特殊法人等の個別事業見直しの考え方について



(これまでの取組み)

 特殊法人等改革については、昨年12月に閣議決定された「行政改革大綱」、先国会で成立した「特殊法人等改革基本法」等に基づき、新たな時代にふさわしい行政組織・制度への転換を目指して、「民間に委ねられるものは民間に委ね、地方に委ねられるものは地方に委ねる」ことを基本原則に、全ての特殊法人等の事業・組織全般についての抜本的な改革に取り組んできたところである。
 また、特殊法人等は国から巨額の財政支出や借入れ等を受けていることから、これをゼロベースから見直すことにより、財政支出の大胆な削減を目指すこととしている。
 そのため今回の特殊法人等改革では、単に法人の組織形態=「器」の見直しにとどまらず、「中身」である事業の見直しが極めて重要であるとの認識の下、まず各法人の事業の徹底した見直しを行い、その上で組織形態の在り方を検討することとしている。
 具体的には、行政改革大綱で示された事業の見直し基準に基づき、1月より全特殊法人等の事業を対象にヒアリングを行い、その結果を18の事業類型ごとの論点整理として4月に公表した。さらに、4月以降はこの事業類型別論点を踏まえて各法人を所管する省庁からヒアリングを行い、その結果を類型別事業見直しの方向性として示すとともに、検討の対象となり得る個別事業を掲記した「中間とりまとめ」として、特殊法人等改革推進本部に本年6月報告したところである。

(今回の個別事業見直しの考え方)

 行政改革推進事務局においては、その後、行政改革大綱の事業見直し基準及び「中間とりまとめ」の類型別事業見直しの方向性を、全ての特殊法人等の個別の事業に当てはめる作業を行ってきたところであるが、このたびその結果を各法人ごとに整理した「個別事業見直しの考え方」として公表することとした。
 また、各省庁には各特殊法人等に係る政策推進及び監督官庁の立場から、特別の事情、意見があり得るので、これも併せて公表し、今後における特殊法人等の整理合理化計画策定の検討に資することとした。
 なお、本「考え方」の中には特殊法人等の事業の国への移管・直轄化に言及した部分があるが、これを実際に具体化する場合には、国の既存の類似事業との統合・一括化を図るとともに、行政組織の肥大化につながらないよう、既存体制の合理的再編成により対応すること等に留意する必要がある。
 また、本「考え方」は平成17年度までの集中改革期間内に実現されるべき特殊法人等の事業の基本的な見直し方策を示したものであり、その間における経済的、社会的その他緊急的な事態に対し、特殊法人等が真にやむを得ない場合に臨時的・暫定的役割を果たすことまで否定するものではない。

(今後の検討スケジュール)

 この「個別事業見直しの考え方」に基づき、今後各法人の整理合理化計画の策定をさらに進めていくこととなる。各省庁においても、廃止、整理縮小・合理化、民間・国その他の運営主体への移管等といった事業の具体的な見直しを積極的に行うとともに、これらの見直し結果を14年度予算に反映することができるよう、平成14年度概算要求において本「考え方」の内容をできる限り盛り込むことを求めたい。
 今回の「考え方」はあくまでも各法人の事業見直しに限定したものであり、このような事業の見直しを踏まえて、次は各法人の組織について、原則として廃止、民営化を前提とした徹底した見直しを行う必要がある。当事務局としては、できる限り早期に、法人の廃止、民営化、独立行政法人化等の具体的な組織改革の手法について、必要に応じその類型、運営等の在り方を含め提示する方針である。
 また、特殊法人等改革について広く国民の理解を得るためには、このような改革方針の検討と並行して、国民に対し、財務状況を始めとする特殊法人等の実態を明らかにしていくことが必要であり、先般財政制度等審議会により策定された「特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針」に基づく財務書類の作成・開示を9月末までに行うなど、各法人の情報開示を積極的に行うことが求められる。
 そして、このような個別事業の見直しや組織改革の検討等を踏まえて、本年内に「特殊法人等整理合理化計画」を策定することとするが、その過程においては、特殊法人等改革推進本部を中心として、各方面から寄せられるご意見を踏まえつつ、また関係者等による様々な調整を経ながら、より抜本的かつ的確な改革を目指し計画策定を進めて参りたい。
 また、特殊法人等改革を推進するに当たっては、特殊法人等で現在働いている職員の雇用の安定にも配慮しつつ必要な対策を検討するとともに、組織の変更が予想される特殊法人等においては、新規職員の採用等について適切な対応を要請したい。
 なお、民間法人化された特殊法人等については、第2次臨調の5次答申で示された事業独占の排除など「自立化の原則」に則り、各省庁において法人のあり方を原点から見直し、同じく年内に方針をとりまとめることが適当と考える。


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