公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画


平成14年3月29日
内閣官房行政改革推進事務局
行政委託型公益法人等改革推進室

  1. 行政改革推進事務局では、本日、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」について、別添ファイルのとおり閣議決定をしました。

  2. これは、昨年12月1日に閣議決定された「行政改革大綱」を踏まえて検討を進め、集中改革期間に位置付けられる平成17年度末までに行政委託型公益法人等改革について取組む内容を決定したものです。

  3. 「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」につきまして、ご意見等ございましたら、本ホームページの「メールボックス」にお寄せ下さい。


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公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画


平成14年3月29日
閣  議  決  定
平成18年6月16日
一  部  改  正


 行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)に基づき、国から公益法人が委託等、推薦等を受けて行っている検査・認定・資格付与等の事務・事業及び国からの公益法人への補助金・委託費等(以下「補助金等」という。)について以下の措置を講ずる。

I.委託等に係る事務・事業の改革

1.検査・検定等

 (1) 基本的考え方
@ 公益法人が国の代行機関として行う検査・検定等の事務・事業については、官民の役割分担及び規制改革の観点から見直し、廃止するものを除き、規制改革推進3か年計画(改定)(平成14年3月29日閣議決定)に示された基準認証の見直しの考え方を踏まえ、国の関与を最小限とし、事業者の自己確認・自主保安を基本とする制度に移行することを基本原則とする。この場合、直ちに事業者の自己確認・自主保安のみに委ねることが国際ルールや消費者保護等の観点から必ずしも適当でないときは、法令等に明示された一定の要件を備え、かつ、行政の裁量の余地のない形で国により登録された公正・中立な第三者機関(以下「登録機関」という。)による検査・検定等の実施(以下「登録機関による実施」という。)とする。
A 国民の生命、財産の保護、国際的責務の履行等の観点から、@により難い事務・事業については、国又は独立行政法人において実施することを原則とする。
 やむを得ない理由により、引き続き公益法人に国の代行機関として検査・検定等を行わせることとした場合にあっても、登録機関による実施に準じた措置を検討するものとする。
 なお、これらの事務・事業については、規制改革の観点から、その在り方の検討を進めるものとする。

 (2) 具体的措置内容
    別表1のとおりとする。


2.資格付与等

 (1) 基本的考え方
 公益法人が国の委託等を受けて行う試験、講習その他の資格付与等の事務・事業については、国家資格としての社会的必要性等について検証の上、廃止、独立行政法人による実施等を検討する。引き続き公益法人が国の委託等を受けて事務・事業を行うものについては、規制改革の観点から、その在り方の検討を進めるものとする。

 (2) 具体的措置内容
    別表2のとおりとする。


3.登録その他の事務・事業

 (1) 基本的考え方
 公益法人が、国の委託を受けて行う登録、交付等の事務・事業については、事務・事業の性格を勘案の上、上記に準じた措置を講ずる。


 (2) 具体的措置内容
    別表3のとおりとする。


II.推薦等に係る事務・事業の改革

1.技能審査等

 (1) 基本的考え方
 公益法人が独自に行う技能審査等の事務・事業に対する大臣認定その他の推薦等については、当該事務・事業が法律で定められた国の事務・事業ではないこと、民間において実施されている各種技能審査等の間における差別化を必要以上に助長するおそれがあること等の観点から、一律に廃止する。また、今後同様の推薦等はこれを行わないこととする。

 (2) 具体的措置内容
    別表4のとおりとする。


2.制度・仕組みの一部として組み込まれた推薦等

 (1) 基本的考え方
 公益法人が独自に行う講習が国家資格付与の要件として認定されている等国の制度・仕組みの一部として組み込まれている推薦等に係る事務・事業については、当該制度・仕組みそのものの検証と併せ検討の上、I 1(1)、2(1)に準じた措置を講ずる。

 (2) 具体的措置内容
    別表5のとおりとする。


III.補助金等の見直し

1.第三者分配型補助金等

 (1) 基本的考え方
 平成12年度に国から公益法人に交付された補助金等のうち、交付先の公益法人において当該補助金等の5割以上を他の法人等の第三者に分配・交付するもの(以下「第三者分配型補助金等」という。)については、事務・事業の必要性等を検証した上で、当該補助金等の廃止、国からの直接交付又は独立行政法人からの交付、交付先公益法人が事務・事業を直接行うこと等による分配・交付比率の5割未満への改善等の措置を講ずることにより、第三者分配型補助金等の解消を図る。なお、第三者分配型補助金等となることにつき特段の理由のあると認められる補助金等については、その理由を公表する。

