国の行政機関の定員の純減につけて
 

国の行政機関の定員の純減方策について(中間取りまとめ)

平成18年3月30日
行政減量・効率化有識者会議

  政府は、簡素で効率的な政府の実現に向け、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定。以下「重要方針」という。)において、国・地方を通じた総人件費改革の実行計画を定めた。国の行政機関の定員(33.2万人)について、厳格な定員管理に加えて業務の大胆かつ構造的な見直しを行うことにより、5年間で5%以上の純減を実現することは、その重要な一環である。
  「行政減量・効率化有識者会議」(以下「有識者会議」という。)は、このような国の行政機関の定員の純減に向けた個別具体的な取組の検討を行うため、内閣総理大臣の委嘱を受け、本年1月末に発足し、精力的に検討を行ってきた。
  重要方針では、上記の目標の実施に向けて個別具体的な取組の検討を要するものについて、遅くとも6月頃までに行政改革推進本部において成案を得、政府の方針として決定することとされている。
  有識者会議は、業務の大胆かつ構造的な見直しに向けた方向性を導き出すべき重点事項について順次関係各省から集中的にヒアリングを実施してきた。しかし、これまで聴取した関係各省の検討状況は、残念ながら、一部の論点を除き極めて不十分であると指摘せざるを得ない。
  中間取りまとめは、これまでの会議における意見・指摘を中心に整理し公表することにより、関係各省に有識者会議としての見解を示し再考を促すとともに、国民各層からの意見を求めようとするものである。


1 有識者会議の基本的考え方
(1)総人件費改革の実現に向けた更なる努力
  現下の国・地方を通ずる厳しい財政状況に照らせば、総人件費改革の実現は避けて通れない重要な課題である。国民の期待は、単なる人員削減でなく公務の生産性向上にある。そのため、国で行っている業務を、「民間にできることは民間に」、「地方でできることは地方に」を可能な限り追求する観点から抜本的な見直しを行うことが欠かせない。今回の総人件費改革を単なる人員削減に終わらせないためにも、今後とも様々な手段により、公務の生産性向上に努めていく必要がある。行政機関全体として5年5%以上の純減を確保していくためには、とりわけこの中間取りまとめで取り上げている重点8事項等について、5%をはるかに超える純減を行っていくことが欠かせない。
  また、総人件費改革では、地方公務員についても5年間で4.6%以上の純減確保に向けた取組を要請している。有識者会議としても、各地方公共団体などの他の主体における積極的な取組が行われることを期待したい。
  関係各省においては、この中間取りまとめに示した今後の検討の方向を踏まえ、自ら積極的に業務を見直して効率化のための工夫を行い、必要最小限の人員で必要な行政ニーズに応じる体制の構築に向けて、事務・事業の見直し内容とそれに伴う定員の純減規模を早期に具体化し提示することを強く求める。各大臣、幹部を先頭に関係各省自らが、業務運営の徹底的な効率化の推進、行政ニーズの変化に対応した業務の見直しに積極的に取り組んでいただきたい。

(2)事務・事業の見直しの意義
  重要方針に示された5年間で5%以上の定員の純減の目標を達成するためには、何より毎年度の厳格な定員管理を行うことにより、一層の定員の純減の確保に努める必要がある。しかし、これにより確保し得る定員の純減規模には自ずから限度がある。したがって、この目標達成のためには、社会経済情勢や行政ニーズの変化に適切、的確に対応し、業務を大胆かつ構造的に見直して、国が行うべき事務か、国家公務員が担うべき事務かなど事業の要否及び主体について仕分けを行い、事務・事業の整理、包括的・抜本的な民間委託(官から民へ)、非公務員型独立行政法人化などの事務・事業の削減を強力に進める必要がある。

i)行政ニーズの変化に合わせた業務の大胆な整理
  これまで実施している事務・事業であっても、社会経済情勢の変化、政策の大きな転換に伴う行政ニーズが変化した場合、それに合わせた業務の大胆な整理が必要である。その際には、引き続き国が業務を行うことが必要又は適当であるかどうかを検証し、国が行う必要がないか又は国が行うことが適当でない業務については、業務そのものを廃止するなど抜本的に国の役割を縮小し、定員の純減を行うべきである。

