○:委員
●:事務局

第14回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年6月17日(木)9:30〜11:45
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ おはようございます。ただいまから第14回「公益法人制度改革に関する有識者会議」を開会させていただきます。
 今日は岩原委員、宇賀委員、勝又委員、加藤委員、それから田中弥生委員は御出席の予定だったのですが、急遽欠席になりましたので、田中委員から寄せられたペーパーを後ほどお配りいただきたいと存じております。
 そして、本日は前回からの繰り越しでございまして、その議事がある上に、ワーキング・グループの報告等がございまして、もしかすると予定の11時30分を多少超えるかもしれませんので、どうぞお許しをいただきたいと思います。
 なお、所用のため途中で退席しなくてはなりませんので、退席後は能見委員に座長を務めていただきまして、本日の定例の記者会見についても能見委員にお願いをしたいと思っております。
 それでは、本日の予定しております議事、配布資料については今、事務局から御説明を申し上げます。

● まず、本日の議事でございます。
 「ガバナンス・情報開示のあり方」の2回目の御議論をいただきたいと思っておりまして、残余財産の分配に係る規律からよろしくお願いいたしたいと存じます。
 それから、「非営利法人ワーキング・グループの検討状況報告」でございますが、財産拠出型の非営利法人、それから財団形態の非営利法人につきまして、能見座長代理から御報告をいただき、意見交換をしていただければと存じます。
 それから、事務局の方で現在行っております公益法人の実態に関するヒアリング調査の状況につきまして、最後に簡潔に御報告申し上げたいと思っております。
 配布資料でございますが、資料1と2につきましては前回と同じ資料でございます。
 資料3が、ワーキング・グループの検討状況についての資料。
 資料4が、ヒアリング調査についての資料。これはレジュメと、各法人から寄せられました回答票。これにつきましても公表を考えてございまして、そのセットでお示しさせていただいております。
 それから、席上、横長の1枚紙で「第13回有識者会議における『残余財産の帰属』についての主な意見」が配布されていようかと思いますが、前回に引き続き御議論いただくに際しまして、参考資料として用意させていただきました。
 ほかに、各法人制度の比較表や外国制度につきましてはとりたててお配りしてございませんが、ファイルの中に前々回の資料としてとじさせていただいておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 今、御説明のようにヒアリングをしていただいたわけですが、随分、精力的にたくさんの団体についてヒアリングをしていただきました。
 その結果、私、昨日拝見したのですが、ますますわからなくなってきたというところもありまして、これをどうこれから整理していくかというところが重要ではないかと思っております。それは後ほど、皆様に御案内するわけですが、第13回に引き続きまして、今日の14回はガバナンスと情報開示のあり方の2点に絞って検討をしてまいります。
 そして、まず残余財産の帰属関係の規律についての検討を始めます前に、前回は御欠席になられました○○委員と○○委員から、前回、皆様に御検討をいただいた事項について補足して発言をしたいという御希望をいただいておりますので、それからお願いをしたいと思います。
 したがって、残余財産の帰属関係についての御意見については、その後で皆様にお願いをしたいと思っております。
 それでは、○○委員からどうぞ。

○ 前回は、所用のため来られませんでしたので、意見を申し上げる機会がなかったのですが、前回のガバナンスについて前から私がいろんなところに書いたり、あるいは主張していることがありまして、そのことを、私がこの会議で主張しないというのはおかしいことだと思いましたので、少し補足させていただきたいと思います。
 それは役員のといいますか、理事の責任に関する一般的な考え方についてです。まず総論として、総論はガバナンス一般に関してですけれども、今回の公益法人に関する改革というのが、どういう理念の下で行われているかというように考えたときに、公益法人というのをただ絞るというのではなくて、むしろ公益活動を活性化させる、そのために公益活動の担い手を育て、かつ、広げるという視点もあるのではないか。このような観点からいたしますと、一般の非営利法が公益性の認定を受けるための要件について、余り高いハードルを設けるのは適当ではないだろうと思っております。
 そういう基本的な考え方の下においてですが、自由が基本理念となる非営利法人と異なって公益法人の場合にはまた多少違った理念というのが入り込んでくる。非営利と公益というのは非常に連続的なものではありますけれども、公益法人という名のもとで活動する場合には、その団体についてはそれなりの責任が要求されると考えます。
 それは、公益法人の場合には、その理事は寄付など拠出者に対する責任だけではなくて、公益の受益者である社会一般に対する責任というのがあるのではないか。前にも若干、議論をいただいている点でございますが、受益者である市民一般に対するある種の責任がある。
 ただ、この責任を法的に説明するのはなかなかむずかしいのです。公益法人およびその理事と市民一般ないし社会との間に契約関係があるわけではありませんから、契約責任が生じるとはいえません。法律で決めてしまえばどんなものでもできるではないかと言われるかもしれませんが、そう簡単ではない。やはり、公益法人およびその理事が市民一般ないし社会に対して責任があるということを基礎づける何か理論的な根拠が必要なのだろうと思います。
 私はたまたま信託法というもの研究しているのですが、信託制度というのは、受託者い対して、契約関係がなくても一定の第三者のために、責任を負せるという制度でして、公益法人というものも社会のために使うべき財産を預かって活動しているのだというように考えますと、公益法人の理事は、市民一般ないし社会対して、信託の受託者と類似した責任があるだろうと考えるわけです。こういう受託者の責任をフィデュシャリーの責任とも呼んでおりますが、公益法人についても、こういう考え方を基礎として考えるのがいいのではないか思っております。
 しかし、このようなフィデュシャリーの責任を法律制度としてどういうように取り込むことができるかかというのは勿論、次の難しい問題であります。また、前回も御議論いただいているようでございますが、例えば代表訴訟を設けるとしてその原告適格というのでしょうか、どの範囲の人々に原告原告適格を認めるかについては、最終的には法律制度としてうまく機能するかどうかという点も考慮しながら検討する必要がありますけれども、市民一般ないし社会を受益者とすると考えると、原告適格を広く一般国民にも認めるという考え方につながっていく可能性があるのであります。
 寄附者については代表訴訟的な制度の原告適格を認めることについて比較的に御了解いただきやすいかもしれませんが、私は寄附者に原告適格を認めるよりは、本当は市民一般に原告適格を認めた方がいいだろうと思っています。
 なぜなら、寄附者というのは、ひもつきのお金を出すわけではなくて、お金を出したら後は目的どおり使ってください、というのが本来の姿です。従って、寄附者に代表訴訟の原告適格を認めることはもちろんよいのですが、寄付者が公益法人をコントロールするようになるのは適当ではないと思っております。市民一般に代表訴訟を認めても、公益法人の自主性を制約するようなコントロールをする危険はすくなく、また、市民はが公益法人からの利益を享受するのであすから、そのような受益者がより積極的に関与した方がよいと考えております。
 以上、前回の代表訴訟のところについて若干、補足しておきたいと考えております。

○ ありがとうございました。
 続いて、○○委員、どうぞ。

○ 先週休んだことから、本日、意見を言わせていただく機会を設けていただき、どうもありがとうございます。
 1つは、ガバナンス・情報開示全般につきましてちょっと申し上げたいのですけれども、要するに公益性のある法人のガバナンス・情報開示ということは、公益性のある法人について税を中心にどの程度の優遇措置が得られるかとの見合いで、どの程度のガバナンス・情報開示を求めるのかを考える必要があるということです。
 ですから、やはり優遇措置の中身を少し議論しないといけないのではないか。情報開示も徹底的にやればいいんですけれども、コストもいろいろかかります。それから、ガバナンスも徹底的にやれば大変なコストもかかります。それに見合うだけの優遇措置がどういう形であるのか見える必要があって、この辺のバランスでちょっと考えていただきたいと思いまして。ですから是非、この議論の締めくくりのときにそういう優遇措置との見合いでどうするのか、もう一回議論を見直していただければありがたいと思います。
 それから、役員構成の問題でございますが、これは今、指導監督基準において同業者が占める理事の割合は2分の1以下だということになっておるわけでございますが、株式会社におきましては社外取締役を入れるという委員会等設置会社によるガバナンスと、それから監査役設置会社、この両方が認められているわけですが、この公益法人の指導監督基準におきましては委員会等設置会社的なガバナンスしか考えられていないということでございますので、公益法人でしたら監事制度を導入するとか、そういう両方のやり方によるガバナンスというのを認めていただきたいと思います。
 専門家集団が公益活動をやるためにそういう法人をつくる場合には、他人を執行部に入れるというのが非常に困難なケースもあるわけでございます。業界団体についても同様でございます。ですから、株式会社と同様、幾つかの選択肢を与えていただければありがたいと思います。
 それから、代表訴訟でございますが、これは専門家の先生方とはまたちょっと違って素人的なところもございますけれども、公益法人について代表訴訟制度を導入する必要はないのではないかというように思っております。
 今、中間法人において同様の制度がございますが、中間法人というのは社員に共通する利益を追求するという目的でございますが、一方、公益法人は公益目的ということで利益は追求しないというのが一点あるわけでございます。
 そういうことなので、利益処分につきましても、中間法人は最終的には処分できるということですが、今度の新しい公益法人は、やはり利益処分はできない、分配もできないということになろうかと思いますので、ここにおいても違うということでございます。
 それから、ガバナンスということにおいても今度、理事、あるいは評議員会、あるいは監事、そういう制度をつくるということであれば、これらを必置するということであれば、それでガバナンス的には十分ではないかと思います。なおかつ、これは必置はできないと思いますが、公認会計士等による外部監査、こういうことまで導入している団体において、なおかつ代表訴訟のような制度を認める必要はないのではないかと思います。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。公認会計士の監査を導入するかどうかということは、極めて小さい財団みたいなものになると大変な負担になってくるので、やはりかねがねいろいろ議論がありますように、規模を分けて物事を考えなければならないということがあるのではないかと思いますけれども、今、ガバナンスのあり方、ディスクロージャーのあり方、残余財産の分配のあり方について、○○委員、前回の分をまとめて御発言をいただいて、ありがとうございました。
 皆様の議論を更に深めていただくために、事務局から資料1のガバナンスのあり方のうち、残余財産の帰属関係の規律について引き続き検討したいと思います。
 前回の事務局からの説明を踏まえまして、一通り御意見をいただいたわけであります。御記憶と思いますが、これはかなり重要な論点になりますので、もう一度簡単に事務局の方から、委員の皆様からいただいた主な意見を含めて、これから何を皆様に御意見をいただきたいかということを御説明していただいた方がよろしいのではないかと思っております。
 事務局の方から、どうぞ。

