○:委員
●:事務局

第11回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年5月17日(月)13:30〜15:45
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ それでは、皆様お待たせいたしました。お忙しいところ御出席ありがとうございます。定刻でございますので、ただいまから第11回の「公益法人制度改革に関する有識者会議」を開会いたします。
 岩原委員と田中弥生委員は、御都合で御欠席のようでございます。
 それから、能見座長代理が御都合によりまして途中でやむなく退席をされますので、御了承いただきたいと存じます。
 まず、今日予定しております議事については、前回お知らせいたしましたが、もう一度議事の順番と配布資料について事務局から御説明をいたします。

● 本日の議事でございますが、法人レポートということで、法人関係委員4人の方から、それぞれの法人につきましてレポートをしていただきたいと存じます。説明順につきましては、恐縮ながら法人名で50音順ということにさせていただいております。よろしくお願い申し上げます。
 資料につきましては、それぞれのお4方の委員から提出されている説明資料がございます。
 それから、最後に資料番号は付してございませんけれども、○○委員からA3の1枚紙の御説明資料をいただいております。また、4法人の説明資料に併せて、それぞれ年次報告、パンフレットなどの冊子もいただいているところでございます。
 なお、経団連から意見要望集、事業報告などをいただいておりまして、これにつきましては出口のところに置いております。お帰りの際に御自由に見ていただければと思っております。
 以上でございます。

○ というわけで、今日は今後の公益性の考え方とか、あるいは判断要件のあり方等の検討の資料といたしまして、参考までに皆様が所属しておられる法人について、公益事業、あるいは収益事業内容、ガバナンスの状況などを含めた運営の実態についてレポートをしていただいて、それぞれ20分間レポートをしていただいた後、質疑の時間を設けさせていただきたいと存じます。
 早速、○○委員から、お願いをいたします。説明を20分間していただいて、その後10分程度皆さんの質問があればということでございます。よろしくお願いいたします。

○ それでは、お手元の資料に沿いまして御報告申し上げます。まず、住友財団の公益活動の内容について簡単に御説明いたします。住友財団は、いろいろな分野の研究や事業に、国内及び海外で助成を行う財団、多目的の助成財団ということで、1991年に設立されました。
 設立以来、5つの公募助成プログラムを中心に助成を行っておりまして、非公募、公募しない助成も少し行っております。
 5つの公募助成プログラムは、お手元の資料にございますように、基礎科学研究助成、環境研究助成、文化財維持・修復事業助成、海外の文化財維持・修復事業助成、そしてアジア諸国における日本関連研究助成、こういうふうに呼んでおりまして、それぞれの助成の趣旨、目的、助成の対象となる研究事業、そして助成対象者は表に記載しているとおりでございます。
 助成の趣旨、目的というのが、助成活動の目的としている公益に当たるわけでございますけれども、助成は私どもの財団に限らず、一般にその助成を受ける方の行う事業や研究が公益性を持っているということによりまして、その事業や研究を助成すること自体も公益性を持つことになるというように考えております。言い換えれば、公益活動を直接実際に行うのは助成対象者でございまして、助成財団は公益活動の応援者という位置付けであろうと思っております。
 住友財団の助成に応募いただいた件数と採択された件数、そして助成金額につきましては、2ページに過去5年間の実績を記載しております。公募の助成につきましては、専門家で構成されました選考委員会というのを置きまして、選考委員会で採択候補を選定していただいて、理事会、評議員会では、選考委員会の結果に基づいて助成対象を決定することにいたしております。非公募のその他助成だけは、理事会、評議員会で直接審議し決定をいたしております。
 2002年度は、この年に設立10周年記念助成というのを行いましたこともありまして、助成合計額は3億7,600万円余りとなりましたけれども、2003年度、昨年度は金利低下の影響で助成金を減額いたしまして、3億4,500万円といたしました。今年度、2004年度は3億4,500万円で現状維持を計画いたしております。
 2ページの下の方に、御参考までに財団の目的と事業に関する寄附行為の条項を記載しております。これは時代の変遷にも対応しながら、いろいろな分野の助成を行いたいということで、助成対象を幅広くカバーするためにこのような表現にいたしております。
 3ページに移ります。2番目は、税制上の取扱いでございます。助成財団は、設立当初から非課税でないと成り立たないということを、住友財団の2002年度の決算数字を基にして説明を試みようというものでございます。
 まず、現状でございますが、住友財団は収益事業を行っておりません。収入は原則として基金の運用収入だけでございます。非課税で、利子・配当の源泉税徴収もございませんので、利息配当金は満額が財団に入ってまいります。
 2002年度は低金利が続いて、運用収入が減りましたのに、記念助成などで助成金を増やしましたので、企業会計ベースに置き直しますと、御覧のように4,900万円余りの赤字でございました。この数字で、仮に課税対象法人であると考えて税金を計算してみます。私は、税金は全くの素人でございますので、間違い、勘違いがありましたら、詳しい方に後ほど御指摘をいただきたいと思います。
 課税法人の場合、税務上助成金3億7,600万円余りは、そのまま損金としては認められません。寄附金として損金参入できる金額に制限がございます。税務計算上、寄附金の損金参入限度額は、資本金のない法人の場合、寄附金支出前所得金額の2.5%となっております。寄附金以外に税務上の調整がないものとして計算いたしますと、寄附金支出前所得金額は3億2,600万円余りとなります。ここに算式が書いてございます。
 寄附金損金参入限度額は、この2.5%でございますので、817万円ということになります。助成金3億7,615万円のうち、税務上損金参入できるのは817万円でございますから、差額の3億6,798万円は、税務上は利益とみなされて、実際の損失4,936万円を差し引いた3億1,862万円が課税対象所得となります。
 税金は、法人税、事業税、地方法人税を合わせて、実効税率が40.87%というのが財務省のウェブサイトに出ておりましたが、40.87%の実効税率ということのようでございますから、1億3,000万円ほどの税金を納付することが必要となってまいります。
 この同額の助成金額で、仮に収支が均衡しておりました場合は、税金の金額は1億5,000万円ほどになるということになります。大変多大な負担でございます。
 公益性の判断について、実績を見てからでないと判断はしないという制度にして、まずは課税扱いからスタートといたしますと、とりあえず税金を払ってもよいからということで、鷹揚に考えて助成財団をつくるという人は全くいなくなるのではないかと思われます。
 次に4ページにまいります。内部留保について申し上げます。住友財団の貸借対照表、バランスシートは、2003年3月末で御覧のような数字になっております。住友財団は、設立時の1991年9月から2002年の春までの間に、設立者である住友グループ20社から累計200億円を基金として寄附してもらいました。基金200億円を全額基本財産として受け入れますと、何らかの事情で資金が不足した場合に、基本財産を取り崩すということは、実際上極めて困難でございますので、変事の対応を考えて、そのうち170億円を基本財産として、30億円は運用財産といたしました。
 設立したときには考えてもいなかったような超低金利が続きましたので、助成金を減らさずに運営していた結果、2003年3月末時点では、御覧のように正味財産が199億6,900万円という数字でございまして、基金の200億円を3,100万円割り込む数字となりました。利益剰余金という意味での内部留保はマイナスの3,100万円、3,100万円の累損になっているわけでございます。
 一方、現在の指導監督基準の運用指針で規定する内部留保は、4ページの中ほどに書いた算式で計算することになっております。総資産額から基本財産、それから公益事業を実施するために有している資産、法人の運営に不可欠な固定資産、将来の特定の支出に充てる引当資産、それに負債相当額、この5項目に該当する金額を引いたものでございます。
 住友財団の2003年3月末時点の数字は、2億5,000万円という数字になります。先ほど御説明した3,100万円の累損とは全く違う数字でございます。つまり指導監督基準に定めます内部留保は、一般に使われる用語としての内部留保、つまり利益の留保とは明らかに異なるということでございます。
 2億5,000万円という数字は、バランスシートを御覧いただきますと、バランスシートの現金・預金・有価証券の2億2,200万円と、未収金(未収利息)の1億4,300万円、それに助成基金でない投資有価証券・預金の100万円を足したものから、負債の未払い金の1億1,600万円を差し引いた金額に相当いたします。
 つまり指導監督基準の運用指針で規定する内部留保は、一般化しますと、流動資産から流動負債を差し引いた正味運転資本、それに基金以外の投資を加えたものに相当するわけでございます。この時点での住友財団の内部留保の水準は、この年度の事業費、管理費、及び固定資産取得額の合計の51%となります。
 指導監督基準では、30%以下であることが望ましいとされておりまして、30%を上回るわけでございますが、住友財団では利息の計上を発生主義で行っております関係で、利息の計上を現金主義で行っていれば生じない未収利息が1億4,300万円ありまして、これが内部留保を多くしているといったことを御説明いたしまして、主務官庁の総務省では理解していただいております。
 しかしながら、基本に立ち返って考えますと、正味運転資本というのは一般に短期的な支払い準備、広い意味の手元流動性を示すものでございまして、企業分析では企業の支払い能力を示すひとつの指標として、一般的には多いほどよいとされているものであります。これを多過ぎてはいけないという規制をする意味があるのかと考えますと、公益法人と申しましても、ゴーイング・コンサーンとして手元流動性はある程度厚くしておく必要がございまして、正味運転資本、あるいは手元流動性の残高を規制する正当な理由を見出すのは難しいのではないか、手元流動性の残高を規制するというのは、少し筋違いではないかというように思われます。
 正味運転資本や手元流動性の水準ではなくて、利益剰余金という意味での内部留保を余り厚くするのは好ましくないということで規制するということになりますと、これはある程度意味がありまして、また国民感情にも合致するというふうに考えられます。
 しかし、これは技術的に非常に難しい問題がございます。つまり公益法人の利益の内部留保額を特定するのは、技術的に非常に困難であるということでございます。公益法人に会費を納めたり、あるいは寄附をされる方は、通常はその法人の公益事業に使用するため、あるいはそのための基金として会費を納めたり寄附をすることが多いと思われますので、一見利益の留保のように見えましても、公益事業に使用するための預かり金や前受け金といった性質を持つ場合、あるいは基金の場合が多いと思われます。基金として寄附されたものでも、運用財産で受け入れている場合は、幾らが基金に当たるのかというのは、現在の公益法人会計では外部からは判定が不可能でございます。
 また、実際の利益の留保を基本財産に組み入れた場合は、これは基金になってしまったと見るのか、あるいは利益留保と見るのかといった判断の非常に難しい事態も生じてまいります。
 また、考え方としては、公益法人といえども将来の活動のために、拡大再生産ができるように、利益の留保を認めてもよいという考え方も成り立ちます。今後の制度設計に当たっては、内部留保の問題というのは、民間非営利法人の公益活動を奨励、促進するという基本的な方向に沿って規律の側面からの根拠を明確にして検討するべきであるというように考えております。
 なお、公益法人協会で調べた限りでは、アメリカ、英国とも、利益の留保の意味でも、手元流動性の意味でも、内部留保の保有高についての法定規制というのはございません。
 アメリカでは、ある民間の評価機関がひとつの考え方として、内部留保の代わりに支出可能な非拘束正味財産という概念を持ち出しておりますが、大体内部留保に近いものだと思いますが、これは前年度支出額の3倍、または当年度予算額の3倍の額のうち、いずれか多い方の額未満の額、3年分ぐらいまではいいという考え方だと思います。そういう基準を出しております。
 英国では、チャリティー・コミッションの指導で、内部留保の代わりに、利用可能で使途を問わずに支出できる所得という概念を使っておりますが、それについては理事会などの内部の自治で方針を定めて、それを公表するということにしております。内容と方針を開示して、社会に判断してもらうという英国のやり方がヒントになるように思います。
 最後に、5ページのガバナンスについてでございます。まず、理事、監事、評議員でございますけれども、理事、監事の選任は評議員会が、評議員の選任は理事会が、会計と理事の業務執行状況の監査は監事が行うというのが、それぞれ固有の権限となっております。
 寄附行為上、理事は議決及び業務執行機関で、監事は監査機関、評議員は諮問機関という位置付けでございますが、実際上財団の運営や議案等について御意見を伺うという点では、理事、監事、評議員の役割・機能に差異はないというのが実情でございます。
 理事会、評議員会はともに年3回開催しておりまして、監事は理事会に出席いたしております。理事、監事、評議員の兼務というのはございません。
 住友グループの者が占める人数は、理事16名のうち5名、監事3名のうち1名、評議員22名のうち9名となっておりまして、学識経験者の方の占める人数が多いということは、仲間内だけで事を決定することがありませんので、公益法人の運営の公正さを担保する効果はあるというように思います。
 次に情報公開でございますが、情報公開につきましては、広く一般の社会の方に住友財団の活動を知っていただけるように年次報告書、冊子でございます、今日お配りしておりますが、こういうものでございます、それから、ホームページで財団の情報を開示しております。年次報告書は、年1回発行する文字情報でございまして、助成対象の研究や事業の内容を中心に、比較的中身の濃い情報をお伝えしようとしております。今日お持ちしたのは、2002年度のものでございますが、2003年度版は現在編集中でございます。
 ホームページは、助成に応募を考えておられる方が、助成の情報、あるいは応募書類を入手する手段として便利でございますので、まず助成情報と応募書類を掲載、配布するための手段として開設をいたしました。その後、財務諸表等の情報を公開する手段としても使っております。開示内容は御覧のとおりでございまして、△の印は全部でなく一部ということを意味しております。
 以上、時間の関係で大分駆け足でございますが、ざっと御説明いたしました。

