○:委員
●:事務局

第15回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年6月30日(水)10:00〜12:30
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ おはようございます。
 遅れている方がいらっしゃるのですが、金子委員と宇賀委員は初めから御欠席でございます。それから、岩原委員も遅れていらっしゃるという初めからの予定でございます。
 岩原委員、河野委員、田中弥生委員は御都合によって途中で退席されるわけです。
 勝又委員、加藤委員、田中清委員は遅れていらっしゃるそうなので間もなく到着されると思います。
 ちょっと人数は少ないのですが、予定どおり始めさせていただきたいと存じますので、予定しております議事、配布資料について事務局からまず説明をいたします。それでは、参事官どうぞ。

● 本日の議事でございますが、まず「情報開示のあり方」ということで、これにつきましては前回のテーマから残ったものでございます。それから、「事後チェックのあり方・判断主体のあり方」につきましては新たなテーマとして本日御議論いただきたいと存じます。
 資料でございますが、資料1、資料2の「情報開示のあり方」に関連する資料につきましては前回と同じ資料でございます。
 資料3、資料4は「事後チェックのあり方・判断主体のあり方」につきましての説明資料と参照資料でございますが、これは新たに用意させていただきました。
 資料5につきましては、事務局が行っている法人のヒアリング調査の調査個票ですが、前回お配りした分以外の未配布分につきまして、対象法人から公にすることにつき了解を得た分を追加配布させていただいております。
 それから、参考資料1といたしまして「諸外国の非営利法人制度」を配布しておりますが、その他、関係の資料につきましてはこれまでと重複する部分につきましては今回もお配りしてございません。ファイルの方の資料を御覧いただければと思います。
 それから、席上の一番下に加藤委員から判断主体に関連しまして資料の提出がございました。配布させていただいております。以上でございます。

○ そういうわけで、本日の議題に入りたいと思います。
 今お話のとおり「情報開示のあり方」についての検討でございます。四角囲みをしております主な論点ごとに区切って議論をしたいと思いますので、事務局からまず資料1の「情報開示のあり方」についての御説明をいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

● それでは、説明資料の資料1と参照資料の資料2でございます。まず情報開示の説明資料の2ページでございます。参照資料も2ページからになります。
 まず、情報開示のあり方の必要性ということでございます。いわゆる社会監視の考え方等により情報開示を求める必要性をどのように考えるかということで、基本的考え方といたしまして、まず1つ目のポツにございますように、現行の公益法人制度の下で主務官庁による指導監督を離れ、法人の適正な活動を図る方策として、社員や債権者といった利害関係者にとどまらず、広く国民一般に対する情報開示を求めて、社会全体によりその活動を監視するということによって、法人の自律あるいは自浄機能の適切な発揮を促すという点の御確認でございます。なお、その際、プライバシーの保護にも留意する必要があろうかと存じます。
 それから、付加的な説明といたしましてその下に幾つかのポツを並べております。
 1つは、公益的な活動を行う法人については、不特定多数からの者の寄付あるいは労務の提供を受けているといったことがございますので、活動内容を広く国民に対して説明する責任があるのではないかという指摘。
 あるいは、公益性を有する非営利法人についてはその活動内容を自主的に開示して、分かりやすく説明することによってその活動への理解、あるいはその協力を通じまして、寄付や労務の提供等を期待できるといった意味で積極的に情報開示を行うインセンティブが法人の側にもあるのではないかといった指摘がございます。
 いずれにしましても、その下のポツにございますように、法人の活動内容の透明性が高まることがいわゆる民間非営利部門による公益的活動の一層の発展につながるのではないかと考えられます。
 このほかの公益性を取り扱う仕組みの効果として、例えば税制上の措置を念頭に置きますと、それがいわば歳入段階での実質的には補助金のような性格を持つというふうにも考えられますので、そうした場合にはより徹底した情報開示が求められるとも考えられると思います。
 なお、情報開示のあり方、あるいはその取扱いにつきましては、法人の規模等によって差を設けることが適当かといった点についても御議論を賜われればと思います。
 次の3ページでございますが、具体的に「情報開示の事項と相手方」という点でございます。
 まず留意点でございますけれども、新たな非営利法人制度の方では計算書類、定款等の社員、それから債権者への開示が検討されております。
 ここで参照資料の最後にいわゆる公益性を有する、あるいはそれに関連する非営利法人制度について、情報開示の規律がどうなっているかということを一覧にまとめたものがございますので、それを御覧いただきながら御検討いただきたいと存じます。そこを御覧いただきますと、情報開示事項について御承知のように差がございます。今回、新たな制度を検討するに当たっては公益性を有する非営利法人について、いわゆる先ほど申し上げたような社会監視の考え方を踏まえまして、可能な限り情報を開示していくことが適当ではないかと考えられます。具体的には、例えば現行制度との関係では役員名簿、社員名簿、それから公務員出身者の最終官職、あるいは役員報酬の有無等についてできるだけ開示するということが考えられます。
 それからまた、先日来御議論いただいておりますガバナンスあるいは判断要件などの規律のうち、情報開示を通じて社会監視に期待することが適当なものにつきましては、これを分かりやすく国民に開示することによって、そうしたガバナンスや規律を確保するということも必要かと存じます。
 また、社会福祉法等では情報開示の事項につきまして、例えば閲覧請求権の濫用と認められる場合など、正当な理由がある場合には開示しなくてよいとされておりますけれども、特にそうした制限をすべき事項があるかどうかという点についても御意見を賜われればと存じます。
 それから4ページになりますけれども、現行の公益法人につきましては「指導監督基準」におきまして一般の閲覧に供することとされ、情報開示の相手方を限定しておりませんけれども、寄付者あるいはそうした公益性を有する法人が提供するサービスを受ける受益者、更に広くその他国民一般について情報開示の取扱いに差を設ける必要があるかどうかといった点も含めて、御議論を賜われればと存じます。
 続けて説明させていただきますけれども、次の5ページは「情報開示の方法」でございます。ここでは閲覧のほか、謄写、インターネット上での公開等を義務付けることについてどのように考えるかという点について御意見を賜われればと存じます。
 留意点といたしまして、一般的な非営利法人制度におきましてはワーキング・グループの方で情報開示の方法として閲覧、謄写の請求、公告、インターネット上での公開が検討されております。
 まず現行の公益法人の「指導監督基準」におきましては閲覧のみを定めておりますけれども、謄写についても義務付けることについてどのように考えるかといった点があろうかと思います。
 それから、「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」という申合せがございます。それによりますと、インターネットにより情報開示をするよう要請することとされておりますが、公益性を有する非営利法人に対して原則これを義務付けることが必要かどうかについて御議論を賜われればと思います。
 それから、インターネット上の公開ということになりますと小規模の法人につきましては負担となるおそれもございますので、これをどのように考えるかといった点もあろうかと思います。
 更に所管省庁における情報開示といった点もございまして、その点につきましては国から委託、推薦等を受けている公益法人については先ほどの申入れによりまして業務、財務に関する資料を所管省庁からインターネット上で公開するとしておりますが、これをどのように評価するか。また、更に新しい制度におきまして公益性を有する法人の活動の実態、あるいは実績を比較しやすくするという観点から、情報開示事項を例えばデータベース化いたしまして公益性の判断主体等がインターネットで公開するといった方法も考えられるかと存じます。こうした点を含めて御議論いただきたいと存じます。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ 以上、御説明のとおり、情報開示については「(1)情報開示の必要性」、「(2)情報開示の事項と相手方」、「(3)情報開示の方法」と3段階に分かれておりますが、とりあえず情報開示の必要性というところについて、確認かたがた御意見をいただければ幸いです。2ページの部分だけについてですが、どなたからでもどうぞ。

○ まず、情報についてはできるだけ開示するということが必要であろうと思います。その場合にプライバシーの保護が問題になってまいりまして、実際上、私どもでは指導監督基準に従って情報開示しておりますが、その経験から言いますと、ほとんど問題は起きません。
 ただ、今まで問題が起こったのは社員の名簿についてです。会員から住所を公開したということに対してクレームがきております。というのは、それが一般の名簿屋さんに回ってしまって、販売促進や本来の目的以外のところで使われることが多くて実際に非常に迷惑をしています。したがって、役員は致し方ないとしても、社員の住所まで発表することはない。そのほかのことについてはここに書かれていることを全部発表しても今までの経験上問題はないと、かように思います。

○ 御経験を踏まえて御発言があったわけですが、ほかにございますか。○○さんのところはどのように、今、されていますか。

○ 私どもも指導監督基準といいますか、インターネットに掲載するようにという要請がまいりましてすべて開示いたしておりますが、特に支障はございません。
 ただ、役員の方の住所というのはやはり色々なところで、例えば上場企業の有価証券報告書等を見ましても住所欄は会社の住所にして伏せてあるというのが最近の色々な世相を反映した風潮でございますから、ここまで出すのはプライバシーとの関係でまずいかなという感じを持っております。

○ ありがとうございます。○○さんのところなどはどうなっているのですか。

○ やはりインターネット上で役員、社員の氏名の方は公表しておりますが、住所につきましては入れていないです。会社の住所という形で記述をさせていただいております。

○ それは問題があったから入れていないのではなくて、最初から御自分の方で入れていないということですね。

○ そうです。私どもの前段の財団法人でありましたときには、やはり指導監督に基づきましてやっておりましたけれども、今回株式会社ということになりました関係で、商法上ということもございまして役員、社員等の氏名のみという形をとらせていただいております。

○福原座長 ありがとうございます。では、○○さんどうぞ。

○ ほとんどお三方の話を聞いていて、これは全く問題ない話だと。ただ、住所の話は今の世の中プライバシーというのは大変微妙な話なので、それは別に住所など載せなくても大したことはないと思います。ここに書いてあるのはそのとおりのことで、何の異論もないと私は思いますけれども。

○ 要は、もし何かアピールしたいとか、あるいは物申すことがあれば協会あてにいただけばいいと思うのですが。

○ 私は別に実務を踏まえてということではなくて、少し理論的な整理として、情報開示というときに恐らく3種類あると思います。
 1つ目は、債権者に対する各種の情報開示ということで、これは計算書類が中心になると思いますけれども、これは法人が活動する上での債権者保護という観点から求められるものです。
 2つ目は、公益法人の場合であれば社会全体が受益者ですから、受益者に対する関係でどういうものを開示したらいいかという問題です。
 3つ目は、社員が特に多い団体で問題になると思いますけれども、社員にどこまで開示できるかという問題です。
 この3つの場合において、開示の対象などは、多くはオーバーラップしてくると思いますけれども、何のために開示するのかという理念が違っていますので、注意する必要があります。また、例えば債権者保護の観点から何を開示するかというときに、現行の公益法人では、構成員は有限責任ですから、そういう意味では債権者に対して社員の名簿とか名前とかを出す必要はありませんが、中間法人では有限責任タイプと無限責任タイプがありますので、無限責任タイプでは構成員の対外的責任が問題となるので、社員の名簿というものも出す必要が出てくる可能性があります。
 それで、少し気になったのは、たくさんの構成員、社員がいる団体で、ほかの社員の名簿、名前を教えてほしいというようなときには、これは認めるべきなのかという気もします。

○ ちょっとお伺いしますけれども、社員がほかの構成員の住所を知りたい。これは可能ですね。

○ 個別のことに関しては、その事情を伺ってお教えするということは可能なわけです。ただ、名簿の形にして閲覧に供するとなると、それが流出したりするおそれがあるという意味でございます。

○ 実際には各団体でどのようにしているかは分かりませんけれども、例えば1,000人も2,000人もいるような団体で、社員が他の社員を知りたい、社員の名簿が欲しいということがあるわけですね。こういうような要求が出てきたときに、私は今、言いましたように社員との関係では社員名簿を見せるべきだと思いますけれども、多くの団体でそういう意識を持っているわけでは恐らくないかもしれない。ですから、少なくとも、社員間の情報開示という意味で社員名簿を見せるべきだという点をはっきりさせた方がいい。
 それから、代表訴訟で少数株主権と同じように、一定数以上の社員が集まって初めて代表訴訟が提起できるなどという制度をつくったときには、なおさらそういう必要性があるので、今までの公益法人は実務の中でどのようにしているか分かりません。恐らくすべてが開示しているわけではないのではないかと思います。

