○:委員
●:事務局

第12回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年5月26日(水)10:00〜12:30
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ 皆さん、おはようございます。いつもお忙しいところ御出席をいただいてありがとうございます。定刻でございますので、ただいまから第12回の「公益法人制度改革に関する有識者会議」を開会させていただきます。
 岩原委員と宇賀委員は、御都合により欠席になります。それから、加藤委員、河野委員、中田委員は御都合によって途中で退席するということを伺っております。
 本日、予定しております、議事、配布資料については、これから事務局から御説明をいたしますけれども、結構盛りだくさんな分量がありまして、2時間でこれを議論するというのは相当なスピードを必要としますので、とても今日1日では足りないと考えております。
 それでは、事務局の方からお願いします。

● 本日の議事でございますが、「公益性の考え方・判断要件のあり方」についての第2回目の御審議をいただければと思っております。
 「ガバナンス・情報開示のあり方」につきましては、本日、時間の余裕があれば引き続き、こちらの議題の方にも移っていただければと思っているところでございます。
 配布資料でございます。多々ございますが、資料1と2の「公益性の考え方・判断要件のあり方」の「説明資料」「参照資料」につきましては、4月28日にお配りしたものと同じでございます。
 本日、新しい資料として、「ガバナンス・情報開示のあり方」につきまして、資料3、4で「説明資料」と「参照資料」を配らせていただいております。
 参考資料は1〜4までございます。法人制度の比較表、諸外国の非営利法人制度、それから、指導監督基準関係、NPO法の運用指針、これにつきましては既にお配りしているものと同じものでございます。
 最後に、資料番号、特に振ってございませんが、「○○委員提出資料」とございます。これにつきましては、4月28日でございましたでしょうか、事業を列挙することが適当かどうかということで事務局の方で一度たたき台を考えてみたらどうかという宿題がございました。
 ○○委員の方からは本日一つの考えとして、このような資料の御提出をいただいております。2ページ目のところで21項目にわたり、その法人の活動につきまして挙げられているところでございます。
 その次に、横長の表がございます。これにつきましては事務局といたしまして、参考となりそうな規定例や外国の実例などを提出させていただいているところでございます。
 一番最後に「法人税基本通達(抄)」という抜粋がございます。前回、5月17日の会議の場で○○委員のレポートの中で補助金の課税上の取扱いにつきまして、○○委員の方から御教示いただければという意見がございました。代わりまして、事務局より簡単に紹介させていただきます。
 補助金の取扱いにつきましては、ここに「補助金等の収入」とございますけれども、(1)の、固定資産の取得または改良に充てるために交付を受ける補助金の額というものは、その法人の収益事業に係る益金の額に算入しないということでございます。
 (2)としまして、収益事業に係る収入または経費を補填するための補助金につきましては、その益金の額に、これは算入するということになってございますけれども、経費を補填するという性格からしますと、その経費の分と同額の損金が発生することになりますので、結局相殺されるということになります。ということで、その補助金の関係につきましては、実質的に課税対象とはならないということになるわけでございます。
 簡単に御紹介させていただきました。以上でございます。

○ ○○委員、おわかりになりましたか。

○ はい。

○ 先生、ありがとうございました。
 それから、本日の議事に入るということでございますが、第11回は4つのタイプと、それから○○委員の御発表がありましたので、その前の会議の続きということで、第10回会議の続きが第12回会議ということになります。「公益性の考え方・判断要件のあり方」について、引き続き検討するというのが今日の次第であります。
 第10回会議においては、公益性を有する非営利法人の捉え方について議論したわけですが、その際、公益性を一般的、抽象的に捉える考え方と、具体的な事業列挙によって捉える考え方について検討いたしましたので、その際に事業の列挙に当たっては他の法令とか、例えばNPO法でありますとか、各省庁設置法を参考にしたらどうかということで、それも今日、用意しているわけでございます。
 ○○委員から、先ほど、そのときに参考になるのではないかということで、資料を御提出いただいたわけですが、○○委員から何か補足の説明ございますでしょうか。

○ ざっと申し上げてよろしゅうございますか。
 公益法人協会の法制対策委員会と申しますが、2年ほど前に、現実に公益法人に携わっている人の有志が集まって、現在、委員が19名おります。それと、公益法人協会の太田理事長を始め、公益法人協会の方が5名、合わせて24名で、今般のこの公益法人制度改革にどのような法制面のあり方が望ましいかということの勉強会ということでやっておるものでございます。
 そこで、公益性の判断基準についてということについて議論をいたしまして、とりあえず今までの結論というのでまとめましたのが、今日提出させていただいた「公益性の判断基準について」というところでございます。
 公益性の判断基準については、その公益法人が何を目的としているかという「目的」と、どのような活動を行うかという「事業」、そして、どういう組織基準を備えているかという「組織」の3方向から考えるべきであるということで書いてございまして、「目的」については、ここでも議論がありましたように、言葉としては不特定多数の人々の利益を図るということ以外にはつくりようがないかなというような結論になっております。
 「事業」につきまして、いろいろ検討したのですが、もともと基本方針の中にもありますように、できるだけ客観的で明確で裁量の余地をできるだけ少なくというような趣旨もありますので、そういう意味からいえば、不特定多数の利益を図るだけでは余りに茫漠とし過ぎるのではないかと考えました。やはり、ある程度、分野を列挙した方がいいというのが私どもの結論でございまして、その次のページにございますような21項目を掲げております。
 実は、これは特定非営利活動促進法、NPO法とほとんど同じでございまして、今日の資料2の「参照資料」の6ページに「特定非営利活動促進法」の第2条の別表というのを掲げてございますが、そこに17項目挙がっております。
 私どもの表に掲げています1〜16というのはほぼ同じでございまして、若干追記したのが4のところで「文化財・歴史的風土の保存」というのを追加。
 8番で「安全の推進・紛争の解決」というのを追加しております。
 11番で「児童虐待防止」というのを追加しております。
 16番で「公共安全性審査」というのを追加しております。
 17番、18番につきましては、現にこういう目的で活動している公益法人があるということで掲げたものでございます。
 19番は、いわゆるバスケットクローズでございまして、「その他地域社会への利益」という、英国などではベネフィット・フォア・ザ・コミュニティーというような表現を使いますので地域社会としたのですが、日本語の場合、地域と言うと狭いかなという感じもあって、この辺は「その他社会への利益」ということにしてもいいのかも分かりませんが、いわゆるバスケットクローズという意味合いで19番を設けています。
 そして、20番に助成関係、21番にそういう全般に対する研修、連絡、助言、支援を設けています。具体的に言うと、公益法人協会とか助成財団センターといったところがこれに該当するのではないかと思いますが、そういう位置付けで掲げてございます。
 あと「組織」に関しましては、剰余金、残余財産分配を行わないといたしておりまして、解散する場合は、国、地方公共団体、あるいは同種の公益法人に譲るといったことを法定化すべきではないかということでございます。
 その下の4つのポツは、宗教、政治、暴力団に関係しないということで、これはNPO法と同じような趣旨でございます。
 運営につきましては、最小限これだけ要るかなということで4つポツを付けてございます。
 社員の資格に条件を付さない。
 報酬を受ける者は役員総数の3分の1。
 特定関係者、親族、企業、官庁、それぞれ3分の1以下。
 公益事業が全体の活動の一定割合以上を占めている。
 ここについては、随分議論したのですが、何を基準にしたらよいかというのと、何%以上という具体的に明確な数字というのはなかなか合意に至りませんで、まだ明確な結論は出ていないというところであります。
 ざっと以上でございます。

○ ありがとうございました。いずれにしても、ちょうど1か月前なのですが、非常に大勢でかなりエネルギーを使ってこれだけのものをまとめていただきましたので、参考になる資料ではないかというように考えております。これについては、皆さんの頭の中に入れておいていただきたいと存じます。
 そこで、これから具体的にどういう議論をするかということについて、資料についての説明をもう一度事務局から御説明をいたします。

● それでは、お手元の事務局の方からお配りさせていただいた机上の配布資料を御覧いただけますでしょうか。
 最初の横紙1枚は、前回、4月の終わりに御議論をいただいた際の説明資料の抜粋と、それから、その場で出していただきました主な御意見でございます。
 「公益性を有する非営利法人の捉え方」ということで、目的、事業、規律という3つの面から捉えるということで御議論いただいたわけですけれども、いわゆる事業、あるいは活動分野につきまして、どのように規定するかという点につきましては2通りの考え方があって、お出しいただいた御意見もそれぞれ2つに分かれたかと存じます。資料の中ほど以降でございますけれども、そういった御意見を簡単にまとめさせていただきました。 また「その他」に、いわゆる公益的な活動というのは民間では行い得ないような活動、あるいは公共サービスに類する活動であるというような共通の理解を持っておく必要があるのではないかといった御指摘もいただきました。
 その次以降の紙は、とりあえず前回御指摘いただきました事項として、いわゆる特定非営利活動促進法の特定の活動分野、あるいは各省設置法の規定ぶりを参考にできないかということでありますので、差し当たりその材料といたしまして、その次以下の資料を付けさせていただいております。
 2枚目が、先ほども御紹介がありました特定非営利活動の別表でございます。
 それから、諸外国の例が何かないかということで、その次の横紙が用意してございます。「公益に関する目的・事業の例」ということで、これはいわゆる税法以外でこうした公益目的あるいは事業を列挙した例として、どうもイギリスがあるようでございまして、そちらに掲げましたのは3段に分かれておりますけれども、一番左が最近見直しが行われ、出されております提案でございます。
 なお、アメリカでは、下の注にございますように、州によって違うかと存じますけれども、例えばカリフォルニア州ではほぼ準則に近い取扱いを受けておると。あるいは、フランスでは、その下にございますように、以前の調査によれば、いわゆる判例等によって審査をしているということでございます。
 なお、御参考までに、その次のページ以降に参考資料といたしまして、各国あるいは日本で税法の規定上で公益を特に規定している場合の例を付けさせていただいております。
 それから、最後に「各省庁設置法上の『任務』規定について」というものを配布させていただきました。
 これは御覧いただくとおわかりのとおり、いわゆる公共的な事務でございます。中身といたしましては、政府自体が本来担当すべき事務もあれば、必ずしもそうでない書きぶりの規定もございます。
 それで、事務局といたしましては、今、御覧いただいたような事業、あるいは活動の内容をどの程度具体的な規定ぶりとしてとらえていくかという問題はもとよりございますけれども、今回、この会議で公益性を有する非営利法人というものを捉える場合には、冒頭申しましたように、こうした活動事業分野以外に、いわゆるその前段といたしまして受益者の範囲がどうあるべきかといった問題、あるいはその法人組織としてのガバナンスといった意味での記述をどうすべきかといったような面もございます。更に、今回の公益性を取り扱う仕組みにどういった効果を持たせるかといったことによりましても、こうした活動事業分野の範囲が関わってこようかと存じます。
 したがいまして、いわゆる仕組みの全体の御議論をいただく中で、引き続き御検討を賜れないかなと思っております。現段階で、特に御指摘いただければそれを踏まえまして、引き続き勉強させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 事務局からは、以上でございます。

○ ただいま、いろいろ資料の説明をしていただいたわけですが、どうぞ、どなたか御意見ございますでしょうか。
 参考になるような話は、ほとんど尽くされているようには思っております。よろしゅうございますか。
 何かありますか。どうぞ。