ii)包括的・抜本的な民間委託等
  引き続き国が責任を持つべき業務分野であっても、そのすべてを国家公務員が直接実施する必要があるわけではない。民間に委ねることが可能と考えられる分野であるか、国が直接行うよりも、民間の知見やノウハウを活用することにより、国民に対してより効率的・上質なサービスの提供が可能と考えられる分野については、これまで以上に民間委託の手法を積極的に活用すべきである。
  民間委託については、これまでも業務の一部に実施されているが、今後は、できる限り業務全体について包括的・抜本的な民間委託を進めるべきである。

iii)非公務員型独立行政法人化
  国の行政機関が現在行っている業務のすべてが、政策の企画立案に当たるわけではない。政策の企画立案と実施とをできる限り分離し、後者のうち、国として直接実施する必要はないがなお完全に民間に委ねることが適当でない業務を独立行政法人化することを検討すべきである。
  独立行政法人化により、行政機関の本体を簡素で効率的なものとし、政策の企画立案に資源を効果的に集中させることが可能となる。法人化される部門にとっても、工夫により国民へのサービスの効率性や質を一層向上させ得る仕組みとして有効である。
  独立行政法人の職員の身分は、非公務員が原則である。公務員であることに伴う制約がなくなることで、民間企業・研究者との自由な人事交流の実施や、インセンティブを引き出すような給与体系が可能となるメリットがある。また、業務の性質に応じて民間資金の導入等も可能となる。
  非公務員型の独立行政法人であっても、法律上の権限付与により公権力の行使の業務を行うことは可能であり、これまで国が実施している業務が円滑に実施できなくなるとの懸念は、必要な法的手当てを適切に講じることにより対処可能である。

iv)その他の取組(地方支分部局等の見直し及びIT化による業務のスリム化等)
  政府全体としての定員の純減目標の達成を確実なものとするためには、有識者会議で検討対象として取り上げた重点8事項等以外についても、今後、総人件費改革の実施期間を通じて、業務の執行体制や運営方法について不断の見直しを行い、業務運営の効率化を通じた定員の削減を進めることが必要である。
  この関連で、重要方針中にも挙げられていた事項のうちの横断的な取組である地方支分部局等の見直し及びIT化による業務のスリム化が重要である。国の行政機関の定員管理・組織管理や電子政府の推進などを担当する総務省行政管理局が、毎年度の予算編成過程等を通じてこうした取組を徹底していくことが重要である。

2 これまでの検討状況
(1)重点8事項等について
  重要方針に列挙された重点8事項については、1月6日の閣僚懇談会において、行政改革担当大臣から関係閣僚に対して、業務の大胆かつ構造的な見直しを行い、定員の大幅な純減のための具体的な方策を検討し、報告するよう要請を行った。その後、第3回(3月10日)、第4回(3月16日)及び第5回(3月22日)の会議において、関係各省から検討状況の報告を聴取した。

i)農林統計関係 <行政ニーズの変化に合わせた業務の大胆な整理>

  • 統計部門 約4,100人
  • 企画・取りまとめ部門 約1,200人(ブロック段階約300人、県段階約900人)
    実査部門 約2,500人(生産統計約1,200人、経営統計約1,000人など)
    管理部門  約400人
  • 情報部門  約900人
  (注)計約5,000人は、地方農政局(7)統計部、統計・情報センター(266)等に配置

ア 農林水産省の検討状況(回答要旨)
  農政改革の進捗状況を踏まえつつ、統計部門について、現行のスリム化計画(注)に加えて更なる業務と要員の合理化に向けて精査し、また、情報部門についても同様に更に精査するとしているが、削減可能数(又は最小限の所要定員)を示していない。また、政府全体としての実効ある配置転換円滑化対策が必要としている。
  (注)平成18年度から21年度までの4年間に約900人の縮減

イ 今後の検討の方向
  回答は、今回の要請に応えた削減可能数を全く示していない。品目横断的な経営対策を目指す農政改革の方針に合わせ、国家公務員による実地調査(実査)の廃止など、主要業務ごとに大胆な整理を行うことが必要である。有識者会議としては、農林水産省に対して、以下のとおり、抜本的な見直しの検討を求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
@   業務についての議論と配置転換の受皿の議論は別であり、削減可能数を示さないことの理由には全くならない。定員の大幅な純減のために踏み込んだ検討を行い、削減可能数を明確に出すこと。
A   国の職員による実地調査(実査)を廃止すること。国勢調査でも民間人調査員を活用しており、常勤の公務員でないと実査ができないとの説明は、民間を信頼していないものであって、承知できない。
B   国勢調査などの現場である地方公共団体では、専任職員を置かず業務の繁閑に応じて職員を融通するなど、独自の工夫をしている。農林統計についても、企画・取りまとめ機能を抜本的に合理化すること。
C   情報部門を廃止すること。本省の広報業務で実施可能である。
D   管理部門については、他の業務部門以上の合理化を行うこと。