○ 御指摘をいただいたわけですが、今お話いただいたのは総論的なこれに対する確認でして、○○委員のおっしゃったようなことは最後の段階でどうするかというところに入ってくるかと思います。

○ ○○委員の3つの視点というのはそのとおりだと思います。
 今ここに出てきておられる公益法人の関係者の方々は社会的にも完全に認知されて全く問題がないと思うのですが、今後その公益性が広がっていくときに、会社には知られたくないけれどもというような公益法人であるとか、あるいはその時の政策とは違っている公益法人ということもあり得るかもしれないと思います。
 そのときにそこに参加するということは、会社に勤務しながらだとちょっと知られたくないというようなことが起きるかもしれないので、できればここで確定するのではなくて、より広い範囲の公益法人あるいはNPOの団体の方々にも御意見を聞いてみたらいいかと思っております。それは具体的に申しますと、社員の名簿の件でございます。

○ 分かりました。同好会等についても社員の名簿というのはあるのですよね。これはお互いに連絡を取るというようなことで。それは一般に流出する目的を持っていないのですが、刷ってしまったらどこへいってしまうか分からないということがあるので非常に危険が伴っているのですね。特に電話番号というのは大変危険なのですね。そういうことを踏まえて、最終結論ということでもう一遍考えたいと思います。
 必要性ということについては、皆さんおおむね賛成というか、その方向については全く賛成であろうと思いますので、2番目の情報開示の事項と相手方というところに入りたいと思います。確認しますと、新たな非営利法人制度によって情報開示が行われる事項や、現行の「指導監督基準」に定められている開示事項に加え、公益性を有する非営利法人についてはどのような事項を情報開示すべきか。それから、情報開示の相手方の範囲・取扱いについてどのように考えるかということです。今のことと大体オーバーラップするところなのですが。

○ この事項のところに含まれるのかもしれないのですが、情報の質というものについてどう取り扱うのかということで、これは○○委員からも以前コメントがあったと思うのですが、虚偽の申告を開示していた場合についてどうするのかということも考えていかなければいけないことではないかという気がするのです。これを全部チェックするということは非常に難しいと思うのですけれども、それが明らかになったときというのはやはり社会的な監視の目になるかもしれませんが。

○ 透明性を要求することによって、逆に透明性を失うようなカモフラージュができるという可能性ですね。

○ 私もよく分かりませんけれども、商法などですと恐らく虚偽の記載については何か過料とか色々あるのだろうと思うのです。それで、公益法人の制度においても同様に一定のサンクションを負わせるということはあり得るとは思いますけれども、ただ、結論的にそれがいいのかどうかはよく分かりません。余りそういうサンクションでもってやるというよりは、要するに法律の罰則とか、そういうものでサンクションを加えるよりは、もう少しソフトな形でやった方がいいのではないかという漠然とした感想を持っております。

○ ありがとうございました。ここに留意点と書いてあるところで、役員名簿、社員名簿等については既に前段で御議論いただいておりますので、ガバナンスを担保する仕組みとして情報開示を通じた社会監視に期待することが適当なものについてはガバナンスの実態を分かりやすく表示した方がいいのではないかということと、事業報告書、貸借対照表というようなものについては一体どうなのかということについて御意見はありますか。
 ガバナンスについては理事、財団については評議員があるわけですが、それらについての構成員等を住所なしで発表するとか、それから大体この会は何をやっているかとか、あるいは貸借対照表と言いますけれども、決算上はどうなっているかというようなことはほぼ多くの法人では開示されているように思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○ ほとんどのところでそれは開示されていると思いますし、今後も続けるべきであろうと思います。ただ、もう少し何を開示すべきか、ということになりますと、例えば総会あるいは理事会で決めた内容についても公開していく方がいいのではないか。細かいことまで書き込むことはできないのかもしれませんが、何が審議されたかまで書けるといいと思います。

○ 今のお話というのは、例えば臨時総会を招集しなければならない何らかの理由があった場合に、総会を招集しますよというようなことを言うかどうかですが。

○ 言うとともに、そこでどういうふうに決まったかについても開示する。

○ むしろ決まったかでよろしいのではないでしょうか。

○ その場合、例えば公益法人の場合は現在でも理事会、評議員会を年に何回開催するということが大体決められていて、それで議事録というものを作成しなければいけないので、そこの中で議事録も公開資料に含めるかどうか。あるいは、○○さんがおっしゃるように議事で決したことについての項目を、何月何日に開催して、出席者がだれであって、何が決まったということでとどめるのかとか、色々技術的なことはあり得ると思います。ガバナンスということからいくと、本当に理事会が開かれているのかどうかということが明快でない法人も結構あるようなので、どこかの段階でどういう内容を開示情報として求めるべきか、ということを、今までのものとか、ほかの国の例とかを参考に、そういうものからきっちりと討議する場が必要ではないかと思います。
 その関連で、公益法人が各省庁に毎年提出しております管理台帳、これは情報開示としてかなり書き込まなければいけないので、これも参考になると思いますし、ほかの国の事例として参考になるものも幾つかあると思います。

○ 今お話になったことは、公益法人を所管している窓口に提出するものについてのお話なのですね。それで、それは一般的に第三者が誰でも見られるように公開するかというと、ちょっとこれはまた桁が違うことなのですね。
 それからもう一つは、今のような事業報告書でありますとか、あるいは総会を開いてどのような審議が行われて、何人出席してというような、総会は当然成立するから総会になるわけですけれども、そういうことを細かく第三者まですべて分かるようにするのがいいのか。それとも、今だって総会を開いたということ、あるいは決議したということすら必ずしも公開されていないところもあるかもしれないので、どういうやり方にするかは分かりませんが、むしろその程度のことをまず必要条件として一般に開示するということをやった方がいいのではないかという気がしますけれども。

○ ここで議論すべき問題かどうかよく分かりませんけれども、最近公益法人自身が自己評価をするとか、あるいは第三者機関に評価してもらうという問題が検討されていると思いますが、それに関連して、まず第1の問題はそもそもそういう自己評価とか、あるいは第三者評価というものを義務付けるかどうかですけれども、これは義務付けるのは少し行き過ぎだと思いますので、それは任意とすべきだと思うのです。
 ただ、開示する内容としては、そういう評価を受けているか、受けていないかということを開示させるということはあり得るのだろうと思います。私は結論としてどちらがいいのか分かりませんけれども、そういう問題もあるのではないかという指摘をしておきたいと思います。

○ その関係で、アメリカの事例を一つお話ししたいと思います。
 昨年、公益法人協会の主催による米国調査ミッションでガイドスターという組織を訪問いたしました。ここは民間非営利の団体で、内国歳入庁に提出されている資料全部を新たにデータベース化して、それを情報開示しております。それに加えましてそこの団体独自にその情報開示されたものを元に、では全体の中でどういうようなたぐいの収入があるのか、支出は事業費がどのぐらいで管理費がどうなのかというような客観的な分析をすべての団体に対して同じように行い、更にその中で客観的なものだけではなく、希望するそれぞれ個別の団体につきましては自分たちなりのアセスメント、何を目標としてやっているのかという3段構えの情報というものを集積してオンラインで情報提供をしております。 これが、情報開示の一つのツールになっているわけなのですね。
 そこで何が起こっているかというと、そういう情報が毎年きちんと出ているところに関しては評価が自然に高くなる。情報開示のレベルが高い。それから、更に分析結果によって、ガバナンスの状況もある程度判断できる。また、組織自らの自己評価、活動広報のページもあるので、三つの観点から評価することが出来るという仕組みになっています。そういう意味であそこに自分たちの情報が載っているということが一つの社会における認知度を高めるというようなところまでいっているわけなのです。  それは簡単にできる話ではなくて、一時全く資金が続かなくなりましたとき、アメリカの大きな財団がいくつか一緒に500万ドルとか、そういうオーダーの助成金をそこに与えて、立て直しを図ったということがありました。人によってはアメリカだからできるということを言うのですが、同じではないにしても今後の広い意味でのガバナンスの中で公益性がある団体についてはそこまで求めていくことによって事後チェックということもできるのではないかという気がいたします。

○ 極めて具体的に言って、情報公開の相手はたくさんあると思うけれども、もし仮に税法上のことについて優遇を受け、一般会計から補助金を受ける形にするならば、相手はやはり主税当局です。ここに対して情報開示をやりたくないのだったら、受ける資格はない。一般会計から税金を注ぎ込むわけだから、こんなことははっきりしているのです。そこに対してぐずぐず言っても始まらないです。
 それは国民総番号制があって、私は20年関わってきたけれども、いまだにプライバシー論でノーだという連中がたくさんいるわけです。ふざけてはいけない。そんなことをやらなければ年金の一元化も何もできないのだから、プライバシーを盾にして言うのはもうそろそろやめてくれ。基本的には、税務署に対してプライバシーはないのです。ただ、情報を持った役人が濫用するようなことは言語道断であってはならないことです。それは当たり前のことでして、この相手方で一番端的なのは主税当局です。そこにがたがた言って、これもあれも言いたくないと、そんなことを言うのはやめなさいというだけの話です。

○ それは原則ですね。それから今、○○さんのお話で初めて私はガイドスターというのを知ったのですが、IRSに報告している分母というのはすべての財団なのですか、それともNPOから何から全部含む公益団体なのですか。公益ではなくても、社会活動的な団体なのですか。

○ IRSにまず申告義務があるのが2万ドル以上だったかと思いますけれども、要するに一定の収入・予算以上の規模のものはIRSに免税の申告をしなければいけないというようなことで、それが大体60万とか70万くらいあるわけです。そこの中のものを、IRSは基本的に要請があれば情報開示をするわけですけれども、実際にNPO関連を担当しているのは4、5人しかいないので、とてもそういうことに対応し切れない。それでも開示する必要があるということで、一民間団体に対して希望する書類全部はコピーを取らせるわけです。
 そこでガイドスターは、コピー機をIRSに寄付して、そこでコピーを取って自分たちの事務所に持ち込んで全部データベースにキーパンチをするという作業をやっているのですけれども、アメリカでは既にオンラインで税務申告ができるような州が出始めていますので、そういう意味での作業というものはこれからもっと軽減され、もっと大掛かりにできるだろうということも言っております。

○ 今の○○さんの言われた話と同じで、課税上の特典を得る団体についてIRSへ届け出る。それで、IRSはその公開の義務があるということですね。

○ そうです。

○ 分かりました。ほかにございませんか。

○ 今のお話で、その上のポツのところの役員の前職に関する情報なのですけれども、これは関係閣僚会議の申合せになってしまっているので、これについて否定をするつもりも全くないのですが、国家公務員であったわけで、仮にほかの団体の役員になっているときにはもう公の人ではないわけですね。その方に限って前職について公開をしなければいけないというのは、私は、これは平等ではない。今まであった色々なことからこういうことになっているのですけれども、よくよく考えてみればもう民間人になっているわけですから、その方だけを特定して前職を開示しろというのもおかしな話ではないかと、私は個人的に思います。

○ その辺はどう整理しますか。

○ それが常識になるには10年かかります。今はそんなことを言っても、そのことを明らかにしなさいということはニーズがあるのです。

○ この公益法人改革の出始めのところといいますか、スタートラインのところで、やはり天下りという問題が非常に大きく取り上げられ、今も多くの公益法人に実質上の官僚の天下りがあるということを、国民はある意味でやはり一定程度の監視をしたいという気持ちがいまだにありますので、現段階ではここの申合せのとおり書いていただき、更に本当は報酬の額も実質上、公表いただきたいというのが国民の本音ではないかと思いますので、その部分については○○委員が言われたことはある意味では正論であり、そういう社会に本当はなっていただきたいためにこれをやっているのですけれども、私としては当面はそこを外してしまうと国民のフラストレーションはたまっていくのだろうと思いますので、現段階では私は官職、報酬の額、それと報酬の有無についてはしっかり明記をいただきたいと思います。

