○:委員
●:事務局

第3回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年1月23日(月)13:30〜15:30
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ それでは、時間もまいりましたので始めましょうか。早速議題の方に入りたいと思いますけれども、前回の資料2でまだ残っている部分がございます。これは具体的には、「8 清算」以下でございますが、これを最初に議論して、それから新しい資料3を議論したいと考えておりますけれども、資料2の「8 清算」のところの残余財産の分配につきましては、前回も非営利の概念のところで大分議論いたしましたし、今回もこの新しい資料3のところで非営利の概念をもう一度議論いたしますので、そのときにまとめてした方が効率的かと思います。そこで、残余財産の帰属、分配の問題につきましては、後でまとめて議論することにいたします。
 もちろんこの段階で特に御発言の必要があるとお考えの場合には、おっしゃっても結構だと思いますけれども、特になければ後で議論したいと考えております。そういうことで「清算」のところから始めたいと思います。
 この部分について、事務局の方から御説明がありますか。

● それでは、お手元のWG資料2の8ページ目、「8 清算」から、9ページの「10 その他」までを、まとめてごく簡単に御説明させていただきたいと思います。
 戻りまして8ページ、「8 清算」「(1)残余財産の帰属」でございます。この点は、今、座長からお話しいただきましたとおり、WG資料3の方での議論となろうかと思います。資料2には、残余財産の帰属に関する規律の在り方について、社員の自律的な意思決定に委ねてよいという考え方と、一定の制約を課すべきではないかという考え方が、記載してございます。
 「(2)設立の無効及び取消しの訴え」についてでございますが、これは設立の登記によって、外見上有効に設立した法人について法律行為の無効取消しに関する民法の一般原則を修正し、その法律関係を適切に処理するという観点から、準則法人でございますので、所要の規定が必要となるというふうに思われるところです。
 (3)は「その他」でございます。
 「9 外部者による監査等」について御説明いたしますが、まず法人の資産や負債の面から見て、大規模な非営利社団法人(仮称)については、会計監査人による監査を必要とすべきかどうかが問題となるのではないかというふうに思われます。この点は、中間法人法立案時にも検討されたようですが、成案では導入が見送られておるところでございます。 この部分では、今、申し述べました、会計監査人による監査以外の点でも法人の規模等に応じた特例の要否が問題となる場合もあろうかと思います。この資料で、法人の規模等といたしましたこの「等」というのは、今、申しました法人の財産的基礎以外の要素に着目して特例の要否を考えることもあり得るのではないかという問題意識を含むものでございます。他の要素として検討すべきものがあれば、あるいはそれに基づく特例の在り方について御意見、御議論をいただければというふうに考えております。
 「10 その他」でございます。(1)は「立法の形式」でございます。これは第1回の会合で問題提起いただいた部分を反映させたものでございますが、民法の一部改正によるか、あるいは非営利法人(仮称)に関する法律を単行法とするか、更に公益性のある場合の取扱いに関する規律との関係を、どう整理するか等が問題となり得ると思います。 また、仮に単行法とした場合であっても、民法典にどのような規定を置くべきかということも問題となろうかと思います。ただ、若干将来の課題であろうかというふうにも思うところでございます。
 (2)の「中間法人制度との法制上の関係等」についてでございますが、これは第1回の会合でも申し上げましたが、非営利社団法人(仮称)の在り方がある程度具体化した段階で法制上の関係等を議論、整理していただければというふうに考えているところでございます。
 (3)の「経過措置等」については、第1回のワーキングで御指摘いただいた点でございますので資料に掲げました。親会議との役割分担の関係もございますが、資料に記載したような方向でよろしいか御議論をいただければというふうに考えているところでございます。
 以上です。

○ それでは、8〜10までにつきましていかがでしょうか。特にこの部分をというふうに限定をしないでも、全体について問題があるところ、議論すべきところを御議論いただければと思います。
 将来の課題ではありますけれども、民法をやっている者として気になるのは、民法などにはどういう形で、どんなことについての規定を残すのか、残さないのかとか、そんな点についても少し意見を交換しておいた方がいいような気がします。
 私は、個人的には、法人は社会の基本的な組織ですので、どの法人を念頭に置いた規定というのではなくて、法人一般にある程度共通する考え方というものがくくり出せれば、そういうものは民法に規定しておいた方がいいのではないかと考えています。
 具体的な例としてどんな規定を残したらよいかは十分検討する必要がありますが、例えば法人と理事の関係というのは、委任の関係だと思いますけれども、そういうものについての規定や理事の代理権についての規定を置くとかが考えられます。もっと重要なことはたくさんあると思いますけれども、何か規定は残しておいた方がいいのではないかと、漠然とは思っています。ただ、これは単なる民法学者の個人的な感想なのかもしれません。

○ 今の点ですけれども、おっしゃるとおり商法上の会社でも、基本的なところはやはり民法に拠っているところが幾つかありまして、目的規定が例えばそうです。
 それから、今おっしゃった理事の関係で言いましても、理事の代理権に関する制限の問題とか、あるいは法人の不法行為能力ですとか、言わば民法の法人に関する規定が、法人の一般法理になっているということで、会社等にも適用されている規定が幾つかありますので、それをどうするかということも1つの課題であると思います。

○ 従来から民法の現在の法人の規定については、法人の一般的なものと、公益法人についての規定と2種類あるといわれております。少なくとも前者の法人の一般的な規定というものは、今までのお二人と同じですけれども、あった方がいいのではないかという気がいたします。

○ 基本的にはそんな方向で考えていったらどうかというふうに思っております。ほかの点はいかがでしょうか。中間法人との関係など。

○ 今、御説明いただきました、8からの中で多分一番議論を呼ぶのは、9の外部者による監査をどの範囲で義務づけるかということではないかと思います。後のところは比較的異論の少ないところだと思いますけれども、現在行っております、商法の方の会社法改正作業の中では、従来は外部者による監査を義務づけていたのが株式会社だけだったわけですが、今回の要綱試案では株式会社に限らず、有限会社についても、基本的には法人であって、特に物的な法人であって、一定規模以上のものには、そういう法人の類型を問わずに外部監査を強制するという考え方に基づいて改正しようという方向を決めております。ただそのときの基準をどうするかは、これから大分議論しなければいけないんですけれども。
 そういうことになりますと、こちらの方でもやはり同じ問題が出てくる。中間法人に関して申しますと、相互会社等は当然入ってきますし、農業協同組合法の改正のときに大議論をしまして、あのときは結局妥協案として一定規模以上のものについては規模に応じて中央会が監査するという形で、言わば妥協を図ったことがありまして、やはりそれと同様のことが問題になり得るのではないか。
 ただ、その場合の外部者による監査の外部者をだれにするかが問題で、普通は公認会計士ですけれども、税理士等について一定の範囲で、こういう外部監査者に加えることができないかというのがずっと問題になっている。それは職域の問題に絡んでいますので難しい問題ですが、一応そういう課題はあります。

○ 農業協同組合のような場合は、それなりに事業をしていますので、事業の規模というのが考えやすいんですけれども、非営利法人の場合の規模とかいうのは、どんなイメージですか。

