどのくらいかというようなことは、こちらから聞くこともないのですよね。ということなので、むしろ外からの損害賠償よりも、中での運営に対するガバナンスの責任の方をいつも感じながら、お引き受けせざるを得ないということになっているわけです。

○ 運用面でのコストの大きさというのはよくわかるのですが、先ほど冒頭で○○委員がおっしゃったように、これはビジョンが何かというところに戻ったときに、公益法人問題がなぜ起こったかといえば、やはり監督と認可が一対になり、同時にそれを甘受してきた公益法人のガバナンスが非常に脆弱になって、そして、形骸化してきたという問題に立ち返れば、ガバナンスというものについては、よりきちんとさせると。その代わり、今回は監督官庁という制度をやめようということですから、ここは若干大変でもガバナンスはより強化されたということについて提示をするべきですし、やはり1人の著名な方が100個の理事を受けること自体、私はガバナンスというものを脆弱化させる大きな原因になっていたのではないかという気がいたします。ストレートですいません。

○ いいえ。それは私が喜んで引き受けているわけではなくて、いろいろなところから来るからでして、今どんどん減らそうと思っているわけですね。ところが、減らそうと思うとまた新しいのが出てきて、というのはお亡くなりになる方がいるのですよ。そうすると、まだ生きている方の人に御鉢が回ってくるという順番がありまして、決して100やっていることがうれしいのではないということだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。

○ その状態をできるだけ避けて、本当の活力あるガバニングボディをつくるためにも、やはり責任というものの自覚というものを私は促した方がいいのではないかと思います。

○ もう一つは、財団を設立しようとするときに、監督官庁から一体、理事にはどういう人がいるのかというリストを求められて、全く聞いたことのない人ばかりがやっているということになってくると、説明するのがいろいろ大変なのですよね。そういう点があるのですよ。ですから、それは今回のことで解消するのではないかと私は思っているのです。

○ やはり何十万人も株主がいて、その権利を自ら行使することが困難だという株式会社の制度と違って、500人とかせいぜい1,000人ぐらいの組織においては、普通文句を言うことができますし、会長を選任、理事を選任し、あるいはこれは反対だとする権利を行使できるわけですし、それに向けての運動もできるわけですね。会長が悪いことしているということであれば。それから、株式会社のように出資をしたのに配当が得られない、こういう損害があるというものと違って、ある意味で寄附のようなつもりでお金を出しているわけですから、公益法人に代表訴訟はやはり必要ないのではないかと。その代わり、一種の選択肢として理事あるいは監事を置く、それから、公認会計士の監査を受ける、そういうことを全部義務付けるというのではなくて、幾つを組み合わせればいいのかわかりませんけれども、そういうことを幾つかやっていれば十分という感じがいたします、実態上は。

○ わかりました。ですから、代表訴訟については今ここで結論をつけるのではなくて、法律論と、それから、実態論があるという程度にとどめておきたいと思います。
 同じようなことなのですが、外部者による監査あるいは法人の規模に応じて、例えば、公認会計士事務所あるいは税理士事務所の証明みたいなものをつけるかどうかというような議論があったと思いますが、その辺はいかがでございましょう。

○ 規模に応じてですが、大きい金額が動いているところについては、外部監査なり公認会計士という客観的なものにより証明されないと、公益的な活動をしているという一つの証明にはならないのではないかと思います。規模をどの程度にするかは問題ですけれども、何らかの形で必要ではないかと思います。
 それから、1つちょっと前に戻って、実体と制度という意味で、先ほど○○委員がおっしゃった社員総会と理事会執行機関との本来的な意味での組織に対する責任の度合いという点について質問させていただきたいと思います。名目だけの方が中にはいらっしゃるにしても、理事会の責任において業務を執行している場合、最高意思決定機関としての社員総会というのが、本当に実体を伴うものなのかどうか、実態は追認であるにしても、法律上はそのように位置づけなければだめなものなのか、そこを御専門の先生方に教えていただきたいと思います。

○ 法律論としましては、社団であれば社員総会が最高の意思決定機関になるというのが自然であり、大部分の非営利法人は、社員総会を最高の意思決定機関にしております。ただ、場合によって非常に規模が大きくなったりして、例えば、相互会社ですと日本生命などですと社員である契約者が1,000万人ぐらいおりますので、では、1,000万人が集まって社員総会を開くのかという話になります。そういうところでは社員総会が必ずしも現実的でないために、保険相互会社の場合ですと総代会という社員の代表が構成する機関をもって社員総会に代えることができることになっています。これは生協などもそういう制度を採用しています。
 そこまで至らないにしても、社員総会あるいは会社であれば株主総会が形骸化してしまって、実質的に機能しないということは非常に大問題で、それを実質的に機能させるためのいろいろな工夫を法律は行っております。委任状勧誘の制度ですとか、あるいは書面投票の制度とかいろいろな工夫をしている。それだけでも足りないので、監査役の制度を充実させたり、あるいは委員会等設置会社のようないろいろな制度を工夫しているわけで、言わば理事会、監事、それから、社員総会、それぞれについていろいろな工夫を組み合わせて、何とか全体としてガバナンスが機能するようにしようという工夫をしているということだと思います。

○ 社団法人形態である以上、やはり社員が理念的には最高の位置にあるべきだろうと。ただ、実際上は非常にそれが多い場合には形骸化する可能性があるから、そこで今、○○委員がおっしゃったような工夫をしているということだろうと思います。