○ 割合ここで議論をしているような法人については、その心配はどちらかというとないのですが、でも世の中全部、公益法人は同じようなものだと思っているところがあるので、当面はやましいところはないという姿勢を出した方がいいかもしれませんね。

○ 多分そういう結論になるとは思うのですけれども、やはり原理原則と○○委員はおっしゃってくださったのですが、そこを忘れて世論が非常にバイアスがかかっていること自体よくない社会なので、もしこれを義務付けるのであれば、原理原則はこうであるが、今の社会の要請に対してこう応えているのだということを原理原則のところではきちんと明示をした方がいいと私は思います。

○ 社会のバイアスといっても、時間がかかってできているのです。単なる頭の体操だけでやっているのではなくて、長い長い実績があってでき上がっているのだから、今あなたが言うように原則論はこうだけれども当分の間はこれでいくよとするのも一向に構わないけれども、社会のバイアスだと一刀両断に切り捨てるという話は冗談じゃない。

○ 分かりました。それでは、3点目の「情報開示の方法」について御議論いただきたいのですが、もう今、既に1と2の議論の中でほぼオーバーラップして入っているわけですが、閲覧のほか、謄写、インターネット上での公開等を義務付けるということについてどのように考えるかということです。

○ インターネットというお話が出ていますけれども、私はもうこの時代でございますので、インターネットで公開することにするのが一番いいのではないか、閲覧とか申しましても、遠いところの人はどうやって行くのか、主務官庁まで出向いていって見ないといけないのか、あるいは、その事務所まで行ってというような問題もございますから、やはり国民全般にも見てもらうということであればインターネットで公開するということが、誰でもアクセスできるという意味で一番いいのではないかと思います。
 あとは、効率的な事後チェックといいますか、情報公開にそういう機能を一部担ってもらおうということを考えれば、やはり誰でも見られるインターネットでというのが一番いいのではないかと思います。
 費用が若干問題になっているようですけれども、最近は随分安く掲載できるものもございまして、セールスするわけではないんですが、公益法人協会で共同サイトというものをやっていまして、ここは60枚以内の原稿について1年1回更改で1万円で請け負うということでやっていますので、年間1万円の負担でいいということです。
 自前のホームページを持ちたいというところは、助成財団センターというところでそういう応援業務をやっています。これが、初期コストが11万円くらい、年間コストが9万円くらいということでございますので、小さな団体でもこの程度であればどちらか選択してやれるのではないかと思います。

○ もうほとんど同じ意見です。小さいところほど、実はIT化とインターネットが必要になっています。実質上の事業をする場合に今、電話、ファックスよりもはるかにインターネットの方が効力を発していますので、逆に大きいところよりも小さいところの方が実質上はIT化を進める必要はあります。そういった意味でも、インターネット上での公開を義務付けるということは、小さいところにも逆にIT化の背中を押さざるを得ない。押していくということにもなっていきますので、インターネット上での公開を是非義務付けをしていただくことが逆の意味で応援になる可能性は高いと思っていますので、このところをしていただきたいと思います。
 それから、本当に今は非常に安い単価でサイトを構築できますし、共同ということも可能ですし、サーバーファーム等も含めて色々預けられたり、もしくは利用できる部分があると思っています。

○ ありがとうございました。インターネットで公開する場合に、もし何かほかに理由があって、その協会を訪問して閲覧したいということについては会社などでも株主がきて閲覧するということはあるわけで別に妨げることはないと思うのですが、いかがでしょうか。

○ 今の御意見もそうだと思いますし、義務付けるということについては確かに効果があるのですけれども、もう一方でデジタルディバイドの問題もありますので、そこは○○委員、それから関委員も提案されましたように、例えばどこかがそのサーバーを提供するという応援業務というものも必ずセットで義務付けるということを考えた方がいいと思います。

○ 義務付けることはできても、法律化することはできないのですね。ですから、義務付けというか、そういうことを是非おやりくださいと言ってもやらないというところ、あるいは虚偽の申告をするところについては評価が下がるということはあるわけですから、一種の社会的なペナルティがあると考えていただいていいのかもしれませんね。
 大体、以上のようなことで情報開示についてはよろしゅうございましょうか。

○勝又委員 ちょっと前に戻って恐縮なのですが、教えていただきたいと思います。社会福祉等で正当な事由があれば公開を拒否できるという場合の、正当な事由というのは具体的にどのようなものなのでしょうか。

● 私も実務に詳しくございませんが、例えば解説書等、コンメンタールを読みますと、閲覧請求権の濫用と認められる場合とされております。実態は、先ほどお話の出ました一般の名簿屋さんとか、そういうものが想定はされますけれども。

○ 今の指導監督基準がつくられた頃の社会情勢と今日では全然違ってしまっているのです。あの時分にはオレオレ詐欺などというのはなかったわけですし、この前話したかもしれませんけれども、今、問題になっているような法人にならない同好会のようなものは口座が開けないということで困っているのです。銀行が口座を開いてくれないわけです。個人でしたら運転免許証でも持っていけばいいのですが、皆さんそういうことでもお困りになるので、時代が全然変わってしまったということは想定しておかないといけないのではないかと思います。
 それでは、情報開示のあり方について色々な御意見をいただきました。特に虚偽の申告をしたらどうなるかということもありましたが、これについては……。

○ 本当は○○さんがおられた方がいいと思うのですけれども、先ほど申し上げようと思ったのは、すべての事項についてはサンクションというのは行き過ぎだろうということで、会計書類とか、重要なものについては何らかのサンクションが伴った方がいいのだと思います。ですけれども、事業報告で少し誇大に宣伝するとかはありそうなことで、そういうことについてまで一々刑罰的な過料、サンクションを加えるというのは行き過ぎかもしれない。

○ ありがとうございました。ここで情報開示について皆さんの御意見をいただきましてある程度方向は見えましたが、幾つかの問題が残されたということになるかと思います。それは、7月以降の機会でもう少し検討したいと思います。
 「情報開示のあり方」についての議論を行った後、事後チェック、すなわち監督のあり方についての検討をすべきであると思います。この事後チェックについても資料を用意してございますので、四角囲みの主な論点に区切って今のように議論をさせていただきたいと思います。そこで、事務局から資料3の事後チェックのあり方から御説明をお願いいたします。

● それでは、資料の3と4でございます。説明資料で申しますと2ページから、参照資料も2ページからでございます。
 まず「事後チェックのあり方」の「総論」ということで2ページ目を御覧いただきますと、現行の公益法人制度では監督の手法について具体性・透明性が乏しいということを踏まえまして、法人の適正運営を確保するために明確なルール、具体的には措置の内容・要件でございますけれども、そうしたルールに基づく実効性ある事後チェックの仕組みを設けるべきではないかということで、留意点の1点目は中間整理以降の議論を踏まえた考え方の整理でございます。
 繰り返しになりますけれども、法人の適正運営を確保するために、まず監事あるいは社員総会といった法人内部の機関による自律的な監査・監督機能を充実させると同時に、情報開示の徹底を通じましていわゆる社会監視の充実を基本とする。それでもなお法人の不適正な運営が生じた場合に対処するために是正手段を措置するなど、実効性ある事後チェックの仕組みが必要ではないかというものでございます。
 2点目は、今回どのような視点で御議論いただくかという点でございます。すなわち、現行の公益法人に対する監督上の措置の内容あるいは発動の要件が必ずしも明確でない。例えば、主務官庁は監督上必要な命令を発することができ、いつでも公益法人の業務・財産状況の検査を行うことができると民法では規定されておりますけれども、事後チェックを行う場合にどのような事由が生じた場合にどのような措置を講じるかという点で明確化を図り、信頼性、透明性を高めることが必要ではないかという点でございます。
 なお、事後チェックの実効性を確保するためには、同時に適切な体制を備えることが必要という点にも留意すべきかと考えられます。
 それから、続けて御説明いたしますけれども、3ページ目からは具体的に「事後チェックの手法」について、でございます。主に3つの点につきまして御議論を賜りたいと存じます。
 1つ目は事後チェックのルールの明確化、あるいは実効性の確保といった視点を踏まえまして、具体的にどのような措置や要件を考えるかという点。
 2つ目は、国民一般からの通報を受けるような仕組みについてどのように考えるか。
 3つ目は、公益性が維持・確保されているかどうかを定期的にチェックする仕組みを導入すべきかどうかという点でございます。
 まず留意点といたしまして、1点目の「事後チェックの手法」についてでございますが、その内容といたしましては4つほど主に挙げてございます。1つ目が事業報告書等の定期的な提出、2つ目がいわゆる一定の要件に基づく報告徴収・立入検査、3つ目が公益性判断を取り消す前段階としての必要な勧告や命令、4つ目が他の方法では監督目的が達成できない場合の公益性判断の取消し等々でございます。なお、これらにつきましては定期的に行うものと特定の場合に行うものとがあり得ると存じます。
 2つ目が、事後チェックの要件の方でございますけれども、先ほど申しましたように民法では必ずしも命令あるいは検査の要件について明確にされておりませんが、他の法人制度を見ますと、例えば社会福祉法人ではその下にございますように報告徴収・立入検査の要件として法令等の遵守を確かめ、必要があると認めるときといった規定がございます。こうした規定も参考に、明確な要件を設ける必要があるのではないかと考えます。こうした点も含めて、事後チェックの具体的内容等を検討する際には現行関連法制との関係に留意する必要があるかと存じます。
 なお、1枚おめくりいただいて4ページ目の最初のポツは事後チェックの内容といたしまして、公益性を有する法人が公益性を失った場合の対応、例えば先日御議論いただきました残余財産の帰属につきまして引き続きそうした規律を求める場合にそうした規律が担保されているかどうかを監督するといったことも含めて内容が考えられますので、その点も含めて御議論いただけないかということでございます。
 それから、2つ目の点でございます「国民一般による通報」の仕組みということで、具体的イメージといたしましてはその下のポツにございますように、法人の適正運営の確保と事後チェックの仕組みを補完するという観点から、例えば法人に法令等に違反する事実があると認めるときに、誰でも事後チェックを行う機関に対してその事実を報告して、適当な措置をとるべきことを求めることができるといったような仕組みでございます。こうした仕組みをどのように評価するかという点です。
 なお、法律上こうした制度を設けたものといたしましては、参照資料の16ページと17ページに挙げてございますが、公正取引、あるいは消費生活用品等の安全性の確保、あるいは家庭用品の品質保持といったような例がございます。このような通報の仕組みは、先ほど御議論いただいた情報開示によるいわゆる社会監視と組み合わされますと、法人の適正運営の確保により資するというように考えられます。
 それから、3つ目の点でございますが、「公益性が維持・確保されているかどうかを定期的にチェックする仕組み」でございます。これにつきましては2段階ございまして、1つは公益性を失った法人が公益法人として存在し続けるといった指摘に適切に対処する方策として、公益性の判断の有効期間を例えば設定してやる、いわゆる更新制度が必要という考え方と、こうした更新制までいかなくても一定期間ごとに立入検査等の事後チェックをまとまった形で大掛かりにしっかりと行うことによって、そうした更新制と同様の効果を持たせることも可能という考え方もございます。こうした考え方についてどのように評価するかということについて御議論を賜りたいと存じます。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ そういう御説明でございましたので、まず2ページの「(1)総論」について御議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。事後チェックのルールというのは一体どうあるべきかということです。
 どなたも御意見ございませんでしょうか。事後チェックが必要であるということについては、皆さん御賛成だと思うのです。ただ、どのような仕組みで事後チェックをするのが一番有効であるのかということになるわけです。

○ 公益性の判断機関というものを設けますから、一義的にはそこで監督検査をする仕組みをつくるということが一番現実的ではないかと思います。

○ 私は総論的な点について話をしたいと思いますが、若干細かい話も入っています。現在は公益法人で3年に1回事後チェックをしていると思いますけれども、私の関係するところも非常に小さい団体なのですが、主務官庁が非常に細かい項目についてチェックをしてきまして、それは、今ここで議論をしようとしている事後チェックとは何かイメージが違うのです。
 事後チェックで一体何をやるかというときに重要なのは2つで、1つは公益活動をきちんと適正に行っているかどうかという点のチェックと、それからあとは非営利性のチェックです。こうした大きな点だけをチェックすればいいので、現在の主務官庁のチェックのように、やれ事務所がきちんと独立しているかどうかとか、我々は小さいものですから間借りをしているようなものですけれども、そういうことを色々チェックしたり、理事会の寄附行為はあるけれども理事長についての規定がはっきりしませんねとか、非常に細かい色々な項目がある事後チェックリストにはあるのですね。このような事後チェックは、私は意味がないと思います。ああいうチェックではなくて、今言ったように、大きなところをチェックするようにすべきだと思います。