○ 商法で規模というときは、資本金と負債額で見ているんです。公益法人等に関して言えば、資本金概念はないんでしょうけれども、負債はあり得るので、同じように考えられるのではないでしょうか。

○ 恐らく商法で要求するような大きな負債というのは、非営利法人の場合には、余りないのではないでしょうか。

○ 中でもごく一部でしょうね。

○ 社員数は要素にならないんですか。

○ 今はなってないですね。

○ 例えば、総代会を設けるかどうかということの確認の問題は。

○ それは、またそちらの方の関係で問題になるので。

○ 監査以外の。

○ そうですね。

○ そもそも外部監査を必要とする趣旨は、どういうところにあるのでしょうか。

○ 商法で規模基準で入れている大きい趣旨は、負債が大きいということは債権者の数が非常に多いだろうし、債権者を法律で保護する必要が特にあるだろうということ、それから、資本金が大きいということは、それだけ、普通は社員数が多くて、そういう人たちを保護する必要性が大きいだろうと、一般的にはそうです。

○ 主として債権者の保護という趣旨と理解してよろしいでしょうか。

○ どうもそのようですね。

○ そうすると、非営利一般法人でも、活動することで第三者と接触しますので、債権者が出てくるから、外部監査の制度を置くかという問題ですね。

○ ただ、仮に外部監査を要求するとしても、商法の基準と同じぐらいでいいのかは問題ですね。私は、外部監査を導入した方がいいのかどうかについてもまだ判断しかねていますが、仮に導入するとして、商法の基準でいくと恐らくほとんどの非営利法人は入らないことになるでしょう。それでいいんだと考えるのか、非営利法人の場合には別の基準で考えるのか、そこら辺が問題となるでしょうか。
 ほかに御意見ございますでしょうか。これについては、今のような問題点があるということを踏まえて、今後更に続けて議論したいと思います。
 ほかの点はどうですか。立法その他の形式、中間法人制度との関係などについては既に御議論をいただきましたけれども。

○ 8の清算のところの(1)の「残余財産の帰属」ですが、これは残余財産を社員に分配するかしないかという問題が出てくると思いますけれども、これは非営利法人に分配をすることを認めるか、あるいは禁止してしまうのかということと連結する問題ですね。そちらの方が決まらないと、こちらも決まらない話ですね。

○ そうなんですね。非営利の概念のところで議論すべきことかもしれませんね。ここはよろしゅうございますか。それでは、資料3の方に移ってもう一度御議論をいただきたいと思います。ある意味で第2読会ということになります。それでは、これも色々な区切り方がありますけれども、まず最初の「総論」のところで区切って御議論いただきましょうか。

● 「第1 総論」まででよろしゅうございますか。

○ 1のところまでで、非営利の概念はまた別に議論します。

● 承知しました。それでは、WG資料3の「第1 総論」「1 非営利法人(仮称)制度を創設する意義、理念」について御説明いたします。
 資料は、前回の御議論を踏まえて、御指摘を基本的に反映した形でつくりました。
 まず、1つ目の※につましては「非営利法人(仮称)制度を創設する意義、理念」と法人そのものの定義とは一応区別して考えるべきではないかという御意見が前回ございましたので掲げたものでございます。
 次の「(1)理念的なアプローチ」「(2)法技術的なアプローチ」という整理をいたしましたのは、前回の御議論の中で理念的なものと技術的なとらえ方は両立し得るだろうという御議論でございましたので、このような項目立てにいたしました。
 「(1)理念的なアプローチ」の中での@、A、Bの見解は、前回WG資料2の(1)〜(3)の見解に相当するものでございます。それぞれの考え方に前回コメントいただきましたことを、※で付け加えてございます。
 Aの※につきましては、人の結合体という表現をいたしておりまして、人々のということで言いますと、若干財団との関係で説明が更に必要ではないかというような御指摘であろうかと思います。
 Bの※につきましては、本文のかぎ括弧3つ目における、民間非営利活動と意義についてやり取りがございましたので、民間非営利活動というのは、特定の何かよいことというのではなく、非営利法人を用いた民間活動を意味するということを書いてございます。
 「(2)法技術的なアプローチ」につきましては、特段変更はございません。
 また、午前中開かれた親会議において、改革の意義、理念の中で、非営利法人制度を創設する意義、理念に関係する事柄として、東京大学の大村先生から「フランスにおける結社の自由と民間非営利団体」というタイトルで御講演いただきましたことも、併せて御報告いたします。
 以上です。

○ それでは、この点についていかがでしょうか。さっきちょっと親会議と言いますか、有識者会議での議論の紹介がありましたけれども、ここで今議論していることに関連する問題として、親会議の中の何人かの委員の方が、非営利法人といわゆる2階部分の公益法人というものはやはり連続的なのではないか、ということを述べられました。また、公益という概念と非営利という概念とは連続的ではないかという御意見を述べられた方が何人かおられます。
 それから、大村先生の御意見なども伺いながら、私もちょっと考えたときに、確かに非営利法人の中に色々なものが入ってくるわけですが、積極的に従来の意味での公益とはいえない非営利活動を目的とする法人であっても、非営利法人の活動が結局は社会を活性化するとか、色々な意味で社会にとって有意義な作用があるというようなレベル、広い意味での公益性と言ってもいいかもしれませんが、そういうものに寄与するということは、非営利法人についてもあるのではないか。ただ、このようなことを言い出すと営利法人も社会的貢献をしているということになってしまうので、議論の整理の仕方はなかなか難しいのですけれども、とにかくこのような議論もありました。このような点についても念頭に置きながら、非営利法人制度の意義というものについてもう少し議論していただければと思いますが、いかがでしょうか。
 前回も議論になりましたけれども、やはり非営利法人というのは、本当に色々な形で、色々な目的のために使われますので、それを統一的に説明する積極的な基準、あるいは理念で説明するのは非常に難しい。
 他方で、しかし非営利法人の理念が余り漠としたものだと、非営利法人のところはそんなに税の優遇措置に結び付けないのであれば、問題ないのかもしれませんけれども、将来、非営利法人についても優遇税制の可能性を議論するときに、議論がしにくいということがあるのではないかと思っております。
 もうちょっとはっきり言いますと、1階部分の非営利法人についても、公益法人と同じ税の優遇措置は難しいかもしれませんが、もう少し何か軽い優遇措置みたいなものが認められてもいいのではないかということを思うのです。しかし、非営利法人では色々な目的があって、色々な意味に使われますねと言われると、それ以上議論が進められない。非営利法人で行われる事業についてもう少し明確なイメージを描ければと議論がしやすいと思います。しかし、非営利法人については一切税の優遇措置は要らないんだというふうに割り切るのであれば、非営利法人については営利法人との区別をはっきりさせておけばいいという程度なのかもしれませんね。
 この問題は、ここだけで議論を限定するのは適当ではないかもしれません。次の「非営利の概念」にも少し関係しますので、そこまで進めましょうか。