ii)食糧管理関係 <行政ニーズの変化に合わせた業務の大胆な整理>

  • 主要食糧部門 計約3,300人
  • 主要食糧の備蓄運営(買入れ、売却、保管)、国家貿易等 約1,000人
    農産物検査(民間検査の監督等) 約400人
    米穀の生産調整等 約800人
    米麦の生産・流通調査 約600人
    管理部門 計1,100人のうち約500人
  • 消費・安全部門 計約4,100人
  • 牛トレーサビリティ 約900人
    食品表示監視 約2,000人
    農畜産物の安全性、食品価格・需要動向調査等 約600人
    管理部門 計1,100人のうち約600人
  (注)計約7,400人は、地方農政局(7)、地方農政事務所(39)に配置

ア 農林水産省の検討状況(回答要旨)
  農政改革の進捗状況を踏まえつつ、主要食糧部門について、現行のスリム化計画(注)に加えて更なる業務と要員の合理化に向けて精査し、また、消費・安全部門についても、食品表示調査等の業務の効率化に向けて更に精査するとしているが、削減可能数(又は最小限の所要定員)を示していない。また、政府全体としての実効ある配置転換円滑化対策が必要としている。
  (注)平成18年度から22年度までの5年間に約900人の削減

イ 今後の検討の方向
  回答は、今回の要請に応えた削減可能数を全く示していない。国による主要食糧の全面管理から流通業者が多様な販売活動を行える流通制度に改められたが、旧食糧事務所の部門にはなお大規模な定員が配置されており、主要業務ごとに大胆な整理を行うことが必要である。有識者会議としては、農林水産省に対して、以下のとおり、抜本的な見直しの検討を求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
@   業務についての議論と配置転換の受皿の議論は別であり、削減可能数を示さないことの理由には全くならない。定員の大幅な純減のために踏み込んだ検討を行い、削減可能数を明確に出すこと。
A   主要食糧の備蓄運営等について、民間活用などにより抜本的な合理化を行うこと。
B   権力性の高い農産物の「検査」が民間に移管できるのであるから、より権力性が低い米麦の生産・流通調査、食品価格・需要動向調査等の各種「調査」については、すべて民間に委託(民間モニターの活用等)して実施すること。
C   生鮮食品の食品表示監視については、民間モニターを活用して定員を大幅に減らし、(独)農林水産消費技術センターが行う加工食品の食品表示監視と一体的に実施することが効率的であることから、移管・統合すること。
D   牛トレーサビリティについては、業務の定着に合わせ、効率化すること。
E   管理部門については、他の業務部門以上の合理化を行うこと。

iii)北海道開発関係 <行政ニーズの変化に合わせた業務の大胆な整理>

  • 北海道開発局                 6,283人
  • 道路部門            約2,300人
    治水部門            約1,100人
    港湾・空港部門    約  460人
    農業・水産部門    約1,180人
    総務部門その他   約1,250人
   (注)北海道開発局本局(910人)、11の開発建設部(2,874人)及び128の事務所・事業所等(2,469人)に配置(平成17年10月1日現在員)

ア 国土交通省の検討状況(回答要旨)
  民間委託の推進で約200人、内部管理要員比率の引下げで約200人の計約400人を削減するとしている。
  しかしながら、この削減数が、定員合理化計画(18〜21年度)の削減数606人の内か外かについては明確にしなかった。また、類似の地方支分部局の見直しの検討状況や雇用の確保に関する枠組みの内容を踏まえた検討が必要であるとして、具体的な純減目標数の全体は示さなかった。

