○:委員
●:事務局

第10回 公益法人制度改革に関する有識者会議

−議事録−


平成16年4月28日(水)10:00〜12:30
場所:虎ノ門第10森ビル3階 会議室

○ 皆さんおはようございます。ただいまから、第10回の「公益法人制度改革に関する有意識者会議」を開会いたします。今日は、佐藤総理補佐官に御出席をいただきまして、途中で御退席になります。宇賀委員、加藤委員が御都合で欠席でございます。岩原委員は、遅れていらっしゃる予定でございます。それから、河野委員と田中清委員、中田委員が御都合によって途中で退席される予定でございます。
 今日の議題に先立ちまして、議論の中間整理、これまで9回にわたって皆様に御協力をいただいてとりまとめをいたしました。深くお礼を申し上げたいと思います。中間整理は、去る3月31日に事務局から公表いたしまして、現在ホームページで意見募集をしております。それから、中間整理については新聞等で具体的な論点が無いというような御指摘がありましたが、それはもう分かっていることなので、どんな論点があるかということを総ざらいするのが中間整理の目的でございましたので、いよいよ今日から具体的な論点を皆様とともに考えていくということになると思います。
 それから、その3月31日以来、今日まで随分時間が経ってしまったと思われるかもしれませんが、その間に政府税調の非営利法人課税ワーキング・グループ側と非公式に懇談をさせていただきました。その模様について、御報告をいたしたいと思います。
 先方からは中間整理をどのように受け止めているかについてのコメントがございました。非営利法人の制度の基本的枠組みを具体化した上で、税制上の措置に関わる専門的検討を進めるということになっていることを踏まえまして、税制面で具体的な検討を行うには次のような基本的な点について具体的な考え方、内容を示していただきたいという御要望がございました。
 例えば、公益性の判断基準については、具体的な事業内容によるのか、数値的な基準とするのかといった、公益性の具体的な判断基準のあり方でありますとか、あるいは残余財産の分配でありますとか、それから内部留保の取扱いをどうするかということ。
 2番目に公益性の判断主体については、公益性の判断を行うに相応しい組織のあり方、あるいは判断基準との関連で、その執行可能性。
 3番目に公益性のある活動に対する優遇措置の具体的な内容をどうイメージしていくか。4番目に適正運営を確保するための指導監督や情報公開のあり方というようなことでありまして、実は私どもの論点整理で挙げたようなイメージについては、大体水野先生の方のお考えになっていることと同じだというような印象を、私個人としては受けたわけであります。
 この後、事務局から当面の審議事項、それからスケジュールについて説明をしてもらうわけでございますが、先方がいろいろ御要望なさった点を踏まえつつ議論を具体的に深めたいと思っておりますし、それからその途中では、実態と申しますか、皆様の関わりになっている、あるいは、ここにいらっしゃる皆様以外の公益法人、あるいは公益法人的な活動をしている団体の方々のヒアリングを含めて、できるだけ議論を深めていただきたいと考えています。
 そこで、今日予定しております議事、配布資料について事務局から御説明をいたします。

● 議事次第と配布資料につきまして、御紹介申し上げます。
 本日の議事でございますが、「公益性の考え方・判断要件のあり方」についての御議論を賜りたいと思っております。第1回目ということで、公益性の考え方、総論的な部分でございますが、これを中心に御議論いただければと思っております。
 配布資料でございますが、資料1につきましては「当面の審議予定」、中間整理公表後の運営といたしましての当面の審議予定でございます。
 資料2と3が本日の討議資料でございまして、資料2が「説明資料」、資料3が「参照資料」、資料4につきましては「次回の日程について」。
 それから、参考資料の1、2、3とございますが、法人制度の比較表、指導監督基準、それからNPO法の運用方針について。これは、かつてお配りしたものと同じものでございますが、本日の参考資料として改めて配らせていただいております。
 ほかに、中間整理の本文、それから最後の資料といたしまして、法人関係の4人の委員の方々に御協力いただきまして、御自身の法人の定款・寄付行為における目的・事業の抜粋部分につきまして配らせていただいております。
 以上でございます。

○ 今、申し上げましたように、今のような順番で今日の議事に入りたいと思うわけでございますが、まず最初に資料1の当面の審議予定について御覧いただきたいと思います。有識者会議としては、当面7月ごろまで中間整理において多数意見であった考え方Aを中心に公益性を取り扱う仕組みのあり方について、より具体的な検討を行ってはどうかというように考えておりまして、その点について事務局から説明をいたします。

● それでは、資料1を御覧いただきたいと存じます。「当面の審議予定」とございまして、本日の会議からいわゆる夏休みの前までの会議予定を記してございます。本日につきましては、「公益性の考え方・判断要件あり方」の第1回目。
 それから、次回5月17日1時半からでございますが、「法人ヒアリング」とございます。法人関係の4人の委員の方からそれぞれの法人の実情、実態等につきまして、レポートしていただけたらと考えているところでございます。
 その次は5月下旬26日の午前中を考えてございますが、「公益性の考え方・判断要件のあり方」の第2回目の御議論、それからもしできれば「ガバナンス・情報開示のあり方」ということで考えてございます。
 6月上旬につきまして「ガバナンス・情報開示のあり方」についての御議論。
 6月下旬には「判断主体のあり方」「事後チェックのあり方」ということで考えてございます。
 「第15回〜(7月上旬〜)」については、「考え方Aを中心にした仕組みのあり方」とございます。中間整理の過程の御議論の中でも考え方A、つまり民法など税法以外で公益性に相応しい規律を有する法人といった、その受け皿をつくる仕組みを民法などで考えるというのが考え方Aですが、この案を推す声が多かったものですから、今回仕組み全体を考えるに当たっては、この考え方のAというものを中心とした仕組みのあり方を全般的に御議論いただければと思っております。更に「15回〜」となってございますが、これ1回に限らず議論の状況によりまして追加的に1回、2回と全体的な討議を行うことがあり得るということで、このように記しているものでございます。
 以上でございます。

○ 先ほど申し上げましたように、今後の検討に当たっては、これまで以上に法人の実態を踏まえて議論していくということでございます。そこで、4人の委員の方々に出ていただくわけですが、お引き受けいただきましてありがたいと思っております。お忙しい中をまとめていただく御負担があると思いますが、よろしくお願いします。
 それから、これ以外、先ほど申し上げましたように事務局において、幾つかの法人に対して個別にヒアリングを行って、その結果皆様に報告をして当会議の審議に反映させるようにしたいと思っております。既に対象法人の選定ですとか、協力要請を幾つかの団体にお願いをしてございます。しかしながら、もし委員の皆様から是非この法人だけは見てくれというような御希望がございましたら、事務局の方に御連絡をいただければと思っております。それでは、今の審議予定について御質問、あるいは御意見がございますでしょうか。いかがでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。

○ 法人のヒアリングに関する質問なのですけれども、ヒアリングに行かれると。法人を選定してらっしゃるとおっしゃっているのですが、2万6,000ある公益法人の中からどういう選定基準で、幾つ選んでいるのかという根拠を教えていただきたいのですが。

○ では、お願いします。

● まず、ここに御出席いただいている法人御出身の方々とも相談させていただきながら、社団、財団の中でできるだけバラエティーに富んだ法人から広く聞きたいと思っております。その選定のための明確な基準というものを今時点で立てているわけではございませんけれども、まず、その手始めと言いましょうか、例えば公益法人協会といったところにまずは御相談しまして、できるだけその規模の大小も含め、あるいは財団であれば、助成型、事業型、社団法人でも事業型とか、できるだけいろいろな類型から聞きたいという中で、個別の法人をヒアリング対象として模索しているという状況でございます。それから、いわゆる業界団体と言われるようなところも、できましたら経団連さんの方からも御協力をいただきながら、法人を御推薦いただけるようなところがあれば、そこからまずは聞いていきたいと思っております。
 今、手始めと申し上げましたけれども、数は10、20というオーダーで増えてきたところで、また全体のバランスを見ながら、規模の大小、法人の大小なども考えながら、できるだけバランスよくヒアリング法人を選定していきたいというように、今時点は思っているところでございます。

○ 何かアドバイスありますか。

○ 以前に申し上げたことがあるのですが、公益法人調査というものを統計を使って調査をしたことがあるのですけれども、それによると大規模な法人、私たちは大規模法人と呼んでいたのですが、そこが303ぐらいありまして、そこが支出額というのが公益法人全体の62%を占めていて、かつそちらがいわゆる埠頭とか公社のような、いわゆる行政補完型と言われている団体がどうも巨大法人の実態ではないかという結果が出ています。
 そういう意味で、それ以外のいわゆる小規模な団体というのは、ほとんどが民間イニシアティブ型と言われているものです。いわゆる民間イニシアティブ型と行政補完型というものをはっきりと識別はできないかもしれませんけれども、行政補完型をシンボリックに表わしているような団体について、何らかの形で抽出をして、調べていただきたいと思います。そうでないとやはりこの会議の動向を見ている世論が、納得しないのではないかというような気がいたします。

○ ありがとうございます。行政補完型について少し説明していただいた方がいいのではないですか。いかがでしょう。

● ○○委員の言われる行政補完型というのは、事務の委託を受けたり、補助金を受けたりという法人のことを言われていると思います。政府としては、まず実施計画というのを一昨年策定しまして、その様な法人については個別に議論をし、措置事項を決定いたしました。その上で、この改革は、公益法人制度全体の改革でございますので、その中で○○委員言われるような行政補完型の部分が大変大きな部分を占めているということであれば、全体の改革の中でそういった法人も全体の中の1つとして聞く必要があろうかと思いますので、先生の方から御示唆をいただきながら、法人の選定なども考えさせていただきたいと思っております。

○ ただ、今のところ特に科学的な、例えばサンプリングをやるとか、そういう論理的なサンプリング手法ではないということですね。とりあえず、どういう実態があるかということを調べた上で、次の調査方法を考えるということになるのでしょうね。
 ○○委員、どうですか。

○ 単なる質問なのですが、大規模法人というのは大体支出額で言うとどのぐらいの規模以上のものを指しているのですか。

○ それは、○○委員。

○ 済みません。きちんとしたデータを今度持ってきますが、年間支出額で言うと、100億円以上を占めるものを巨大法人とたしか識別したと思います。これは、きちんとした数字を今度持ってまいります。

○ たしか100億です。では、事務局と○○委員と少しそのサンプリングの、今の進め方はこれでよろしいですね。今、当面それで進めていって、その後どうするかということについても、あらかじめ相談しておいた方がいいのではないかと思います。では、ほかにいかがでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。

○ この資料1の「当面の審議予定」の全体的な進め方の件で、質問及びお願いです。最初から非営利法人の中の公益性のある法人についての考え方をまとめようということで、これが7月までの全体的なスケジュールだと思いますけれども、今、公益法人あるいはNPOの人たちが非常に心配しておりますのは、ここの前の段階、新しい非営利法人制度の非営利法人が一体どうなるのかということであって、その基盤になる部分についての議論が十分に行われていないと思います。多くの人たちが心配しているのは、現行の中間法人がそのまま、いわゆる一般的な非営利法人のような形に流れていくのではないかと。それから、ワーキング・グループでも、財団型、社団型という2つの類型が非営利法人の中で考えられるというようなところで今とどまっているわけですけれども、非営利法人の新しい制度というのが果たして本当にそれだけなのかという議論を私としてはもう少し詰めて行う機会をどこかで設けていただきたいと思います。

○ いかがでしょうか。

● ワーキング・グループの議論の状況との兼ね合いもございますので、ただし御指摘の趣旨はよくわかりましたので、私どもの日程も、これからいろいろそういったワーキング・グループから御報告とか、中間的な御報告とか、それから今、申し上げた実態調査についての途中段階での御報告とか、そういうものも適宜やらせていただきたいと思っておりまして、日程についても、少し弾力的に考えながらやっていきたいというように思っておりますので、なお御指摘のことについて検討させていただきます。