● それでは、前回と重複が一部ございますけれども、説明させていただきます。
 説明資料の方で申しますと、13ページ。それから、参照資料で申しますと、22ページからでございます。
 それから、先ほど紹介ございました前回の御議論の主な意見の抜粋が机上配布されております。
 まず、説明資料の方でございますけれども、簡単に申し上げますと、残余財産の帰属につきましては社員の分配を禁止し、帰属者となり得る者を一定の範囲に限定することが適当ではないかという御議論でございました。
 13ページの資料では、いわゆる一般の非営利法人につきましては、定款または社員総会の決議によって定めることとされているという検討状況でございます。
 それから、その下に民法の現行の規定と、実務上の取り扱いを説明させていただいております。
 それから、残余財産の帰属を制約する考え方を示した上で、最後に現行のいわゆるNPO法にございますような規定ぶりでもって、帰属者となり得る者を一定の範囲に限る旨の規定を設ける必要があるのではないかという御提案でございます。
 それから、14ページでは、仮にそうだといたしましても、いわゆるその法人の公益性が失われた場合にどうするのかという点でございます。
 その点につきましては、ここではやはり公益性が失われた場合も、引き続き残余財産の帰属者となり得る者を限定する必要があるのではないかと。ただ、その場合、それをどのように担保するのかという問題があるということでございます。
 前回いただいた御意見といたしましては、先ほど申し上げました別途配布の紙でございますけれども、簡単に御紹介いたしますと、1つ目にございますように、「公益性を有する非営利法人については、実質的に社員に帰属させることを認めるのは適当ではない。この点、現行の民法第72条の規定は緩い。公益性を有する非営利法人の財産は、公益的活動に用いられるのが筋であり、残余財産の帰属先を規制することは必要」という御意見。
 あるいは、優遇措置を受ける観点からは、残余財産の非分配を制度上明確に打ち出すべきであると。公益性を失った場合も、残余財産の非分配を定款上変更できないようにすべきであるといった御意見。
 また、その下にございますように、残余財産の分配制限は法律上明定すべきであると。公益性を失った場合には、残余財産を引き継ぐことを認めないという考え方もあろうという御意見。
 また、その他の御指摘といたしましては、最後2つほどございますように、社団と財団で分けて考えるべきといった御指摘や、あるいはいわゆる拠出型の非営利法人の残余財産についてどう考えるか。拠出分以外の残余財産については、分配制限が必要ではないかといった御指摘をいただいたところでございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ ここでは、公益性を有する法人の場合には社員への残余財産分配を禁止し、帰属者一定範囲、つまりほかの公益性を有する法人ですとか、国、地方などに限定すべきではないか。それから、公益性を失った法人の残余財産分配をどう取り扱うかというような点について御議論をいただきたいと考えております。
 先ほどとちょっと重複するのですが、前回、○○委員と○○委員は御出席にならなかったわけですので、残余財産の取扱いというのはそもそも民法に規定されている事柄でありまして、本件についての基本的考え方も含めて○○委員と○○委員に少しお話をいただいてから、皆さんの御意見をいただきたいと存じております。
 それでは、よろしくお願いします。

○ それでは、この問題について私の考えを少しお話ししたいと思いますけれども、私はまず第一に、この残余財産の分配という言葉自体が非常に多義的というのでしょうか、いろんな意味に人によって使われますので、この点を注意しなくてはいけないのですが、その細かい話はまた後で申し上げるとして、最初に基本的な考え方を説明したいと思います。
 私は残余財産の分配といいますか、もうちょっと正確に言いますと、私が考えているのは出資した、あるいは最初に拠出したものを取り戻す、そういう意味では拠出分の返還とでも言った方がいいと思うのですが、これは非営利の原則に反しないし、本来、公益性とも矛盾しないのではないかと思っております。民法72条が残余財産の分配先として最初から私人を指定することができるとしているのも、本来そういう考え方に基づいていたわけです。
 ただ、公益法人の活動中にその財産が増えたときに、それがすべて特定の者に帰属することになるのは勿論適当ではないと思いますので、増えたものを当初の拠出者に戻すとか、増えたものを特定の者に分配するというのは公益性のある団体の場合にはできないようにしておくというのがいいのではないかと思います。しかし、公益法人の設立時に出したものが再び拠出者に戻ってくるのは、本来禁止しなくてもいいのではないかと思っております。
 ただ、後でまた○○委員に補足していただけると思いますが、公益法人の解散時に最後にどの財産が残ったのかを確定するのはなかなか難しいわけです。すなわち、法人の財産の中には、最初に拠出された財産がある。ほかから寄附された財産もある。あるいは、公益法人が税の優遇措置を受けているために税にもっていかれることなく残った財産もあるかもしれません。他方、公益法人ではいろいろ活動のために支出しているわけですが、支出されたのはどの財産か、そして最後に残ったのはどの財産か、これがはっきりしません。そこで、拠出者には当初の拠出部分を返すということになりますと、最後に残ったのは、当初の拠出した部分であるという考え方をすることになるのですが、それが社会的に納得してもらえるかという点は、気をつけなくてはいけないと思っております。
 私は、原則として、残余財産の中の拠出分の返還を認めていいと思うのですが、無条件でこれを認めるのではなくて、最初からこの法人においては当初拠出者に残余財産中の拠出者負担部分を戻しますということが明確にされていて、寄附する人もそれをちゃんと了解した上で寄附している、そういう条件のもとであれば、拠出分の返還するタイプの公益法人を認めてもおかしくないのではないかと思っております。
 しかし、仮に、公益法人においてはやはり拠出者への返還というのは適当ではないということになった場合に、法律の制度の中で、残余財産の分配を禁止する規定を設けるのではなくて、残余財産の分配をするか、しないかはそれぞれの法人の、非営利法人がベースになっていますから、その非営利法人が選択できるようにしておいて、公益性の認定を受けたい場合は自ら定款で残余財産を分配しないという形で規定するというのが適当なのではないかと思っております。
 とりあえず、このくらいにしたいと思います。

○ 重要なポイントを御発言いただいたと思います。
 ○○委員から、それに加えていただきまして、あと、皆様の御意見をいただきたいと思います。

○ 今の○○委員に付け加えることはほとんどないのですけれども、この問題、昔から議論があったわけです。特に信託法ができる際に公益信託に関して激論があったわけでして、それ以来、今に至っているわけです。
 民法の考え方としては、もともと、出した分を戻しても別にいいのではないかという考え方があったようです。つまり、一定の期間、私財を提供する。それは、事業が終わったらまた返ってくるというのでいいのではないかと。それで、むしろ公益事業の発達が奨励されるという考え方もあり得るわけです。
 ただ、いろいろ問題があるということでどんどん、それが限定されていったと思いますけれども、私も途中を省略して申しますと、最終的には出した分が戻ってくるというのは別に構わないのではないかというようにかねてから考えております。
 ただ、その出した分というのが一体何かというのは、先ほど○○委員もおっしゃいましたように、切り分けが非常に実際上難しいということがあると思います。果たして、そこに残っている分が出した分なのか、それとも本来は社会が受け取るべき分なのかということの切り分けが非常に難しいということがあります。そこで、何か、例えば事業の内容ですとか、あるいは活動していた期間であるとかというような客観的な基準から、本来社会に属すべき分ということをもし切り分けることができればいいなと思います。
 ただ、それは技術的には難しいと思いますが、基本的な考え方としては出した分は戻ると。ただ、社会に属すべき分はやはり社会に属させるというのがいいというように考えております。
 それから、1階に下りたときに引き続き制限するというのは、それはそうあるべきだと思います。ただ、それも制裁としてということではなくて、やはり本来社会に属すべき分はそちらに帰属させるべきだということから出てくることだと思います。

○ ありがとうございます。もし、今のように公益法人的な性格のところに出資したものが戻ってくるということになりますと、これは大変な改革になるわけで、ある意味では○○委員のおっしゃったように、こういった次の世の中の公益の拡大について、非常に大きなインセンティブを与えることになるのではないかと思いますが、確かに技術的には非常に難しいことではあるかもしれません。
 そのときに、基本財産だけは戻るという、それは考えられないのですか。

○ 基本財産というのがどういうように構成されるかにもよるわけです。構成員といいましょうか、最初に出資したものが基本財産ということもありますけれども、後で基本財産が増えることもあるでしょうし、基本財産だけで切り分けができるかどうか、ちょっとまだよくわかりません。

○ 基本財産を運用して、その運用に対してまた非課税になるとか、そういう問題は、あるいはその運用益でもって土地を少し増やすとか、そういうことはあるかもしれませんけれども、それを除外すれば割合基本財産というのは簡単に帰属するところが、簡単にと言うと物事を単純に考え過ぎるかもしれませんけれども、今の公益法人会計の表で見る限り、あそこで基本財産と書かれているものは極めてはっきりしているのではないかという気がするのですが。
 ○○委員、どうぞ。

○ 初めて聞く説で大分混乱をいたしておりますが、一つは税務的な面で随分問題がでてくるのではないかと思うのです。
 今、公益法人をつくるといったときに寄附すると損金で落とせますね。それが返せるという前提だということになると、損金で落とせないというのがやはり通常の考え方になりますね。
 それと、個人でお出しになった分について返してもいいのだということになると、それではそういう権利を延々と個人の方の子孫が相続権として継承していくのかといったような問題が出て、非常に煩雑というか、わけがわからなくなるような、特に税務との関係で難しくなるような感じが実務的にはいたします。
 それと、一旦公益分野に出しておいて、後から返してくれというのは何となく潔くないという感じもいたしますし。

○ それは○○委員の方の領域なので。

○ 私もよくわかりませんが、出した分を返すというのは、例えば100 万円出したら100 万円返してもらうということでしょうか。それとも、その間の利息相当額を付け加えてということでしょうか。元本の金額だけということですか。

○ 元本ですね。

○ それはいろんな考え方があると思いますけれども、法定利息ぐらいつけるというのはあり得るかもしれませんけれども、基本的には元本というように考えていいのではないでしょうか。

○ わかりました。
 それから、土地を出したというような場合は、例えばその土地が大変に値上がりしているというような場合は。それを返してもらうのかどうかとか、そういう問題はございますね。ですから、これは私が全くそういうようにすべきだというのではなくて、一つのアイデアとして申し上げるのですが、出した金額以上に返ってくるような場合は一種の清算、余計に返る分については清算所得課税のような考えを入れるのも一つの考え方ではないか。
 それは、公益のためにお金を出すことに対する抑制効果は持たないのではないか、そういう税金をかけてもですね。と思うのですけれども、増えた部分について余計に戻ってくる部分ですか、それはわかりません。ただ、この場で急遽考えて言ったことですので、その程度でお許しいただきたいと。