○ 大変要領よく御説明をいただいてありがとうございました。特に内部留保についての考え方というようなことについて、適切な御意見がありましたことは、大変有益であったと思います。皆様、今の○○委員の御発表に対して、御質問、あるいは補足して伺いたいようなことがあれば、どうぞ。よろしいでしょうか。

○ あとで、全体についてもう一回議論する時間があるのでしょうか。

○ 委員いらっしゃるうちにどうぞ。

○ 住友財団は、助成型の典型的な公益財団法人で、収益事業をしていないということですが、収益活動をしてないという点は、多少特殊なのですか、それとも助成財団として普通のことですか。

○ 一般に助成型の財団は収益活動を行っていないところの方が多くございます。

○ 今のお話では、助成型の財団では、内部留保ですとか、あるいは課税のされ方とか、そういうところに検討すべき問題があるということですね。

○ ひとつ質問があるのですが、このホームページでもって助成対象研究事業の説明というところで△が付いているのは、これはどういう意味ですか。

○ 助成対象研究は、この年次報告書を御覧いただきますと、特に基礎科学になりますと大変難しくて、殆ど単語の意味も分からないというところが多くございまして、そういう意味で余りすべては載せてないということで、ホームページに適した文化財の写真とか説明とか、そういったものを主に載せておるということでございます。

○ ありがとうございました。

○ もう一点、助成型の公益法人について、私が面白いと思ったのは、実際の公益活動と言うのでしょうか、これは財団とは別なところがやっているわけですね。そういう意味では、助成型の財団というのは、政府に代わって公益活動の対象を選んでいると、選んでいるという言い方は適当ではないかもしれませんが、そういう機能を果たしているという見方ができますね。

○ そうですね。こういう活動を助成しますということは、こういう活動をやっていただきたいという提案をしているような感じで、それに乗っかって応募してくださる方がいて、公益活動としては共同で、私どもの方は資金を供給し、実際の活動は助成対象者の方がなすって達成するということだと思います。

○ 助成先に対しては、指導監督とかについていろいろ細かいチェックというのはあるのですか。

○ 結果どうなったかということは、割としつこくトレースはいたします。どのような活動を、どうされたかということですね。

○ それは主務官庁がという意味ですか、それとも。

○ いや、主務官庁では殆ど行いませんで、どれだけ助成をやっているかということは当然御報告しますが、個々の研究の内容等に立ち入られることはまずありませんね。

○ 私は、それが重要なポイントだと思うのですけれども、要するに、公益活動について国がどの程度監督するかといっても、余り細かいところまで本来監督するというのは好ましいことではない。今のように助成財団というのが間に入っていることによって、言わば自律的な活動を尊重しながら、公益活動を支援しているという形態は、助成財団の大きな意義なのかもしれませんね。

○ つまり助成財団自身が助成金額についての成果はどうなっているかということを、常に検討しているわけですね。

○ はい。

○ それは、勿論、理事会等で報告されるわけですね。

○ はい。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今の○○委員と全く同じことなのですけれども、まさに助成財団自体が公益性の判定をしているわけですね。

○ ある意味ではそうですね。

○ いや、ある意味というより、私はそうでないといけないし、そうなのだと思います。ですから、その判定の仕方と、判定して助成をした後のフォロー、モニタリングというか、そこのところはここの議論に随分参考にできる部分があるのではないかと思うのです。それを助成財団が助成する先にやるか、国なり何らかの機関がもっと全体的にやるかという、その段階の違いはあるにしてもですね。ですから、そこをもう少しあれですね。今日は別にして、伺う時間があれば。あるいは、事務局でそういうことをもう少しきちんと、この中にも随分助成財団の方が大勢いらっしゃるわけですから、聞いていただくといいのではないでしょうか。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今の件は私も非常に重要なポイントだと思っております。民間の財団が民間の公益活動を支援するというときに、助成する財団側として踏み越えてはならない部分というのが必ずあるわけです。それは、受けた団体の自主性、あるいは独立性をある意味で規制するような形での助成というのは、本来あるべき助成ではないと。
 したがって、住友財団でも勿論そうしてらっしゃいますけれども、きちっとしたガイドラインといったようなものを作って、財団としての方針を持ちながらも、一旦決めて助成したからには、そこはもう助成した側の自主性に任せ、その結果について助成金額との見合った成果があるかどうかをきちっと見るということが必要だと思います。したがって、検証というのは必ずそのプロセスの中に入るかと思いますけれども、どこの段階でそういうような、ある意味でのインターベンションを行うことが適当であるかは、民間の活動を支援していく上で非常に重要なポイントだと思っております。

○ ありがとうございました。ほかにございませんか。
 どうぞ。

○ もうひとつ、内部留保なのですけれども、ここもすごく大事なところで、これもまた程度の差はあれ殆ど同じような、公益法人にしても、NPOにしても、どこも持っているわけですね。ですから、例の原則課税、非課税の問題自体が根っ子は同じ議論だと思うのです。これについて、例えば住友財団の中で、留保についてはこういう扱いにすべきであるとか、何かそういう議論がある程度行われているのですか。もしそうであれば披露していただくとか。

○ 公益法人協会で議論をしておりますね。でも、なかなか算式できれいに割り切ってというのは難しいのですね。今いろいろぐずぐず申し上げましたけれども、いろんな考え方があって、それぞれにひとつの基準だけで簡単に割り切れないという部分があって、ですから、ある公益法人の内部留保と言いますか自己資本、正味財産の中身がこういう構成になっていて、この留保についてはこういう方針で、こうやっているということをそれぞれ開示するようにして、それについて一般社会の判断を仰ぐというような形以外は少し難しいのではないかと。数字で一律にやりますと、現在の内部留保規定というのは一応30%、これも規則をよく読みますと、いろんな事情があるけれども、一応原則はと書いてあるのが、その前段がすっ飛んで30%という数字だけが突っ走っているというのが現状でございますので、数字の規制というのは非常に難しいように思います。

○ ありがとうございました。ただいま○○委員から御報告をいただいたのですが、非常に大きな論点としては、内部留保の定義と、もうひとつは助成財団が助成をしている実際の活動についてのモニタリング、それを干渉しないで成果をどのように評価するかというような点が、残された課題であると思います。大変ありがとうございました。非常に参考になる点が多かったと思います。
 それでは、次に○○委員から、社団法人日本アイソトープ協会についてのレポートをお願いします。やはり20分間の10分ということでお願いいたします。