○ 今の○○委員のお話を伺っても、極めて単純な解決方法というのはないということなのですね。ですから、仕組みとしていろいろなものを組み合わせて、全体のバランスがとれるようにやっていくということしかないのですね。

○ この「最高意思決定機関」という名称がつくと、重要なことはすべて総会に諮らないといけないということになり、事業運営には非常にマイナス面に働くことが多いのですね。本当に議論が必要ならば勿論やるわけですが、実際上判断が難しいわけであります。ですから、前のペーパーにもありましたように、ここでは社員総会は基本的な意思決定機関として、業務執行に関することは理事会に任せるという方が、実際的だろうと思うのですね。前の案にもありましたけれども、これも規模によって恐らく違ってくるのだろうとは思いますが、そういう形の方が実際にきちんとした仕事ができるのではないかと思います。
 もう一つ、社団法人の場合も財団法人のときのように、評議員会的な性格を総会が持っておりまして、いろいろな理事に対するチェックですとか、そういうような機能が総会には勿論あるわけですから、その役割分担をはっきりさせて、業務執行に関しては理事あるいは理事会が責任を持ってやる。その基本的な方針等については総会で決める、こういった形の方が現実的ではないかと思うのですが。

○ ありがとうございました。

○ 今、○○委員が御指摘の点は非常にごもっともだと思うのですけれども、法律的に申しますと、最高の意思決定機関というものと万能の意思決定機関という2つの概念がございまして、最高の意思決定機関というのは、社員総会が決めたことは、それに理事会等も従わなければならないという意味での最高です。万能のというのは、すべての問題について決議ができるというときに「万能の」と言うのですけれども、ここに書いてあるのはあくまでも最高、つまり理事会も社員総会の決議があった場合には拘束されるという意味で書いてあるわけで、すべての問題について社員総会の決議の対象になるということを、必ずしもこの文章は言っているわけではないわけであります。
 株式会社の場合ですと、今まさに○○委員がおっしゃいましたように、業務執行事項については株主総会は決議権限を与えられておりませんで、商法230条の10で株主総会というのは法律及び定款に定められたことしか決議できないという書き方になっている。ですから、それ以外の業務執行事項については取締役会、ここで言えば理事会が決定するということになっておりますので、この文章は○○委員の御懸念のようなことを考えているわけではないと思います。もっと細かい話は事務局の方にお願いしたいと思います。

● それでは、事務局から失礼いたします。
 今、御議論いただいている部分についてでございますけれども、Iの部分は先生方も皆、御認識だとは思いますが、公益性の有無にかかわらないあらゆる団体を想定した部分についての議論でございます。したがいまして、社員数が千、万いるものから2人のものまで全部含むものを念頭に置いた場合に、公益があるものもないものも念頭に置いた場合に、理念としての法律の最低限のルールはどうあるべきかということで書いてございます。したがいまして、社団というのは社員の集まりでございますので、そこが最高の意思決定をするというふうに位置付けると。ただ、勿論これも「・」として最高意思決定機関として置くと書いたら、必ず定款でその権限を理事会に下ろしてはいけないということでは全くありませんものですから、その法人のタイプに合った形を定款としてつくっていくという対応が可能だろうと思っております。そういうことも前提にした上で、最も核となる部分はこういう形で法律に定めたらどうか。定款で勿論そこは変えられると。
 また、理事会の点についてですが、5ページで公益性のある場合のガバナンスのあり方というところで、中ほどにございますが、例えばアでございますが理事会を置くと、必置の機関とすると、監事も必置とするというようなことを公益性がある法人の場合には、まさに、この有識者会議で御議論いただいているところであろうと思います。その点をIの部分は、人の集まりであれば、あらゆる営利を目的としない団体について妥当するルールとして何が相当か。そして、そこに書いたルールというのは定款で一切いじれないというわけではなくて、強行的でない部分については、団体に応じたルールを自らが決めていただくということを念頭に置いている部分でございますので、念のため申し上げたいと思います。

○ ありがとうございました。
 もう一つ、ちょっと余分な話で実態的なことを申し上げると、理事会を毎月開催しているような今の公益法人もあるわけですね。そうかと思うと年1回、つまり当年度の事業報告、決算報告、明年度の事業計画案、事業予算案、これだけを1回で審議してしまう社団等もあるわけです。この辺の密度というものも、やはりどこか中間で一度見ないと、年度が終わってからでは、その年度に起きた事件というのは解決できないのではないかという気がしてならないのです。これは余分なことであります。
 外部者の監査ということについて直接お話はございませんでしょうか。一応、大体この程度の考え方でよろしいですか。
 では、2ページにいきまして情報開示。これは随分議論がありまして、例えば、社員名簿、住所等を入れて、そして、社会に広く見せるということは、やはり現在の状況で問題があるということで、原則として定款、社員名簿、計算書類を社員と債権者に対して開示するということになっているわけです。これは大変難しいところなのですが、本来はそういったものを社会に判定していただくというのが望ましいわけでありますが、実際問題としてそれにも限界があるというか、今のような状況では、なかなかそれによる弊害ということも考えられるので、皆さんの御議論になった結果では大体こんなことに落ち着いているのですが、いかがなものでしょうか。