○ それは窓口にいる小役人が自分の権限を、連中はほかにやることがなくて政策論をやっているわけではないのだから、そこで初めて、少しはいじくってやるかというのが実態は半分以上だと思います。今、先生がおっしゃったようにつまらないことを重箱の隅をほじくるとはこのことですよ。こんなことはやめさせればいいのです。

○ 私どもの法人でも、理事長とか会長とかのあり方について御指摘があったのですね。それで、次に来たときには前の人のを引っくり返すお話で、だったら前のままの方がよかったのではないかと思うわけです。そういうようなことがあるわけです。

○ 今の○○さんからのお話で、チェックの項目はできるだけ大まかに、その対象が大きく公益性ある活動をしているかということと非営利性だとおっしゃったのですが、私はもう一つ、ガバナンスのチェックというものが必要ではないかと思います。この公益法人問題の根っこには、公益法人自身が指導監督、それから許可の問題とあいまって、ガバナンスを失ってしまったというところにありますので、この点は重箱の隅をつつかないにしても何らかのチェックが必要であるような気がいたします。

○ ちょっと反論しますと、ガバナンスは本来、公益法人そのものが行うべきもので、公益法人そのものというのは社員なども含めてガバナンスの機構の中でもってやっていくのが本来の考え方で、それを監督官庁がガバナンスで直接何か言うというのは少し行き過ぎなのではないかという考えを私は持っております。でも、今、○○委員の言われたようなことは一つの論点だとは思います。

○ 前に規律ということを論議したことがあるわけですが、あの規律というのはルールとして適当に動いているならば、後は○○先生が言われたように、この団体はちゃんとミッションをやっているかどうか。それから、それに対しての費用の配分、資源の配分等は適切であるかどうかというところを見ていただくのがいいわけでして、それはさっきの○○委員の御提言のように、後ほど○○さんからも御提言がありますけれども、一元的にそういうことをやるようなところができれば、そういうところでできることになるだろうと思います。

○ 結局、この事後チェックというのは先ほどの情報開示とセットになって考えるべきものだと思うのです。現在でも2万6,000くらいあるのが一般的非営利法人でもっと裾野が広がって多くなったときに、現実としてどれだけ細かいところまで立ち入れるかという問題もあるかと思うのです。そういう意味で、情報開示の方で客観的な事実がルールとして守られているかどうか。例えば、理事会とか評議員会がちゃんと開催されているか、社員総会が開催されているか、決算報告、事業報告、計画、予算といったものがきちんとつくられているかどうか。そういうような中身にまでは立ち入らないけれども、少なくともそういうことをやっているかどうかみたいなことは平たくばっとどこかで集積して、まず基本原則を守っているかどうかということで、その段階で守られていないところがあれば、そこで既にある意味での欠陥が見られるということになると思うのです。
 それと別に、何を見るかということは○○委員がおっしゃったように公益性と非営利性というものがきちんと本当に守られているか。ここは非常に主観が入る問題なので、何をもって見るかということは非常に大切だと思うのです。今まで立入検査というものは名目上あったけれども余り実施されていなかったのが、3年に1回必ずやるようにというような通達があったので私どもの方にも去年初めていらっしゃいました。既に用意されている項目というものがどなたが起草されたかは分からないのですけれども、非常に細かい技術的なものが多かったように思いますので、何をチェックするかを考えるということが非常に重要な問題になるかと思います。

○ 私は事後チェック機関の機能として、例えば報告徴収・立入検査の後、すぐ公益性判断取消しの前段階としての勧告命令というふうになってくるわけです。
 しかし、実際に起こる問題というのはイギリスのチャリティ・コミッションで聞いた話を申し上げますと、助言とか、あるいは金銭的な面ではない支援とか、そういうものでほとんどの場合解決できる。さっき○○委員がおっしゃったような細かいこととか、そういうものの助言とか支援とか、実態的にそういうところで解決できることが非常に多いのだそうです。
 日本の場合も色々な立入検査の後、例えば文部科学大臣の名前を書くときに1つ点を忘れたとか、そういったときでも非常に厳しくチェックを受けるというようなことがありまして、本質的ではないところで色々な検査をされることが多いわけです。ですから、監督とかそういう意味合いではなくて、公益法人を、国に代わって公益的サービスを提供しているというところに是非御留意いただいて、支援とか助言とか、そういう言葉を是非勧告、命令の前に書き加えておいていただきたいと思うのです。実際の運用に当たっては、そういうやり方でやっていくことが非常に大切なことだと思うのです。厳しいところは厳しくてももちろん構わないのですが、細かなところでほんの少しここをこうしたらいいのですよという助言の機能を持ってほしいと思います。

○ 分かりました。

○ 本当に問題があると誰が見ても分かっているところはきちんと検査をやらなければいけないと思っているのですが、この新しい判断機関というのでしょうか、余り大規模なものはできないと思いますし、自治体がやはりやらなければいけないものもあるということになると、全体として効率性を上げるためには○○先生がおっしゃられたようにちゃんと公益性を保った活動をやっているとか、そういうチェック項目にすべきであるし、余り細かいところまで立ち入らないということが重要だと思います。
 あとは、ガバナンスあるいは情報公開、そういうものをしっかりやっているところはむしろ反対に検査の間隔を空けるだとか、そういうようなことをしてメリハリをつけてやっていかないといけないのではないか。全部の組織に対して細かい検査をやるというと、そんなことをやれるような機関はつくれないと思いますし、立派にやっているところは今回の検査はなしだとか、間隔を空けるだとか、そういうメリハリをつけた方がいいのではないかと思います。

○ 例えば、税務署がやっているような優良法人みたいなことはできるわけですね。1つ○○さんに伺いたいのは、さっき助言と支援とおっしゃいましたね。支援というのはどういうことですか。

○ 支援というのは金銭的な意味ではなくて、まず監督と言うと、例えばこうしなさいとか、勧告とか、そういう形で出ますけれども、通常はそうではないわけです。本当は、ここはこう書けばいいのですよということがあってもしかるべきだと思うのです。
 もともとその発想自体、公益活動をしようということで入ってくるわけですから、何も知らない人が入ってくる可能性は十分あるわけです。その人たちに対して、金銭的な面ではなくてもちろん結構なのですが、やはり適切な助言が必要なのだろう。事後チェック機関というと、チェックという言葉の中にどうしても悪いところを取り除いてつぶしてしまおうというイメージが非常に強く感じられますので、そうではなくてもともとそういうものを振興させようという機関であってほしいという意味でございます。

○ しかもチェックもできるということですね。

○ 今の○○さんの御意見に本当に賛成です。公益法人をやっている者は、ある意味で一つ一つの機関でミッションが違う関係がありまして、自分たちがやっていることが正しいと言うと変ですが、社会的な評価をどう受けているかということを逆に知りたいという部分が多いと思います。そういった意味では、チェックという言葉の中にできれば評価というか、自分たちの背中をちょっと押してもらいたい。ほかの情報を逆にその方たちからもいただきたいという部分があると思っていますので、事後の評価と事後の監督、大きい評価機関にならないとは思いますが、全部ができるとは思いませんけれども、是正させるための監督よりも、ある意味で応援をしながら社会的な評価をしっかりいただくというようなところを前面に出したチェック機関になってほしいと思います。
 なぜかと申し上げますと、これからは大きい公益法人が生き残るのではなくて、本当に小さな小粒の非営利法人、そしてそれが公益法人になっていくと思いますものですから、その小さいところがある意味で大海の中で迷い込まないような監督といいますか、機関になってもらいたいと思います。

○ 大賛成ですね。やはりほめなくてはだめなのですよ。子供を育てるには、こういう新しいものをやるには、けなすよりも、欠点を探ることは役人は幾らでも能力を持っているから、そんなことをやる暇があったら……。
 それは、ある程度大局を見て指導をするのはいいですよ。しかし、指導なんておこがましいような話です。だから、よくやってくれた、立派ですねということでほめればいいのです。それでもだめな人はだめになっていくのだから。

○ 今の指導なり、助けるというのは趣旨としては大変結構なのですが、私はそれは行政に求めるものなのかなという気はします。特に事後チェックと、それが同じところでやるとなれば、もちろん税務署でも税務相談室というものがあって、例えば申告のときにどう書けばいいですかということをやるわけです。しかし、それは税務相談というものを申告時に設ける、あるいは相談室というものが独立してあるわけですから、それは調査とは別な話なのですね。
 ですから、行政がやってもいいかも分からないですが、私は、本来はそれは行政とは別のものがやるべきだと思いますし、行政がやるとしてもそれは事後チェックをするところとは分けないと、指導とチェックが一緒になると、何年か経ってくるとだんだん余りいい結果にはならない。お互いのもたれ合い、あるいは結局指導なのか、チェックなのか、ああだこうだと細かいことを言ってしまうようなことになってしまうし、訪れる法人の方も依存心がついてくるのではないか。
 ですから、ある程度仕組みを一旦作ったらあとは運用をする人たち、される人たちがどうなるかということをある程度見越して作らないといけないですから、そういうリクスは極力減らしておいた方がいいと思います。これは行政の常だと私は思います。

○ 実際に行政の現場におられた方のお声として大変重要なことだと思います。 

○ ○○委員の御意見はもっともだと思って伺っていたのですけれども、1点確認をしたいのですが、事後チェックで括弧で監督をする主体というのは次の「判断主体のあり方」のところで検討するわけで、何となく話の流れとして主体は役所だということが暗黙の了解のうちに議論されていたようなトーンもあるのですが、そうではなくてそれは判断主体が限りなく民間に近いところである可能性もこれからの議論の中で出てくるわけですね。

○ そのとおりです。○○委員のおっしゃったように今、議論をしていることというのは後段のところにかかってくるわけでして、この辺でひとさらいしたところで後段にかかった方がいいのかもしれません。
 ○○委員、何かありますか。

○ また後段のところで申し上げます。

○ では、後段に入った方がいいと思いますのでそのようにさせていただきます。

○ すみません。後段に入る前に1つだけ、これは私は非常にいい提案というか、項目だと思ったので委員として推薦したいのですが、4ページの最後に更新制度について記されていますけれども、私は是非この制度を導入していくべきではないかと考えます。

○ 更新制度ですね。

○ 4ページの「国民一般による通報」については、反社会的な勢力がこういうものを利用するケースもかなりあると考えられるので、ちょっと慎重に取扱いを検討した方がいいと思います。何が何でも取り上げるとか、そういうことではなくてですね。

○ 今の話に関連して、これは国民一般と書いてあるでしょう。国民一般は1億1,000万もいて、こんな小さいものが分かるわけはないのだから、近隣で接触していただくときに疑問を持たれた人はいるかもしれないと思うのです。しかし、それは実態から若干ずれるというか、誤解があるとか偏見があるという可能性の方がむしろ大きいと思います。
 私がこれに一番期待するのは、内部の人間です。この組織は社長がいて、課長がいて、新入社員に、おまえしっかりやれなどという話ではなくて横につながるネットワーク方式なのだから、それぞれ経験と見識を持って、年の違いはあるけれども、連中が集まってやるわけだから、意見の合わないことはたくさんあるわけです。こんなものはあって当たり前です。組織に対する忠誠心などというのは理念的にはあるかもしれないけれども、おれのやりたいのはこういうことだ、中に入ってみたらあいつのやっていることは何だ、会計資料にしても何にしてもということがあるでしょう。その内部告発の方がはるかに決定的に重要だと思うのです。
 それは、彼らを見て反社会的かというとそうではない。そういう告発なんか新聞に山ほどきます。一々取り上げていたら新聞が何ページあっても足りない。しかし、その中に本当によくぞ調べて、内部の人間でなければ分からないことがばかりがぞろぞろ出てくるのです。今は役所から出るのだってそういう文書は結構多いのです。だから、これは国民一般の何とかだというのは甘い話で、実際に本当に内部で告発されるに値するようなことをやっているとすれば、内部の人間が外に出すしかないのです。それは反社会的かどうか、そんなことは○○さんが心配することはない。一般の市民が、ちょっとあいつのやっていることは気に食わないというのだったら、それも放っておくわけにはいかないからある程度警戒してもいいけれども、一番私たちが欲しい情報は内部の本当に真剣にまじめに考えている人たちが言ってくれるものを誰がどう受け止めるかということが問題です。そんなことがしょっちゅうあっては具合が悪い。ない方がいいのですよ。