○ 私どもは、核燃料物質を除く放射性物質を扱っているところでございます。日本では、昭和12年、サイクロトロンがつくられたときからこの研究が始まりまして、昭和20年の終戦のとき、このサイクロトロンがGHQによって壊されてしまいまして、そこで一時中断をしておりました。それが、昭和25年に入りまして、アイソトープが初めてアメリカから寄贈されて日本に入ってまいりました。そのとき入ってきたアイソトープは、6.2グラムという量的には非常に少ないものでございました。しかし、それを運んでくるときには、約40キロぐらいの梱包になって入ってきたということでございます。
 これが、実際にアイソトープを運ぶときにその量というよりも、それがたくさんに区分けされて入ってきますと、非常に大変な費用がかかってくるということが当時ございました。
 輸入が始まりますと、事務的な処理、それからRIを配分したり、受け渡しをしたり、安全にも気を配らなければいけないということがありまして、当時の総理府科学技術行政協議会(STAC)が窓口になりました。
 昭和26年になりますと、これが国と国との貿易から民間貿易に移ってまいりました。これには、GHQの強い指導がございまして、そのとき条件として示されたことといいますと、日本経済の復興に何らかの意味で寄与できるものでなければならない、ということ。RI利用以外の通常の研究方法を用いたので遂行できない。その研究に、そのRIを使うことが一番適当である。それから、測定が可能なものであって、科学形ですとか、量が適切なものでないといけない。こういうような条件が付けられておりました。それと、もうひとつは、実際にRIを使うには危険を伴うので、きちっとした研修体制を取ってからでないとだめだというような条件が付けられておりました。
 こういう中で、STACでなく、民間でできないものだろうかということで、アイソトープ協会が設立されたわけでございます。
 当時、アイソトープ協会が目指したものは、放射性医薬品等まだない時代でしたけれども、RIを安定的に供給すること、保管などをきちっとやること、それから、RIの廃棄までをしっかりやることなどの条件が付けられておりました。
 それでは、事業の実態に移ってまいりますが、私どもで行っております事業というのは、RIを供給する事業、それから、そのRIを安全に取り扱うための研修ですとか、教育、トレーニングを行うこと、そして、使った後のRI廃棄物を安全に回収すること、このひとつの流れをしっかり管理することでございます。
 経理も会計区分上大課目としてこの区分を設けております。特別会計等の区分経理はしておりませんけれども、経理上きちっと仕分けしておりまして、皆様のお手元に事業報告書をお配りしてあるかと思いますが、この第1項目のところで分類をいたしております。
 それでは、この事業が、公益性があるのかどうかということでございますが、まず受益者は何と考えているのかということになります。
 まずは、RIの使用者、管理者、こういった方には非常に便利な存在であると考えております。
 それから、RIを安定的に供給するという役目も担っておりますので、現在ではこれによって利益を受ける方々は、例えば、がんの診断や治療にも数多く使われておりますので、そういった患者さん。
 もう少し広く考えますと、国民一般の方々の安全確保に役立っているというように考えております。
 事業のひとつひとつを見てまいりますと、RIの供給事業というのは、製品の安定的な供給、必要な情報を適切に使用者に知らせること、使用者からの照会、相談に対してはきちっと対応できる窓口を設けておくこと等がございます。
 もうひとつは、流通上の安全を確保する必要がありまして、輸送業者等、警察、消防、そういったところも含めて、関係者に対する教育、訓練等を実施しております。現在でも、警視庁から毎年1名ずつ人を受け入れまして、研修を行っております。1年間かけての研修でございまして、消防庁の方などは50人ぐらいを何日かに分けて教育するといったようなことも行っております。
 この輸送というのは、勿論、安全を期しているわけですが、今までの中で最も大きな事故は、昭和60年日航機墜落事故でした。このときRIを、これは放射性医薬品でございますけれども、92個を積載しておりました。事故が起こった後すぐに私どもに連絡がありまして、ヘリコプターで担当の者が第1番に現場に到着いたしまして、まず測定をしてから安全を確認しました。壊れたものもありましたから、一部廃棄物として回収をいたしました。その後実際に捜索が始まったということでございます。
 それから、最近は輸入のスクラップの中から放射性物質などが見つかることがあるのですが、こういったものもどういうふうにしたら安全に回収できるか、そんなお手伝いもしているところでございます。
 RI事業がなぜ公益的な事業であるかと申しますと、全国に配布されておりますRIが、どこの事業体にどれだけあるかということをコンピュータで管理しているということがございます。一部、0.01%ぐらいは事業者間で譲渡する場合がありますので、100%とは申しませんが、その大部分はどこに何があるかということが分かって、そこで事故が万一生じた場合には、どういう手続で、どういうようにすればいいかということが即座に判断できるような状況になっています。
 もうひとつ、放射性廃棄物の問題がございます。現在では、一度RIとなったものはすべて放射性廃棄物として管理をすることになっております。これに対して私どもでは、収納容器を貸し出しまして、ここに全部収めるように、そしてそれを定期的に回収するという作業を行っております。
 この放射性廃棄物は、半減期が短いものと長いものとたくさんございまして、長いものですと、半減期、半分の量に減るまで5,000年ぐらいかかるもの、短いものですと2時間ぐらいで半分になってしまうもの、いろいろございます。そういったものをきちっと仕分けして、どういうように処理すればいいかということを考えているわけです。ただ、国がまだ廃棄物の処分をどういう形態にするか、最終的な決定を下しておりませんものですから、私ども廃棄物は昭和41年から回収が始まっておりますけれども、その後40年間それを処分せずに、と言うか処分できずに、そのまま保管している状況でございます。その量たるや相当な本数になっておりまして、これについて何とかしないといけないということで、私ども今、全力を挙げて種々の数値を出して、政府にお願いをしているところでございます。
 それから、私どもでは、これらの事業を学術面からも支えているわけですが、この学術面というのはいろいろなRIの使い方と同時に、安全に使うにはどうしたらいいか、出版物はどういうものを出したらいいか、そんなことを検討いたしまして、できるだけ安全に使っていただくように努力しているわけです。
 次に対価を伴う公益事業の対価の水準、営利法人との競合でございます。私どもは、全体の売上が約700億円弱ございます。これは公益法人としていかがなものかという水準に多分行っているのではないかと思いますが、これらは殆ど放射性医薬品の頒布、簡単に申せば売上ということになります。売上の利益率は、放射性医薬品に関しては2.8%ぐらいでございます。ほかの卸売り業者と比べて決して高いものではございません。それの利益を、今、申し上げました放射性廃棄物の処分の費用、学術活動の費用、それからいろいろな研修の費用、そういったものに回すという形をとっているわけです。
 見掛け上の額が非常に多いものですから、とかく問題となる恐れを含んでいるというように私ども感じているわけですが、しかし、その額が問題なのではなくて、支出可能な使途を問わず使えるようなお金のうち学術事業に、あるいは廃棄物事業にどれだけ使われているかということが、やはり公益性の判断の基準にすべきだろうと考えているわけです。非常に難しいところではあろうかと思いますが、考え方のひとつに是非そういうものを取り入れていただきたいと考えております。
 本来事業が殆ど税法上の収益事業に当たるにもかかわらず、営利法人ではなくて公益法人という法人形態をなぜ有しているのかということでありますが、まず安定的に供給をして、安全に使って、廃棄物をきちっと集荷するという全体を見ないといけないのだろうと思います。
 例えば、廃棄物ですと、そういうものの処理業者がいるので、そういう者に渡したらどうかという問題は、当然私どもも考えるわけであります。逆に申しますと、私ども廃棄物事業でマイナスを出しているわけですから、これをどこかで引き受けてくれればありがたいわけであります。
 しかし、確かに廃棄物事業で紙のようなものも中には含まれておりますから、そういうものであれば簡単に処理できて、比較的簡単にできるかもしれません。しかし、非常に処理しづらいもの、動物ですとか、非常に高いアクティビティーのあるものですとか、そういったものは、業者が選択的に仕事をしていくとなると、取り残される危険性があるわけであります。現に産業廃棄物でも問題が多いのは、そういうことなわけでありまして、完全に処理してそれで十分ペイするという事業にはなっていない点が問題なのだろうと思っています。
 次に、内部留保についてでありますが、皆様のお手元にお配りしました事業報告書の中の一番最後のページに挟んでありますので、御覧下さい。この中で、純資産の総額、2003年3月31日現在で約540億円ございます。私どもは、この時点では300数十億の預金額を持っておりまして、現在では400億円ぐらいになっております。それの大部分は、放射性廃棄物が処分できずに、将来処分したときにかかるであろう費用を積み立てている金額でございます。見かけ上非常にその引当金の額が多いものですから、これは何となく内部留保の額でないのかというふうに見られがちでございますが、実際に集めてある廃棄物を処理・処分するのに見合う額を引き当てているという金額でございます。
 負債相当額と法人の運営に必要不可欠な固定資産、これが1、2でございます。その金額から将来特定の支払いに充てる引当資金等を全部引いて計算しますと、内部留保の額は計算上マイナスに現在なっている状況でございます。マイナスでいいのかという問題もあるのですが、これを何とかしなければいけないというところで、現在、事業活動を展開しております。
 もうひとつ、もし公益法人に対する税法上の優遇措置がなくなったらどういうことになるかということです。先ほど会費収入等が問題でございましたけれども、私どもはむしろ法人税率の方が問題でございます。現在の22%が30%になると、約1億円の増額、税の支払い額が増える。現在、会費収入が3,000万円弱ぐらいでございますが、こちらの方の影響は全体としては大して受けません。
 それから、ガバナンスでございますが、現在、理事40名で、それに監事3名でございます。役員の選び方でございますが、これは理事会の中に理事連絡会というものを設けまして、組織運営、経営のエキスパートをまず半数選ぶ、それからあとの半数は各部会、私ども4つの部会から構成されているのでございますが、各部会から5名ずつ20名、併せて40名選ぶという形になっております。勿論、通常総会は年1回、理事会は年2回から3回開催をいたしております。
 日常的な会務につきましては、常任役員会で決定しております。
 資産運用につきましては、額も相当に上っておりますので、ポートフォリオ構成や運用の方針を、投資会議で検討いたしております。
 会計、監査につきましては、公認会計士が、年に40日私どもの方に詰めて、大体月に2日は会計監査、年に4回は常務理事に対する説明、そのほか交際費の使い方ですとか、細々したことに至る教育、訓練、こういったことで御指導をいただいております。
 情報の公開につきましては、基本的に社員のプライバシーですとか、取引上の守秘義務を課せられている事項を除きましては、可能な限り公開する、聞かれたことに対しては全部公開するという方針を取っております。
 したがいまして、総会議事録、理事会議事録、常任役員会議事録、これらもすべてホームページ、Jフォーラムの特定のページにこれをアップしまして、できるだけ広く公開することにいたしております。
 そのほか、社員の資格要件等については特別の条件はございません。
 費用として把握できない無償の役務、あるいは会費の水準の設定の考え方、会費の水準の設定の考え方は、広く私どもの考え方を知っていただくということが目的でございますので、会誌の費用、広報誌の作成費用、及びそれの送料等にかかる分だけお納めをいただいております。年間費は4,000円でございます。会員の数は5,000名ぐらいで構成されております。
 ごく簡単ではございますが、これで報告を終わります。

○ ありがとうございました。今の○○委員の御説明に対して、御質問がありましたらどうぞ。

○ 今のお話を伺っていて、いろんなことに興味があったのですけれども、一番私として関心を持ったのは、これは営利法人としてやろうと思えばできなくはないかもしれないけれども、なぜ公益法人という形を取っているのかということで、私の理解が少し間違っているかもしれませんけれども、やはり営利を追求することを目的にすると、例えば、リスクの等から採算が取れないようなものは対象にしないかもしれないと。そういう意味で、落ちこぼれるものがある。しかし、それを全体として安全性を図るためには、採算性のとれない事業も一緒にやらなければいけないと。そういうときに、公益法人的団体が必要なのだということでしょうか。

○ 実は、私どもも設立の当初、公益法人にすべきか、株式会社にすべきか、という議論があったのだそうでございます。当時、茅誠司、武見太郎という、両会長、副会長が、社会の安全ということが一番大事なのだから、それを最も大事にしなければいけない。そのためにどうすればいいかという観点から考えるようにということで、社団法人になったと聞いております。

○ 他方で、これは後で○○委員の方から御説明いただくのかもしれませんけれども、株式会社という形をとっても、そこの構成員が利益を追求することを目的としてないような構成員であれば、公益法人と同じようなことができるのだと思いますけれども、お金を集めるために、利益を追求すると言いますか、見返りを求める人たちに出資をしてもらって株式会社をつくるとなると、やはり効率性と言いますか、利益を上げることが目的ですから、採算の取れないものは恐らく事業の対象にできないということになると思うのです。