○ ありがとうございます。ただ、土地の場合には基本財産に土地どこそこの何坪というように、何平米というように記載されるので、その評価額は記載されていないのです。したがって、設立当時の評価額をきちんとしておかないと解散当時の評価額との差額が出ないというようなことになるので、これはまたちょっと厄介なことになります。
 ほかに。○○委員、どうぞ。

○ 今日、○○委員の方と、あと○○委員の方から御意見をいただいて、大変うれしく思っているところです。
 この後の非営利法人のワーキングの方からでも拠出型の非営利法人類型の御説明をいただけるというように思っているのですけれども、やはり今、いろんな形で日本の公益に対する資金提供者が少ないという中で、きっちりと出資をしたことに対して一定程度元本、もしくはその同等額に対しても戻し入れをいただけるという形が認められることによって、この寄附と違って、寄附というのはひもつきではなくて自由にお使いくださいというような形でお預けして、戻しを予定はしていないのですけれども、ただ、一定程度の間お預けしたいという、会社の方では、いわゆる出資金、資本金に当たるような部分ではお出ししたいというような方は、やはりかなりいらっしゃるだろうと思います。
 その方々の一定程度の資金提供が公益事業に流れてくると言うと変ですけれども、拠出されてくるという形が非常に動き出せば、やはり公益法人そのものの改革にもつながるというように思いますので、是非、今回の改革に当たっては、残余財産の一定額の戻し入れの可能な制度ということは確保していただきたいというように思っています。

○ ありがとうございました。事務局の方は承知していただいて、これはもうテイクノートすべキ意見でありますので。

● 前回の御意見と、今日の御意見と合わせて、あとまた拠出型の御議論もございますので、その中で御議論を賜りたいと存じます。

○ では、少し急ぐようですから、この問題について、どうぞ。

○ 異論を挟んで恐縮なのですが、公益活動をする法人に活動資金として出資がなされたとしましょう。この法人は、同時に、寄付を受けたり、無償の労働奉仕を受けたり、税制上の優遇を受けることもあります。税制上の優遇というのは、補助金、国民一般からの寄付のような性格をもっています。残余財産の中にはこれらのものが一緒に入っているわけですから、出資者だけに返還するのは不公平だと思うのです。
 公益法人改革に当たって、国民一般の支持を得ることは非常に大事なことでして、設立のし易さ、運営のし易さよりも重要です。例えば、30年後に年5%の利子を付けて返還を迫られたら、非営利法人であるだけに、運営が難しいことになると予想されます。
 よく考えたわけではないのですが、第一感としては、この様な出資型法人は、今回の公益法人制度改革の中で取り上げる制度ではなく、何か別の仕組み、例えば協同組合法の改正などで考えるべきものと考えます。

○ ○○委員、どうぞ。

○ それは全くおっしゃるとおりでして、私、残った中で社会に帰属すべき部分は社会に戻すということを申しましたが、そういうことも含んでいるわけです。
 ですから、残った財産の中に、例えば寄附を受けた分であるとか、それから税の優遇を受けた分であるとか、あるいは公益のためだというので無償でされたボランティア活動によって浮いた分であるとか、そういうものが含まれているだろう。それも当然、社会に帰属させるべきであって、それを控除した後、更に残った分についてのお話をしているわけです。
 ですから、残余財産という言葉が多義的だというのは先ほど○○委員もおっしゃいましたけれども、まず債権者に対しては全部払うわけです。更に、社会に帰属すべき分は除く。残った分を当初出した分の範囲内で返すのであれば、それは別に問題ないのではないかという考えです。

○ ありがとうございました。○○委員。

○ 今の○○委員の考えと、私も同意見です。拠出分が拠出者に返還されるということと税との関係がどうなるか、という点については、まだいろいろ考えなくてはいけないことがあると思いますけれども、ただ私は仮に財産が戻されるにしても税によって、例えば固定資産税とか、いろんな何か優遇措置を受けたときに、その優遇措置に見合うだけのものは、恐らく公益活動によって社会に返されているのだろうと思います。そういうように考えれば、財産を戻すことは、優遇税制を受けていたことを考慮しても、本当はおかしなことではないというように思います。
 ただ、税の細かいことについては、なおいろいろ考えなくてはいけないと思いますので、私が述べたのは大雑把な考え方としてご理解ください。
 それから、損金、寄附、最初の損金扱いができるということの関係は、確かにテクニカルには非常に難しい問題だと思いますけれども、こう簡単にいくかどうかわからないけれども、一つは出す人の選択です。返還しなくていいというものについては損金扱いができるけれども、戻ってくるのであればそういう扱いを受けないというように、拠出者の選択できるようになっていればよいのではないか、と思います。
 ただ、それで制度が動くのかどうかよくわかりませんけれども、何かテクニカルには解決策があるのではないかというように思います。

○ 実態的には損金処理ができるので多額の金額が動くわけでして、損金処理ができないということになると大きな額の出資金というのは出てこないのではないかという気がしますけれども、確かに選択の余地があるということは皆さんは理解されるかもしれませんけれども、実態的にはどういう効果があるかなというように思っています。
 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。○○委員、よろしいですか。
 それでは、今の御意見は2通りあるという認識で、この辺で今日の議論は打ち切りにしたいと思います。
 2つ種類があるということよりも、この場合はなかなか普通の場合と違って、専門学者の立場と実務家の立場が逆転しているというようなケースがありまして、しかし、どちらも実際にやっていると、我々常に矛盾を感じているという大きな課題でありますので、やはりもう一遍、頭を冷やしておいて議論をしなければいけないのではないかと思っております。
 引き続きまして、ガバナンスのあり方の検討を行いたいわけですが、事務局からガバナンスに関わる項目を通して説明をお願いしたいと存じます。

● それでは、本文の説明資料の15ページから、参照資料は25ページからでございます。内部留保からまとめて御説明させていただきます。
 まず、説明資料15ページの内部留保のあり方でございますけれども、まず内部留保につきましては、そもそもこれはどういうものかという点。それから、その適切な水準のあり方についてどのように考えるかといった点でございます。
 留意点といたしましては、一般の非営利法人につきましては特段のルールを設けることは検討されていないところでございます。
 公益性を有する非営利法人の内部留保につきましては、いわゆる指導監督基準によると、参照資料の26ページに計算式が載せてございますけれども、そこにありますような総資産の額から、財団の場合には基本財産、あるいは公益事業を実施するために有している基金、法人の運営に不可欠な固定資産、いわゆる将来の特定の支払いに充てる資産等、それから負債相当額を引いたものと定義されております。
 それから、参照資料、同じ26ページの下をごらんいただきますと、公認会計士協会のQ&Aにございますような解説がされております。いわゆる企業会計では、成果を分配した残余であって、将来のために蓄えられたものとされております。ただし、指導監督基準では、今もおっしゃられたようなルールであるという説明がなされております。
 このほか、指導監督基準や運用指針におきます、いわゆる内部留保につきましては、法人の運営に直接必要でない資産という意味合いがあるといった指摘や、現行の定義に曖昧さがあるといった指摘がございます。また、先般の有識者会議では手元流動性というような御指摘もいただきました。
 指導監督基準の考え方を踏まえますと、その下のポツにございますように、不特定多数の者の利益の実現を目的とするのが公益性を有する非営利法人でありますので、本来、単年度の収支において大幅な黒字を有するものではないといった考え方。
 それから、その次にございますように、公益的な事業を適切、かつ継続的に行うためには、ある程度の内部留保を有することは必要だけれども、何らかの制約が必要ではないかという考え方になろうかと存じます。
 また、内部留保を用いることによりまして、民間に比べて有利な条件で事業を行うといった指摘もございます。
 1枚おめくりいただきまして、16ページでございますけれども、御承知のように、いわゆる「内部留保」の水準につきましては、指導監督基準で「公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とする」とされておりますし、運用指針におきましては、その次にございますように、「原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費の合計30%程度以下であることが望ましい」とされております。
 いずれにしましても、こうした定義による内部留保が仮に手元流動性という位置付けのものであるならば、一般論といたしましては適切な範囲であればさほど問題にはならないといった考え方もあろうかと思いますけれども、一方で現行の公益法人の実態として仮にそうした手元流動性ということを超えた意味合いがあるとすれば、その実態を踏まえて検討する必要があろうかと存じます。
 こうした中で、内部留保の適切な水準が満たされることを担保するために何らかの法令上の記述を設けるとすべきか、あるいは主に情報開示を通じた社会監視による適正運営に期待することが適当かといった点について御議論賜ればと存じます。
 それから、17ページ、次の項目でございますが、管理費等の水準でございます。管理費が総支出額に占める割合が一定水準以下となっていることをもって、公益的な事業が適切に行われていると判断することについて、どのように考えるか。また、人件費の管理費に占める割合が一定水準以下という点について、どのように考えるかといった点でございます。
 留意点といたしましては、この点につきましても一般の非営利法人については特段のルールを設けることを検討することは考えられておりません。一方で、現行の指導監督基準の考え方は、その下のポツにございますように、管理費は法人運営に必要な基礎的経費だけれども、法人内部に還元される傾向の強い経費であると。このため、仮に管理費の総支出額に占める割合が過大となると、公益的な事業が適切に行われないとすれば不適当ではないかというものでございます。
 また、指導監督基準では管理費の総支出額に占める割合は可能な限り2分の1以下とすることとされております。人件費の管理費に占める割合が過大にならないということについても、そのように定められております。これをどのように評価するかと。
 なお、NPO法人につきましては、認証の基準として管理費の総支出額に占める割合が2分の1以下とするような運用がなされております。
 また、一方で業種ごとに適切な管理費の割合が設定できるかという点もございます。
 この管理費の水準、あるいは人件費の割合につきましても法令上の規律を設けることとすべきか、あるいはまた、主として情報開示を通じた社会監視による適正運営に期待することが適当かといった点があろうかと思います。
 1枚おめくりいただきまして、18ページ、次の点でございますが、財産的基盤の確保についてでございます。参照資料は31ページからになります。
 留意点につきましては、一般の非営利法人につきましては、現在ワーキング・グループの方で、「設立時に一定額の財産の保有を求めることの要否について、最低資本金制度の見直しに関する議論を踏まえつつ、引き続き検討する」ということとされております。
 現行の指導監督基準の考え方を踏まえますと、その次のポツにございますが、公益的な事業を安定的・継続的に行っていくためには経営基盤が確保されることが望ましいということになろうかと存じます。
 他方で、過度に財産的基盤の確保を求めるといたしますと、公益的な活動の促進を妨げるおそれもあるかと存じます。
 また一方で、適切な財産的基盤の内容や水準をどのように考えるかといった点もございます。
 なお、参照資料の33ページにございますけれども、私立学校、あるいは社会福祉法人など、いわゆる特別法に基づく公益法人の中には、概ねでございますが、事業を行うのに必要な資産を備えなければならないということとされております。
 こうした中で、この財産的基盤の確保についても、どうした形の規律を設けるべきか、あるいは情報開示を通じた、いわゆる社会監視による適正を確保するべきかという点があるかと存じます。
 それから、19ページでございますけれども、その他のガバナンスに係る規律ということで、1つ目は株式保有等の制限でございます。
 この点につきましても、いわゆる一般の非営利法人につきましては特段のルールを設けることは検討されておりませんが、指導監督基準及び運用指針におきましては、その下にございますように、公益法人につきましては積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするという非営利法人であるということから、営利企業に出資してはならないと。このことから、理事が営利企業の設立発起人になったり、あるいは営利企業に出資することはあってはならないとされております。
 原則として、財産の管理運用の場合、あるいは財団法人におきます場合に基本財産として寄附された場合を除きまして、営利企業の株式保有を行ってはならないということとされております。このような制限を、どのように評価するかという点でございます。
 なお、参照資料にございますが、36ページでございますけれども、現行の公益法人につきましては、このような指導監督基準がございますことから、割合で見ますとほとんどの法人が株式を保有してございません。
 なお、御参考までに申しますと、お手元の公益法人白書の最後の方、294 ページからでございます。資料の76というところを御覧いただきますと、今なお処分困難な株式等を保有している公益法人と、その理由を記載してございますので、必要に応じてごらんいただければと思います。この点につきましても、法令上の規律を設けるか、あるいは主に情報開示を通じた社会監視による適正運営の確保を重視するかといった点があろうかと思います。
 このほかに、公益性を有する非営利法人について必要なガバナンスとしてどのようなものが考えられるかというのが、その次の20ページの項目でございます。不足があれば、御意見を賜ればと思っております。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。
 議論するだけでも大変なのに、説明だけでも結構長くなってしまいまして、今、たくさんの主題が挙げられましたので、まず「(8)内部留保のあり方について」、まず取り上げてみたいと思います。
 内部留保については、法人会計委員からのレポートでもこの間、言及されてきたところであります。
 ここでは、公益性を有する法人にとって内部留保とは何か。
 どのような視点から何が問題になるのか。
 内部留保について、何らかの制限を設けるべきかというような点について御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 よろしいですか。