○ 私も今の○○委員と少しトーンが違うかもしれませんけれども、2点申し上げたいと思います。
 1つは、前に代表訴訟のところでは市民一般が原告適格を持ってもいいのではないかということを申し上げたのですが、それとこの国民による通報というのはちょっと違っていて、代表訴訟の方はやはりちゃんと自分が原告として出てきて、ある意味で責任を負いつつ行動するわけですね。これに対して、国民一般に通報というのはどういう形で行われるのかはよく分かりませんけれども、今、河野委員が言われたように内部者からの告発ですとか、あるいは色々事情を知っている人、疑問を持った人からの通報、これ自体は別にあって構わないことですが、これを公益法人の制度の中に組み込む必要があるのかどうかというと、私は賛成しません。これは一般的な問題でして、公益法人の制度の中に入れるという必要は必ずしもないのではないかという感じを持ちました。

○ しっかりやれよと書くことはないですよ。しかし、やれよと言わなくてもやりたいという人は出てくるわけです。彼は経団連の役員だから、大企業というのは内部告発で今ひいひい泣いているから被害者意識があり過ぎる。これは市民団体の話だから、そこまで気を揉むことはない。

○ 分かりました。そこで判断主体の方に入らせていただきます。○○委員、どうぞ。

○ ごめんなさい。後段というのをちょっと私は誤解していたのですが、更新制度についてもよろしいでしょうか。

○ どうぞ。

○ 先ほど○○委員から更新制度は非常に結構なものだという御発言がありまして、確かに運転免許の更新のようなイメージだったらいいのかなという気もするのですけれども、しかしマイナスもないかどうかを考えておいた方がいいかなと思います。
 1つは、法人が活動する上で何か萎縮するような効果が生じるかどうかということです。それからもう一つは、何となくイメージとして判断主体は更新のときといいますか、期間満了のときは割とフリーハンドで更新を認めないということができるようなイメージがあるのだったら、それはちょっと違っているのではないかと思います。期間中であれ、その期間が満期になったときであれ、そんなに安易にといいますか、簡単に取り消すということはできないのでないか、また、すべきではないのではないかと思っています。
 そうしますと、更新の制度のメリットというものに比べてマイナスも考えてみると、どのぐらい更新制度というものに実質的な意味があるのか少し疑問がありまして、方法としては先ほど事務局が更新制度を設けないで無期限にしておいて、一定の期間ごとにやや広めの報告義務などを負わせるという御示唆をなさいましたけれども、そういうものもあり得るかと思います。

○ 要点は、更新制度が活動を萎縮させる効果があるのではないかという危惧ですね。

○ それから、更新制度に余り大きな機能をイメージしても、それは実質的ではないのではないかということです。

○ 分かりました。ありがとうございます。

○ 私も定期更新制度というのは効率の問題で少し問題かなと思います。定期更新するとなると、問題のない先についても定期的にある程度の事務量をかけてやらないといけない。この監督機関でやる事務の効率ということを考えますと、やはり常時そういうことにはウォッチしていますよという体制を示すということが大事であるのに、定期的に何年かに1回見直すということだけが仕事だということになってしまわないか、かえって効率上、問題になるのではないかという感じがいたします。

○ 効率性の面というのは確かに私も懸念事項なのですが、ただ、今までの公益法人問題を振り返ったときに、一旦公益性を付与されてしまうと、それが税の控除とセットになっていたということもあるのですが、そこに安住してしまった非営利法人というものが多かったのではないか。それが社会的な批判の対象にもなっていたのではないか。余り公益法人がアクティブではない。そういう意味で、ある種の努力目標を提示するという意味で更新制度というものはプラスの効果も発するのではないかという意味で、私はこれはいいのではないかと思った次第です。
 ただ、○○委員も○○委員もおっしゃったようなマイナスの面も確かに十分に検討しなければいけないと思います。

○ 私も更新ということを実際に取り入れた場合、本当に可能かなという気がいたします。運転免許証のように写真を撮って住所を確認して、視力検査とか、20、30分で済むような類のもので更新できるということであれば、ある意味で公益法人に関して更新の作業をする意味は余りないだろう。
 そうなると、一つ一つの団体が過去何年間か本当にちゃんと活動したかどうかということを検証する作業というのは、今行われている法人のことをイメージしてしまうわけですけれども、何か月もかけてやらないと実際に本当に確認できないということに現状ではなっています。ですから、これが1万、2万というような大台になったときには現実的ではないので、日常的にある程度きちんと活動をしているところとそうでないところを仕分けられるような仕組みというものを考えておいて、その中できちんとしたことができていないとうかがわれるようなものに対して不定期であっても立入りを行うというような仕組みでないと現実性がないのではないかという気がいたします。

○ 分かりました。ほぼ更新の問題を含めて色々御意見が出ましたので、先ほどと同じように最後にまたまとめさせていただくことになると思います。今、事後チェックについて色々御意見をいただいたわけですが、そのセットになっている判断主体のあり方が前から見え隠れしておりましたので、その問題についての議論をさせていただきたいと存じます。
 この問題も四角囲みの論点ごとに区切ります。事務局で用意をいたしました部分については事務局で御説明をいたしますが、加藤委員からも資料が寄せられております。それは事務局の説明の後、加藤さんから説明をしていただきいと思います。では、事務局の方から資料3の2の「判断主体のあり方」について御説明をいただきたいと思います。

● それでは、5ページ目でございます。「判断主体のあり方」の「基本的考え方・視点」でございます。枠の中でございますが、「議論の中間整理」の中では、公益性に相応しい規律の法人の受け皿の仕組みを民法などで規定するという考え方Aに基づきまして議論を進めていってみようということでございました。その判断主体についてどのように考えるか。この5ページの留意点の部分につきましては、中間整理をそのまま抜粋したものでございまして、考え方Aにつきましては「主務官庁制の縦割りの弊害を避ける観点から、公益性を統一的な組織で判断することが適当であり、中立で第三者的な、又は、単一の公的機関を念頭に置きつつ、そのあり方について、さらに検討が必要」ということでございました。
 その際の検討課題としましては4点ございまして、一定の体制が必要であろうということと、その行政組織の膨張抑制の要請、行革の世の中であるということのバランスが必要であろう。民間の考えを適切に反映する視点が必要である。地方における判断主体のあり方をどのように考えるか。不利益救済のあり方についても重要な観点ではないか。そういった御指摘のあったところでございます。
 おめくりいただきまして、それではその判断主体にどのような機能を担わせるかということでございます。判断主体でございますので、最初の公益性に係る判断というものは機能として不可欠なものでございますが、ほかに本日、御議論いただきましたように事後チェック機能を担わせるかどうか。それから、不服申立ての処理といったことについてもどう考えるか。更に、仕組みの円滑な活用といった機能についてどのように考えるかといったことを提示させていただいております。
 それから今、申し上げましたような機能が的確に果たされるためにはどのような要素を満たすことが望ましいかということで3点挙げてございます。1つ目は、求められる機能を責任を持って果たすことのできる組織体制。2つ目は、効率的で実効性の高い業務運営。それから、3つ目は主務官庁制を廃止してどこか1か所で判断するということになりますと、様々な業務内容、財務内容のものがあるわけでございまして、そういったものにつきまして必要な情報を収集し、的確に分析し、判断できるといった専門性を有することが必要ではないかということでございまして、さらに、ほかにどのような視点がありましょうかということでございます。これまでがいわゆる一般論として提示させていただいている部分でございます。
 それから、判断主体を具体的に考えていく場合にどのようなものが想定されるかということが7ページ、8ページにございます。
 まず7ページにつきましては、具体的な組織体制を考えるに当たってどのような要素を満たすことが必要かということで4点、考え方の視点といいましょうか、基準めいたものを挙げさせていただいております。
 まずアにつきましては、これまでのこの会議でもかねてより出されてきたところでございますが、主務官庁制の弊害を避ける観点からできる限り公益性の判断を行うに当たっては、事業所管官庁から中立的な判断を行えるような組織であることが重要であろう。その際には、民間の考えを適切に反映することができるものであることが望ましいということでございます。
 2つ目が、事案を的確に処理できる体制であること。これにつきましては、法人の事業というのは各省庁の所管分野に関わるものでもございますので、そういった法人の事業につきましても的確に判断主体において判断できることが必要であるということでございます。先ほど申し上げました専門性といったことにも通じることでございます。
 ウが、効率的に処理でき、実効性の高い体制であるということでございまして、この効率性、実効性ということにつきましては判断要件が簡明かどうかといったようなことも関連してくるのであろうかと思います。
 エにつきましては、事後チェックなどを行うに当たって適切な責任を負い得る体制であるということでございます。これまで法人の不祥事などが起こってきて、中には政治問題化するような場合もあったわけでございますが、国会などで責任を問われるような場面もあるわけでございます。そういう意味も含めて、適切な責任を負い得る体制であるかどうかということでございます。
 なお書きとしまして移行措置として、今の26,000ある法人をどのようなシステムで移行させるのか。その判断を判断主体で行わしめることになれば、またその整備の体制のあり方が違ってくるわけですし、その辺の移行のシステムというものをどのように考えるかということが1つございます。
 それから、「その際」というところにございますが、いわゆる国所管の法人は必ずしも東京だけで活動するわけではございません。事後チェックをやるとなりますと、東京以外の地域でもいわゆる全国展開をして活動するような法人を事後チェックするということになりますと、出先機関を含めた相当規模の組織体制が必要となることが想定されますけれども、一方で行政組織の膨張抑制の観点というものもございますので、この辺のところをどのように考えるかといった点もあろうかと思います。
 具体的には8ページ目に表として掲げているところでございますが、ちょっと細かくて恐縮でございます。この表で分類しているのは、いわゆる国の判断機関を想定してつくったものでございます。
 一番左の欄でございますが、考え方Aでは「中立で第三者的な機関」または「単一の行政機関」ということでございましたので両方を区切ってございます。その中立、第三者的な機関というのは、今の日本の組織に当てはめてみた場合には「行政委員会」という形態のものと「審議機関」という形態のものに分けられるであろうということでございます。行政委員会というのは、例えば国家公安委員会とか、公正取引委員会とか、中央労働委員会といったようなものが挙げられますが、真ん中の欄で「公益性に係る判断の概要」ということで組織の性格が書いてございます。この行政委員会というのは、いわゆる内閣とか大臣の指揮監督から独立して職権を行使するというところに大きな特色がございます。そういう意味からしますと、この関係の公益性判断、事後チェック、不服申立てといった要素は、この行政委員会の中で完結して行うということがイメージされます。委員は民間有識者で、事務局が通常つくられます。合議制によって意思決定が行われるといった性格のものでございます。
 それに比べまして審議機関につきましては、名称としましては証券取引等監視委員会も審議機関でございますし、情報公開審査会も審議機関でございますし、運輸審議会といったようなものも審議機関でございます。名称はそれぞれでございますが、基本的に特定の大臣の下に置かれまして、合議制によって答申を行い、答申を受けた大臣は尊重義務があるといったシステムを取るものでございます。
 その中でa)とb)とに分けてございます。公益性の判断につきまして基本的にすべてこの審議機関でまず検討をして答申をするというのがa)でございます。b)につきましては一定のもの、例えば公益性を認めないという判断をしようとする場合には審議機関の方で慎重な手続きも含めてきちんとそれでよいのかどうか見てもらおう、あるいは、慎重な判断を要すると考えられるようなものについても民間の方の意見をきちんと聞こう、そういった一定のものについて審議機関で御議論いただくというものをb)と挙げてございます。
 ここで組織立てとしては行政委員会と審議機関とを分けて今、違いを説明申し上げましたが、実際の機能といたしましては審議機関の権威を高める、例えば委員を国会同意にかからしめるといったような方法などによりまして、権威の高い審議機関というものがつくられれば99.9%、ほぼ100%近く審議機関の判断を大臣は尊重せざるを得ないというのが行政実態としてある実情でございますので、そのようなものとして審議機関が構成されれば実際上の公益性判断に係る機能の差異というものはないのではないかという有識者の御指摘をいただいているところでございます。
 備考の欄でございますが、行政委員会の場合では留意点といたしまして合議制によりますのでどうしても業務の迅速性・効率性を損なうおそれが生じる。それから、内閣とか大臣から独立して職権を行使するという反面で、先ほど申し上げましたような不祥事で政治問題化するような場合、現にKSDのような事件が起こった場合、内閣から離れたような組織が十分に民間有識者からなる行政委員会としてそういった事後チェック機能を責任を持って担うことが適当かどうかといった観点も示させていただいております。
 それから、行政委員会を設置する理由としまして、先ほど申し上げましたような国家公安委員会、公正取引委員会といったようなものと比較して、必ずしもぴったりとくるような類例があるわけではないといったこと。地方における判断主体としましては同様の委員会が必要となるというようなことを挙げてございます。
 イギリスでチャリティ委員会とよく例に出されますが、それを日本の組織法制に当てはめればこの行政委員会ということになるのではないかと想定されます。行政実務の面では独立の判断主体というものを新設する場合にはスクラップ・アンド・ビルドの原則など、行政機構の膨張抑制といった観点も働くことには御留意いただきたいと思います。
 それから審議機関の関係でございますが、a)のすべての事案を審議機関にかける場合につきましては、合議制でございますので、業務の迅速性・効率性を損なうおそれがあります。ただ、最終的に責任を負うのは大臣ということになりますので、以下、審議機関の場合には行政委員会のようにその責任ある体制についての留意ということは多少少なくなるのではないか。
 それから、事後チェックのあり方につきまして、例えば公益性の判断、取消しを行いたいというような場合に、審議機関の審議にかからしめる、あるいは調査事務などについても大臣の方から委任させるといったような制度上、実務上の工夫というのはあり得ますが、そういった場合に審議機関にかからしめるかどうかといった判断はまた別途あろうかということでございます。
 b)の場合、一定のものについて審議機関の判断にかからしめるという場合につきましては、むしろ大臣の方での判断を行う部分が多くなりますので、その際の判断要件というのは可能な限り客観的であることが必要ではないかといった要請が出てくるということでございます。
 ほかに大臣に最終責任があること、事後チェックの取扱いにつきましてはa)と同様であろうかと思います。
 それから、単一の行政機関につきましては公益性の判断はできるだけ中立で第三者的に判断し得る大臣の下で行うということでございます。この場合には、判断要件というのはとりわけ裁量の余地が狭いものであることが要請されるであろうということでございます。民間の考えを適切に反映するための工夫が必要になってくるということでございます。
 最後に、事後チェック、不服申立ての処理については適正な救済を図る観点から審議機関にかからしめることも考えられるとございます。これは行政実務の面からしますと、不服審査機関としての類例として、例えば情報公開審査会というものがございます。これにつきましては、まず情報公開請求につきまして不開示決定を大臣が行う。これについて不開示決定に不服を申し立てられた場合には情報公開審査会にかかるわけでございますけれども、必ずしもその効果は事後だけではなくて、行政庁からしますと、自分の判断が引っくり返って審査会の方に持っていかれること自体が牽制効果として機能するといった、実際上の効果もございます。このように不服審査機関を設置することで、判断に当たっても公正な判断をしないと不服審査会の方に持っていかれてしまうというような牽制効果が実際上はあるといったことも御紹介させていただきたいと存じます。
 次のページでございます。「地方における判断主体のあり方について」でございますが、その必要性、設置単位、地方公共団体の自主性との関係についてどのように考えるのかということでございます。
 留意点とあるうち、公益性判断の主体としまして、国と地方との役割分担をどのように考えるかということでございますが、一定の地域を拠点として活動する非営利法人については地方において判断を行う。複数の地域を拠点とする非営利法人については国において行うということが適当ではないか。
 次にその範囲につきましては都道府県を単位とすることが適当ではないか。
 3つ目のポツでございますが、国と地方との間を比較した場合に、その判断、事後チェック、不服申立ての処理、これについては国と地方で整合を欠くことのない仕組みにすべきではないか。その効果が全国統一的に適用されるような効果、例えば国税といったものを念頭に置いた場合には、地方公共団体の自主性を尊重するということとの関係をどのように考えるか。その際には地方分権、地方行革の要請といったものも別途あるといったことを挙げさせていただいております。以上でございます。少し長くなりまして失礼しました。

