平成17年12月
内閣官房行政改革推進事務局
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(1) | 一般的な非営利法人制度には、社団形態の法人と財団形態の法人を設けるものとする。 |
(2) | 法人は、その行う事業の公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)によって簡便に設立できるものとする。 |
(3) | 法人制度の濫用防止の観点から、会社法と同様に、休眠法人の整理の制度及び裁判所による解散命令の制度を設ける。 |
(注1)法人は、剰余金を社員又は設立者に分配することを目的としないものとする。 | |
(注2)事業を譲渡した法人の競業の禁止等に関する規定(中間法人法第8条の4から第8条の6まで)は置かないものとする。 |
@ | 社員となろうとする者(設立時社員)2名以上が共同して定款を作成するものとする。 |
A | 法人の定款には、i 目的、ii 名称、iii 主たる事務所の所在地、iv 設立時社員の氏名又は名称及び住所、v 社員の資格の得喪に関する規定その他所定の事項を記載しなければならないものとする。 (注)社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しないものとする。 |
B | 設立時の財産保有の最低額に関する規制は設けないものとする。 |
C | 設立時社員、設立時理事及び設立時監事の損害賠償責任についての規定を設ける。 |
@ | 社員の経費支払い義務、任意退社、法定退社及び除名等に関する規定を設ける。 |
(注1)「任意退社」について定款による別段の定めを許容するが、「やむを得ない事由」がある場合には、退社の自由を保障するものとする(中間法人法第24条第3項参照)。 (注2)社員の「除名」には、多数者による不当な少数者排除を防止する観点から、「正当な事由があること」を要件とするものとする(中間法人法第26条参照)。 |
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A | 社員名簿の作成、備置き及び閲覧等の規定を設ける。 (注)債権者による社員名簿の閲覧請求は認めないものとする。 |
@ | 機関の設置 | |
ア |
社員総会及び理事は必置とする。 | |
イ | 定款の定めにより、理事会、監事又は会計監査人の設置も可能とする。 | |
A | 社員総会、理事、理事会、監事及び会計監査人 | |
ア | 理事、監事及び会計監査人(以下「理事等」という。)は、社員総会の決議によって選任するものとし、その任期は、それぞれ2年、4年及び1年とする。ただし、理事会を置かない場合には、定款によって、理事及び監事の任期を10年まで伸長できるものとする。 (注)理事会を置く場合における理事及び監事については、定款による任期の伸長を認めないものとする方向で検討する。 |
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イ | 社員総会は、法律に規定する事項及び法人の組織、運営、管理その他法人に関する一切の事項について決議をすることができることとする。 | |
ウ | イにかかわらず、理事会を置く法人においては、社員総会は、法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができるものとする。 | |
エ | 理事会を置かない法人の理事は、定款に別段の定めがある場合を除き、法人の業務を執行する。 | |
オ | 理事会の職務は、i 業務執行の決定、ii 理事の職務の執行の監督、iii 代表理事の選定及び解職とする。 | |
カ | 理事会は、i 重要な財産の処分及び譲受け、ii 多額の借財、iii 重要な使用人の選任及び解任、iv 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止、v
理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他法人の業務の適正を確保するための体制の整備、vi 定款の定めに基づく理事の責任の免除その他の重要な業務執行の決定を各理事に委任することができないものとする。 (注)後記6.の大規模な法人においては、理事会は v の事項を決定しなければならないものとする方向で検討する。 |
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キ | 理事会を置く法人の業務を執行する理事は、3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないものとする。 | |
ク | 監事は、理事の職務の執行を監査する。 | |
ケ | 会計監査人は、法人の計算書類及びその附属明細書を監査する | |
B | その他 | |
ア | 理事等と法人との関係(委任関係及び忠実義務等)に関する所要の規定を設ける。 | |
