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今後の行政改革の方針


平成16年12月24日
閣  議  決  定
平成18年6月16日
一  部  改  正
平成18年12月26日
一  部  改  正


 行政改革については、中央省庁等再編後の概ね5年間を集中改革期間として、国・地方を通ずる行政の組織・制度の在り方や行政と国民との関係等を抜本的に見直し、新たな行政システムを構築することを基本理念とする「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定。以下「12年行革大綱」という。)に基づき、特殊法人等改革、行政委託型公益法人等改革、政策評価制度の導入などを進め、成果を挙げてきたところである。
 しかしながら、行政改革は、不断に取り組むべき課題であり、引き続き、構造改革の重要な柱の一つとして、「民間にできることは民間に」、「地方にできることは地方に」等の観点から強力に推進していく必要がある。
 このため、今後の行政改革の方針を決定し、行政改革の手綱を緩めることなく、更に積極的に推進することにより、簡素で効率的な政府を構築し、財政の立て直しに資するとともに、行財政運営の改善・透明化、国民生活の利便性の向上を図ることとする。

1 政府及び政府関係法人のスリム化等
(1) 国民の期待に応えるスリムで効率的な政府の実現
 社会経済情勢の変化に対応したスリムで効率的な政府を実現するため、国の事務・事業の見直しを行い、必要性の低下した事務・事業については、積極的に廃止・縮小を進め、必要性はあるものの国が直接行う必要のない事務・事業については、民営化、民間委託、PFIの活用、独立行政法人への移管等を進めることにより、組織・業務の減量・効率化を図る。特に、地方支分部局等の事務・事業や、情報通信技術の活用により効率化が見込まれる事務・事業について、以下のア、イに取り組むことにより、集中的に減量・効率化を行う。
 このような合理化の取組を通じて、平成17年度から平成21年度までの5年間に平成16年度末定員の10%以上を削減することを目指す。このため、平成17年夏に定員削減計画を改定する。これにより、府省内はもとより、府省を越えた定員の再配置を進め、治安、徴税等真に必要な部門には適切に定員を配置するなど、行政需要の変化に対応したメリハリのある定員配置を実現する。その際、府省を越える配置転換の一層の活用に努める。
 また、行政組織についても、総合性及び機動性の向上を図りつつ、簡素かつ効率的なものとする。
 このような減量・効率化を具体的かつ計画的に進めるため、予算編成過程等を通じて、中期的事項を含め組織・業務の見直しの具体化を図り、これを減量・効率化に係る方針として取りまとめて公表するとともに、毎年改定を行う。

 地方支分部局等の事務・事業の抜本的見直し
 地方支分部局等の事務・事業について、別紙1に掲げる取組をはじめとして、以下の考え方により抜本的な見直しを行う。なお、見直しに当たっては、三位一体の改革の取組や今後の道州制等の検討を踏まえる。

   (ア)  地方支分部局等が行う必要性の低下した事務・事業は、廃止、民営化等を行うこととし、地方公共団体から要望がある場合については、地方公共団体への移譲を行う。
 地域産業振興、業所管行政等については、地方分権や規制改革を進め、これにより業務の地方公共団体への移譲、廃止を行う。

   (イ)  地方支分部局等が行う必要のある事務・事業であっても、政策の実施に係るものについては、民間委託、独立行政法人への移管等を積極的に進める。

   (ウ)  地方支分部局等が行うその他の事務・事業についても、全面的な見直しを行い、情報通信技術の活用、民間委託等を進める。

 情報通信技術の活用
 行政分野への情報通信技術の活用を図るとともに、これに伴う以下の業務改革に取り組むことにより、組織・業務の減量・効率化を行う。

   (ア)  「電子政府構築計画」(平成15年7月17日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議(以下「CIO連絡会議」という。)決定)に基づき新たに共通的なシステムが構築される内部管理業務(人事・給与等、共済、物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金、旅費等の業務)については、同計画等に基づき、新システムへの移行及びそれに伴う業務改革を行い、実質的に4割以上の効率性の向上を図り、当該業務に係る定員の3割以上の削減を行う。

   (イ)  行政手続のオンライン化による組織・業務の減量・効率化の実をあげるため、法令に基づくすべての行政手続を抜本的に見直し、2割以上の行政手続について、削減、統合・ワンストップ化、添付書類の削減・廃止、申請・届出等の頻度軽減、処理期間の短縮等を行う。特に、年間申請件数10万件以上の手続については、後掲5(1)アに掲げる行動計画の策定を通じて、思い切った合理化を実施する

   (ウ)  いわゆる旧式(レガシー)システム等の業務・システムについては、後掲5(1)イにより、可能な限り早期に最適化を実施し、定員の大幅な削減を計画的に進める。

   (エ)  上記の取組に加えて、人事・給与、共済、物品調達、物品管理等の業務については、後掲5(1)イに定める決裁等の業務処理の改革や手続の簡素化等を積極的に行うとともに、他の業務についても決裁階層を含む業務処理手順の簡素化、起案・決裁の電子化等の抜本的な業務改革を行う。


(2) 独立行政法人の組織・業務全般の見直し等
 独立行政法人については、「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」(平成15年8月1日閣議決定)に基づき、中期目標期間の終了時において、法人組織の廃止・統合や民営化を含め、組織・業務全般について極力整理縮小する方向で見直す。また、特定独立行政法人について、その業務を国家公務員の身分を有しない者が担う場合に生ずる問題点を具体的かつ明確に説明できない場合には特定独立行政法人以外の独立行政法人への移行を進める。
 特に、平成17年度末までに中期目標期間が終了する独立行政法人のうち32法人については、
@   独立行政法人消防研究所及び独立行政法人農業者大学校の廃止
A   次に掲げる各法人の統合
  ・  独立行政法人国立青年の家、独立行政法人国立少年自然の家及び独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター
  ・  独立行政法人産業安全研究所及び独立行政法人産業医学総合研究所
  ・  独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、独立行政法人農業工学研究所及び独立行政法人食品総合研究所
  ・  独立行政法人水産総合研究センター及び独立行政法人さけ・ます資源管理センター
  ・  独立行政法人土木研究所及び独立行政法人北海道開発土木研究所
  ・  独立行政法人海技大学校及び独立行政法人海員学校
B   研究開発・教育関係法人の役職員の身分の非国家公務員化
をはじめとする組織・業務の見直し内容が決定されたところである。これらの法人については、決定された見直し内容に沿った措置を着実に実施するとともに、平成17年度末に中期目標期間が終了する法人のうち今後結論を得ることとなる24法人についても、本年の見直し結果を踏まえつつ、組織・業務全般の見直しについて、平成17年中に更に検討を進め、結論を得る。
 なお、当該見直し後に策定される新たな中期目標については、当該見直し時における総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘に沿って、目標期間中に達成すべき水準をできる限り定量的・具体的に定める。特に、業務運営の効率化については、特殊法人等から移行して設立された独立行政法人と同程度に厳しくかつ具体的な一般管理費及び事業費の削減・効率化目標を示すとともに、業務の質の向上についても極力客観的・具体的な目標とすることにより、一層質の高い効率的な業務運営を目指す。
 また、運営費交付金については、透明性を向上させ、説明責任を確保する。

(3) 特殊法人等改革の着実な実施等
 特殊法人等については、改革対象となる163の法人について「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に沿って改革を進めており、これまで既に8割強(135法人)について廃止、民営化、独立行政法人化等の措置が講じられたところであるが、今後とも、組織形態について未措置の法人について、法改正等の所要の措置を講じる等引き続き「特殊法人等整理合理化計画」の具体化を進める。特殊法人等及び特殊法人等から移行した独立行政法人については、事業の廃止・縮小・重点化などを通じて財政支出の縮減を図る。