○ ○○委員のお出しになったものがNPO法プラス幾つかのテーマということで、また一方では各省庁設置法の「任務」規定というのがございますが、一応、この規定であげられる分野が公益のすべてとは言わないまでも、官が担っている公益活動を、これから民がやっていこうというときに、一応守備範囲としてここに書かれていることが参考になるのではないかと思います。
 そういう観点で、ここをよく精査してみないと分からないのですが、例えば農業関係などがちょっと抜けているような気もいたしますし、あと法務省の関係で監査役協会など様々な法人もございますが、NPO法での扱いを含めて全体の分野を整理していただいたらどうかと思います。どこが入っていて、どこが抜けているのかということですね。

○ 1つの問題は、ここにありますフランスの内務省が、公益というのは時代によって変わるから、定義、明文化しないのだというような考え方で、その時代、時代で公益というものを何人かの人が集まって議論をして決めていくか、さもなければこのように列挙するかということなのですが、今の○○委員の話ですと、省庁がやっている、設置法で書かれているような条文が一つ参考になるということなのですが、今回の民間非営利法人については、つまり政府の関係で取り扱っていないような分野で、しかも民間の営利法人では扱えないような分野、それも含めるということが目的なので、もし列挙するのであれば、当然その設置法よりは広くなるはずだと思います。
 列挙した場合と、列挙しない場合と、それぞれ問題があると思いますので、皆さん、どちらの意見かということになるわけです。

○ 私、申し上げた趣旨も○○委員のおっしゃっていることと同じことでございまして、ここの省庁の設置法で挙げている分野は、官から民へという流れの中では、これは公共事業の分野に入るでしょうと。更に、あと新しい民間の公益活動としてどういうものがあるのかということになると思うのです。

○ それでは、列挙方式にするか、さもなければ公益というものをその都度というか、その時代によって良識を持って判断するというような仕組みにするかについては、これはこれとして大きな問題として残すことにしまして、本日の論点の中心を皆さんに議論していただきたいと思います。それは「判断要件のあり方」でございます。
 事務局から、「I 公益性を有すると判断する際の要件」の「(1)法人の目的に係る判断要件」について説明をいたします。

● それでは、お手元の資料1と資料2でございます。前々回の資料の続きになります。「説明資料」の方で申しますと、10ページからになります。「参照資料」では、20ページからということでございます。
 ここの「3.判断要件のあり方」につきましては、先ほど申しましたような目的、事業、規律という方面で捉える場合に、規律につきましてはガバナンス・情報開示の御議論を賜ってから御検討をいただくということで、ここでは主に目的と事業の要件について御議論をいただけないかということでございます。
 それで、10ページから何項目かございますのは、いわゆる公益性を有すると判断する際の入口の要件についてでございます。
 まず、1点目の10ページ、これは「(1)法人の目的に係る判断要件」ということで、法人の目的として定款に記載された内容が公益性を有するかどうか、それをどのように判断するかということでございます。
 ここは、「留意点」で御覧いただきますように、定款等に記載された目的と法律上のいわゆる公益性を有する非営利法人の目的の規定がきちんと整合性が取れているかどうかということになろうかと存じますが、具体的には現行の指導監督基準では、その下にございますように、「同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの」、あるいは「特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの」等は公益法人として適当ではないといった、いわゆるネガチェックの規定がございます。 同様の規定が今回も必要かどうかということで、コメントをいただければと思います。
 なお、この最後の指導監督基準の内容につきましては、いわゆる共益的な事業ということになろうかと存じますが、この点は先ほど来御議論賜っております公益性のあり方、そこに共益的な事業・活動の内容をどの程度許容し得るのかということと裏表の話かと存じますので、ここではこうしたネガチェックのような規定以外に何か必要なものがないかといった点を中心に御議論を賜ればと思います。
 以上でございます。

○ 今の御説明で、どなたか御意見ございますか。ちょっとおさらいになるわけですが、特段ございませんですか。
 そうしましたら、またいつでもここへ戻っていただいて結構ですから、次のところに進ませていただくというようにいたします。それは(2)で、「法人の事業に係る判断要件」という検討でございます。
 事務局から、説明をいたします。

● それでは、「説明資料」の11ページから、「参照資料」は22ページからということになります。
 ここからは、いわゆる入口段階の「(2)法人の事業に係る判断要件」ということで、5項目ほど並べております。11ページから16ページまでございます。説明は、一通り通してさせていただきます。
 まず、1点目。これも内容的な確認かも存じませんが、目的と事業との関係、それから事業内容の明確化ということについてでございます。
 具体的には、その下の枠囲みにございますように、法人の事業が公益的目的に照らして適切かどうか、これを確認する必要があるという点。それから、その前提といたしまして定款、寄附行為上でそうした事業内容が明確かつ具体的に記載されていなければいけないという点でございます。
 細かくなりますけれども、「留意点」の中には、今、申し上げた前段の確認すべき事項といたしまして、定款の中で記載された事業内容と目的が整合性が取れているかどうか、それから、定款に記載された事業内容と法律上の規定、事業あるいは目的と整合性が取れているかという点が含まれているかと存じます。
 1枚おめくりいただきまして、2点目が営利企業として行うことが適当な事業でございます。
 ここは「参照資料」の23ページでございますけれども、いわゆる指導監督基準では、「参照資料」にもございますように、公益法人につきましては営利企業として行うことが適当と認められる性格、内容の事業を主とするものでないことということになっております。こうした規律が、今回も必要かどうかということでございます。
 ただ、必要という場合も、「留意点」の最初にございますように、さまざまな事業活動をやっておられる中で、どの程度、あるいは客観、明確に、どういった基準でそうした判断を行うのかという点がございます。
 「留意点」の2つ目は、少なくとも著しく民間営利活動を阻害しているということが明らかな場合は不適当という考え方もあろうかと存じます。
 ちなみに、御参考までに「参照資料」23ページの中ほど以降で、フランスの事例といたしまして、これは税の世界の規定でございますけれども、何段階に分けまして一般企業との競合がないことを判断基準にいたしております。
 簡単に御紹介いたしますと、その法人の活動をしている分野、それをカテゴライズいたしまして、そうした分野ごとに民間の企業活動の状況がどうかということを確認して、競合関係があるかどうかを確認し、仮に競合関係がなければそこでよしとするものです。
 仮にあった場合も、その下にあります4つの項目について更に見た上で総合判断をするという仕組みになっております。例えば、4項目のうち1つ挙げてありますのは、提供されている製品なりサービスが、いわゆる市場では充足されないか、あるいは不十分にしか充足されない、需要を充たす活動のような場合は公益性があるとみなすといったような例でございます。
 それから、「説明資料」に戻っていただきまして、13ページでございます。3点目といたしまして、「公益的な事業の規模等について」でございます。
 ここは、入口段階の要件でございますので、主に事業計画・収支予算等において公益的な事業が全体の活動の一定割合を占めているかどうかということを、例えば数値的に把握することによって事業が適正かどうかを判断する必要があるかどうかという点でございます。
 「留意点」といたしまして、この際に公益的な事業と、いわゆる共益的な事業の区分を客観的に行うことができるかという点もあろうかと存じます。
 2つ目の大きな○でございますけれども、逆に公益的な事業以外の事業、具体的には収益的事業あるいは共益的事業になると思いますけれども、その割合をもって規律を考えることも可能かと存じます。
 「留意点」といたしましては、今、述べたことをやや詳しく述べております。4つ目のポツを御覧いただきたいのですけれども、指導監督基準では、こうした公益的事業の割合について、「可能な限り」総支出額の2分の1以上とすることとされております。しかしながら、恐らく法人の活動の実態を踏まえて検討する必要があるのではないかと思われます。
 それから、先ほど後段で申しました話につきましては、いわゆるこうした公益事業の規模をきちんと判断するためには、その前提としてしっかりとした会計処理、いわゆる区分経理等が行われていることが必要になるのではないかと思われます。
 それから、もう1枚おめくりいただきまして、14ページにはこうした事業規模等の望ましい水準について法令上の規律を設けるかどうかという点でございます。
 仮に一律に設けられないような場合でも、何らかのそうした訓示的な規定などを置きまして、加えて情報開示によって、いわゆる社会監視的な考え方によりまして、その動向を担保あるいは監視していくといった考え方があろうかと思います。それについてどう考えるか、御議論を賜ればと思います。
 それから、1枚おめくりいただきまして、15ページから4点目「収益的な事業の業種・内容について」でございます。「参照資料」は27ページからになります。
 いわゆる指導監督基準におきましては、「参照資料」の27ページにございますように、「収益事業の業種としては、公益法人としての社会的信用を傷つけるものではないこと」という規定がございまして、同様の記述を今回も設けるかどうかという点でございます。
 なお「参照資料」27ページの「運用指針」にございますように、現行では収益事業の業種として適当でないものとしては、そこにございますような風俗関連営業、高利の融資事業、経営が投機的に行われる事業というものが挙げられております。
 それから、次の16ページを御覧いただきたいのですが、5点目といたしましては公益的な事業以外の事業に伴う利益、いわゆる主に収益的な事業に伴う利益をどう考えるかということでございます。
 この点につきましては、「参照資料」の28ページでございますが、指導監督基準では、収益事業の利益については可能な限り、2分の1以上を公益事業のために使用するということになっております。これについても、同様の規律を設けることとするのかどうかという点でございます。
 「留意点」にございますように、これは指導監督基準での理由付けでございますけれども、収益的な事業を行うのが認められるのは法人の目的を実現するための手段であるということから、利益の大部分を収益事業の拡張のために使用することは不適当ではないかと指摘をされております。
 なお、2点目にございますように、仮に不適当という場合は、どの程度の基準でそれを判断するか。あるいは、そうした基準を適切に算出することができるかという点はあろうかと存じます。
 最後の点は、先ほど来申し上げている社会監視の考え方も含めて御検討いただけないかということでございます。
 とりあえず、入口段階の要件につきましては以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ ありがとうございました。それでは戻りまして、今、御説明がありましたが、四角囲みの主な論点ごとに区切って皆さんの御意見をいただきたいと思います。
 今、事務局から御説明いただいたわけですが、それを踏まえて、まず11ページです。「法人の目的との関係及び事業内容の明確化について」どなたか御発言は。
 その前に一つ私から聞きたいことがあるのですが、不特定多数は、これは先ほど○○委員から提出された公益法人協会の資料にも「不特定多数」とありましたが、第1回で伺った小松先生のお話によれば特定少数、例えば全国で300 人しかいない難病患者というようなことがあり得るのですが、それはどのように考えたらよろしいでしょうか。世の中不特定多数でもう常識になってしまっているわけですが、必ずしも不特定多数が公益でない場合も、どうもありそうだと何となく思うのですが、いかがなものでしょうか。

○ 私は公益についての世の中の常識というのがどういうものか、はっきり分かりませんけれども、不特定多数という概念の方がむしろ本当は法律的な概念として特殊なのではないかという気がします。普通の人が、こういうものは公益だろうと考えているときの概念と、もしかしたらずれている。そういう意味では、少数であろうと公益的なものがあり得るという方が、常識に合致するような気がします。

○ ありがとうございました。その辺は、公法協の方はどのようにお考えですか。

○ 多数をできるだけ柔軟に解釈しようということでございまして、ある説では2人以上とも言われています。

○ 多数というのは、つまり複数ですね。複数以上は多数と考えるということがまずあります。
 それでは、よけいなまぜ返しをしまして申し訳ございませんでした。11ページに戻らせていただいて、どうぞ、御意見を頂戴したいと思います。
 どうぞ、○○委員。