○ どうぞ。

○ 同意見で、是非実態というものも踏まえながら、非営利法人制度というものはどういうものなのか、もう一度詰めた議論をしていただく場を設けていただきたいと思うのと、あと今のヒアリングの件なのですけど、要するに、2万6,000あるうち、今のご説明は大規模とかそうではないものということで、そういう形で仕分けをきちんとバランスをとって行っていくということでございましたが、2万6,000の中でガバナンス等も含めて、よくやっている層だけをとるのか、そういう法人を選定して、そこをベースに議論をしていくのか。こう言ったら悪いですけれども、少し問題があるなとか、そういうところも含めてやっていくのか。いずれにしても、よくやっているところを中心にやるならやるでよろしいのですが、そういう層をとって行ったということであれば、それははっきりさせた方がいいんじゃないかというように思います。

○ どうぞ。

● 先ほど、座長からもちょっとお話がありましたけれども、ここは科学的、統計的なサンプリングでやっているものではございません。この後いろいろ御説明申し上げますけれども、先ほど業界の方にもお願いしているということでございましたけれども、要するに、この後の議論で、例えば公益と共益をどう考えるとか、いわゆる収益事業、それから公益事業、こういったもののとらまえ方をどう考えるか。そういった議論を、これからやっていくことになるわけですけれども、それに当たって、例えばかなり収益事業比率の高い法人とか、そこら辺についての実態、それから内部留保レベルの問題、非常に高いような法人というのは実態的には、そういった留保がなければいけない根拠というのは、どういうところにあるのだろうかとか、そういったこれからの議論をやっていくに当たって、実態面からも捉えたいということで、選び方も御推薦をいただくのと同時に、我々としてもそういう問題意識の下で、いろいろヒアリングをしていきたいという趣旨でございます。

○ よろしいでしょうか。例えば、問題がある法人というのは一体何かという、これもまた非常に選定困難なのです。そうかと言って、ランダム・サンプリングをして、そういうのがどういうように出てくるかという問題もありますし、まずはですから、どちらかというと、きちんとやってらっしゃるところが幾つか対象になって、そうじゃないところがまた後ほどいろいろ議論の対象になってくるのではないかと思います。

○ よくやっているところだけを中心に、これが大体サンプルだという場合と、それから小さくて、公認会計士も入れられないようなところが中心の場合といったように、ガバナンスのあり方を考えるにしても、やはりサンプルの取り方によって違ってくるのではないかということですね。

○ その辺は、議論の段階でよく皆さんで意見を交換したり、あるいは認識をしたりしていく必要があると思います。

● 十分配慮してやっていきたいと思います。

○ というわけで、いろいろ御意見をいただきましたが、そろそろ説明資料について検討を行っていく必要があると思います。時間が限られておりますから、と言いましても、12時半までいただいておりますので、まだ2時間ございますけれども、会議の冒頭に事務局から説明ございましたように、まずは「1.公益性の考え方・判断要件のあり方(総論)」です。それと「2.公益性の考え方」について御議論をいただきたいというわけであります。まず、事務局から「1.公益性の考え方・判断要件のあり方(総論)」について説明をいたします。

● それでは、お手元の「説明資料」それから「参照資料」、それぞれ資料の2と3と右肩にございますが、これに基づきまして御説明申し上げます。説明資料の方は、3ページ、それから参照資料の方は3〜4ページでございます。
 まず「1.公益性の考え方・判断要件のあり方(総論)」ということで、この夏前までには何をやっていくかという議論の際の前提の御確認と、これまでの御議論の簡単な整理でございます。
 まず、括弧の中は中間整理の考え方に基づき、公益性の考え方、あるいは具体的な判断要件について、以下のような点に留意しつつ検討を進める必要があるのではないかという点について御議論賜りたいと思います。
 若干、付加的に御説明を申し上げますと、考え方Aについてですが、留意点でございます。中間整理におきましては、考え方Aを中心に検討を進めてはどうかという意見が多うございました。なお、同時に御議論いただきましたこととして、考え方Bという、主に税制上の観点から公益性を見ていくという考え方もございましたが、これについては課税当局による公益性の判断が困難ではないかという御意見がありました。
 なお、民間機関が公益性の判断を行うという点につきましても、御議論賜りましたけれども、これにつきましては、公益性に着目して何らかの特別な扱いを国が行うという場合に、そうした判断を民間機関にゆだねてしまうことは必ずしも適当ではないのではないかといった御意見を賜りました。
 したがいまして、当面考え方Aに基づいて、その仕組みのあり方を検討するということを出発点とすることでよろしいかどうかでございます。
 それから、次の点といたしまして、中間整理では今の主務官庁制による、言わば各行政分野を所管する立場からの公益の捉え捉え方を離れるという方向性を述べておりますけれども、そうした場合にどういう考え方で公益性を判断するのかという問題提起でございます。それに対する中間整理の段階での差し当たりの整理として、その下の2つのポツを書いてございます。
 1つ目が、今、申しました主務官庁による自由裁量に基づきます許可主義や指導監督を見直して、一方でできるだけ裁量の少ない客観、明確な公益性の判断要件を策定すると。同時に、法人の適切な運営が確保されますように、自主性に配慮しながらしっかりした規律をつくっていくという方向でよろしいかどうか。
 その際、考え方Aにつきましては、中間整理の際にいただきました御意見として、公益性に相応しいしっかりした規律や組織のあり方、これをきちんと規定をして、その受け皿の仕組みを用意することによって、公益活動を行うものとして社会的に認知される、あるいは、公益活動が促進されると。そうした意義があるという点の御確認でございます。なお、その下の更に2つのポツは、より根本的な問題といたしまして、公益法人を取り扱う仕組みの理念が何であるのか。例えば、国が公益が何であるかについて判断することに否定的な立場から、公益性をむしろ広く解釈するという方向になるとも考えられましょうし、あるいは小松先生にお話いただきました利他、他を利するというのを厳しく考えますと、狭く解釈するというような方向も出ようかと思います。どちらの方向でいくのか。同時に、公益性の幅、あるいは範囲につきましては、公益性を扱う仕組みの効果、税などの効果についてどこまで考えるのかという点も念頭に置く必要があろうかと思います。
 その次のページの、もう一つ付加的に御説明をさせていただいているのは、これも御確認でございますけれども、公益性を見る場合に法人全体に着目するのか、事業ごとに見るのかという話がございましたけれども、考え方Aに基づいて御議論を賜る場合には基本的には法人全体に着目することがよろしいのではないかと、その点の御確認でございます。
 その理由として、@とAというものを述べてございます。これ参照資料の4ページ目の方に星野先生に御指摘いただいたことを載せておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 以上の点を踏まえまして、今後検討を進めていくということでよろしいかどうかについて、御確認賜ればと思います。最初の総論につきましては、以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ 説明は短いのですけれども、中身はたくさんございます。それで、ただいまの事務局に御説明いただきました、公益性の考え方と判断要件のあり方、この総論の部分について、これは随分今まで折に触れ議論が出てきたことを最終的にこのようにまとめてあるわけですが、更にこの点について確認をしたいということであります。いかがでしょうか。
 この点について、御異論がございますでしょうか。

○ 異論ではないのですが、質問させていただいてよろしいでしょうか。

○ 異論ではなくても、不足の点でも。異論があったら是非異論のことをお願いしたいのですけれども、それは結構ですけれども、どうぞ。

○ 異論はないのです。

○ どうぞ。

○ 考え方Aが中心になるということが、今日の議題の中でもしっかりと今後の予定の中で記され、同時に総論のところでAが中心になるということが明示の形で示されています。しかし、3月までの論点整理の中ではA案、B案が併記という形で載せられていましたし、これは会議の中でかなり物議を醸し出した中心論点だったと思いますし、のみならず新聞等々や世論が、B案に対していろんな疑問や批判を投じていたという経緯があります。
 でも、それにもかかわらず3月の時点ではA案、B案を併記していたわけですから、ここで、B案をひっこめ突然A案で進めます理由は、委員の意見が多かったからですという説明の仕方だけでは、腑に落ちない点があるのです。何でBを却下したのかということについてもう少し詳述をしていただけないかと思うのですが。

● 考え方Bと申しますのは、基本的に公益性の取扱いを税務当局にゆだねるという考え方でございまして、これはここで書いてございますように、それについての問題点というのがありますが、基本的にはこの取扱いの判断は税務当局がやるということになります。そうしますと、考え方Bについては、当面は私どもの方での議論にはなってこない。こちらの方では、いわゆる法人法制、法人の制度を議論するという立場でございますので、基本的に考え方Aの議論を進めていくというのが基本的な私どもの役割だろうと。
 要するに、考え方Bについて、ここで却下したというよりも、我々の方としては考え方Aを中心に議論を進めていくということが一つのこれからの役割と、そういう意味合いが一つございます。
 他方、考え方Bについても、これについては公益性の判断そのものを税務当局にゆだねるというのは、適当ではないのではないかという意見が多かったということを事実として書いておるということでございます。意味合いとしては、そういうことでございます。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 論点整理では確かにそういうように並列して書かれておりましたけれども、この会議の全体の意見は、このA案でほぼ固まっていたと見てよろしいのではないでしょうか。ですから、論点整理では念のために書かれたと解釈しておりました。

○ 今の事務局の御説明のよれば、課税、非課税に関しては今はここで議論しないと。それについて、税務当局が決めることなのでそこは切り離してAで考えましょうと。ただ、課税の問題について議論するときには、これは私どもの意向とは別に税調の方で決めるかもしれないということですか。

● 要するに、中間整理のところでは、こういう意見があったということで、それで考え方Aと考え方Bについてと、もう一つは民間機関でやる場合があったのですけれども、基本的に私どもの認識は、この会議としては考え方Aを中心にやるべきだという御意見が多かったと思うのです。ただし、考え方Bついても選択肢としてはあり得るのですが、それについての意見はこの会議では少なかったと思いますし、それから基本的に現段階での審議の進め方としては、考え方Aが、当面の有識者会議としてのミッションであろうというように考えておるのですけれども。

○ 税制については触れないことになっていますので、ここでは法制、組織立て、仕組みについてしっかりしたものをつくって税調の方に、こういう仕組みでやれば公益法人改革ができるのですから、こういうようにしましょうと言うべきだと思うのです。
 ですから、実際に税調の方でどういう取扱いをするかは、ここでは一応関知しない形にして、我々としてはこういう制度をつくってほしいのだということを訴えていきたいと思う。その制度というのが、この考え方Aであって、判断基準をつくって、それから判断機関をつくって、こういう体制でやればできますよというしっかりしたものにわれわれの意見を集約できればいいなと思います。

○ 今の○○委員がおっしゃったように、この審議会で一つの説得力のあるイメージがつくれれば、それを税調の方にお渡しするということだと思います。
 どうぞ、○○委員。

○ 1つは、なぜBに対してのサポートが少なかったかということをもう少し明確にしておく必要があるかと思います。これは経験談からですけれども、公益性の判断というのを官庁の方がなさるのは、組織的に、あるいは仕組み的に非常に難しい問題があると思っております。2、3年に1回ずつポジションが代わって、全く新しい方がいらっしゃる。そうするとこういう公益的な活動に対する考え方、知識、それから情報の蓄積というものが、その官庁においても、実際財務省の中にもないわけです。そのとき何回も触れられていることですが明確な基準がないということと、恣意的な判断になっている。しかもその判断の基準というのが、私がこの十数年間ずっと経験してきたことの中でもはっきり言えることですけれども、枝葉の、それも本当に先端のことだけを見て、全く木を見て森を見ないどころの話ではない考え方で、いろいろなものが判断されているということです。しかし、こうした制度や仕組みを変えろというのはそう簡単な話ではないと思います。
 したがって、やはりこういうものを専門的に扱う機関というものが、どこかにあるべきであって、これは課税庁、あるいは主務官庁ではないということ、これは私の個人的な意見です。
 それから、もう一つは、この公益性の判断を民間機関にゆだねてしまうことは必ずしも適当でないと。この言い方に関しても、若干問題があるのかなと思っております。民間機関でも、純然たる民間機関が全く国の関与なしに勝手にするということは、やはりそれに対しての権威とか、信頼性というものがないと思いますけれども、これが何らかの形で、国とのきちっとした権威を与えられてやることができれば、それも選択肢の1つである。それが第三者機関ということと全く別のことなのか、そこをもう少し詰めて考える必要もあるかと思っております。