○ かなり細かく書き込んでいただいてありますので、後ほど御検討いただくのに割合やりやすくつくられていると思います。
 ところで、加藤委員から我孫子の例について今のを補足すると申しますか、参考資料として御提出いただいております。加藤さんからお話をいただいた方がよろしいと思います。

○加藤委員 加藤委員提出資料という資料です。

○お配りしたのは最後です。

○加藤委員 手短に御説明します。今まで何回か、私はこの場でこういうものがあるということは申し上げてきました。我孫子市が補助金の公募制を平成12年から取り入れております。それで、その仕組みについて我孫子市の資料と、それから我孫子市から聞き取ったことをまとめたものです。
 1ページ目を開けていただきたいと思います。概要のところですが、ここだけ簡単に読み上げます。
 市による補助を希望する団体を公募。市民などで構成される「補助金等検討委員会」、これをどう呼ぶかはともかく、第三者機関的なものと言っていいのだろうと思います。それで審査し、その結果に基づいて補助金を交付。対象となる団体により交付年数は異なるが、最長3年間。1年のものもあれば3年のものもあるということです。
 それから、具体的には手続ですが、委員会の協議によってランク付け、これは4段階で行います点数制です。意見を付けて採択、不採択の提言書を市長に提出する。その提言に基づき、市長が認定する。委員会の審査で不採択とされた団体には公開ヒアリング及び文書提出により活動をPRすることで、再度活動の説明をする機会が与えられる。
 下の絵のように、一度この委員会でノーという答えになったものはもう一回文書提出なり、あるいは実際に口答で説明してお願いしますということを言う復活折衝の機会があるということです。公募対象は、営利を目的としない市民生活の向上及び市民の利益につながる公益的な活動。
 そして、これはガバナンスに関わることになりますけれども、10人以上で構成され、市内で活動し、政治、宗教を目的とせず、市から他に補助金の交付を受けていないことが要件。これが概要です。
 ちなみに、公開ヒアリングを行う場合にはこの委員会ではなくて市の企画調整室長、財政担当云々と、市の関係職員が出席する検討会の場所で行うということです。
 この委員会の概要ですけれども、下に書いてあります。平成10年12月に市の要綱をつくって、それに基づいて設置されております。選ぶのは市長です。委員は5名、現在は下に氏名は書いてありませんが、もと会計検査院の技術参事官、行政書士、成田市の総務部長云々で、任期は3年間です。条件は@ABということです。
 2ページ目ですけれども、では判断をする場合にどういう基準で行うか。まず、これは公益性の考え方と全体として言っていいと思うのですが、まず法人なり団体の目的ですけれども、これはNPO法の第2条を援用するということになっております。第2条については資料1に付けております。ページ数がついていないのですけれども、3ページ目の次の4枚目です。
 それから判断要件ですけれども、公益性があると判断する際の要件で、まずは市の補助金等交付基準というものがあります。これを前提としております。それが資料の2です。2を見ていただきますと、大まかなものなんです。4つ、「効果からみた基準」、「的確性からみた基準」、「期限からみた基準」、「制限からの基準」ということで、この中にある程度使用目的なり、あるいはガバナンスの大枠が入っているということです。
 それから、市の補助金等交付基準を前提とした上で、独自の審査判定基準により最終的に補助すべきかどうかというものを判定していく。
 では、その独自の審査判定基準というのは何かというと4つあります。「時代度」、「実現・目的達成可能度」、「創造性」、「我孫子らしさ」、これが資料3にあるものです。3を見ていただきますと、4つの項目について1点、2点、3点、0点、これを点数で付けていくということです。
 それから、次の判定の流れですけれども、これは今、申し上げたとおりです。下に平成15年に策定された市の要綱、「我孫子市補助金等を受ける公募団体の選定及び手続等に関する要綱」、こういうものが平成15年度に3年間の実績を踏まえて、少し判定をする上での手続とやり方について、それまでは今の資料3のものしかなかったわけですけれども、もう少し細かく書いておこう、ルールを明定しておこうということでこの要綱がつくられました。それに基づいてそれ以降は行われているわけですけれども、その要綱が資料4、これは第1条から第18条まであります。
 2ページ目の下に少し数字があります。まずこの委員会で認められた数ですが、平成12年はごく少ないのですね。市の補助金対象ですから、公募総数が60件です。そのうち委員会がこれはOKと丸を付けたものが58件となっていますが、申し訳ありません。これは38件の間違いです。それで、不採択が復活してその後から追加で採択になったものが2件、合計で40件です。平成15年は公募総数47件のうち委員会がOKとしたものが、これも数字が間違っております。35ではなくて19件です。それから、後の復活折衝でOKになったのが12、合計で31件になっております。
 1枚めくっていただきまして3ページ目の(2)の「活動実績に対する評価」です。今ここで議論をしております公益性の判定とこの補助金で少し違いますのは、判定する際に公益性の有無を当然前提とするわけですけれども、ただ、補助金を出す趣旨というものが公益性を認めてそれを維持させることではなくて、公益性を前提とはするけれども、むしろ補助金を出すこと自体はその団体が自立可能かどうかというところにあるわけです。したがって、公益性があるけれども、もうこれは自立できるということが認められればその時点で補助金はやめるということ、その点が違うのだと思います。そういうことも含めて期限が最長3年となっているということです。
 真ん中に「(3)検討委員会の指摘」というものがあります。平成14年度の認定をしたときに、合わせてそれまで12年、13年、14年度と3年間の実績を踏まえて、先ほど申し上げました資料4で付けております委員会としての判定基準、ガイドラインをつくったわけです。それをつくる必要があるよという提言が、順番がちょっと前後しておりますけれども資料5です。
 資料5は平成14年度補助金等交付についての提言書、これはこの委員会が市に対して出した提言です。この提言の真ん中辺りまでは、こういう理由で41点以上のものはOKとして、40点以下のものは交付すべきでないとしたという概略の説明です。中ほどから下のアンダーラインを付けてあるところが、委員の中で評価が分かれたのは評価判定基準の枠組みの中での審査の限界の表れであり、市民活動や文化活動に対する新たな基準づくりの必要性を強く感じました。
 その下の付帯意見のAのところですけれども、これもアンダーラインを付けております。市民活動及び文化活動に対する市の基本的方針と基準づくりが求められている。更にその下ですね。明確で、より具体的な基準を設定し、効果的な施策を選択する上で補助金はどう位置付けられるのか、改めて整理することが必要です。それまでは非常に大まかな4つの基準だけで、我孫子らしさ、時代性とか、そういうことで委員の裁量の幅は相当広かったわけですけれども、3年間の実績を踏まえてもう少しやはりこれはルール化をやった方がいいのではないかというのが今のアンダーラインの意見です。それを踏まえて、1つ手前の資料4のガイドラインができたということです。
 最後に、3ページの一番下の今の事後チェックのところです。これも、規模がとても小さいとはいえ参考になるのではないかと思います。
 まず、事後チェックは市が行う。補助金の担当課は交えない。市民活動支援課というところが別にあります。ここが公平性を担保する。私はさっき事後チェックをするところと、支援、アドバイスをするところは分けた方がいいというような、これと少し矛盾するようなことを申し上げましたが、ここでは市民活動支援課というところが事後チェックを行っているということです。
 その次の補助金を受けた法人・団体は使用状況の中間報告、事業完了時の実績報告を義務付け。当然と言えば当然です。
 それから、予定事業を実施できなかった場合には、その一部を返還するということが次です。
 その次の4番目のポツのところは内容をまだ詳しく聞いていないのですが、補助金を受けた法人・団体は市主催の活動報告会、これはオープンな報告会です。そこで、活動内容を発表することが求められている。これはなかなか面白い仕組みではないかと思います。 最後に、上記以外で執行体制や外部監査など、団体・法人のガバナンス、または情報開示に関わる問題は各団体・法人の自主性にゆだねられている。先ほど能見先生がおっしゃいました点ですが、要するにガバナンスというのは基本的に自らの話であって、それは行政が判断するものではないのではないかという考え方の表れだと思います。以上でございます。

