行政委託型公益法人等改革を具体化するための方針



 行政委託型公益法人等に対する国の関与の在り方については、「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定、以下「大綱」)に基づき、官民の役割分担の徹底、規制改革の推進、財政負担の縮減・合理化、行政の説明責任の確保と透明性の向上という観点に立って、以下の方針に従い、国自らが行い又は独立行政法人に行わせることが適当であるもの以外については、最終的には国の関与を廃止する方向で検討を進め、改革を具体化することとする。


I これまでの作業経緯及び今後の作業手順

 行政改革推進事務局(以下「事務局」)においては、国から委託等、推薦等を受けて公益法人が行っている検査、認定、資格付与等の事務・事業や国から公益法人に交付されている補助金・委託費等(以下「補助金等」)について、大綱に示された改革の方向性に従って公益法人に対する国の関与の現状把握に努めるとともに、4月13日には検討の事務的な指針として「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」(以下「視点と課題」)を公表したところである。
 事務局においてはその後「視点と課題」に基づいた検討作業を進め、この度、改革を具体化するための方針を以下のとおり取りまとめた。
 今後各府省はここに示された方針及び作業手順に基づき個別具体の事務・事業等の見直しを行い、事務局においてはこれを基に必要な検討・調整を行った上、実施計画案を策定し、政府として平成13年度中を目途に実施計画を決定することとする。その際、各事務・事業等については、平成17年度末までのできる限り早い時期にその改革を実施することとする。


II 委託等に係る事務・事業の見直し

1 考え方

 国から事務・事業を公益法人へ委託等することについては、基本的には「行政機関自らが行う必要性が乏しく、民間に委託した方が効率的な事務・事業は、その委託を大幅に進める」(平成9年12月3日行政改革会議最終報告)との考えに立つものであるが、委託先の選定基準が明確でないこと等により国との関係が不透明になりがちであり、さらに規制と複合した民業圧迫や官需独占等が生じることにより自由な経済社会活動を阻害しているのではないかといった指摘も見られるところである。
 新たな世紀において、我が国の経済社会が再生するためには、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」との考え方に立って、様々な活動を極力民間の自主性に任せ、自由な活動と創意工夫によって効率化を進めることにより高コスト構造を是正し、国民の利便性を向上することが求められている。
 公益法人が国の委託等を受けて行う事務・事業についても、このような観点から事務・事業の性格に応じ以下のような改革を進めることが不可欠である。

2 検査・検定制度の見直し

 検査・検定等については、「規制改革推進3か年計画」(平成13年3月30日閣議決定、以下「3か年計画」)に示された方向性を基本にしつつ、社会的必要性が失われつつあると考えられるものは廃止するとともに、必要と判断されたものについては自己確認・自主保安への移行を目指す方向で、以下の(1)〜(5)に従い順次検討を進めることとする。

(1) 制度の廃止
 以下に掲げるものを始め、検査・検定等の社会的必要性が失われつつあると考えられるものについては、当該検査・検定制度そのものを廃止することとする。

@検査・検定等件数の著しい低減が継続して認められるもの
A制度発足当初の需要予測を著しく下回っており、将来的にも増大の見込みが小さいと認められるもの
B過去の事故発生件数が著しく少ないと認められるもの
C危険発生の蓋然性、危険度合の重大性が共に著しく低いと認められるもの
D検査・検定等の効果がほとんど認められないもの
E国による検査・検定等によらなくとも、事業者による自主的な規制等これに代わる取組によって目的を達成できると認められるもの

(2) 自己確認・自主保安への移行
 上記(1)による検討の結果、制度を存続させる必要性がある場合には、事務・事業の特性を踏まえた事後措置を整備した上で、自己確認・自主保安に移行することとする。

(3) 国又は独立行政法人による実施
 上記(2)の検討の結果自己確認・自主保安への移行が困難と認められる検査・検定等については、国自ら又は独立行政法人に移管して実施させることが事務・事業の性格及び効率性の観点から適切であることを立証できる場合には、国又は独立行政法人により実施することとする。
 なお、独立行政法人により実施する場合にあっては、まず既存のものを活用することを検討することとする。