○ ありがとうございます。○○委員、どうぞ。

○ 私も○○委員の意見に賛成です。Bの方を先送りして議論をしなかったということではなくて、両方を俎上に乗せた上でこの会議の総意、大多数ですかね、総意というわけにはいかないかもしれませんが、大多数の委員の皆さんが基本的にはAを選択をして、この会議として考え方Aに基づいてこれから議論を進めるというのを、逆に座長さんの方を受けて、今、諮っていただいた上でここでもう委員が揃っておりますので、この上でAでいきましょうというのを、ここから決めたら今日よろしいのではないかというように思いますが。

○ どうぞ。

● 先ほどの○○委員の関係で、一言だけ付け加えさせていただきます。結局、考え方Bが残っているのは、効果との関係があります。要するに、税以外にきちんとした効果がない場合には考え方Bしか残らないということになります。考え方Aで議論していただく、あるいはした方がいいとおっしゃるのは、要するに税以外の効果として、きちんとした効果を見極めて、そして制度としてきちんとしたものをつくっていくことが望ましいという考え方になります。それが、きちんとこの会議でできれば考え方Bというのは、恐らく結果的には落ちていくのだろうと考えられます。すなわち、考え方Aをこちらで議論していただくことによって、それがきちんとした制度として、効果を含めて構築できれば考え方Bというのは落ちていくのだろうと。
 その効果として税以外のものがきちっとできるかについて、どうしてもうまくいかないという場合には、結果として、Bが残るということもあり得るのですが、ただし、いずれにしてもこちらの会議としてはAを中心にしてまず議論していくべきだというのが総意ではなかったかという、そういう趣旨でございます。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 今の事務局の御説明でちょっと私は腑に落ちないのは、税の効果だけであったとしても、その判断をするのが課税庁しかあり得ないという点で、それは必ずしも言えないと思います。そこの点は、もう少し詰めて考える必要があるかと思います。

● それは、議論としてあり得るかと思います。

○ ○○委員、○○委員の御意見がないのですが、今日、実は○○委員は、お出になれないという知らせが今ございましたので、学者から代表されるのはお二人しかいらっしゃらないので。

○ 私もA案に基づいて、今後の議論を進めていくのがいいのではないかと思います。最初は、どちらがいいのだろうかというように大分迷っていた期間が長かったのですけれども、最終的にはやはりこれは法人制度の問題で、そして基本法典である民法の中で、あるいはその付属法典の中で、少なくとも基本的な事項については規定すべきであろうというように思います。
 それから、逆の面から言いますと、もし税務官庁でやるとすると国税庁ということになるでしょうが、国税庁は現業機関で果たしてそういう判断をできるだろうかという問題もあるように思いまして、両方の面から考えてやはりA案でいくのが妥当ではないかというように考えております。

○ ありがとうございました。では、○○委員に。

○ 私もA案で結構かと思います。もともと議論の中間整理でも、先ほど○○委員がおっしゃいましたように、論理的にはBもあり得るということで、それで広くこの会議として国民一般の意見も参考にしつつというような前書きがあるとおり、一応出してみたけれども、B案が非常にいいという意見も結局は出なかったと思いますので、その点からもA案でいいと思うのです。
 ただ、しかし、それはスタートがあって、なぜAがいいのかということを事務局にお聞きするのではなくて、むしろ我々がそれを考えていって、なぜAがいいのか、税以外にどういう効果があるのかということを積極的に明確にしていくというのが、むしろ我々の任務ではないかというように思っております。

○ ありがとうございました。
 ここまできますと、今、○○委員からの御意見があったのですが、なぜ民間を落としたかということが一つあるわけです。実際問題として、国税の方々にこの問題をお願いしてしまうということは、事実上難しいと思うのです。これは難しいと言ってしまうとおかしいのですが、その判断要件が果たしてどんな基準でなさるのか。それが、年とともに変わってきてしまうのかというようなことがあり得ますので、これについてはもう少し復元的かつ半永久的な判断基準というのがあった方がいいのではないかということがあります。
 それから、もう一つは、民間であるかどうかということなのですが、A案であって、民間的な性格を持たせるということが十分あり得るのです。少なくとも国の1つの大きなシステムであって、これをエージェンシーでもない民間そのものの機関が完全中立な民間機関というのが、果たしてあるかどうか分からないのですけど、それをつくるとして一体その費用をだれがサポートするのかということも含めると、実際には民間ではやり得ないのではないかという気がするのです。やる、民間で決めることができない性質のものではないか。そうしますと、A案でありながら、つまりここでは、1番の問題点というのは主務官庁の裁量性で、それで人が代わるごとに前の指導は間違っていたみたいなことで、年中指導監督基準がありながらやっていることが問われるというような状況になってきているのを何とかしようと、一元化しようと言っているわけですから、そうすると、A案でもってできるだけ民間の力といいますか、知恵を入れるやり方をとるべきではないかというように私は考えるのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

○ このテーマで、これだけ時間を30分以上費やしているのだから、随分丁寧な審議会だと思います。私どもはもう最初から言っているみたいに、今の国税庁の役人に認定させれば、限定的にもう厳しくやることは決まっているのだから、もう少し緩やかな枠はないかと我々は考えているわけで、そんなのAの方が圧倒的にいいです。実際上の現実の問題としては。それは、今の役人にお前ゆるふんでやれなんて言ったって、国税庁にそんなことできる役人いますか、いませんよそんなものは。それならもうこれしかないのですよ、現実的な選択肢は。

○ 随分、慎重だねというようにおっしゃいましたけれども、今のような議論を書くことは、これはどうかと思いますので、それをいかにきちんと理論立てるかということにこれまで時間を費やしたということです。
 どうぞ。

○ ここの有識者会議の課題は、公益法人制度の改革でごさいますので、税制に投げてしまうというわけにはいかないと思います。

○ ありがとうございます。それでは、大体この辺で1の論点は皆さんの御意見ございましたので、これをいかに修文するかと言いますか、論理的に書いていくかということが残るというように思っております。
 それから、○○委員の意見の民間案というのも、そのA案でありながら、民間の力をどういうように入れられるか。これについては、今、モデルがないわけではないと私は考えています。申し上げていいのかしら。金融庁にできたばかりの監査法人の審査会がございます。これが、かなり民間メンバーを取り入れ、かなりというより民間メンバーの方がむしろ多いような形でできた審査会であって、どういう命令系統にあるのか、あるいはどういう独立性があるのかということは、つまびらかにまだしませんけれども、そういう一部隊ができているということを考えると、そういう可能性というのは十分あると思いますし、前から論議されているように八条会議、三条会議という選択肢もあるわけですし、その辺は次の段階で技術的な問題になってくると思います。それで、よろしいでしょうか。それでは、○○委員御指摘のように随分丁寧にやってしまいましたが、それでは2番目に移ります。2番目について、公益性の考え方について検討するわけですが、四角囲みの主な論点ごとに区切って、議論をさせていただきたいと思います。事務局から説明いただきます。

● それでは、説明資料の5ページ、参照資料では5〜10ページでございます。「2.公益性の考え方」ということで、まず最初は公益性を有する非営利法人をどう捉えていくかという点でございます。枠囲みの中は、こうした法人を目的・事業・規律の面からどのように捉えるかということでございますが、御議論いただきたい点は、その下にあります留意点の最初の○と、2つ目の○でございます。ここで、2つの考え方をこれまでの御議論も踏まえて提示をさせていただいております。
 何のための公益性の議論かといったことも念頭に置いていただきながら、どちらを基本として考えるかという点について御議論賜ればと思います。
 最初の○につきましては、公益性を判断するための要件に事業を列挙するというようなことではなくて、むしろ一般的な表現で規定していくことがいいのではないのかという考え方でございます。
 それに対しまして、2つ目の○でごさいますけれども、判断要件を客観、明確、かつ裁量の余地をできるだけ少なくするということであれば、むしろ一般的、抽象的な目的の規定だけではなくて、事業についてもきちんと列挙していくべきではないかと、そういう考え方もございます。どちらの方が、適当かという点でございます。
 この点につきまして、下の(注)がございますが、参照資料で申しますと、5ページ目の最初のところに第4回の有識者会議の際に、星野先生の方から御指摘いただいた点がございます。何かと申しますと、こうした法人の目的や事業・規律についての規定の置き方は、立法技術の問題であると。また、別言葉で申しますと、法人の定義、あるいは目的をどのように規定するかは、書き方の問題であるという御指摘でございます。ただ、いずれにしても、重要なことは目的というようなお話をいただいております。
 なお、3番目の留意点の○につきましては、目的・事業・規律といった場合の規律の面もございますけれども、この点につきましては、後日改めましてガバナンス・情報開示のあり方といった、こうした公益性に相応しい組織規律のあり方の全体を御議論いただいた上で、要件を考えていただくという段取りを考えているということでございます。
 とりあえず、この項目につきましては説明は以上でございます。

○ ただいまの御説明を踏まえまして、第1のまず公益性を有する非営利法人の捉え方について、御議論をいただきたいと存じます。公益性を判断するための要件について、法人の事業や活動には触れずに、一般的な表現で規定した目的だけで足りるのか。あるいは、目的に加えて事業を具体的に規定するかということが、これまで議論された点でございます。更に、法制上どこまで必要かということでもあります。
 この法制上どこまで必要かということについては、またワーキング・グループの方にお願いすることになると思いますが、もし、ここで皆さんの観点から必要なことがありましたら、御議論をいただきたいと存じます。
 それから、少し申し遅れましたが、公益法人協会から英国のチャリティー・コミッション、このチャリティー・コミッションというのが、今のA案にやや近いものですね。性格としてはね。

○ そうですね。行政機関ですけど、独立機関です。

○ ですから、A案にやや近いものだと思います。ということで、チャリティー・コミッションの報告書が一昨日でしたか、先週末に頂戴いたしましたので、もし必要だったら公益法人協会の方から、皆さんそれを参照されたらよろしいかと思っております。○○委員、それについてお礼を申し上げると同時に、御意見をいただきたいと思います。

○ この件については、星野先生から余りたくさん具体的事例を書くのは法律上は好ましくないというお話がごさいましたけれども、今までの公益の定める概念では、不特定多数の利益ということで、それを主務官庁がそれぞれ判断しているということは不透明である、裁量が入るということが批判されていたわけですから、それを幾らかでも除去しようとすると、ある程度やはり具体的な事業内容を書くことがいいのではないかというように考えております。
 具体的事例として参考になるのが、日本の場合ですと、NPO法でございます。この参照資料の6ページ、第二条関係、別表という欄に17ほど項目が挙がっております。大体日本の公益法人の活動を見ましても、これにあと2つ、3つ付け加えれば大体網羅できるかなという感じはいたしておりまして、こういう形である程度書くのが一般の国民の方が新しい公益法人になろうとしたときに、どういう分野でどうだといったことを考えた場合に、こういうのが書いてあると分かりやすくていいのではないかなという感じがいたします。その次のページに諸外国の例というのがございますけれども、このイギリスの例でも今度のチャリティー・コミッションの報告書でも書いてございますけれども、やはりある程度分かりやすくするためにということで具体的な分野というものが書いてあるということでございますので、そういうのを参照しながら書いていくのがいいのではないかというように考えています。
 もっと詳しくやろうとするとアメリカの税法のように、非常に細目にわたって書くというのもございますけれども、これは少し大変かなという気がいたします。現実的なところで考えれば、NPO法に書かれているものに少し手を加えてやるのがいいのではないかというように考えます。

○ ありがとうございます。もっとさかのぼりますと、NPO法をつくりましたときに、前例として申し上げれば、NPOというのは一体何をもってNPOの活動の対象とするかということになって、それがよく分からないからということでこういうような列挙方式にしたわけです。列挙方式にして、更に足りない部分ができてきたので、それを追加して、更にバスケットクローズと言いますか、その他これに準じるようなものがあり得るということを書き加えたので、要するに世の中のものというのは大体こういうものだったらNPOの活動に社会が期待しているものだなということが、ある程度分かるようなイメージをつくっているわけです。このような具体的なクローズでもって述べるか、あるいはミッションステートメントと言いますか、目的だけを宣言するというようなことを重視するか、この辺について更に御意見をいただきたいと思います。今、○○委員からは逐条方式を。
 どうぞ。