○ 意見までいかない思考の段階なのですけれども、公益性をどういうふうに判断するかということについて、いわゆる法律上の事業領域と、それから定款に記された事業の内容を照合するというように考えた場合、判断基準となる法律が曖昧に書かれた場合には、事業の内容が公益的であると判断するのがより難しくなる、または安易に解釈できるということにならないかと思うのです。
 そう考えると、先ほどの業種別に列挙するかしないかということについて後回しに考えるということを提案されたのですけれども、法律の方をはっきりしないと公益性の判断も難しくなってくるということにならないでしょうか。

○ ありがとうございました。
 ○○委員、どうぞ。

○ ある程度、法律で書き込むことは必要だと思うのですけれども、先ほどの事務局の御説明にありましたフランスの例のように、市場によっては十分に充足されないものであれば営利企業と多少の競合性があっても公益と認定できるというようなある程度幅を広げた公益性の考え方を、法律で入れるということも可能だと思うのです。
 列挙方式だけでいくと必ず不足するものが出てくる。そうすると、非常にフラストを起こすわけなので、ある意味で要件というものを、例えば活動事例としてはこういうものが挙げられる。しかし、その前の原則としての法律的な考え方はこうであるというような幾つかのクロスで考えられるようなものとするべきではないかと思うのです。
 例えば活動領域にしましても、分野だけで列挙すると必ず落ちてくるものが出てきまして、例えばそれぞれの中の国際的なもの、国内的なものとか、あるいは活動対応で実際に実施する事業と、それをサポートする事業など、様々な視点があると思います。御専門の先生方に伺いたいのですけれども、現在国からの免許を受けている許認可の特別の権限を受けてやっているところが、いわゆる一般非営利法人というように考えていいものなのか、それは全く別の、言ってみれば独立行政法人的なものとして仕分けしないと却っておかしくなるのではないかというような考えもあるのですけれども、いずれにしても、そういう活動分野と対応、それから原則と事例というような幾つかのことを考えて、最終的にそれが法律的にどう書かれるかは御専門の先生方に伺わないと分からないかと思いますが。

○ ありがとうございました。両方の欠点を補った折衷案というか、あるいは一つ進んだ案というか、そういう御提案をいただいたわけです。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ、○○委員。

○ 私も、今の○○委員の意見に賛成でして、実際に全部を列挙するということは恐らくできない。しかし、もう一方で具体的に書いていないと、裁量の範囲と称して非常に厳しく解釈されるという今までの経験があるわけです。そこが非常に問題になっているのだろうと。
 そのためには、具体的なことはどこかで書かれていて、それがオープンになっていないといけないと思います。それが勝手に解釈されない形で世の中に公表されている、何かそういう仕組みというのはないものなのでしょうか。

○ 今のお二人の話というのは、書いておいて、例えば「斯くの如き」という。

○ そうですね。実際に許可されたものを分類・類型化して、きちっとした形で発表されているということが必要だと思うのです。

○ ほかに、いかがでしょうか。
 それでは、今、両方の御意見をいただいたわけですが、特に○○委員からは、まず書き込むか書き込まないかということを決めないと、次のところの書き方も変わってくるという御指摘をいただいたのですが、とりあえず今日は、一つひとつを確定してしまうということではなくて、皆さんの議論のあり方をできるだけ列挙主義で残しておきたいというように考えておりますので、とりあえず大雑把なおさらいとして、その次に移らせていただきたいと思います。
 いつでも前に戻っていただいて結構ですが、12ページ、「A 営利事業として行うことが適当な事業との関係について」という囲みの欄でございます。ここでは、営利企業に競合する企業を行ってもよいのか。それから、営利企業を判断する基準の設定は可能かという問題でございます。
 ○○委員、どうぞ。

○ 民間非営利活動は、このところ急速に営利と非営利の境がなくなってきていると思います。ですから、対応としては営利企業であっても中を見れば非営利の性格を持っているとか、企業の方で営利企業をやっている中で、○○委員がよく言われるように、公益的な活動をやっているというようなことが往々にして起こるので、この活動は営利企業として行う方が適当と認められるからだめだというようにはもう言えない時代になっていると思います。
 例えば、顕著な例として低利のローン等によるマイクロクレジットのプログラムというのがこれから日本でも増えてくると思います。そうすると、活動としては営利金融サービスになるわけですけれども、普通の市中の銀行とかそういうようなところでは借りられないような活動、それから金利が一般金利よりも低いもので、例えば担保がなくてもある意味では貸すというようなことも起こっています。市民バンクとかそういうものがますます増えてくる。そういうようなことを考えますと、ここは慎重に書き込まないといけない分野ではないかと思います。

○ ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。
 今の○○委員のお話は我々身近に感じているわけです。営利企業の性格といってもいろいろあり、非常に営利企業的な性格を持っているものもあるし、グループで設立したような非営利企業と称して、必ずしも営利を目的としなくて、そして社会的に貢献をしていくのだというようなのもあるし、反対に非営利企業であるけれども、かなり営利企業的な性格の仕事をしていて、しかしながら、結末は非営利を目指しているという動きが出てきているということを認識しておかなければいけないということだと思います。
 よろしいでしょうか。どうぞ。

○ 今、○○委員がおっしゃっていたように、多くの方々がいろんな地域の中で公益もしくは非営利の事業をやりたいというふうに考えております。今までの公益法人制度もしくは許認可の中では、自らの意思で営利法人でやるのか、公益法人でやるのかという選択ができないということが一番問題でした。そういう意味では、今回の私どもの会議としての提案としては、やる方々が自らが営利でやるのか、もしくは非営利法人でやるのかの選択を、ある意味での許認可のところの主務官庁が裁くのではなくて、自らの意思を持って自らが選べるということに私は改革の一番の意味があると感じていますので、そういう意味では事業そのものが営利事業であるか、もしくはその営利企業がふさわしいかどうかも含めて、やはり立ち上げてくる法人そのものの方の主体を尊重した形での動きが取れるような形で、ここのところについては記述をいただきたいと思っています。
 特にNPOなんかも、例えば保育園をNPOがやるとか、NPOが、先ほど○○委員がおっしゃっていましたけれども、バンキングを既に始めているところもあります。

○ マイクロクレジットですね。

○ そうです。そういう意味では、非常に営利企業と非営利法人、公益事業との差が本当になくなっております。
 前回も、私の方の企業の内容をお話しましたように、営利企業であっても実情は公益事業をやっているという例がほぼいろんなところで出ておりますので、ここのところについては是非、そういう記述をお願いしたいと思っております。

○ ということは、あるグループが何かの社会貢献的な、必ずしも社会貢献的な活動ではなくても社会のために何かをするような活動をした場合に、選択の主体は彼ら自身に置くということですね。それで、仕組みとしては営利法人の仕組みもあるし、非営利法人の仕組みもあるし、中間法人の仕組みもあるし、ということで、言ってみれば前に使い勝手というお話がありましたけれども、その使い勝手というのは必ずしも適切な言葉ではないと思いますが、その目的なり、あるいは性格なり、あるいは扱っている商品といいますか、財の中身によって自分で選択ができるような仕組みにしておくということですね。 それでは、○○委員、どうぞ。○○委員は次で。
○○委員 若干のコメントと、やはりこういう条件が必要ではないかということの意見です。
 今の話を伺っていると、やはり壮大な社会実験の試みの一つであるのかなと思います。こういう活動、営利と思われる部分の参入も含めて、その幅を広げるということについて国として、全体としての負担をどれだけ減らせるのかという一つの課題があって、もう一方で、多分、これは○○委員の意見を代弁するような形にもなるのですが、公正な市場競争というものについて、どこまでそれによって妨げる可能性があるのかということについても、やはり考えなければいけないリスクだと思います。
 もし、民間非営利組織として、こういった分野についての参入を主張するのであれば、やはり払わなければいけないコストというのもあると思います。現在でもNPO法人の場合は収益事業について、営利法人、一般法人と同じような税を払っているわけですけれども、市場参入するのであれば税を課せられるという条件が求められるのかもしれません。

○ ○○委員、どうぞ。

○ ○○委員のおっしゃったことに関連して確かめるというか、整理する意味で伺っておきたいのですけれども、マイクロクレジットという活動ですね。これは○○委員がおっしゃったのは、非営利に入り得るということなのか、それとも公益的な活動に入り得るということなのか、どちらなのでしょうか。営利、非営利という区別に関連して言っておられるのか、通常の非営利か、それとも公益的な非営利活動か、どちらに関連しておっしゃったのか、整理の意味で伺っておきたいのですが。

○ NPOがしておりますマイクロクレジットの活動というのは、まず利益を当然のことながら分配しないで、全部、市民活動に還元するという意味で非営利活動であり、更にそれを市民の、通常では支援を得られないようなものを支援することによって活性化するということで公益活動であると私は認識しております。

○ どうぞ。

○ つまり、銀行から融資を受けることができないような人のために低利でほどほどの金額ということになると思いますが、融資する活動それ自体は公益的な活動に入るとお考えでしょうか。

○ 何でもかんでも低利で貸すということではなくて、こういう市民バンクは市民活動などの、言ってみれば社会的な活動に対して低利で行うということですので、例えば自分は非常に生活に困っているから低利で貸してくださいというものではないということで、そういう意味での公益性を持っていると考えております。

○ 今のことは、全く同じことが政府系の金融機関について言えるのです。国民生活金融公庫とか中小企業金融公庫というのは、まさに公益性があるから政府がやるのだという議論です。一方で、かつてはそうかも分からないけれども、最近は普通の銀行でもやっているから、あれは民業圧迫ではないかという批判もある。同じ話だと思うのです。
 ですから、公益性がまさにあるけれども、時間が経ったらなくなるかも分からないし、それでは、そこに制約をどのようにかけるか。これは、さっきの○○委員のお話につながるわけですし、基本的には○○委員がおっしゃるとおりだと思いますけれども、枠決めの話かなという感じがします。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 私も○○委員がおっしゃるとおりと思います、それから、先ほどの○○委員の御意見で、結局、企業は常にマーケットフォースで動いているというときに、一方で非営利活動であればいろいろな庇護が受けられるという意味では不公正ではないかという考えも当然起こり得ると思うのですけれども、企業がマーケットフォースで動いていればいるほど、要するに非営利法人になって活動した方が、この分野は得になると思えば企業は非営利法人の方に当然参入してくる。例えば、介護の分野では今、そういうものが起こっているわけです。
 ですから、即、同じようにそういう分野は課税をするというような考え方には結び付かないのではないかと思います。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 実際起こっていることは、これは頭の整理をお互いにやっているのだけれども、現実に起こっていることの方が、やはり世の中先行していると思うのです。それがまさに、誰かがおっしゃったように今、社会的な大激動期で、後から考えてみれば、あのころにいろんなアイデアが湧いてきて、法律が後を追いかけているだけだったということが部分的にはあるかもしれないと思っています。
 だから、なるべく緩やかな、頭のいい子が頭の整理をするようなことはやめて、相当の程度は入っても構わないというのでもいいのではないか。もし、それで世の中が乱れたら、そんなことは5年後に見直せばいい。そういうことの方がいいと思います。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今の全体の流れに賛成する意見なのですけれども、今まで公益法人が、特に民間の営利企業と競合するところがいけないとされていました。公益法人は税なんかの優遇措置を受けているのだから、営利企業と競合する分野は適当ではないという意見があったわけです。
 私は、このような考え方の適否について、再検討をする必要があると思いますけれども、今はその用意がありません。しかし、次のような視点から公益法人と営利企業との競合も構わないということが言えないかと思うのです。それは、公益法人の場合には、私は税の優遇を受けつつ民間と競合するようなことがあってもいいと思っているのです。公益法人は、税の優遇措置はある程度受けるかもしれないけれども、しかし、やはりいろいろ縛りが公益法人にはあって、それは不自由なわけです。税の援助を受けるために、その代償として多少不自由な活動の仕方をしながら営利企業と競争するようなことがあっても構わない。営利企業の方は、これは税の優遇措置は受けないけれども、その代わり自由に何でもできる。
 そういう意味で、事業の主体からすれば、どちらを選択しようが自由だという考え方から正当化することはできるのではないかという気がいたします。