○ 何度も申し上げて恐縮です。公益法人について内部留保をたくさんためて、公益事業を行っていないというのは問題だということは事実だと思います。
 ただ、この内部留保の問題、もともと起こってきた経緯をいろいろ見てみますと、公益法人であって対価を取る事業をやっておって、しかもそれで大変な収益を上げておると。また、その収益の上げ方も、何か特別な権益がくっ付いたような形での利益を上げておると。そういうのはけしからぬではないかというようなことが議論であって、これは一般の国民感情からしても至極当然なことだと思うのですが、だからいけないと。しかも、それでもって内部留保をためているということが、非難のまず第一歩であったように思うのです。
 ですから、内部留保というのはそういう儲け方をしてためておることが大問題であるというような問題提起であったのですが、現在行われている内部留保規制は、この間、御説明しましたように正味運転資本といいますか、手元流動性の残高を規制するということで、ちょっとピントがずれた規制になっているということが、まず一点挙げられる。
 では、現実の利益留保額が多いと問題かというと、これは公益法人であるから内部留保、利益留保的な部分があったら問題かというと、そういうことではありませんで、やはり公益事業をどんどん拡大再生産といいますか、どんどん増やしていく中で、当然ながら自己資本部分に当たるところも増えていって当然ですから、そこで内部留保が増えるのは全く問題がないわけです。ちゃんと公益事業をやっている限りは。むしろ、やらないということでためていると問題だということではないかと思うのです。その意味で、この内部留保を一律に数字で規制するというのは、一番根源に帰って考えますと適当でないというように思います。
 公益法人で、公益事業を行わないで内部留保をためているということが問題であるということであれば、アメリカの税法なんかでやっていますペイアウトルールというのがございまして、総資産の一定部分については必ず外へ出しましょうということで、それをやらないところは税金のかけ方に多少ペナルティー的なものがくっ付いてくるというルールがございますが、そういうことで対応するべき問題かなというように考えます。

○ どうぞ、○○委員。

○ 団体として考えてみますと内部留保というか、手元流動性というか、それが高まった場合には、やはり会員からの監視というか、会員から来年の会費は下げるぞとか、こういう圧力を感じることはあります。

○ 圧力ではないですね。

○ これだと総会も通らないのではないかとか、理事会も通らないのではないか。そういう意味からガバナンスが効いていればいいのではないかと思います。
 ですから、ため込むと会費削減にすぐ結びついてしまいますので、むしろ余裕ができればどうやって使おうかというか、そういうようになってまいります。
 それから、運営上を考えますと、やはり1年分ぐらいの活動資金がないと、いろんなリスクがあって会費が集まってこないとかいうときも、やはり公益活動をやっていくとなると、1年分ぐらいはやはりあった方がいいのではないか。
 これが30%ですと、現実にどういうことになるかというと、当法人の場合も6月に入ってから会費の請求を行うわけなのです。これがせいぜい入ってくるのは7月に入ってから、あるいは9月にずれ込むということでございますから、入ってくるまでの間のつなぎ資金を確保するというのは結構大変なのです。
 ですから、そういう円滑な活動をやっていくためにも、1年分ぐらいはあった方がいいのではないかと思います。
 いずれにしても、どのぐらいということを決める必要はやはりないのだろうと。今回の改革も、全体的に役所の監督というのではなくて、やはり自立的にちゃんとした経営ができるようにということだろうと思いますので、上から数字によるたがをはめる必要はやはりないのではないかと思います。公益法人は利益処分できないわけですから。

○ ○○委員、お待たせしました。

○ このテーマは、古典的なテーマだと思うのです。マスコミなり、特定のライターが既存の役所系統、天下りがあって、金が出ていて、権利かなんか持っていって、受験料取って金儲けやっている連中は、世の中にはたくさんいるわけです。この連中がけしからぬというのが根っこにあるわけです。今、○○委員が言ったのは一般論で、ある公益法人が何もくすねたことをやっているとは我々思っていないわけです。
 一般的に言えば、彼が言ったみたいな、それは何がしかの運転資金が必要なことは、それ自体は全然だれも文句は言わないけれども、いかにも役所系統で何とか資格のためのペーパーテストか何かやって金を儲けて、それを貯め込むことは許せない。そんなものやめて、そもそもそんなことは役所が自分でやればいいんです。似たようなことをやっているからね。そこのところをしっかりと踏まえてやらないと。

○ ありがとうございました。要するに、○○委員が最初に問題提起された、この根源はどこから来たのかと。そこのところをはっきりと区別ができるような何かを考え、それから一般的に○○委員のところでやっているような団体については、これはまた新しい基準というか、目安というか、何かをつくって、これはむしろ税務当局の方で考えるべきことになるのかもしれません。
 だけれども、ちょっと私の実例を申し上げますと、某協会の理事長をやっていたわけですが、5年後に日本で国際大会をやるということが決定しているわけです。それは会議でもって、どうしてもこの次は日本でやりたい。そのときに、お金がないですから、毎年1,000 万ずつ積み立てしたわけです。そうしたら、3年目ぐらいになって30%超えるから困るというお話があったわけです。それでは、どうしたらいいのと言ったら、引当金として積みなさいと言われて、引当金は認められるのですかと言ったら、その場合は認めると言うのです。ということで認められたのですが、考えてみますと、あれで国際大会をやらなかったら、その引当金はそのまま戻ってきてしまうのです。実際のそのときにSARSの事件が起きて、やれるか、やれないかというので大騒ぎしたのですが、そういうこともあるし、それから引当金というものの性格が所轄官庁によって、これは引き当てとして認めるとか、これは認められないとかというようになってしまうと大変やりにくいということが現実の問題としてあるわけです。
 大体、問題の所在はわかりましたので、これはちょっと、この辺でよろしいですね。
 どうぞ。

○ 16ページでしょうか、一番最後のポツですけれども、「法令上の規律を設けることとすべきか。または、情報開示を通じた社会監視に期待することが適当か」という、あれかこれかという形で書いてありますけれども。

○ 両方ですね。

○ 両方だと思います。

○ それから、○○委員の言われたようなことについては法令上でやった方がいいかもしれませんし、○○委員のような場合には情報開示でやるということであるのかもしれません。

○ それから、場合によっては両方ともという、要するに監督基準でやるというのはちょっとトランスペアレンシーの点で問題だと思いますので、やはり法令なり、規則なりでやった方がよろしいのではないかという感じがします。

○ ありがとうございました。
 それでは、その次に入りたいと思いますが、大体、問題のあり方は分かりましたので、「(9)管理費等の水準について」でございます。ここでは、公益性を有する法人の管理費、あるいは人件費について数値的な基準を設けることとすべきかどうかというようなことについて、皆さんの御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、○○委員。

○ 先ほどの内部留保もそうなのですけれども、やはり公益法人そのものの業種、業態が非常に多様化している中で、同じ基準でいわゆる数値目標を掲げて、一定の枠をはめていくということに対しては、これが非常に無理が出て、既にもう無理があるのだろうというように思いますし、これから非営利法人法で新しい公益法人が出てくるという形になりますと、余計にその辺の部分の多様性を求められているというように思いますので、私の方としてはこういった数値で、先ほどの内部留保もそうなのですけれども、数値で決めていくということには難しいので、それ自体は反対をさせていただこうと思っているのですが、逆に今、○○委員のところとかやっていらして、2分の1というところが実質上、そんなに齟齬がないのか、やはり足かせではないですけれども、一定程度の制限となっているのかというのは、逆に具体的にはお聞きをしていきたいというようには思います。

○ 御指名ですので。

○ 私のところは特段、支障はございません。そういう業態なものですから。ただ、財団でもいろんな活動をやっておられるところがありまして、この数字で総支出費に占める管理費、あるいは人件費というので単純に測られると非常に困る結果が出てくるというところがあると聞いたことがあります。
 ですから、数字でやると非常に単純明快なようなのですが、世の中そんなに簡単な算数で割り切れるような活動ではございませんので、こういう数値で規制するということについては反対です。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 社団法人の場合には、この50%という規制が非常に効いているところが多いのではないかというように思います。
 財団法人と違って人の集まりですから、要するに人がいろいろ活動して、頭でいろいろ考えて、アウトプットを出しているということになりますと、管理費がかなりかさむというケースが非常に多くなると思いますので、シンクタンク型とか、いろいろあるわけでございますから、そういう意味で、何とか50%にいかないようにとかそういうことをやはり考えて、そこが足かせになっているというケースが非常に多いというように思われます。