○ 私は、一般的、抽象的な目的だけで十分ではないかと思っているのです。というのは、一応ここでA案を採用するという方向性が決まってまいりますと、一元的に公益性を判断する機関ができてくる。そうすると、その機関に本来どういう事業・活動分野が公益的であるかを蓄積していくことができるのではないかと思うのです。そうしますと、事業というのは時代とともに変わってまいりますし、狭間のところはなかなか厳密に仕分けしにくい。事例事例によって判断していかなければいけない。
 今まで主務官庁の裁量性がだめだということがあったがために、この裁量性の部分を取り除くということを非常に真剣に考えるようになったわけです。しかし、1つの機関で、過去の事例も勘案して判断できるとなれば、その裁量性というのは必ずしもそう悪いことではない。もちろん基本的な原理・原則がなくてはいけませんし、こういう活動分野はだめだということもはっきりさせなければいけない。こういうものが望ましいということも、その中ではっきりさせなければいけませんけれども、それを法律の中に書き込んででは動かせなくなる。せっかく第三者機関をつくるのですから、そこの自由裁量というものを考えていく方がむしろ望ましいと思う。勿論、そこでどういう判断したかということについては、その判断機関自体が外に対してオープンにしていかないといけないということは、当然あるかと思います。

○ ありがとうございました。今の御意見は、A案で第三者機関をイメージしているわけですから、それをつくるということを前提にして逐条は要らないのではないかということですね。
 ○○委員、どうぞ。

○ 今の御意見に基本的に賛成です。こういうように書くと、どうしても例示という形にせざるを得ない。というのは、新しい公益的な活動のタイプがいろいろと絶えず出てくると思いますので。それよりは、どこが判断するのかという組織との関係でチャリティーのお話がありましたし、前に私も、アメリカ型の行政委員会制度のことを申し上げたことがありましたけれども、どういう活動が公益的な活動に入るかということは、そういう組織に準立法的な機能を与えて、公益な活動の範囲や内容の定めを、その機関にゆだねる。ただし、その場合にも定めはスタンダードにすぎないということにしておかないと、時代が変わるのにしたがって、動きにくくなってしまうという問題があるように思います。

○ ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。いかがでしょう。○○委員、どうぞ。

○ 実際に仕事をやっていらっしゃる人から話し聞きたいのですけど、これは何がしか旗を上げて、こういう仕事をやりたいと思うのには、デパートメントではないのですから、右から左まで全部仕事できるわけでも、意欲があるわけでも、能力も何にもないのです。やるのならこの3つぐらいから始まるわけです、本来は、普通ならば。そうすると、一般的にこういう立派なことをやると書いてあって、具体的にはこういうことやるのだと2つ書いてあったって、1項目ぐらいしか出てこない。それがなければ分からない、一般の世の中は。だって、八百屋みたいに全部並べるのじゃなくて、うちはこれを売るんだと。それが、書いてある方がその組織を立ち上げる人の事業意欲論から言ったって、仕事を遂行する能力論から言ったって、一番分りやすいのではないかと思うのです。2つのどちらかを選べというのは選び方がおかしいのであって、両方とも書いたらいいのです。
 いつも、過去に、ある税調委員が言っていた議論の一つだけど、彼はテーマとしてこういうの大好きだったから、いろんな限定列挙するとはみ出るものが出てくるというわけだ。そんなの追加すればいいのです。ないしは解釈の拡大でいけばいいのです。どちらかを選べという議論は、私は本当に非現実的だと思います。

○ ありがとうございました。

○ 法律に書くか、それとも第三者会議ができたときに、そこの内部の基準としての位置付けになるかどうかは別として、やはり余り演繹的に物を考えていてもしようがないので、一度具体的な事業というのはどういうことなのか、今、○○委員の方からの提案もあったわけですけれども、それはそれで議論してみて、結果としてこれはやはり法律に書くのは無理だなということになれば、そういう結論ということでもいいですし、議論してみたらどうでしょうか。たたき台というのを1回つくって。

○ 今の○○委員のもともとのアイデアっていうのは、NPO法に記載された、正確に言うと17の要件にあと2つか3つ加えればいいのではないかということですね。

○ そうですね。

○ その点について言いますと、それはそれでNPO法の世界はいいのですが、あと2つか3つなのかどうか。この公益法人改革の官から民へという、そういう小泉改革の流れに沿ってやっているわけですから、そうすると、各省庁のやっている業務もどんどんスリム化してもらって、そこは民間部門が引き受けていくということであれば、1つのやり方として各省庁の設置法などを見て、それも具体的な項目の俎上に挙げてはどうでしょうか。そういうことも作業としてやってみたらどうだろうと思うのですね。

○ ありがとうございました。省庁設置法までここでちょっと論議するというのは、大がかりになり過ぎると思いますけど。

○ 目的のところですね。

○ 目的ね。はい、わかりました。
 ○○委員、どうぞ。

○ 私は、非営利法人から、公益性の判断をしてくるという形になってきて、今まで許可、もしくは認可みたいな形でくるのが準則主義で、非営利法人がたくさんできてくるという可能性がこれから高くなるというように思っています。そうなった場合に、やはりつくりやすいと言いますか、一定程度国民が見て分かりやすくするという意味では、私は大まかなグループ、もしくは大まかなこういうイメージができるというものについては、やはり列挙をした方がいいというように思っています。ただし、それが今までのように書いてないからというようなことではなくて、それはスタンダードであって、それ以外の行間、幅を読む、時間的、もしくは地域的な差というものが公益性の中でもこれから出てくるはずなのです。ですから、そういうものを踏まえたものについては、先ほどの公益性を判断する機関の運用の裁量性、もしくは柔軟性のところに私は期待をしたいと、そういうものになってもらいたいという意味を込めて、その機関にある意味では、そのときの判断、その地域の判断というものを是非その機関に加えていただきたい。
 実質上、非営利法人が公益法人になってくるという過程を踏まえれば、今まで公益に関心のない方が、準則主義で非営利法人が公益に上がってくるという過程を踏まえれば、やはり何がしかの少し見えるもの、もしくはこういうものが公益に当たるという概念が見やすいものとしてのグループとしての列挙主義は、私は持っていた方が非常にこれから増えてくるものを考えるといいのではないかなというように思います。
 ですから、私どもの会社もそうなのですが、なかなか今までですと、書いてないというところにどうしてもとらわれるので、列挙主義というものについては非常に悪者ではじゃないのですけれども、あると思うのですが、これからは第三者機関というものを新たにつくれるという形であれば、是非そこに期待をしたいというように思っています。逆にその権限を是非与えていただきたいと思います。

○ わかりました。ということは、こういうように考えたらいかがですか。何も法律に書き込むことではなくて、この会議の報告書として、次のようなものをイメージしているという、そういうやり方ではどうなのですか。それが、今度第三者機関ができたときに、その精神が必ず引き渡されるということで、法律に書き込むことの必要性がどうかということはあるのですね。

○ 今の議論を伺っていて思ったのですが、決め方の決め方について明確にしておく必要がないですか。裁量は基準を作ったとしてもおこり得る。だとすれば決め方を明確にしておく必要がある。

○ 行間を読むということですね。

○ はい。入ってくると思います。そうなると、何で決めるかということも同時ですが、決め方の決め方というのを(これは法律で書き込むような性質のものではないと思いますけれども)、何か提案とかガイドラインという形で第三者機関を念頭に置くのであれば、記しておくような必要があると思います。

○ それも、我々の報告書でもってかなり主張できると思います。

○ 先ほど列挙というのが、事業を列挙するというように聞こえるのですが、事業ではなくて目的を列挙していく。公益法人は、こういうことを目的とすべきだ。こういうことは目的とすべきでない。これは、法律の中にきちっと書き込んでいただいていいのだろうと思います。

○ 大体、何か結論になってきたように思います。使命を列挙することであって、項目を列挙することではないということだと思いますが、いかがでしょうか。○○委員の議論もその中に含まれてしまうと思うのですが、違いますか。

○ 少し違うような感じはありますけど。私がイメージしていますのは、法律で書くと当然ながら法律ですから一般に出るわけです。そうすると、どういう活動をすればこれは公益法人になれるということが法律に明記されるわけです。NPO法上に書かれている17の項目にしても、非常に大ざっぱな項目ですね。そんな細かいことが書いてあるわけではないのですけど、でも、どういう活動をすれば公益法人になれるかということが明解になりますから、やはり法律に書くというのと、それをある判断機関の中の裁量にゆだねてしまうというのとは少し違う感じがいたします。
 前、○○委員が、こういうのは細かく決めると更にそれの裁量が入るので、裁量の裁量が入ってどんどん細かく決めれば決めるほど裁量が広がって大変ですよという御意見をおっしゃいました。それはそのとおりだと思いますけれども、何にも決めないと、まさに不特定多数の利益ということだけであれば、どう考えていいのかというのが、一般の方はなかなかイメージされないですね。ということから考えると、ある程度、NPO法の別表に書いてある程度のことは書いておいた方がいいのかなという感じはしています。

○ それは、法律の中に書き込むべきということですか。

○ そうですね。

○ はい。○○委員。

○ 何のために書くかということだと思うのです。幾つか理由があって、判断主体が判断する際に、要件を明確にするというのと、それから2番目に利用者が便利だというのと、それからそもそもこの法律の理念、目的を一般に対して分かりやすく説明するというのとがあり、それぞれ少し皆さんおっしゃっていることがどこに着目しているかが違っているかと思うのです。
 判断主体がどう判断するかとか、あるいは利用者の便宜のためというのは、必ずしも法律できっちり書かなくても、別の方法で示すということができるのではないかと思います。ただ、その具体的なイメージを例示するということで、例えば今、民法自体が祭祀、宗教、慈善・学術、技芸、その他というように言っているわけですが、そういったことで分かりやすく示すという程度であれば可能だと思うのですが、ただ余り法律できっちり書いてしまうと、かえって動きにくくなるのではないかと思います。
 それから、もう一つ、今度できる法律のイメージなのですけれども、公益性のある非営利法人について広く一般的な法律をつくる、民法などでつくるということであれば、やはり余り細かく書けないのではないかなという気がします。それに対して、今のNPO法というのはまさに「特定」という言葉が頭に乗っかっているわけですから、そのような場合は列挙というのがなじむかもしれませんけれども。そういった法律の形との関係もあろうかと思います。

○ そういう違いがあるわけですね。そうすると、今、皆さんの御意見を集約しますと、目的ということについては何も単数でなくてもいいと、ただ公益というだけではなくてもう少し細かく列挙してもいい。ただ、具体的な項目を列挙することを施行法みたいなものに入れるかどうかということについては、まだ議論の余地がある。かえって入れることによって、先ほど先ほど御紹介いただいた○○委員の説示のように、更にまたその先が出てくるのではないかという心配もあるし、それにとらわれてしまうことがあるのではないかということだと思います。これは、どうでしょう。私の事務局に対する提案なのですけれども、しからば、今度新しくできる公益法人みたいなものの、ただ公益というだけじゃなくて、もう少しかみ砕いた幾つかの項目を列挙するということをこの次のときにお出しをいただいたらいかがでしょう。そこで、皆さんにまた考えていただくと。かえってそういうものがない方がいいか。あるいは、ここまで書くのだったら具体的に書くべきだと。

● 具体的ないろんな事例を、参考資料にも載せていますけども、ちょっとそれを参照しながら、中でも検討してみたいと思います。

○ ですから、今、いただいた御意見を踏まえつつ、何かの叩き台と言いますか、考え方の基を提供して議論していただいた方がいいのではないかと思います。
 ○○委員、どうぞ。

○ その際に御考慮いただきたいことなのですが、現状を見ると多分ちょっと過去のことにトレンドとしてはなると思います。いわゆる、NGO、国際的なNGOの動向を見てみますと、いわゆるサービスを受益者に提供するというサービス提供型などの従来型のタイプに加え、政府のウオッチドッグをしたり、それから政策提言をしたりという、政治活動とぎりぎりのところで、アドボカシー型の活動している市民社会団体というのが増えています。こういった政策提言型のNPOについて、列挙型する時にどこに位置付けるのかというのは是非御検討いただけたらと思います。列挙の中でどう入れるかというのは。