(4) 行政代行法人等の見直し
 官民の役割分担、規制改革及び国の関与等の透明化・合理化の観点から、平成18年度末までに、以下の法人について、所要の見直しを行う。

 特別の法律により設立される法人
  (ア)  特別の法律により設立される民間法人については、「特別の法律により設立される民間法人に関する指導監督基準」(平成14年4月26日閣議決定)において、初回の見直しを平成17年度末までに行うこととされており、この見直しの際に、当該法律の改廃を含め、厳格な見直しを行う。特に、検査・検定関係法人については、民業圧迫の観点や検査・検定料の適正性の観点から一層厳しく見直す。

  (イ)  その他の特別の法律により設立される法人(独立行政法人、特殊法人、認可法人及び共済組合を除く。)については、民間企業の類似業務と競合し民業を圧迫していないかどうか等の観点からその業務について見直す。

 国からの指定等に基づき特定の事務・事業を実施する法人
  (ア)  法令等に基づき国の指定、認定、登録等を受けて、法令等で定められた特定の事務・事業を実施している法人(独立行政法人、特殊法人、認可法人、共済組合、上記アの法人及び「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定。以下「改革実施計画」という。)において事務・事業の改革の対象となった法人を除く。)については、法令等で定められた特定の事務・事業の内容や指定、認定、登録等の形態を精査、分類し、改革実施計画にならって、国の関与等の透明化・合理化のための基準を策定し、厳格な見直しを行う。

  (イ)  今後、国以外の特定の法人に法令等で定められた国の事務・事業を実施させざるを得ない場合には、改革実施計画を踏まえ、原則として、法律にその根拠を明示すること、指定制ではなく登録制とすること等とし、規制の新設審査の一環として厳しく審査する際の基準を策定する。

 基金等を保有する法人
 補助金等の交付により造成した基金等を保有する法人(独立行政法人、特殊法人、認可法人及び共済組合を除く。)については、以下の基準を策定するとともに、個別法人ごとに精査し、事業の見直しを行う。
・基金事業の見直しの時期の設定に係る基準
・資金事業の目的達成度の客観的な判定、公表に係る基準
・基金の保有割合についての数値基準
・使用見込みのない資金の国への返納に係る基準
2 行政効率化の推進
 各府省は、納税者の視点に立って、各府省毎に作成した行政効率化推進計画(平成16年6月15日行政効率化関係省庁連絡会議取りまとめ)に基づき、「行政コスト削減に関する取組方針」(平成11年4月27日閣議決定)の取組を引き継ぎ、以下の取組をはじめとする別紙2の関係府省に共通する主要な取組を実施するなど行政効率化を推進する。
  (ア)  公用車の効率化
 各府省の保有する公用車(運転手付で専ら人の移動用の庁用乗用自動車)について、職員運転手の雇用問題に留意しつつ、交換時期等を勘案し、平成15年度から平成25年度までの間に約600台削減する。

  (イ)  公共調達の効率化
 公共調達について、価格だけでなく技術や品質を含めた評価の下で、健全な競争を促進するなど入札・契約の一層の改革・適正化を進める。

  (ウ)  公共事業のコスト縮減
 公共事業のコスト構造改革に取り組み、平成15年度から5年間で15%の総合コスト縮減率の達成を目指す。

  (エ)  電子政府関係の効率化
 電子政府の構築に向けて、業務・システムの最適化及びこれに対応した減量・効率化等の取組を進める。

  (オ)  アウトソーシング
 アウトソーシングについては、ガバナンスに留意しつつ、各府省共通業務、各府省固有事務・事業ともに積極的に推進する。

  (カ)  IP電話の導入
 IP電話については、通信費の削減を図るため、すべての府省は、費用面・技術面での動向を踏まえつつ、順次導入を図る。

  (キ)  統計調査の合理化
 農林水産統計などに偏った要員配置等を含めて、既存の統計を抜本的に見直す。
 また、ITを活用した効率的かつ高度な統計調査を実施するとともに、可能な分野については早急にアウトソーシングを進める。

  (ク)  国民との定期的な連絡に関する効率化
 税の申告、年金受給者の生存確認等、国民との定期的な連絡を伴う業務を行うに当たっては、インターネット等の活用により、利用者の利便性を常に念頭に置くとともに、業務の効率化を図るものとする。

  (ケ)  出張旅費の効率化
 外国出張の際は、原則、割引航空運賃を利用することとする。

  (コ)  交際費等の効率化
 部外者に対し、儀礼的、社交的な意味で支出するという趣旨を徹底し、かつ、職務関連性を一層厳しく確認する。

イ   各府省は、毎年予算案決定後、行政効率化推進計画の取組実績を国民に分かりやすい形で公表し、フォローアップを行う。

ウ   各府省は、平成18年度までを行政効率化の重点期間とし、毎年概算要求までに、それぞれ、実務経験の豊富な民間有識者を含む「行政効率化推進会議(仮称)」を開催し、前年度までの行政効率化推進計画の実施状況、会計検査院の検査報告、総務省の行政評価・監視結果に基づく勧告等、財務省の予算執行調査などを踏まえ、次年度以降取り組むべき行政効率化策を議論し、行政効率化推進計画について所要の見直しを行う。

エ   各府省は、行政効率化関係省庁連絡会議に、各府省の「行政効率化推進会議(仮称)」の議論の結果や行政効率化推進計画の見直し等を報告し、同連絡会議を通じて全省的な行政効率化に結びつける。
 なお、各府省の行政効率化推進計画の実施状況を踏まえ、必要な場合には、推進体制の更なる強化について検討する。
3 行財政の制度及び運営の改善・透明化
(1) 特別会計の見直し
 特別会計については、「特別会計の見直しについて―基本的考え方と具体的方策―」(平成15年11月26日財政制度等審議会)及び「特別会計の見直しについて―フォローアップ―」(平成16年11月19日同審議会)で提起されている指摘や、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)に基づき関係府省により作成される改革案を踏まえつつ、引き続き歳出改革の推進を図ることとし、各特別会計の性格に応じて、以下の@からCをはじめとする検討や制度改革等を行う。また、国全体の財政資金の効率化の観点から、不用・剰余金を縮減するなど、歳出の効率化・合理化を推進し、一般会計からの繰入を抑制する。
 その際、固有の財源の有無に関わらず、事業の評価や予算執行の状況も踏まえて、個々の事業内容に踏み込んだ見直しを行う。特に、各特別会計の設置目的との関連性が希薄化している事業や、国として直接事業を行う必要性が低下した事業については、その廃止・縮減・独立行政法人や民間への移管等を図る。また、各特別会計の区分経理の必要性、会計間、勘定間の繰入の合理性についても厳しく検証し、徹底した見直しを行う。なお、各特別会計における資金の流れや事務事業の内容につき、一覧性を高める形で、情報の開示を更に進める。
@   公共事業関係特別会計のうち、一般会計からの繰入を主要な財源とするものについて、一般会計と区分経理する必要性を検討する。
A   保険事業関係特別会計について、業務勘定で行われる福祉事業等の徹底した見直しを行うとともに、民間保険事業の状況を踏まえ、国として保険事業を行う必要性の存否を検討する。
B   行政的事業関係特別会計について、各特別会計の性格に応じ、自収自弁を基本とし、一般会計からの繰入の抑制に努める。
C   融資・資金関係特別会計について、出資・融資事業の廃止・縮減・移管等を含め、国として事業を行う必要性や特別会計相互の区分経理の必要性を検討する。