○ 先ほど、効いているとおっしゃったのは足かせという意味ですか。

○ 左様でございます。

○ ですから、私は有効でというように聞いたのですが、そうではなく。

○ やはり悪い経営をして管理費がかさむというのは、経営上の失敗ですから、そこまで上からこうあるべきだということを、お上というか、決める必要はないのではないかと思います。

○ そのことと、先ほど○○委員の話のように、やはり公益法人にもいろいろなタイプがあるので、それによって管理費等の支出割合は変わってくるということが当然あり得ることなのです。
 どうぞ。

○ ちょっと別のことですけれども、仮に2分の1という基準を設けるといたしますと、非常に規模の大きな財団というか、公益法人だとものすごい金額になってしまいますね。
 ですから、2分の1という基準を設けるのでしたら、2分の1から出発して徐々に低減させていくとか、予算規模との関係で徐々に低減させていくとか、そういうことをしないときっと大変なことになるのではないかというように思います。

○ ありがとうございました。これはほかのことと同じように、大法人と小法人、あるいは中法人みたいなところを分けるかどうかということにも関係してくるわけで、これだけの問題ではありませんね。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○ 恐らく、実務的な感覚がないとなかなか判断できないと思いますけれども、私も先ほどから出ている意見に基本的には賛成でして、こういう管理費をどこまでに抑えろとか、先ほどの内部留保も同じですけれども、そういう形で規制するのではなくて、基本的には公益事業をちゃんとやりなさいという原則を立てておけばいいのではないかというように思います。

○ ありがとうございました。それでは、大体これもこの辺にしまして、「(10)財産的基盤の確保について」、いろいろ御意見をいただきたいと思います。
 公益性を有する法人に対して、財産的基盤の確保を求めることの是非ということについて御議論をいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。どなたかございませんか。
 どうぞ、○○委員。

○ 非営利の方でもいろいろ検討しているわけですが、そこでは公益性の観点からというわけではないので、少し議論は違うかもしれませんけれども、まず社団法人と財団法人は恐らく、まず分けて考えた方がいいだろうというように思います。
 財団法人については一定の財産が拠出されて、それがもとになって公益活動をするというわけですから、財産そのものがやはり法人格の基礎となりますので、これは公益性を有するか否かに関係なく、一定の財産額というのはやはりあった方がいいだろう。仮に1円だけ拠出して財団法人がつくれるというのは、やはりまずいというように考えておりますので、そういう意味での最低の何らかの財産額は要求される。これを公益法人の場合に増やすかというと、私は個人的にはそんなに増やさなくてもいいのではないかと思います。
 それから、社団法人の方は本当にさまざまでして、常に財政的な基盤がなくてはいけないというものではないだろう。要するに、公益性の認定をする際に、ちゃんと公益活動ができるかどうかという観点からチェックをすれば、それだけで十分であろうというように思います。現にNPOでも、これも公益活動をやっているわけですが、そこでは最低財産額を要求しているわけではありませんので、公益活動をする社団法人型のタイプについては、最低基本財産を要件としなくてもできるというように思います。

○ ありがとうございます。何か結論になってしまったようですが、どうぞ、○○委員。

○ ○○委員の言われるのはごもっともなのですが、私どものがいつもお付き合いしているNPOさんの問題で言えば、NPOは設立時に財産の必然性を求められていないのですけれども、実質、NPO活動をしようとしたときにいろんな契約なり、借り入れをする場合に、一定程度の内部での財政的な基盤がないと、実質上運営ができないというのが現実なところなのです。
 それで、社団の場合については実質上の財産的基盤の額とか、大きさ自体を決める必要はないのですけれども、逆に運営上必要となってきている以上、財産的基盤がつくれるような制度に、今回は非営利法人改革の中で実はつくっていってほしいというようには思っているのです。
 例えば、後ほどワーキングの方からも出るかもしれませんが、やはり一定額の資本金制度的な考え方の新しい形の社団を少しお認めいただけるような形になると、財産そのものの基盤の大きさではないにしても、財産そのものを最初はつくれると。資本金なり、拠出金でつくれていくという制度としては新たなものを導入する必要があるのではないかというようには思います。

○ ありがとうございました。○○委員の御意見に補足していただきました。
 ほかにございませんですか。
 ○○委員。

○ 何のために財産的基礎が必要かということだと思うのですが、一般的に言うと債権者保護というのが一つあると思うのです。ただ、それは現在、会社法の改正をしているところで、そこではむしろ最低資本金というようなものをなくす方向での議論もあるやに伺っておりまして、そういうものも見ながら考えていくのだと思います。
 そうしますと、ここでは結局、公益活動の維持というために財産的基盤をどの程度要求するか。一般的に言うと、○○委員のおっしゃるように、余りがちがち決めないというのでいいと思うのです。
 ただ、すべての項目について、余り何も決めないということになりますと、今度は逆に認定基準について不透明なところが出てくるかもしれませんので、多様な法人に応じて個別に考えていくであるとか、それから余り形式的になるべきではないというのは賛成なのですが、ただ、何も決めないでおくとかえって認定基準が不透明になってしまうということをどう考えるのかという課題が、全体を通じてあるかなというように思っております。

○ ありがとうございました。それでは、先ほど○○委員がおっしゃったように、法的に決めなくても実務的には最低の活動をするために必要になってきてしまうのだという、実際の活動上の問題があるわけで、この辺をどう考えるかですね。
 それでは、これはこの辺にしておきまして、最後のところで御議論をいただきたいと思います。
 「(11)株式保有等制限について」でございます。現行公益法人と同様に、公益性を有する法人に対して株式保有制限を課することの是非というようなことについての御議論をいただきたいというわけです。特に、御意見ございますか。
 どうぞ。

○ 株を持つという積極的な理由は、各法人においてないと思います。リスクが高いですから。ですから、それは持たないということでいいのですけれども、それを決めるかどうかということはまた別の問題ですから、それは決めなくても株は余り持たれることはないと思います。

○ ちょっと原点に帰って考えてみまして2つ疑問があるのですが、1つは非営利法人で中で事業をやっておられるところがあるわけですが、それがその事業を子会社化してやると、イギリスなんかはそれを強制しているのですけれども、そうするとどういう効果が出るかというと、子会社にしますと当然ながら通常の法人税を払うということで、営利事業について一般の営利企業とのイコールフッティングになるという意味では非常にすっきりした形になるわけです。
 むしろ、非営利法人の中でやるよりも子会社でやった方がそういう税金の面とか、それから経理も当然ながら別会社ですから、完全に分離され、非常に透明になるという面では効果があるのではないかというように考えていまして、単純に株はけしからぬというのはどういうところから出ているのかという素朴な疑問を抱いているというのが1点。
 それから、私ども財団法人、日本の場合はもともと指導監督基準で、株は基本財産にはふさわしくないというような指導もあったり、それから、もともと規制金利でそこそこ金利が入ってやっていたので、株式等を持つ必要はなかったということなのですが、アメリカの財団を見ますと、大体運用している資産の7割から8割を株で持っているのです。非常にロングランで見ると、株式で持っていた方がインフレヘッジになるというポートフォリオ的な考え方で、ある程度分散して持ちながらやっていった方がいいのだというような考え方もあるわけです。
 今は日本はデフレですから、そんなことを考える方はいらっしゃいませんけれども、先々インフレという経済を展望したときにインフレヘッジとして株式投資を、ポートフォリオ的にやるのですが、かなり持つということも、別に道徳的に悪いとかということではないのではないかと、やはり、ある程度考えてもいいのではないかというように、原点に立ち帰ってみて、そんなふうに考えています。

○ ありがとうございました。独占せよという感じですね。
 どうぞ。

○ 基本的には全体的に株を持つという必然性はないと申し上げましたが、例外もありまして、経団連の方でも皇太子奨学金というのがあって、日本とハワイ双方で留学生を交換しているのですが、日本の方の利回りが悪いのでアメリカの方に金を出して、そっちで運用してもらって何とか奨学生を出しているというケースもありますし、特に財団については必要なケースもあろうかと思います。

○ ありがとうございました。
 ある会社の財団では、オーナーの方が株式で基本財産を出資されたのですね。それで、結局その会社、成長しましたので、どんどん株が分割されて、評価は膨大になってしまって、しかも株式の利回りの方が普通の基本金の利回りよりはるかに高いので大変活発に活動をされている例もあるわけでして、一概に株を持っているからどうのということ、要するに公益性の活動を阻害しているかどうかということだと思いますけれども。
 先生、どうぞ。

○ 先ほど○○委員さんが御発言されたことに基本的に賛成ですので、そんなに付け加えることはないのですが、基本的に私は、この規制はなくていいと思っています。
 ただ、今までなぜこんな規制を設けていたのか。その理由を考えてみると、これは恐らく、公益法人の財務の健全性ということからパターナリスティックに今まで規制していたのだと思いますけれども、今回の公益法人の改革において、どういうものについて国として規制すべきかという観点から見たときに、財務の健全性の問題というのは一般的には各法人がやればいいことであって、この問題については余り国としては介入しないという立場がいいのではないかと思います。その点だけちょっと付け加えたいと思います。

○ ありがとうございました。
 ○○委員、どうぞ。

○ 株式の点は、ちょっと私もまだよくわかりません。なぜ、こういう基準が置かれているのかという理由をもう少しはっきりと伺ってみないとわかりませんが、ほかに法人をつくって出資するとか、役員になるということはどうも適当ではないのではないかというのは、いろんな関係者を連れてきて、そういうところの役員という形でいろいろ濫用が起こるということが恐らくあり得るのではないかという危惧の念を持ちます。

○ ちょっと私たちが考えているのは違って、私たちは財産保全というか、あるいは運用財産の取得のために持つのはどうかということばかり考えていたわけですけれども、今、先生の言われたことは全く考えていなかったことでして、これは是非、その観点は加える必要はあると思います。

○ いろんな人が公益性のある非営利法人をつくるということはあり得ますので。

○ わかりました。
 それでは、「(12)その他」ということでは、今までざっと議論していただいた事項で、ガバナンスに関わる規律はすべて網羅されたのでしょうか、あるいは、ほかに必要なことはなかったでしょうかということが、もしお気づきがあれば御議論をいただきたいと思います。
 今、急に言われてもわからないということかもしれませんけれども、後で今、お配りした資料を御覧になって、こういう問題が落ちていたのではないか、漏れていたのではないかというようなことがありましたら、次回までの間に事務局の方にファクスなり、あるいはメールなりで御通知をいただきたいと思いますが、それでいかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 それで、ここで非営利法人ワーキング・グループを大変熱心に何回か開いていただいているわけですが、その前に、この前○○委員から財団型と社団型と、2つだけしか議論していないのではないかと。アメリカには、もっとほかの形の公益法人があるのだということの意味の御発言があったと思います。
 今日、御出席になっていませんので、その後○○委員にその点について御説明に行ったことがありますので、事務局、ちょっとその辺。