● わかりました。それでは「2 非営利の概念」について御説明いたします。第2回の会合では、この資料に掲げました(1)〜(4)までについて、資料に掲げたような方向性での議論がされたところでございます。
 (1)出資することを構成員となるための要件としない。
 (2)対外的活動によって得た利益は構成員に分配することはできない。
 (3)法人が解散した場合において、残余財産分配請求権は、制度上構成員に保障しないが、定款又は社員総会の決議によって、構成員に残余財産を帰属させることは妨げない。
 (4)法人の財産について、構成員には持分を認めない。
 という方向の御議論があったところでございます。
 ただ※にも掲げましたが、(1)の※社員が任意に出資した場合における出資の返還に関する取扱いについてどう考えるか。
 あるいは(2)の※ですが、A利益分配請求権を付与することを禁止できるし、利益分配もできるというタイプは、今回の立法の対象としないという方向でよいのかどうかという点が更に議論になったところでございます。
 (3)の※は、公益性のある非営利法人においては、残余財産の分配に関する規律の在り方が重要な論点となるのではないかという御指摘がございましたので、公益性のある非営利法人に関する検討が、有識者会議の方で進行した段階では、再度ワーキングでも検討の余地があるのではないかという趣旨で掲げたものでございます。
 (4)の※は、前回の御議論の中で御指摘いただいたことを、事務局なりに整理して記載したものでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○ それでは、さっきの1のところも含めて御議論いただけないでしょうか。

○ 1ページの(2)の対外的活動によって得た利益は構成員に分配することはできないとして、※で3つの考え方を整理されていると思いますが、今後の方向性についてBのタイプと位置づける方向でよいかというところですが、Bのタイプと位置づける方向となりますと、Aの利益分配をしてもいいということは含めないということになると思うんですが、そういう方向を取るときの説明の仕方なんですが、どう説明するのかが非常に気になります。仮に人の集団の活動の活性化がいいことだとしますと、どうして分配してはいけないのか。それを禁止する別の理由が必要になってくると思いますが、分配することは国にとって悪いことかというと、株式会社はまさにそうですから、悪いことではないはずです。そうすると、なぜ分配をしてはいけないのか、そこをどう説明するか。
 それができないのだったら、このBのタイプの方向性は無理だと思いますが、その点が気になります。

○ まさに前に議論したところですが、むしろそういう法人があってはいけないということではなくて、Aのようなタイプの法人というのは、結局定款等で定めれば利益分配をすることができる。それによって、言わばさっきおっしゃった株式会社等の営利法人と同じ機能を果たすわけですので実質営利法人といえる。営利法人である以上は株式会社とか、有限会社その他は営利に向いた仕組みを持った制度をつくっていて、その方が営利のプリンシプルに基づいて活動する法人の関係者の利害調整のルールとしては、それによりマッチしたものが用意されていて、その方が関係者にとってよりよいルールを提供できるから、もしこういう利益の分配もしたいということをお考えならば、そちらの方の制度を使ってくださいという、言わば幾つかあり得る制度の中の割り振りの問題から設けられている考え方がBであって、私はそういう意味でBに従うべきではないかと思っています。

○ 確かに株式会社には幾つかの規制がありますが、関係者の利害調整も含めて、最終的にはそれは何を目的としているのかというところですが、分配をするためには収益活動を非常に効率よく活発にしなければいけない。色々な規制システムは、収益活動を効率よく活発化することを目的としている。

○ それもありますけれども、それだけではなくて、むしろそれに応じてそういう収益を上げて分配を受けることを期待して社員となる人たちの利害関係を最も適切にルールづけるのが、どういうルールかを考えますと、どうしても持分を認めて、それに応じた色々な権利義務関係を設定していくことになりますので、そういったものをワンセットでつくるとすると、結局、株式会社や有限会社と同じようなことになっていく。もしくはAでつくっていてもいいんですけれども、そうしたらAで利益の配当請求権を与えたときにはこういうルールにしなさいという形で、そのための持分に関するルールをいろいろ入れなければいけないことになって、結局それは現在の株式会社や有限会社等に関するルールと同じような内容になってしまうから、それならばそっちの方をお使いくださいということではないかと思います。

○ そういう制度を設けることによって、分配を期待して株主になった人たちを保護することができる。しかし、任意だとしますと、そういうことを期待はできないわけですね。

○ 任意というのは、Aの場合ですか。

○ Aの場合です。そうすると、それによって配当を期待しても、その期待は保護されないかもしれませんが、そういうものとして社員になるのだと考えれば、それはそれでよろしいのかなと思います。

○ 分配することのできるというのは、定款で与える権利ではなくて、そのときどきにおいて、たまたま今回は利益が上がったから分配するということですかね。

○ それが何か悪いんだろうか。

○ ただ、そうすると、やはりそのときもそれなりに持分に応じた色々な扱いをしないといけないんでしょうね。

○ 社員の平等などが問題になるのでしょうけれども、それは実質的な規律に委ねても国がとやかく言うことではないという気もします。

○ 今の議論のやりとりは、非営利法人の理念のレベルの議論と、それから非営利法人といいつつ社員に利益を分配するとなると債権者の保護などの規定を厚くしなければいけないかという、ある意味で技術的なレベルの議論があったと思いますが、私は結論的にはAみたいのは非営利法人の中でやっていいとは思うんですが、少し別の角度からこの問題を見ると、営利法人における利益分配請求権は何かという問題があるように思います。現在の営利法人では利益分配請求権を禁止するというのは、たとえば株式会社でできないと考えられているようですが、どうなのでしょうか。新聞の報道が正確ではないのかもしれないけれども、どこかで株式会社で利益を社員に分配しないというものがあるという報道がありましたが。

● 学校の件、利益を分配しないで公益に全部。

○ 分配しないで、全部利益を公益に使うというのを株式会社でやっているというふうに新聞に出ていました。

● 定款で定めたという記事でございました。

○ そうですか。そもそも株式会社ではできないと聞いていたものですから、なぜそれができるかというのが、今までの私の営利法人についての理解からするとよくわからなかったのです。株式会社で利益を株主に分配しないで全て公益活動に使うことができるということは、結論としてはいいことだと私は思っていたんですが。
 話を戻すと、問題は、利益を分配することもできるし、分配しないようにすることもできるタイプの法人について、規律としては営利法人または非営利法人のどっちのルールに乗せるのがいいのかということですね。株式会社の方に乗せるのがいいのか。あるいは、非営利法人という類型の中でやるべきなのか。仮に収益は全部公益に回すにしても、Aのタイプというのは、持分はやはり基本的にはあるのではないかという感じがしたんです。そうすると、@ABの違いは、Bは持分というのは認めないけれども、@Aでは程度の差はありますが持分があると、そこが1つの違いかではないかと思いますが。

○ 営利法人の方で、分配してもしなくてもいいものを規律の対象としているというのであれば、穴は開かないのですが、そちらの方は分配請求権のあるものに限定されているとすると、Aのタイプには法人格を与えないという形になってしまいます。
 そうすると、非営利法人一般法をつくるという理念と整合するのか、そこの問題を気にしているんです。