○ ちょっと伺いますけれども、それアドボカシー型、あるいは政策提言型の公益法人を認めるかどうかということですか。そうではなくて、NPOの方ですか。

○ そうですね。

○ 今の日本のNPO法にはないですね。

○ 入ってないですが、

○ ただ、世界的にはそれが増えてきている。それは間違いないです。

○ 日本でも、増えると思います。

○ でしょう。そうなると、それはNPOの問題であって、公益法人の方の問題とはとりあえずは違うと考えますけどいかがですか。

○ ただ、新しい非営利法人制度の中であると、恐らくNPOというのも、その新しい制度を使って法人格をトランスファーしていくわけですから、当然これは。

○ いえ、先ほど○○委員の御提言にあったように、そもそも非営利法人の活動内容について私たちは議論が足りないのではないかというお話がありました。そうすると、非営利法人というのは準則主義でもって自由に設立できますね。それが何をやっていいかということについては、この前○○委員からその事業内容を限定すべきでないかという御意見がありました。それに対しての反論もありました。その辺について、非営利法人そのものについて着目していただければ、少し公益法人の問題とは今の話は違うのではないかと思うのです。

○ ちょっとよろしいでしょうか。少し外れるかもしれませんが、2つほど問題点を指摘したいと思います。公益とはなにかということが、必ずしもはっきりしない。不特定多数の利益ということを言いますが、やはりこれでは足りない。しかし、法文に書くかどうかということは別として、共通の理解をこの有識者会議では持っている必要があると思うのです。報告書に書く場合にはやはり民間では行えないような活動、あるいはもっとはっきり言うと公共サービスに類する活動ということになるのではないか。
 それから、もう一つは、法律で列挙するのか、それとも政省令で列挙するのか、独立委員会ができた場合に独立委員会の規則で列挙するのかは別として、そうした場合にいろんな裁量が出でくるのではないかということを先ほどからおっしゃっているのですが、裁量的要素が出てくることは明らかなのですが、判断する場合に合議制の組織をとれば、恐らくアービトラリーな要素は排除されるのではないかと思います。

○ ありがとうございます。大変貴重な意見をいただきまして。どうぞ、○○委員。

○ 最後にもう一回だけ申し上げておきたいのですが、やはり私どもも、ここにいらっしゃるいろんな団体の方も、今まで各主務官庁さんの方にいろんな判断をされてきた方がいらっしゃるので、その方々の意見も是非聞きたいのですが、やはり政省令にだんだん落ちてくると、実はそこは見えないのです、意外なことに。実際ですね。ですから、私は○○委員が、確かに民法でそこまで書くのかと、法律的な、技術的なものがあるというようには思うのですが、やはり私は一定程度の大まかな分野については法律上でやはり書いていただくということをしておかないと、逆の意味で判断する法人に余りにも大きな逆の意味での裁量権が発生してしまうのではないかという危惧はいたします。勿論、期待をして第三者機関を是非つくっていただきたいというように思うのですが、余りにも抽象的になると、それを決めるところが逆に透明性がないのです。実を言うと今は。できれば、せっかくですので、NPO法は法としてきちんと列挙主義でここまで書いているという形になりますので、私は今までの少ない経験値で申し上げる形にはなりますけれども、一定程度の、そんなに大きくなくても構わないのですが、やはり列挙主義を少し法律上で書いていただきたいという気持ちはあります。

○ ですから、NPO法と今の公益法人、論議している公益法人のステータスが少し違うので、また変えなければいけないということと、先ほど○○委員がおっしゃったように、ただ公益ということじゃなくて、公益の中身はこういうことですと。例えば、今、○○委員がおっしゃったような、かなり公共的なサービスがあるとか、そういう幾つかの項目を書き出してみたらどうかということになると思いますが、それを事務局にお願いしようと思います。
 どうぞ。

○ ○○委員のおっしゃったアドボカシー型といった、そういうNGOもあるわけで、公益法人もNGO、NPOの一種なわけですから、議論の対象には当然そういうのも入ってくると考えます。最終的にどういう分野の中に入れるとか入れないとか、そういう結論は少し分かりませんけれども、当然そういうものも議論の対象に入れるべきではないかなと思います。
 あるいは、分野が書いてあれば政策提言などを書いているかどうかを見なくてもいいのかなとか、いろんな議論あると思うのですけれど。

○ ありがとうございます。
 それでは、ほかにございませんか。かなりここのところは議論させていただいて、少し見えてきたと思いますけども。それから、今までの御議論の中でかなりはっきりしてきたことは、A案というのは皆さんのイメージは第三者機関ということであって、ある特定官庁の一部ではないというイメージであるということになるのですね。
 そこで、ちょっとこの辺で次に進ませていただいて公益性を有する非営利法人の目的について検討を行ってまいりたいと思います。事務局からその件について説明をいたします。

● 説明資料の6ページ、それから参照資料で申しますと11〜12ページでございます。ここは、公益性を有する非営利法人の目的をどう考えるかということで、中間整理の中ではこの点につきましては、不特定多数の者の利益を図ることをどの程度厳格に求めるべきかといった点、それから、不特定少数の者の利益を図ることをどのように考えるかという点について御指摘をいただいております。これは、先ほど来の御議論とかなり重なると思います。ここでの御議論いただきたい点は、法律にどのように書くかは別といたしまして、先ほど○○委員からも御指摘いただきましたように、この有識者会議として共通の理解が必要だろうという点に立ちまして、御議論いただけないかという趣旨でございます。
 まず、留意点でございますけれども、現行の法制との整合性を考えますと、不特定多数といった言葉がございます。これを差し当たりの検討の出発点とできないかという点が1つ。
 それから、先ほども御意見が出ましたけれども、今の現行の民法も例示がございます。そうした適切な例示があるのかないのかといった点も含めて多面的な公益性の視点というものをお出しいただいて御議論賜れないかという点がもう一点でございます。
 ○の2つ目からは、差し当たり不特定多数という点につきまして、次のような点が問題となり得るのではないかということで書かせていただいております。
 1つ目は、「多数」という点でございます。この点につきまして、もう既に3月までの御議論でも受益者の数の多少という意味では、必ずしもその点に重要性はないのではないかという御指摘もございました。その点について御確認賜ればということでございます。一応の例として、そこにありますように、まだ数人しか患者が発見されてない難病の研究を例として挙げております。
 2つ目の○でございますけれども、次に「不特定」という言葉でございます。どの程度の受益者の範囲であれば、不特定と考えられるのか。一般に社会的に望ましいと考えられる事業や活動がございますけれども、それとの関係でこうした言葉では足りない、あるいはより明確化する点はあるのかないのか、あるとすればどういう点かといった御議論でございます。
 御参考までに2つほど下にポツを振っておりますけれども、最初のポツは星野先生から御指摘いただいた点でございます。不特定というのは、理論上だれでもその法人から利益を受け入れるということだと。更に、平たく言えば社会全体、みんなのためだという点でございます。
 それから、もう一点は、今、申し上げたこととの関係で、社会全体みんなのためというような意味で、その利益が間接的に広く及ぶというものも公益と捉えると、ほぼすべての活動が公益性を有するというように解せなくない。それで、よろしいかどうかでございます。
 一応例示といたしまして、長いのでございますけれども、要はある団体、ある法人の構成員の互助、共済、それを福利厚生という言葉で表現してございますけれども、そうした事業をしている法人があるとすれば、役職員等の福利厚生を増進し、7ページでございますけれども、もって事業の健全なる発展に寄与することを目的とするといったような仮に規定ぶりがあるとすれば、こういったものを公益性があるものとして認めるかどうかということでございます。
 それから、7ページの1つ目の○でございますけど、今、申し上げたことと関連する問題といたしまして、法人が提供する財・サービスの受益者が特定される場合であっても、その特定される受益者の方に、何らかの社会的に価値がある、あるいは、意義があります場合に、そういう点をどのように評価するかということでございます。ここで、2つほど例示をさせていただいています。
 1つは人間国宝の方のような場合、その芸術活動を支援する募金運動をどう考えるか。こうした例につきましては、いろいろな日本の伝統芸能保持といった特別の説明が、受益者が特定されている場合でも、そうした説明を加えることによって広く国民一般に利益が及ぶというように解釈することもできなくないかもしれません。
 もう一つの例といたしましては、いわゆる公正競争を確保するために、自主ルールを設けて運用している法人が仮にあるとすれば、そうした公正競争が確保されることによって直接の関係は閉じておりまして、受益者は特定されておりますけれども、その利益は国民一般に及び得ると、そういった例も考えられます。こうしたものをどう取り扱うか。
 それから、その次の○がもう一方で重要な問題といたしまして、共益を目的とする事業、これをどの程度許容するかという点でございます。また、仮に許容するとすれば、法人の本来的な目的との関係でその理由をどのように考えるかということでございます。
 御参考までに、最後の・は現行の指導監督基準では「構成員相互の親睦・連絡・意見交換等」あるいは、その構成員の福利厚生・相互共済等を主たる目的とするものは公益法人として適当でないとされております。ただ、従たる目的とすることは認められるといった規定があるという点でございます。この点につきましての御説明は、以上でございます。

○ ただいま説明していただいたとおりなのですが、公益性を有する非営利法人の目的。最初に「不特定多数の利益」という言葉で私たちはずっとそのままうのみにしてまいりましたけども、一体不特定多数といった場合に受益者の範囲はどの程度であればよいのか。つまりこの間どなたか例示されたように、全国で200人しかいない難病のための募金というような場合に、これは特定多数、あるいは特定複数とでも言うのか、そういったその概念がもう少し広げられなければならないと思うわけです。
 もう一つは、後段で公益性を有するの本来的目的との関係で、共益を目的とする活動を許容するのかどうか。あるいは、どの程度まで共益と公益との境というのは、これもなかなか境がきっちりしていないわけですが、それをどこまで許容するのかという辺りのところを御議論いただきたいと。
 最後に、これは先ほど○○委員の御提言のところなのですが、ただ公益ということだけではなくて、不特定多数だとか、利他だとか、社会貢献だとか、そういうような項目別にもう少し目的を大きな括りで分解していくことはできないだろうかということを議論していただきたいのが、今の段階でございます。どうぞ、この辺をよろしくお願いします。
 先ほど○○委員からも不特定多数のお話がございましたが、例えば目的とする活動が仮に二人の非常に珍しい種類の病気であったり、あるいは精神症状であったりした場合に、実はその人たちは顕在している人たちで、更に潜在予備軍というのが、あるいは社会の変化によってその人たちがずっと増えてくる可能性がある。ならば二人のうちに研究しておいた方が、社会のためになるのではないかというようなことになるのではないかということを、実は昨日事務局と話をしましたのですが、多数というのは複数とも読めるという考え方もあるというように言われまして、この辺はもう少しはっきりしておいた方がいいのではないかなという気がいたます。いかがでしょうか。不特定多数だけでよろしいでしょうか。

○ 私は今、座長がおっしゃられた不特定複数という呼び方が、これからのいろいろな新しい課題というものを見ていくときに、適切ではないかと思います。新しいものというのは、往々にして本当に非常に小さいところから始まっていく。そこで、多数でないからだめだというようになると、やはり違ってきてしまうのではないかなと思います。

○ ありがとうございます。いかがでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。

○ 全く違った論点2つ申し上げます。いいでしょうか。

○ どうぞ。

○ 1点目なのですが、不特定と複数という言葉は私はいいのではないかと思うのですが、特定、不特定に関しまして、以前にも申し上げたことがありますが、いわゆる受益をする人が特定されているのか、またはその活動に参加する人たちが自由に参加をできる、特定されないのか、私はどちらかが不特定であれば、これは公益として認めていいのではないかという気がしておりました。

○ なるほど。前に伺ったことあります。わかりました。今、私たちは受ける人たちのことだけを考えてきたわけですが、今度はその活動する人たちが不特定であるかどうかということも考えるべきだということですね。

