公務員制度改革の大枠(ポイント)
公務員制度改革の意義
中央省庁改革に続く第二段階として行政を支える公務員自身の意識、行動様式の改革を行うため、公務員制度について、行政改革大綱の完全実施を含む抜本的な改革を行う。
公務員制度改革の基本的方向
○ 中立公正で国民から信頼される、質の高い効率的な行政の実現
(1)公務員一人一人の意識・行動原理の改革
(目指すべき公務員像)
自ら能力を高め、互いに競い合う中で、使命感と誇りを持って職務を遂行し、諸課題への挑戦を行う、国民に信頼される「公務員」
@ 信賞必罰の人事制度の確立
能力、実績等を反映した新たな給与体系を構築(例えば、給与を「職務遂行能力に基づく部分」、「職務の責任の大きさに基づく部分」、「具体的にあげた業績に基づく部分」等に分割し、各項目ごとの結果を反映した給与を決定)
採用段階の区分(I 種、II種、III種、事務官、技官等)にこだわらない能力本位で適材適所の任用の実現
勤務成績が良くない公務員等に対する分限処分の基準や手続きの明確化
公正で納得性の高い人事評価システムの確立(能力評価と業績評価の二本立てのシステムとし、それぞれ明確な基準を職員に明示)
A 多様な人材の確保・育成・活用
多様な質の高い人材を確保するため、採用試験制度を抜本的に見直す
本人との話し合いによる個々人の育成計画の作成や、個人の適性・志向に配慮した人事コースを設定するなど、職員のキャリア・パスを多様化
官民交流や海外留学など自主性を尊重した能力開発の実現(海外留学後早期に退職する者は留学費用を返還する仕組みを整備)
女性の採用・登用を拡大するため、出産、育児、介護等への対応などの勤務環境の整備
超過勤務の縮減などによる勤務環境の改善等
B 適正な再就職ルールの確立(「天下り」問題への対応)
押し付け型との疑いを持たれる営利企業への再就職に関する厳格な規制が必要であることから、大臣の直接承認・公表により国民の監視下に置くとともに、再就職後の行為規制を導入
公務員が退職後に特殊法人等の役員を渡り歩くことにより数次にわたる高額退職金を受け取るようなことがないよう措置
長期勤続者に過度に有利となるような退職手当の算定方式等の改正
(2)行政の組織・活動原理の改革
(目指すべき行政組織像)
政治主導の下での国家的見地からの戦略的な企画立案、中立公正で簡素・効率的な業務執行を実現する、機動性に富んだ「組織」
@ 国家的見地からの戦略的な政策立案能力の向上
「国家戦略スタッフ群(仮称)」の創設、各大臣を直接補佐するスタッフの充実(例えば、公募制の導入などによるスタッフの選定方法等を検討)
A 企画・実施両機能の強化
高度な専門知識や創造性を企画立案・業務執行に反映するため、民間企業等への公務員の出向の機会の増大や民間からの優秀な人材を確保
組織・業務の目標や職員の行動基準を明確にする業務遂行規範の策定
B 責任ある人事管理体制の確立
大臣を「人事管理権者」として明確化するとともに、各府省が総定員、総人件費の枠内で、あらかじめ定められた明確な基準の下、主体的判断により組織・人事制度を設計・運用できる仕組みを整備
内閣の国家公務員制度の企画立案機能や統一保持上必要な総合調整機能の適切な発揮
府省の枠を超えて、ダイナミックに人員の再配置を行うことができる仕組み(インナーソーシング制度)を導入
人事院等の役割を、各府省の組織・人事管理について事前にチェックするものから、明確な基準の遵守を事後チェックするものに転換
公務員制度改革の今後の取組み
〜新たな公務員制度への基本設計に向けて〜
◆ 新たな給与制度の確立等のための国家公務員法等の改正
◆ 公務員制度全般にわたる抜本的な改革のための検討を進める中で、労働基本権の制約のあり方との関係も十分検討
◆ 6月に新たな公務員制度の基本設計を取りまとめ、その後、法改正作業等に着手