○ これは一般非営利法人ですね。

○ そうです。

○ 公益性のあるものはもっとあると。

○ そうです。公益性のあるものは、もうちょっと開示の度が強くなるわけです。
 それでは、また御意見があったらいただくことにして、定款の変更、解散、合併については所要の規定を置く。ということは、今、定款の変更というのは非常に厳しいところがございますので、必要な場合には定款の変更ができるような規定をつくっておくということであります。
 それから、「※」のついている準則主義に伴う弊害に対処する観点から、休眠法人に対す整理、裁判所による法人解散命令制度や解散判決制度を設けるというのは、議論の中では出ていなかったので事務局でつけ加えたものですか。

○ 非営利法人一般法をつくって準則主義で設立ができるということになりますと、当然休眠法人もたくさん出てきますし、それから、中には相当違法行為にコミットしたりするような法人も出てきますので、そういうところに対しては、やはりそういう休眠法人がたくさん存在するということは望ましいことではありませんし、それから、違法行為を行う法人をそのまま存続させておくのは勿論まずいことですから、一般的な法人制度として、こういった休眠法人の整理とか裁判所による法人の解散命令の制度あるいは解散判決、これは構成員等が解散を求め裁判所で解散を求めるという制度ですが、そういうものが当然必要になるだろうと考えております。

○ ありがとうございました。ということは、どこかにチェック機関がないと、休眠か否かということはわからないわけですね。

○ これは、既に株式会社などで行われておりますけれども、一定期間、例えば取締役の選任の登記がなされていないとか、法人であれば当然しなければならないことが履行されていないようなときには、登記所がそれを見て整理の対象にするという制度でありまして、それと同様のことをしたらどうかということであります。

○ なるほど。よろしゅうございましょうか。

○ ちょっとそれとの関係で伺いたいのですが、判断主体の問題についてかねてから検討してきましたけれども、これは2階部分だけを対象とするという了解でしたね。たしか1階部分の組織に対しては何もしないということでございますね。わかりました。

○ だから、そのときに議論がありましたのは、1階部分を準則主義で始めるときに、同時に2階部分も判断されるべきではないかというのと二段構えでいいのではないかという、その議論はあったと思います。

○ わかりました。

○ これは、後ほど。

○ 半分ぐらいその前の問題にも掛かってまいりますが、公益性が認定されるであろう団体の部分は別としまして、そのほかの一般非営利法人の中にも、完全に公益的ではないけれども、非営利で分配もしないでやっていこうというものがあったときに、そこに対して、例えば今のNPO法人のように、会費等の収入部分に対しては非課税であるというようなことも考えられ得るわけですよね、可能性といたしまして。そういうふうになった場合に、その団体の活動内容をどういうふうにチェックするかという機能の1つとして、今、○○委員がおっしゃったような一定の法律で求められている登記がなされているか否かを確認するということもあるかと思うのですが、その前の情報開示の部分で、これは債権者とか関係者だけに対しての開示義務であるとしてしまった場合に問題が起きる可能性があるのではないでしょうか。もしも一定部分の収入が非課税だとなったときには、一般市民にとってもある種のステークが出てくるわけで、この情報開示を公益法人ほど強くないにしても正当な理由で開示要求があればしなければいけないというぐらいのことも必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○ いかがでしょう、会費に対して税制上の優遇を受けるという可能性があるということを私たちは考えて、この情報開示を入れた方がいいのかどうか。

○ その点は確かに、税制上の問題としては残っていると思いますね。拠出金の場合は別として、何人かの社員で非営利法人をつくるという場合、最初に負担するお金を拠出と呼ぶのか、寄附と呼ぶのかその辺はわかりませんが、それが課税の対象になるのかどうかは、一つの税制上の論点になるのではないかと思います。

○ 我々の方の次の段階の報告書では、その辺についても触れておく必要があるということですよね。

○ 現在、営利法人の場合、株式会社ですと株主、債権者に対して開示するだけでなくて、決算公告という形で社会一般に対してもディスクローズすることが求められております。今、会社法改正作業をやっておりまして、現在の有限会社等含めて、中小会社を含め一般的に決算報告をする方向で今検討が進んでおります。そうなりますと、こういう一般非営利法人についてだって、きちんと会費等を含めた会計処理をしていますよということを公開するということも考え得ることではないかと思います。

○ ありがとうございました。流れはそちらの方向にあるということですね。

○ 幾つかの議論が絡んでいると思うのですけれども、ここで議論しているのは、あくまで非営利法人一般についてのものであって、全く公益かどうかということを考えないで、ただ人々が集まって何かをするということを非常に抽象的に考えて、そこで最低限何が必要かということだと思うのです。それに対して、更に公益性がある場合、それから、さっき○○委員のおっしゃった広い意味での公益性がある場合に、何らかの効果を結びつけるかどうか、これはその次の問題でありまして、ここでは純然たる非営利法人についての議論というふうにした方が、議論が明確になるのではないかと思います。

○ わかりました。大変重要なポイントを教えていただいて、ありがとうございます。
 それでは、今の情報開示等については、次の段階でまた公益性を認められたものについての議論があるわけですから、そこでもう一遍戻って、このことについては御意見をいただくことがあると思います。
 定款の変更、解散・合併について所要の規定を置くというのは、よろしゅうございますね。
 それから、清算時の残余財産の帰属は、定款または社員総会の決議により定めるということになっておりまして、この定款または社員総会の決議により、社員に残余財産を帰属させてはならないと決めるだけではなく、法律上、残余財産を社員に帰属させてはならないとする法人類型を別途設けるべきであるという指摘については、当該類型を設ける法制度的な理由の有無及び当該規律の実行性の有無を踏まえて、なお検討する。このことについては、ちょうど能見先生がお休みになってしまったので、御意見があれば伺っておきますが、このところは次回にもう一遍戻って、ちょっと残しておいて通り越していただいたらどうかと思いますが。何か御意見はございますでしょうか。それでは、これは次の宿題に残させていただきます。
 それでは、その次にいきまして、社団形態の法人には、中間法人法上の中間法人を統合する方向で検討するということについては、○○委員から御意見をいただきたいと思います。