○ 非営利法人のもともとの最初の議論にも出てきましたけれども、その効果の1つが、国民の参加を、社会への参加を促す装置であるとすれば、そこは入り口のところで特定をしないという条件があれば、私はいいのではないかという気がしました。

○ どうぞ。

● 途中で言葉を挟んで恐縮なのですけれども、今までに使われている刑法を含めて行政関係の論というのは、不特定または多数人の。ですから、侮辱罪なんていうと、不特定または多数人のいる前で侮辱したものとか。それで、今度はNPOのところで不特定かつとなったのですね。不特定かつ。ですから、そのときに今、○○委員のおっしゃっている論の中の、これはあくまでも目的論なのです。多数人の集り、相手が。こちらの方のやろうとする人がというお話に発展しているのですけれども、そこら辺が現行の法制上で詰めなければならない問題があるのではないかということだけを指摘いたしておきます。

○ ありがとうございます。ほかに、どうぞ。○○委員。

○ 不特定、複数というのをおっしゃっている意味はよく理解できますが、ただ複数であってもそれが増えないという場合だってあり得るので、だから、やはり不特定多数としておいて、そこはやや柔軟に解釈するのだというように共通理解しておく方が無難ではないか。そうでないと、公益の範囲が少し広がり過ぎる場合があり得るのではないかという感じもいたします。

○ ありがとうございます。○○委員、どうぞ。

○ 済みません。質問のような形になってしまうのですが、○○委員に対する質問なってしまうかもしれないのですが、今の範囲が広過ぎるというのは、もう少し突っ込んで私の方で理解をすると、悪用の範囲も広がるという意味でしょうか。確かに、今の解釈で行けば悪用の仕方のオプションは増えていくような気がするのですけれども、そこまでを念頭に置いておっしゃっているのでしょうか。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 悪用というわけではなくて善用であっても、公益活動とは呼べないようなものも入ってくる可能性があるであろうというように考えたのです。

○ いかがでしょうか。
 どうぞ。

○ 法律の専門的なことはちょっと分からないですけれども、座長もおっしゃった多数には複数も入るということですとか、不特定というのはサービスの提供者であっても受益者であってもよくて、両方入るというのは賛成でございます。やはり、民間の公益活動を促進しようということですから、余り何でも全部入ってしまうと具合が悪いのですけれども、やはり今よりは公益的な民間のサービスがもっと促進されるような形で定義をしていく必要があると思います。

○ わかりました。先ほど、複数というのを私は申し上げたのですが、それは○○委員からもお話がありましたように、今、かつ多数というように書いてありますね。かつ多数というように読んだ場合は、多数というのはどのくらいを指すのかという質問をしましたところ、複数とも読めるよということなので、もしそういう理解があるならば、それはそれでよろしいのではないかという気もしていたわけです。

● それが今、現行の書いてあるものです。

○ そういう考え方が一番分かりやすいですね。

○ ほかに、この共益のところなどはいかがでしょうか。
 どうぞ。

○ 先ほど言いかけていたもう一つの、お膳をひっくり返したら、私の方で今の意見をキャンセルしますが、この問題は中間法人の問題と非常に深く結び付いておりまして、中間法人制度というもののよいところ、悪いところというものに、これは引っ張られるような気がしておりまして、今回のこの議論の中で全く中間法人に関して議論をしないで進められるのかどうかというのは若干不安なところがあります。

○ これは○○委員、いかがでしょうか。

○ これについては現行法との調整をどうするかということは後にして、まずここであるべき新たな公益法人制度を考えてみよう、その上で現行法との接合を考えようというのが、たしか当初の理解だったと思いますし、それでいいのではないかと思っております。

○ 中間法人についての何かの問題があるならば、それはそれでここでおっしゃっていただいてもいいと思いますけれども、その点をできればよけて新しい非営利法人活動はできた方がいいと、もしそういうのがあるならばね。
 どうぞ。

● ○○委員のおっしゃっておられている部分を別の面から言うと、非営利性ではあるが公益性でないものをどうするのかという問題でもあるのですね。

○ そうですね。
 では、佐藤補佐官が退席されます。

(佐藤総理補佐官退室)

○ ○○委員、どうぞ。

○ 中間法人の問題は、新しい非営利法人制度を考えるときにはある意味でネックにもなりかねない重要な問題だと思っております。現行の中間法人制度がそのまま非営利法人制度の方の中に入ってくれば、非分配という原則も崩れてまいりますし、それに従って原則課税という考え方が出てこざるを得ないと思います。一部のそういうものが入ることによって、非営利法人制度全体がある意味で規定されるようなことになりかねないという気もいたしますので、やはりここはどこかできっちりと非営利法人制度の本当の基盤を考えるべきと思います。

○ わかりました。

○ 私もやはり民間の非営利法人活動を促進しようということであれば、中間法人と区別して議論すべきであり、制度をつくるべきだと思います。
  資料で書かれている例として、「○○業関係者の便益を図り」云々というのは、何か意味がよく分からないというか、この文章だけを見るとこれは不適当かなという文章になっているのですが、間接的な目的と直接的な目的というのは実際の法人も区別しないでやっている面があり、経済活動の場合などは自分たちの会員のためにやることがイコール日本のためだというか、そういうような意識でやっておりますし、この区別は困難ではないかと考えます。また資料で、「もって云々」というのが書いてありますね。もってどうすると。しかし、これも「もって」というのは副次的なというよりも直接的な目的ということで書いてある場合も多いですし、この「もって」がいけないということになると、それでは、書き方を変えてしまおうというか、もって以下を何とかのためとか、何とかの目的と、すぐ読み替えというのはできるわけですし、「もって」となっていれば間接的・二次的と見うるというのはなかなか困難ではないかと思います。
 また公正競争の確保とか、ここに例として書いてございますが、これも従来は業法というような形で役所が全部許認可でコントロールして独禁法の適用除外にしていたものを、やはりこれからは規制緩和で役所がそういうことをやめて、それを民間がやるというときに、どうしてもこの事業者団体の役割というのは出てくるわけでございますから、これもやはり民間の公益活動といえると考えます。今まで役所がやっていたのを民間がやるのだという意味で民間の公益活動と認めていただければというように思います。

○ この辺はいかがですかね。書き方の問題が。

● いわゆる、非営利法人法と中間法人の整理は、○○委員からも御指摘がありましたように、またそれはそれでワーキングを含めて御議論を賜れると思っておりますけれども、とりあえず公益性のあるものについて、共益的なものが、社団の場合は限られた構成員がいる以上、何らかのそういった活動が観念的にも想定し得るのですけれども、そうしたものがどの程度まで許容し得るのか、それは実態を見ないと分からないという御議論も当然あると思いますけれども、やや観念論、抽象論で申し訳ないのですが、何かメルクマールがあれば、御議論いただけないかという趣旨でございます。

○ 今の○○委員の御意見がございましたが、もし○○委員の方でここはこういうように表現すべきだという案がございましたら、別に今でなくていいですから、御提示いただければ結構だと思います。
 私たちは公益を日本のためだといって意識だけを持っていて、実際にやっていることはそうではないという可能性はあるわけですね。可能性としてはね。ですから、意識をはっきり持つことは当然ですけれども、やはり目的は何かということをはっきりしないといけないのではないかという気がするのですね。
 どうぞ。

○ 今の座長のコメントは大変重要だと思うのですけれども、事業者団体、事業者の保護をすることを主たる目的とすることによって、その分野の産業が育成されるということがあるのですが、ただ、その一方でもしかすると消費者が適正な価格でサービスを受けにくくなるかもしれないという反面もはらんでいるわけで、片方にとってはいわゆるパブリック・インタレストになっているものも、見方を変えるとパブリック・インタレストにならないということもありうるわけで、ここの判断はすごく難しいのではないかという気がします。

○ おっしゃるとおりですね。ですから、判断するグループを付けて、先ほど、○○ 委員のおっしゃるように合議制でこう判断しようというのは、やはりそういうことになるわけですね。

○ 消費者のためにならないというケースも勿論あるわけですけれども、それは独禁法の問題でございますから、そういう事業者団体が独禁法違反をするようなことでもあれば、それはそれで摘発をやはりするということになるのではないでしょうか。

○ 今のちょっと誤解されるといけないのですけれども、事業者団体イコール消費者利益に反するということでは決してないというように、私たちは考える必要があると思います。そういう場合もあり得るので、その辺をどう記述したらいいかなという。
 あと、まだ幾つか残っているのですが、例えば、人間国宝みたいな方に対して、これを応援するというような場合は一体どう考えるか。もう一つは、共益ということとの境ということにまだ議論が足りないような気がします。
 最後に申し上げた公益の基礎概念というのは、何かもう既に皆さんから少し出てきたように思うので、先ほど事務局にお願いしたように、次回事務局側からいろいろな不特定多数だとか利他だとか社会貢献だとかありますけれども、こういった大項目別に御提示をさせていただきたいというように思っています。
 事務局、それでよろしいでしょうか。

● 検討します。

○ どうぞ。

○ 先ほど、○○委員及び○○委員から御指摘があった問題は、要するに、特定性の問題ではないかという気がします。例えば、事業者団体についても広く認められるようにという、○○委員の御指摘。現時点で確かに事業者団体では公益法人になっているところも多いのですけれども、それはその事業者団体に属している事業者の人たちの共同の利益ということだけではなくて、その事業活動を活発にすることによって、社会全体、経済全体にプラスになりますよということで、受益を受けるのは単に事業者団体のメンバーだけではなくて、その外にスピルオーバーしていくことがあるから公益性があると従来考えられていたのではないかと思います。単に本当に事業者団体のメンバーである事業者の利益にプラスになるだけだということを目的にすれば、それはまさに共益で、○○委員から御指摘のあった中間法人に分類されるのではないでしょうか。やはりここで議論している公益法人はあくまで法人の目的として一体どこまで利益が及ぶ活動するかということで判断すべきであって、単に内輪のメンバーの利益のためだけというのではなく、社会全体に広く不特定の人に利益が及んでいくような団体を公益法人として対象とし、それについては一定の優遇措置とかが必要なってくる。そういう団体を選んでいくという作業をしているのではないかと思います。
 やはり共益と公益ははっきり区別して、我々はやはり公益に資する団体を公益法人制度の対象として考えていくべきではないかと思います。

○ 私もその点は勿論賛成でございまして、ただ、直接の目的なのか、間接か二次的な目的なのかというものの判断というのは難しいということですね。

○ 今、スピルオーバーと言われましたね。

○ 何でも入ってしまって。

○ もう一つ、参加者が自由に入れることも考えるべきだとの御指摘がありましたけれども、参加者が自由に入れるというのは目的ではないので、やはりここはあくまで目的は誰々の利益を図る活動かということを議論すべきです。参加者が自由ということになると財団などは一体どう考えるのかということになりますし、それはまた別の問題として考るべきではないかと思います。

○ どうぞ。

○ その点はいずれかということで、かつではなかったのですね。入口のところ、参加のところ、または受益のところ、いずれかのところで不特定であれば公益として考えていいのではないかという提案で、参加者と受益者いずれも不特定でなければということを申し上げたつもりはないのですが。

○ どうぞ。

○ そうすると、7ページの下から2つ目の○に書いてある「人間国宝A氏の芸術活動を支援するための募金運動」のような、まさに特定の人のための活動で、それにだれでも入ってこられるのであれば公益法人になれるという御主張かと思いますが、私は一般的にそういう人間国宝になるような人で非常に不遇な状態にある人を支援するための活動という団体であれば、これは不特定性があって、公益法人として相応しいと思いますけれども、果たして特定のAさん1人だけのための公益法人まで認めると広げた場合、本当にそういう社会的に優遇措置を認める団体として相応しいかというと、議論があり得るのではないかという気がしております。