○ ありがとうございました。
 ○○委員、どうぞ。

○ 大体、皆さんと同じだと思うんですが、なぜ営利企業として行うことが適当な事業をすることに問題があるかということを考えてみますと、今、出ていますように、1つには、市場経済の中で、他の参加者よりも小さな負担、コストを払いながらそこに参加するというのが民業圧迫になるのではないかということがあると思います。
 それから、2番目に、営利法人の場合には営利法人についてのガバナンスがあるわけなのですけれども、そのガバナンスとそろえるのか、それとももっと緩やかにするのか、緩やかにするとなれば、営利法人との比較がどうなのかということがあると思います。
 それから、3番目に、非営利性との関係で、利益を得て何らかの形で非営利性に反することになってしまってはよくないのではないかというような配慮があると思うのです。
もっとも、だから全部やめてしまえということになるわけではなくて、そういった問題を踏まえながら公益法人がこういった活動をすることのプラスとの比較で区分けをしていくということかと思います。

○ ありがとうございました。何か結論になってきたように思うのですが、よろしいですか。今、いろいろ御意見いただいたわけですが。

○ 公益的な活動を行う非営利法人がどこまで収益事業をしていいかということは、やはりそこに何らかの限定といいますか、合理的な限定が必要なのではないか。何をやってもいいということになると、そちらに活動の重点が移ってしまうおそれがある。さっき事務局からお話があったような割合を決めるということも必要でしょうし、それから、公益的な活動のための資金の確保のための手段として、というような限定を付けておかないと、何か結果的には非常に乱れた結果が出てしまわないだろうかということを恐れるものですから。

○ 先生がおっしゃっているのは、○○委員の御意見ですか?

○ ○○委員のおっしゃったことではありません。先ほどは、○○委員のおっしゃったことについて、整理をしたいと思って伺ったわけです。今言ったのは、営利企業として行うことが適当な事業といえるかどうかについて、適当であるといえるためには、本来の公益的な活動を行うための資金を得るために適当な事業というか、そういう限定があるのではないかという感じがするものですから。
 ○○委員の御意見は、そこは違うのですね。

○ 今の○○委員のお話との関係で、恐らく収益的とか営利的な事業という場合には2つあって、本来の公益事業の資金を調達するために行う、いわゆる収益事業です。その部分と、○○委員の言われたというか、私も言ったのは、例えば新聞とか出版とか、これは本来の事業そのものが恐らく営利企業とも競合するような分野があるということです。その2つは一応、分けて考えた方がいいと思います。

○ どうぞ、○○委員。
○○委員 これは○○委員への質問とさせていただきたいのですけれども、以前、フィーダーコーポレーションについて○○委員が何度か御発言されていまして、それと関連するものです。この参考資料にあるフランスの事例における価格というところなのですけれども、これによりますと、NPOの提供するサービスの価格は市場の一般的な価格よりも下回っているべきで、その下回っている根拠というのは、いわゆるボランティア等々の安い労働力、もしくは無償の労働力提供によって営業コストを縮小できたゆえに、価格が抑えられるべきであると記しております。以前先生がおっしゃっていたフィーダーコーポレーションの御説明、すなわちNPOの方が安価でサービスを提供するので、市場競争を妨げるというご説明と一種、矛盾するところがあるような気がするのですけれども。

○ 私が申し上げたのは、公益的な活動を行う法人が営利事業に熱を入れ過ぎてしまうとどういうことになるだろうかという心配があったものですから、いろいろ申し上げたわけでありまして、今のボランティアが参加しているためにコストが安くなって、そのために価格も安くなるというような場合もカバーする意味で言っていたわけではありません。

○ それは、現実に市場で起こっていますから。
 それでは、大分議論が出たところで、3番目に移らせていただきます。繰り返し申しますけれども、いつでも元に戻って結構でございます。
 「B 公益的な事業の規模等について」という点であります。ここでは公益性の有無を判断するに当たりまして、計画段階で公益的な事業の実施に関する数値的基準を導入した方がいいのか、あるいはすべきなのか。
 もう一つは公益的な事業と共益的な事業はどうやって区分したらいいのか。区分は可能かというような点について、御議論をいただきたいと思うわけであります。

○ 事業の規模等についてなのですけれども、ある種の数値的な判断の目安というものは必要だと思いますけれども、どのように区分するかということになると非常に難しい問題があると思います。
 例えば、私どもの事業を例に取りますと、国際的な活動をしておりますために大体の事業に、外国にカウンターパートがおります。それと、資金源も外国の財団が多いことが非常にございます。そうすると、私どもに直接助成金として入ることもありますけれども、カウンターパートに必要な経費が全部入るというケースもあるわけです。それをもって、合同で事業を実施する。
 そうすると何が起こるかというと、私どもは決算報告で、例えばそれがトータルで5,000 万円の規模の事業であったとしても、実質、決算報告に残るのは事業人件費の300 万とか500 万とか、その程度のものになってしまう。そういうものが私どもの場合は非常に多いわけですけれども、そうすると、そのトータルないろいろな中で、ある意味では管理費的なものが多く映ったり、そういうようなことが起こるので、やはり数値だけで判断するということはできないということを考えなければいけないと思います。
 ただ、ある種のこの判断の目安、すべてが私どものような活動をしているわけではないので、それはそれなりに必要だというようには感じます。

○ 今の話は機械的に、例えば助成金は幾ら、あるいは事業費は幾ら、管理費は幾らというように、それはパーセントに機械的に割ったものでは基準になり得ないということですね。いかがでしょうか。
 どうぞ、○○委員。

○ 今の○○委員の御意見を敷衍するようなことになるのですけれども、私どもの公益法人協会の法制対策委員会で検討しました折も、公益事業が全体の活動の一定割合以上と、今の指導監督基準では総支出額の半分という数値が一応出ているわけです。
 ただ、今、NPOなんかで物品販売を資金稼ぎのためにやっておられるところがあります。物品販売というのは、物を右から左に流すところでわずかな利ざやを取るというビジネスですから、非常に仕入高というのが高く出てきてしまうのです。だから、総支出高というので弾きますと、わずか1人の人がその活動に携わっているのに、あっという間に何億円という数字がすぐに出てきてしまう。
 片や地道に活動をやっている方は、しかも非常に低い給料で働いていますから、数百万円という数字で、その数字だけ比較するととんでもない結論が出てしまうという部分があって、数値で割り切るのは非常に簡単なのですけれども、割り切れないなという感じがいたします。
 活動している実人数時間というのですか、そういうもので弾くとか、何か別の工夫が要るかなという感じがいたします。

○ 今、最後に言われた別枠が要るかなというところがポイントなのです。例えば、事業費の割合、管理費の割合、寄附の割合というような、いわゆるパーセントだけでは決められないところが実際の活動においてはあるということですね。いかがでしょうか。 ○○委員、何かありますか。

○ 収益事業と公益事業を区分するというのは当然のことでありますし、現在もそのように行われておるのですが、共益事業と公益事業の区分というのは非常に難しいと思うのです。会員の専門家のみが集まって会合を開けば、それは共益事業だともみれますが、会合の目的はそこで公益に資するようなレポートをつくるとか、事業をやるということもあります。ですから、区分は現実には不可能だと思いますし、現在の指導監督基準でもそこは区分けしていないというわけです。それ以上のことは、現実的に無理ではないでしょうか。
 ただ、これは税の問題として、パーティーなどをやった場合、課税されることが他の経済団体の例であったのですが、そういう意味での会員間の親睦だけをやる場合だとか、そういった場合だったら区分けはできるかもしれませんが、それ以上のことはやはり難しいのではないかと思います。

○ 会員だけのパーティーですね。

○ そうです。

○ ほかに、ございますでしょうか。

○ ○○委員への質問なのですけれども、今、パーティーについて課税をされたとおっしゃいましたが、これはどういう理由で課税をされたのですか。その根拠というか、税務署の言い分というのはどのようなものでしょうか。

○ これは、詳しい方がおられるのだろうと思うのですが、当該法人の趣旨は公益的な事業をやる団体なので、そういう意味だと実施する会合に関しては非課税ということなのですが、要するに営利企業の人たちが自ら飲み食いをするためにそういう公益法人の主催ということにして楽しんだのではないかという理屈だろうと思うのです。

○ どうぞ。

○ ここでいつも問題になるのが、本来、法人は独立をしているわけですから、本来であれば自分のところで公益事業、収益事業の割合というのは、法人が自ら決めていいのだろうと思っています。ここで問題なのは、公益法人としての特典が税法上あるものですから、今まで総支出額の2分の1以上は本来事業に充てるべきだというのは指導監督の趣旨でした。
 今回、税についてはほとんどここでは話をしませんけれども、逆に公益法人の皆さんにお伺いしたいのは、この一定程度フリーハンドにして、この基準がなくても2分の1以上の本来事業でなくてもいいというようなところをお取りになりたいのか、やはり非課税をお取りになりたいのかというところは一度、お聞きしてみたいと思っていました。
 もう一つは、先ほどお話にあったように、実は日本の、大きいところは別として、小さい公益法人はほとんどが、日本は寄附が少ないので、自分のところで本来事業に充てる事業を収益事業で賄うというところが結構多いのです。そうなったときに、やはり本来事業をやるために付随的にやっている収益事業の方が、実は売上高としては多くなっているようなところが実はあるのです。
 ですから、そういう意味では諸外国のように寄附は多く集まって、余りこの辺が問題ではないというところと、日本のように寄附が実際の自分のところの法人の収益といいますか、資金を自分の収益事業から上げざるを得ないというところと考えていくと、この2分の1以上という基準自体が今は実質上、難しいかなという気もしているのです。
 私の気持ちとしては、先ほど申し上げているように、本来、ここは独立した法人である以上、一定程度、自分の機関内でガバナンスを含めて決めていくべきではないかという気持ちでもあるのです。
 結論で言うと、迷っていて、フリーハンドというよりもガバナンスを法人の主体に任せるべきだというのが主張なのですが、かといって、いろんな法人があるので、一定基準の額を、数値的目標を掲げないと本来の公益法人としての役割を見失ってしまうというところもあって、実際は迷っているというところです。

○ わかりました。それがここに、3番目の○が2つある下の方「逆に、法人の行う公益的な事業以外の事業(収益的な事業又は共益的な事業)が全体の活動の一定割合を下回っていることをもって、公益的な事業が適正に行われると判断することも考えられる」と。今の指導監督基準の話と同じことでしたね。
 これについては、○○委員の答えをいただけますか。答えというか、見解を。

○ 個人的には、公益法人という看板を掲げていれば、やはり中身として半分以上、公益事業が欲しいなと思います。営利事業はやってもいいのですけれども、それが半分を超えてしまうと少しどうかなと感じます。半分といっても売上げではないのです。実質的な活動の中身として、という感じで言っています。
 ただ、それをどういう基準でどう測ったらいいのかというのが、まだはっきりした結論がありません。

○ もう一つ、本当に公益的な活動をしている団体であれば、そこに対する寄附について税務当局がどのように判断するかということが、これも諸外国と日本との違う点でもあるわけです。
 ですから、これだけの改革をするのであれば、その辺、寄附についてのあり方というのも一度、根本的に考えていただく必要はあると私は考えております。
 ○○委員、どうぞ。