○ ただ、実際には営利法人が配当するかしないかは、そのときどきに決めるわけで、利益が出た以上当然に配当する権利を社員が持っているわけではないわけですね。営利法人に反すると言われるのは、最初から利益の分配はしませんということをルールとして決めることができないということの範囲でとどまっているわけですね。
 基本的に利益に対して利益配当請求権があると言いますけれども、それはそれぞれの株主総会の決議なりで決めない限りは実際には具体的な請求権は発生しないわけで、定款にもう利益の分配はしませんよと書くようなこと、これは営利法人の本質に反するからそれはできませんよというふうに理解されていますけれども、そうではなくて、まさにAにあるような形で、利益を分配することができるという範囲では、今の営利法人はまさにAなんです。
 もう一つ言えば、そういう理念の問題のほかに、実態として仮にAのようなことを非営利法人で認めるということになりますと、今でさえ実際非営利法人、中間法人も営利法人的なものに使われている例がかなり出ているんです。仮にこれができることになったら、完全に営利法人と同じ目的で新しくできる非営利法人が使われるということに実態としてなる。そういうことが望ましいかということを考えると、それは問題があるのではないかと思っています。

○ 御議論の御趣旨を確認させていただきたいんですが、Aについての扱いの御提唱というのは、1つの考え方としては、さっきおっしゃったように法制的にここが空白になっていて、穴が空いてしまうから、AをBの方に引っ付けてとらえるべきだとおっしゃっている方に重点があるのか。
 それとも、その前の意義、理念のところの関係をも踏まえて、何かこういう利益の分配もチャンスとしてはあるということにしておいた方が、民間活動が刺激されるだろうという理念的な背景をお持ちでおっしゃっているのか、そのいずれであるかをお尋ねしたいんです。
 というのは、単に法制的に穴が空くという問題だけだとすれば、今、おっしゃったようにAが形の上では法制的に穴が空くとしても、@に準じて扱われているんだという説明もできなくはないと思います。
 ただ、御意見が理念との関わりでの御提唱だとすると、それはかなり重い話になってきますので、そこのところを伺う必要があると思うんです。

○ 理念独自のことだけで申し上げているつもりはないんですが、どちらかというと、やはり後者の部分でAのタイプというものに法人格が与えられないとするとすれば大きな問題だろうと思っておりました。
 今、おっしゃられたように、もしAのタイプは営利法人で扱っているのであると。そうすれば、それは特段問題はない、法人格を与えられているのであれば穴は空いていないことになりますが、そこは私は違うという意識を持っています。この観点では理念に結び付くかもしれませんが、営利法人というのは、必ずしも具体的な配当請求権まで高められた具体的な権利ではなくても、制度として分配請求権があるものと理解しているものですから。もしこの概念が日本法では、おっしゃられるように、分配することが任意であるということも含めて営利法人に分類されるのであると概念が整理されるのであれば、私は特段異論はありませんけれども。

○ 現在Aは株式会社に入らない。本当は入っていいのではないかと思うけれども、入らないとすると、そして、非営利法人という制度の中にAを仮に入れたという場合は、どういう問題が起きるのかと考えてみますと、例えば利益分配を定款で禁止していれば、これは特に問題はない。だけれども、いつでも利益を分配するようにすることもできるので、実際に定款変更をして利益分配をするようになったときに、それはどういう構成に乗るべきだということになるのでしょうか。

○ 乗っかるべきだというよりも。

○ つまり、一つの考え方は、AとBを含んだものが非営利法人の定義だということになると、実際に利益を分配しても相変わらず非営利法人の法制に乗っかるのか。それとも利益を分配すれば、非営利法人としては実際上いられなくなって、営利法人の方に移るという考え方もあり得ると思いますけれども、お考えは前者の方ですね。

○ はい。

○ そうすると、御主張のように、非営利法人についても社員に利益を分配することになることを意識して、法制を考えなくてはいけなくなる。

○ 最初は営利法人の方の守備範囲なんですが、営利法人の方でAの部分が当然入っているという仕切りであれば、特段穴が空きませんので、問題はないと思いますが、そこを確認させていただきたい。

○ Aは当然営利法人に入ると思っています。最初から分配を禁止していない限りは、Aが当然入るし、現実にもそういうところが株式会社としてたくさん設立されているんです。普通はまず利益が上がらなくて、利益の分配を実際には期待できないけれども、そういう法人も株式会社として設立していいかという相談を以前受けたことがありまして、現にそれはそうやって設立されまして、今まで一度も配当したことない。日本の営利法人の7割は利益の配当をしていない法人です。

○ 利益を分配しないという場合に、その中に2種類のものがある。つまり、本体は利益を分配できる。だけれども、事実上色々な事情で分配していない。これは営利法人ですね。もう一つは、元来は社員に利益分配請求権があるが、定款で利益を分配しないとすることもできるということになると、これは営利法人ですか。ちょっとAの意味がだんだんはっきりしなくなってきた。

○ この禁止の主体は何ですか。定款で自ら縛るということですか。そうすると、定款変更すればできるようになる。単なる利益金の処分というような法人内部の決定だけではなく、定款変更という重い手続を経れば変えられるという趣旨でしょうか。

● そういう理解だったと思います。
 1点教えていただきたいんですが、合名会社や合資会社だと、利益は社員に分配しないと決めてつくってはいけないんですか。

○ 最初からという意味ですか。

● はい。

○ それはまさに理念の概念に関わってくると思います。商法の総則の方の問題になってきて、52条で本法において、会社とは商行為を成すを業となる目的を持って設立した社団を言う。2項で営利を目的とする社団にして、本編の規定によりて設立したるものは、商行為を成すを業とせざるも、これを会社とみなすということで、ここから会社である以上は営利性はあると理解されていますから、絶対利益の分配をしない合名会社というのは予想はしていないと思います。ただ、その場合の営利性の縛りをどこまで重く見るかは、国によっても違います。確かにこれぎりぎりのところを詰めていきますと、アメリカで有名なダッジ判決というのがありまして、これは、フォードが、利益がすごい上がっているにもかかわらず、経営方針としてずっと配当しないという経営方針をとっていた。それに対して株主が、たとえ利益処分の取締役会決議がなされていなくても、株主には利益に対する配当請求権があるはずで、それを訴訟でもって請求することができると訴えて認められた例が1件あります。非常に有名な事件です。それはよほど例外な場合、事実上頭から配当を否定しているような態度を取ったときに限って、そういう請求がアメリカでは認められた。ましてや日本の裁判所はもっとそんな判決は多分出さないと思います。普通はあくまでそのときの経営判断として利益処分の株主総会決議や取締役会決議が行われたときに初めて株主の分配を受けることができる権利が発生する。そういうふうに考えていると思いますから、現在の営利法人である会社において、Aというのが実際にはカバーされていると私は理解しております。
 私が一番懸念しますのは、もしAを非営利法人として取り込むような制度を考えるとすると、さっき申しましたように、事実上営利法人と同じような制度も用意した立法をせざるを得なくなって、実際の立法として大変難しい課題を背負い込むことになるし、かつ、実務的にも、実際には営利を目的とする法人が、事実上従来からの営利法人制度と新しくできる非営利法人制度と両方の間で選んで使うことが可能となり、そこから難しい問題が起きてくるということが考えられますので、論理的にAを非営利法人に含める方が望ましいと仮にしても、実際上の考慮から賢明な方策ではないと考えております。