イ 今後の検討の方向
  回答は、定員の純減目標数の全体を示していない。また、総理の「二重行政」との指摘に応えておらず、定員の大幅な純減を確保するための具体的な方策の検討も不十分である。このため、有識者会議としては、国土交通省に対して、以下のとおり、抜本的な見直しの検討を求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
@    次回ヒアリング時までに、定員の大幅な純減を実現するための具体的な方策について踏み込んだ検討を行い、その結果可能となる純減数の全体を明確に示すこと。
A    職員1人当たり総事業費(用地取得費を除く。)を地方整備局と比較すると3割小さい(定員換算で約1,800人相当)。このように、ゼロベースで業務の実施体制を自ら見直すための指標を基に最小限の所要定員を示すこと。
B    民間委託に関する地方整備局等の見直しを条件とすることなく、自らの問題として民間委託を進めるための北海道開発局独自の数字を提示すること。
C    11の開発建設部を積極的に統廃合すべきである。特に、同じ区域を管轄し、札幌市内の同一庁舎に所在しながら、事業の種類で組織を分けている札幌開発建設部と石狩川開発建設部は速やかに統合すること。
D    現在検討中の北海道道州制特区推進法案を待つまでもなく、国土交通省として積極的に北海道庁への事業の移管を検討すること。

iv)ハローワーク関係及び労働保険(労災)関係 <包括的・抜本的な民間委託等>
  (注)追加検討要請事項のうち、「労働保険(労災)関係」を合わせて検討することとした。

  • ハローワーク関係(職業紹介、雇用保険給付、雇用対策事業)
    公共職業安定所(約600所)の定員 12,164人
  • 職業紹介関連   約6,000人
    雇用保険      約2,600人(適用・徴収約900人(注1)、給付約1,700人)
    雇用対策関連    約1,900人(指導約1,500人、助成金給付約400人(注2)
    総務部門      約1,700人
  • 労働保険(労災)関係(労災保険の適用・徴収・給付等、労働福祉事業)
    都道府県労働局等の関係定員(雇用保険部門の一部と重複) 5,121人
  • 労災保険関連     4,865人(適用・徴収1,825人(注1)、給付3,040人)
    労働福祉事業関連    87人
    総務部門         169人

  (注1)労働保険(雇用・労災)の適用・徴収で、計約2,700人
  (注2)助成金給付には、ハローワーク約400人のほか都道府県労働局に約100人配置

ア 厚生労働省の検討状況(回答要旨)
@    ILO第88号条約を遵守するとともに、健全な雇用保険制度の運営の観点から欧米主要国と同様に国が雇用保険と職業紹介を一体的に実施する必要がある。したがって、ハローワークが全国ネットワークで行う無料職業紹介は、国が公務員により直接実施する必要があり、包括的民間委託は困難である。
A    今回の検討要請を受けて更に民間委託の拡大等を行うこととし、約1,000人(重複計上排除後)の定員を削減する。ただし、定員合理化計画での削減予定の内数が含まれる。

イ 今後の検討の方向
  回答は、具体の削減数を提示しているが、質・量・スピードともに不十分である。セーフティネットの機能を維持するとしても民間の参入や委託を推進するなどの工夫を積極的に行うことが必要であり、有識者会議としては、厚生労働省に対して、以下のとおり、抜本的な見直しの検討を求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
@    職業紹介業務は、セーフティネットの観点からも様々な選択肢がある都市部について、ハローワークの一部を整理・統合することによる民間参入の拡大や、包括的な民間委託等の取組を行うこと。
A    労働保険の適用・徴収業務と社会保険の適用・徴収業務の一元化を進めること。
B    総務等の関連部門を抜本的に合理化すること。
C    雇用保険のうち求職者給付の25%を国庫が負担している状況を考え、雇用保険3事業等を廃止の方向で見直して関連の個別助成金業務の定員を削減すること。

v)社会保険庁関係 <包括的・抜本的な民間委託等>

  • 政府管掌健康保険、厚生年金保険、国民年金等の適用・徴収・給付等
    社会保険庁の定員                      17,365人
  • 本庁                           約870人
    地方社会保険事務局                約3,700人
    社会保険事務所                  約12,800人
    庶務・会計業務                約1,300人
    厚生年金・政管健保の適用・徴収業務 約5,000人(注)
    国民年金の適用・徴収業務        約2,600人
    年金給付・年金相談            約3,900人
  (注)政管健保の給付約1,000人の法人化が含まれる。

ア 厚生労働省の検討状況(回答要旨)
  「社会保険庁の組織・業務改革に伴う人員削減計画」(注)に基づき、今後5年間で3,000人以上(17%以上)の純減を行う。
   (注)平成17年12月策定。平成18年度から7年間で、政府管掌健康保険の公法人(非公務員型)への移管(約2,000人)を含めて、17年度の人員に比較し、常勤公務員の定員を20%以上(約3,500人)純減する。