● 簡潔に御紹介いたします。
 その後、事務局の方で○○委員に接触いたしまして、もう少し詳しく御意見を伺ってまいりました。例えば、日米で比較しますと、日米の民間間の財界人会議というような会議を見ても、アメリカでは法人格を取っているけれども、日本では法人格を取っていないような現状があって、そういった会議体というような非営利組織についても法人格を取れるような改革を目指してはどうかと。それには財団とか、社団とかというような形態だけでなく、それ以外のものを認めたらどうかというのが問題意識の源ですというような紹介がございました。
 事務局からは、英米法と大陸法とで考え方が若干違うかもしれません、日本の場合には、民法というのはドイツ法、フランス法など大陸法系を参考にしてつくっておりまして、法人格は社団、財団、つまり人か財に着目してつくっているものでございますと御説明したところ、○○委員の方からは、もし財と人以外に何か法人格のよりどころが見つかるようであれば自分からもまた提言したいけれども、そういうことであれば、まずは社団形態、財団形態を前提にして、法人格を取りやすい制度のあり方を模索する方が実際的ですねということでございました。
 そこで、事務局から、現在の非営利ワーキング・グループの検討状況を御紹介いたしまして、社団につきましては最低社員の人数というのは1人または2人ということを御議論いただいている云々といったこと、あるいは財団につきましても現行の各省の指導でわれているような3億円、5億円を必要とするといったような高いハードルを非営利法人の部分では考えているわけではございませんといった御説明をしたところ、○○委員の方も安心しましたということでございました。
 ただ、その辺のところが世間一般にまだ十分認知されていない面があるのではないかということで、会議として報告をまとめる場合には、そういった内容につきまして世の中に浸透するような形でのプレゼンテーションを考えたらいかがでしょうかといった御意見でございました。

○ ありがとうございました。
 ただいまの○○委員の御意見というのは、かなり重要なことだと思いましたので、わざわざ、今、事務局に御説明をいただいたわけです。
 つまり、アメリカ型でいいますと、概念型といいますか、あるいは使命型といいますか、ある一つの目的があったときの、あるいは会議体であるとか、そういう一つの人でもない、財でもない、しかしながら、何かをやる。そういうものに対して法人格を与えるというような考え方があるので、その辺り、我々は一体、どこまで組み入れられるかという非常に貴重なお話だったと思います。
 それで、非営利法人ワーキング・グループの方に戻りますけれども、今日は○○委員からその点を御説明いただきます。
 なお、○○委員が今日は体調がすぐれず、御出席にならないということでございまして、若干の意見がメールで寄せられておりますので、それはペーパーでお配りしてございます。
 それでは、○○委員、どうぞ。

○ 今まで社団法人、それから財団法人についての中間的な御報告をしてまいりました。
 今日は、その社団法人の中の一つの類型というように我々は位置付けておりますけれども、積極的に社員が、あるいは構成員が財産を拠出するというタイプの非営利法人というものを設けたらどうかという提案が1つ。
 それから、財団法人については途中で中間報告いたしましたけれども、なお、どういう範囲で財団法人を認めたらいいかということについてワーキング・グループの中でも非常に意見が割れておりまして、その考え方をここで御提示しようという2点が中心でございます。
 最初に、このペーパーでは「財産拠出型」という言葉を使っておりますが、この言葉自体についても後で御議論いただきたいと思いますけれども、要するに社員が積極的に財産を拠出して法人をつくるというタイプの非営利法人を認めていこうというものでございます。
 なぜ、こういう、いわゆる出資型とも、巷において呼ばれておりますけれども、こういうタイプの非営利法人を認めるのかということでございますが、これは何度か○○委員からも御発言ありましたし、我々のワーキング・グループの中でもこういうタイプの非営利法人を設けることにはニーズがあるのではないかと考えました。 そのニーズというのは、非営利活動ないし公益活動に参加したいと考えている人たちは、ただ活動に参加するだけであれば、その法人の社員になればできることですけれども、参加したいということと、積極的に財政的な負担もして活動を支援したいという2つの動機を結び付く形の公益活動ないし非営利活動というものがあっていいのではないか。そういう積極的な参加型の非営利法人があることが更に一層多くの人々を非営利活動ないし公益活動に呼び込むことになる、拠出型の非営利法人は言わばそのために器になるのではないかということで、非営利法人ワーキング・グループの中で検討いたしました。
 現時点では、まだそんな多くないかもしれませんけれども、社会的にも確実にそういうニーズがありますし、更に、この公益法人の改革の理念に立ち上ってみましても、何度も申し上げておりますように、この非営利活動、あるいは公益活動を更に活発にしていくためのいろんな器というものはできるだけあった方がいいだろうという観点からも、こういう制度を提案したいと考えたわけでございます。
 少し中身に入りますと、先ほどちょっと言いましたように、「出資」という言葉を使うかどうかというのはワーキング・グループの内部でも議論されましたし、この会議でも議論がされると思いますが、テクニカル・タームとして「出資」という表現には問題があるということで、このペーパーでは「拠出」という表現をつかっております。
 そこで、仮に財産拠出型、ないしは出資型の非営利法人というものを認めるといたしましても、幾つかの原則に従わなくてはいけないと考えておりまして、一つ目は一番重要な原則ですけれども、やはり非営利法人の類型としてこういうタイプの法人を認めていくというのがいいのではないかと考えました。
 非営利法人の外に、営利法人の形態で公益活動に参加していくというタイプのものも勿論、考えられるわけですが、これはちょっと我々のミッションの範囲を超えますので、そこまではできないということで、ここでは非営利法人という大きな制約がございます。
 そこで、この構成員が拠出する財産というのは一体何なのか。財産を拠出することによって、それがどういう意味を持つかを考えるときにも、非営利の原則に従って考えていかなくてはいけないということになります。具体的には、財産を拠出したからといって法人の財産に対していわゆる持分を持つわけではない。持分でもいい考えもありうるかもしれませんが、少なくとも利益配当請求権につながるような持分というものとしては認めることができないと考えられます。
 そうしますと、「出資」という言葉は現在の法令用語でも多少広い意味で使ってはいますけれども、今のように利益配当請求権とは結び付かない、いわゆる持分ではないものだということになると、「出資」という言葉は避けた方がいいのではないかということで、ここではそういう言葉は使っておりません。
 さて、拠出した社員は、非営利の原則に従って持分というものは持たないわけですが、ただ、拠出額の返還は認めていいと考えています。返還という際に、構成員が脱退するときに返還してもらうというのと、それから、法人が解散する場合に返還してもらうというのと両方あり得るわけですが、解散時においても返還を認めるというだけでなく、これは中間法人とほぼ同じような条件なのですが、脱退のときにも一定の条件の下で返還を認めるということを考えています。
 先ほど議論があったいわゆる残余財産の返還を認めるかどうかについては、実は、拠出型の非営利法人をつくってほしい考える人たちの間で2つ相反する主張がどうもあるようでして、私も十分に理解していないかもしれませんけれども、一方でこういう制度をつくってほしい考えるグループの中には、残余財産の分配というのは法律の制度として禁止すべきだ考える人たちもおられるようでありました。
 しかしながら、いわゆる出資型ないし拠出型の法人では、その拠出を制度的に返還できないものにしてしまうというのは、どうも論理が一貫しないだろうと思います。制度的には拠出したものは返すことができる。だけれども、自分たちでもって、これは返さないでいいという選択をすることは可能である。定款でもって自分たちは分配しない、返還しないということを定めることができる。しかし、定款で返還するということもできる。法律で規定する制度としては、こうなるのではないかと思いました。
 細かい点は、また後で御議論があればそのときにお答えしたいと思いますが、それがいわゆる出資型ないし拠出型というものの仕組みでございます。
 それから、財団法人の方ですけれども、これは前から○○委員からもいろいろ御指摘がありましたし、ワーキング・グループに中でも非営利の財団法人というもので何でもできてしまうのはおかしいのではないかというような御議論もありました。そういうことも踏まえて、改めて財団法人の意義というのは一体何か。現在は公益財団法人があるわけですが、それを広げて非営利の、公益を目的としないような財団法人というものを設ける意義は一体何なのだろうかと考えました。ワーキング・グループの中でも、非営利の財団法人を積極的に認めていく意義はないのではないかという意見もございます。
 しかし、これから社会がいろいろ多様な発展していく中で、非営利の財団法人というのがいろいろな使われ方がされる可能性があり、それが社会を活性化することもあるであろう。 それから、現在、公益とまで言えないような、例えば会社の従業員のための福利厚生施設ですとか、そういうものを維持、管理、運営するための法人ということになりますと、これは公益法人とされない可能性があるわけですが、公益の概念を広げればそこまで入ってくるかもしれませんが、限界的なものは常に存在するでしょうし、こういうものを救う上でも非営利の財団法人というのがあっていいのではないかと、考えました。
 このように考えて、非営利の財団法人を認めようという立場をもう一度確認いたしました。
 ただ、非営利の財団法人を認めるといたしましても、それが行う事業はどんな事業でも構わないのか。例えば、不動産業みたいなのをやってもいいのかとか、いろいろ問題がございます。
 これは前にも申し上げましたが、財団法人というのは構成員がおりませんので、営利、非営利の概念に関して、構成員に利益を分配しないのが非営利だという定義だといたしますと、財団法人は必然的にすべて非営利になってしまうのです。したがって、どんな事業をやっても構成員がいないので、構成員に分配するということはなくて、したがって、どんな事業をしても非営利の財団法人という性格を失わないということになります。
 これをどう見るか、メリットと見るか、問題であると見るか。そこはワーキング・グループの中でも意見が対立しているところです。
 その事業については若干制限した方がいいのではないかという意見も有力であり、これが資料の3ページ目でございますけれども、幾つか対立した意見をここに並べております。どれが今、最有力かとかはちょっと言えませんのでただ列挙して挙げてあるわけですが、一方で「公序良俗に反しない限り、制限を設けない」という立場と、「一定の制限を設ける」とがある。
 例えば、3ページの3の(2)のところですが、一定の制限の例としては、「もっぱら私益を図る目的であってはならない」とか、「主として収益事業を行ってはならない」とか、あるいは「広い意味での公益を目的とするものでなければならない」とか、そんな制限を設けるというのはどうかという案も出ております。
 ただ、こういう制限を設けますと、財団法人を設立する際にこれが守られているかどうかを、どこかの段階でチェックしなくてはいけないということになるのではないだろうかと。そうすると、一方で非営利の財団法人については準則主義で設立したいということとの関係で、なかなかこの制限を実効あらしめることが難しいのではないかとも考え、そこで、制限を設けた場合には、その制限を実効あらしめるための方策も併せて検討する必要があると考えております。そんなところが現状でございます。
 あと基本財産とか、ガバナンスとか、寄附行為の変更、これも重要な問題でございますけれども、これは前にも御紹介したと思いますので、今日は御質問があればここでお答えいたします。非営利ワーキング・グループの検討状況は以上でございます。