○ 中間法人は、社員に共通する利益というのが入っているわけですが、今回の非営利法人というのはそれも入っていない、より広いものだということになりますので、単純に考えますと、そちらの方は大は小を兼ねるということになるのだろうと思います。ただ、現在ある中間法人には無限責任中間法人というものもございますし、その移行をどうするかという問題はあると思いますけれども、形式的に言えば、より一般的な法律ができるということで、こういう方向が出ているわけだと思います。

○ 今の御意見とも関係するのですが、そうなると一般的な非営利法人というように考えましても、その辺り中間法人をイメージしている方もおられるのに対し、例えば公益活動を中心にやっているのだけれども、やはり新しい公益法人ということになると、ガバナンスだとかいろいろなところできついものもあるから、当初は普通の非営利法人でやっていく。但し、そういうものも弱体だから会費などについては非課税措置が必要だと。要するに、新しい公益法人予備軍みたいなものと、いわゆる中間法人的なものと全部含有する制度というようになるとすると、情報開示の問題にしても何にしても、一律ではいかないのではないかという気がいたします。

○ 私もそれについて若干懸念を持っておりまして、というのも○○委員が今、念を押されたように、これは公益ではなくて非公益で含む公益となっているのですが、公益法人側の立場に立ったときに、非公益法人に適合する制度の中で一定の業績を積んだからといって、それは公益に適合するとは限らないわけですよね。1階部分に最初にそこに属したことによって、一定の活動をして業績・実績を積んだことが本当に公益の証明になるかといったら、私は必ずしもそうではないと思っています。実はこれは後で議論になりますけれども、実績主義を要件とするということにも大きくかかわってくると思うのですが、本当に非公益の部分で登記をしたことが公益になるということについては、私は若干、矛盾があるのではないかと考えています。

○ 現行制度そのものも矛盾があるわけでしてね。実績主義かそれとも使命先行主義かということについても、また議論しなければならないところです。

○ 今おっしゃったことに関して言えば、中間法人の形でゴルフ場が、うまい再建をやったから公益法人になるかというと、そうではないと。ただ、いわゆる新しいNPO活動をやるような法人が非営利法人に入ったというときに、だんだん一生懸命公益活動をやっていれば2階部分に上がれるという話とは、やはり違いますよね。

○ 違いますね。

○ これは2階にどうやって上がるかという要件のところでまた議論すべきことだと思いますけれども、少なくとも私の理解ですと、初めてつくった法人について実績は当然には前提としないということが、むしろここでの一般的な考えだったのではないでしょうか。それを前提としますと、今の御議論とそこがどう結びつくのかなと思います。むしろ、この1階の部分というのは、非公益というよりも非営利であればすべて含むというだけのことでありまして、その中で一定のものが2階へ上がっていくというイメージで捉えておりますけれども。

○ 私自身の主張は、当初から実績を入口の部分で要件としない方がいいということなのですが、必ずしもこれは結論が出ていないというのが私の認識でありましたので、今のことも含めてトータルで考えたときに、やはり実績を当初の要件にするのはよくないというのは、その根拠を述べたということになります。

○ 何となく空気としては実績を要件としないと。なぜかというと、資格がなければ実積をつくることができないという空気はあったのですけれども、議論は2つあったということですね。

○ 今、○○委員がおっしゃったことに尽きると思うのですが、今ここで議論していますのは、まず1つは、法人格を得るか得ないかという話ですね。これは法律で規定する話ですから、今の段階では、世の中に人格を得た存在として認めるか認めないかということを議論しているにすぎないわけですから、最初に○○委員がおっしゃった話というのは、どうもそのことと公益性というものは何をやるかということが一緒に議論されているように思うのですね。ですから、どういう活動をするか、それを誰がどういうように評価するかという話は後からの話ですから、あくまでも法人格を得るための枠組みづくりということにまずは徹する。そうするとすれば、私は中間法人というのは当然に包含されるという話だと思います。最初に幼稚園児みたいだと、幼稚園児であるかどうか極端に言えば、暴力団がつくるかどうかということは、会社においても判断の中に入ってこないわけですから、それを誰かが、お前は幼稚園児だ、お前は小学生だと判断しようとすると、それはどうしても公益性とか活動の中身の評価にかかわってくると思うのですね。ですから、そこはどこまでいっても峻別する、それが私は議論のスタートだったと思います。
 それから、実績云々というものについては、私は実績というよりも、むしろ活動の内容ということであって、それをどこで見るかということで実績ということに来るわけですから、あくまでもこれは公益性の判断の仕方、その仕組みづくりということに帰着するのだろうなと。その話というのは、ですから、法人格の話にけりをつけて、次の2階の方にという整理を、やはりきちんとしておいた方がいいと思います。

○ 大分きちんと整理していただいたのですが、いいですか。
 それでは、財団の方にまいりましょう。今日は大体この2ページの下まで行ければ今日のところはと思っておりますが、財団のところにまいりますと「公益性を要件としない財団形態の法人制度(公益性の有無にかかわらず、一定の目的の下に提供された財産に法人格を付与する制度)」というものを創設するということであります。これについて御意見はありますでしょうか。