○ ありがとうございました。今、御説明があったのですが、これは市の場合であって、しかも対象がNPOの場合であって、直接我々が議論をしていることの参考になるかどうかは別としまして、現実に行われている例としては大変興味深い例だと思います。
 加藤さん、これをヒアリングなさって、印象としてうまくいっていますか、どうですか。

○加藤委員 うまくいっているのだと思います。ただ、これはやはり今の福島さんという市長のイニシアティブに負うところが非常に大きいわけです。それまで補助金も既得権益化して、どんどん規模がふくらんで、何か怪しいなということがたくさんあった。それをどうにかしようということが最初にあった。
 ですから、文句を付けようと思えばいっぱいつけられるわけです。まず、この5人を誰が選ぶのかというと結局、市長が選んでいるのであれば独立でも何でもないではないか。市長が変な人を選べばどうしようもないということがあるわけですけれども、そこは市長を始めとする今の市のこれに関わる人たちの見識が問題になってくるわけです。
 ですから、この委員会自体の独立性ということもありますし、それから60件やそこらで、100件未満だからやれる話であって、これが1,000 倍になったら全然話は違うだろうということもあります。それから、事務局はどこなのか。事務局は少ないから市でやっているんだ。あるいは、事務局は市の担当課がやっていて独立性が保てるのかというようなことはいっぱいありますけれども、総じてうまくいっているとは思います。

○ ありがとうございました。もう一つ伺いたいのですけれども、先ほど5人の委員の評価がばらばらになるから基準を直さなければならないのではないかということについて、私の考えでは、5人の委員が全部同じ評価をするのだったら5人の委員は要らないということになると思うのですが、どうですか。

○加藤委員 意見がばらばらというよりは、そこの実態は必ずしもよく分からないのですが、当然でしょうし、ばらばらなのだと思います。それで、ばらばらをまとめようというよりは、どうもある程度時代性だとか、我孫子らしさというのは余りにも抽象的なので、それを今まで3年間やると大体この事例ができてきて大体の感覚が分かってくるから、それを紙のルールとして定めて、それに基づいてやろうということですから、資料4のつくったガイドライン自体、抽象的といえば抽象的で微に入り細に入り細かく決めたというものではないですから、引き続き5人の方のばらばらな意見で決まっていくというところはそれほど変わっていないのだとは思います。

○ ありがとうございました。今、御報告をいただいたわけですが、それでは資料に戻って「判断主体のあり方」が(1)から(3)まであります。それと、今の加藤さんの御発言等について御意見があれば承りたいと思います。
 まず(1)の「基本的考え方・視点」というのは、実は確認というような意味であろうと思います。というのは、3月の中間整理のときに、これはほぼ我々の意見をまとめていただいているわけで、それをここに再掲したわけですから、それについてまた御意見があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 もしないようでしたら、(1)と、次の(2)の「判断主体としての公的機関のあり方」、これが中心課題になるわけですが、(1)はもう既に我々が検討をしたことを繰り返したわけですから、そのことと(2)を含めて色々御意見をいただきたいと思います。特に2の8ページの資料のところが一番分かりやすいと思います。

○ 8ページの資料のところで申し上げますと、私はやはり今ある考え方のどちらかと言ったときに、行政委員会の方ではないかという気がいたします。
 それはなぜかと言えば、最終的な責任を大臣の判断に委ねるという審議機関の場合ですと、審議機関の判断とは別に、この大臣の下にある行政の人の判断というものが大臣に上げられるわけだと思うのです。そうすると、二重構造になってしまう。そういうことを考えますと、今、私たちが求めているのは中立的で第三者的な機関である。それに対して、どのように権威付けるかというような別のテクニカルな、例えば委員となる方々が国会の承認を経るというような問題があると思いますが、基本的考えとしてやはり別のものであるということの方がいいのではないかと思います。

○ 基本的な考え方としてはですね。そのときに○○さんに伺いたいことは、この事後チェックの処理というか、例えばある種の法人の不祥事で政治問題化したときに民間の行政委員会というのは事後チェックを担当することが可能かと備考の2番目に書いてありますね。この辺はどうお考えですか。

○ 実際に、例えばKSDのような事件が起きたときに、行政委員会そのものが調査に入るということは不可能だと思います。その場合に、行政委員会としてのある程度の調査の結果として、それ以後は検察なりの裁定機関に委ねるというようなことになるのではないかと思います。

○ 分かりました。ほかにどうぞ。

○ 私も三条委員会ということになりますけれども、行政委員会ですね。委員の意思決定が最終的な決定になるという意味で、行政機関の所管大臣は関与しないという形になりますから、行政からの独立という要請を満たすという意味ではこの行政委員会が一番いいのではないかと思います。
 それから、色々なあとの事後チェック等々は、ある程度権能があった方がいいのではないかという感じもありまして、準司法的な手続についての権限・能力も与えるということであれば、なおこの行政委員会の方がいいかなという感じはいたします。
 ただ、今、行革の時代でございますので、三条委員会はとんでもないという御意見が出れば、これは返す言葉がないということではあります。ただ、その場合も新たに作るのではなくてどこか既設の三条委員会にこの公益関係についての機能を付加することは考えられないかといったことも考えていただいたらと思っております。

○ ありがとうございます。ほかにございますか。

○ ここでは判断主体ということで議論が進んでおりますけれども、実際に今まで我々が議論した中では3つの大きな問題があって、1つは公益性を認定するという意味での判断主体、それから先ほど議論をした事後チェック、それから不服申立てなどの仕組みを設けようとするとその不服申立ての仕組みの中で出てくる主体ですね。
 こういうものを結局どこでやらせるか。これはそれぞればらばらにすることもできますけれども、恐らくある程度まとまっていた方がいいと思うのです。それで、私はこの問題を考えるのに一番恐らく重要だと思うのは、これから公益活動を支え、促進していく独自のというのでしょうか、普通の行政とは違うプリンシプルを持った主体というものが必要なのではないか。ちょうどかつて環境庁が独立したように、環境というものはほかの行政の一環としてやるよりは独自にやった方がいいだろう。これとと同じように、公益活動、公益分野について理解を示して、先ほど支援とかという話も出てきましたけれども、要するに独立のプリンシプルとディシプリンを持って進めていく。そういう主体が必要なのだと思います。
 それに相応しいのは一体何かということなのですが、私も行政委員会というものができるのであれば恐らくそれが一番望ましいのではないかと思います。また、行革の時代とはいえ、非常にこれから重要になっていく新しいニーズの中でそういうものは是非必要だということを訴えて説得できるのであれば、それはそれで非常に望ましいと思います。
 しかし、それがどうしても色々な諸般の事情で難しいということであれば、審議会方式でも構わないと思いますけれども、先ほど言いましたように審議会でそれ自体がすべて事務局におんぶしもらっているのでは困るだろうし、全体として独自のプリンシプルを持って、つまり事務局自体も相当独立したものがくっ付くことによって、行政委員会と実質的に同じようなこともできないわけではないのではないかと思います。

○ ありがとうございます。○○さんの御意見を伺った上で、○○先生に是非お願いします。

○ 今、○○先生がおっしゃられたことにほとんど尽きるのですけれども、○○さんが最後におっしゃった行政委員会を新たにつくることが無理であれば既存のということに関しては、今の既存の行政委員会でこれがやれるとは思えませんので、この有識者会議からあえて持ち上げる必要はないのではないかと思います。一番重要なことは、行政委員会の委員になることもさることながら、事務局体制ということできっちりとパーマネントにこういうことを専門職としてやるような体制が絶対的に必要だと思います。

○ ありがとうございました。では、お2人が済んだところで○○先生に総括していただきますので、○○さんどうぞ。

○ 今のお話、あるいは先ほどの○○先生のお話の延長線上なのですけれども、私は行政委員会をこの有識者会議が提言するに当たって、新しい行政委員会をつくることに関して何の遠慮をする必要もないと思います。これはその趣旨から言って、先ほど能見先生がおっしゃったようにパブリックなことを担うのはガバメントだけではないのだ、パブリック自らが担う。その趣旨自体が行政改革を進めようということで、そのために必要な機関ですから、それに関して何ら遠慮する必要はない。もちろん現実的にどうかということは別にあるにしても、言うべきことは言うべきことであると思います。

○ 現在、各省庁でこれに対してある程度の人員は割かれているわけですからね。 

○ 今の○○委員と同じで、代弁というか、本当に言っていただいたので、それ以外のところで申し上げると、加藤委員の方から提出をされました我孫子の資料を見て本当に驚いております。地方自治体がここまでのある意味で権能を持ち、一定程度の面白い仕組みをつくれるだけの実力が出てきたということは、次のページに載っておりますけれども、国だけが判断基準を示すのではなくて、これから出てくる団体というのは本当に地域密着型であり、ある意味で全国統一の公益性を持たないような公益を持った活動になってくると思います。
 そういう意味では、国の行政委員会でやる役割、全国的な役割と同時に、私の前職のときに大分中間の機関である都との折り合いが悪かったのですけれども、県レベルに同じような権能のある行政委員会の方が逆に目配りがいいのではないかと思っていますので、国だけではなくてここで期待されている都道府県への……。

○ そのレベルについては参考で出てきますので。

○ 逆に、私としては国よりもほとんどが都道府県レベルでの行政判断といいますか、第三者機関そのものが重要だと思っています。それで、我孫子のようにここまでできるであれば、本来もう一つ下ろして地方自治体に規模の小さいものについては行政委員会を含めた形での評価団体というものもあり得るのかなと。今日、加藤さんの提案をいただいたときに、地方自治体でも可能ではないかというような気持ちにもなっていまして、私としてはもう少し地方自治体を信用して動いていただくのも一つの手ではないかと思います。

○ 三鷹はそういう意味で非常に先進的であるし、それからまたそういう人材が育っているという世の中のうわさもあるので、本当に各市レベルでどの程度の仕事ができるかどうかについては少し疑問はあるけれども、県になると話は別ですね。

○ これは私の個人的な意見で、私が所属している三鷹市とは関係ないのですけれども、やはりガバナンスという意味ではその力があるからやらせるのではなくて、やりながら力を付けるということなのです。そういう意味では、地方自治体の方も三鷹だから、我孫子だからということではなくて、権限と実質的な経験を持ってガバナンスはついてくるはずなのです。ですから、そこは国レベルの皆様から見てもう少し地方自治体については信用していただいて、お任せいただく部分についてはお任せいただいた方がいいのではないかと思います。これは個人的な意見です。