イ | 法人運営の適正化を図るため、理事等の法人又は第三者に対する責任に関する規定を整備する。 | |
ウ | 理事等の法人に対する責任の一部免除に関する規定を設ける。 |
@ | 各事業年度に係る計算書類等の作成等を義務付ける。 |
A | 法人は、法務省令で定めるところにより、定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表等を公告しなければならないものとする。 |
@ | 法人は、定款で定めることにより、その資金調達及び財産的基礎の維持を図るための制度として、基金制度を採用することができるものとする。 |
A | 基金を引き受ける者の募集をするときは、募集事項を定めなければならないこととするほか、基金の申込み、基金の割当て、基金の引受け、金銭以外の財産の拠出及び検査役による価額の調査等に関する規定を設ける。 |
B | 基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければならないものとするほか、返還をする基金に相当する金額を代替基金として計上し、代替基金は取り崩すことができないものとする。 |
C | 一定の場合を除くほか、法人は、自己を債務者とする基金の返還に係る債権を取得することができないものとする。 |
D | 基金の返還に係る債権には、利息を付することができないものとする。 |
@ | 財団の設立者は、定款を作成し、かつ、設立時に300万円以上の財産を拠出しなければならないものとする。 (注1)金銭の払込みは、設立者が定めた銀行等においてしなければならないものとする。 (注2)設立者は、法人の成立後は、意思表示の瑕疵(錯誤、詐欺又は強迫)を理由として財産の拠出の無効又は取消しをすることができないものとする。 |
A | 財団の定款には、i 目的、ii 名称、iii 主たる事務所の所在地、iv 設立者の氏名又は名称及び住所、v 設立に際して設立者が拠出する財産及びその価額、vi
設立に際して評議員となる者(設立時評議員)、理事となる者(設立時理事)及び監事となる者(設立時監事)の選任に関する事項、vii 評議員の選任及び解任の方法その他所定の事項を記載しなければならないものとする。 (注1)次に掲げる定款の定めは、その効力を有しないものとする。 i 理事会等が評議員を選任し、又は解任する旨 ii 設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨 (注2)財団の目的である事業を行うために不可欠な財産に関する定めを定款記載事項とすることの当否について、検討する。 |
B | 存続中に保有すべき純資産の総額は、300万円以上でなければならないものとする。 |
C | 財団は、遺言によっても設立できるものとする。 (注)遺言による設立の場合、定款の作成等の財団の設立手続については、遺言執行者が行わなければならないものとする方向で検討する。 |
D | 設立者、設立時理事及び設立時監事の損害賠償責任についての規定を設ける。 |
@ | 機関の設置 | |
ア | 理事の業務執行を監督し、かつ、財団の重要な意思決定を行う機関として、評議員及び評議員会制度を創設するほか、理事、理事会及び監事を置かなければならないものとする。 | |
イ | 定款の定めにより、会計監査人の設置も可能とする。 | |
A | 評議員、評議員会、理事、理事会、監事及び会計監査人 | |
ア | 評議員は、定款で定める方法により選任するものとする。また、理事等は、評議員会の決議によって選任するものとする。 | |
イ | 評議員、理事、監事及び会計監査人の任期は、それぞれ6年、2年、4年及び1年とする。ただし、評議員の任期は、定款によって、10年まで伸長できるものとする。 | |
ウ | 評議員及び理事等と法人との関係(委任関係等)に関する規定を設ける。 | |
エ | 評議員会は、法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができるものとする。 (注)評議員の議決権の数について、定款による別段の定めは許容しないものとする。 |
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オ | 評議員、理事、監事及び会計監査人について、2.(3) Aオからケまで及びBに相当する規定を定める。 |
@ | 設立者が定めた財団の目的及び評議員の選任等に関する方法は、その変更に関する規定を定款に定めない限り、変更できないものとする。 (注) 上記の変更に関する規定がない場合であっても、やむを得ない事由があるときは、財団の目的や評議員の選任等に関する規定を変更することができるものとすることの可否について、検討する。 |
A | 事業の譲渡及び解散に関する所要の規定を整備する |
(1) | 基金の返還に係る債務の弁済は、その余の清算法人の債務の弁済がされた後でなければすることができないものとする。 |
(2) | 定款又は清算中の法人の社員総会若しくは評議員会の決議によって帰属が定まらない残余財産は、国庫に帰属するものとする。 |
