1.日時:平成16年4月28日(水)10:00〜12:40
2.場所:虎ノ門第10森ビル3階会議室
3.有識者会議出席者
(座 長) 福原義春((株)資生堂名誉会長)
石川睦夫((財)住友財団専務理事・事務局長)
岩原紳作(東京大学教授)
勝又英子((財)日本国際交流センター常務理事・事務局長)
金子宏(東京大学名誉教授)
河野光雄(内外情報研究会会長・経済評論家)
関幸子((株)まちづくり三鷹 事業部プロジェクトグループマネジャー)
田中清((社)日本経済団体連合会常務理事)
田中弥生(東京大学助教授)
東ヶ崎邦夫((社)日本アイソトープ協会総務部長)
中田裕康(一橋大学教授)
(宇賀克也東京大学教授、加藤秀樹構想日本代表、能見善久東京大学教授は所用により欠席。)(50音順) (政府側) 佐藤総理補佐官、堀江事務局長、西室長、長屋参事官、岡本企画官、野口調査官 4.議事次第
○ 公益性の考え方・判断要件のあり方(1)
5.議事概要
○ 公益性の考え方・判断要件のあり方(1)
[当面の審議予定について]
事務局から、資料1「当面の審議予定」について説明があり、その後、討議が行われた。主な意見は次のとおり。
[1.公益性の考え方・判断要件のあり方(総論)について]
- 事務局での公益法人ヒアリングについて、法人の選定を行っているとのことだが、2万6千の法人の中からどのような基準でいくつ選定しているのか。
(← 明確な基準は立てていないが、法人関係委員や(財)公益法人協会等に相談しながら、規模の大小なども踏まえ、例えば財団なら助成型と事業型といった、色々な類型の法人から話を聞きたいと考えている。数が10、20と増えてきたところで、バランスを見ながら選定していきたい。)- 以前公益法人の調査を行ったことがあるが、300余りの大規模法人が公益法人全体の支出額の60%くらいを占めており、その多くが行政補完型の法人であったように思う。ヒアリングについては、民間イニシアチブ型と行政補完型の象徴的な法人も抽出して話を聞いたらどうか。
(← 行政補完型についても、全体の法人の中の一つのものとして意見を聞くことを検討したい。)- 大規模法人とは、どのくらいの支出規模の法人のことか。
- 以前の調査の際は、年間支出額100億円以上を大規模と識別したと記憶している。
- 資料1は公益性を有する法人についての検討を想定しているが、公益法人関係者やNPO関係者は、その前段階の非営利法人がどうなるかを心配している。現在の中間法人がそのまま非営利法人となるのか、非営利法人の類型は社団と財団だけなのかといった点についても議論する機会を設けてほしい。
(← 非営利法人ワーキング・グループからの報告や実態調査の報告の機会を設けることとし、日程も弾力的に考えていきたい。)- 実態を踏まえ、非営利法人制度がどういうものかを詰めるべき。ヒアリングの件は、2万6千ある法人の中でガバナンスも含めよくやっている法人を選定するのか、少し問題のあるところを選定するのかをはっきりさせるべき。
(← 統計的なサンプリング手法はとっていない。今後、公益と共益をどのように考えるか、収益事業をどう捉えるかといった議論を行う際の参考になるよう実態を把握したい。)- よくやっている法人のみをサンプルにとれば、例えば、ガバナンスの強化を前提とした議論をしても問題は出ないのかもしれないが、小さな法人などにしてみれば、それでは困るということにもなる。サンプルのとり方によって議論の前提が異なってくるので留意すべき。
(← そういった点も十分配慮して法人の選定に当たりたい。)
事務局から、資料2のうち「1.公益性の考え方・判断要件のあり方(総論)」について説明があり、その後、討議が行われた。主な意見は次のとおり。
[2.公益性の考え方(1)公益性を有する非営利法人の捉え方について]
- 今後、考え方Aを中心にした仕組みのあり方を検討するとのことだが、議論の中間整理では考え方A(公益性に相応しい規律の法人の受け皿の仕組みを民法等で規定)と考え方B(税法以外に公益性を取り扱う仕組みを特に設けない)が併記されていた。考え方Aを推す声が多かったというだけでは、なぜ今回考え方Bを却下することにしたのか腑に落ちない。