(2) 具体的措置内容
    別表6のとおりとする。


2.補助金依存型公益法人

 (1) 基本的考え方
 平成12年度に国から交付された補助金等が年間収入の3分の2以上を占める公益法人(以下「補助金依存型公益法人」という。)については、当該法人に交付される補助金等の必要性等を検証し、補助金等の廃止、補助金等交付対象事業の国又は独立行政法人による実施等の措置を講ずることにより、補助金依存型公益法人の解消を図る。なお、これらの措置によっても、なお3分の2未満とならない法人については、補助金依存状態の解消のための改善計画を策定するものとし、また、補助金依存型公益法人となることに特段の理由のある公益法人については、その理由を公表する。

 (2) 具体的措置内容
    別表7のとおりとする。


3.役員報酬に対する助成

 (1) 基本的考え方
 公益法人の役員報酬に対する国の助成は、民間の法人の運営に国が実質的に関与することになりかねないことから、公益法人に対する補助金等による助成は、特段の理由のあるものを除き、一律に廃止するとともに、今後これを行わないこととする。

 (2) 具体的措置内容
    別表8のとおりとする。


IV.公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置

 上記措置を講ずることとした結果、公益法人に対する行政の関与は相当程度改善されることとなるが、なお、国の委託等、推薦等を受けて事務・事業を行う公益法人、国からの補助金等の交付を受ける公益法人等国と関係のある公益法人が引き続き存在することとなる。このため、これらについては、別添の「公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置」(以下「透明化・合理化ルール」という。)を適用し、行政及び公益法人の双方における、より一層の透明性、効率性、厳格性の確保を図るものとする。


V.改革の実施に向けて

1. 本計画による措置は、法律改正を要するものについては、原則として、平成15年度中に実施することとする。なお、その実施に当たっては事務・事業の一層の整理・合理化を図ることとする。

2. 公益法人が行っている事務・事業の国又は独立行政法人への移管を行う場合には、既存体制の合理的再編成により対処することを基本とする。また、今後、独立行政法人による実施につき引き続き検討することとされているものについても、以下の点に十分留意することとする。
(1) 移管する事務・事業が、公共上の観点から国の強い関与が不可欠であり、民間に委ねると効率的かつ確実な実施が見込めないこと
(2) 原則として既存の独立行政法人を活用するとともに、国、特殊法人、独立行政法人、公益法人等が行う関連の事務・事業を、府省の枠にとらわれることなく統合・合理化すること
(3) 移管後の独立行政法人の事務・事業、組織の合理化・効率化を徹底し、財政負担の軽減を実現すること

3. 各府省は透明化・合理化ルールが適正に運用されるよう常に意を用いるとともに、今回の改革で示された基本的考え方に立って、所管する事務・事業の不断の見直しに努めるものとする。

4. 本計画は、今後各府省が責任をもって実施することとなる。行政改革推進本部は、本計画の実施につき検討を要する事項に関し、必要に応じ調整の任に当たる。総務省は、関係府省の協力を得て、本計画の実施状況の概要について毎年度の「公益法人に関する年次報告」及びインターネットにおいて公表するなど、本計画のフォローアップに当たる。





(別添)


公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置



 行政委託型公益法人等に対する国の関与について、行政の一層の透明性、効率性、厳格性を確保する観点から、以下の措置を講ずる。

I.定義

   本措置における用語の意味は、特段の定めのない限り、次のとおりとする。

(1) 行政委託型公益法人等
 国から検査・認定・資格付与等(以下「検査等」という。)の委託等、推薦等(以下「委託・推薦等」という。)を受けている公益法人及び国から補助金・委託費等(以下「補助金等」という。)を交付されている公益法人をいう。
(2) 委託等
 事務の内容等を法令等で定め、当該事務を国以外の特定の法人に制度的に行わせることをいう。
(3) 推薦等
 法律に基づく制度・仕組みの一部として組み込むことなどにより、特定の法人が独自に行っている事業について、制度的に国が関与を行うことをいう。