(3) | その他、法人の清算に関する所要の規定を設ける。 |
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(1) | 上記1の法人のうち、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする事業(以下「公益的事業」という。)を行うものは、内閣総理大臣又は都道府県知事(以下「行政庁」という。)の認定を受けることができるものとする。 | |
(2) | 行政庁による認定等は、以下のとおり行われるものとする。 | |
@ | 内閣総理大臣は、有識者からなる合議制の委員会(5.参照)の意見に基づき、公益性を有する法人を認定し、認定を受けた法人(以下「公益認定法人」という。)の監督等を行うこととする。 | |
A | @にかかわらず、一定の地域を拠点として活動する法人については、原則として、国に準じた機能を有する体制の下、都道府県知事が、公益性を有する法人を認定し、公益認定法人の監督等を行うこととする。 |
(1) | 行政庁は、公益認定法人の満たすべき要件について、認定の申請をした法人がこれに適合すると認めるときは、公益性を有する法人として認定するものとする。 | |
(2) | 行政庁は、認定を受けている法人が公益認定法人の満たすべき要件を遵守することを確保するため、4.の監督を行うものとする。 | |
(3) | 公益認定法人の満たすべき要件として、概要以下の各事項を柱に、具体的な認定基準等又は遵守事項を定めるものとする。 | |
@ | 目的・事業 | |
ア | 公益的事業を行うことを主たる目的とするものであること。 | |
イ | 公序良俗を害するおそれのある事業、社員等の特定の者に対し特別の利益を与えるような事業等を行わないこと。また、公益的事業として営利企業と競合する性質を有する事業活動等を行わないこと。 | |
ウ | 公益的事業に係る事業費が、原則として、全事業費及び管理費の合計額の半分以上を占めること。 | |
A | 機関 | |
ア | 同一親族等が理事及び監事の一定割合以上を占めないこと。 | |
イ | 一定の規模に達しないものを除き、会計監査人を置いていること。 | |
ウ | 社団にあっては、社員の資格の得喪に関して不当な条件を付していないこと、理事会及び監事を置いていることその他社員の意見が適正に反映されるものとなっていること。 | |
B | 財務等 | |
ア | 公益的事業を適確に実施するため必要と認められる資産を維持するための措置を講じていること。 | |
イ | 株式等を特定の場合を除き保有しないこと。 | |
ウ | 収益を法令の定める方法により処理すること。 | |
エ | 必要な限度を超えて内部留保を保有しないこと。 | |
オ | 公益的事業を実施するために必要な経理的基礎及び技術的能力を有すること。 | |
カ | 公益的事業以外の事業(その他事業)の収益は、原則として公益的事業に使用し、その会計は、公益的事業の会計から区分して経理すること。 | |
キ | 民間事業の役員の報酬等、当該法人の資産及び収支その他の経理の状況等を考慮して適正な役員報酬等を定め、その内容を公表しなければならないこと。 | |
C | 帳簿書類の備付け、合併・解散等の届出等 | |
ア | 財産目録その他の計算書類、事業計画、社員名簿(社団の場合)、役員名簿等を事務所に備え付け、請求をした一般の者に対し、プライバシー保護等に留意しつつ、これを閲覧謄写させること。また、上記の帳簿書類を年に一度、行政庁に提出すること。 | |
イ | 定款で、清算時の残余財産を国、地方公共団体又は当該法人と類似の目的を有する公益認定法人等に帰属させる旨を定めていること。 | |
ウ | 当該法人が消滅することとなる合併を行おうとする場合や、当該法人が解散をした場合等には、所定の期限までに行政庁に届け出ること。 | |
D | 欠格事由 | |
ア | 以前に認定を取り消された法人であって取消しから一定期間を経過していないもの、暴力団員が事業活動を支配している法人、法令等に違反している法人等である場合 | |
イ | 役員が暴力団員である法人、役員に一定の処罰歴がある法人等である場合 |
ア | この制度の施行に必要な限度において、その事業活動及び組織運営の状況に関し必要な報告を徴収し、又は立入検査を行うことができること。 |
イ | エの認定取消事由に該当する疑いがあると認める場合には、必要と認められる措置をとるべき旨の勧告を行うことができること。また、この勧告を受けた法人が正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかった場合には、当該措置をとるべき旨の命令を行うことができること。 |
ウ | 公益的事業の実施が見込まれない場合には、期限を定めて、当該公益認定法人が認定を受けた後に獲得した資産等のうち公益的事業に使用すべきものと認められる金額を公益的事業に使用することを命ずること等ができること。 |