○ こう考えることはできないのですか。私も後半部分というか、非営利法人制度というものが営利法人と余り違わないような制度になることについては、余り賛成できないんですが、それは結論的なことですが、それはそれとして、概念の問題として@、A、Bをどう区分けするかというときに、商法の人たちの反対があるかもしれないけれども、本来は例えば@もAも営利法人に入るんだけれども、現在の会社法は@しか対象にしていない。だから、穴が空いているのは非営利法人制度の穴ではなくて、営利法人の穴だと。こう考えることはできないのですか。

○ そうかもしれないです。私もどちらかというとそうじゃないかと思います。そういう意味では、商法も営利という概念にいまだに振り回されているということが言えるかもしれません。それは日本だけに限らないというのはアメリカのさっきの例に表れていると思います。

○ 今は@がAに入るかという議論が中心だと思うのですが、多分、穴ということから言うと、Aというのを第3の類型として認めれば、穴は空かないということになるのだろうと思うんです。それが多分委員のおっしゃっていることに対応すると思うんですが、それが適当かどうかということだろうと思います。仮に第3の類型を設けたときには2つほど問題があって、1つは、どちらの規制も及ばないということになっていいのか。そうじゃないのではないか。両方の規制がかぶるのではないなかという気がいたします。
 もう一つは、Bの類型を設けることによって、組織形態の間の流動化をもたらすということになると思うんですけれども、果たしてそれがメリットもあるかもしれませんけれども、かなり課題が多いのではないか。そうすると、総合的に考えると、やはり二分法であって、二分法の中でAを吸収して解決するという皆さんのおっしゃっている案で大体いいのではないかなと思いますが、それでは不足でしょうか。

○ 類型が3つあると仮にした場合、Aというのは、実は@に包摂されているというのであれば、特段穴も空きませんし、問題ないと思います。ただ、穴が空く、究極的に法人格を与える部分、Aの部分については法人格は与えられないという結論、その善し悪しを考えているんですが。

○ 繰り返しになるかもしれませんけれども、本来これは商法がいずれ穴を埋めるべき問題であるという認識です。

○ そうされるのであれば、特段こちらの非営利法人法の役割分担ではありませんので、検討外ということになると思いますが、そこの整理だけは後々まで響いてきますので、整理しておかなくてはいけない。絶対それがいけないとか、結論にこだわるわけではなくて、理念の整理としてはどうかということです。

○ ほかの委員の方、いかがでしょうか。

○ 今の段階では利益を分配をすることができるというAの法人類型、あるいは団体類型を非営利法人法の中に取り込むということは、私は賛成し難いのでありますが、委員は、今回3回目の会議かと思いますが、繰り返しそのことをおっしゃっているので、もう少しその主張を伺いたいと思うところがあります。
 具体的にはAのタイプを非営利法人法の中で見てみたときに、具体的なある甲という団体が利益を分配することができる選択をした場合に、利益を分配しますね。それに関する規律というのは、もう団体自治というか、法人内部の規律だけでよくて、株式会社法、有限会社法が様々配当について規律を置いているわけですが、それは多くの部分は強行法規だろうと思います。そういうのと全然違うルールを、要するに団体の定款で定めれば、ある種の団体自治として有効だと、そういうことを含意されているんですか。
 それとも、そうではなくて、おっしゃったのは、そういうのを仮に認めるとしたら、利益分配可能非営利法人はどっと有限会社、株式会社の規定が準用されるか、それと同等の規律が置かれることになるだろうということをおっしゃったんだと思うんです。 そうであるならば、非常に立法のやり方として効率的ではないと思うんです。前者であるならば、立法のやり方としては効率的ですけれども、非常に大きなチャレンジになるのだろうと思うんです。現状の私法団体制度に対するチャレンジになりますので、そこはチャレンジに相当するだけの理論構成と正当化の理由が必要なのではないかと思います。

○ 第2類型を、非営利法人一般法の方で是非とも取り上げるべきだというほどこだわってはおりませんと先ほど申し上げたとおりです。ただ、穴が空いてしまうのはよくないのではないかということを申し上げているんです。
 それは何故かというと、第1回のときにおっしゃられたように、営利法人と非営利法人との境目がなくなってしまうんではないか。積極的に法人の事業、目的というもので意義の違いを設けなければ、結局は営利法人と非営利法人との違いは、分配するかしないかだけになってしまいます。人の集団が活発化することはいいことなのだとすると、穴を空ける理由がなくなってくると思います。私は@ABと整理されたときに、@だけが営利法人の概念に入ると思っておりましたものですから、そうだとすると、Aを入れないとすると穴が空きますねと申し上げたんです。
 ただ、おっしゃるように@Aが営利法人で商法の方のテリトリーに入っているとすれば、それはそれで疑問はなくなります。そういうことを申し上げているわけです。

○ 営利・非営利の区別に関連しても、少し議論が深まったような気もします。もちろん、まだ未解決な点もあると思いますけれども、先に進ませていただいて、この非営利のところで、ほかの部分についてはいかがでしょうか。(1)の出資ですとか、先ほど議論を留保しました残余財産の分配の点ですとか、御意見がございましたら、お願いいたします。
 私自身が十分理解していないのかもしれないけれども、中間法人との関係で言うと、中間法人は基金というのを設けて、それは出資という言葉を使っていましたか。

● 社員の地位と結び付いておりません。法人にお金を出すという意味では基金拠出者がお金を出す。社員が拠出者となってもいいですれども、社員の地位とは結び付いていないということだろうと思います。「基金の拠出」と法令上は呼んでおります。

○ 私の単純な疑問は、この部分は中間法人と同じなのか、違う点があるのかということなんです。今度の非営利法人の方には基金というものはないけれども、だけれども。

● 基金制度を定款自治でつくった、それはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、基金の拠出と返還ですか。

○ 間違っているかもしれませんが、基金に関する問題は棚上げにして、それ以外の部分については、中間法人と同じと私は理解しております。

● ですから、この(1)※のような事態は、中間法人ですと基金制度があるということになるのだろうと。それで社員とは無関係だと。たまたま基金拠出者と社員が一致することはあるだろうけれどもということではないんでしょうか。

○ 出資と持分との関係を申し上げたいんですが、(1)では出資というのをやや漠然ととらえて、出資がある法人も可能だとしていると思うんですが、それがいわゆる中間法人法上の基金のような額面のあるデットとしてのものであれば、成り立ち得ると思うんですが、そうではなく、額面のない、いわゆる純資産部分についての割合的な権利持分を考え、出資をし、それを取得するものとしますと、それはエクイティーと言えると思うんですが、どういう性格を持っているかというと、純資産の部分が変動することによって、経済的な価値が大きくなったり小さくなったりするという性格を株式が端的な例ですけれども、そのエクイティーは、持つと思います。
 そうすると、出資というのが寄付ではなくて、何らかの意味で帰ってくるものだとすると、エクイティーとしての性格を持つと、純資産部分が大きくなれば大きくなるほど、返ってくるものが大きくなるという性格を非常に容易に持ち得るということになるだろうと思います。その結果、それは利益配当、利益分配について、契約者の考え方とは違うんですが、ある程度継続中も終了時にも一定の制限をかけようという考え方とは衝突する。したがって、話を元に戻すと、出資を可能とするルールはそれでいいと思いますが、そのときの出資というのは、持分を設けないという強い要請と整合性を取るために持分にはならない。エクイティーにはならずにデットとしての性格の出資だと。そういう性格を伴うべきなのではないかと思います。