(← 当会議は法人法制を議論する場なので、考え方Aを進めていくのが役割。考え方Bを却下したというより、考え方Aを中心に議論をしていくということ。)- 論点整理で並列して書いていたが、会議の意見としては考え方Aでほぼまとまっていたということではないか。
- 当会議では課税か非課税かという議論をしないので、そこは切り離して考え方Aで考えるが、課税について政府税調で議論される際はあちらで決めるかもしれないということか。
(← 当会議においては考え方Aを中心に議論すべきとの意見が多かったということで、考え方Bは選択肢としてあるが当面はAに基づき議論を進めるべきではないか。)- 当会議で税について議論しないというのはそのとおりだが、我々はこう考えるというしっかりとした仕組みを政府税調に投げかけるという形で意見集約できればよいのではないか。
- なぜ考え方Bを推す声が少ないかを明確にすべき。官庁が公益性の判断を行うのは困難。2、3年ごとに担当者が異動となり、公益的な活動に対する知識や情報の蓄積ができない。公益性の判断を民間に委ねるのは適当でないという表現は問題で、何らかの形で国の権威が与えられた民間機関であればよいのではないか。
- 考え方AとBの両方を議論の俎上に乗せ、その上で今回、当会議として考え方Aに基づき議論を進めることを決めたらどうか。
(← 考え方Bは効果との関係もある。議論の結果、税以外に効果がないということになれば考え方Bになるのではないか。考え方Aを議論することによって、税以外の効果があるとまとめられれば、考え方Bは落ちることになるのではないか。)- 仮に効果が税しかなくとも、課税庁が判断するとは限らないのではないか。
- はじめは考え方AとBで迷っていたが、これは法人制度の問題であり、民法又はその付属法典の中で法人制度の基本的事項は規定すべき。国税庁は現業機関なので、公益性の判断ができるかという問題もある。この両面から、考え方Aが妥当。
- 議論の中間整理では論理的には考え方Bもあり得るとしたが、色々聞いても考え方Bが非常によいという意見もなかった。なぜ考え方Aがよいのかを我々が考えるべき。税以外にどのような効果があるかを示すのが我々の任務。
- 考え方Aで民間的な性格を持たせるということもあり得る。純粋な民間機関については、誰が費用を負担するのかを考えると困難。一番の問題は主務官庁の裁量であり、それをなくそうとしているのだから、考え方Aで民間の知恵を入れる方法をとるべき。
- 今の国税庁に公益性を判断させれば、限定的に厳しくやるに決まっている。柔軟にやらせるには考え方Aの方がよい。
- 課題は公益法人制度の改革なので、それを税制に投げてしまうわけにはいかない。
- 考え方Aで民間の力を活用するということについて、モデルがないわけではない。例えば、金融庁の公認会計士・監査審査会が民間メンバーを取り入れており、参考になるのではないか。
事務局から、資料2のうち「2.公益性の考え方(1)公益性を有する非営利法人の捉え方」について説明があり、その後、討議が行われた。主な意見は次のとおり。
[2.公益性の考え方(2)公益性を有する非営利法人の目的について]
- 裁量的な判断をなくすとともに公益とは何か分かりやすくするため、ある程度具体的な事業を列挙した方がよいのではないか。
- 公益性の判断が第三者機関により行われるようになれば、主務官庁による裁量性はなくなるため、一般的・抽象的な目的だけでよいのではないか。
- アメリカ型の行政委員会のような第三者機関に準立法的な機能を与え、どういう活動が公益かについての判断をさせればよい。
- どちらかを選ぶというのではなく、両方とも書いておけばよい。
- 一度事業を列挙し、うまくいくか検討してみればよい。各省庁の設置法の目的規定を議論の俎上に乗せることも考えられる。
- 省庁の設置法を議論するのは大掛かりになるのではないか。
- 大まかなグループ毎にイメージがつかめるものは列挙してはどうか。ただし、列挙されていないからダメだというのではなく、列挙されていないものも、地域性を加味しつつ、第三者機関による判断の裁量や柔軟性に期待したい。
- 具体的なイメージを法律に書き込まなくても、この会議としては列挙したイメージを第三者機関に伝えればよいのではないか。