○ 今、○○委員がおっしゃったこと、私も非常に強く感じます。
 ○○委員がおっしゃった、日本には寄附文化がないとすれば、やはり寄附文化を育てる制度、法制度、それから社会環境を醸成していくべきであって、そこの中で、特に必要と思われるのは個人寄附の免税です。これをもっと促進するようにして、例えば会費も、その公益活動に対する会費であれば免税になりますとしてはどうか。今は、1万円以上でなければ特定のところのものというようになっていますけれども、そういった枠を広げるような措置を図るべきではないかという、何をどこまでどうするのかというのは税調の方のお話だと思いますが、やはりそういう大きな枠組みの中でこういうものを是非、税調で考えていただきたいということを強く、私はこの会議として提言するべきではないかと感じております。

○ ありがとうございます。それでは、ほかにございませんでしょうか。
 それでは、とりあえず、次のところに参りましょう。

○ ちょっとよろしいですか。

○ どうぞ。

○ この討議項目で書かれていますように、情報開示といいますか、そういうことで対応すればいいので、2分の1とか何かという割合をあらかじめ決めるというのはいかがなものかと思います。

○ ですから、先ほど数値的な基準というのは非常に難しいという御意見があったのです。とりあえず、3番目は皆さんの御意見をいただきましたので、「C 収益的な事業の業種について」でございます。
 収益的な事業は、たとえ付随的であっても社会的信用を損なうような収益事業を行うということは許されないのではないかというような問題でございます。法人の社会的な信用を傷つけるようなものであってはならない、そういう収益的な事業を行うことはどうかということであります。
 いかがでしょうか。

○ 具体的に言うと、キャバレーなんかやってはいけないよということですか。そんなことは当たり前でしょうね。

○ これは比較的、常識的と話だというように思うのですけれども、いかがでしょうか。

○ ちょっと考えられない問題ですね。

○ 今、3点あるわけです。高利貸しだとか、あと投機だとか、それにキャバレーというか、そのぐらいのところは妥当なのではないでしょうか。

○ どうぞ、○○委員。
○○委員 高利貸しとか、そちらの方は非常に客観的な判断ができるのでいいのですけれども、今、キャバレーという言葉があったんですが、若干、少しジェンダー問題に絡んでいて差別的な含みがあるかなというところは心配します。
 なぜ、こんなことを申し上げるかというと、これは本当にあった例なのですけれども、そういった仕事に着手していらっしゃる女性たちが高齢者の問題に目をつけて、チャリティ活動としてある一定の時間、高齢者の方たちをエンターテインされている、それも非常に安いお金だったり無料だったりということで、ボランティア活動をされた方たちもいらっしゃるみたいなのです。そういうものをどうするのかとかというのがあって、いわゆる風俗的なものということで、確かに社会的な信用を失うということは、常識的には分かるのですけれども。

○ それは、社会通念的なボランティアになりますかね。
 それから、もう一つ、キャバレーは女のものだというような今、ちょっとお話がございましたけれども、男の人たちの職場もあるのですね。本当にうわさみたいな話ですけれども、それから、接客業は全部いけないと言うこともいけないのだけれども、ある程度、こういったことについては、それがボランティアであろうが、価格を安くするのであろうが、やはり問題は問題なような気がするのですけれども、法律的にはこれは言えないですね。 どうぞ。

○ 私は、社会的な常識としては分かりますけれども、法律の制度の中に組み込むというのがちょっと、○○委員の言われるように、むしろ情報開示によって監視するという方がよろしいのではないかと思います。
 本来であれば、寄附や何かが公益活動にもっと集まるという社会を前提に考えれば、やはりそういうところには寄附が集まらないという形で、活動ができなくなってくるということでよろしいのではないでしょうか。

○ ありがとうございました。結論になっているようにも思いますので、次に5番目の問題に移らせていただきます。「D 公益的な事業以外の事業に伴う利益の公益的な事業への使用について」でございます。
 今まで議論いただいたところも含まれるわけですが、収益的な事業あるいは共益的な事業から生じる利益は、原則として公益的な事業に使用すべきではないかというものです。そのために、また戻って数値的な基準を設けることができるかということについて、御意見をいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。何か、考えようで@〜Cまでのところでかなり論議したように思いますが。
 ○○委員、どうぞ。

○ ここの部分の質問でございますけれども、「公益的な事業に供すべき」というのは、前回いろいろ出てきました内部留保とか、ある程度蓄えておくべきお金とか、そういうものも含まれた意味でのものでしょうか。それとも、実際に活動に支出するものに使うべきだという考えでしょうか。

● すみません、内部留保の件につきましては後ほど御議論いただくガバナンス・情報開示のところで御検討をいただきたいと思っておりまして、そこはまた別に御検討いただければと思います。

○ ですから、後者の方について議論をしていただくと。

○ ここのところで、四角で囲ってあるところでは、この利益は原則として公益的な事業に使えと書いてございますが、その「留意点」のところでは、これは「利益の大部分を収益的な事業等の拡張のために使用することは不適当ではないか」というので、書き方が違っているわけです。
 それで「留意点」の方が、現行の指導監督基準だろうと思うのですが、やはり事業の拡張、そのための投資も考えなければいけないというケースもかなりあろうと思いますし、「留意点」で書いてあるこちらの方の書きぶりの方が現実的ではないかという気がいたします。最初のポツのところにありますね。

○ 「利益の大部分を収益的な事業等の拡張のために使用することは不適当ではないか」ということでよろしいということですね。

○ はい。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今の点ですけれども、これは税務上の扱いになるのかも分からないですけれども、今年100 万円儲けたと。しかし、100 万円ではなかなか次の事業ができない。やはり、500 万までためないといけない。そのためには、その収益的な事業の拡張も当面やらざるを得ないということもあると思うのです。
 ですから、ここは一年一年で見るということではなくて、やはり、これは税の繰延べとかそういう話になるのかも分からないですけれども、ある一定の期間でもってそれを判断していくというような視点も必要なのではないかと思います。

○ いつの間にか、収益的な法人の形になっていってしまうという可能性だってあるわけですね。

○ そうですね。一方で、そこはきちんとしておかないといけない。ですから、ある程度必要な場合には長期的に、それは一体何のためにあるのかというような、元のところがずれない限り、ある程度の余裕は見るということです。

○ 長期というのは、どのくらい考えたらよろしいでしょうね。

○ それはどうなのでしょうか。具体的にやっておられる方に。

○ ○○委員、そのことを含めて。

○ 収益事業を公益事業の資金を得るためにやっているということであれば、当然、その得る資金も年々拡大していかないと公益事業も増えないわけですから、収益事業である程度拡大再生産を目指すのは、ある意味では当然だと思うのです。
 これは停滞してしまうと、当然ながら公益事業に回るお金も停滞してしまうということですから、その辺のバランスの問題ではないかと思います。余り収益の方だけに行ってどんどんそちらの拡大ばかり行って、公益事業の方が拡大していかないということになれば問題だということだと思います。
 ですから、○○委員がおっしゃったように、余り短期間で判断するのも問題ですし、そういうことでややロングランで見て、やはりその辺のバランスを見ながらということだと思います。

○ そのロングランというのは、どのくらいのを想定しておられますか。

○ 余り具体的な年数を申し上げるのもなんなのですが、大体、普通私どもでやるときには、中長期の計画というのは5年ぐらいを見当にすればいいんだろうと思うのです。
 将来、必ずかかる費用、引き当てにしているような場合は別としまして、何か新しいことをやるという場合には、立地や何かを考えた場合に5年という期間があれば何とかできるのではないかと思います。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今日、議論している一連のものは従来、役所が主導的にこういうのを指導してやってきた。そのときの役人の目でこういうのをつくってもらったら、世間に対して申し訳できるし、わかりやすいという話ですね。
 考えてみれば、今度は役人の目から離れてものを考えろというわけだし、社会的実験でもやってみようかという話だから、そうすると、余り今のと同じようにとらわれた枠を設定するということよりも、なるべくフリーの方が、これからこの仕組みでやりたいという人がいるわけだから、特に今後、数年間の間に団塊の世代諸君が大量に世の中に出てくるわけで、全員が職場に戻るとは思わないから、だから力のある者、意欲がある者が実は山ほどいるわけです。あの連中が来るところの社会的な大変革に、人材的にはものすごい人が入ってくる可能性があると私は思っているのです。
 それを連中が来やすいように受け皿をつくってやりたいというぐらいの気持ちで見ているのだけれども、それなら営利事業がちょっと倫理的におかしくて、非営利で何かやっているのに公益だとかという下手な考えはやめて、どうせ企業人がやって、非営利でやった方がいい仕事ができると思うものと、いわゆる営利もいっぱいある方がわかりやすい。分かれて構わないのです。実際は、やることはほとんど同じなのだから。余り線を引こうなんて、従来の役人がつくったような目線で捉える必要はあるかもしれないけれども、余りそれに引きずられても、中でこんな会議をやっていると年収がなくなってしまうから、なるべく幅のある形でさあどうぞと言った方が活用者が増えるのではないかという気がします。

○ 大変、勇気づけられる御意見をいただきました。ドラッカーはかつて、もう何年も前から日本の社会はそうなると言っていますね。それで、恐らく大変革が起こるであろうというようなことを言っています。

○ 大変革です。少子高齢化と一般的に言うけれども、それは長い目で見ればそうだけれども、資金で見れば、この諸君が男女ともどうやってこれから生きていくかというのが実に面白い。

○ もう一つは、その人たちが人的資源としても大変な力があるし、知的な資源としても大変な力があるし、そういう人たちを全部腐らせてしまって、この社会をものすごく悪くする可能性だって、逆に言えばあるのです。

○ その辺を見るだけでは、本当に意欲があって、まだ燃え尽きていない人が1〜2%いるだけでも相当なものなのです。それだけでも。

○ いかがでしょうか。大きな問題というようにみなしています。
 どうぞ。

○ 今のお話、全く私は同感なのです。だからこそ、営利事業をやろうが、非営利事業をやろうが、同じ手続で何かをスタートできるようにしておかないといけないところがやはり大事だと思うのです。ですから、それはこの会議の一番原点だと思うのですけれども、だからこそ非営利事業というものをやろうとするときに準則主義ですぐにつくれるというところが絶対に大事なのだと。
 ただ、その上で、今更私がこんなことをここで申し上げる必要もないわけでしょうけれども、その上で、しかし公益性となると、やはり行政との関わりはどうしても出てきて、法律でもって税金をかけていると。法律でもって、例えば何らかの補助金なり優遇措置をつけているとなると、そこをクリアーするためには、やはり行政との関わりが出てくる。それで今日のような議論になっていると思うのです。
 ですから、非営利には、すぐに非営利法人はだれでもつくれるというところと、だからこそ公益性の基準は必要だけれども、公益法人を別の手続でもう一つ枠としてつくることというのは、やはり今の趣旨で言うと避けないといけない。あくまでも、非営利法人をつくった上での、そこから先の公益性の判断にとどめないといけないのではないかと私は思っています。