エ | 所定の事由に該当する場合には認定を取り消さなければならないこと。また、この所定の事由以外の一定の事由がある場合には、認定を取り消すことができること。 |
(1) | 国民に対して迅速に情報を提供するための体制を整備すること、所要の税制上の措置を講ずることその他所要の事項を定めるものとする。 |
(2) | 所要の罰則規定を置くものとする。 |
イ | 福祉の向上 |
ロ | 国民の健康の保護 |
ハ | 環境の保全 |
ニ | 公共の安全の確保 |
ホ | 文化の発展 |
ヘ | 公正・自由な経済活動の機会の確保・促進 等 |
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(1) | 民法第34条の規定により設立された法人は、新法の施行日において新法の規定による社団形態の法人又は財団形態の法人として存続するものとする。 (注)上記により存続する法人であって、後記の移行の登記を行っていないものを、「特例社団法人」又は「特例財団法人」といい、これらを総称して「特例民法法人」という(以上は制度上の呼称であり、実際の名称は下記(2)のとおり。)。 |
(2) | 特例民法法人は、移行期間中、「社団法人」「財団法人」というこれまでの名称を使用することができるほか、特例民法法人に対しては、現行民法の関連規定及び「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)等と同様の規定・基準等に基づき、現行の所管官庁(以下「旧主務官庁」という。)が引き続き指導監督するものとするなど、実質的には現行の公益法人と同様の取扱いとする。 |
(1) | 特例民法法人は、施行日から起算して5年を経過するまでの間(以下「移行期間」という。)に公益性の認定の申請又は公益性の認定を受けない通常の社団又は財団(以下「通常の社団等」という。)への移行の認可の申請ができるものとする。 |
(2) | 移行期間満了日において上記(1)の公益性の認定又は移行認可を受けていない場合は、当該日において解散するものとする。ただし、移行期間満了日において申請をしている法人は、当該申請に対する認定、認可等の処分がされるまではなお特例民法法人として存続する。 |
(1) | 特例民法法人の定款の記載、機関設計等については、新法の規定は適用せず、従来のとおりとする。 |
(2) | 特例財団法人については、通常の財団に移行した後も含め、移行期間中は保有する純資産の総額が300万円未満でも存続できるものとする。(ただし、公益性の認定を申請する場合は300万円以上保有していなければならないものとする。) |
(3) | 計算書類等の作成、貸借対照表等の公告等に係る新法の規定については、特例民法法人には適用しないものとする。 |
(4) | 特例社団法人は、新法に基づく基金を募集することができることとする。 |
(5) | 特例民法法人の登記については、施行日において現行の登記を新法に基づく登記とみなすとともに、公益性の認定を受けた後又は通常の社団等への移行の認可を受けた後に、新法に則り必要な登記(名称、必置機関の設置等)を行うこととする。 |
(1) | 認定の申請 公益認定法人への移行を希望する特例民法法人は、旧主務官庁を経由して行政庁に対して公益性の認定を申請できるものとする。 |
(2) | 認定の審査 特例民法法人が行う公益性認定の申請については、定款又は定款変更案が新法の規定に適合していることなど、新たな制度における社団又は財団について公益性を認定する場合と基本的に同一の基準により審査するほか、活動実績、申請時における財務状況等についても審査するものとする。 |
(3) | 移行後の監督 (1)の認定を受けた特例民法法人は、移行の登記をした後は、公益認定法人として取り扱われ、行政庁の監督を受けるものとする。 |
(1) | 認可の申請 | |
@ | 特例民法法人が、通常の社団等へ移行する場合には、旧主務官庁を経由して行政庁に対し移行認可申請を行わなければならないものとする。 | |
A | 当該申請の際には、定款又は定款変更案が新法の規定に適合していることを要するものとする。 | |
(2) | 移行した法人に対する財産規制 移行認可を受けた法人は、例えば、申請時に保有していた純資産に相当する額など一定の額を、移行認可後、国、地方公共団体等に寄附するか当該法人が移行前に実施していた事業(付随的な収益事業を除く。)等に使用するものとし、その適正な運用確保のため必要な範囲内で行政庁は監督を行うこととするなど、移行時に保有している財産の取扱いについて検討し、所要の規定を設ける。 |
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(1) | 新法は、公布後、必要な周知期間を置いた後、平成20年度中に施行する。法律の円滑な施行を図るため、上記の委員会の組織等に関する部分は、先行して施行する。 |
(2) | 新法の施行に伴い、中間法人法を廃止するほか、民法その他の関連する諸法律の規定を整備する。 |