II.検査等の委託・推薦等に関する事項

1.府省が講ずべき措置

 検査等の事務・事業について、当該事務・事業を所管する府省は以下の措置を講ずる。

(1) 事務・事業の法的位置付けの明確化
@ 委託等に係る事務・事業の基本的内容を法律で定める。
A 推薦等に係る事務・事業は、法律又はこれに基づく政令(当面の間、法律に基づく省令を含む。)(以下「法令」という。)に基づくものとし、これらの内容を法令において明確に規定する。
B 検査等の基準を客観的に明確なものとする。

(2) 指定・登録基準等の明確化、公開等
@ 委託等については、法人の指定基準の基本的な事項を法律で定め、詳細な事項は府省による裁量の余地を極力小さくすべく一層の明確化を図った上で、法令又は告示で定める。
A 推薦等については、法人の登録基準を府省による裁量の余地がないよう明確化した上で、法令又は告示で定める。
B 指定・登録基準(制度所管府省が定めたすべてのものを含む。)、指定・登録された法人に係る事項(法人等の名称、指定・登録時期、法人の連絡先、指定・登録の理由等)をインターネットで公開する。
C 指定・登録基準に対する問合せ(問題点の指摘を含む。)や指定・登録基準を満たしているか否かについての照会については迅速に対応するとともに、共通的事項と認められるもの等については、その概要をインターネットで公開する。

(3) 料金の決定及び積算根拠の公開
 委託等に係る事務・事業の検査料等の料金は、委託等を行う府省が決定し、その積算根拠も併せインターネットで公開する。

(4) 事務・事業の定期的検証
 委託・推薦等に係る事務・事業について改善すべき点がないか毎年見直しを行う。特に、検査関連制度については、事業者による自己確認への移行の可能性について毎年見直しを行う。見直しの状況の概要については、毎年度の「公益法人に関する年次報告」に掲載する。
 また、少なくとも3〜5年ごとに政策評価(行政機関が行う政策の評価に関する法律第3条に規定する政策評価をいう。以下同じ。)を行い、当該事務・事業の必要性について定期的な検証を行う。初回の政策評価は平成17年度末までの集中改革期間内に実施する。

(5) 指導監督の適正な実施
 委託等を行う府省は、法令に定められたところにより、委託等を受ける法人に対する指導監督を厳格に行い、事務・事業の適正な実施に努める。


2.法人が講ずべき措置

 委託・推薦等に係る事務・事業を所管する府省は、委託・推薦等を受ける公益法人に対して、以下の要件をすべて満たすよう指導する。

(1) 中立公正な運営の確保
@ 委託等を行う府省の出身者と委託等された事務・事業に関わる業界の関係者の合計が、法人の役員現在数の2分の1を上回らないこと。
A 推薦等された事務・事業が公正に行われることを担保するために、当該事務・事業を行う法人が必要な措置をとっており、その措置が明らかになっていること。
B 委託等された事務・事業に関わる法人の役職員について、公務員に準じた規律に服することが定められていること。
C 推薦等された事務・事業に関わる法人の役職員について、当該事務・事業を適正に行うために必要な職務規程が定められていること。

(2) 会計処理の明確化及び透明化
 企業会計基準の考え方の活用を含め、適正かつ効率的な事業実施に係る説明責任を果たせるよう適切な会計処理を行うこと。
 特に、委託等された事務・事業については、当該事務・事業ごとに事業内容、検査料等の収入額及び支出額の内訳を記載した書類(様式1又はそれに準じたもの)を作成し、インターネットで公開すること。

(3) 事務・事業の実施の透明化
@ 国から委託・推薦等された検査等と、法人が独自で行っている類似の事務・事業とが第三者に明確に区別できるようにすること。
A 委託等された事務・事業の一部を外注する場合、特定の事業者に限定されるような仕組みを設けないこと。


III.補助金等の交付等に関する事項

1.実施計画の対象事項に対する措置

(1) 実施計画の対象とされたものについて、各府省は以下の措置を講ずる。
@ 次に掲げる事項を公益法人の所管府省(以下「法人所管府省」という。)のホームページに掲載する。
 「第三者分配型」、「補助金依存型」の状態がやむを得ないこととされたもの(以下「例外事項」という。)について、その理由
 補助金等が年間収入の3分の2以上を占める状態を解消するための改善計画を策定することとされたものについて、当該改善計画
 集中改革期間内(平成17年度末まで)に改革の措置を講ずることとされたものについて、その達成状況
A 例外事項に関わる個々の補助金等の政策的必要性を始めとした合理的理由を検証するため、毎年度の予算要求にあたり検証を行うほか、3〜5年ごとに政策評価を実施する。その際、評価結果には、当該箇所が明らかになるようにする。なお、初回の政策評価は平成17年度末までの集中改革期間内に実施する。