○ これの前に、これまでのような財団法人も当然あるわけですよね。

○ その移行については、また別途。

○ 移行についてということで、ここにおいても一言そういうことを入れておかなくていいのかなという気がいたしますが。

○ どうでしょうかね。既存の公益法人としての財団についてのコメントを一言ここに入れるかどうか。

● これは、特に報告書をまとめるというペーパーではございませんので、そういう議論として残していただければと思います。当然、公益性のある財団については、また後の方で議論されるテーマだと思っております。

○ 先ほど○○委員がおっしゃったように、ここでは広い意味の公益性の全くないようなものを含めての準則主義の非営利法人制度について考えているわけですから、既存の財団の関係等はとりあえずここでは余り考えないで、次の段階でということになろうと思います。よろしいでしょうか。これはワーキング・グループの方でも大分検討していただいたところなのですね。では、そのエッセンスみたいなものを。

○ ここの「※」に書いてありますように、公益性を要件としない財団というものを一般的にすべて認めてよいのか、それとも何らかの一定の縛りを掛けるのかという辺りが両論ありまして議論しているという状況でございます。
 人々の集まりという社団の方ですと、人々が集まって自由に活動する、それ自体に意味があるということで理解できると思うのですが、財産の集まりを何でも自由にできるかどうかということを、どうやって積極的に位置付けるのかというような議論もあります。それから、財産問題ですから技術的に使おうと思ったら使えることになってしまいまして、その結果、かえってよくないことが起きるかもしれない、それを何とか防がないことには、全体としての今回の新たな非営利法人法制自体のイメージとしても何か悪く使われてしまうという面が出てくると、かえってよくないかなと思います。ただ、その切り分けの仕方がなかなか難しいものですから、どうやったらいいかということを考えている、そんな状況でございます。

○ ありがとうございます。大分御苦労されているということであります。
 それでは、格別この場での皆さんの親会議での議論はありませんね。
 それでは、その次にまいりましょう。ガバナンスの強化及び設立者意思の補完という観点から、社団に係る規律に加え、次の規律を法定する。設立時に、一定規模以上の基本財産の保有を義務付ける。これは例えば1,000万円というお話がございました。それから、設立者意思を補完して法人の基本的な意思決定を行うとともに、執行機関の選解任を行う機関として評議員会を置く。それから、業務執行の意思決定機関及び執行機関として理事会及び理事を置く。理事及び理事会の業務執行を監査する機関として監事を置く。寄附行為の変更ができるものとする。これらまとめて御意見をいただきたいと思います。
 私は、ずっと評議員会は機能していないという説を持っている者ですけれども、皆さんどうお考えでしょうか。もっとも機能しないからといって、では、何か代わるもので担保できるかというアイデアは全くないわけです。しかしながら、評議員会を形だけ置くのかどうかということについては、皆さんもそれぞれ御経験があるはずなので、いかがでしょうか。

○ これは非公益ですよね。公益ですとクリアにこれは持つべきだと申し上げられるのですけれども、これが本当に機能するのかどうかと、それから、機能したことによって非公益活動において、どういうプラスとマイナスの影響がもたらされるのかということが想像がつかないものですから、正直コメントがしがたかったと。

○ わかりました。ということは、今これについては全く議論の限りでないということですね。

○ 前身が財団法人でしたので、理事会、評議員会の両方を持っておりました。評議員会が機能していないという部分は大方イエスなのですけれども、ただ、かかわる方が多くなるということは、やはりそれだけチェックが働くというふうに私は思っております。
 それともう一つ、かかわる方が多くなるということは応援団も増えると思っているのですね。その中では、今までの財団法人というのは理事会、評議員会を持っておりましたので、いわゆる非営利財団法人であっても同じ形態をとっておくべきであると思っています。
 それともう一つは、社団の方で監事を置くことができる、財団の方は監事を置くというこの差異というのは、どこから来ているのかを御説明いただけるといいと思います。

○ それでは、ワーキング・グループの方だと○○委員。

○ 社団の場合ですと社員がおりますので、社員がいろいろな形でチェックできるわけですけれども、財団はそれがない。しかも、これまでと違って主務官庁がありませんから、できるだけ自立的なガバナンスを高める必要があるだろうと、そういうことでございます。

○ そういう意味であれば、このように監事を必須義務という形も1つの方向だと思います。現在も必須義務ですよね。では、そのままということだと。

○ 評議員会について、例えば人数が多くなるとか応援団が多くなるという、それは全く私も賛成なのですが、評議員会が理事、理事長を選任できる機関であるかどうかということについては、今のやり方では疑わしいと、それを申し上げているわけです。

○ このペーパーには出ておりませんけれども、送っていただいている非営利法人ワーキング・グループの資料の中の案で、評議員会が理事を選任する、それから、評議員も評議員会が選任するという案が出ていたと思うのです。設立者、寄附者の意向を受けて基本的な意思決定を評議員会に任せるというものと、人事については評議員も理事も評議員会で決するというような案であったと思うのですが、そういう意味では、今までの評議員会よりはずっと重みのある機能を果たせるかなという感じがしているのですけれども。

○ ありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。ないようでしたら、財団はこの程度で済ませていただいて、その次にいよいよ2階の仕組みと申しますか、3ページにまいりまして、II「考え方Aに基づく公益性を取扱う仕組みのあり方」について御意見をいただきたいと思います。基本的な視点については格別読み上げる必要はないと思いますが、2番目の「公益性の判断要件のあり方」について、判断要件については、法人の目的、事業及び規律の面から、現行の指導監督基準の考え方を踏まえ、できるだけ客観的で明確なものとする。それから、当初の公益性の判断に当たっては、活動実績を有しない場合には、事業計画、収支予算が要件に適合していることが必要である。また、当初の公益性判断の後は、活動実績により公益性が維持・確保されているかどうかを確認することが必要である。3番目に、公益性の判断ができるだけ早期に行われるよう、申請者の視点に留意し、申請手続の簡素化等を図る、ここまでのところで御意見をちょうだいしたいと思います。3ページ全般にわたって。

○ この御説明に私は基本的に賛成なのですけれども、特に2の「○」の2番目と3番目、ここが深く関連していると思うのですが、やはりこれは市民社会を育成するというところが、もともとの公益法人改革のミッションでありますので、やはり○○委員が代表されているような小さな活動も含めて、それをエンハンスするような枠組みにする必要があって、そのときにはこの手続の簡素化というのが非常に重要になってくると思います。その簡素化というのは、煩雑さを軽減するという意味がありますが、同時に迅速であるということも含まれていると思いますので、これは是非、先ほどの入口部分についての要件、実績がない場合についても、できるだけ市民社会を促進するという視点でつくっていくということが重要になると思います。
 それから、手続については、税については直接我々の方で何か提言することはできないのですけれども、手続の面でいわゆる公益性の判断と、課税、非課税に関する仮に申請があるとすれば、その手続の面でも、できるだけこれが同じような時期に行われるように簡素化ということを考えていった方がいいと思います。

○ ありがとうございます。ということは、ここに「できるだけ客観的で明確なものとする」とあるのですが、これをある程度、税調の方々とすり合わせをしておいて、税調方々の納得できるような基準が示せれば一番いいわけですね。
 ここでちょっと矛盾がありますのは、今までの指導監督基準でどうしていろいろなところで指導のやり方が変わったのかということになりますと、今の指導監督基準も結構きちんとできているのですが、やはり解釈の仕方、裁量の仕方によっていろいろにとれるところがあるわけですよね。それを更に客観的に精緻に書き込めば書き込むほど硬直化した制度になるし、それから、もうちょっと漠然とすればするほど、また、裁量の余地が多くなるしというところで、それではとても税調の皆さんの賛成は得られないと思いますし、この辺をどこでどの程度書くかということが、また議論になるわけです。

○ ちょっとよろしゅうございますか。どうしても税調の側では、どちらかというと厳しく制限的に考える傾向が従来はあったように思うのです。それはやはり制度ですから濫用されることは幾らもあり得るわけですけれども、特に、今までは各省庁が取り扱ってきましたために、実際問題として、こういうことを言うのは適切かどうかわかりませんが、お手盛りのようなところも恐らくなくはなかったと思いますので、そういう意味でもまた、税調の側では慎重に、厳格にということがあったかと思うのです。これからは各省庁ではなくて統一的な機関が客観的な基準に基づいて判断する。それから、事後チェックもきちんとするというように体制が変わっていった場合には、公益活動を支援するといいますか、エンカレッジするという観点から、もう少し大らかに考えてもいいのではないかという点について、こちらと向こうの意見の合致が得られることが私は好ましいと思うのでが、その辺はやはりチェックの仕方とか判断主体の問題とか、いろいろの要素と関連してくる問題ではないかという感じがいたします。

○ ありがとうございます。

○ 今、具体的にこういう特別法に基づく組織からNPOから、新しく我々が検討しているものも含めて、現在、税法上こういうことでこういうふうな優遇措置をやっていますという一覧表があるわけですね。今、関係団体の人が我々に対して言っているのは、それをもうちょっと膨らませろと言っているわけです。何を言っても構わないけど、それを膨らませろということを言っているわけです。その膨らませ方について、大市民社会論という次元論を持ち出しても構わないし、何をやって構いませんけれども、今回これについてどの程度のスケールの優遇措置を展開するのかと。これは税調だってこの問題を開けば十何人参加して議論するとか、ほとんど各省挙げてやると思うのだけれども、そのときにどういうふうな心構えで当たるかによって、さじかげんは違ってくるのですね。私もどこかで言ったことがあるけれども、今までに比べればもうちょっとリベラルな顔の広い、許容範囲の大きいようなものをやったらどうだということを言うことはほとんど、これは新聞記者を陪席してもらって聞いてもそういうのはウエルカムなのですよ。誰もそれに反対することはないわけです。問題は、そのときに税法上優遇措置を与えることは一つの減税で、ほかの税金を投入することと同じことだから、ほかの納税者のことも考えてみれば、そう簡単にいかないよという議論は当然のことながらあって、いつもそのすり合わせでいくのですよ。ただ、流れとしては今まで以上により寛大な条件でいく方向で、しかし、どこでチェックを入れるか。だから、私はさっき言ったように、第三者機関をつくるなら、そこの人たちがしっかりしたチェックをやらなければ信用できないのです。だから、この話はここが決定的理由なのですよ。そこが信頼できないと、そんな話をやってツケを全部納税者に回していいのかというのが必ず出てきますから。そこのところが一番肝心なところですよね。今日はお互いにそこまで議論する必要はないと思うけれども。それができれば何とかなる。