○ ありがとうございます。では、○○委員お願いします。

○ 私は全くこういうことの専門ではなくて、本来は行政法の○○教授か、あるいは○○教授の方が御専門だろうと思いますけれども、全く素人な感想でしかありません。 各委員の御指摘になったことは非常にもっともで、○○委員あるいは先ほどの○○委員その他の委員の御指摘のとおりだと思いますけれども、行政委員会制度が現実に日本の中ではなかなか受け入れられていないということも事実だと思いますので、1つはさっき○○委員が御指摘のように実際上そういうことは可能かということをどうしても考えざるを得ない。現在の三条委員会としては公正取引委員会など非常に限られたものしかありませんので、現在の枠組みの中でどれだけ可能かということは考えなければいけない。
 あとは、独立の行政委員会にした場合にはどういう形でその委員会自体が自らの社会に対する責任を果たしたことを示すことができるかということも考えておく必要があるのだろうと思います。そういうことは公正取引委員会などで非常に苦労をされて実行されていると思いますけれども、内閣から独立した委員会である以上、それはやはり国民全体あるいは国会等に対して自らのやっていることをきちんとしているということを示す体制が必要でしょう。
 それから、実質的には予算と人をどれだけ独立できるかということが一番の実質的な問題ではないかと思っておりまして、仮に審議機関の形をとるにせよ、そこのところで本当に独立した体制をつくれるか、それが一番の問題ではないかと思います。
 そういう点で言うと、ここに書いてあるのはあくまでも日本の従来の枠組みの中でのものですけれども、外国などですと場合によると予算などをイギリスのFSAなど、行政機関でありながら一切国の税金は使わず、監督対象から一定の費用を支出してもらう。そういう形で予算からも独立した形で運営しているというところもあるわけで、そこら辺の工夫は何かここでも考えられるかもしれないという感じはしますけれども、これは全く素人の感想であります。以上です。

○ 今、○○先生についてのお話がありましたが、今日は御欠席なのでこれについては事務局が今日の皆さんの御発言を聞いた上で、○○先生の意見を求めてくるということになっております。

○ 私も全く素人ですが、ただ、今までの委員のお話を伺っていて、特に○○委員のおっしゃった実現可能性を考えて遠慮することはないのだ、理想を言うべきだというご発言には非常に胸を打たれたところです。
 ただ、そうは言ってもやはり考えてしまうところもあるのですが、チャリティ委員会のイメージに一番近いのは行政委員会だろうと思います。そのチャリティ委員会自体、非常に規模が大きいということもありますので、それを果たして日本に持ってこられるだろうかということ。それから、行政委員会について備考欄で4つのポツの問題点が指摘されていますけれども、この問題点を本当に克服できるのかという気がいたします。
 他方で、審議機関についても独立性という面で言うとそれに劣ることになるわけですが、どこまで工夫によってより近付けることができるかということを詰める必要があるのではないかと思います。そうなってきますと、これはやはり行政法の御専門の先生方の御意見も伺いながら、可能な方法を探っていくということかと思います。

○ ありがとうございました。
 皆さんの御意見は、公益性に相応しい規律の法人の受け皿の仕組みを民法等で規定するということに基づいて、公益性に関わる判断主体について考えなければならないということが前提としてありまして、考えられる方向としてこのような幾つかのタイプがあるというところなのですが、今日は金子先生もお休みですし、その最終的なあり方についてはまた後日お諮りをしたいと思っております。
 そこで、続いて戻っても結構ですから、3番目の地方においてはどうか。地方の独自の公益性ということがこの前から話題になっておりますけれども、これを東京で判断するということは非常に難しい。それならば、地域において判断した方がいいのではないか。そうしますと、その設置単位だとか、あるいは地方公共団体の自主性との関係というのはどう考えるか。今、三鷹の例も我孫子の例もありましたけれども、そういうことについてここで時間の限り、御検討いただければと思います。

○ 少し前に戻らせていただいてよろしいでしょうか。○○先生のおっしゃられた予算の問題というのは非常に大きな問題だと思います。常に毎年、国会の承認を経て、その承認を経てからでなければ執行できないという体制の中で独立の活動をするというのは非常に制限が出てくる。
 そうなると、例えば何か別の、それこそ事後チェックとか、非常に厳しいものが求められるようになると思いますが、ある種の国の収入の一部が自動的にそこの組織に流れるような仕組みというものを考えるべきではないか。今は廃止されてしまいましたが、例えば韓国の高麗財団の場合、パスポートの手数料がそのまま高麗財団の収入になって、それをもって活動をするというようなことをやっていました。それがだめになったのはなぜなのかということは調べなければいけないのですけれども、何か独自に財源が流れる方式というものがないと、今の独立行政法人のように、例えば5年後にはできるだけ自分たちで独立せよとなっていくと、この機能というものが途中からおかしくなってくるのではないかということがありますので、そこは専門の方々に是非御検討いただきたいと思います。

○ 大変重要な御指摘をいただきました。ほかにございませんか。

○ 地方における判断主体のあり方について、複数の地域を拠点にする場合には国が公益性を判断するという御提言が出ておりますけれども。

○ これはNPO法以来のことなのですね。

○ はい。それで、今おっしゃったNPO法について、それが逆に使われている問題もあるというふうに伺っております。つまり、2つの県にまたがると内閣総理大臣認証ということになりまして、それを欲しいがために無理にやっているというようなこともある。それ自体、つまり信用格差があること自体が適当ではないと思いますが、しかも、その信用格差というのは結局は国の認定というものがお墨付きとして大きいという感覚であり、どうも今回の改革とは逆の発想につながるのではないかという気もいたします。そこで、そういうことが起きないような工夫が必要かと思っております。

○ では、どうしたらよろしいでしょうか。複数の県で活動している場合ですね。例えば東京と岐阜で活動しているというような場合で、どちらかというと主体は岐阜の地域であるのに対して東京である程度お金を集めてくるというような団体がありますね。そういう場合はどのように考えますか。

○ 特に今アイデアはないのですけれども、ただ、国が認定した場合も、それがより大きな信用性のあるものだというような印象を与えないような表示にするということです。

○ 今の○○委員の御指摘は、一部ではうわさをされている部分は確かにありますが、これだけNPOがたくさん出ておりますので、必ずしも今は内閣府さんの方になったと聞いておりますが、それがあるからと言って市民がそれを持って活動を見ずにその認証の名前だけを見て判断をするということは、これだけ数が多くなっていますのでもうあり得ないと思っています。ですから、今の○○委員の御指摘の部分については時代とともに薄まり、認証の総理大臣名があっても実際は活動自体で判断をされるような国民の目が養われてきていると思います。
 もう一つは先ほども申し上げましたけれども、やはりこれから生まれてくる小さい公益法人については現場に近い部分で判断をいただく必要があると思いますので、そういう意味では国全体ではなくて都道府県にも同じような判断基準の組織を設けていただきたいと思います。現在、NPO法はまたがる場合には国でということになりますけれども、どちらか必ず本社ではないですけれども、主があるはずなので、私は現在、現場を見ておりますと、どこかの一つの都道府県で十分というふうには思います。そうでないと、国が逆にその地域を見切れているかというと、やはり見切れていないと思いますので、そういう意味では2つまたがっても主になる部分で判断をいただくことが望ましいと思います。

○ ありがとうございました。○○さん、その辺はどうですか。

○ 全国50の都道府県でまんべんなくというところは余りないでしょうから、私は2つ以上の場合でも現実問題としては主たる所在地、活動地で見る。それで、今の例であれば岐阜に本拠があって東京でもやっているというときには、そういうところは多いでしょうから、その東京の状況をきちんと報告されるということで、実質的にはそれは足りると思います。

○ ありがとうございました。

○ 全く今この問題に関してはいい考えはありませんけれども、ただ、私の感じでは、要するに全国的な基準があって、そこでは拾えないという言い方も正確ではないかもしれませんが、それぞれの都道府県で独自の基準があるのであれば、それで公益性を認定したりすることは構わない。そういう意味で、活動全体が広がるような方向でもってこれを運用することが重要なのだろうという気がするのです。
 それから、団体の方からすると、私はこういう制度が作れるかどうかは分かりませんけれども、必ずしも一次的に都道府県のレベルでもって判断を受けなくてはいけないと限定する必要はなくて、団体のどちらで申請をしたいかということが自由に選べるのであればそういうことも構わないのではないかという気がいたします。
 それから、公益性の判断と事後チェックとか色々な情報がどこに集中するかという問題がもう一つあるような気がしますけれども、情報は都道府県でとどまっていいのか、あるいはどこかに行けば必ずどんな団体についても見ることができるという形で、これはむしろ全国統一的なものがあるといいのではないかという気もいたしました。

○ ありがとうございました。
 それではひと当たり御議論をいただいたので、あとは○○先生の御意見も頂戴したいと思いますが、それは別にしまして、今日の御検討をいただくことについてはこの程度にして終わりたいと思います。
 3月末に議論の中間整理をしたわけですが、そこで掲げた検討課題、キーワードが出てきました。それをめぐって議論をしていただいたわけです。それで、今日の判断主体ですべてその検討は一巡したということになります。4月の最初の会合において、7月には公益性を取り扱う仕組みの全体的な討議を行うというお話を申し上げました。それで、この秋に報告をまとめるということを考えますと、スケジュールとしてはこの辺りでこれまでの皆さんからいただいた議論からある程度方向性を出せるようなところはできるだけその旨を明記した、全体を俯瞰できるようなシナリオを作らなければいけないと考えておりまして、それについてまた皆さんの御意見を頂戴する。それはたたき台として皆さんの意見をいただくということが一番実行可能なスケジュールではないかと考えております。
 それで、今のような資料を皆さんの御発言を含めて事務局で御整理をいただきまして、それを座長、座長代理で確認をいたした上で、次回皆様にまた再び最初に戻って議論をしていただきたいと考えております。その旨、御了解をいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、事務局から次回の日程を御説明申し上げます。

● 次回の日程でございますが、7月15日木曜日でございます。時間は9時半からということで、いつもに比べ30分早く始めさせていただきたいと思っております。場所はこちらの会議室で、議題は今、座長がおっしゃられたように全体的な討議としているところでございます。以上でございます。

○ それから、既に新聞辞令等で御存知の方がいらっしゃると思いますが、堀江事務局長にはずっと我々の会議を黙って見守っていただいていたわけです。大変フラストレーションがたまって申し訳ないと思っておりますが、堀江事務局長が7月2日付で異動されることになりました。今日が有識者会議の最後の御出席でございますので、ご挨拶を頂戴したいと思っております。

●堀江事務局長 ただいまお話がございましたように、7月2日付で総務省の情報通信政策局というところに移ることになりました。この間、先生方には、大変お忙しい方ばかりでございますが、今日もそうでございますけれども、皆さん御熱心に本当に深みのある議論をしていただきまして、心から感謝申し上げます。
 私は、今おっしゃられましたようにずっと黙っておりまして余り役に立っておらなかったことを反省しておりますし、事務局として色々不行き届きなところもあったかと思いますけれども、悪しからず御容赦願いたいと思います。
 福原座長ご自身この分野では幅広く活動をしておられますし、また座長代理の能見先生はこの分野の最高権威の方でございまして、既に有識者会議は15回開かれていますし、また別途非営利のワーキング・グループもつくっていただいておりまして、能見座長代理ほか両方兼ねておられる方もございまして、本当にお忙しい中をこれほどまでにやっていただきまして心から感謝申し上げたいと思います。
 ちょっと長くなりましたが、この分野の活動というのは21世紀の日本の本当に重要な部分を支えていくことになるだろうと思っておりまして、皆様方に御尽力いただきました成果が結実しまして大きな社会活動、公益活動の土台になるようなものになればいいと心から願っております。
 私は途中で交替して誠に心苦しいのですけれども、私の後任は現在、総務省で行政管理局長をやっております私と同期の男で、これも一生懸命やると思いますので是非よろしくお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。

○ ありがとうございました。今後のお仕事がうまくいきますようにお祈りをいたしまして、皆さんで拍手をしたいと思います。

(拍  手)

○ 大変ありがとうございました。別に意見を言っていただきたくないということでは決してなかったのですけれども、よく黙って聞いていただいたものだと思って、私は大変感謝しております。その間に会議の方もいろいろな紆余曲折をしながら少しずつ進捗はいたしましたので、まとめに入ったらもう少し一瀉千里的にそれこそ骨太方針にしなければいけないと考えております。どうぞ御協力をお願いしたいと思います。また、局長にも外側から応援をいただきますようにお願いいたします。
 それでは、第15回の有識者会議を閉会いたします。会議の内容については今までと同じように私が記者会見をいたします。お忙しい中、また大変な天気の中でございましたけれども、本当にありがとうございました。また、いつも活発な御意見をいただきまして大変ありがたく思っております。
 では、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


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