(2) 実施計画のフォローアップとして、上記(1)@に掲げる事項を毎年度の「公益法人に関する年次報告」に掲載する。

(3) 「第三者分配型」で例外事項とされた助成・給付事業に係る補助金等について、各府省は交付先の公益法人が以下の事項をインターネットで公表するよう指導する。
@ 公益法人における助成・給付事業の内容、助成基準、決定方法等
A 国からの補助金等のみを用いて助成・給付事業を実施している場合、当該事業に関し国が定める基準

2.公益法人向け補助金等全般に対する措置

(1) 各府省は、「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」(平成13年8月28日公益法人等の指導監督等に関する申合せ)について、常に最新の情報を法人所管府省のホームページに掲載するとともに、次に掲げる事項も新たに掲載する。
@ 補助金等に係る事業概要、主な使途(下記(2)Aアの書類で代替可)
A 補助金等の執行に当たっての交付先選定理由として、次に掲げる事項
 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金等適正化法」という。)が適用される場合
 補助金等適正化法が適用される旨
 当該法人を選定した具体的理由(提案公募型の場合は公募方法、選定基準、選定方法も併せて記載)
 会計法に基づく契約を行う場合
a 一般競争契約の場合
 一般競争契約である旨
b 指名競争契約の場合
 指名競争契約である旨、及び当該契約方法とした具体的理由
 指名基準、及び競争参加者選定の具体的理由
c 随意契約の場合
 随意契約である旨、及び当該契約方法とした具体的理由
 当該法人を選定した具体的理由(提案公募型の場合は公募方法、選定基準、選定方法も併せて記載)
(2) 各府省は、以下の措置を講ずる。
@ 所管公益法人に対し、国からの補助金等全体の金額及びその年間収入に対する割合を示す書類を作成するよう指導。
A 公益法人が以下の措置を講ずることを補助金等の交付決定又は契約の条件とするとともに、既に交付している公益法人には速やかに措置するよう指導。
 補助金等に係る事務・事業ごとに事業内容、交付額及び支出額の内訳を記載した書類(様式2又はそれに準じたもの)を作成。
 上記書類を、@の書類に添付した上で、計算書類等と併せて事務所に備え付け公開するとともに、関係府省に報告。
B @、Aで作成する書類を法人所管府省のホームページに掲載するとともに、各法人に対しインターネットで公表するよう指導。

3.新規発生防止のための措置

(1) 各府省は、公益法人向けの補助金等に関し、予算及びその執行について以下のとおりとすること。
@ 要求段階で補助金等の交付先等が特定される場合、「第三者分配型」となるもの、公益法人が「補助金依存型」となることが見込まれるものは、原則として予算要求しない。
A 要求段階で補助金等の交付先等が特定されないものの、執行において「第三者分配型」、「補助金依存型」となることが見込まれる法人に対しては、原則として補助金等の交付決定や随意契約の締結を行わない。

(2) 各府省は、指名競争契約及び提案公募型による補助金等の執行において、応募対象を公益法人に限定せず、かつ、公募方法、選定基準、選定方法を執行に先立って対外的に明らかにすることとする。

(3) 各府省は、以下の@又はAの状態が生じた場合には、その旨及び合理的説明を法人所管府省のホームページに掲載する。
@ 競争契約、提案公募型で結果的に「補助金依存型」公益法人が生じた場合
A 競争契約で選定した公益法人において結果的に「第三者分配型」が生じた場合

(4) フォローアップとして、上記(1)に拠りがたいものが生じた場合については上記1に準じた措置を講ずることとするほか、実施計画で例外事項とされたものと併せ、「公益法人に関する年次報告」に一覧性をもって表掲載する。

IV.実施時期

(1) 実施時期については、(2)の事項を除き、平成14年4月1日から実施する。
(2) 各府省のホームページへの掲載は、平成14年7月1日から実施し、年1回は必ず更新することとする。