○ それは、○○委員の方は非常にうまく動いている場合で、うまく動いている場合には、何の問題もなくて、恐らく私どもも株式会社でできるかもしれません。しかし、どこの会社にでも、あなたは利益を追求せずに、社会に貢献することを第一の目標に掲げなさいというように、制度上強制できるものなのかどうか、それがやはり問題だろう思います。
 私どもは、社団法人という性格を保ったまま、そういうものの一種の枠の中できちっとした活動をしていきたいと考えております。

○ 少し繰り返しになりますけれども、ですから構成員がそういう意識を持っていればいいわけですけれども、制度としては恐らくそういうことまで強制できなくて、効率的でないけれども社会的のためになるような事業をしたいという場合に、公益法人というものの役割というのが恐らくあるのだろうと思うのです。その点が非常に興味持ちました。
 例えば、病院などでも株式会社でやったらどうだということ、あるいは実際の試みもあるようですけれども、恐らくそういうときに治療行為の中で採算の取れないようなものは、切り捨てられていく可能性が非常に高いわけですね。しかし、採算のとれない治療もするために、公益法人にはやはり意味がある。
 そういうことを感じたのが一点でございます。 それから、これは今日の最初の○○委員の御報告とも関係する点でございますけれども、今日はある意味で典型的な公益法人というのを扱っていると思うので、その公益性については余り問題がない。事業の内容もそうだし、それから組織的にも非常にしっかりしたものなので、余り問題がないと思いますけれども、この場でもってこれから公益というものを考えていく際に、かえって限界的な例というのが問題になるだろうと思うのです。ですから、事業の内容の点でも少しどうかというようなものと、それから組織的することができればにも従来とは少し違ったタイプでどうかという、両方の面から問題になると思いますけれども、そういうものも今後ここで検討した方がいいのではないかという気がいたします。
 済みません。あと5分ぐらいで退席しなければならないものですから、もう少し続けてもよろしいでしょうか。

○ どうぞ。

○ では、事業内容でどういうところが限界的なのか、私も十分な事例を持ち合わせているわけではございませんので、事務局の方で適当なものを探してきて、この場でもし議論することできれば一番いいと思います。
 それから、組織的に従来と違った団体としては、たまたま私は最近ワーカーズコレクティブという運動をしている方のシンポジウムに参加していろいろ聞いてきたのですけれども、その団体の組織というのは、もしかしたら非営利法人の制度の方に関連する問題かもしれませんけれども、公益的な活動もしたいのだという主張でもあるようですので、そうすると、この親会議に関連することになります。もしこっちに関係するとなると、組織の点で公益活動を担うにふさわしい組織なのか否かが問題となり、今までの公益活動の担い手としての公益社団法人や公益財団法人とは異なるタイプの組織ですので、限界的な事例として検討する必要があるのではないかと思うわけです。要するに、従来の典型的な公益法人のタイプではないので、そういうものについても公益性の認定を認めていいのかどうかを議論することになるのではないかと思います。そこで、こうした組織面での、少し今までと違うタイプについても、ここでもし議論ができるとよろしいのではないかという気がいたします。
 全体的にこの公益性というものを見ていく際に、一方で行政改革ということがあって、あるいは公益法人の純化とか言われて、公益法人は減らした方がいいのではないかという議論もあるかもしれませんけれども、これと必ずしも矛盾することなくもっと大きな視点から、公益活動をする担い手というものについて、多様なものをむしろ増やすのが、今の社会に必要だという意見もあるだろうし、私はこの方が適当だと思うのですが、そういう観点から、今言った限界的なものについて御議論いただければと思います。
 ○○委員の関係されている公益法人の活動に関連して発言するにとどめようと思ったのですけれども、中途退席しなければなりませんので、もっと後で申し上げようと思ったことですが、今話をさせていただきました。よろしく御検討いただければと思います。

○ ○○委員、御退席になりますので、ただいまの質問と同時に、ひとつの考え方のサジェスチョンをいただいたことにお礼を申し上げます。
 ○○委員、どうぞ。

○ 率直にお伺いしますけれども、普通この話を聞くとアイソトープという特殊なものだから、一手販売でやっているということは、社会的に合理性があるというふうに、原子力関係は似たようなことがたくさんあるのです、実は。これだけではないけれども。それで説明できると思うけれども、普通ほかの品物だったら、官の延長線上で、このままのうのうと存在すること自体が不思議でしようがない。普通このようなことはあり得ないことです。しかも内部留保だっていろいろ説明してあるけれども、これ結構な金額ですよ。
 ただ、それでもなおかつジャーナリストがあまり公益ということをほじくらないのは、品目の特殊性一点にあると思います。その説明で可能なのかもしれない。だから、このような戦後長い歴史の中で、こういうものが残っているわけだから、これだけの売上があって、だけど今のままだと、よほど内部でしっかりした理事会その他やらないと、天下りがいるかどうか知らないけれども、必ずどこかで問題を起こす可能性があると組織だと直観的に思ったのです。今すぐ何かあるとは思いませんよ。また、世の中がこういうものに対して鋭角的な疑問を持つときには、必ず対象になっていいような組織のひとつの話で、私の見方は少し歪んでいるかもしれないけれども、とにかく、ものを一手販売する、この世の中で、特性があるとは言いながらやっていて、ちゃんと組織がうまく動いているのですよ。それはそれでみんな納得しているからいいのだけれども、いつまでも続く話ではないと。極めて特殊な話です。
 だから、ガバナンスをよほどうまく説明しておかないと、何かのときにはえらい話になのではないかという印象なのです。間違っていたら反論してもらいたいのです。

○ ○○委員、もしあれば。

○ 今、一手販売、言葉を変えれば独占的な販売という意味だろうと思っておりますが、私どもは決して独り占めにしようという考えはなくて、すべての分野で新しく参入する方をむしろ主導的に、参入するならこういうようにすればいいのですよというのを広くノウハウも含めて公表しているのが実態でございます。
 例えば、廃棄物の問題でも、民間が加わって、私どもも勿論民間なのですが、公益法人ではないところが加わってやっていただけるというのであれば、それはそれでもありがたいくらいだというつもりで、現在仕事をいたしております。
 しかし、確かに、今、少しおっしゃられたのですが、技術的な水準ですとか、施設ですとか、私どもも第一種の放射線取扱主任者というのが、今年で大学卒ぐらいの人が受けて15%ぐらいの難しい試験なのですけれども、140人の職員のうち50名がこの資格を取得しているという状況でございます。やはり相当の専門知識を持っている人が、相当時間訓練を受けてやらないといけないという事実はございますけれども、しかし決して排斥していると、なるべく入らないようにしているという事業のやり方ではございません。
 それから、内部留保も今日は少し時間がなくて余り説明しきれなかったのですが、実際の額は廃棄物という負債の山を一方で背負っているという事実のある引当金でございますから、40年間の廃棄物をずっとためていて、何万本というドラム缶で持っているわけです。1本処理するのに、単に埋めて処理するだけで、今、41万2,000円かかると言われているわけです。こういうものを何万本も持っている中での積立額でございますから、これは実際上先ほどの計算でお示ししたとおり、実際に内部留保の額としてはマイナスの状況でございます。ここに参入しようという気持ちの方がいらっしゃったら、是非御協力をお願いしたいというように思っているくらいでございます。

○ 確かに廃棄物は、同じような悩みを抱えている組織があるのです。核燃料サイクル機構なんて、膨大な、どうにもならないものを抱えて、そのまま放置してあるわけです。これは実際上負債ですね。見合う金を持ってないわけです。政府の関係機関だけれども、似たようなことがあるから、過大な内部留保という説は引っ込めてもいいのだけれども、これから本当にいつ何が起こったって、きちっと説明できるような情報開示が継続して行われることを強く希望したいと。野次馬としては。

○ 実際そういうつもりで運営してらっしゃるという御説明だと思います。

○ 聞かれたことはすべてお答えし、出す資料はあるものを全部お出しすると、理事会の内容も全部オープンにすると。なかなか事務局としてはしづらいこともあるのですが、しかしそれが大事なことだというように考えております。

○ ほかにございますか。よろしいですか。それでは、ありがとうございました。今、御連絡がありまして、宇賀委員が今日は御欠席になるということでございます。
 次は○○委員から経団連の御説明お願いします。