○ ありがとうございました。それでは、今、ワーキング・グループの方の話をいただいて、質問があればということです。
 ○○委員、どうぞ。

○ 質問ではなくて、○○委員の方からの報告を聞いて本当にうれしく思っております。
 私は毎日、市民の皆さんといろんな御相談をしたり、いろんな市民の方の活動を手助けするという仕事をしているのですが、今、非常に日本の国民というのは中年化をしておりまして、団塊の世代は御存知のように、男性陣も含めて、地域に結構戻ってきています。その方々の働き方を見ていますと、今まで企業戦士だった皆さんが地域でこれから自分の後ろの生活、男性においても55でお帰りになっても20年あります。そういう皆さんが、地域で何かをやりたい。主婦の皆様も子育てをしながら何かをやりたい。高齢者の女性の方も何かをやりたいという思いが非常に多く、その地域では今、動いてきています。
 その方々というのは、自分たちの仲間で、自分たちができることを、自分たちができる形態でやりたい。例えば、介護保険ができたときに保健婦の仲間の方がNPOになるか、もしくは任意法人になるか、株式会社になるかというようないろんな選択の中で、その方々は株式会社を選択して事業をやっていくというようなことがありました。
 ただし、それはある意味では公益事業なのだけれども、その当時は株式会社を選択せざるを得ないと。制度的になかったということになります。
 今回、公益法人改革の中で私たちが思っている中では、その形態を選べるという中で実質上、NPOを選んだ方、もしくは株式会社を選んだ方の最大のネックは、やはり安定した財産を持って継続的な事業をするためには、どうしてもそこに一定程度の、民間で言えば資本金というような形での財産基盤というのは重要だというのが実際、運動してみて初めて皆さん壁に当たっています。
 ですから、その壁を新たに突き破る制度として今回、ワーキング・グループの皆様が御提案をいただきました拠出型の非営利法人であり、公益法人になれるという類型については是非、今回、類型として新たに提案をさせていただきたいというように思っています。それは、実際に事業をする側からの1つの提案であります。
 もう一つは、そういう皆さんを見ていて、企業の皆さん、もしくは農家の皆さんがそこに応援をしてもいいと。出資をしてもいいという人は、地域においてはそれを見ていますと出てくるのです。
 ところが、その出していく受け皿といいますが、それが寄附以外今ないという状況になっています。ですから、実際に資金を提供する側の方の自由度、裁量なり選択権を是非ここでも幅を広げていただくというためにおいても、今回のワーキングチームで御検討いただきました、拠出型の非営利法人の制度というのについては、是非皆さんの御議論の中でも今回の委員の中でも是非提案として記述をいただく、提案ができるような形で是非御議論をしていただきたいと思っていてます。
 細かいそれぞれの技術的なテクニックのところについては、もうこれはワーキング・グループの内でいろんな御議論をいただきたいと思いますが、私も地域でいろんな市民の方がいらっしゃいますので、時期を見てその市民の皆様からの提案として、○○委員さんの方に少しペーパーでおわたしをしていきたいと思っています。

○ ありがとうございます。今の寄附以外にないということを、ちょっと私質問をしたいのですが、法人にしても個人にしても、税後の所得といいますか収益を寄附するわけですね。それに対して、今の○○委員のおっしゃっているのは、出資もしたいということですか。

○ そうです。つまり出しっぱなしではなくて、そこにある意味で株式で言えば株主として、皆さんが応援をしていますという形で、ある一定程度の地域での関与をしているという体制を出す側は地域性があって出していきますので、その辺を確保したいという気持ちがあります。
 ですから、寄附以外の資金提供の手法というものを地域では求めているという状況にあります。

○ ここでは、今すぐ論議は出ていませんが、次の段階として寄附に対する税制をどうするかということも論議しなければならないことでありますし。

○ そうですね。併せてその寄附税制は是非取っていきたいと思います。

○ それは、私たちの主題ではないのですが、そこに議論としては及ばざるを得ないかもしれません。
 それから、もう一つは今のような、その人たちが、何らかの形で関与するということを、出資で関与するということも認めるべきではないかということですね。これは○○委員がおっしゃっていことも大体同じことですね。

○ 同じだと思います。

○ いかがでしょうか。

○ それは私の説明の足りない部分を更に補足していただいたことですので、全く賛成でございます。
 今、非営利法人のワーキング・グループの検討の紹介という形で、御説明申し上げたわけですが、この親会議との関係で少し議論を発展させていただきたいと思いますのは、この親会議では公益性の認定を受けられる基準を議論しているわけですが、その際に、この出資型ないし拠出型の非営利法人であっても、それ自体は公益性の認定に全く支障はないということを是非ここで御確認いただければありがたいと思いますけ。この点についてはいろいろ御議論があるかもしれません。

○ これはまた先に行ってもう少し議論しなければならないことではないかと思います。
 どうぞ。

○ ちょっと質問なのですが、今、一つの類型として挙げるというお話でしたけれども、例えば、一般非営利法人も含めてですが、一般非営利法人に無利息の劣後債ですか、実質的な内容からすると、あるいは、無利息の劣後出資債券の発行を認めるということで、ある程度返還するよという、債務性も残した形で、そういう資金調達の方法を認めるということで、新たな法人類型ということではなくてもいけそうな感じはするのですが、それではまずいのでしょうか。

○ 資金提供者の気持ちというものを御理解をいただいてないと思います。実質上同じじゃないかということだと思いますが、それはやはり全然違うものになります。債権債務ということではなくて、やはり一定程度自由度を含めた形での資金提供であり、その機関なり事業への応援という意味で言えば、劣後債ということではやはり出し手側の気持ちが満足できないと思っています。

○ その名前の呼び方の問題であれば、例えば、劣後出資債券とか、そういう言い方で、出資しているのだよというネーミングをすればいいような気もするのですけれども。

○ 出資して参加する人の気持ちはどういうものであるかということは、今、○○委員から御説明いただいたと思いますけれども、この拠出を法的にどういうように性格づけるかという問題は、恐らくまだ残っていると思うのです。単なる劣後債ですむのかどうか分かりませんけれども、要するに、最後に残余財産の分配のことを考えれば、とにかく法人債権者には劣後するということになる。しかし、この結果は、単に拠出者がそういうことに合意しているからそうなるということではなくて、劣後性を確実にするということになりますと、単なる債権と簡単に言えない部分もあるかもしれません。そういう意味で、性格的には出資に近い面もあるし、残余財産を分配するのではなく、拠出した額が戻ってくるだけですよという点では、債権に近いところもある。出資と債権の中間的なものだと思います。

○ よろしいですか。○○委員、どうぞ。

○ 劣後債との違いというのは、定款の定めるところによりというのが入っているかどうかというのが1つあると思うのです。
 むしろお伺いしたいのですけれども、劣後債、つまり無利息で、勿論無担保で劣後するというような資金を企業が出すということについて、何か問題はないだろうかということなのです。出資であれば、出資という言葉は適当ではないかもしれませんけれども、定款で定められた拠出金であれば、そういうものとして出せるかもしれないけれども、単に先ほど言ったような貸金を提供するということができるだろうか、そこを教えていただきたいのですけれども。

○ これは、いずれ返すということになれば、当然税務上出した時点で損金処理というのは認められないでしょうね。通常そう思うのですね。会計上も認められないと思うのです。ですから、企業サイドで寄附をするとき、それを損金と認められないで寄附するとなると、それの分の税金も払わなければいけないということになり、インセンティブはかなり下がると思います。一般の損金処理できる寄附の方がインセンティブは働くと思います。

○ この辺は、○○委員さんの御意見にも関係しますけれども、これは資本として出せば勿論あれですね。

○ 投資にはなりますね。損金で落とせないですから、寄附にならないと。

○ 落とせないですね。恐らく資本的な性格は一方であるのだと思います。 それで、まだよくわかりませんけれども、このタイプは大口がどんと出す場合もあるのでしょうけれども、むしろ多数の個人が小口で少しずつ出して、一口だとか二口出していくという場合に、この拠出型のタイプが使われる可能性がありまして、その場合には、損金扱いされることは、そんなにインセンティブにならないかもしれないというようにも思うのです。
 今日は説明の中で表現としては使いませんでしたけれども、この拠出型はある意味で協同組合的なところもあるのですね。そういう小口のものをたくさん集めて、全体でみんなに一緒にやっていきましょうというタイプですから、そういう意味では先ほどの大口の財団法人をつくるときのような損金扱いがされないとインセンティブが働かないというのとは、少しニーズが違うかもしれないと思います。

○ ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○ 私は法律家ではないので、よくわからないのですが、やはり出資者と出資先、出資受元という関係と、やはり債権者と債務者というような関係の中で言えば、これは大分違うだろうと思っているのです。やはり相当出資者と出資先というのは対等な関係であり、ある意味でかなり気持ちの上でも応援し、元気づけるというところが、やはり今、実際の社会的な言われ方としても持っているということですね。
 もう一方で、債権債務という形になりますと、これはやはり違うニュアンスになるのではないかと思いますので、その意味で資金提供者がインセンティブが働くような形での制度設計を是非していただきたいと思っています。

○ 今、ワーキング・グループの方から提起された、出資、あるいは払込型のようなものについては、十分検討の対象にはなり得るけれども、まだもう少しいろいろ税務的、あるいは法律的に詰めなければならないところがあるということで、引き続きワーキング・グループの方でやっていただけることでございますので、この辺で終わらせていただきたいと思います。
 もう大体予定の時間になってしまうのですが、実は先ほどお話ししましたように、公益法人の実態について、随分たくさんの法人をヒアリングしていただきました。膨大な資料が付いておりますけれども、できるだけ簡潔に御報告をいただきたいと思っております。 それから、11時半になりましたら、申し訳ございませんけれども私は出なければなりませんので、その後、○○委員に座長をお願いいたします。
 では、資料4についてお願いします。