イ 今後の検討の方向
  社会保険庁改革の基本的枠組みを踏まえつつも、国民の視点に立った更なる合理化が必要である。有識者会議としては、厚生労働省に対して、以下のとおり、現行の業務フローの変更も視野に入れつつ、更なる見直しの検討を行うよう求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
@    改革にはスピードが重要であり、7か年の人員削減計画の前倒しを図ること。
A    社会保険の適用・徴収業務と労働保険の適用・徴収業務の一元化を進めるとともに、これを念頭に置いた情報システムの構築を図ること。
B    コア業務の分類や常勤・非常勤の分類の検証、類似業務との比較に基づく適用・徴収業務の適切な定員規模の精査等により、更なる合理化を検討すること。

vi)行刑施設関係 <包括的・抜本的な民間委託等>

  • 刑務所・少年刑務所・拘置所(計74庁)の設置、管理、受刑者の処遇 等
    17,645人(刑務官等の公安職職員16,739人、行政職職員333人、医療職職員573人)
  • 総務部門  約2,400人
    処遇部門 約10,550人
    医務部門    約900人  等

ア 法務省の検討状況(回答要旨)
@    従来から民間委託を実施している非権力的な業務について民間委託数を平成18から22年度の間に719ポスト増まで拡大可能(17年度の617から1,336へ)である。
A    平成19及び20年度開所予定のPFI刑務所2か所については、職員必要数(法務省想定人数)627人中290人(46%)を民間委託の予定である。

イ 今後の検討の方向
  行刑施設は被収容者の増加を背景に近年職員定員が純増となっている分野であるが、そうであるからこそ、民間委託の一層の推進により増員数を圧縮する努力が強く求められる。有識者会議としては、法務省に対して、以下のとおり、更なる検討を行い、その結果を報告するよう求める。
@    増員幅を一層抑制するため、PFI方式や構造改革特区の活用など、考え得る手法を総動員して民間委託の拡大を更に検討すること。
A    特に、総務部門について、行政職職員の配置も含め更に見直しを行い、民間委託を行う業務の範囲及びポスト数を拡大すること。

vii)森林管理関係 <非公務員型独立行政法人化等>

  • 国有林の造成管理、木材の供給、治山事業の実施 等
    国有林野事業特別会計の定員   5,264人
  • 林野庁国有林野部       189人
    森林管理局(7局)        5,056人
    下部組織として、
    森林管理署(98署)、森林事務所(1,256か所)等(計3,800人程度)

ア 農林水産省の検討状況(回答要旨)
  国有林野事業のうち、「森林の整備や木材の販売等の定型的な業務」を平成22年度に非公務員型独立行政法人に移行させることを検討するとしている。独立行政法人に移行する具体的な人員数は示されなかった。

イ 今後の検討の方向
  非公務員型独立行政法人に移行する具体的人員数が示されていない。説明を受けた限りでは、大部分の事務が国に残り、一部現場の定型的業務だけが独立行政法人に移行するとのことであり、委員と農林水産省との間では考え方に大きな隔たりがある。このため、有識者会議としては、農林水産省に対して、以下のとおり、更なる検討を求めるとともに、本年4月に再度ヒアリングを実施する。
  国有林野事業は本庁の企画立案機能を除き基本的に政策の実施部門であるので、森林管理局以下のできる限り全体をまとめて非公務員型独立行政法人に移行することを検討すること。回答に当たっては、独立行政法人に移行する具体的人数を明らかにすること。

viii)国立高度専門医療センター関係 <非公務員型独立行政法人化等>

  • がん、心臓病等の特定の疾患に関する高度先駆的医療の研究開発及び標準化・均てん化等
    国立高度専門医療センターの定員        5,629人
  • 国立がんセンター            1,325人
    国立循環器病センター          996人
    国立精神・神経センター         1,062人
    国立国際医療センター        1,074人
    国立成育医療センター         740人
    国立長寿医療センター         432人

ア 厚生労働省の検討状況(回答要旨)
  ナショナルセンターとしての役割・位置付けを充実発展させるための条件を担保するのに必要な制度的・財政的な措置(センターの意見の主務大臣による尊重の担保、借入金(約2,300億円)の償還等)を講じた上で、「非公務員型独立行政法人」とすることを検討する。
   (注)国立国際医療センターの国際医療協力に係る定員(61人)の一部については本省移管を検討するとしている。