○ ありがとうございました。

○ それから、さっき寄附の話をされたでしょう。実は、そのことは大問題なのですよ。例えば今、サラリーマン諸君の相当部分が、実はいろんな理由があって所得税を1銭も払っていないわけです。この理由だって、寄附した人がいるかもしれないのだけれども、寄附したって別に税金というのが来るわけではない。所得税を納めているから、どこかで厚労省とかに金をやれば幾らか戻ってくるというような話ですしね。
 ところが、最近の若い人は寄附とかしないかな。しかし、若い連中の方をむしろ1万円でも何でもいいのですよ。それをやるのを、税金で引っ張り込んでくるという餌の付け方ではない方がいいのではないか。何しろ、それを言っても、これでは何の討議にもならない。今、あなたがおっしゃったことは。
 ここにいらっしゃるような、かなり高給取りが並んでいれば、このような場合によってはやってもいいと言えるかもしれない。しかし、言葉で言うのと自分で実行とは、世の中、現実社会というのは全く違うから。きれいなことを言ったって、自分が1銭も出さないというのはたくさんいるのだから。
 これは、税金だけまけたら何とか世の中変わるかというのは性善説というか、これはやはり必要ですよ。それは否定しないけれども、それをやったら、どっと金が流れるというのは、そんなに簡単に日本人なんかが変わるかなと思います。

○ それは、そういう意味ではなくて、1,000 万とかの大口寄附がありますね。それは考えなくてはいけないのではないかということであって、例えば街頭募金をしたり、あるいはグループでもって1万円ずつ集めようというようなものにまで、今のような考えを及ぼすことはないと思います。いかがでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。

○ おっしゃるとおりすぐ仕組みが出来たからといってすぐに寄附するというようには、なかなかならないとは思いますけれども、しかしながら、やはりそういう制度というのは必要だと思います。
 具体的に、例えばアメリカのカリフォルニア州に日本の企業が随分たくさん進出していまして、そこの中でみんな10ドル、20ドルというのをコミュニティーのために寄附をしているわけですけれども、日本のサラリーマンという形でずっとやってきている方たちは、申告するということに慣れていない。そうすると、そういうものがほぼ自分たちの課税前の所得から引けるという認識を持っていないわけです。
 日本の企業のロスの在米商工会議所だったかどこか忘れてしまいましたけれども、そこがこういう仕組みがあるのだと。10ドルでも寄附したときのレシートも全部取っておいてください、そうすれば、これだけの課税控除になると教えることにより、はじめてそういうことなのか、と納得して寄附にも積極的になったという調査があります。そういうようなものが日本でも、できるとなれば、NPOでそうやって個別訪問してでもこういう活動に寄附されればできますというようにやっていけば、寄附文化は醸成されるだろうと思うので、それを使うか使えないかというのは、また別の問題だと思います。制度としてそういうものをエンカレッジすることは是非あってほしいと思います。

○ ありがとうございました。
 どうぞ、○○委員。

○ 今、○○委員の提案されていることは、制度の言葉に翻訳して言えば、特定寄附金の範囲をもっと自由化するというか、広げてほしいということですね。わかりました、そういうことですね。

○ これは、企業から大きい金をまき上げる、個人から浄財を募るというのだと、効率からいったら大きな企業は、例えば○○委員の会社みたいなところは相当がばっと出すと。その代わり、財務省は別の面で面倒を見るというのが、金の集め方で一番効率的なのですよ。
 一般庶民から貧者の一灯を集めたって知れているかもしれない。そこが実際問題としてはあるところです。

○ そこに関しては、要するに金額の問題と精神的な参加に関する文化の問題があるかなと思われます。

○ 特定寄附金についてであっても現在、1万円の仕切りがありますね。ですから、それは別に仕切りがあったからといってしないということはないですね。
 どうぞ、○○委員。

○ ちょっと一般的な話になるのですが、ここで今、論じてきた事業に係る判断要件ということの捉え方なのですけれども、一つは事業についての判断要件というのを、BとかCとかDとかという、そもそも四角囲みの中で書いてあるようなことを要件として出すべきかという問題と、それから、その次に、具体的な基準をどれくらいに置くべきという問題と、それから、その基準を満たしているかどうかをどうやって担保するかという問題と、多分3種類あると思うのです。
 それで、できるだけ緩やかにというのは、ここの今の大勢で、私もそれでよろしいと思うのですけれども、ただ、どのレベルの話をしているのかということを明確にしておきませんと、何もなしにしますと、そうすると後はすべて税調の方にお任せするということになっても、それはかえってよくないのではないかと思います。むしろ、こういう判断要件については、その数値はともかくとして、一応入れた方がいいだろうということを合意できるところは合意する。
 それから、基準については、私も緩やかにするということは賛成なのですけれども、ただ、逆に言うと、だから何も決めなくていいというのではなくて、ある程度の数値を出しておいた方がむしろいいのではないかと思うのです。そうしませんと、そこも白紙にしてしまうというのもかえってよくないのではないかということなのです。
 それから、最後に基準の担保方法として、法令の記述でいくか、あるいは情報開示でいくかというところがあります。これは大体、情報開示という考えが強いと思いますし、私もそれでいいと思うのですが、ただ、全く白紙で、自由にすればいいではないかということですと、却って目的に反することになるのではないかと思います。

○ 先ほどのお話は、数値基準を入れないということではなくて、現在行われているような数値基準、指導監督基準にあるような数値基準では実態をつかめないのではないかという御指摘であったので、数値基準を入れないということではないと私は理解しています。そうですね。
 それは今、○○委員の御発言のように、何らかの説得的な条件を入れた上で、数値で表現できるものは数値で表現するということであろうと思います。

○ 今の情報開示のところは、情報開示という言葉はいろんなふうに使われていると思うのです。ですから、一言で言えば、これは世間に対する情報開示でないといけないわけで、これも当たり前の話なのですが、その情報を役所に提出するというところで終わっていなくて、それが世間に対して開示されて、なおかつそれに対する担当省、担当官署の反応も含めて世の中に出るという、そこの仕組みは、これは当たり前の話ですけれども、そこもある程度きちっと整理しておく必要があるのではないかと思います。

○ 大体、情報開示についての皆さんの意識というか、考え方というのはほぼ、今の○○委員のおっしゃったようなことだろうと思いますけれども、しかし、それを強制するような法律というのができるのだろうかどうかということについては、まだ検討の余地があるだろうと思います。
 条件として、何かを認可するとかしないとかということが一体できるのか。これは、後の方でまた議論いたしましょう。

○ 私も、情報開示で担保するという考え方は大切だと思います。ただしそれは必要条件ですけれども、十分条件ではないと思います。○○委員が言外におっしゃったことだろうと思いますが、やはり一定の基準というものは設ける必要があるのではないかと思っています。

○ それでは、いろいろ御意見をいただいたわけですが、引き続きまして「II 公益性が維持・確保されるための要件」の「(1)法人の目的に係る判断要件」について、皆さんの御意見をいただきたいと思いますので、事務局から、この今の「(1)法人の目的に係る判断要件」について御説明をしていただきます。

● それでは、「説明資料」の17ページ、「参照資料」の28ページでございます。ここからは、「II 公益性が維持・確保されるための要件」ということになります。 最初は「(1)法人の目的に係る判断要件」ということで、ここは中身と申しますよりは、むしろ枠組みとして御検討いただけないかということでございます。
 それは先ほど御覧いただきました、いわゆる入口の要件の中にあります目的の判断要件、これが引き続き満たされている必要があるのではないかと、やや常識的でございますけれども、それにつきまして「留意点」にありますように、一つは何か追加すべき事項があるかどうか。それから、もう一点は、そうしたことを活動実績の面から検証する必要があるのではないかという点でございます。
 以上でございます。

○ ありがとうございました。いかがでしょうか。ただいまの点について、御意見ございませんか?
 どうぞ、○○委員。
○○委員 事務局がおっしゃったように、非常に常識的なので異論はないのですが、「留意点」のポツの2なのですが、実績面を検証するとなっています。しかも、目的が達成されたかどうかということについて検証するというのは、これは大変なコストと時間がかかると思うのです。
 やはり法律でできることと、それから民間の発意で、民間のコストでやることというのは区分があると思うのですが、このいわゆるアウトプットの部分、インプットの部分については何らかの法的・公的なチェックはかかってもいいと思います。しかし実績面に関してまで、この公的なチェックをかけるというのは恐らくフィージブルではないと思います。

○ 前の方の法人の目的に関わる判断要件が引き続き満たされているかどうかについて、ここは全く常識的であると。
 しかしながら、活動実績の検証が目的に適っているかどうかということの検証ということについては、実際的ではないという御説明であろうと思います。

● ここはまさに一般的な考え方として御議論いただければということで、活動面全体を捉えて法人のいわゆる定款や、ここに記載されている目的と整合しているかどうかというのは当然ある話だと思うのですが、具体的に何らかの物差しを持っているかどうかというのはまた別問題だと思います。

○ これが先ほどの○○委員の数値基準の問題でもあるし、それから、もう一つは情報開示によって大衆の皆さんが判断をされるとしたら、その判断についても何らかの数値基準に基づいての判断が行われるであろうということになると思います。
○○委員 だとすれば、今の考えに基づけば評価で得たアウトカムまでは見ないけれども、きちんと計画がなされ、予算計画がつくられ、それに基づいて予算が消化され、活動が行われたのかというところまでをチェックするというのは、これはいつの時点かという議論は別ですが、これは必要であると思います。

○ そこまではかなり機械的にできるわけで、ただ、定性的に活動実績があったかどうかということも、これは非常に捕捉困難だと思います。いかがでしょうか。
 時間の関係もありますので、もしなければ、次のページに「(2)法人の事業に係る判断要件」の検討をいたします。事務局からお願いします。

● それでは、「説明資料」の18ページ、「参照資料」の29ページからでございます。ここは公益性維持・確保の要件の事業に係るものということで、まず「@ 活動実績を踏まえた判断について」ということでございます。
 ここも、常識的内容の面もございますけれども、まずは要件の枠組みの御確認という意味で御検討いただけないかということでございます。何かと申しますと、先ほど御議論いただきました公益性を有すると判断される入口の要件のうち、事業に関わるものが何かというのを先ほど御覧いただきました。それについて、引き続き満たされているかどうかを活動実績を踏まえて判断する必要があるのではないかという点でございます。
 その際、先ほどもお話しいただいたことでございますけれども、幾つかの公益的な事業の規模等につきましては数値的に判断するという考え方もありますので、それも含めて御検討いただければということでございます。
 なお、中身につきましては、先ほど入口の際の要件に書きましたことと同じでございますので、重複を避けるために再掲はしておりません。
 「@ 活動実績を踏まえた判断について」は、以上でございます。

○ 今の御説明でよろしいですね。

● はい、以上でございます。

○ それでは、ただいま御説明をいただいたところまでで、とりあえず御意見をいただきたいと思います。
○○委員 入口部分とおっしゃっていますね。つまり、登記をし、そして公益性ある法人として申請するに当たって、公益性ある活動の実績がなければこれは申請ができないということを、この文章は意味していますね。もし、私の理解が正しいのであれば、これは公益性ある非営利法人の参画というものを狭めてしまうのではないかと思います。  ただ、実績を判断する、チェックをするというのは、先ほども申し上げましたけれども、これは事後の段階で、または中間の段階で必ず必要となりますが、入口でこれを課するということについてのマイナスの社会的なインパクトは、予想以上に大きいのではないかと思います。

○ ありがとうございました。これはいつも問題になるところですが、最初に実績がないと判断しないということだと、最初の実績はどうやってつくるのかという堂々巡りになるわけです。
 ですから、このことをどういうように、そこを通過することができるかという、その考え方を今までと大きく変えるかどうかというところになってくるのではないかと思うのです。
 ○○委員、どうぞ。

○ 私も前から申し上げていますように、実績は事後にチェックないし判断をすべき項目であるというように考えます。
 ただ、実績でちゃんとやっていないところをどうするかということもやはり考えていないといけないかなと思います。全くやっていないといったものに対して、ただ拱手傍観しているということではいけませんので、そういう場合にはどのような退場ルールを考えるかといったことも必要になってくると思います。