(4) 第三者認証への移行
 上記(3)に拠りがたい場合にあっては、第三者認証に移行することとする。

(5) 参入自由化の促進(公益法人要件の撤廃)
 上記(4)に拠りがたい場合にあっては、当面、少なくとも委託先等に係る公益法人要件を撤廃するとともに、当該事務・事業を適正に行う能力を有する者に法人の類型を問わず広く開放することとする。
 その際には中立・公正な運営等の要件を担保するために必要な措置(例えば職員に係るみなし公務員規定等)を講ずることとする。
 また、この場合営利法人等公益法人以外の者がより参入しやすくなるような措置についても併せて検討することとする。

(6) 定期的な見直し
 上記(4)(5)に該当する事務・事業については、定期的に見直しを行い、できるだけ早期に自己確認・自主保安への移行を目指すこととする。

(7) 「新たなルール」の適用
 上記(4)(5)に該当する事務・事業を公益法人が実施する場合にあっては、行政の一層の透明性、効率性、厳格性を確保する観点から、「国との関係が密接な公益法人に関する新たなルール」(別添参照、以下「新たなルール」)を適用することとする。

(8) 原案の作成
 各府省は現在公益法人に委託等している検査・検定制度について、理由等を付した上で以下のとおり分類した実施計画原案を8月末までに事務局に提出することとする。

@制度を廃止するもの
A自己確認・自主保安へ移行するもの
B国又は独立行政法人により実施するもの
C第三者認証へ移行するもの
D公益法人要件の撤廃等の措置を講ずるもの

3 資格制度の見直し

 資格制度については、3か年計画に示された方向性を基本にしつつ、社会的必要性が失われつつあると考えられるものは廃止するとともに、必要と判断されたものについては、資格制度本来の目的を損なわない範囲で事務・事業の実施方法等を見直すことにより、国民の負担を合理的かつ可能な限り軽減する方向で、以下の(1)〜(3)に従い順次検討を進めることとする。

(1) 制度の廃止
 以下に掲げるものを始め、資格制度の社会的必要性が失われつつあると考えられるものについては、当該制度そのものを廃止することとする。

@受験者数等の著しい低減が継続して認められるもの
A制度発足当初の需要予測を著しく下回っており、将来的にも増大の見込みが小さいと認められるもの
B試験の合格率等が極めて高いと認められるもの
C当該資格の前提となる規制の必要性が失われつつあると認められるもの
D関連又は同種類似の資格への統合又は代替が可能と考えられるもの
E3か年計画において「廃止を含め在り方検討」と位置付けられたもの

(2) 国又は独立行政法人による実施
 上記(1)の検討の結果存続させる資格制度に係る事務・事業のうち、国自ら又は独立行政法人に移管して実施させることが効率性の観点から適切であることを立証できる場合には、国又は独立行政法人により実施することとする。
 なお、独立行政法人により実施する場合にあっては、まず既存のものを活用することを検討することとする。

(3) 参入自由化の促進(公益法人要件の撤廃)
 上記(2)の検討の結果、国又は独立行政法人以外の者に事務・事業を委託等する必要があると認められる場合にあっては、委託先等に係る公益法人要件を撤廃するとともに、当該事務・事業を適正に行う能力を有する者に法人の類型を問わず広く開放する方向で検討することとする。

(4) 「新たなルール」の適用
 上記(3)に該当する事務・事業を公益法人が実施する場合にあっては、新たなルールを適用することとする。

(5) 原案の作成
 各府省は現在公益法人に委託等している資格制度について、理由等を付した上で以下のとおり分類した実施計画原案を8月末までに事務局に提出することとする。

@制度を廃止するもの
A国又は独立行政法人により実施するものれるもの
B公益法人要件の撤廃等の措置を講ずるもの

4 登録その他の事務・事業関係

 登録、交付、表示その他これに類する事務・事業についても、当該事務・事業の性格に応じ、上記2,3の基準に準じて厳しく見直すこととする。


III 推薦等の見直し

1 推薦等(いわゆる「お墨付き」)の廃止

(1) 考え方
 公益法人の実施する事務・事業に対する国の推薦等のうち下記2に掲げる場合を除くもの(いわゆる「お墨付き」)については、当該事務・事業が一定の水準にあることを国民に知らせる効果があり、我が国の経済社会や国民生活の発展に一定の役割を果たしてきたことは認められるところである。
 しかし、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」との考え方に照らし、このような「お墨付き」については、以下のように考えられることから廃止することとする。