○ それは実は、今、議論をしていただきたかった点であります。
 ○○委員、どうぞ。

○ 今の直接的な例でも、私は場合によって公益になり得るというように考えていますけれども、例えば、人間国宝が伝統工芸だったとして、この人がいなくなったならば、この工芸が廃れてしまうというようなケースが今、往々にしてあります。そうすると、直接的にはこの人がそういう工芸を続けていくための材料費を提供しようとか、あるいは弟子をもっとつくれる環境をつくってあげようとか、そういうことが今いろいろなまちづくりという考えの中でも起きていますので、○○委員のおっしゃった目的がどこまで広がるかということは非常に重要なポイントで、たとえ特定の人であっても、そこの目的が将来に広がるものであれば公益という理解もできるという気はいたします。

○ わかりました。
 ○○委員、どうぞ。

○ 今の○○委員とほとんど同じ意見であります。○○委員がおっしゃったようにスピルオーバーをどういうように捉えるかというところが論点になっていくと思います。それと、屁理屈になってしまうと思いますけれども、人間国宝と指定された途端にパブリック、公人ではないかと思うのですけれども、済みません、これは屁理屈です。

○ なるほど。必ずしも屁理屈とも言えないかもしれません。
 どうぞ。

○ ○○委員の提案された、参加者の方が不特定多数といったケースで、これはちょっとどうかなというのは、例えば、阪神タイガースを応援すると。非常に多数の方が応援される。これは公益になるかというとならないですね。ですから、そういうケースがあるから、ちょっとそれだけの切り口で判断するというのは難しいのではないかと思うのですね。

○ いずれにしても、この目的だけで公益性を判断するということではないと思うのですね。ガバナンスだとか、いろんな違うファクターもあるわけですね。

○ つまり、法人全体として見るということですね。

○ ですから、目的のところで余り限定しなくても、違うところでみて落ちるものは落ちていくというように考える方がよろしいのではないかと思うのです。

○ わかりました。○○委員の先ほどの特定の人間国宝の1人だけにというのはそうなのですけれども、その後の先ほど先生のおっしゃったスピルオーバーの部分、あるいは○○委員の言われたような、今、自分は生活していくのにやっとでとても弟子など養えないということであるのならば、それは社会のために弟子を雇うというように拡大解釈はできるかもしれないと思うのですが、いかがでしょうか。

○ まさに、御指摘のとおり、スピルオーバーがそこから認定できる場合であれば、それは可能だと思いますね。

○ ほかにいかがでしょうか。今の人間国宝の問題と共益の問題が残っています。
 では、○○委員、もし今のところの文章について何か対案があれば、是非お示しください。

○ 承知いたしました。
 所用があり、今日はこれにて失礼いたします。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 従たる目的として共益もできるかという点について、よろしいでしょうか。共益も含めてよいという理由と共益を含めるとまずいという理由と、それぞれ検討するのかなと思うのです。共益を含めてよいという理由は多分、それによって公益的な活動がより活性化するという、そんなメリットがあるという辺りかなと思います。
 それに対して、共益をくっ付けるというのが適当ではないという理由は幾つかありそうです。まず、看板は公益ですから、全体として有利な地位にある。その中で共益のために使うということは適当ではないのではないかということです。1つは税の優遇の問題があるでしょうし、あるいは競争上、営利法人に対して有利な地位に立つのは適当ではないのではないかということもあるでしょう。次に、共益の方に一生懸命になってしまって、公益活動がおろそかになってしまうのではないかというようなこともあります。また、そもそも主従の区分というのが難しいのではないかということもあり、こういったことがまずいという理由として考えられると思うのです。
 ただ、そのまずいという理由は、今、挙げたいずれについても何か対応もあるような気もいたしますので、もしその対応が可能であれば、共益を含めてよいという理由との比較の中で決めていくと、そんな辺りかなと思います。

○ では、○○委員に対して質問させていただきたいのですけれども、では、活動内容で共益と考えられる部分と公益と考えられる部分と、誰かがそれを切り分けるという作業をするということは可能でしょうか。

○ 誰かがというのは、事前に切り分けるというのは難しいかもしれませんが、事後的に見ると、あれはやはりどう見たって、仲間内の利益でやっているのではないかということは分かる場合はあると思います。

○ あるいは、収支内容でも。どちらに何が支出されたかというのを分析すれば、それは十分分かることですね。

○ そのとおりだと思います。

○ わかりました。
 それでは、最後の段階に入りまして、3番の「公益性を有する非営利法人の事業」。これは○○委員の主張されたところなのですが、これについて検討をしたいと思います。
 事務局から説明いたします。

● 説明資料の8ページ、参照資料では13〜19ページでございます。
 こちらもこれまでの議論とかなり重複している面がございますけれども、ここでの前提も法律にどのように書くかは別といたしまして、この会議の場で共通の理解として事業をどのように、いわゆる公益性を有する非営利法人としての事業をどのように考えていくかということでございます。
 留意点の最初は差し当たりの出発点といたしまして、法人が達成しようと意図する公益目的を実現するための事業、これを公益的な事業と呼ぼうということでございます。その際に、次に2つの○がございますけれども、総論的な事項として、今の指導監督基準を念頭に置きますと、公益的な法人の行う事業として、1つ目は、営利企業の事業と競合している場合はそれを適当でないとしております。それをどう考えるか。
 もう一つは、公益的な事業について対価を認めているケースもあると思いますけれども、その点についてどのように考えるかということでございます。指導監督基準では、その下のポツにございますように、必要な額以上の利益を生じないようにすることが求められております。
 なお、先ほど申し上げた営利企業の事業との競合につきましては、その2つポツを並べておりますけれども、これはある意味で常識に近いことでございますけれども、営利企業として行うことが適当な事業を本来的目的とする場合には、会社等の営利法人であることが望ましい、法人制度上でも望ましい。逆に申しますと、そうした収益的な事業を主たる事業として公益的な法人が行うことは不適当ではないかと。こういったことまでは言えるのではないかということでございます。
 順序が逆になりましたが、最後の○にございますけれども、先ほど来、どのように規定するか御議論いただきました。ここでは事業をきちんと列挙するかどうかは差し当たり別にいたしまして、仮に事業について何かを書く場合にどのような問題があるかということでございます。
 1つ目の小さなポツでございますが、仮に事業を書くにいたしましても、一般的な表現、例えば、必要以上の対価を求めない事業といったような規定の仕方が考えられるかどうか。次に、仮に事業の領域、あるいは活動の内容を列挙する場合に、どのような問題があるかということでございまして、具体的には9ページからでございます。
 1つは、これまでも御指摘いただきましたが、そうした事業領域を書き尽くすことはできるのかどうか。列挙をしたとして、時代の変化により、こうした領域は変わり得ますので、それを機動的に変えていくことが難しくなるのではないかというような御指摘。更に、列挙する場合にポジリスト方式で行くのかネガリスト方式で行くのか。また、その列挙する際の取り出す際の軸をどのように考えるか。仮に列挙をするのが難しいというような場合に、その他公益に関する事業といったような、いわゆるバスケットクローズを設けることが考えられますけれども、どのように評価するかという点でございます。
 なお、最後の○は、この後具体的な要件を御議論いただく前にとりあえずの前提といたしまして、公益的な事業以外の事業として収益的な事業と共益的な事業について、どう考えるかというのを確認として書いてございます。
 1つ目は、収益事業については十分な公益活動を行うための収入を確保する方法として現行では認められておりますが、それでよろしいかどうか。もし、よろしいとすれば何らかの制約があるかどうかという点がございますが、この点につきましては具体的な判断要件の方で改めて御議論賜りたいと思っております。
 先ほど来お話がありました共益的な事業、これを専ら行うことは仮に不適当だといたしましても、付随的なものとして行うことは考えられなくはない。仮にそうした場合、どのような要件の下でそれを可能と考えるのか。そうしたことにつきましても、具体的な判断要件のところで御議論賜りたいと思っております。
 説明は、以上でございます。

○ ということで、今の説明で尽くしておりますけれども、残りの15分間くらいだと思いますけれども、今、御説明いただきました公益性を有する非営利法人の事業というのはどのようにあるべきか。あるいは、どのように認められるべきか、どのようなことが認められるべきかということについて、御意見をいただきたいと存じます。いかがでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。

○ 2つ目の○のところですけれども、今、新しくいろいろ起こってきていることというのは、営利企業と非営利の活動の境というのがなくなってきているということです。例えば、これから間違いなく増えていくだろうと思うのは、マイクロクレジットのような、今までは通常の金融機関の商行動であったようなものが、コミュニティーの中のファンズがたくさんできて、それをただ助成するのではなくて、貸し付けて、しかしながら通常の金融機関よりは低利でというような活動がこれから増えていくと考えられます。これは明らかに公益的な活動にもなるわけですので、一概に営利企業の範疇だとは言えなくなっています。ここは十分考える必要があるかと思いますし、私個人の意見としては、限度の問題がありますけれども、やはり公益的事業として認めていく方向性は必要だろうというように思います。

○ つまり、非営利という原則の下にある程度までは営利法人との競合の部分も出てくるかもしれないということですね。

○ そういうことです。ですから、例えば、実際にやったときに出資者に対して、その利益はもう還元しないと。あくまで留保しておいて、貸付の方に回すとか、そういう一定の制約要因は必要だと思います。

○ そうすると、言ってみると留保金が増えるかもしれないということですね。

○ 増えるかもしれないということです。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 先ほど、目的のところで、私は発言をしなかったのですが、やはりこの目的を達成するための活動の手法というもの自体が公益性に合致しているかどうかということが非常に重要ではないかなというように思っています。実際、今、○○委員の方からもお話がありましたように、実は私は市役所の職員でもありますけれども、株式会社の身分としてこちらに来ていますが、実際、市立保育園も最近は民営の方にお出しして、実質上、保育。児童の健全育成という場面で基礎自治体と民間が実は同じ事業を同じレベルでするということが現実に起きています。そういう意味では公益法人と営利法人の目的が実は同じ方向を向いているということは、今、現実的に実質上の社会ではあり得ておりますので、そういった場合には言えば、この競合がどうかということではないだろうというように思っています。それよりも、その事業の運営の仕方、もしくは先ほど来出ている実際の利益を分配するのかしないのか。やはり実際やる方々の志のところで自分たちが公益性のあるものとしてやっていくのか、もしくは民間としてこれについてしっかり収益を上げていくのかという、最初の考えたところが非常に重要ではないかというように思っています。ですから、2番目の・で言えば、これは実質上もう境がなくなっているというように捉えて、これからの手法を考えていくべきではないかなというように思っています。

○ ということは、再三議論をしたところでありまして、法人全体として捉えるべきであると、ガバナンス、目的、あるいは、これは当然のことながら前提は非営利ですから、ということを捉えて議論すべきであるということですね。
 ○○委員はこの前、何でもやるべきだというお話がありましたが、どうぞ。

○ 今の2人の意見、多分言ってくださるだろうと思ってうかがっておりました。ただ、そのときにどうやってチェックするのかという点について考えておりました。そうなりますと一番最後のコラムになりますけれども、この収益事業と共益事業では不足、もう1つ足りないと思うのです。すなわち、本来事業との関係をどうするのか。それをどういうように区分するのか。

○ 本来事業とは何ですか。

○ 収益的な、いわゆる公益の目的で行っているけれども、何らかの収益金が発生するようなものを本来事業と言って、いわゆる活動の原資とするけれども、それは活動の目的としては二次的。これは○○委員にもチェックしていただきたいのですけれども、そこは本来事業と収益事業というのは公益法人の中では分けて言葉を使っていたと思います。
 例えば、この間、例に出ましたけれども、福祉を目的にした、ハンディキャップを背負った人たちの雇用を目的としてパン屋さんを営んでいるというものについては、これはもともとその活動の本来のミッションに基づいて行っているものだから、これは本来事業ではないかと。それではなくて、NGOが日ごろの活動資金を得るためにカードを売ったり、Tシャツを売ったりするのは、これは収益事業ではないかということで、本来事業と収益事業というのは、私は分けて考えるべきではないかと思っているのですが。

○ ○○委員、その辺は。

○ イギリスなどの制度ですと、本来事業、そのチャリティーのミッションに関わる事業が本来事業。例えば、美術館で展覧会を開いて入場者から入場料を取る。これは本来事業。税制上も非課税ということになっています。それに関わる、例えば、絵のレプリカみたいなものを売る。これは付随事業と呼んでいるのです。これも一応、非課税。ただ、ついでにと言うので、例えば、マグカップをつくって売ったと。これは収益事業で課税対象になるというように非常に厳格に分けられております。