○ ありがとうございます。

○ ○○委員がおっしゃるとおりで難しいですよね。ここはやはりどっちにいくかで、法律というのはどこまで書いても、その典型が公職選挙法だと思いますけれども、100個のことがだめだと言えば、必ず101個目の抜け道を考えるのが出てきますから、1万個書いたら1万1個目が必ず出てくるわけですから、そこをどこまで書くか私も明確にはわかりません。ただ、ある程度はそこは大目に見るという曖昧な言葉ですけれども、ある程度ちょっと肝要に見るという基本的な視線がないとだめですね。ですから、いつも私は同じことを申し上げていますけれども、公益性というのはしょせん、霞ヶ関の真ん中にいてはわからないと思います。具体的な行為についてどう見るかということですから、その具体的な行為を享受する側の満足度ですから、なるべくローカルに見ないと一律になってしまう。ローカルに見ようとすると、今度は国税に関する優遇措置であれば、そこの整合性というのが必要になる。そこでどうしても、ある程度大目に見るというところが必要になってくるわけです。ですから、そこである程度すべてが国税に掛かるという仕組みでなくすれば、公益性の判断機関が責任を持つというふうにすれば、私は後からマスコミだとか世間から、何だ国税の判断でどこまで優遇措置を掛けてはおかしいではないかという、それをある程度肩の荷を外してやるということも大事なのではないかと思います。

○ ありがとうございました。

○ 一言。根本的なことでいつも思っていることで、この機会だからちょっと。またお前は変なことを言うなと言われるかもしれないけれども、公益活動をやっている法人が減税のことを、税負担の軽減のことを言う。しかし、今だって実は減税措置があるわけだから、それを考えると、本当に今の税制のあり方というのは、そんなに活動を制約するほど重い負担になっているのかと。基本的には私はそう思います。ただ、より何とかだというなら、それは何ぼでも欲があるから何ぼ要求しても構わないし、市民社会論からやれば堂々たる体面もありだから立派だと思うし、特に民主党などはそれに賛同する議員連中は多いと思うから、時の利はあるわけだ。国会討議なんてそんな大した問題ではないと思うのだけれども、本当に税の負担というのは今でも基本的に軽減されているものがそんなに重荷かと。本当にしっかりしたやり方でやっていれば、そんなものは能力さえあれば乗り越えられる話ではないかと。偉い人、この世界ではきら星がいるから、いろいろなことを言っているのはよくわかるけれども、税金の話は本当にそんな重大な制約があるのかと。ほかにもっと、この活動を伸ばすについて足らないのは、人間の質が悪いだとか実はたくさんあるに違いないのです。一点で議論するからおかしな……。私はあるような気がして、またお前変なこと言っているなと言われたら、どうぞ批判してもらって結構だけれどもね。

○ 今、○○委員の言われたことに非常に賛成いたします。実質上、法律でたくさん基準を書いても、実際は判断をして最終的に運用していくのは人間なものですから、書いても書いても結局は税調さんも含めて信頼いただけるというふうにはならないと思いますが、きっちりここでは書いていくような方向で提案していきたいと思っています。
 それともう一つ、判断主体のところですが、○○委員が2つすごくうれしいことを言ってくれたと思います。まず、1つは、今までの判断主体の中に、実際に公益を受ける享受者の意見がほとんど入らない。実際いわゆる民間で言えば顧客満足度という、顧客がほとんど入らない中でサービスを展開しようとして判断していましたので、今回の次のページに出てきます実際の判断主体の中には、ローカルであるというところで言えば、基礎自治体というのは割とミクロ的に人そのものと、今までのこれまでの動きを見ていますので、判断主体の中にローカルである自治体を入れていただきたいということと、もう一つは、それを受けて公益を受ける市民の方も、ある意味で一緒に入れていただくということが非常に重要ではないかと思います。
 それともう一つは、国税というお話で言えば、国税をある意味で減免していくのかという議論の中に、今、小泉総理も三位一体の改革ということで、税制そのものをこれから分権ということで地方の方に移行しようというお話がありますので、今回、判断主体がその減免なり減税の責任を持つという意味では、必ずしも国税が公益性を促すということではなくて、もうちょっとローカルの制度の中で公益性に享受できる部分を差し上げていく制度にしていくという大きい体制、税体系そのものの根本的な変革というものもここで提案をできる、もしくは芽を出す、もしくは種を植えておくというように文章の中に少し入れていただけるということも必要ではないかと思います。

○ ありがとうございます。

○ 先ほど御意見に関して、実際に税の特典を受けている側から申しますと、今の税制度そのものが重いとは決して思っておりません。会費とかそういう収入については非課税の措置があり、それから、寄附の制度も存在する。では、私たちが一体、何を問題だと思っているかと言えば、やはり寄附控除の部分で2万6,000ある公益法人のうち、この寄附控除の制度を受けているのがたった1,000しかない。新しいNPO法人の中でも、1万6,000あるのに24しかそういう措置を受けていない、これはやはり制度の問題ではなくて、運用の中の裁量でせっかくある特典をより大らかにあげようとする部分が欠けているということなのだと思うのです。ですから、例えば個人寄附にしても、もっと免税措置があるところが増えれば、そこに対しての寄附というものももっと活発化されるだろうし、だから、今の制度の中でも本当に運用のやり方、この判断主体がきちんと責任を持って事後チェックも含めて広めれば、税制を何%上げろとかそういうものは技術的な時代とともに変わる話で、そこは一定の限度の問題でありますので、今の中でもどれだけより多くの人たちにその特典が行き渡ることができるかという仕組みを考えることではないかと思います。