○ 私も経団連のこういうことについて説明するのは初めてなので、こういうことでいいのかどうかというのは、少しよく分からないのですが、資料に沿いまして説明させていただきますと、最初に公益事業ということで、どういうことをやっているかというのは、定款上の目的に記載がございます。ここで3行目に書いてありますように、「内外の諸問題について経済界の公正な意見をとりまとめ、その実現に努力し、もって国民経済の自立と健全なる発展を促進することを目的」とし、事業を行っております。
 次のところで、2003年度事業計画から見て、経済界の公正な意見をまとめるというのは、どういう分野についてまとめるかというのが、この@の「政策検討推進活動」というものでございまして、経済・法制関係とか、行革・産業・国土関係とか、技術・環境・エネルギー関係とか、こういうものは主として経済産業政策と言いますか、企業活動の環境整備というような分野だろうと思いますが、大体いろいろな国の経済産業政策の分野ともほぼ一致しているところなのかもしれません。
 それから、1ページの下で社会関係ということで、政策本位の政党政治の実現ということで、政治も社会関係の中に入れておりますが、また社会の共感と信頼性の向上というのは、企業行動憲章の遵守などでして、さらに社会貢献活動、教育、防災、こういうような分野も最近増えてきております。
 2ページ目のところにまいりまして、労働関係、これは主として2年前に旧日経連と合併して、旧日経連の方から来ているものでございまして、雇用対策、人事・賃金管理等々があるわけでございます。
 次が国際関係でして、民間経済外交と言いますか、民間経済界ベースの各国との話し合いというのも、政府の外交として必要なのではないかということですすめております。
 こうした政策検討推進活動というのは、経済制度、あるいは社会の制度についての提言ということで、受益者は国民全体ということになるということで、公益活動だと思っております。個別企業の利益に直結するものはないと言いますか、全部の企業に共通して利益になるというものはありますが、一企業だけの利益になるというものではありません。
 A広報活動、B図書資料収集活動、C地方連絡活動、D出版・研修事業、これらはそういう本来の政策検討推進活動に付随する活動であって、指導監督基準におきましても、そういう活動も公益活動として認められておるというものでございます。
 収支及び会計上の区分につきましては、これは今、申し上げました事業ごとに会計区分をしてきておりまして、一般会計の中で分けてやっております。
 そういう意味では、公益事業が全事業に占める割合は100%なのですが、ここに書かれていないものとして、経団連会館の運営というものがございます。この予算規模が年間10億程度で、一般会計の方が50億ぐらいでございます。そういう意味では、50対10ということにもなりますが、あと詳しく計算してみないと分かりませんが、その10の経団連会館の運営の方も、半分以上は経団連の政策検討推進活動を行うに当たっての会合費でございますので、そういう意味ではその10億というものの半分以上は、一般会計から来ているということでございます。
 後で御説明申し上げますが、法人税法上の33業種に該当する事業は別途ございます。
 こういうわけで、公益事業である理由というのは、企業活動を巡るいろいろな環境整備を行っているということでして、企業が活力を持って活動するための環境整備を行っております。その下で企業は実際に競争して、利益を出して、経済に貢献するということで、営利企業の行う経済貢献と、団体が行う経済貢献は、そういう意味では違うわけです。
 (3)のAのところで、民間経済外交というのは、先ほど申し上げましたようなことで、やはり政府のいろいろな活動と連携して、あるいは役割分担して、一定の役割があるのではないかと思っております。
 3ページのところでは、先ほど御説明申し上げましたように、Bのところでいろいろと経済の分野ではない、社会のために直接貢献する活動、提言活動等も最近増えてきているということを指摘しております。
 Cのところでは、企業行動憲章とか地球環境憲章、これは企業の指導ということを通じて、国民のためになる活動であるというように言えるのではないかと思っております。
 対価の水準ということで、確かに研修会等で対価をいただくことはございますが、これは、研修会等で少し経費のかかるときは実費の一部を頂戴しておかないと、やはり会計全体に影響が出てはいけないという趣旨でいただいているものでございまして、要するに先ほどの政策提言活動の報告というようなケースが多いわけで、営利法人と競合するということはありませんし、実際の数字がどれぐらいかというと、たいしたことなくて、一応ちょっと集計しましたら年間で9件ぐらいあって、2,923万円の経費のところを、いただいたのが2,499万で、これが420万の赤字になっていると。もともと赤字でいいのだけれども、そのうちの一部をいただこう、赤字を少なくしようという趣旨で、経費に特に人件費は入れておりません。
 (5)の営利法人による事業との差異ということでございますが、@は先ほど申し上げたようなことで、団体と営利法人の経済的な貢献というのは違うということでございます。
 Aのところでは、経団連の方は団体として企業からの会費で賄っているのだけれども、営利法人がそういうことをやろうと思っても直接の収入源はないし、一企業の利益になりませんので、実施するインセンティブもないということでございます。
 (6)は寄附金でございますが、寄附金は受け入れてございませんし、すべて会費という形の収入項目で賄っております。会費の性格を企業の方がどう受け取っているかというのは、またいろいろございますが、経団連の行う公益活動に賛同するということで金を出すのだということで、それは寄附だということはよく言われております。実際に企業の利益にならないではないか、これは寄附金と同じようなものだというふうによく言われるものでございます。
 あと寄附に絡んで、Aのところで少し書いてありますのは、これはダイレクトに寄附を行うわけではないのですが、社会貢献寄附の斡旋はやっております。2003年度は19億円、一番多いときで年間100億円以上ございましたが、万博なども含まれております。
 収益事業でございますが、税法上の収益事業というのはございます。このうち、出版事業はそういう政策推進活動の成果について、一般の理解を得るために行っております。
 それから、次のページに数字が出ておりますが、それがどのぐらいの決算になっているかですが、不動産貸付の収入が167万ほどございますが、これは中に一部関連団体が入っておりまして、そういうところにただで事務所のスペースを提供してはいけないというように、公認会計士から言われて取っておるものでございまして、これで家賃を得ようという目的でやっているものではございません。
 会館事業会計というのは、経団連会館の運営でございまして、これは赤字です。かなり稼働率は高いのですが、いろいろ減価償却費等入れると黒字にはなりません。
 そういうわけで、収益事業による収益をどうしているのかということについては、赤字であり、公益事業への充当は現実として行われていないということでございます。
 内部留保でございますが、これは、指導監督基準上、計算するとマイナスになっておりますが、実際にどういうことになっているかというと、これが必要なのは会計年度が4月から翌年の3月なのですが、総会で予算を承認いただくのが5月末になっておりますので、2か月分の運営資金はどうしても必要だということで、毎年2億円前後の繰越金を計上している次第でございます。できれば、1年分ぐらいが望ましいということですが、1年分を繰り越すというわけにはなかなかいきませんということでございます。
 指導監督基準では、内部留保には含まれませんけれども、ここで書いてあるようなOA化拡充積立資産とか、事務所の移転に備えての積立というのがございまして、そういう積立資産、そういうことに備えた資産の積み立てというのは行っております。数年度積み立てて支出していこうというものでございます。
 内部留保に税金をかけるということになると、どういうことになるかということでございますが、@で書いてありますのは、収支差額は4、5月の運転資金ということでございますので、課税された場合にはなかなか事業継続が難しくなるということも考えられますということです。
 それから、Aで書いてありますのは、積立金などに課税されますと、何年間か積んでその事業をやろうというようものは、その実施に影響を受けるということです。
 いずれにいたしましても、一般的には原則課税ということになりますと、活動規模が縮小するか、あるいはこれはたまらないということで、公益事業以外のいわゆる営利事業をどんどんやっていくということで、公益活動自体を縮小させていくのか、そういうことになりかねないと思っております。
 それから、ガバナンスでございますが、総会は年1回、理事会は毎月それぞれ開催し、さらに理事の中から常任理事というコアの執行部の方々を選んで常任理事会をやっておりますが、それが年5回でございます。
 会長・副会長会議を毎月やりまして、基本方針を立て、基本方針が決まりましたらこの毎月の理事会に諮っております。
 会長・副会長会議とか理事会が執行部の会議でございますが、5ページのところで、評議員会というのが執行部のチェックという言い方がいいかどうか分かりませんが、執行部に意見を言うという機関でございまして、これは大きな会議で数百人のメンバーがおりますが、年1回の大会議と、それから具体的な問題について意見を述べる懇談会というのが年2回、それから大体10人前後でございますが、議長・副議長の方々がおりまして、そこで率直な意見交換を行う会が年4回あります。監事会は年1回です。
 財政につきましては、財務委員会というのを、会員の代表の方々で構成しておりまして、これは予算・決算の承認を受ける前に開催しています。
 顧問・推薦会議というのは、大体OB会と思っていただければよろしいと思います。会長、副会長等を経験されたOBの方々の意見を聞くということでございます。
 情報公開等は、いろいろホームページ等を通じて、ここで挙げているようなデータを出しております。
 会計監査は、先ほどの御報告にもありましたが、経団連の場合にも毎月厳しいチェックを受けておりまして、監査費用として結構な金額を払っているということでございます。
 こういうガバナンスに関わる管理コストというのは、どういうように見るのかということでございますが、理事会等の開催費用も含めますと、年間数億円要しておりまして、これはかなりの負担だと言えば負担だという言い方もできますが、ただ経団連の中でのいろいろなコミュニケーションをとる場ということでもございますので、これは必要なものだというように認識いたしております。
 社員の資格要件は、団体会員というのは、業種別の全国全体と、地方別経済団体ということでございまして、企業会員というのは、これは経済事業を営む法人はすべて対象になります。それから、入会に際しては、会長・副会長会議、理事会でのチェックがございます。
 推薦会員というのは、これは経済界の中の学識経験者ということでございます。
 その他、費用として把握できない無償の役務・財の提供についてでありますが、すべて会長・副会長等の執行部は無給でございますし、政策提言を行うのでいろいろな委員会を作ってやっておりますが、これも委員として参加される方すべて無給であります。そういうものを入れるとどのぐらいになるか分かりませんが、かなりの無償の役務・財の提供はあるというように考えられます。
 会費水準の設定の仕方という点では、純資産額をベースに総会で決められた、オープンになっている基準がございまして、その中で、相対交渉で決まってくるというものでございます。
 事業の運営に関する現状は以上でございます。

○ ありがとうございました。御質問、御意見ありがとうございましたらどうぞ。 ○○委員、どうぞ。

○ 私も経団連との付き合いは長いけど、このような話聞いたこと初めてなのですね。ひとつ印象にあるのは、これ会費でやっているのですね。大企業だからそんな金困るわけでも何でもないし、経理は彼らがきちんとやっているから、その点は疑問を持ったこと一度もないのですが、ただ今度公益法人全体の改革問題というのが出ているでしょう。○○委員この中に加わっているのだけれども、経団連も考えてみればそういう政府の団体だとすれば、今、一般的に言われている公益法人論議というのに対して、経団連の事務方の幹部としては、どういう目で見ているのかなと思って、自分のところはきちんとやっているわけだ、だれもそこに税金をかけるとは言ってないわけだ。ただ、全般の話として公益法人の一人として、その議論の枠の中に対象として形の上では一応なっている。しかし、実質は関係ない。この会議の進行ぶりをどういう印象を持って見ていますか。

○ 会議の進行ぶりと言われてもなかなか答えにくいですが、やはり経済、あるいは社会に貢献するために、勿論、個別の法人もあるし、団体も存在するとすれば、経済ということについてこの会議においてはやや視点が少ない感じがします。もともと社会の一部に経済があるという言い方が正しいのかもしれませんが、ある学者の方は、明治以降になって、経済が社会から飛び出て、経済と社会は違うものだということになったと言われておりますが、経済の発展に団体としてどう貢献するかと言えば、それは全体的な基盤整備を働きかけ、推進を図っていくということで、こうした活動が公益でないとなると、何をもって経済関係の公益というのかということになってしまうと考えます。
 あとは、透明性の向上とか、ガバナンスとか、そういうことで判断していくのだろうと思うのですが、これもガバナンスが強化されればされるだけいいのかというと、先ほどの話にもございましたが、そのための費用というか、これはかなりかかりますので、そこのところが問題になってくるのではないかと考えます。
 いずれにしても、○○委員御専門の税については、これを原則課税ということになると、まさに営利法人と同じ扱いということになりますので、いろんな諸団体の活動というのは、非常に停滞していくことは間違いないだろうと思います。先ほど申し上げましたように、仮に原則課税ということになりますと、公益活動はやはり慎んで、収入を確保しようと思えば、税金の扱いはみんな慣れてないわけですけれども、営利活動を当然やっていかなければいかぬということで、いろんな法人は大変なことになるのではないかというように思っております。

○ 今の○○委員の質問は、そうではなくて、今やっているような非営利法人の改革というのを、経済団体としてどう見ているでしょうかという御質問だったと思うのですがね。違いますか。

○ 俺のところには関係ないけれども、まあ参加してやるかということかな。

○ いやいや、そういうことではございませんが。ですから、業界団体につきましても、経団連の事業目的と、それほど変わらないのだろうと思うのです。もって国民経済の発展に貢献するということで、そういう活動が何回か申し上げましたように増えております。環境問題とか、消費者保護だとか、そういう活動が多く行われており、そのために業界で話し合って進める活動を共益だとすると、共益と公益の区分もちょっとつかないし、ですから最終的に公益につながるのであれば公益法人として見ていただきたいし、あるいはこれはどう見ても共益だという活動が、仮にあったとして、それについては全体の活動の中でのバランスというのを見ていただくということでしかないのかなということで考えております。