イ 今後の検討の方向
  一部を除いて、国立高度専門医療センター全体の非公務員型独立行政法人への移行を検討するとの回答を基本的に高く評価する。有識者会議としては、厚生労働省に対して、引き続き前向きの取組を促していくこととする。ただし、以下の点について検討し、その結果を報告するよう求める。
@    法人化した後の姿をも含め、業務の効率化や債務の返済計画などについても積極的な検討を行うこと。
A    法人の形態論については、法人を統合して共通業務の集中による効率化を図ることが大きな方向であることを踏まえ、各センターごとの法人化と一つに統合した形での法人化とのメリットとデメリットを明らかにすべく、早急に検討を行うこと。

(2)追加検討要請事項等について
  1月6日の検討要請事項に加え、関係各省に純減方策の検討を要請する重要事項として、第2回会議(2月8日)において、以下の7事項を決定した。
@   登記・供託関係(法務省)
A   国有財産管理関係(財務省)
B   労働保険(労災)関係(厚生労働省)
C   官庁営繕関係(国土交通省)
D   国土地理院関係(国土交通省)
E   自動車登録関係(国土交通省)
F   気象庁関係(国土交通省)
  追加検討要請事項については、関係各省において自ら定員の純減に向けた業務の大胆かつ構造的な見直しを行い、個別具体的な取組方針を検討し、報告するよう、2月10日の閣僚懇談会で行政改革担当大臣から関係閣僚に対して要請を行った。有識者会議としては、4月に、関係各省から検討の状況について説明を聴取し、質疑を行うこととしている(注)
   (注)労働保険(労災)関係については、第4回会議(3月16日)において、ハローワーク関係と合わせてヒアリングを行っている。

  なお、追加検討要請事項とはしなかったが、@防衛施設関係(防衛庁)、A国税関係(財務省)、B特許関係(経済産業省)、C空港整備関係(国土交通省)については、資料の提出を求めた上で、第5回会議(3月22日)において、その取扱いを検討した。その結果、防衛施設関係については、今後、防衛庁に状況報告を求めつつ、必要に応じて議論を行うこととした。他の3事項については、政府部内において自ら厳しく定員管理を行うことを求めることで、追加検討要請事項とはしないこととした。

(3)地方支分部局等の見直し及びIT化による業務のスリム化
  重要方針における地方支分部局等の見直し及びIT化による業務のスリム化については、第1回会議(1月31日)において、「減量・効率化方針」の改定作業を前倒し実施するとの総務省行政管理局の作業方針について有識者会議よりこれを推進するよう求めた。また、第5回会議では、同局が関係各府省との間で取り組んでいる見直しの検討状況について説明を聴取した。
  有識者会議としては、同局による取組方針に即して、引き続き見直し作業を積極的に推進し、最終取りまとめに向けて、地方支分部局等の見直しとIT化による減量・効率化に関する取組を具体化する必要があると考える。

3 配置転換、採用抑制等の枠組みについて

  個別事項について事務・事業の見直しを行い、国の行政機関の定員の純減を進めるに当たっては、重要方針にも示されたとおり、これら事務・事業に従事する職員の円滑な異動を図り、雇用を確保するため、府省間を含む配置転換や研修、採用抑制の仕組みを構築し、実行していくことが必要である。
  これについては、「配置転換、採用抑制等の枠組みのポイント(案)」として、現時点での検討状況の説明を受けたが、閣僚級を含む検討体制を整備するなど、個別事項についての大胆かつ構造的な事務・事業の見直しを推し進めるに当たって、職員の雇用確保を図るための手厚い体制の構築が検討されているものと考える。早急に具体化を図り、政府全体としての実効ある仕組み作りを急ぐことを強く期待する。
  また、この仕組みの運用に当たっては、公務能率の維持・向上にも十分配慮しつつ、公務人材の有効活用のため、各府省における配置転換の積極的な受入れ等の取組を行うとともに、職員に対しては多様な選択肢を提示できるよう、国の行政機関以外への転身等についても条件整備が求められると考える。

4 今後の検討に向けて

  有識者会議としては、政府における検討に資するべく、引き続き精力的に検討を進める。4月以降には、残された6事項も含めたヒアリングを実施して関係各省との議論を進め、定員の純減に向けた取組の具体的な方向性について、政府の成案策定に間に合うよう取りまとめることとする。
  その際、今回の「中間取りまとめ」については、内閣官房を通じてホームページ等において公表し、国民各層からの意見を求めることとしたい。寄せられた意見を今後の会議においても参考としながら、検討を進めることとしたい。

 
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