(2) 公会計の見直し
 各府省の財務状況の開示を一層進めることにより、説明責任(アカウンタビリティ)の履行の向上及び行政効率化に資する財務情報の提供を図るため、各府省においては、一般会計、特別会計及び特殊法人等を連結した省庁別連結財務書類について、試行を経て、平成18年度から「年次報告書(仮称)」として公表する。
 また、政策ごとに予算と決算とを結び付け、予算とその成果を評価できるような予算書、決算書の作成に向けて、平成18年度までに整備を進める。


(3) 行政立法手続の法制化
 行政運営の公正の確保及び透明性の向上を図るため、行政立法について、共通の手続として国民一般からの意見提出手続等を法制化することとし、行政手続法検討会報告(平成16年12月17日)に沿ってそのための立案作業を進め、次期通常国会に提出する。


(4) 政策評価の充実
 達成目標の明示、事後評価の徹底、学識経験者の知見の一層の活用などによる政策評価の質の向上を図りつつ、評価結果を各府省の予算要求等政策に反映させるとともに、政策群等の各府省にまたがる政策については府省横断的な検証に積極的に取り組むなど、政府全体としての政策評価の充実に努め、効果的・効率的な行政の推進を図る。
 また、政策評価に関する情報の公表を徹底し、外部からの検証可能性を確保するなど、国民に対する説明責任の徹底を図る。
 さらに、平成17年4月に「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号。以下「行政機関政策評価法」という。)の施行から3年を経過することから、政策評価・独立行政法人評価委員会等の議論を踏まえながら、同法の施行状況に検討を加え、その結果に基づいて、政策評価の改善・充実に必要な措置を講ずる。
4 規制改革の推進等
(1) 規制改革の推進
 規制改革については、民間主体の「規制改革・民間開放推進会議」と閣僚で構成する「規制改革・民間開放推進本部」の緊密な連携の下、
 市場化テスト
   「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)等を踏まえ、市場化テスト(官民競争入札制度)を積極的に活用し、規制改革・民間開放を抜本的に推進する。
 このため、平成17年度にモデル事業を実施し、本格的導入に向けて「市場化テスト法」(仮称)も含めた制度の整備を検討する。

 国の事務事業の民間開放
   平成16年における取組を更に総合的に進め、国の事務事業の民間委譲(民営化、委譲)、業務委託(包括的、個別的)を推進する。また、その推進に当たり、民間開放される事務・事業の実施に必要となる施設等の利活用の観点から、国有財産の行政財産としての利活用や普通財産としての賃貸、売却に関する国有財産管理制度について、国の機関等に周知徹底する。

 主要「官製市場」の改革等
   「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)に基づき、計画の実施状況の監視やフォローアップ、個別要望や新たな課題への対応など、検討を進める。特に、規制改革・民間開放推進会議が重点検討事項として掲げている、医療や教育分野を中心とする14の検討項目について、規制改革・民間開放推進会議の第1次答申において示す具体的施策を踏まえ、規制改革・民間開放推進本部とも連携を図りつつ、速やかに必要な検討を進める。

 規制影響分析
   「規制改革・民間開放推進3か年計画」に基づき、平成16年度から各府省において試行的に実施されているRIA(規制影響分析)について、その積極的な実施を推進するとともに、評価手法が開発された時点で行政機関政策評価法の枠組みの下で早期に規制の事前評価の義務付けを図る。

(2) 構造改革特区の推進
 構造改革特区については、これまでに、教育、農業、医療分野での株式会社の参入等様々な規制改革を実現したところであるが、平成16年10月中旬から11月中旬までに受け付けた提案のうち、特区又は全国で実施するものを、平成17年2月を目途に構造改革特別区域推進本部において決定するとともに、「構造改革特別区域基本方針」(平成15年1月24日閣議決定)に基づき、引き続き、定期的に地方公共団体や民間事業者等から提案を募集し、寄せられた提案を実現するためにはどうすればいいかという方向で検討を行う。
 また、構造改革特別区域計画については、これまでに全国各地、幅広い分野において認定を行ったが、今後とも、地方公共団体の作成した構造改革特別区域計画が構造改革特別区域基本方針に定められた事項を満たす場合には、その数を限定せず、認定する。
 さらに、特区において講じられた規制の特例措置については、導入後概ね1年を経過した規制の特例措置につき、構造改革特別区域推進本部の下に設置された評価委員会において、全国展開に関する評価を行い、特段の問題の生じないと判断されたものについては、全国展開する決定を行っているが、今後とも、評価委員会で特段の問題の生じないと判断されたものは、速やかに全国展開を図る。
 併せて、特区提案を実現できなかった案件についての構造的な要因等の問題点を明らかにした総点検結果を受けた取組等を行うこととする。
5 電子政府・電子自治体の推進
(1) 電子政府の推進
 電子政府の推進については、「電子政府構築計画」に盛り込まれた施策を着実に実施するとともに、以下の施策に重点的に取り組む。

 国民の利便性・サービスの向上
 (ア)  オンライン利用促進
   ( i ) 各府省において、年間申請件数の多い(年間申請件数10万件以上)手続、企業が行う頻度の高い手続、オンライン利用に関する企業ニーズの高い手続等を「オンライン利用促進対象手続」として定め、各手続ごとに、費用対効果や利用促進の誘引策等も勘案しつつ、利用者視点に立ったシステム整備、サービスの改善、業務の効率化による実費の手数料への適切な反映や添付書類を含め手続そのものの簡素化・合理化の徹底、処理期間の短縮等の具体的利用促進措置とその実施期限、利用率の目標等を定めた行動計画(アクション・プラン)を平成17年度末までのできる限り早期に策定し、公表する。

   ( ii ) 国民等からのニーズの高い手続については、原則として24時間365日受け付けるノンストップサービス化とワンストップサービス化の推進を図る。

   ( iii ) 年間申請件数の多い手続、企業等からのニーズの高い手続(登記関係手続、自動車保有関係手続等)で、オンライン化未実施のもの(一部未実施を含む。)については、できるだけ早期に全国的なオンラインサービスを実現する。また、企業コストの軽減や行政運営の効率化等を図る観点から、企業を対象とした手続は基本的にオンライン利用されるよう、関係団体等への周知、要請等を行う。

 (イ)  行政情報の提供の充実、利便性の向上
  ( i ) 行政機関の諸活動に関する透明性を高め、開かれた行政の実現を図るため、「行政情報の電子的提供に関する基本的な考え方(指針)」(平成16年11月12日CIO連絡会議決定)に基づき、各府省において、提供する情報内容を充実するとともに、政府全体として統一性があり、分かりやすい情報提供等を推進する。

  ( ii ) 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)等の施行後の状況等について検討を行い、平成17年3月を目途に結論を得た上で、速やかに必要な措置を講ずる。また、国民、企業等から反復継続的に開示請求が見込まれるものは、国民等の意見・要望等を踏まえ、事務負担軽減の観点から、電子化に伴う経費等をも勘案しつつ積極的に電子的提供を図る。

イ  業務・システムの最適化(効率化・合理化)
  ( i ) 各府省の業務・システム(77分野)の最適化計画を平成17年度末までのできる限り早期に策定するとともに、当該計画に基づき、可能な限り早期に最適化を実施し、業務処理時間や経費の削減などの効果を上げる。

  ( ii ) 人事・給与等、共済、物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務については、各府省における各業務・システムの最適化の実施に当たり、情報システムの統一化、起案・決裁をはじめとする業務処理の標準化・自動化、手続の簡素化等を図るとともに、職員による判断を必要としない業務については、積極的に外部委託を図る。また、いわゆる旧式(レガシー)システムについては、システム構成、調達方法等の見直し及び徹底した業務改革により、大幅な費用低減及び業務運営の合理化を図る。