- いずれにせよ第三者機関の裁量はどこまでも残るので、ガイドラインなどを示す必要があるのではないか。公益性の決め方の決め方を明らかにしておく必要があるのではないか。
- 列挙するのは事業ではなく目的ではないか。
- 使命を列挙するのであって、項目を列挙するのではないのではないか。
- 法律で列挙すれば、どういう活動をすれば公益法人になるか明快になるのではないか。不特定多数だけでは一般の人には分からないのではないか。
- 具体的に列挙することの目的としては、@判断主体の判断要件が明確になる、A利用者にとって便利である、B法律の理念・目的を国民一般に分かりやすくする、といったものがあり、各人によって着目点が異なる。このうち@Aについては、法律で書かなくても別の方法でも対応できるが、Bについては民法でも例示しているところだが、あまりきちんと書きすぎると動きにくくなろう。また、NPO法は「特定」非営利活動について定めたものであり、列挙方式がなじむかもしれないが、一般的な法人制度として位置づけるならばあまり書き込めないのではないか。
- 目的は列挙してもよいが、具体的な項目を列挙することについては議論の余地があるのではないか。
- 国際的なNPOの世界では、政策提言型が増えつつある。政策提言型のNPOをどう位置づけるか考えるべき。
- とりあえずは、政策提言型のNPOはNPOの話として、この会議とは別ではないか。
- 政策提言型は現在のNPOの範疇にはないので、新しい非営利法人制度ができればそちらに移行していくのではないか。
- 非営利法人の活動内容についてはまだ議論が足りない。限定すべきでないという意見とそれに対する反論もある。政策提言型については、非営利法人制度の議論にとりあえずは着目すればよく、公益法人の問題とは関係がないのではないか。
- 公益が何かについて、法律に書くかどうかは別として、委員の間では共通の理解をもっておく必要があるのではないか。その際、民間では行い得ないような活動、あるいは公共サービスに類する活動、というものになるのではないか。また、公益について法律、政省令等いずれに規定するにせよ、第三者機関には裁量が発生するが、判断に当たって合議制が担保されていればよいのではないか。
- 政省令になると一般からは見えにくくなる。大まかな分野については法律に明記しておかないと、あまりにも大きな裁量を第三者機関に与えてしまうのではないか。
- NPOと公益法人は位置づけが違う。公共的なサービスとは何かを書き出してみてはどうか。
- 政策提言型も議論の対象とすべきではないか。
- この会議のメンバーの間では、A案は第三者機関であって、ある特定官庁ではないというイメージが共有されているといっていいのではないか。
事務局から、資料2のうち「2.公益性の考え方(2)公益性を有する非営利法人の目的」について説明があり、その後、討議が行われた。主な意見は次のとおり。
[2.公益性の考え方(3)公益性を有する非営利法人の事業について]
- 不特定多数を不特定複数に読み替えることが適切ではないか。新たな公益活動は、小さな規模から始まっていくものであり、多数でないから公益性が認められないといったことになるのは適当ではないと思う。
- 受益する者と活動に参加する者のうち、いずれかが不特定であれば公益と認めてもよいのではないか。改革の理念として、公益的活動への社会の参加の促進を挙げるなら、法人に自由に参加できるという条件が満たされていれば、公益性があると判断してよいのではないか。
- 不特定複数とするとしても、受益者が「複数」のまま増えないこともある。「不特定多数」としておいて、「多数」を柔軟に解釈するという共通理解にしておく方が無難ではないか。公益の範囲が広がりすぎる場合があり得るのではないか。
- 公益の範囲が広がりすぎることを懸念するのは、悪用の範囲が広がるということを念頭に置いているのか。
- 善用であっても公益活動とは呼べないものまで入ってくる可能性を懸念している。
- どんな活動でも公益性が認められるのでは具合が悪いが、民間非営利公益活動を促進するなら、公益性を広く解すべきではないか。