● (1)の※の返還に関する規律がどう定められるのか。全く自由ということになるとエクイティーの部分が入ってまいりますし、法人財産の増減にかかわらず出したものだけだと。びた一文利息みたいなもの、利息と言うと変なんですけれども、増えない。逆に言えば減らない。なかったらどうにもならないのですけれども、という規律というふうに、(4)と整合させるためには、(1)の※は書かねばならないところが不十分な表現になっております。作成者としては返還に関する規律は(4)と合わせますと、拠出した分しか返ってこないというふうに考えてつくりました。
 全く自由であるとするとそれが何でいけないかなんですが、それは(2)なのか、この法人の性格なのかということだろうと思います。
 (1)の※の後段「制度上当然には」ということで、むしろ(4)のようなことはできませんというのを書いたつもりでございます。制度上出したとしても、戻ってこない。余りうまくないかもしれませんが。

○ 出資及びその返還を定款で定めれば、それはそのとおり劣後的なというところまで当然含むかどうか分かりませんが、額面で返還されるということはできますね。できていいですね。それは問題ないと思うんです。

● 法制度に定めずに劣後ということができますでしょうかというのが、今伺っていて気になったんですが。

○ 定款で定めるだけではだめですか。そうかもしれませんね。

● 中間法人はそこで順番が法律にはっきり書いてございますので。他方定款で決めた場合には、デットという性格になってしまうと平等になったりしてもいけませんという気が。

○ 破産法で今、改正が進んでいるのに従うと、できるのではないでしょうか。

○ 破産法との関係で、これは劣後ローンと、それで定めた任意の出資との関係がどうなるのかということ今、考えていたのですけれども、非営利法人の場合にはそんなことは考えなくていいのかなと思ったのですが、理論的には、どちらが上位に来るかということは考えておく必要があるのかと思います。

○ 新破産法の下では、少なくとも劣後ローンと同じレベルのものはつくれると考えたらいいですか。

○ 逆につくった場合に劣後ローンとしての、破産法上の位置づけが与えられるかどうかということが逆に問題になってくるのではないかということを思ったんです。

○ 中間法人のときにも問題になりまして、相互会社についても問題があったことで、結局その場合の劣後ローンとの優先関係というのは、もしそれをどうしても処理する必要があるんでしたら、法律に書かないとどうなるか。

○ ただ、書いてなかったらどうなるか。同順位になるのではないですか。

○ ただ、劣後ローンのときの、劣後の契約の定め方で条件付き債権みたいな形にする場合には、書き方によって変わってくると思うんです。

○ それだけの問題に尽きるかどうか分かりませんけれども、要するに、返還請求権を仮に定めたときの性質、返還できる内容ですね。

○ さっきの持分については、確かに一部の協同組合タイプ等について、持分を定めているものがありますので、そういうのも全部この法律でカバーしなくちゃいけないとなると、そういうことを考えなければいけないんでしょうけれども、それはそれぞれの法律でちゃんと規定を置いていますから、新しくつくる制度で、そこまでのことを考えて制度をつくる必要はありませんから、それを考えれば持分ということは考えない制度にした方がすっきりいきますし、立法の上でも賢明ではないかと思います。

○ 今の協同組合法というか、持分を認めた方が適当なタイプについてどうするかが問題ですけれども、これは現在ある協同組合関係の法律で大体カバーされるのでしょうか。

○ 事業組合みたいで、はっきり言うとかなり営利に近いようなタイプのものがありまして、そういうものはむしろエクイティー的なものを含めて出資、持分返還まで期待しているものもあるものですから、それはそれぞれの法律で書けばいいということだと思います。

○ 業界団体などについては、公益法人としてふさわしいかという議論がなされていますが、業界団体の中にはかなり資産みたいなものを持っているものがあって、しかもそれについてはむしろ社員に持分的なものがあるという意識ではないでしょうか。中間法人法の議論のときには、持分のあるような法人は含めないということで議論しましたが、持分のあるものは協同組合法の中で吸収しようと思えばどこかに入り得るということですか。
 いずれにせよ、持分のある法人まで含めると、これも理念的にいけないとわけではないのですが、少なくともいろいろ検討すべき別の問題が出てきて、非営利法人法制が非常に複雑なものになる可能性がある。そういうことを考えると、結論としては、非営利法人法は持分のないタイプに徹底した方がよさそうな気がします。

● 確認で教えていただきたいんですが、(1)の※の前段、「妨げないが」の部分までのものについて、その返還に関する規律については、拠出したものだけを返すというような規律を定款で定めることが可能というようなタイプを念頭に置くと、それは持分はあるのかないのか。今、持分のあるタイプは立法しない方がよいと言った場合に、「その妨げないが」ところのデットの性格を持つ限度にとどまるのであれば、許容されるのかどうかはどのようになるのでしょうか。

○ まさに持分の定義によるのではないですかね。返還に関する規律の内容によるのではないですかね。さっきおっしゃったように、エクイティー的なものを返すような規定にしてしまうと、持分的になってしまうわけですね。

● それを許さないという条文をどこかに置かないとだめということになってしまうんですか。

○ 許さないというか、当然最初に出したものが返るという趣旨の制度として書いてあればそういうふうに解釈されるということではないかと思います。

○ 何らの形で規定は必要だということなのではないですか。あるいは逆に、もし持分は認めないという規定があれば、その規定の解釈として、エクイティー的なものはだめだということになるのかもしれない。もっとはっきり書くのであれば、拠出したものしか返ってこないということをどこかで明確にすればよいのではないですか。

● そこは中間法人法はうまく、法人をつくるときの財産については、基金制度を導入することによって、この問題は全く考えなくて済む形になっておるということになるのでしょうか。

○ 基金の範囲ではそういうことです。基金以外のことは何も書いていないから。

● 基金以外の形でお金を出すということですね。

○ そういうときのことは別に書いていない。

● それで経費でないものですね。

○ 例えば寄付みたいなもので何かあり得るとは思うのですけれども、それは特に予定しないで。

○ それは普通のデットだと考えているのではないですね。

○ 貸付と同じ形だと思うんです。
 言葉の問題なんですが、中間法人法の基金というのは、これは出資なんですか。

○ 出資の定義というか、私の理解では、出資というと、社員が持分を出すことが浮かぶわけでして、法人の構成員による拠出というイメージを持ちます。

○ 法人の構成員が拠出をした場合には、それは出資なんですか。

● それは社員の地位に基づいてしているものではないのであれば、出資ではないと思います。

○ ここでの非営利の概念の(1)というのは、社員の地位に基づく財の提供だけれども、それがエクイティーにはならずデットになるというものならばいいと私は言っているわけです。

○ そういうものは基本的には貸金です。ただ、普通の貸付けと違うところは、他の一般債権者に劣後するという点でだけ違って、その限りでエクイティーに近い性格の部分があるというだけだと思います。