  ( iii ) 業務・システムの最適化の取組は、一過性のものではなく、最新の技術動向等を踏まえ、PDCA(Plan(計画)−Do(実施)−Check(評価)−Act(改善))サイクルによる不断の改善が必要である。
 このため、CIO連絡会議の下、総務省が中心となって、現在の最適化計画策定指針に加え、最適化実施に関する指針及び最適化実施の評価に関する指針を平成17年度中に策定する。各府省においては、これらの指針に沿って、最適化を実施するとともに最適化実施の評価を行う(府省共通業務・システム及び一部関係府省業務・システムについては担当府省が中心となって行う。)。また、CIO連絡会議の下、総務省において、上記指針との整合性確保等の観点から、各府省が策定する最適化計画を確認し必要な調整を行うとともに、最適化の実施状況及び最適化実施の評価状況のモニタリングを行う。各制度官庁においては、最適化計画やその実施状況等を予算や組織・定員管理等に活用する。

  ( iv ) 独立行政法人の運用する情報システムの最適化を実施するため、システムに要するコストの削減等業務運営の効率化を目的に、所管府省は、国の取組に準じて、主要業務・システムに係る監査の実施、刷新可能性調査の実施、最適化計画の策定と実施を中期目標に盛り込む等の措置を講ずる。


(2) 電子自治体の推進
 電子自治体の推進については、すべての地方公共団体において情報通信技術を利用した質の高い行政サービスを提供していくとともに、地方公共団体ごとのシステム開発に伴う重複投資の回避や円滑な相互接続・連携による効率的で質の高い電子自治体を構築していく観点から、総務省が中心となって、以下の施策に重点的に取り組む。

 地方公共団体が取り扱う手続のうち主要な申請・届出等手続についてのオンライン化を推進するために引き続き必要な支援を行う等、行政手続のオンライン化に係る地方公共団体の取組を一層促進する。

 電子自治体業務の標準化・共同化により、業務・システム全体を最適化する観点から、情報通信技術を活用した業務改革を推進するとともに、電子自治体業務の共同処理センターの運用を民間に委託する「共同アウトソーシング」を推進し、低廉なコストで高い水準の運用を実現する。各地方公共団体においては共同アウトソーシングの推進等による効率的な電子自治体の構築を推進する。

(3) 電子政府・電子自治体の共通基盤の利活用の推進
 手続のオンライン化で必要となる国民の本人確認について、電子政府・電子自治体の共通的基盤である公的個人認証サービスの利活用を推進する。このため、各府省庁所管のオンライン手続において、できる限り早期に、公的個人認証サービスの利用を開始するとともに、地方公共団体に対しても必要な支援を行う等その取組を促進する。

 住民の利便性の向上を図るとともに、行政事務の効率化を推進するため、住民基本台帳ネットワークシステムの利活用を促進する。また、住民基本台帳カードについて、多目的利用の促進を図り、その普及に努める。

 国の行政機関と地方公共団体との間のネットワークについては、原則として霞が関WAN・総合行政ネットワーク(LGWAN)を活用することとし、国・地方を通じた行政情報の共有化、業務の効率化を推進する。

(4) 情報セキュリティ・個人情報保護対策の推進
 政府として統一的な「各府省庁の情報システム及びその運用に関する安全基準」を策定し、情報セキュリティに関する政府の基本方針を明確に示すこととし、各府省庁の情報セキュリティの水準の斉一的な引き上げを図ることによって、行政事務の円滑かつ適正な遂行に努める。

 電子政府の基盤法制である「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第58号)について、適切かつ厳格な運用を行う。このため、各行政機関は、平成16年9月に総務省が策定した指針等を参考として保有個人情報の適切な管理に関する規程等を整備するなど必要な措置を講ずる。各独立行政法人等においても、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第59号)について、同様に取り組む。総務省は、各行政機関等が講じた上記の措置の実施状況を含め各法律の施行状況について報告を求めること等により、各行政機関等における各法律の適正な運用の確保を図る。
6 公務員制度改革の推進等
(1) 公務員制度改革の推進
 基本方針
   公務員制度改革については、これまで、「公務員制度改革大綱」(平成13年12月25日閣議決定)の趣旨を踏まえ、「今後の公務員制度改革の取組について」(平成16年6月9日与党申入れ)を受けて改革の具体化を進めてきたところであるが、制度設計の具体化と関係者間の調整を更に進め、改めて改革関連法案の提出を検討する。
 一方、現行制度の枠内でも実施可能なものについては早期に実行に移し、改革の着実な推進を図る。

 当面の取組方針
   当面、現行制度の下において、退職管理、人材の確保・育成・登用等に関する改革を着実に進める観点から次の事項について重点的に取り組み、その結果は、法制化を含む検討に活用していくものとする。

 (ア)  適切な退職管理
  ( i ) 適切な退職管理を行うに当たっては、いわゆる早期退職慣行の是正が重要であり、引き続き、計画的に推進する。その推進に当たっては、能力主義の徹底による年次主義やピラミッド型人事構成の見直しを進めるとともに、必要なスタッフ職の整備・充実や大学・研究機関等を含め広く人事交流を進めるなどキャリアパスの多様化に資する方策を講ずるものとする。

  ( ii ) 独立行政法人、特殊法人及び認可法人への公務員の再就職については、これらの法人役員への国家公務員出身者の選任に関する累次の閣議決定等を遵守するとともに、独立行政法人及び特殊法人については、引き続き選任手続を適切に行い、認可法人については、各府省は、離職後2年以内の所管法人への常勤役員の就任に際して、あらかじめ内閣官房長官に報告することとする。
併せて、国と特に密接な関係を持つ公益法人役員への国家公務員出身者の就任については、公益法人の民間法人としての性格を踏まえつつ、公益法人役員への国家公務員出身者の就任に関する累次の閣議決定等を遵守するとともに、離職後2年以内の常勤役員への就任に際して、所管府省にあらかじめ報告するよう指導することとし、各府省は、所管法人からの報告の内容を、総務省を通じて、内閣官房長官に報告するものとする。

 (イ)  評価の試行
 能力本位で適材適所の人事配置を推進するとともに効果的な人材育成を図るためには、職員が職務行動を通じて発揮した能力等をより的確に把握することが必要であり、現行制度の下における評価手法を改善し、より実効ある評価を通じた公務能率の一層の増進を図る。このため、公務部門の多様な職場、職種に対応した評価手法を開発し、定着させていく観点から、平成17年度中に本府省を対象とした試行に着手し、その結果を踏まえた改善を行いつつ、段階的な取組を進めることとし、具体的内容の検討を早急に行う。

 (ウ)  公務部門の人材の確保・人材の活性化
 複雑かつ高度な行政ニーズに的確に対応するためには、多様で質の高い人材の確保・育成、人材の交流等に計画的かつ戦略的に取り組んでいくことが極めて重要である。このため、公務部門における多様で有為な人材の確保、計画的な能力開発や人材交流の促進に資するための方策について平成17年度以降順次実行に移すことを目途に検討を進める。

当面の改革の進め方
   上記イ(ア)( i )、(イ)及び(ウ)については、内閣官房、行政改革推進本部(以下「本部」という。)及び実際の人事管理に当たる各府省との連携の下、人事院の協力を得つつ、総務省が中心となって検討、調整を行い、推進する。上記イ(ア)( ii )については、本部が中心となり、内閣官房の協力を得て、検討、調整を行い、推進する。
 また、現行制度下における改革の推進を図る観点から実施体制を整備する。