(2) 原案の作成
 各府省は推薦等(下記2のものを除く。)について、理由等を付した上で以下の事項を盛り込んだ実施計画原案を8月末までに事務局に提出することとする。

@推薦等の廃止予定時期
A廃止に伴い何らかの措置が必要と考えられる場合はその内容
2 制度・仕組みの一部として組み込まれた推薦等の取扱い

(1) 考え方
 推薦等のうち法律に基づく制度・仕組みの一部として組み込まれているもの、すなわち第三者の権利義務に影響を与えることが予定されているもの(例えば第三者認証機関の認定や資格付与の前提となる講習の認定等)は、当該制度・仕組みそのものの必要性等を別途検証することとする。その結果、制度・仕組みの廃止が適当でないと判断されたものについては、公益法人要件を撤廃し、新たなルールを適用することとする。

(2) 原案の作成
 事務局は検証対象となる制度・仕組みを各府省ごとに提示し、これに基づき各府省は制度・仕組みの性格に応じて「II 委託等に係る事務・事業の見直し」に示された基準に準じ、理由等を付した上で以下のとおり分類した実施計画原案を8月末までに事務局に提出することとする。

@制度・仕組みを廃止するもの
A制度・仕組みは存続するが公益法人要件を撤廃するもの

IV 補助金等の見直し

 国から公益法人に交付されている補助金等については、大綱に示された基本的考え方に沿ってその縮減・合理化を進めるとともに、次の見直しを行うこととする。

1 いわゆる「第三者分配型」補助金等の見直し

(1) 考え方
 補助金等の交付先の公益法人において、当該補助金等の交付目的(例えば調査研究、技術開発、普及・啓発、情報収集等)である事務・事業を実質的に行っていないものや第三者に資金を交付することを目的(例えば助成金の交付、利子補給等)とした補助金等については、公益法人を経由する意義が乏しいのではないか、また、公益法人を経由することにより事業実施が非効率となっているのではないか等の疑義もみられるところであり、実態を踏まえ厳しく見直し、必要な措置を講ずることとする。

(2) 検討の対象となる補助金等
 国から公益法人に交付された補助金等の50%以上が外部に再補助・再委託等されている補助金等。

(3) 見直しの方針

@大綱における特殊法人等の事業見直しの方針(T1(1)イ(ア))に準じ、事務・事業の必要性を検証した上、必要性の認められない補助金等は廃止することとする。
A上記@の見直しを行った上で、当該補助金等の交付を存続させる政策的必要性があるものについては、補助金等の整理・統合を図った上で、当該公益法人を経由せず、最終交付先へ国から直接又は独立行政法人から交付する。
 なお、独立行政法人による交付は、効率性の観点から適切であることが立証できる場合とし、その場合にあっては、まず既存のものを活用することを検討することとする。
B上記Aに拠りがたい場合には、その理由を実施計画に明記することにより公表するとともに、当該公益法人に対する補助金等の交付を継続させる必要があるものについては、新たなルールを適用する。

(4) 原案の作成
 各府省は、公益法人に交付された補助金等の平成12年度実績について上記(2)により検討の対象と認められるものを抽出し、当該補助金等ごとに以下の事項を8月末までに事務局に提出することとする。

@当該補助金等の平成12年度の交付実績
A当該補助金等の平成13年度予算における措置状況(及び交付実績)
B平成14年度概算要求における当該補助金等の取扱い
 また、当該補助金等について理由等を付した上で、以下のとおり分類した実施計画原案を同じく8月末までに事務局に提出することとする。
@廃止する補助金等
A整理・統合を図った上で最終交付先へ国から直接又は独立行政法人から交付する補助金等
Bその他
2 いわゆる「補助金依存型」公益法人の見直し