- 不特定多数の問題は中間法人の問題と深いところで結びついており、中間法人制度の長所短所に引っ張られることが心配。中間法人について議論しないまま検討することに不安を感じる。
- この有識者会議では、まず、新たな公益性を有する非営利法人の仕組みを検討し、その後、現行法人制度との接合を考えるべき。
- 非営利だが公益性のない法人をどうするかが問題。
- 現行の中間法人制度がそのまま新たな非営利法人制度に入ってくると、非分配の原則が崩れ、原則課税になってしまう。中間法人が入ることで、非営利法人制度全体が規定されることになりかねない。
- 非営利活動を促進するなら、中間法人と区別した非営利法人制度を作るべき。
- 実際上、法人の直接目的と間接目的と言うのは、区別せずに活動している。経済活動の場合は会員のためにやることが、即ち日本のためになるという意識で活動している。
- 公正競争の例が挙げられているが、従来業法という形で役所が許認可を用いて企業をしばって、独禁法の適用除外にしていた。規制緩和でこれをやめることになったもので、そうなるとどうしても事業者団体が必要。役所がやっていた仕事を民間がやるのだから、公益活動と認めてはどうか。
- 日本のためという意識だけで、実際はそうでないということもある。目的は何かをはっきりさせるべき。
- 事業者団体が、事業者の保護を主たる目的とすることによって、その分野の産業が育成される場合もあるが、他方消費者が適正な価格でサービスを受けにくくなることもあり得る。見方を変えると公益にならないこともあり、この判断は非常に難しい。
- 特定性の問題ではないか。事業者団体に属している事業者の共同の利益だけではなく、事業活動を活発にすることによってその利益が社会全体にスピルオーバーする場合に、従来は公益性があると考えられていたのではないか。単に事業者団体のメンバーの利益を目的とするなら、それはまさに共益。利益がどこまで及ぶ活動であるかという観点から法人の目的を考えるべき。あくまで社会全体に広く、不特定の人に利益が及んでいくような活動をする団体を公益法人とし、この法人に対して様々な優遇措置が必要になるということではないか。
- 法人への参加が自由であることを以って公益性を認める意見があったが、法人の目的を議論する場合は、あくまで目的は誰の利益を図るものであるかについて考えるべき。参加自由という場合、財団法人をどう考えるのか。
- 参加者あるいは受益者のいずれかが不特定であれば、公益性を認めてよいと言う考えであり、参加者・受益者いずれも不特定である必要はない。
- 一般的に人間国宝となるような人で非常に不遇な状態にある人の支援活動をする団体であれば、不特定性があって公益法人として相応しいと思うが、果たして特定のA氏1人だけのための活動をする団体まで公益性を認める場合、そのような団体が優遇を受ける団体として相応しいか議論が必要。
- 法人の目的がどこまで広がるかが重要であり、人間国宝の例で言えば、その技能の後継者を育成することのできる環境の整備を支援する場合のように、たとえ特定の人であっても目的が将来に広がるものであれば公益性があるという考えもあるのではないか。
- 参加自由なら公益性があると言うが、例えば、プロ野球球団の応援団に公益性はあるだろうか。参加者が不特定多数という切り口だけでは公益性は判断できないのではないか。
- 法人の公益性は目的だけで判断すべきではなく、ガバナンス等も含め、法人全体で見るべき。
- 法人の従たる目的として共益が許容できるかについて、共益も含めてよいとする理由と、含めるとまずいとする理由をよく検討すべき。含めてよいとする理由としては、共益的な活動により公益目的が活性化されるというメリットがある。他方、含めるべきでないとする理由として、@税の優遇措置との関係や、競争上営利法人に対して有利な地位に立つのは適当ではないこと、A共益目的が活発になると公益目的がおろそかになるおそれがあること、B目的の主従の区分が困難であることが考えられるが、これらはいずれも対応が可能という気もする。仮に、対応が可能であれば、共益を含めてよいという理由との比較の中で、共益の取扱いを決めてもよいのではないか。