(2) 地域における国家公務員給与の在り方の見直し
 地域における国家公務員給与の在り方については、地域における官民の給与較差を踏まえ、人事院において、具体的措置の取りまとめを行うこととしており、政府としては、その内容を踏まえ、速やかに検討を行い、その取扱方針を決定する。
7 公益法人制度の抜本的改革
 現行の公益法人(民法第34条に基づく社団及び財団をいう。以下同じ。)の制度の抜本的改革については、行政の在り方を見直す観点からも重要であることにかんがみ、現行の主務官庁による設立許可制度を廃止し、21世紀の我が国の社会経済にふさわしい透明性の高い新たな仕組みの構築を目指すなど、「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」(平成15年6月27日閣議決定)に基づき、改革を着実に実施していくものとする。
 このため、一般的な非営利法人制度、公益性を有する非営利法人を判断する仕組み、現行公益法人の新たな制度への移行等について、その基本的枠組みを別紙3のとおり具体化し、これに基づき、更に具体的な検討を進めることとし、所要の法律案を平成18年の通常国会に提出することを目指す。

8 地方分権の推進
(1) 市町村合併の推進
 地方分権の推進や少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化など市町村行政を取り巻く情勢が大きく変化している中にあって、基礎的地方公共団体である市町村の行政サービスを維持し、向上させ、また、行政としての規模の拡大や効率化を図るという観点から、与党行財政改革推進協議会における「市町村合併後の自治体数を1000を目標とする」という方針を踏まえて、以下のとおり、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する。

 現行の「市町村の合併の特例に関する法律」(昭和40年法律第6号。以下「現行合併特例法」という。)においては、平成17年3月末までに市町村が議会の議決を経て都道府県知事に合併の申請を行い、平成18年3月末までに合併を行ったものについては、現行合併特例法の規定を適用することとする経過措置規定が設けられており、この経過措置規定の適用期限内にできる限り市町村合併を進めるよう強力に推進する。

 現行合併特例法が失効する平成17年4月以降においては、先般制定された「市町村の合併の特例等に関する法律」(平成16年法律第59号)に基づき市町村合併を進めることとなる。この法律においては、総務大臣が定める基本指針に基づき、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を策定し、当該構想に基づいて、合併協議会の設置の勧告、あっせん・調停、合併協議推進勧告等の措置を講じることができることとされており、このような措置を有効に活用することとし、引き続き市町村合併を強力に推進する。

(2) 地方行革の推進
ア   地方公共団体の行政改革については、これまでも平成9年の「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」(以下「平成9年地方行革推進指針」という。)等に基づき地方公共団体に積極的な推進を要請し、各地方公共団体において真摯に取組が行われてきているところであるが、社会経済情勢の変化を踏まえ更に積極的な取組を促進するため、以下の事項をはじめとする行政改革推進のための新たな指針を平成16年度末までに策定する。

  (ア)  地方公務員全般にわたる定員管理及び給与の適正化の一層の推進等
 地方公務員の定員管理については、平成9年地方行革推進指針に基づき、各地方公共団体において数値目標を定めた行政改革大綱を策定するなどの取組が行われてきているところであるが、社会経済情勢等を踏まえ、更なる定員管理の適正化をより強力に進めるとともに、定員適正化計画の策定・見直しを推進する。
 地方公務員の給与については、なお一部に見られる不適正な給与制度・運用について、業務の性格や内容を踏まえ、その適正化を強力に推進する。特に特殊勤務手当等の諸手当について各地方公共団体自らが総点検を行うとともに、昇格・昇給の適切な運用について、重点的な取組を行うよう要請する。また、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとして、地方公務員の給与の在り方の見直しに向けた取組を推進する。
 さらに、地方公務員の定員・給与等の状況の公表内容の充実を図り、議会や住民への情報公開を徹底する。

  (イ)  民間活力を最大限活用した民間委託等の推進
 民間委託等の推進の観点から、事務事業全般にわたり改めて点検を行うよう要請するとともに、団体区分ごとの委託実施団体の比率、民間委託等の代表的事例や効果等を各団体で比較検討できるよう広く情報提供を行い、積極的かつ計画的な民間委託等の推進を図る。併せて、PFI事業の適切な活用を図るよう要請する。

  (ウ)  指定管理者制度の積極的活用
 現行の管理委託制度により出資法人等へ管理委託している公の施設について、平成18年9月の指定管理者制度への移行期限までに、施設の廃止を含め管理の在り方について総合的に点検するよう要請する。現在直営で管理している公の施設についても、同様に、施設の廃止を含め管理の在り方について総合的に点検するよう要請する。

  (エ)  第三セクターの抜本的な見直し
 第三セクターについては、地方公共団体に対し、第三セクターの経営改善の一層の推進のため、以下の取組を行うよう要請する。

    ( i ) 監査体制及び点検評価の充実・強化、積極的かつ分かりやすい情報公開を行うとともに、統廃合、民間譲渡、完全民営化を含めた既存法人の見直しを一層積極的に行うこと

    ( ii ) 特に、指定管理者制度の創設を踏まえ、第三セクターに公の施設の管理を委託している地方公共団体にあっては、第三セクター以外の民間事業者の活用について積極的に検討を行うこと

  (オ)  地方公営企業の経営健全化等の推進
 地方公営企業や地方公社について、民間との適切な役割分担を踏まえた業務の在り方の見直しや民間的経営手法の積極的な導入等により、経営健全化等を一層推進する。

  (カ)  電子自治体の推進
 総合行政ネットワーク(LGWAN)、住民基本台帳ネットワークシステム、公的個人認証サービスなどの基盤を活用し、セキュリティの確保にも十分留意しながら、電子自治体を推進することにより、住民サービスの向上を図るとともに、地方公共団体の業務改革を促進する。

  (キ)  行政評価制度の効果的・積極的な活用
 地方公共団体の政策・施策・事務事業について、行政評価を効果的・積極的に活用し、戦略策定−実施方針決定−実施−評価−見直しといったサイクルを確立・活用することによって、その目的、手段、投入した経営資源等の必要性、有効性、妥当性等を検証し、地方公共団体の効率的・効果的な行政組織運営を図る。

  (ク)  公正の確保と透明性の向上
 地方公共団体が住民等への説明責任を果たし、議会や住民等の監視の下に、地方公共団体における公正の確保と透明性の向上を図る必要がある。このため、情報公開条例や行政手続条例の制定やパブリックコメント手続制度についても引き続き積極的に活用するよう要請する。

 地方公務員の人事制度については、地方分権の進展、住民の行政に対するニーズの高度化・複雑化等に対応して、公務の能率的かつ適正な運営を確保するため、より客観的な評価制度の導入を通じた能力・実績重視の人事制度の確立や職員の任用・勤務形態の多様化の取組を支援するなど、地方公共団体における改革を推進する。

 地方公務員の定員・給与等の状況をはじめとする人事行政運営の状況、民間委託等の実施状況等の取組状況、バランスシート、行政コスト計算書等の財務状況などについて、住民等に対し他の団体と比較可能な形での公表など住民等にわかりやすい形での公表を一層推進するよう地方公共団体に要請するとともに、地方公共団体の行政改革に関する取組状況を平成17年度から順次公表し、優良事例についても幅広く周知を図る。
 また、地方公共団体の効率的な運営を促進し、客観的な指標により経営努力に応える地方交付税の算定を実施する。
 なお、地方公共団体の行政改革を阻害する要因となる国の制度・施策については、不断の見直しを行うものとする。
9 その他