○ 事務局から。

● すみません、申し遅れましたけれども、今、御議論いただきました、いわゆる活動実績の要件をどの段階から求めるかにつきましては、実はその後、20ページで御議論いただくことにしておりましたものですから、すみません、舌足らずでありました。付け加えさせていただきます。

○ ちょっと伺います。これは事務局への質問になるかもしれませんが、ここで議論していることは公益性が維持・確保されるための要件ということですが、これはできてしまった後のことですね。事後的なモニタリングといいますか、そういうことですね。

● ここで(1)と(2)に分けておりますのは、おっしゃったとおり便宜的に、(2)の要件というのは、モデルケースとして既に存在している公益的法人のチェックのありようという整理になっております。

○ そうであれば、先ほどの○○委員の御意見は。
○○委員 あった方がいいと思います。

○ もう一つよろしいでしょうか。先ほどから私は割合の点を、基準をきちんとした方がいいと言っておりますが、これは活動を制約しようということではなくて、むしろ基準をある程度きちんとしておかないと、税務行政庁が課税か非課税かを決めるときに、恣意が入ってしまうおそれがあるので、そこをよく考えておく必要があるだろうという考慮が大きいわけです。

○ ただ、先ほどの○○委員の挙げられた例のようになると、見かけ上、比率が全く実態を表していないことになるのです。そういうことをどうしたらよろしいでしょうか。これはもう少し、お互いに考えさせていただきたいと思います。
 ○○委員、お待たせしました。

○ 18ページの「留意点」の最後のポツのところにあるように、法律上の規律を設けてその遵守を担保するということになると各法人も大変なプレッシャーになるし、絶えず確認するために人員もいつも相当割いていなければいけないし、それから、監視する方も多くの要員が要ると思うのです。
 いわゆる活動実績のフォローというのは、これはいやでもやるわけですから、こういうことまで法律に書かなくてもいいのではないかというふうに思うのです。

○ これは基本的に法律に書くという意味で、ここに書いたわけではないですね。

● そういうことが必要かどうかということでございます。

○ 必要かどうかと。だから、もしそうであれば、必要ないということだと思うのです。

○ 事後の判断要件の関係ですけれども、現行の公益法人というのは予算に準拠した活動をしなければいけないというようになっております。要するに公益活動であるから、事前に前の年にすべてのお金が担保された上で活動をしないといけないという考えだというようなことを、前に財務省の方から伺ったことがあります。しかし、民間非営利の活動というのは爾後1年のお金が確実に確保できた上でやっているわけでは必ずしもない。途中からどうしてもやらなければいけない事業というものも出てくると思うのです。
 ただ、そういう指導があるので、多くの法人は、変な言い方ですけれども、粉飾予算をつくるようなことにもなりかねない。収入が十分にあるというような感じにするか、支出を少し抑えて予算をつくるみたいな、だけれども決算は実際とは違ってくると。これから自由な活動が出来る仕組みを作ろうとするときに、そういう考え方をそのまま持っていっていいのかどうかということを一つ検討していただきたいという感じがあります。
 ただし、どの活動をするにしても予算、それから事業計画がないままに出るということはまた、それは公益的な活動とは言えないので、そういうものが実態と違ったときに、どのようにきちっとした情報開示ができるかという、それによって世間が納得するかどうかというような方法を考えていくべきだろうと思うのです。
 例えば今、現行の公益法人ですと、すべての法人が毎年管理台帳というものを所管の官庁に出しているわけですけれども、かなり詳しい情報を載せなければいけないことになっております。そういうようなものが各省庁で、ある意味では内部情報としてだけになっていますけれども、ああいうものを基本にして、公益性のある法人として認定されるためには必ずこれだけの情報を開示しなければいけないというような一つのモデルを、法律ではないにしても、新たな第三者機関の下でそういうモデルをつくることが考えられると思います。例えばその情報が開示されていない団体はこういうようなところだ、というように明らかにすることにより客観的評価が行われる。それによりガバナンスを高める一つの方法となると思います。よく考えたわけではないのですが、あり得るのかなという気がいたします。

○ ありがとうございました。今の○○委員のおっしゃった、例えば次年度の事業計画案とか、次年度の予算案というのは、これは所轄官庁のために必要ではなくて、独立法人としての内部規律のために是非なければならないものであって、それを粉飾しなければ許可しないというものであってはならないと私は思います。
 それから、もう一つは、次年度の事業が必ず資金的に担保されているかというのですが、社団法人では、例えば来年度200 社の会費が全部入るかどうかということはだれも言えません。100 社つぶれてしまうかもしれない。そのときに、事業計画は全部おじゃんになるわけで、途中でそれは蹉跌するということもあり得るわけですから、例えばそういうことも含めて、どのように内部規律をきちんとしておくかということだと思います。

○ 今の話は、ある程度、活動自体が世の中の役に立っているかどうかという公益性、公益的な活動をやっているかどうかということと、それから、後で出てくるのでしょうけれども、ガバナンスの問題が一緒になっている話ですね。特に、事後的な活動の中身を見られないから事前に、このガバナンスの方で形式的に見ようという、ですから、ある意味では役所の能力のなさというか、これは能力のなさというよりは制度の限界なのでしょうけれども、そこの話でしょうから、それを整理した上でガバナンスの問題は当然必要ですけれども、かなりの程度、実績を見ようというところに比重を移そうということがここの議論ではないかと私は理解しています。
 それから、ここから先は私自身が理解していないだけなのかも分からないですけれども、現に今、公益法人いっぱいあるわけですから、現にある公益法人が新しい制度になってどうかということと、新制度になってからスタートする新しい団体の、ここの記述というのは両方にかかってくるわけです。
 私は、現在の既に既存の公益法人に対する扱いということであれば、これは今まで実績があるわけですから、それは経過措置をどうするかということで対応できる話なのだろうと思っています。

○ 移行の問題ですね。移行期間を設けて、どのように移行するかということですね。
 ですから、これは今、ここに書いてあることは新しく設立される法人についてどうするかということですね。
 ほかにございませんでしょうか。もしないようでございましたら、引き続きまして(2)ですけれども、法人の事業に係る判断要件でございます。それは、19ページですね。それについて、まず事務局から説明していただきます。

● それでは、説明資料の19ページ、参照資料の30ページでございます。ここは公益性維持・確保のための事業にかかる判断要件の2つ目ということで、いわゆる寄附金に関することでございます。ここでは2つ挙げてございます。
 1つは、いわゆるパブリックサポートテストというようなものが今回必要かどうか。
 それから、もう一つ、これもパブリックサポートテストと同様に、現行の認定NPOの仕組みの中に含まれておりますけれども、寄附金の使途につきまして、相当程度公益事業に資するのが望ましいのではないかといったような規律を設けるべきかどうかという点でございます。
 参照資料の30ページにございますように、前者のパブリックサポートテストについては、現在、その上にございますように、現行では5分の1以上という基準がございますし、それから受入寄附金の支出に関しましては、いわゆる70%以上、特定非営利活動に係る事業費に充てていることというような認定にかかる規律がございます。
 とりあえず、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○ では、どうぞ。

○ まず、このパブリックサポートテストの件なのですが、この制度はもともと本来的に民間の企業でやるべきことは、公益事業としてはやるべきでない。あるいは、別の言い方をしますと、民間の営利企業ではできないようなことを、公益法人が、あるいは公益企業がやるのだという意味合いでしょう。もしそうだとすれば寄附的な要素がなければできないはずで、その寄附も社会一般の人からサポートされていれば望ましいという基本的な考え方で、この考え方には何ら反対すべきものはないし、1つの考え方としてこれを採用するということに対しては、何の異議もありません。
 ただ、現在の日本の中を考えた場合に、先ほど来お話がありましたように、日本ではまだ寄附文化が十分に醸成していないということがあって、ある程度の収入をどこかから得ないと、公益事業そのものをすることができないという、そういう法人がたくさんあるわけです。
 したがって、このパブリックサポートテストを採用するのは、インプットの方から収入がどうやって得られたかという点を見ているわけで、これはこれで1つの考え方。しかし、このサポートテストに合格しなければだめだということではなくて、支出の方で、例えば、利益金の半分以上を公益のために費やしていれば、それはそれでもいいでしょうとか、幾つかの選択肢のうちの一つという位置付けということをはっきりさせる必要があるのではないかと思います。

○ ありがとうございます。実際問題として、現在の公益法人として存在している、例えば財団は、一般の方から寄附を仰ぐということはないですよね。

○ 私の身近にある財団のお話では、利子が非常に少なくなっていますから、それ自体で活動するということはもうほとんど不可能な状況です。
 実際の活動資金を寄附によって得ているところというのもたくさんあるわけですが、それも、例えば、数か所からの大口の寄附で賄っているという場合に、このサポートテストにパスするのか、しないのか、ちょっと難しいところです。
 しかし、その場合にはパブリックという意味合いが消えていると思うのです。パブリックサポートテストというのは、世の中の人がその財団なり社団なりを支援しているという意味合いでしょうから、1つの企業が支えるというだけでパブリックサポートテストに合格するということにはならない。そうすると、当然のことながら上限を定めて、1社から1億円寄附があったとしても、それは1社として数える場合には100 万円で切らなければいけないというような条件が出てくるわけですから、なかなか難しい状況になると思います。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今、公益性が維持・確保されるための要件の中で受入寄附金という項目になっていますけれども、公益性を担保するのに受入寄附金がパブリックでないといけないというのは、よく分からない理屈だなという感じがいたします。公益性を維持・確保するためという要件として受入寄附金をどうのこうのという必要は全くないのではないかと。現実に企業財団等々はほとんど設立母体からの基金ないし通常の運営資金の寄附でやっているというところがほとんどでございまして、一般の方から当然寄附が入れば、それはそれで望ましいのでしょうけれども、それがないからといって公益性がないということには全くならないということだと思います。

○ それはあれですね、例えば企業財団の場合は母体となる親会社からの寄附をいただくということは、ある意味で言うと補助金みたいなものなのですね。性格から言うとね。

○ そうですね。

○ 一般的な意味の寄附とは少し違うと思いますね。

○ でも寄附は寄附ですね。

○ 寄附は寄附なのですけれども、かなり補助金的な意味になってくると思いますけれどもね。
 ○○委員、どうぞ。

○ 先ほども出ておりましたけれども、特定寄附金の枠の拡大というような制度がない中で、ここに書いてある公益性を前提に寄附が行われるというような、今、社会的な、一般的な活動になっていない以上、公益性と寄附金の担保というところを一緒にここで議論するということはちょっとナンセンスではないかというように考えています。
 逆に言えば、この会議で是非、○○委員もおっしゃっていましたけれども、まず寄附金を受け入れる土壌をつくっていただくということが先でありましょうし、それが一定程度実績は積んだ、経年変化を踏まえてある意味でパブリックサポートテストの導入という部分が、前提が先、こちらが先ではなくて、先に寄附金控除の方の枠の拡大を含めて、社会的な認知を醸成していく方が先ではないかというように考えております。

○ これは、先ほど○○委員がおっしゃったように、パブリックサポートテストで物事を切ってしまうことは、必ずしも適当ではないと、そのことですね。多分、1つのファクターにはなり得るけれどもということですね。