○ さっきの話に戻るのですが、劣後ローンとここの出資返還請求権というのが結局同じになってしまうのか。

○ ただ、劣後ローンの場合は、契約であくまでつくったもので、本来債権者平等の原則は妥当しているわけです。債権者平等の原則自体を法律自体で変えてしまっているのが基金なわけで、あれ(劣後ローン)は事実上エクイティーに近いような劣後的な倒産時の処理を契約でなるべく近いように書いただけのことであって、あくまで倒産法上の債権者平等の原則は貫かれているのが劣後ローンなわけです。そういう意味で厳密なところでいきますと違いがあります。

○ 契約によって劣後ローンが生み出され、定款によって、この出資金返還請求権が生み出される。どちらもデットであるという整理ですね。

○ よろしいでしょうか。ほかには。
 それでは、少し先に進ませていただきたいと思います。次の「3 定義、名称」のところから「5 運営の電子化」のところまで、余り問題はないところかもしれませんけれども。

● それでは、ごく簡単に「3 定義、名称」から「5 運営の電子化」までまとめて御説明いたします。
 「3 定義、名称」につきましては、今回も項目を掲げるのにとどめております。
 「4 事業」につきましては、格別の制限をしないこととするということで御意見が一致したところでございます。
 ※では、同じ趣旨を行い得る事業を積極的に掲げる形で記載をいたしました。
 「5 運営の電子化」につきましては、所要の規定を置くということで、ワーキング・グループとしては御意見が一致したところと理解しております。
 以上でございます。

○ ここまで、いかがでしょうか。ここもそう問題はないですね。
 それでは、次に行きましょう。
 「第2 非営利社団法人(仮称)」の「1 設立」のところですが、「2 社員」の前のところまでです。

● 「第2 非営利社団法人(仮称)」について、「1 設立」部分を御説明いたします。
 「(1)設立手続」につきましては、ここに掲げた項目について所要の規定を置くこととするということとした上、※印のところで、所要の規定のたたき台を掲げました。@については、後に御議論いただく「社員の最低人数」との関係も配慮いたしまして、単に「社員となろうとする者」というふうに表現をしております。
 「(2)財産的基盤の確保の要否」「@設立時に一定額の財産を保有することの要否」につきましては、本資料に記載しましたとおり、前回の御議論で、A案、B案2つの考え方、A案にもバリエーションがあり得ると思うのですが、大きくA、B案の考え方のいずれかにつきまして、会社法制におきます最低資本金制度の見直しに関する議論を踏まえつつ引き続き検討ということになりました。
 この部分では、不法行為債権者の保護をどうするかという問題提起がございました。この部分につきましては、やはり会社法の見直しの方でも、議論の対象となっておるようでございます。資料3頁(2)@※の(注)という部分で、会社法の改正要綱試案の方でも、今の点についてどうするかということが議論の対象となっているようでございますので、この点も会社法の議論を踏まえつつ、引き続き検討としてはどうかと思っております。
 「A成立後の純資産額保有規制」につきましては、少なくとも社団形態のタイプについては、純資産額保有規制は設けないということで御意見が一致したものと理解をしております。(3)は「その他」でございます。
 以上です。

○ この辺はいかがでしょうか。現在の中間法人法と比べて改善すべき点がないかということで、中間法人法とは異なる内容で基本的な考え方を整理しているわけですが。親会議で少し問題になったことですが、いわゆるNPO法人と非営利法人法制の関係をどうするかということがあります。現在の方向としては、NPO法は新しい非営利法人の外に別に残しておくということのようです。しかし、仮に新しい非営利法人法制の中にNPO法人も含めるのだというふうに考えたときには、現在のNPO法と比べて、この非営利法人法制の方が重いと、NPO法人の関係者からは賛同が得られず、なかなかこちらに乗っかりにくいということがあります。そういう点を考慮して、非営利法人法制とNPO法を見てバランスが取れているかどうかという問題を少し考えていた方がいいような気がします。
 そういうときに何か問題がないかというのはどうでしょうか。端的に言うと、さっきの財産的な基盤の点ですが、A案、B案がありますけれども、A案のような規制はしないという方向の方がいいのではないかということを個人的には思うんですが、いかがですか。

○ 中間法人法のときの議論ですから、私は同じ条件でいいのではないかなと思っています。

○ 同じというのは、規制が入るんですね。NPOとの関係でいきますと、NPO法は組織の点も含めて、非常に緩くつくっていますので、これを非営利法人一般法に入れるとすると、こちらを緩くしなければ入ってこないということになりますので、おっしゃったように、入れるのは難しいという感じがします。

○ NPO法を統合するということを別に考えているわけではなくて、将来NPO法人も非営利法人法制に乗れるようなことを考えて、少し緩くできる点はないだろうかということです。NPO法は確かに政策的な理由もあって緩くはしていますけれども。

○ NPO法も、実際には事業に使うようなものが出てきて、消費者被害みたいな問題になっているところもありますね。

○ 整理としては、NPO法人はその設立が認められる目的の点から見ると、本来は公益法人に相当するものであると思います。しかし、今後は非営利法人と公益法人というものが基本的には同一の非営利法人というベースで考えられることなると、NPO法人はどういう位置づけになるのでしょうか。理念的には非営利法人が一番規制が緩くていいんですが、実際上はNPO法の方が緩いという形になることが適当なのかどうかということです。

○ NPO法人は通称で、正式名称は特定非営利活動法人ですか。

○ そうですね。

○ 「特定非営利活動法人」と「非営利法人」があるということになるわけですね。

○ 名前だけでも2つの間には関係がある。特定だから緩くていいんだという説明ができるのかが問題です。私の意図は、特定非営利活動促進法を改正して、新しい非営利法人法にそろえるということではなく、非営利法人法を特定非営利活動促進法なみに緩い規制にすべき必要はないかということです。

○ 特定というのが頭に付く名前の法律が非常に多いですね。それがみんなある共通の性格があるという。

○ 今すぐにここでA案、B案のうちのA案を削った方がいいというわけではないので、これはそのまま引き続き検討するということで結構だと思いますけれども、先ほどのような問題点があるのではないかということだけです。

○ 確認だけなんですけれども、今のところの(注)というところがありますが、不法行為の債権だと思うんですけれども、この(注)の趣旨をもう少し御説明いただけませんでしょうか。例えば「会社の不法行為」というのは、使用者責任を含んでいるのかとか、「会社関係者」というのは誰かとか、強化等の「等」とは何か、その辺り御説明いただければと思います。

● 先生に正確なところをお願いします。

○ 細かく詰めた話には全くなっていないんですけれども、要するに、こういうふうに緩めていくと、最低資本金の制度を仮に廃止するということになりますと、もともとそういう最低資本金を求めた趣旨というのは物的会社に有限責任制度を認める前提としては、事業リスクに見合うだけの危険資本の一定の出資がなされていることを要求すべきであると。そうではないと、何で債権者に対して一定限度しか弁済しなくていいということが出てくるんだろうかというのがあるんで、それで最低資本金制度等がある。
 ところが、それをもし外すとすれば、取引債権者であれば、債務者が一定の危険資本を備えていなくても、自分を防衛する能力があるはずだという理屈によることになると思います。そういう債権者に対する関係では、最低資本金制度を外すことによって、負担をなくすことができるかもしれないけれども、不法行為債権者みたいなものは自衛の可能性がないんだから、そういう債権者については、最低限の一定額は社員が会社で弁済できなかった不法行為債権額を代わって弁済する責任を認めるということをしないと、有限責任制度がジャスティファイされないのではないかということで、これが考えられている。ただ、これを詰めていくと、おっしゃるとおり一体どの範囲の不法行為債権なのか。恐らく従業員等の行ったことについての使用者責任も含まれると考えられますし、制度趣旨から考えて、労働債権や下請債権者など、本来は自衛できない債権者についても、こういう一定の責任がかぶってくるということではないかと思っております。