 中央省庁等改革について、行政改革会議最終報告や「中央省庁等改革基本法」(平成10年法律第103号)の趣旨に沿った組織・制度の運営が行われているか、今後の与党における中央省庁等改革の実施状況に係る議論を踏まえた点検を行う。
 また、本方針に掲げたもののほか、行政改革の推進に関し、12年行革大綱等既定方針に基づく諸改革の着実な実施を図る。
 さらに、毎年度、本方針の実施状況に関するフォローアップを12年行革大綱に係るフォローアップと併せて行い、その結果を公表する。



別紙1

地方支分部局等の事務・事業の抜本的見直し

<内閣府> <警察庁> <総務省> <法務省> <財務省> <厚生労働省> <農林水産省> <経済産業省> <国土交通省> <防衛省>

注<外務省>
 上記のほか、在外公館については、定量的指標も踏まえつつ定期的見直しを行うこととし、設置時からの状況の変化を受けて必要性の低下したものについて統廃合等を図る。
 また、在外公館に配置されている要員については、新電信システムの導入など既存の業務システムの最適化等に伴う合理化を図ることにより、各公館ごとの行政需要等に応じて、適正な配置を行う。





別紙2

関係府省に共通する行政効率化の主要な取組

1 公用車の効率化
 各府省の保有する公用車(運転手付で専ら人の移動用の庁用乗用自動車)について、職員運転手の雇用問題に留意しつつ、交換時期等を勘案し、平成25年度までに約600台削減する。
 職員運転手については原則退職後不補充の方針を遵守し、仮に補充する場合には、再任用制度を活用することとする。
 また、共用利用の一層の推進等さらなる効率的な運用に努めるとともに、アイドリングストップや低公害車の導入等による燃料費の節減、運転業務の民間委託等により、経費の削減を図る。これらの取組については、3年後に見直しをする。
 なお、独立行政法人等に対しても、同様の効率化を進めるよう要請する。


2 公共調達の効率化
(1)  一般競争入札、公募型指名競争入札等の推進
  公共工事について、不良・不適格業者の排除及び適正な施工の確保のための措置を強化するとともに、一般競争入札による調達を逐次拡大する。各府省ごとに一般競争入札による調達の割合(競争入札に付した件数に占める一般競争入札の割合)を含め、一般競争入札の実施状況を毎年度公表する。
  上記以外の公共調達について、適切な入札参加資格を設定するとともに適正な履行の確保に配慮しつつ、一般競争入札による調達を逐次拡大する。各府省ごとに一般競争入札による調達の割合(競争入札に付した件数に占める一般競争入札の割合)を含め、一般競争入札の実施状況を毎年度公表する。
  公共調達について、公募型指名競争入札等の受注意欲を反映した指名競争入札の拡大を図るため、各府省ごとに公募型指名競争入札等による調達の割合(指名競争入札に付した件数に占める公募型指名競争入札等の件数の割合)に関する目標数値を本年末までに定め、毎年度その実施状況を公表する。(平成16年度から5年間)
  エ  特定建設工事共同企業体(特定JV)の結成の義務付けは原則として廃止する。義務付けた場合は、毎年度その理由を公表する。
 
(2)  総合評価落札方式の推進
  公共工事において、価格だけでなく技術や品質を含めた競争の促進を図る。特に、公共工事の入札に係る総合評価方式の実施に関する目標値を定めて、総合評価方式の採用を推進する。
  公共工事について、国土交通省作成の総合評価方式事例集を活用するなどにより、総合評価方式に関する情報の普及を図る。

(3)  適切な競争参加資格の設定等
  工事成績が一定以下の業者について競争参加資格を認めない措置を導入する等過去の成績を適切に反映させる。
  優れた企業による競争を推進するため、工事成績データベースを構築・活用する。
  民間部門からの受注実績も一般競争等において競争参加資格における過去の実績として適切に評価する。
  調達物の仕様を設定するに当たっては、必要最小限の性能・機能を定めるにとどめ、限られた業者しか入札に参加することができないこととなることのないよう一層徹底する。
 
(4)  民間の技術力の活用
  公共工事について、VE(バリュー・エンジニアリング)方式・設計施工一括方式等を活用する。特に、各府省ごとに入札時VEの実施に関する目標値を定めて、入札時VEの採用を推進する。
  大規模かつ技術的な難易度の高い工事において、入札後契約前VEを実施する。
  公共工事について、入札・契約の公正性、透明性に十分配意しつつ、独立行政
法人等において民間の技術力を活用した交渉方式を試行的に実施するよう要請する。
 
(5)  予定価格の適正な設定
  取引実例に係る市場調査をインターネットなどを活用し幅広く行い、予定価格のより適正な設定に努める。
  資材単価等の積み上げによる積算ではなく、契約実績に基づき、工種別に単価設定を行う「ユニットプライス型積算方式」を試行する。
 
(6)  随意契約の適正な運用等
  随意契約による場合には、法令の定める要件に合致するかどうかの確認を適正に行う。
  各府省ごとに定める一定金額以上の随意契約案件について、各省のHPにおいて、契約の相手方、契約金額、随契理由等をまとめて公表する。
 
(7)  落札率1事案への対応等
  各府省ごとに定める一定金額以上の公共調達(予定価格を含め当該契約に関する情報を開示することが適当でないと認めたものを除く。)について、落札率を一覧表にして公表する。
  取引実例に係る市場調査をインターネットなどを活用して幅広く行い、市場価格を適切に把握して予定価格のより適正な設定に努める。(再掲)
  参考見積を徴取する場合には、原則として複数の業者から徴取するとともに、参考見積をもとに予定価格を作成する場合には、見積の比較、取引実例との比較等を行い、より適正な予定価格の設定に努める。
  調達物の仕様を設定するに当たっては、必要最小限の性能・機能を定めるにとどめ、限られた業者しか入札に参加することができないこととなることのないよう一層徹底する。(再掲)
  再度入札を繰り返すことは可能な限り避け、落札者がいない場合にはなるべく再度公告入札を行う。
 
(8)  国庫債務負担行為の活用
  コピー機、パソコン等の物品について、購入する場合や単年度賃貸借を行う場合と比較して複数年度のリース契約を行うことに合理性が認められる場合には、国庫債務負担行為による複数年契約によることとする。
  複数年度にわたる情報システムの開発等について、原則として国庫債務負担行為による複数年契約により実施することとする。
 
(9)  その他
  徹底した仕様の見直し・合理化によるコスト削減を図る。(過剰仕様等の排除)
  電話料金の割引制度の活用を図る。
  事務用品の一括購入を推進する。
  電力供給契約の入札を実施する。
  電子入開札システムの活用を図る。
  庁舎の光熱水費を削減するため、他の先進的事例を参考に、ESCO事業導入の検討等を進める。

3 公共事業のコスト縮減
 公共事業のコスト縮減については、平成9年度からの取組を踏まえて平成12年度に策定された「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」に従い、総合的なコスト縮減について取組を実施することに加え、平成15年度からは、平成15年9月に策定された「公共事業コスト構造改革プログラム」により、コストの観点から公共事業の全てのプロセスを見直すコスト構造改革の取組を推進することとする。
 当該プログラムに基づき、事業の迅速化、計画・設計から管理までの各段階における最適化、調達の最適化に向けての施策を実施し、平成14年度までの2割以上のコスト縮減(平成8年度比。物価の下落等を含む。)に加え、平成15年度から5年間で、平成14年度と比較して、物価の下落等を除き、15%の総合コスト縮減率を達成することを目標とする。


  4 電子政府関係の効率化
(1) 業務・システムの最適化と行政組織等の減量・効率化
 各府省に共通する業務・システム(21分野)及び個別府省の業務・システム(56分野)について、民間等の先行事例も参考としつつ、業務や制度の見直し、システムの共通化・一元化等による最適化を推進する。
 また、これに対応した行政の減量・効率化を進める。
 