○ 今○○委員のお話に関連するのですけれども、大まかなざっくりした感覚としては、まさに2万6,000のうちの例えば1万、1万6,000のうちのその半分、それぐらいの大きさで非課税が受けられるようなものを、少なくともこの場所としては念頭に置いておくべきではないか。もっと多くてもいいのでしょうけれども。ですから、今何が問題か、私は確かに寄附だと思います。寄附に関して勿論それ以外の人的なものとかいろいろなバリアがあるわけですけれども、少なくとも寄附について思い切って緩くするということを、少なくともここでは念頭に置いておく必要があるのではないか。そういう意味では、まだちょっと先の話で、今ここで言う話ではないかもわからないですけれども、今の寄附税制というのは実は二階建てではなくて三階建てなのですね。ですから、ここはあくまでも公益性に更にもう一段階置いて、特定公益増進というような、これはやはりどう考えてもおかしいわけですから、私はもう二階建てを三階建てにするようなことは今度こそはないようにと考えております。
 それから、ちょっと長くなって恐縮なのですが、幾つかこの場所で具体的なまとめとして言う部分と、理念として言う部分でいくと、先ほど○○委員がおっしゃった考え方の整理として非常に大事なことは、まさに三位一体改革とか地方分権とか中央集権型ではない方向に持っていこうと。例えば行政においても、今の時点では例えば福祉施設の廊下は2.8mないといけないとか、国から補助金が出る基準であれば道路は何メートルないといけない、厚さはどうだ、教室の縦・横・高さはどうだと、すべて決まっているわけですね。そこであるがゆえの無駄がいっぱいあるわけですから、行政という公益性を行うというのを前提の世界においてすら、もっと廊下の幅は2mでもいいではないか、3mでもいいではないか、道路だって地方に行ったら、その幅、つくり方というのはそこの判断でいいではないかという議論が来ているわけですから、ましてや民間における公益活動に関しては、より柔軟な仕組みをつくるべきだということを具体的にどう見せるかということと同時に、理念の整理として言うべきではないかと思います。
 それから、その補強材料として公益性を認めるところでしっかりしないといけない、それは当然です。当然ですけれども、では、税金として集めたものをどれだけ本当にすべてしっかり公益性を担保する形で使っているか、無駄な税金をいっぱい使っているではないかということを私はもっともっと言っていいのではないか。こちらの無駄ではなくて、その前に行政は税金の無駄を考えようよということを、これはついでみたいな話ですけれども、そっちがあるわけですから。
 それから、すいません、ついでに全部申し上げますと、私は公益性というのは行為で判断する話だと思っています。先ほど実績云々という話が出ました。ここで難しいのは、どういう行為を行っているかということで公益性を判断しようとすると、どうしてもそこで実績を見るということにつながっていかざるを得ない。それを実績ではないところで、なおかつ行為で判断しようとすると、私自身そういう判断に今までかかわった経験から言うと、非常に保守的になってしまうと思います。非常に細かい、役人ではなくても公益性というものに関して世間の指弾を浴びないようにしようと思うと、非常に保守的になってくる。ですから、私はそこで実績を持ち出すというのは、当初から実績がなければしんどいという反面、実績があればそこは認めやすいという判断する側にはそういう感覚がある。実績なしの行為を認めるということは、その責を負わされた人間にとっては大変にしんどいということは、私ちょっと認識として持っておいていただいた方がいいと思います。そういう意味では、以前に○○委員がおっしゃった仮免的なものというのは、私はいいアイデアだと思います。

○ ありがとうございました。大変いろいろ御意見をいただいたのですが、そろそろ時間になりましたので、次回が本当の山場といいますか、公益性の判断要件、目的、事業、規律等について詳細に御議論をいただきたいと思っております。
 それから、日程のことを先ほどお話しいたしましたが、2日間日程をいただいておりまして、今日かなり皆さんの御意見をいただいたので、やはりあと2日間はどうしても予備日としていただいている分も含めて、参加のお願いをしなければならないと思いますので、御多忙中と思いますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと存じます。
 今日の議論の大筋をながめてみますと、やはり市民社会の大義を掲げるということが1つと、それから、いろいろ公益性の判断の条件みたいなものをどこまで具体的に書き込むか、説得力のあるものにするか。それから、判断主体が社会からの納得がいくものであるかどうか。それから、もう一つ、私たちの今までの議論で欠けていたので○○委員に御指摘いただいたのは、人間も育てなければいけないけれども、そういうことに対しての仕組みをどうするのかというようなことがあったかと思います。今日はいろいろ皆さんから啓発をしていただきまして、大変ありがたく思っております。どうぞ次回もよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次回予定を。

● 次回日程は資料3でございますが、来週金曜日10時からこの会議室で本日の続き、全体的討議の第2回ということでよろしくお願い申し上げます。

○ 来週は大変山場に来ると思いますので、よろしくお願いします。

● その次、次々回でございますが、7月28日水曜日でございますけれども、午前中の会議として予定してございますので、よろしくお願いいたします。

○ 28日で一通り皆さんの御意見をいただきまして、それを集約して秋以降の報告書の土台をつくるということになると思います。例によりまして、今日これから定例の記者会見をさせていただきます。
 今日はどうもありがとうございました。


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