○ ショップは全部収益とは限られないということですね。なるほど。

○ それで、レストランをやっていまして、入ってくるお客さん、展覧会に入ってくる方だけに提供している場合は付随事業。ですから、非課税。ただ、ついでに通りを通る方も入っていいよということにすると、これは全体が収益事業になってしまう。そういう区分けをしております。

○ メトロポリタン歌劇場も駐車場に関して一度、随分前になりますけれども、裁判がありまして、これは収益事業であるから課税だと。でも、入館料に関しては非課税だということで。

○ ○○委員、どうぞ。

○ あと、寄付税制がどうなるかということにも大きく関わってくると思うのですけれども、これからは公益法人であれNPO法人であれ、自主財源というものを持つ必要性が高まると思います。そのような状況の中で収益的な事業をやってはいけないという方向性はあり得ないだろうと思うのですね。ただ、そこの内容によって、それが課税対象になるか、いわゆる本来事業でないかどうかという仕分けをきっちり付ける必要があると思います。そういう中で仕分けが難しいものが、これから出てくることがあると思いますけれども、そういうようなものは、第三者機関の中での経験と合議制といったような形で仕分けしていかなければいけないだろうなというようには思います。
 このごろ大変難しくなってきているのは、マーケットの中に途上国の製品を持ち込むフェアトレードの活動がありますが、それが本当にそのフェアマーケットの目的の形で行われているかどうかという仕分けは難しくなってきているみたいなのですね。本来の目的のために活動しているところもあるけれど、裏の方で大量生産をしてビジネスが絡んでいてみたいなところもあったりするということもあるそうなので、こういうものの考え方、判断の基準というのは、この有識者会議の中だけでそう簡単に決められるものでもないなという気はいたしております。

○ ○○委員、どうぞ。

○ 多分、私は圧倒的少数派で、ここでは圧倒的に公益法人の対象を広くしようという御意見が多いわけですけれども、広くすればするほど同時に公益法人に税制その他の優遇措置を認めていいのかという声が出てくる可能性があります。同じようなビジネスをやっている企業等が非常に多くなるわけですね。公正競争がきちんと行われることになるのか。普通の営利企業の方が割を食うという、どうしてもそういう声が強くなってくると思います。お気持ちはよく分かるのですけれども、広くすれば広くするほど、言わば公益性が薄まっていって、そういう外の世界からの厳しい意見が出てくる。私はむしろ公益性ははっきり公益と分かる活動に限定した上で、その場合にきちんと優遇措置を受けられるようにする。営利企業との公正競争の問題をなるべく生じないようにする方がいいと思っております。その意味では余りにも広く何でもできますよという方向というのは疑問ではないでしょうか。そういう意味ではまさに従たる活動かどうかというものの区別もきちんとして、あくまで営利的な活動は従たる範囲にとどめる方がむしろ公益法人制度全体にとってはいいのではないかと思っております。

○ 私たちのところもバランスの問題なのですね。あらゆることを公益法人の名の下に何でもやっていいということを我々は議論しているわけではないわけですし、本当に狭くしてしまって、そして、公益法人全体を萎縮させるということもまた本来の目的ではありませんし。今、○○委員のおっしゃったようなミュージアムの問題ですね。例えば、レプリカはよそでは売れないものですね。あるいは、よそで売るとしたら、また版権料か何かを払って売らなければならないという。

○ たしか、向こうの税務のそういう冊子がございまして、そこには館内でと書いてあったと思います。

○ 館内で。なるほど。
 ○○委員、そういうような、例えば、限定のあった場合の商業取引というのは、見かけから言えば通常の商業取引ですけれども、それは差し支えないのではないかと、私は思いますけれども、いかがでしょうね。

○ まさに従たる範囲に収まるかということではないかと思います。あと、そういう行き方で行きますと、先ほど、○○委員がむしろ具体的に公益活動を列挙した方がいいのではないかという御指摘があったのも結び付いてくると思います。本当に公益かどうかという外からの批判に対処するためにむしろ具体的に列挙した方がいいという考えが出てきます。具体的に公益と見られる活動範囲をはっきりさせて、限定できることを示す必要があるという考えではないかと理解しています。

○ ありがとうございます。
 ○○委員、どうぞ。

○ 収益事業は付随的にするべきであるという意見が強いようなのですが、公益活動をするということが大切なのであって、不正、社会正義に反することがなければ収益事業の規模を問う必要はないと思う。別の観点から見ますと税制的な優遇を受けるとすれば、税金を払う人がこういう事業をやっているところならば、税制的な優遇を与えてもいいのではないかと考えるかどうかの問題ではないかと思うのです。ですから、収益事業をやる、やらないということはそんなに重要な問題ではないと思っているのです。実際にこれからいろいろな公益的な活動を行う上で、環境にしても原子力などの問題にしても、非常に資金が必要になってくるわけです。どういうように資金を得たかということよりも、どういうように使われたかということの方が重要ではないとか思うのです。この辺はいかがでしょうか。
 要するに、収益事業をするというのは悪であるという考え方は必ずしも成り立たないものであって、その額が小額ならばいいという考え方も私は成り立たないと思うのですね。それがどういうように使われるかということが重要なのだろうと思います。

○ 先ほどまであった議論の中にありましたのは、非営利法人の名の下に商業活動を行って、それが営利企業と競合した場合に必ずしもフェアではないのではないかということがありますね。

○ 現在、収益事業に関しては、公益法人といえども課税されておりまして、ただ多少税制上の優遇が与えられているだけです。繰り返しになりますが、どういうように使われているかということの方がむしろ重要ではないかと思うのです。

○ どうぞ。

○ 先ほどからうかがっていて、私は2つ問題があるように思ったのですが、1つはレプリカの問題ですね。これは本来の公益活動の一環だと見て非課税なのですか、それとも、そうではないけれども、大目に見ると言うと変ですが、それほど大きな規模のものではないから非課税にしておこうということなのですか。

○ レプリカを例に挙げたのでだんだん紛らわしくて、私もだんだん危うくなってきましたけれども、一番問題のない例を挙げれば、図録ですね。

○ カタログね。

○ はい。図録は間違いなく付随事業です。

○ 要するに、その公益事業の一部で付随しているということ。

○ その際に対価を取って売っても問題がないわけです。

○ それは美術館の主たる事業というか、設置目的のための。

○ 本来の事業は当然ながら、美術品を保存して見せてということですね。

○ だから、見せるということの中にはカタログは当然入るわけですね。

○ カタログは対価を取って売りますから。それは本来事業とは言わずに付随事業というように呼んでいますね。ただ、本来の公益目的に付随するものだという解釈で非課税になっている。

○ それはやはり公益事業の一環だということですか。

○ 一環ということですね。

○ それはわかりました。
 それから、どこまで収益事業をしていいかというのは、付随事業とはまた別の問題だと思うのですが、私はやはり○○委員がおっしゃったことの言い換えかもしれませんが、公益法人であることを隠れ蓑にして収益をあげることに精を出してしまうと困るという感じがします。しかし、その点は○○委員は、その収益を本来の事業に使えばいいのではないかということですけれども、その辺は確かに本来の事業に使えばいいということも言えるのですが、税制の問題としてそちらから出てきた利益をどこまで積み立てておくことができるのか。例えば、90%は本来の事業のためにその年に支出しなければいけない、あるいはその年か翌年度に支出しなければいけない、そうでなければ非課税に取扱いはしないとか、いろんなやり方があると思うのです。ただ、収益事業から出てきた利益を本来の事業に回せば法人税は課さないということにすると、この辺はまた税制の問題とも絡むと思うのですが、前に例を挙げたのですが、1つの通りにコンビニがあって営利事業としてやっている。そばに公益法人が全く同じようなコンビニをつくって、そして、あげた収益を本来の事業に回せば、その部分は課税対象にならないことになりますと、税引き後の収益率という点で随分違ってしまいますから、安い費用、安い価格で売れるということになりますので、営利企業の方は大変な損失を被るということになると思いますので、その辺はたしかに注意しなければいけない問題である。○○委員が競争上の問題とおっしゃったのはそういうことですか。その辺は随分注意しなければいけない問題だと思います。

○ では、○○委員、最後に。

○ とてもまとめることはできませんけれども、○○委員がおっしゃったのは非常に大きい問題だとは思うのですが、ただ、○○委員が御指摘になったように、そこから上がってきた利益を公益目的に使うだけで、後は普通の一般の事業活動を全く営利企業と同じように営む法人を公益法人と認定していいかというと、競争上の利益がそちらの企業に生じてしまって、そちらの方だけどんどん太っていくということになってしまいますので、現在の公益法人に対する優遇税制を前提にすると、少なくとも競争上は問題が生じてしまうのかなという感じがします。

○ ○○委員、どうぞ。

○ ○○委員の意見もよく分かるのですけれども、私は現場で見ておりまして、実質上の範囲を民間企業との範囲のオーバーラップを認めないというのはナンセンスだというように思っているのです。ただ、手法の段階で技術的な部分で○○委員が指摘するように確かに同じ立地で片方は不動産税がない、固定資産税がないけれども、片方はあるとか、いろんな部分で実質上、民間が不利益を被るというところは実質上はあるんですね。ただ、これが本来の事業か、付随もしくは収益事業かという、そのテクニックの問題で十分に解決できるというように思っています。一番の問題は現在はどういうように収益事業をやろうか、公益事業をやろうかというところを各団体が自分で決められないというのが今の公益法人の最大の課題なのです。つまり、課税されてもいいから収益事業をやりたいと言っても実質上はできないのですね。ですから、その辺の自主的な独立法人としての決定権を今回は是非ここで取りたい。取りたいという言い方は変ですけれども、確保したいと思っているのですね。当然、収益事業でその収益を課税して、課税後の税引き後の利益を再配分、本来目的にするというのは私は絶対にありだと思っているのですが、その収益事業そのものを非課税にするというのは、私も民間人なので、それはやはり民間には余りにも不利益だというように思います。
 ただ、一番はともかく自分の団体のマネージメントを自分が決定できない。これは何としても、やはり不合理だというように思いますので、その判断はその団体ができればいいのですよ。課税されても収益事業をやるのだと。その範囲や割合は別ですよ。割合は一定程度公益法人ですから、本来目的の方に当然重きを置かなくてはいけないのですが、その収益事業も含めて、ともかく決定権がないというのはやりは今、課題だろうと。ここを克服したいと思っています。

○ ○○委員、最後に。

○ 次回のときにお話してもいいことなのかもしれませんけれども、現行では何をもって収益事業とするか、ある意味では税制の観点からだけで考えられているところがあります。中身がいかに公益的な事業であっても収益事業に仕分けられる、そういう問題がありますので、そこについての考え方も少し整理をしていく必要があるかなと思っております。

○ 非常に熱心に議論に御参加いただきまして、ちょっと時間が遅れてしまいまして、申し訳ありませんでした。
 先ほど申し上げましたように、この続きは第12回ですが、判断要件のあり方にいて御議論をいただきますので、今日お配りした資料をお読みいただいて、御意見をお待ちいたしております。
 先ほど○○委員のおっしゃったことは、要するに、ここの会議では非営利法人制度という新しい制度をつくって、そして社会を活性化しようということを目的にやっているわけですが、それによって今度は民間営利事業が不活性化してしまっては何もならないわけでして、そこのバランスなのですね。それが競合しないような形で切り分けられればいいということだと思います。
 では、今日はありがとうございました。次回の予定を。

● 5月17日月曜日、1時半からを予定してございます。御注意していただきたいんですが、場所はこちらではございませんで、官邸の横の内閣府の3階の会議室でございますので、よろしくお願いいたします。法人ヒアリングということで、4人の委員の方からレポートをいただくことにしてございます。

○ 済みません。私はヒアリングに入っていないと思うんですが、私どもの会社のパンフレットをこの日に配らせていただいてもよろしいでしょうか。

○ よろしいですね。この前、概要は伺ったところなのですね。
 それでは、今日はありがとうございました。また、次回もよろしくお願いします。


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