   各府省に共通する業務・システム
    (ア)  業務・システムの最適化
      ( i ) 「人事・給与等業務・システム最適化計画」に基づき、人事院等は平成16年度末までにシステムの主要な部分を整備するとともに、各府省は平成19年度末までに当該システムに順次更新することにより、業務の効率化と経費の削減を図る。
      ( ii ) 「共済業務・システム最適化計画」及び「物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務・システム最適化計画」に基づき、早期に業務の見直し等を進め、業務の効率化と経費の削減を図る。
      ( iii ) 業務・システムのうち、災害管理、統計調査、研究開発管理等に係るものについては、平成17年度末までのできる限り早期に策定する最適化計画に基づき、業務の見直し、システムの共通化・一元化等を進め、業務の効率化と経費の削減を図る。なお、最適化計画の策定に際しては、業務処理時間や経費の削減効果(試算)を数値で明示する。
 
    (イ)  行政組織等の減量・効率化
人事・給与等の内部管理業務について、最適化計画等に基づき各府省で実施する効率化措置や定員削減等の目標を定めた合理化計画を可能な限り早期に策定する。
 
   個別府省の業務・システム
    (ア)  業務・システムの最適化
 旧式(レガシー)システム等個別府省の業務・システムについて、平成17年度末までのできる限り早期に最適化計画を策定し、当該計画に基づき業務やシステムの見直し等を進め、業務の効率化と経費の削減を図る。なお、最適化計画の策定に際しては、業務処理時間や経費の削減効果(試算)を数値で明示する。
 
    (イ)  行政組織等の減量・効率化
 旧式(レガシー)システムは、新システム移行に合せて定員削減等の合理化を図る。このため、最適化計画の策定に併せて、各府省で実施する定員削減等の目標を定めた合理化計画を策定する。
 
   オンライン化に対応した減量・効率化
 申請・届出等手続のオンライン化に伴う効率化をはかるため、手続の統廃合・ワンストップ化、添付書類の廃止等の手続の簡素化・合理化を推進するとともに、申請・届出を受けて行われる受付・審査等の一連の事務処理過程・体制の抜本的な見直しを行い、組織・業務の効率化・合理化を推進する。
 
(2)  国家公務員給与の全額振込化
 国家公務員給与の全額振込化について、職員の協力を得つつ推進し、平成17年度末までに、山間・僻地等全額振込化が困難な地域を除き、各府省において原則として100%の実施を目指すとともに、各府省別の実施状況を定期的にフォローアップする。

5 アウトソーシング
 アウトソーシングについては、ガバナンスに留意しつつ、各府省共通的に取り組みうる警備・清掃等の庁舎管理等施設・設備等の管理業務、庁内LAN等の情報システムの管理業務、公用車の運転業務、ホームページの作成・管理業務、電話交換業務等について、これまでの各府省の取組を踏まえ、一層推進するほか、各府省固有の事務・事業についても、積極的に推進し、効率化を図る。
 また、PFIについては、その事業の内容に応じ、先進的な取組を行っている府省の実績を参考に、他の府省においても効率化に資する取組を積極的に検討する。


6 IP電話の導入
 IP電話については、通信費の削減を図るため、すべての府省は、費用面・技術面での動向を踏まえつつ、平成16年12月までに行った検討結果の見直しを毎年行い、順次導入を図る。


7 統計調査の合理化
 時代に即応した内容の統計調査を効率的に実施し、その結果を利用し易い形で国民に提供するため、次により国が行う統計調査の合理化を推進する。

(1)  時代の変化を反映した統計調査内容の抜本的見直し
 国・地方で、時代の変化を反映した的確な情報把握と迅速な情報開示のため、農林水産統計などに偏った要員配置等を含めて、既存の統計を抜本的に見直す。一方、真に必要な分野を重点的に整備し、統計制度を充実させる。
 
(2)  ITの活用
 調査票の配布・収集のオンライン化、既存ネットワークシステムの活用等、業務・システムの最適化による統計調査の効率的な実施及び情報通信技術を活用した結 果提供の高度化を図る。
 なお、業務・システムの最適化については、平成17年度末までのできる限り早期に策定することとなっている「業務・システムの最適化計画」を踏まえ、各府省において取り組む。
 
(3)  アウトソーシング
 集計、データベースの作成・提供、実査等の統計事務のうち民間委託により対応可能な分野については早急にアウトソーシングを進める。また包括的民間委託について積極的な導入を図る。秘密の保護の観点等から民間委託になじまない製表等の事務については、その効率性等を踏まえつつ、独立行政法人統計センター等への委託を推進する。
 なお、各府省間で平成16年度中に作成する「民間委託に係るガイドライン」を踏まえ、アウトソーシングを更に加速する。
 
(4)  その他
 類似調査の一元化、調査客体数・調査回数・調査項目の削減等により、統計調査の効率的な実施を更に推進する。

8 国民との定期的な連絡に関する効率化
 国民との定期的な連絡を伴う業務を行うに当たっては、利用者の利便性を常に念頭に置くとともに、業務の効率化を図るものとする。
 例えば、以下のような取組みを行う。
 @  これまで書面により行われていた手続(所得税、法人税及び消費税の申告、全税目の納税及び申請・届出等)をインターネット等でも行うことができる国税電子申告・納税システム(e-Tax)の全国拡大(平成16年度に全国拡大)により、納税者等の利便性の向上及び確定申告書の発送料金等の削減を図る。
 A  厚生労働省ホームページ社会保険庁コーナーにおいて、55歳以上の者からの年金見込み額及び年金加入状況の照会を受け付けているが、本人への郵送による回答に加え、本人確認を厳格に行いつつ、インターネットによる回答を可能とすることにより、郵便費用の軽減や回答の迅速化を図る。平成16年度中の実施を目指し検討を進める。
 B  年金受給者の生存状況の確認(生存確認)について、現況届(はがき形式)の提出による確認から、住民基本台帳ネットワークへの生存状況の照会による確認などに変更することにより、郵便費用の軽減や事務処理の効率化を図る。平成18年度中の実施を目指し検討を進める。

9 出張旅費の効率化
 出張により航空機を利用する際には、割引制度の情報の収集に努め、その最大限の利用を図るものとする。
 特に、昨今の国際線における割引制度の発展に鑑み、外国出張の際は、割引制度の適用が無い、日程が直前まで定まらない等の事情がある場合を除き、原則、割引航空運賃を利用することとする。
 各府省は、上記内容を周知徹底し、以って出張旅費の効率的な使用を図るものとする。

10 交際費等の効率化
(1)  交際費については、部外者に対し、儀礼的、社交的な意味で支出するという趣旨を徹底し、かつ、職務関連性を一層厳しく確認する。
(2)  職員に対する福利厚生について、共済組合と連携して、民間との均衡を考慮しつつ、引き続き適切な水準とするように努める。

 


別紙3

公益法人制度改革の基本的枠組み

 「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」(平成15年6月27日閣議決定)に基づき、公益法人制度改革の基本的枠組みを以下のとおり具体化する。

1 改革の方向性
(1)  改革の趣旨
 我が国において、個人の価値観が多様化し、社会のニーズが多岐にわたってきている中、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供し得る民間非営利部門を、社会経済システムの中に積極的に位置付けることが重要である。
 また、民法制定以来100余年にわたり抜本的な見直しが行われていない現行の公益法人(民法第34条に基づく社団及び財団をいう。以下同じ。)の制度については、歴史的に大きな役割を果たしてきたものの、主務官庁の許可主義の下、法人設立が簡便でなく、公益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の法人が存続しているなど様々な批判、指摘を受けるに至っている。
 このため、こうした諸問題に適切に対処する観点から現行の公益法人制度を抜本的に見直し、広く民間非営利部門の活動の健全な発展を促進することが重要な課題となっている。
 