事務局から、資料2のうち「2.公益性の考え方(3)公益性を有する非営利法人の事業」について説明があり、その後、討議が行われた。主な意見は次のとおり。
- 現実には非営利の活動と営利の活動との境界はあいまいなのが実態であり、それをよく考慮すべき。公益性を有する非営利法人が営利企業の事業と競合していたとしても、ある限度までは公益的な事業として認めるべき。但し、利益分配を認めず、内部留保させる等の制約が必要。その際には、公益性を有する非営利法人の内部留保が増えることも許容すべき。
- 保育園の運営等、非営利法人と営利法人とで目的が合致することもある。両者の区別は、事業の運営の仕方、利益分配の有無、社員・従業者の収益志向、というような、法人のガバナンス等に着目すべきではないか。
- 収益事業と共益事業という区別だけでなく、本来事業と収益事業とを区別して議論するべき。
- 英国では、チャリティのミッション、例えば、ミュージアムの運営は公益事業、ミュージアムショップやミュージアム利用者限定のレストランの運営はその付随事業として位置付け、ミュージアムの外で行う事業(ミュージアム利用者以外も利用できるレストラン等)はこれらと区別している。付随事業は公益事業の一部ということで、非課税扱いされているが、ミュージアムの外で行う事業は課税対象とされている模様。
- 公益性を有する非営利法人にとって、収益事業は自主財源の充実のために必要だが、本来事業と課税対象となる収益事業との間の仕分けは、きちんとしておくべき。それは、公益性の判断が行われるときに第三者機関なり合議体なりの判断主体で仕分けられるべきだが、両者を明確に仕分けることは難しいのが実態。どう仕分けるかの基準は、この有識者会議で容易に決められるものではない。
- 公益法人を広く解すればする程、税の効果を期待することが難しくなる上、公正競争の問題も発生する。公益を厳しく解し、その代わりに税の効果を付与する方が好ましいのではないか。営利法人にとって、課税が軽減される公益法人の収益事業との競争は公正でなく、営利法人の事業運営が苦しくなる、という批判は根強い。公益的な本来事業と収益事業とは峻別し、収益事業は従たる位置付けにおいて抑制すべき。また、この考え方で行く場合は公益的な本来事業についても、限定列挙すべきということになる。
- 本来事業と収益事業との間のバランスが重要。公益性を有する非営利法人の活動を萎縮させないためには、収益事業の範囲・規模を狭くしすぎるのもよくない。
- 公益性を有する非営利法人の事業内容を主たる本来事業と従たる収益事業に分けることは、重要ではない。重要なのは、法人が獲得した資金を何に使い、それがどう評価されるか。営利法人と収益事業で競合したとしても、収益を本来事業に当てていればよい。収益の額の大小は関係なく、収益の使われ方が重要ではないか。
- まず、収益事業が本来の公益事業の一環かどうかが問題。また、どれだけ収益事業をしてもよいかという議論では、公益性を有する非営利法人についてどれだけ内部留保を認めるべきか、ということが論点。公益性を有する非営利法人であることを隠れ蓑にして収益事業に精を出すのは問題。税の面でも色々な方策があり、収益事業の利益を本来事業に廻せばよいが、みなし寄付があると、非営利法人と営利法人とで税引き後の利益率が大きく異なり、不公正な競争を招く点に注意。
- 非営利法人の事業領域と営利法人の事業領域とのオーバーラップを認めないのはナンセンス。非営利法人に対する税制上の措置等があれば、営利法人が競争上不利益を被る可能性があることは否定できないが、公益的な本来事業と付随的な収益事業との切り分けなどで解決できる。今の公益法人制度で問題なのは、課税されてもいいから何か収益事業を行いたくても、公益法人側が自由に開始・選択することが実質的にできないこと。これについては、法人側にマネジメントの決定権を与えるべき。
- 何をもって収益事業とするかということについては税制の観点からしか議論されていないので、中身がいかに公益的な事業であるべきか、という点についても整理する必要。
- 非営利法人による社会の活性化を図る一方で、営利法人の事業を沈滞させてはならない。両者のバランスが問題。
(文責:内閣官房公益法人制度改革推進担当)