○ それでは、ほかの御質問ありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、大変御苦労様でございました。また、質問がありましたら、次回以降戻るかもしれませんけれども、そのときはよろしくお願いいたします。大変ありがとうございました。
 最後になりましたが、○○委員から、財団法人日本国際交流センターについての御報告をお願いしたいと思います。

○ 私ども財団法人日本国際交流センターは、1970年に任意団体として設立いたし、1973年外務省所管の財団法人となっております。これまでの3つの団体と比べまして、私どもはもう規模も、それからいろいろな意味で桁違いに小さい民間の団体でして、ある意味では私どものようなところの現状が、このほかの2万数千の公益法人と近い状況にあるのではないかと思います。ここで発表するのが恥かしいくらいに財政的にも脆弱で、いろいろな課題を抱えておりますので、この公益法人改革の動きというものが、大きな影響を持ってくるというように考えております。
 私どもの事業というのは、一応国際交流ということでございますけれども、政策研究を通じての国際的な政策対話と国際会議のようなものを開催して、相互理解と協力を推進するということで、幾つかの国際的な政策研究事業を行っております。
 私どもの団体が、そもそもこうして30数年生き延びてこられたというのも、アメリカの財団の助成金でずっと支えられてきたからだということが言えます。そういう意味で、民間の非営利活動に対して支援する、そういったようなお金というものがもっと豊かにならないと非常に厳しいものだということで、70年の最初のころから民間のフィランソロピー活動を推進していきたい。今で言えばNPOの活動とか、それからシビル・ソサエティーの活動を推進していくために、民間に資金をもっと潤沢に流していくためにはどうしたらいいかという糸口を見つけるために海外の財団の関係者を日本にお呼びしたり、日本の関係者の人を海外にお連れして、いろいろとお互いに勉強し合ったり、協力し合うという活動を続けてまいりました。このような活動を称してシビル・ネット事業と申しておりますけれども、シビル・ソサエティーの活動の発展のために資するような事業をしたいということで進めております。
 それと、そもそもの私どもの団体の始まりが、議会交流を中心に始まりました。議員同士が民間の自由な立場で、いろいろな政策対話をすることが必要だということで、日本とアメリカの国会議員の議会交流というものを、1970年以前から始めておりましたので、政治・議会交流というのも、ひとつの柱にたて、グローバル・シンクネットと称する知的交流ネットワークを通じて実施している国際政策共同研究とか、あるいはシビル・ソサエティー発展のための活動を議会関係者の政策の中に反映させるための努力ということも行っております。
 ガバナンスの部分で言いますと、私どもは今、理事7名、評議員17名、監事1名、常勤スタッフは14名、非常勤スタッフは8名という規模で事業を展開しております。今日は私どもの事業報告をお持ちしなかったのですが、この人数に比べて皆様びっくりするぐらい多くの事業をやっておりまして、スタッフそれぞれが非常にオーバーワークを承知でやってくれているという状況です。
 公益事業の内容、収支及び会計上の区分とかでございますけれども、公益事業収入が1億2,800万円ぐらい。それから、収益事業収入が8,400万円ぐらいということで、収入が2億1,300万円余り、これに対しまして、公益事業支出が7,200万円、収益事業支出が2億1,800万円というよう会計の区分をしております。これは、私ども納得してこういうような会計区分をしているのではなくて、税務署の指導による区分です。私どもの事業というのは、いわゆる33業種にぴたりと当てはまるものがないわけです。国際交流事業をやっている中で、幾つか政府関係の委託事業というのがございます。そうすると、これは請負収入であるから、その部分は収益事業だという考え方になっておりまして、事業の中身が公益であるかどうかというのは全く関係ないと。収入の中身でもって区分してくださいというふうに言われますと、その総収入のうちの8,400万円程度が委託事業収入ということで、収益事業に計上しております。
 これに対しまして、事業支出の方でございますけれども、これはものによりましては委託事業の場合は何の事業に対しての委託ということがある程度明確になってくるわけですけれども、それで全部済んでいるというわけではないような事業もございますし、この委託収入とか寄附とか会費収入で賄っているものもあれば、全部ある意味では公益収入の中身で賄っているものもあるのですけれども、税務署としてはこの事業はどの分かというような細かいことまで見ることもできないので、事業支出は一括して収益事業支出というふうにするようにというような指導がございまして、このような形になっています。
 この中で、公益事業支出となっているのは、管理費の部分を按分いたしまして、この公益事業収入と収益事業収入の割合に準じて管理費を、それと同じパーセントで分けると7,200万円が公益事業支出として認めるというような考え方なわけです。
 これが本当の公益事業、収益事業の区分なのだろうかということを、数十年ずっと疑問に思いつつも、なかなか税務署との合意がないままに、これでずっと通っているというのが、現在の実態です。
 私どもは、そういう意味で全部会費、あるいは寄附金、助成金、それから委託収入で事業を賄っておりますので、対価を求める形での事業というのは行っておりません。寄附金に関しましては、一般の全く使途を特定しない寄附金と、事業を特定する寄附がございまして、それは一応区分した上で会計上は処理いたしております。
 私ども常日ごろ考えております問題点というもののひとつに、本来公益事業とは何なのかというです。いわゆる所管の省庁と、税を扱う行政とで、全く見解が異なる中でやるわけです。その結果、決算報告で、公益事業の方が少なくて、収益事業の支出の方が多いという形になると、これは本当に公益法人なのでしょうかみたいな質問も起きてくるというようなことがあります。
 特にこの公益事業は何なのかということに関しては、税務当局は全く判断をされないというか、基準を持っていらっしゃらない、そういうようなこともありますので、中間報告の中でも出ておりました、税の効果だけを見て税務当局がということが実際に起こるとなると、もう大変な状況に陥るのではないかと危惧いたしております。
 もうひとつ、この収益事業かどうかというようなことの中で、指導監督基準によりますと、この公益法人における収益事業とは、付随的に収益を目的として行う事業を言うというように明文化されているわけなのですけれども、お金の観点からだけを見て、収益事業というものの見方というのが中身というものを見ない形でいっているので、この指導監督基準というのも、実際問題はその言葉どおりにはとれない形になっているのではないかと思います。
 内部留保でございますけれども、私ども資産、これは2003年度ではなくて2002年度の決算の報告でございますけれども、資産の合計が5億5,000万円程度と、基本財産が4億1,000万円というものでございますが、実際問題これだけの基本財産の果実で事業を運営するということは、もう全く不可能になっておりますので、毎年毎年どこからかお金をかき集めると。そのかき集めるのが足りない部分が、負債相当額、これには未収、未払いで、未払いの方が未収よりも少なくなっているということですとか、いろいろ借入金もございます。こういうようなものを引きますと、実際問題内部留保というものを持つことすらできない、8,100万円のマイナスというのが現状となっております。
 いろいろな方とお話して感ずるのですが、身近な小さな公益法人というのは、どこもこういう状況が続いているのではないかと思います。事業の継続的な実施のための留保が、必要な資金の水準とか、その考え方でございますけれども、私ども会費というのは非常に少ないのです。1,000万円もない、全部で4億円近くの事業の中で1,000万円弱程度の会費しかないので、多くが財団の助成金とか、委託事業とか、別の収入が必要なわけなのですけれども、特に委託費の場合は、精算による支払いというものが多くなっておりますので、キャッシュフローの問題を構造的に抱えております。お金が入ってくるのは、年度後半に集中するわけなのです。そうすると、キャッシュフローが非常に厳しい状況になり、そういう意味でつなぎの借入金みたいなこともしなければいけないというような状況になっております。理想的に言えば、どんなに少なく見積もっても3か月分ぐらいの固定費と、それから事業が実施できるくらいの内部留保がないと、きちっとした仕事をするのは難しいのではないかというように思っております。
 そういうことと、○○委員からも、○○委員からもお話がありましたけれども、どの水準、あるいはどのような基準が内部留保として適当かというのは、その団体の活動内容によって本当に違ってくると思うのです。そこをきちっと見ないで一定の方式だけで、この内部留保が適当かというのは、全く不適当な基準ではないかと思っております。
 あと税制上の取り扱いでございますけれども、私どもの収入を見ますと、現在非課税となっている収入が総収入の約75%を占めております。こういう収入が原則課税というふうになれば、こういう活動というものは実際問題できなくなるなというのが実感です。
 更にそこの中で、寄附金というのが75%の中の21%が寄附金になっております。私どもは88年から特定公益増進法人になっておりまして、実は基本財産の4億円というのも、経団連の御協力をいただきまして、そのときにやっと集めたお金です。今、寄附の特定公益増進法人の資格があっても、企業の経営の状況が悪いということもあって寄附をしてくださる企業は少ないわけなのです。その中で、私どもは比較的企業から何だかんだと言って寄附をいただいている方に入るのかもしれませんけれども、いずれにしても寄附金控除の制度がないと、まず企業の論理としては、寄附はもうできませんと門前払いにするのが一般的な話であって、寄附というものの文化をもっと日本の中で育てていかないと、これは個人寄附にしても、企業寄附にしてもそうなのですけれども、豊かな民間非営利の活動というものは育っていかないと思うのです。そういたしますと、現在は厳しくても、この寄附金控除の制度があるということは、非常に重要なことで、これが縮小されたり、あるいはもっと厳しくなるというようなことは、閣議決定による民間の活力を生かすという趣旨と全く反対の方向になるのではないかと考えております。
 次にガバナンスでございますけれども、ほかの団体と同じような形でございまして、理事の選任というのは評議員会が行っておりまして、評議員の選任は理事会が行うということになっております。評議員会の唯一の、非常に大きな権限というのは理事を選任するということであり、そのほかはある意味では諮問的な活動をお願いしているというようになっております。
 これからの民間非営利活動というのは、ガバナンスの問題というのが非常に大きく問われるようになることは間違いないと思います。私どもの理事会、評議員会は比較的小所帯でございますので、皆様よく御出席いただいており、自由な御意見をいただく機会は多いのですけれども、一般的にこういう評議員会、理事会というのは、名目的なところも多いということになっております。これからはガバナンスの観点から役員の役割というものをどのように考えていくかというのは、重要な問題ではないかと思っております。
 情報公開に関しましては、私どももホームページ上で事業報告とか、収支計算書とか、こういう決算報告の一連のもの、寄附行為、役員名簿等は公開いたしております。
 それ以上の細かい資料についての御質問等があれば、それに対して対応するという形をとっております。
 具体的なトラブルの事例というものは、今まで私どもにはございません。私どもの評議員に外国人が3名おります。その御就任いただきますときに、やはり日本と違いまして、いわゆる株主代表訴訟とか、そういうものと同じような状況が、これから団体にも起こるのではないかと、そうなったときに訴訟が起きて、それが金銭なりそういったようなトラブルに巻き込まれたときの保険というものを、この団体はかけているのかと、そういうような質問を受けたことがございます。今、日本の中にそういう商品もございませんし、そういう可能性も今のところないだろうからということで、やってないということで、そこを承知で今、3人の方に御就任いただいておりますけれども、今後はそういうことも視野に入れていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
 管理コストも、評議員会、理事会開催経費だけということであれば年2回の開催ですので、10万円から10数万円ぐらいの程度で、全体的に大きな比重を占めるものではありません。基本財産取り崩しの必要性の有無という点に関し、これまでも何回か質問させていただいたことにもつながりますが、社団形式と財団形式しかないのかという疑問を持っています。これからの非営利法人はもっと違う形態が大いにいろいろあり得るはずで、財産も全くない、社団形式も採らない団体というのも、幾らでもありうると思いますし、それからこういう財団法人でも、時限でもって、例えば10億円のうち毎年1億円ずつ切り崩していって、10年後にはそのミッションを終了するというところも出てくるでしょうし、今のような金利が非常に低い状況の中で、しかも民間のこういう活動に資金がこないときに、どうして生き延びていったらいいかといったときに、少しでも財産があればある程度の限度の枠の中で、そういうものを切り崩すこともできるような必要性が出てくるだろうと思うのです。
 現在では、所管の大臣の認可を得てというような文言はあるのですけれども、現実的にはそれはなかなか難しいというふうになっているのではないかと思います。そういう意味での制度的なフレキシビリティーというものを一定のルールの中で持つことを考えなければいけないのではないかと思っております。
 そのほか、費用として把握できないものというのも、これはもう非常に小さい額のものでございますけれども、私どもの方ではインターンを受け入れています。具体的には日産のフェローを受け入れております。そのインターンの学生には日産からお金が払われて、私どもとしての直接的経費負担はありません。アメリカの大学生などの大学のインターン・プログラムも同様です。スペースとか指導するスタッフの人件費はかかりますが、直接的金銭の負担の無いインターンというのを不定期に受け入れております。その他の財の提供というのは、特に今のところ受けていないという状況です。
 以上です。