(2)  基本的な仕組み
 現行の公益法人の設立に係る許可主義を改め、法人格の取得と公益性の判断を分離することとし、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設する。
 また、各官庁が裁量により公益法人の設立許可等を行う主務官庁制を抜本的に見直し、民間有識者からなる委員会の意見に基づき、一般的な非営利法人について目的、事業等の公益性を判断する仕組みを創設する。

2 一般的な非営利法人制度
(1)  総則的事項
 法人類型は、法人格付与の対象に応じ、社団形態と財団形態の2種類とする。
 準則主義に伴う法人制度の濫用防止の観点から、株式会社制度と同様の解散命令制度・休眠法人整理の制度を設ける。
 
(2)  社団形態の非営利法人制度
 営利を目的としない団体を設立して活動しようとする人々の自由活発な活動を促進するため、社員となろうとする者が2名以上集えば、一定額以上の財産的基盤がなくとも、法人の設立を可能とするほか、その事業について格別の制限をせず、公益活動を含めた幅広い活動ができることとする
 法人の自律的な運営を確保するため、社員総会及び理事の制度を設けるほか、定款による理事会や監事の設置を可能とする。
 また、法人運営の適正化を図るため、理事の法人又は第三者に対する責任規定、社員による代表訴訟制度及び法人の財務状況の一般的な開示制度を設けることにより、株式会社制度と同程度の自律的なガバナンスを確保する。
 法人の非営利性を維持しつつ、その資金調達手段や財産的基盤を確保するため、拠出金制度の選択を可能とする。
 
(3)  財団形態の非営利法人制度
 設立者の創意に基づく財産の社会的な活用を促進するため、必要最小限の資産で、法人の設立を可能とするが、その目的及び事業に一定の制限を設けることの当否について検討する。
 設立者の意思を尊重しつつ、法人の自律的な運営を確保するため、理事の業務執行を牽制、監督する新たな法定の機関(評議員会)を設けるほか、理事会及び監事を必置機関とする
 また、法人運営の適正化を図るため、社団形態の非営利法人の場合と同様、理事の法人又は第三者に対する責任規定及び法人の財務状況の一般的な開示制度を設ける。
 
(4)  その他
 以上のほか、定款又は寄附行為の変更、合併、解散、清算等に関する所要の規定を設ける。
また、一定規模以上の法人については、会計監査人による監査を義務付ける方向で検討する。
 なお、中間法人制度は、社団形態の非営利法人制度に包含される関係となるため、これを廃止することとし、移行に関する所要の規定を設ける。

3 公益性を有する非営利法人を判断する仕組み
 以下の方針により、公益性を有するにふさわしい規律のしっかりした非営利法人の受け皿となる仕組みを構築する観点から、具体的な制度設計を進める。
 なお、特定非営利活動法人制度については、引き続き存置されるものとする。

(1)  判断主体
 現在の主務官庁から中立的に判断を行うために、内閣に民間有識者からなる委員会を設置し、当該委員会の意見に基づき、一般的な非営利法人について目的、事業等の公益性を判断することとし、事後チェック、不服申立ての処理等を含め、業務を的確かつ迅速に遂行できるよう、必要な事務体制の整備を図るとともに、様々な活動分野における公益性を専門的見地から適切に判断できる措置を検討する。
 また、一定の地域を拠点として活動する非営利法人に関しては、原則として都道府県知事において判断等を行うこととする。その際、都道府県に国に準じた機能を有する体制を整備し、国との間で公益性の判断等の取扱いについて整合を図る。
 
(2)  判断要件
 判断要件については、現行の「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定。以下「指導監督基準」という。)等を踏まえつつ、法人の目的、事業及び規律の面から、できる限り裁量の余地の少ない明確なものとする。
 公益性を有する非営利法人(以下(2)及び(3)において「法人」という。)の目的については、積極的に不特定多数者の利益の実現を図ることを基本とし、共益は従たる目的となる範囲内で認められる方向で検討する。
 法人の事業については、公益的事業の規模は法人の事業の過半を占めること、付随的に収益を目的として行う収益的事業の利益は原則として公益的事業のために使用されること、公益的事業が営利企業の行う活動を阻害しないことなど所要の要件を設け、具体的な公益的事業を適切に規定する方向で検討する。
 法人の規律については、同一親族等が理事及び評議員に占める割合を制限すること、解散した法人の残余財産の帰属者を他の類似の公益目的の法人や国・地方公共団体等一定の範囲に限ること、将来の公益的事業の実施に必要な範囲を超えた過大な資金等が留保されないこと、株式保有等を資産運用等の場合を除き原則として禁止することなど所要の要件を設ける方向で検討する。
 
(3)  適正運営確保の方策
 法人については、理事会及び監事を必置機関とするなど適切なガバナンスを求めることとする。
 また、プライバシーの保護等に留意しつつ、法人の組織、運営等について、インターネットの活用も含め、国民一般に対する情報開示の強化を図る。開示事項については、現行の指導監督基準による業務及び財務等に関する事項のほか、公益性の判断要件に係る事項、その他役員報酬に関する事項、管理費の水準等法人の適正運営を確保する観点から開示が望ましい事項とする方向で検討する。また、判断主体においても、法人が開示している情報を集約し、インターネットも活用しつつ、国民一般に分かりやすく開示することとする。
 さらに、事業報告書等の定期的な提出、報告徴収・立入検査、命令、公益性判断の取消し等必要な監督上の措置を、より明確な要件の下で判断主体が適切に講ずる方向で検討する。また、判断主体が、一定期間ごとに法人の活動実績を踏まえて公益性の有無を確認することとする。

4 その他
(1)  現行公益法人の新たな制度への移行
 現行公益法人の新たな制度への移行に当たっては、公益法人が現に公益活動を継続的に行ってきており多くの受益者が存することに配慮しつつ、公平かつ合理的なシステムの下における円滑な移行を推進するため、十分な準備期間及び移行期間、組織変更等の簡易・円滑な転換手続を設ける等必要な措置を講ずるものとする。
 その際、現行公益法人のうち、新たな判断主体により、公益性の判断要件を踏まえた一定の基準に適合すると判定されたものは、公益性を有する非営利法人に簡易な手続で移行すること、一方、当該基準に適合しないと判定されたものや公益性を有する非営利法人への移行を望まないものは、財産承継に関する条件の下、基本的に一般の非営利法人(一般的な非営利法人制度に基づく法人であって、公益性を有するとの判断を受けていないものをいう。)に移行することとする方向で、その公平かつ合理的な基準及び手続について、引き続き検討する。
 なお、新たな制度への移行措置は、新たな判断主体が実施することとなるが、本部、内閣官房、総務省及び各公益法人所管官庁においても、移行に関する方針の検討等必要な準備を進める。
 
(2)  今後のスケジュール等
 今後、この基本的枠組みに基づき、内閣官房において、関係府省との連携の下、更に法制化に向けた具体的検討を行うとともに、「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」(平成15年6月27日閣議決定)に基づき所管省において税制上の措置に係る専門的検討を進めることとし、所要の法律案を平成18年の通常国会に提出することを目指す。また、内閣官房は、総務省及び各公益法人所管官庁と連携して、新たな非営利法人制度の着実かつ円滑な施行に向けた準備作業に着手する。