○ そういうように解釈していただければ結構です。

○ ○○委員、どうぞ。
○○委員 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、もう一方で、税調との関係を考えたときに、これをまた切り離してしまうと、手続の面では2段階で申請をすることになりませんか。うまく説明できないかもしれないのですけれども、これを要件に入れておけば、仮に公益性の認定、公益性がある法人と認められたときに、同時期に法人税が免税され、かつ理想的には寄附免税についても同時に得られるような仕組み、手続きをつくりたいと思っている方が少なくないと思うのです。しかし、これを切り離してしまうと、手続面のところで、2段階、3段階の手続を踏まなければいけないということにもなり得るのではないかということです。うまく説明できたでしょうか。

○ 先ほどからお話があるのは、何らかの数値基準はあることは必要であろうと、しかし、その数値基準を現行のような数値基準でやると実態を表わしてないことなる。それなら、新しい数値基準を考えていかなければならない。そのために、パブリックサポートテストというのは、唯一のものであるかどうかという、そこなのですね。

○ ここでパブリックサポートテストと言っていますけれども、ここではパブリックという言葉に余り重点を置かないで、企業財団で母体企業がお金を出すというのも寄付金であるという前提で書かれているのではないでしょうか。違いますか。

● すみません。そこは、参照資料に書きました、いわゆる認定の寄与の要件ですので、今回制度設計する際にそこをどうするかも含めてですが、今の参照資料の注にございますように、いわゆる多額の、例えば先ほど○○委員おっしゃられたような、1社からたくさんという場合に当たると思いますけれども、受入寄附金の額の5%を超える分は含めないというように1社から受け入れた場合はなっていますので、同様の規制は今の認定の寄与の仕組みの中ではあると思います。

○ 分かりましたけれども、私は常識的に考えて、収益事業とか営利事業からの収入ではなくて、寄附金が半分以上占めてないと公益的な団体とは言えないということが書かれていると単純に考えていたものですから。将来的には不特定多数の人からの寄附で賄うことが好ましいことは明らかですけれども、当面は余りパブリックということに力点を置かないで考えた方がいいのではないかと思います。

○ それでは、サポートテストという程度にとどめるという考え方もありますね。 ○○委員、どうぞ。

○ さっき○○委員おっしゃったように、3つの条件を満たせば公益性を認めると、例えばそうした場合に、これも1つの、AまたはBまたはCのうちのAにはなり得るということでいいのでしょうね。andじゃなくてorだというふうに理解すればいいのではないかと私は思っています。
 それから、現実問題として、私も公益性があるかないか、構想日本というのは法人格すらない団体ではあるのですが、実際問題として活動をやるために1人からお金を募ってそれで十分である方がいいに決まっているわけでして、そのために100 人回るというのは大変で、活動の前にお金集めでへたってしまうわけですから、これはやはり実際に運営している人間からすると、今のパブリックサポートテストというのは、それで数多い方がというのは、余り現実的ではないと思っています。
 ですから、あくまでもそういうことで判断できるところは、それで判断できるというぐらいの追加的なものという方がいいのではないかと思います。
 それから、寄附ですけれども、これは寄附なり、あるいはこの公益団体そのものに対する法人税のかけ方については、私は既存の制度を前提としてここで話をするのではなくて、やはりこうあるべきだということを、それが実現するかどうかは別にして、こうあるべきものだということをきちんと整理してものを申していくというところが大事なのではないかと思います。
 そういう意味では、寄附税制については、今日のテーマではないのだと思いますけれども、私は今はよく使われる2階建ての、公益性というのは2階の部分だと言われているわけですけれども、今の寄附税制というのは更にその上にもう一段階、3階建てになっていますけれども、私はこの際とにかくこれを3階建ては断固やめるべきだという主張をしていきたいと考えています。

○ ありがとうございました。どうぞ。

○ 経団連は、最盛期は年間百数十億円の寄附の斡旋をやっておりまして、今は数十億円になっておるのですが、こういう形のパブリックサポートテストが義務化された場合は、相当寄附の依頼がまた増えて、パンクしてしまうのではないかと思います。今でも本当は持ってこられる案件というのはすごく多いのですが、この時代はちょっと無理だということで、ほとんどお断わりしているという状況です。やはり寄附税制の話もありましたが、みんな公益法人は免税団体になれるとか、そういうようなことも含めて検討されるべきで、これを条件にするにはいかがなものかということでございます。
 あと、参照資料でありますように、会費というのも寄附ということにみなしていただければ、もうちょっとやりやすくなるかもしれません。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 私どもは、アメリカの財団から助成金をかなり受けておりますので、ここ10年以上ずっと毎回アメリカの財団に対するパブリックサポートテストというものを提出しております。そのときにただ単にそれだけではなくて、そのほかに公益的な活動を行っている団体であるというのを、いろいろな資料をもって判断してもらっています。ですから、パブリックサポートテストは単なるその中の一つという感じの基準判断になっています。
 ここで一番重要なことは、ガバナンスとの関わり合いだと思うのです。そういう意味で、○○委員がおっしゃったように、ある意味でアウトプットに対する今の日本の状況から考えると、そちらに関して、例えばどのぐらいの割合が収益事業だと、公益事業がとか、その辺の先ほどから出ているものの方が実態のある意味では合うのではないかと、それをどの程度にするかはまた別の問題として。
 例えば、企業財団や何かの場合は、これまた全く違う判断がアメリカなんかでも勿論ありまして、やはり人件費にどれだけ使っているか、助成額にどれだけ出しているかとか、そういう問題と、それからボードの役割、理事、役員がどれだけ公正な人選の下できちっとした決議とか、そういうものを行っているかという、やはりそちらのガバナンスの方をこれから重視するべきではないかと思います。

○ ありがとうございました。○○委員、どうぞ。
○○委員 すみません。先ほどよく分からないことを説明してしまったのですけれども、○○委員のお話を聞いて整理がついたところもあり、もう一度発言させていただきたいのですが、パブリックサポートテスト、今、23団体、4月の終わりにチェックした段階で、たしか私、23と記憶しています。(事務局注:5月末現在24団体)
 やはりこれは使い勝手という言葉をあえて使わせていただければ、この枠組みというのは非常に使い勝手が悪く、期待したとおりの効果は上げていないものだと思います。その現状をまず把握しておくべきだと思います。
 先ほどちょっとこだわったのは、まさに○○委員がおっしゃったとおり、寄附免税と法人税の免除というものを別々に考えた場合には、3階建ての論議が出てきてしまうということがありまして、これを条件に入れないとなってしまうと、3階建てになる可能性も出てくるということを若干懸念しました。
 そういう意味では、今、○○委員、○○委員が選択肢の一つである、こういう案もある、ということを言ったのですが、やはりパブリックサポートテストも選択肢だけれども、それに代わる選択肢もあるという、代案もここで提示をしておいた方が、私は作戦として税調との関係でいいのではないかというように思います。

○ わかりました。よろしいですか。かなり今まで前向きな御議論をいろいろいただきまして、お知恵もいただいたわけですが、もう時間も残り少なくなりましたので、「III  その他」についての検討を残りの時間でしていただきたいと思います。
 それでは、事務局からお願いします。

● それでは、説明資料の20ページ、参照資料の31ページからでございます。ここでは、先ほど御指摘いただきました、まず1点目が、いずれの段階で実績要件を求めるかという点でございます。3月までの御議論では、仮に活動実績を求めるかどうかについて、求めない場合でも、いわゆる事業計画や予算上の裏付けは必要ではないかという御意見がございました。
 なお、NPOの認証に当たっては、そうした事業計画や収支予算が基準に適合しているかどうか、そういう点について適合することが求められております。いずれにしましても、活動実績がある場合は、何らかの形で確認をする必要があるのではないかと思われます。この点について御議論賜りたいと思います。
 それから、もう一つの○は、今まで御議論いただいたもの以外に、目的、事業に係る判断要件として何か足りないものがないかという点でございます。
 なお、下の注書きは中間整理で御提示いただいたもののうち、ここに掲げてないものがございます。それはこの後また御議論いただくという意味の注意書きでございます。
 以上でございます。

○ 大分、今日議論を深めていただきましたので、今のことについてかなり前の段階でお話しいただいたこともあると思います。
 例えば、事業計画や予算上の裏付けが必要ではないかということは、これはもうガバナンス上もその法人が独立した法人として社会的に公正に活動する場合のガバナンスとも密接に関係してくるわけですから、別に税務署向きに、あるいは官庁向きにそれをつくるという必要要件ではない、当然のことだというように考えられるわけですが、その辺はいかがでしょうか。
 かなりの部分は、今日御議論いただいた中に入っていると思います。
 ○○委員、どうぞ。

○ 繰り返しになりますけれども、私はやはりここの段階で、最初の入口の段階では活動実績は求めない、しかしながらそういう予算・事業計画をはじめとする判断の基準となるものは必要だ、という考えについて、私はそれに賛成だということを記録していただきたいと思います。

○ それから、もう一つは実績をある期間で。

○ ある段階では求めると。

○ その段階について、先ほど皆さんの御意見を伺ったところ、必ずしもここで一致した御意見ではございませんね。毎年という考え方もあるでしょうし、2年という考え方もあるでしょうし、あるいは5年ぐらいみないと分からないという考え方もあるでしょうし、これはどこかの時点でもう少し考えなければならないところだと思います。
 もしほかに御議論がなければ、いつでもまたお気づきのことは事務局の方にFAXなり、あるいは電話なりいただくことで結構でございます。
 今後の日程について、事務局から御説明を申し上げます。

● 次回は、来週の水曜日10時からでございます。場所は、この会議室で行わせていただきます。ガバナンス・情報開示のあり方ということで、本日お配りしています資料3、4に基づきまして御議論いただければと思っている次第です。
 以上です。

○ お忘れになった御発言、もう一つということありませんか。
 どうぞ。
○○委員 今後の進め方に関連するのですけれども、3月の一番最後の会の時点で、7月を目途に提案を出すとおっしゃっていたのですが、7月に出すペーパーのイメージ、それからそれに向けて私たちがやらなければいけないことというのは、何かを議論することなのか、何かある程度具体的な案を決めるところまでやるのか、どこまで何をしたらいいのかということについて、もう一回おさらいをさせていただきたいのですが。

○ 何かを決めるというところまではいかないと思いますが、事務局。

● 恐らくこの会議として報告をまとめるのは秋以降としてございますので、夏前までに何かを決める段階までには恐らく難しいのではないかと思っておりますけれども、今、議論していただいているところを、できるだけまず進めていく必要があるだろうと思っております。
 1枚紙でペーパーを4月に御説明したときにも、7月に入りまして全体の仕組みのあり方ということで、全体的な議論をしていただく旨をお示しいたしましたが、そのときまでの検討の熟度に応じて7月にどのような運営をするかということになろうかと思っております。
 今、時点は中間整理の論点をできるだけ前広に掲げさせていただきまして、具体的な論点というのはこういったものがありますということで、全体的な御議論をいただいているところでございまして、それをこなした上で更に全体にどういうように御議論するかというのは、7月近くなったところで座長を中心にまた御判断いただくということになろうかと思っております。

○ ですから、この前の中間整理というのは、ただ問題列挙だったわけですが、今度はもう少し具体的に皆さんの御議論を踏まえて、もうちょっと突っ込んだものにしていくことになりますけれども、最後の私たちの答申案みたいなものについては、これは秋を予定しているわけです。7月にこれを出せば、社会的な反響というのも結構あると思いますし、それらも含めて11月に最終版を出すというのが目標と思います。それでよろしいですか。
 そういうことで、相変わらず御参加をいただきたいと思います。
 それでは、今日は御苦労様でございました。これで、第12回の「公益法人制度改革に関する有識者会議」を終了させていただきます。いつものように、これから簡単な記者会見をさせていただきます。御了承ください。
 どうもありがとうございました。


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