○ ありがとうございました。今のお話の中で、基本財産を期間限定でミッションの終了とともに、その基本財産も消滅するというような新しい考え方で、大変興味深く伺いました。御質問はありますでしょうか。
 細かいことですが、このその他の財の提供は受けてないというのは、これはどういう意味ですか。というのは、寄附金は受けておられますね。

○ そうですね。寄附金は受けておりますが、スペースとか、いろいろ違う物品供与的な意味での財と私はとったのですが。

○ なるほど、そのほかの無償供与はないということですね。

○ そういうことです。

○ ほかにございますか。○○委員、どうぞ。

○ せっかく機会なので、○○委員の方の財団法人の成り立ちというのは、私も非常によく理解できます。私どもの法人についても、大分実質上の御指導を主務官庁の方からもいただくという形で苦労してまいりましたので、よろしければ私どもの方の説明もさせていただいて。

○ あとに時間を取ってありますから、今の○○委員に対する御質問を先にしてください。
 ○○委員、どうぞ。

○ 例えば、官庁からの委託研究のような場合には、収益事業に入る。調査対象が非常に公益的なものの場合にも入る。補助金ですと入らない。こういうことですかね。補助金なら、課税対象にならないという感じがしますが、少し調べてみたいと思います。

○ お願いします。

○ そういう、あえて補助金という形にしてもらうという形を選択しないで、委託研究という形を選択するのは、役所の方の方針としてそうなっているのでしょうか。それとも、○○委員の公益法人が補助金よりは委託研究の形をとった方が独立性を保てていいというか、プライドの問題と言いますか、そういうお考えでそうやっておられるのでしょうか。

○ まさに後者の方でございまして、私ども自主性、独立性というものが、民間の団体の一番重要なポイントだというように思っておりますので、補助金というものはいただかないというように決めております。
 いわゆる委託事業にいたしましても、政府の首脳会談の取り決めによりまして、その後発足する2国間の賢人会議というものが幾つかありますけれども、その事務局というものをいくつか委託されています。これはある意味では私どもの諸外国との理解を増進するという目的に合致したものであるという考えから、お受けはしておりますけれども、これは実際問題外務省の方の支出の根拠としましても、補助金という項目ではなくて、やはり委託業務という形でなければ難しいようです。この官庁からの委託費に関しましても、実態としてどういうお金が必要かということは余り考慮されず、現行の官庁の予算の枠の中で官の論理による費目と単価が決められていきます。そこの中でもやはり人件費というものは殆ど認めてはいただけないのですね。やっと管理費が10%ぐらいみるというものもありますが。ものを動かすには人件費が出ないとできないし、うちがやりたいからお金をくださいというのではなくて、そちらがやってくれというならそれぐらい出してくださいと交渉しているわけですけれども、それでも非常に不十分な委託費の中で事業を実施しているというのが実態です。それでも私どもは補助金という形である程度丸抱えしてもらえるか、その半分なのか分からないのですけれども、そういう形というのではなくて、あくまでこちらの自主性が保たれる形でのお金の受け取り方をしているということです。

○ どうもありがとうございました。以上でございます。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 少し印象だけ。○○委員の話を聞いていて、今、我々がここで会議を重ねていますね。途中の経過報告も発表したし、いろんなリアクションがあるのだけれども、全般的に見ていて不思議でしようがないのが、今度の改革で、課税が強化されると、財務省はそう思っていると、そんなけちなことは、財務省は考えないのです。このような小さいところから金を取ろうなんて考えてないわけだから、今よりも頭を整理されるかもしれないけれども、課税強化なんていうことは出るわけがないですよ。何か○○委員がやっている全体は、課税強化に結び付くようなことになるかもしれないと朝日新聞が書くのですね。ふざけんなって言うんだ、いいかげんな有権者の煽動をするなと、そんなことなるわけないのですよ、ただ筋道が通ってないところがあったら通すということは必要ですよ。
 全体として、財務省の下請け機関みたいに、やたらと課税が強化されるだとか、解釈が狭まるだとかということを言うのがいるので、そんなことこの世の中でできるわけないではないか、ばかばかしい、そういう議論がまかり通っているから○○委員も心配されて、いろんなことをおっしゃったところもあると思うけれども、どうも財務省というのはよほどできが悪い役所で、いつも疑心暗鬼で、お前のところは金を取りに来るのだろうと言われていると思うのですね。そんなことは知れているからと。

○ 私の短絡的な解釈かもしれないのだけれども、補助金として受け入れれば課税されないけれども、契約を実施的な団体として活動するために、わざわざ契約の形にするから課税されるということなのですが。

○ 委託事業に関しての税務署の理解はそういうことだと思います。ですから。

○ 税務署以上にさかのぼるということはないのですか。

○ そこまではさかのぼらないですね。補助金とか、財団の助成金は非課税の扱いに、税務署の考え方はなるわけです。

○ それは当然ですね。

○ はい。ただ、今、○○委員がおっしゃった件で、やはり心配は本当に会費収入とか、寄附金収入とか、そういったようなものがこの新しい制度の中で課税されないで、そこは今の公益法人と同じように非課税の扱いになるのだろうかというようなことを考えたときに、そこはもう安心して大丈夫だというような状況はないのだと私は思います。

○ 基本的に、既得の権益みたいなものを、それをひっぱがすなんていうことを財務省ができますかと。財務省なんていうのは評判だけが命なのだから、そんなことはやりませんよ。

○ そこでもう一言、実際に何が起こっているかということを申し上げたいと思います。私どもは特定公益増進法人の更新を2年ごとにしておりますけれども、そのお金の見方、ものの見方が、年を追うごとにどんどん厳しくなっていくのですね。要するに、できるだけ非課税の部分を認めないようにしよう、認めないようにしようという動きがあるのを実際に経験していると、全体的に課税収入を上げようと、非課税部分というのを認めないようにしようという恣意が働いているということを実感せずにはいられないという状況になるのですが。

○ 出先の職員が一生懸命職務を忠実にやり過ぎているのですね。

○ そうですね。

○ 大きな方針を示せばいいのですよ、そう思いますよ。

○ そこで、そこがある程度明文化されて、下の係官のレベルで、裁量でもってどんどん変えられないようなところまで、この改革の中ではっきり明示していただくことが必要だと思いますし、ここでは決められることではなく、そういうことは税調の方でお決めいただけるのであれば、是非、○○委員には頑張っていただきたいと思います。

○ いや、○○委員だと私1人だから、たくさんの人が税調にはいるからね。だけど、今おっしゃったことは常識論でしょう。

○ それでは、○○委員に少し調べていただくことにいたしまして、○○委員の報告は、これで終わらせていただきます。

○ ひとつよろしいでしょうか。

○ どうぞ。

○ ○○委員のおっしゃったことは、私もそうだと思うのですが、財務省と国税庁は同じ感覚でしょうか、国税庁は、やはりきちんと税を徴収するということを使命としていますので、少し感覚が違うということはないでしょうか。財務省の感覚はきっと、今おっしゃったとおりだと思いますが、国税庁も同じ感覚なのかどうか。

○ もしばらばらだったら、政策当局の財務省の主税局の方針に末端が従えばいいのですよ、若干時間がかかるかもしれないけれども。それをやらなかったら税調などもちませんよ。どうせ数人の委員で決めるのだけれども、そう思いますけれども、あまり大きなことは言えないけれども。

○ ○○委員の税調とのつなぎ役の機能のところですので、よろしくお願いいたします。
 ところで、時間がほぼ尽きたわけですが、最後に○○委員の、株式会社まちづくり三鷹のパンフレットについて、あるいは簡単な1枚刷りがございますので、5分ほど御説明をいただいて終了させていただきます。