● 資料4について御説明申し上げます。今回、事務局におきまして、個々の公益法人から運営実態や制度改革に対する意見等についてヒアリング調査を行いました。ヒアリングは、法人名を匿名とすることを条件に、当該法人の任意の御協力を得て実施いたしました。法人の選定に当たりましては、関係の委員の皆様方からの御協力をいただきまして、当該法人を御紹介いただいたわけであります。お陰様で、多くの法人において、おおむね円滑な形で御意見をお伺いすることができました。この場をお借りしまして、御礼を申し上げます。
 具体的なヒアリングの方法につきましては、あらかじめ当該法人に御記入いただいた回答票を得まして、その上で事務局職員が事務所を訪問し、専務理事や事務局長の方々から聞き取りを行いました。
 聞き取りを行う中で、非常に興味深いやり取りにつきましては、必要に応じ先方の方に調査票、回答票の方に回答を補充していただくということをお願いいたしまして、多くの法人において幾つかの回答を補充していただいたところであります。
 ヒアリングの対象の法人につきましては、既に31法人実施いたしました。このうち、現時点で回答票を補充していただいて整理いたしましたのは27法人であります。お手元にホッチキスで2か所止めた調査・回答票の束があると思いますが、27法人分ございます。法人のナンバーはヒアリングの順番を示すものであります。14番、28番、29番、31番は、まだ回答票の整理がついていないものでありまして、次回にでもお持ちしたいと思っております。
 ヒアリングの対象法人の状況、大まかな大小等でありますが、資料4の3ページ以下にヒアリング対象法人の概況というのをお付けしております。1ポツですが、これは便宜的に法人の性格と言いますか、あるいは事業の形、そういったものを便宜的に8種類ほどに分類いたしましたものであります。
 例えば、@でありますと、同じような業界の方々が集まって形成されている法人。
 Cであれば、助成など、そういう現金給付を主要な事業としている法人。
 Dであれば、美術館、博物館等の運営を中心としている法人ということで分けております。非常にバラエティーに富んだ法人となっております。
 次のページでありますが、年間収入額規模別、正味財産規模別、常勤職員数規模別、内部留保の水準別、それからその次のページにいきまして、税法上の収益事業収入額の年間収入額に対する割合による分布、法人の収入構造ということで、それぞれの指標に応じてばらつきの具合を示しております。
 それぞれの指標におきまして、非常に特色のある法人の分布になっておると考えております。
 資料4の1枚目に戻っていただきまして、回答の状況であります。サンプル数がいかんせん少ないものですから、統計上有意なことは導き出せないのでありますが、回答の概況は次のとおりとなっております。かいつまんで申しますと、(1)事業の内容・性格につきましては、共益的な性格の事業はなしと回答する法人が多く、ありとした法人の事業を見ますと、福祉・共済事業であるとか、会員のみを対象とする研修・相談事業、要望・陳情活動などを、共益的な性格のものと理解している法人があったというものであります。 それから、下に行きまして、対価を伴う公益事業につきましては、幾つか行われている法人がありましたが、その対価の設定は実費や原価相当で設定している等の回答がございました。
 営利競合性につきましては、ほとんどの法人がないと認識しておるとのことでありました。例えば、営利会社と同種の財・サービスを提供する事業を行っているけれども、例えば、これはセミナーや出版等のようでありますが、それにしても料金を下げているとか、あるいは、そもそも出版の対象となる書物自体が営利会社とは競合しておらぬと、そういった認識で営利競合性はないと回答されたところがございました。
 次のページにまいりまして、内部留保については、さまざまな水準の法人がございました。内部留保については、法人の事業内容や収支構造等により、その意味合いが大きく異なっておるということのようであります。御意見としても、内部留保について一律の望ましい水準を言うことはできないとした法人が半数近くに上りました。
 次に(3)のガバナンスでありますが、理事会は回答を得たすべての法人で設置されておりました。評議員会は、すべての財団で設置されておりました。
 続きまして、(4)の情報公開でありますが、ホームページへの情報の掲載状況については、法人によって差があります。こうした情報公開によって、何かトラブルを生じたことがあるかという質問に対しては、そういうトラブルはないというところが多数でありました。27法人中24法人であります。残り3法人というのは、トラブルと申しますよりも、例えば、証券会社の売り込みが激しくて、少し往生しておるといった御意見がございました。
 なお、一番最後のポツでありますが、社員名簿の公開、特に住所の公開については、プライバシーの上で支障があるのではないかという回答をお寄せになった法人が10程度ございました。
 また、同種競合的な団体が複数ある場合、財務情報を詳細に公開して、例えば、ある方に支払う報酬などが公開されてしまう場合、やや問題があるといった御意見もございました。 最後になりますが、税制上の取り扱いに関する意見ですが、現在の税制上の取り扱いは非常に役に立っておるという御意見が多数ございました。
 また、寄附については、促進するような税制を仕組んでほしいという御意見がありまして、特に現在特増法人になっている法人におかれては、特増等を認めていただく過程が非常に不透明で、何で自分のところが特増と認められたのか、あるいは認められなかったのかが、結局よくわからなかったという意見がございました。
 簡単ではありますが、以上でございます。

○ それでは、この後、私が座長の代わりを務めたいと思いますが、今の事務局からの報告につきまして、何なりと御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○ 一番下に書いてあることから質問して申し訳ありませんが、現行の税制上の取り扱いは、公益事業の遂行に必要不可欠であり、維持すべきであるという意見。これは現行制度を評価しているということだと思いますが、これはつまり公益活動については課税されないということを言っているのでしょうか。

● そのとおりでございます。

○ わかりました。

○ 先ほどの御報告を伺っていると、ここで議論されて改正していこうという方向と、大体一致しているような意見が多かったと思いますけれども、少し違うというのもございますか。

● 個々の調査票を、大部でありますがお読みいただくと、やや違う御意見も見られます。例えば、ガバナンスについて、結局は人の問題なのであるから詳細に法定しても仕方がないというような御意見もございますし、個々別々に見ていきますと、必ずしも一致する意見ばかりではないと思います。ただ、概ね、例えば、内部留保について一律にはなかなか定め難いであるとか。情報公開についての御意見など、社会監視について期待をする御意見などは、ここで御議論いただいている方向と一致するのではないかと思います。

○ ちょっと気が付いたので、ガバナンス関係ですけれども、これは質問項目になかったせいなのか。現在の公益法人の理事の方が責任追求される、先ほどの代表訴訟とかいろんな制度が提案されるわけですけれども、そのことについては余り意見はなかったのでしょうか。

● 余りございませんでした。

○ 代表訴訟で訴えられるという意識をどなたもまだお持ちになってないと思います。そういうのが出てくれば反応が出てくると思います。例えば、理事になっていただく方がいなくなるとか、そういう反応は出てくると思います。程度にもよりますけれどもね。

○ 代表訴訟というのも、私は支持はする立場ですけれども、実際の制度の設計は、結構難しいかもしれない。公益法人の場合には、非常に低額な報酬、あるいは無償で理事をされている方もおられますけれども、そういう理事に対して損害賠償の請求などを無制限に認めていいのかどうかという問題もございます。営利法人でさえ、株式会社では、報酬と関連させて取締役の責任を制限しているわけですから、それとのバランスも考えなければいけないかもしれませんし、アメリカでもそういう議論があるようですけれども、今後検討しなければいけない課題の一つですね。
 このヒアリング対象は、比較的大きな財団が多いのですね。

● そういうことでもございませんで、資料4の4ページを御覧いただければと思うのですが、例えば、年間収入額を取ってみましても、1億円未満というところもございますし、50億円以上というところもございます。
 4.の常勤職員のところですが、2、3人がおやりになっているところもあれば、200人以上でおやりになっているところもあるということでありまして、規模的にはバラエティーに富んでいるのではないかと思っております。

○ ただ、1億円未満というのは、この番号が付いているのがそうですね。

● そうです。

○ 1億円以上と未満とを比べれば、圧倒的に少ないですね。

● それはそうですね。

○ それから、私のいろいろ関係しているような財団法人などもありますけれども、とても1億なんていう規模ではなくて、もっともっと小さいのですね。ですから、この調査は、こういう大きい公益法人を母集団とするところからの意見であるということですね。この後もヒアリング調査はまだ続けられるのですか。この対象の外に。

● 続けたいと考えておるのですが、御紹介がない場合、かなりハードルが高いものでございますから、こういった法人を御紹介いただけるということがございましたら、是非お寄せいただければと思っております。

○ 前にも少し申し上げましたけれども、この改革自体については、既存の公益法人、それも大きいものが中心かもしれませんが、そういうところが関心を持っているのは勿論ですけれども、一方で非常に小さいところも、自分たちはもしかすると制度改革によって排除されるかもしれないと。そういう危惧も持っていると思いますので、小さいところにも可能ならば調査対象を広げてほしいと思います。
 それから、現在は公益法人になってないグループ、そういうところも非常に強い利害関係を持っていると思いますので、そういうものも場合によってはいろいろ御紹介いただくなり、また、そこにはいろんなタイプの団体がありますので、どういう基準で調査したらいいかということも含めて、ヒアリング対象の拡大を検討していただけたらとありがたいと思いますのが、何かもし皆さんの中で御意見があればお願いします。

○ 今、○○委員が言われましたように、既存の公益法人にとって、これからなりたいと言われている、NPOであったり協同組合であったり、もしくは今は任意法人だったりするところが、この改革に非常に期待を寄せておりますので、これから予備軍と言うと失礼ですが、非営利法人の公益法人の方に移りたいと思われている予備軍については、私どもの近くでよろしければ御紹介をさせていただきたいと思いますので、事務局の方と御相談させていただきたいと思います。
 それ以外に○○委員のところとかも、結構そういうところを御存知じゃないかと思いますので、是非新しい形のところのヒアリングをお願いします。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 地域の問題ですが、これはやはりこの近くの法人が多いのでしょう。それとも全国的でしょうか。

● 全部首都圏でございます。

○ もし可能であれば、より広いデータがあればいいと思います。

○ それでは、そういう御意見を踏まえながら、調査はできる限りしていただくということにしたいと思います。
 ほかに、ご意見がございますか。今日大分御議論いただきましたので、ここで出てきた問題については、また引き続き検討していくことになると思いますけれども、今日はとりこのぐらいでよろしいでしょうか。若干時間がまだありますが、たまには少し早く終わるのもいいと思いますので、今日はこれで終わりたいと思います。それでは、今後の日程について事務局からの案内をお願いいたします。

● 資料5でございますが、次回は6月30日水曜日午前10時から12時半を予定してございます。場所はこの会議室で、議題につきましては、本日の議題としていた情報開示の部分と、新たに事後チェックのあり方、判断主体のあり方の御議論をいただければと思っております。
 以上でございます。

○ それでは、どうもありがとうございました。これで散会いたします。


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