(1) 考え方
 年間収入の大部分を国からの補助金等が占める公益法人については、事務・事業の意義が低下しているにもかかわらず当該公益法人の事業を継続させるために国が安易に資金を交付していないか、事業実施が非効率になっているのではないか等の疑義もみられるところであり、実態を踏まえ厳しく見直し、必要な措置を講ずることとする。

(2) 検討の対象となる補助金等
 年間収入の3分の2以上を国からの補助金等が占める公益法人に対する補助金等。

(3) 見直しの方針

@大綱における特殊法人等の事業見直しの方針(T1(1)イ(ア))に準じ、事務・事業の必要性を検証した上、必要性の認められない補助金等は廃止する。
A必要性が認められるもののうち、当該事務・事業を国自ら又は独立行政法人において実施することが効率性の観点から適切であると立証できる場合には、国又は独立行政法人により実施する。この場合、類似の事務・事業につき整理・統合を図ることとする。
 なお、独立行政法人により実施する場合にあっては、まず既存のものを活用することを検討することとする。
B必要性が認められるもののうち、上記Aに該当しない場合においては、国からの補助金等を年間収入の3分の2未満とする改善計画を策定する。併せて、改善計画の実施期間中は、新たなルールを適用する。
 なお、年間収入の3分の2以上を国からの補助金等が占めることにつき特段の理由がある場合には、その理由を実施計画に明記することにより公表するとともに、新たなルールを適用する。

(4) 原案の作成
 各府省は、平成12年度実績で検討の対象となる法人を抽出し、当該法人ごとに以下の事項を8月末までに事務局に提出することとする。

@平成12年度の補助金等の交付実績
A平成13年度予算における当該法人に対する補助金等の措置状況(及び交付実績)
B平成14年度概算要求における当該補助金等の取扱い
 また、当該補助金等について理由等を付した上で、以下のとおり分類した実施計画原案を同じく8月末までに事務局に提出することとする。
@廃止する補助金等
A整理・統合を図った上で国又は独立行政法人により実施する補助金等
B改善計画を策定する公益法人
Cその他
3 役員報酬に対する助成の廃止

(1) 考え方
 公益法人の役員報酬に対する国の助成は、民間の法人の運営に国が実質的に関与することになりかねず、国と公益法人との関係を不透明にし、ひいては当該法人の自立性を阻害するおそれがあるため、厳しく見直す必要がある。

(2) 見直しの方針
 平成13年度予算において役員報酬を助成している公益法人にあっては、役員報酬に係る助成を廃止することとする。

(3) 原案の作成
 各府省は、平成13年度予算において公益法人に役員報酬を助成している場合には、平成14年度概算要求における取扱いとともに、理由を付して、廃止時期等について実施計画原案を8月末までに事務局に提出することとする。



( 別 添 )

国との関係が密接な公益法人に関する新たなルールの検討
〜効果的なディスクロージャーの徹底〜


1 はじめに

(1) 事務局は、本年4月13日に公表した「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」の中で、行政改革大綱に基づく見直しを行った後も、なお次の@〜Bのような公益法人(以下「国との関係が密接な公益法人」)が引き続き残ることも考えられるため、行政の一層の透明性、効率性、厳格性を確保する観点から、所管官庁や当該公益法人に関する新たなルールの設定を検討することとしたところである。

@国から事務・事業の委託等(本文のV2で別途検証された結果として存続する推薦等を含む。以下同じ。)を受ける公益法人
A国からの補助金等を第三者に交付する公益法人
B国からの補助金等が年間収入の大部分を占める公益法人

(2) こうした国との関係が密接な公益法人に関する新たなルールについては、大綱に基づく実施計画が本年度末を目途に策定され、平成14年度以降に具体的な改革措置を行う段階までには、その内容を示しておくことが必要である。
 その際、行政改革大綱の趣旨を踏まえれば、国との関係が密接な公益法人については、独立行政法人並みの透明性や効率性を目指す仕組み(新たなルール)により、事務・事業の適正な実施を確保することが重要である。

(3) 事務局としては、こうした新たなルールの検討に際して想定される視点を、主として「効果的なディスクロージャーの徹底」という考え方を中心として整理することとした。今後、関係者の意見等を幅広く踏まえた上で、具体的な内容を固めることとする。