○ 今までは、非常に典型的な政府、もしくは大きい機関が、100年間の民法上でできた公益法人のお話をされていました。
 私が、今日お持ちしたのは、A3の1枚ものと赤い本なのですけれども、少しお話ししたいのは、地域が割りとこういうように、今、柔軟に動き始めているということを御紹介するとともに、先ほど○○委員の方からも、財団と、こういった社団形式な会員制度以外の新しい法人、非営利法人としての形態がないものだろうかという御提案がございましたが、私どもは、A3の方で見ていただくと分かりますように、最初、財団法人都市施設開発公社から始まり、まちづくり公社を経て、1998年、平成11年9月に株式会社化をしてきた会社です。
 私どもの会社の設立法は一般法、中心市街地活性化法という平成10年にできた法律ですが、これは割と各省相乗りで、よく言われている駅前がシャッター通りになっているものを、もう少し活性化しようではないかということで、特に経済産業省と国土交通省さんの方が割と主幹事になって作った法律になっています。
 現在、TMOという形で認定を受けているのは、全国で約300あります。半分が商工団体、いわゆる商工会議所及び商工会ですが、半分は、実は150にわたって株式会社が地域でまちづくり機関、タウン・マネージメント・オーガナイゼーションということで設立をし始めています。
 この法律には、特定株式会社を作っていいという法律になっております。認定は、2分の1以上の基礎自治体の出資であること。それと株主の2分の1以上が地域の中小企業者が出資者であるというこの2つをクリアーすると、いわゆる株式会社になれるのですね。 この株式会社のミッションは、先ほど申し上げたように、駅前の活性化を図るという形になりますので、営利法人として作っているのですが、ミッションは、ある意味で公益性のある公益事業をやりなさいという法律に基づいて作っていることになります。
 現在、私どもは、そういったミッションのほかに実質上のまちづくり公社時代のまちづくり支援事業と言われている、地域のまちづくり、小さい、いわゆるワークショップでありますので、地域の市民の方々が自主性を出していく団体などにも助成をするという形で、民法上の株式会社としての営利法人としての側面もございます。TMOとしての側面もございます。それと公社時代のまちづくり支援という3つを軸に実質上の事業をさせていただいております。
 なぜ、公社を解散して株式会社になったかというと、ひとつは、公社を作ってくる間に、まちづくり公社が、どちらからと言うとまちづくり系だったものですから、産業系なり情報系の新しい寄附行為を加えるときに、もう一個財団を作ったらどうかという御指導があって、いや、そんなことはできないと、5億円出しているだけでも厳しい世の中なのに、更に5億円出してもう一個の財団をつくれというのは難しいでしょうということになりますので、そういった意味での主務官庁の束縛からある意味で逃れて、地域にあった形で会社をつくりたい、そういったときに中心市街地活性化法がちょうどできたものですから、それで財団を移行するという形になりました。
 ここで株式会社に移行して非常によかったのは、小さい組織、ガバナンスが小さくなったということと、事業のスピードの効率性が非常に上がりました。ある意味で財団法人のときには、予算、管理という側面が多かったのですが、これからは資金戦略という形です。最初5億円だったものを設立時に1,500万、2,000万でつくりましたので、そういう意味では資本の回転を上げながら小さい予算で大きい事業をしていくというのに非常に適しているという形になります。
 この赤い方のページで申し上げますと、20ページを見ていただきたいのですが、私どもの会社の概念は、ここに書いてありますけれども、市民と行政の間をつなぐという役目を実質上やらせていただこうというふうに思っています。
 いろんな中で、行政は、これからは民間と共同して事業をしていく部分が多くなっています。例えば、教育でありますとか、福祉の部分などというのは、これからは非常に行政だけが関わる形から民間、そして市民が多く参加していくという形になりますので、そこの間をちょうどコーディネートしてプロデュースするというために、私どもの会社をつくりました。
 会社自体の概要は、60ページを見ていただきたいのですが、現在は5年経ちまして、資本金も約2億4千万になりました。社長は、最初は助役がやっていましたが、今は専任の者がしております。そのほかに、ガバナンスという意味では、ディスクロージャー含めてアドバイザリーボードを2つ持っています。
 ひとつは、株式会社なものですから、議会から離れると非常に危惧をされた方が多いものですから、助言者会議としての市議会の実質上の監査を受ける。それと産官学の事業連携もしておりますので、大学の機関を入れた形で民間企業、ほかの民間企業からの応援をいただくという意味で経営懇話会というものを持っています。
 現在、大半のところを三鷹市が持つ第三セクターになっておりますが、実質上、発起人を含めて、こういった民間企業の方々にも入っていただいているという状況にあります。
 実質上の私どもがまちづくり公社時代の公益法人の課題は、ここに挙げさせていただきました。
 まず、設立を含めた評価基準が非常に担当者レベルまで下がってまいります関係で曖昧であるということが非常に大きいです。
 もうひとつ、公益というものが時代に変化をしてまいりました形で、同じ公益法人の中にあっても、たくさんの変革をしていかなければいけない時代にあって、変革ができない。それと公共サービスそのものが、公共事業体も含めて非常に変化をしております。そういう意味での対応ができないということ。
 もうひとつは、阪神大震災以来、公益の担い手が非常に多様化しています。民法上で、公益法人約2万幾余が100年ですね。ところが、NPO法ができてから、実を言うと5年間で、やはり2万できているという形になりますと、ある意味で、今までの既存の公益法人の感覚にはない、これからは非営利法人なり公益法人がたくさん出てくる時代だというように思っています。
 現在、私どもは、地域において非常にたくさんの方々がNPOを設立したいという相談を受けております。
 それは、やはり地域の人々が自分たちのお金で、小さくても自分たちの意思決定ができる機関を作って、営利活動ではなく、非営利活動の事業をやりたいということです。これは、ある意味で、政府が阪神大震災のときもそうでしたけれども、ある意味で当てにならないという言い方は失礼ですけれども、限界があるということを地域が確認をした、もしくは認知をしたということだと思います。ですから、今までは官に任せていたものを自分たちができることは、自分たちのお金でやり始めようという、ある意味での市民参加の時代になったというように、私は感じています。
 ですから、今回の公益法人のところでは、今まで、今日お話があったような大きい公益法人の改革も絶対的に必要だと思います。プラス、これから生まれるであろう、小さい公益法人もしくは非営利団体を育成するという意味での視点がとても重要ではないかというふうに思っております。これからは、更にそちらの小さい方が増えてくるはずなのです。それをつくることによって、逆に言えば、税の無駄とか、公益性の効率化が上がったり、社会資本の効率性がもっと上がるのだろうというように思っています。
 これから提案としてお願いしたいのは、まず、公益性の担保を今までは、御存じのように入口で縛ってきました。これからは「議論の中間整理」の御提案にもありましたように、準則主義でいきましょうということですので、工程管理に行くだろうということになります。
 もうひとつは、私どもも株式会社でありながら公益事業もやっています。そう意味では、非常に曖昧な事業が多くなってくるだろうというように思っているのです。公益と民間事業の中間領域が増えてくる。ある意味でミッション、気持ちの上で、私たちは公益だと思った人たちが、自分たちのお金でやるならば公益事業でありますし、民間事業がやるとしたらそれは営利事業であろうと。どちらでもいいと思っている、どちらでも違う意思の中で、どちらもやっていけばいいというようには私は思っています。ですから、そのどちらもできるような仕組みにしていただきたいというように思います。
 ですから、私どもは5年やってきたのですが、実際に作ったときには、中心市街地活性化法のTMOとして作ったのですけれども、この有識者会議から申し上げれば、ある意味、出資型の非営利法人としての実質上5年間やってきたのではないかなというように思っています。
 ですから、今後は、財団と社団、社団の中に株式会社も入るというお話もありましたけれども、この出資型の新しい非営利法人という仕組みを、私は是非ここで、有識者会議として提案をいただきたいなというように思っています。身をもってこの5年間、実質上その機関として実績を積んでまいりました。十分にやれるというように思います。
 NPO法の最大の課題は、やはり基本財産がないということは、今のNPOの最大のネックになっています。お金を借りるとか、不動産を取得するとかいうときに、いわゆる改正だけでは、とても小さい予算しか回りませんので、実質上事業が担保できません。更に事業の継続性も担保できませんので、NPO法という、今の実際の事業運営の仕方プラス、出資、基本財産としての財産を確保できるという意味での出資型の非営利法人の提案を、私は自分の会社を例に取って、是非御提案をさせていただきたいというように思っています。
 ですから、今後の協議の中で具体的に私の方も提案をしてまいりますので、是非この場で御議論をいただければというように思います。
 どうも時間をありがとうございました。

○ 三鷹市は、すべてのことで先進地域ではあるのですが、しかし、その中でも非常に新しい形で、営利法人として株式会社の形態を取りながら公益的な活動をやっていらっしゃると、こういうことですね。

○ それともうひとつは、政府も結局、中心市街地活性化法を作ったときに、奇しくも御提案を実際されているのですよ。ある意味で、営利法人を作っていいですよ、ただしミッションは公益事業ですよというふうにとらえた形で常に法律を作っていらっしゃるわけです。私どもの制度上の基盤法律は、そうなっていますので、ですから、今回の公益法人の考え方の中に、常に政府は期せずして、実質上はもう既に御提案をされているのではないかという解釈は、私は成り立つのではないかというように思っています。

○ 分かりました。ありがとうございました。それと、もうひとつは出資型という、財産を持つという、これが御提案の重要な意味だと思います。
 それでは、御質問はありますか。
 どうぞ、○○委員。

○ 組織の仕組みについてお伺いしたいのですが、これは三鷹市が株主ですね、出資者ですね。

○ そうです。

○ 出てきた利益は、大半は三鷹市の金庫に入るということになるわけですね。

○ そうです、ひとつ重要なことを申し上げなかったのですが。

○ そうすると、これは市の活動の一環ですね、実質的には。そうすると、出資型の非営利法人も第三の類型として認めていいのではないかという場合に、純粋の民間の人たちが出資した同じようなものが考えられるのかどうか、それとも、出資の主体は公共団体に限られるのか、その辺はどうでしょうか。

○ たまたま私どもは、今、大半が三鷹市の出資になってしまってはいるのですけれども、これからもう少し民間の方々からの出資をいただくという可能性も追求していきたいということ。
 もうひとつ、配当を実は全然しておりません。内部留保を心がけておりまして、実質上、市の方にも一切配当していません。更に、再投資ですね、既にあるまちづくりへのミッションに向けた再投資にすべて回すという形で、実質上は株式会社ではありますけれども、株主配当は一切していないという現状になっています。
 だから、○○委員が言われたように、たまたま私たちの類型としては、自治体が大半の株主であるという形になりますけれども、これが必ずしも自治体だけでやったものが成功しているということではなくて、民間もやはり同じような思い、もしくはガバナンスをしっかりすることによって十分に出資型の非営利法人というのは可能性があるというように思っています。

○ 問題は、今度は、民間の出資者に対してどのように報いるかということですね、配当するか、しないかという。

○ その辺は、いろんな仕組み自体ですね、テクニック的にはいろいろあろうかと思いますので、ここでは是非そういう可能性の追求だけでも是非していただきたいというふうに思います。

○ 私は、株主構成を拝見していて、マジョリティーは三鷹市ですが、こういう種類の団体というか、営利組織がだんだん増えて実績が上がってくると、必ずしも市が半分ぐらい呼び水として出資するというくらいでできる可能性はあるのではないかという気はしてうかがっていたのですけれども。

○ そうですね、これは、会社法との関係で、例えば配当請求権がどうなるのかといった問題もあると思いますので、商法の人の意見も聞きながら議論を進めていただくといいのではないかと思います。

○ それでは、また事務局の方でお願いします。
 大変ありがとうございました。時間になりましたので、今日はいろいろと非常に参考になる御意見を皆さんからいただきまして、ありがとうございました。
 特に、御報告をいただいた4人の方々、プラスお1人の方にはお礼を申し上げたいと思います。
 事務局から、これからの日程、それから進め方等について御説明をいたします。

● 次回でございますが、来週水曜日、5月26日でございます。10時から12時半を予定してございます。会議室の方は、いつもの虎ノ門の方の会議室を予定してございまして、議題につきましては、公益性の考え方、判断要件のあり方ということで、目的・事業などについての各論を御議論いただければと思います。

○ よろしゅうございましょうか。それでは、本日の会議は閉会させていただきます。
 会議の内容については、従来と同様、これから記者会見をいたします。皆様にはお忙しいところありがとうございました。



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