2 所管官庁に関する新たなルールの検討の視点

(1) 国との関係が密接な公益法人に関する行政の説明責任の明確化という観点から、所管官庁(主として事務・事業を委託等する官庁又は補助金等を交付する官庁をいう。)において、次のような措置を講ずることとする。

@公益法人に対して事務・事業の委託等を行う場合には、その委託先を指定する際の基準や根拠を一層明確なものにするとともに、公益法人という類型にとらわれない能力主義への移行を進めるため、当該分野における営利法人等の参入状況等を公開すること
A上記1.の(1)ABの公益法人に対して補助金等を交付する場合には、その交付先選定理由や考え方を明確なものとすること

(2) 所管官庁は、公益法人に対して事務・事業の委託等を行う場合や、上記1.の(1)ABの公益法人に対して補助金等を交付する場合には、その決定プロセスをオープンにして、納税者たる国民のチェックを受けるという観点から、指定基準や交付先選定理由等を明確なものとした上で、インターネットなど「国民誰もがアクセスし易い手法」を通じて公開することとする。
 また、国との関係が密接な公益法人に関する行政の説明責任をより明確なものとするとともに、ホームページを有さない公益法人にも配慮するため、当面は、国との関係が密接な公益法人の財務諸表や事業活動報告等を所管官庁が公開することとする。

(3) 所管官庁は、公益法人に対する事務・事業の委託等や、上記1.の(1)ABの公益法人に対する補助金等の交付を存続させる場合であっても、現状に対する不断の見直しを図るという観点から、政策評価を通じて定期的な見直しを行うこととする。
 なおその際には、新たなルールに基づき今後公開される国との関係が密接な公益法人に関する情報に対して、国民から寄せられる意見等も踏まえ適切に対応することとする。

3 国との関係が密接な公益法人に関する新たなルールの検討の視点

(1) 国との関係が密接な公益法人に対して、国から委託等された事務・事業の実施や国から交付された補助金等の執行等について、中立公正な立場を確保すべく次のような対応を求めることとする。

@当該公益法人の財務諸表や事業活動報告等を、インターネットなど「国民誰もがアクセスし易い手法」を通じて公開するよう努めること
A当該公益法人の理事構成については、所管官庁出身者や、国から委託等された事務・事業の実施に直接関係する者(例えば、検査・検定等を受ける業界関係者)、国から交付された補助金等の執行に直接関係する者(例えば、補助金等を第三者に交付する場合にその対象となる業界関係者)が一定の割合を超えないものとすること
 また、財団法人に評議員会を必ず置くことにより、理事会運営に対する牽制効果を持たせるなど、当該公益法人の中立公正な運営を確保すること

(2) 国との関係が密接な公益法人に対して、適正な検査料等の設定や、透明性の高い補助金等の執行、役員報酬や内部留保等への剰余の不適切な流用防止を図る等の観点から、会計処理を明確にして透明性の高い法人運営を確保すべく、次のような対応を求めることとする。

@国から委託等された事務・事業に関する会計処理、国から交付された補助金等に関する会計処理が明確な形で確認できるよう、これらの経理を区分すること
 また、当該公益法人における適正な財務運営が図られるよう、監事を必ず置くとともに、外部監査の実施により監査の徹底を図ること
A国から委託等された検査・検定等について検査料等の積算根拠を明らかにした書類や、国から交付された補助金等の使途(さらにその補助金等を第三者に交付する場合には交付先の選定理由)を明らかにした書類、役員報酬や退職金に関する規程を作成するとともに、当該公益法人の事務所に備え付けて一般の閲覧に供すること

4 今後の検討に際して留意すべきその他の事項

 上記に示した検討の視点においては、所管官庁及び国との関係が密接な公益法人を新たなルールの対象として位置付けているが、国の資金を透明性の高いルールの下に効率的に支出するという観点に立てば、例えば上記1.の(1)ABには該当しない形で補助金等の交付を受ける公益法人についても、個々のルールの趣旨や目的に応じてその適用対象とするなど、新たなルールの適用範囲について更に検討を深めることが必要と考えられる。