○ 議論の蒸し返しかもしれないけれども、いずれにせよこれは設立時に一定額の財産を要求するかどうかの話であって、ずっと維持することを要求するわけではないですね。不法行為の被害者も含めて考えることが必要ですが、債権者から見て法人に実際上財産がないということは幾らでもありますね。

○ 実際上は大いにありますね。あとは株式会社の場合は、利益配当の方の限度をそれと同じように設けるということなんですね。

○ 「会社関係者」という概念について、お教えいただければ。

○ そういうのを細かく、今言う保護の必要な債権者というのは誰かということを議論していくことは非常に難しいことになるものですから、一応こういう要綱試案の文章では関係者と、割とぼやっと書いているということで、仮に本当にこの方向で立法するんだったらば、相当詰めた議論を今後しなければいけないということだと思います。

○ 現段階では漠とした印象でしかないんですけれども、(注)に書いてあることは、非営利法人法制の方でも論点としては認識されるべきだと思いますけれども、立法技術として考えたときに、債権の範囲と責任を負う者の範囲が、それぞれうまく輪郭が明晰にくくれるかというと、困難だろうなという気がいたします。「会社の不法行為」というところも、非営利法人の不法行為と言ったときに、事実的な不法行為のほかに、取引的な不法行為も全部709 条で構成されると入ってきてしまうのかとか。
 それから、法人の関係者という概念をうまくくくれるかという辺りが克服できれば、もちろん、趣旨として置いていい制度だと思いますが、その辺が論点だと感じました。

○ おっしゃるとおりなんですが、既に要綱を決定して、法案化しようとしている電子催告に関する商法改正の中で、不法行為債権者かどうかで分けているんです。催告が必要な債権者の範囲の不法行為債権を、法制審でも決定して、法案として出すことになっています。非常に緻密な議論をされる民法の先生には怒られることになるのかもしれません。

○ 今の(注)の意味は、不法行為債権については、債権者は自ら防衛することはできないので、一定の保護を考えたらどうかということですけれども、しかし、法人自身に負わせる責任と言いますか、それを強化するのではなくて、この会社関係者というのは、例えば取締役とかいうものの責任を強化するようなことですね。

○ ここでは会社関係者と言っていますけれども、これは主に株主です。無論、取締役についても同じ負わせるという考えもあり得て、外国の法制ではそういうのがありますので、それは今後なお検討するということです。

○ ある意味で有限責任を否定するようなことですね。

○ おっしゃるとおりです。有限責任を一定限度で否定しようということです。

○ そうしますと、会社でそれが実現したとしても、それを非営利法人にスライドさせるのは難しいですね。取締役であれば、理事にということになりますが、社員はまさに利益を受けるものではないので、経済的な利益を配当という形で受けるものではないので。

○ それはしようがないですね。ただ利益は受け取らないけど社員、すなわち法人の所持者として責任を負うべきという考えがあるかもしれません。財団だったらどうなるということにもなってきますけれども、そういうときは実際上の立法の仕方としては、理事者なんでしょうね。

○ 266条の3の考え方を少し変えて広げていくような形になるのですか。

○ 一種の役員の担保責任みたいな、これは既に現行商法上はありますので、まさに資本充実に反した場合の担保責任の規定などがありますので、それと同じような規定を置くということになるののではないかと思います。

○ これは誤解はないと思いますけれども、これはあくまで※のところの注であって、こちらの検討事項の(注)ではないので、今のように注がそのまま非営利法人の方に来るわけではない。
 よろしいでしょうか。方向性はある程度議論はされているけれども、なおA案、B案については、まだ議論が残っているということですね。今の段階ではまだ詰め切れないと。 それでは、先に進みましょうか。それでは「社員」のところの御説明をお願いします。

● 「2 社員」について御説明いたします。
 「(1)社員の最低人数」につきましては、前回活発に御議論いただいたところと理解しております。WG資料3では、A案、B案、C案と整理いたしました。
 また、解散事由に係る部分についても、存続の要件として、ここで合わせて御議論いただければと考えております。
 ※は、前回の会議で御指摘いただいた点を列挙しております。1つ目は、会社法現代化要綱試案では、無限責任社員が1名の合名会社の成立、存続を許容する方向で検討されているという御紹介であります。委員から御紹介いただいた点を盛り込みました。
 2つ目は、社団性との関係で、ABCで言えばC案を取り得るのかという点でございます。
 他方3つ目の※は、非営利法人の分野においても、社員一人で法人格を取得したいというニーズがあるのではないかという御指摘を掲載いたしました。
 4つ目は、そのニーズといいますものは、財団形態の法人の制度設計による影響を受けるのではないかという御指摘でございます。
 最後5つ目の※は、A案を採用した場合には、社員が1人となった場合に、直ちに解散という事態を避けるための措置が必要ではないかという御指摘でございます。
 「(2)社員の地位」でございますが、所要の規定を置くという方向であったと思います。※に所要の規定のたたき台を一部掲げました。
 おめくりいただきまして、「(3)社員の責任」でありますが、これについては有限責任タイプを設けるということで一致したところでございます。※はその有限責任タイプの制度設計いかんによっては中間法人法と同様に社員の無限責任タイプというものを用意する必要があるのではないかということでなお検討としております。
 「(4)少数社員権」につきましては、所要の規定を置くということとするほかに、中ほど「解散を求める訴え」を明示いたしました。これは後に御説明いたします「6 解散」「(1)解散事由」「Eの『解散を命ずる裁判』」の1つとして、この訴えに基づく解散判決があるということを資料上明らかにする趣旨でございます。
 (5)はその他であります。
 以上です。

○ それでは、ここまででいかがしょうか。この間一番議論のあったのは社員1人というタイプの法人を認めるかどうかですけれどもね。この間の意見分布はどうでしたか。

● 積極的にAでなければならないという御意見はなかったと思います。

○ なかったかもしれないね。

● A案はまさに中間法人で、A案につきましては、中間法人法は社員に共通する利益を図ることを目的とするという法人だから、設立時も存続時も社員が2人必要なんでしょうという御指摘を前回の会議でいただいたところでございますが、それが積極的にそうすべきだという意見ではなかったのではないかと思います。

○ B案とC案に絞っておいてよさそうな気がしますけれども、いかがでしょうか。最後は今日は余り議論はありませんでしたけれども、この非営利法人制度の意義とか理念とかの関係でもう一度社員1人でもいいかどうかという議論はどこかでもう一回詰めなくちゃいけないと思いますけれども、とりあえず今の段階ではそこまで詰めなくてよろしいというふうに理解してよろしいでしょうか。
 それでは、社員の関係もこのくらいにいたしまして、次の「3 管理」のところをお願いします。

● それでは、「管理」のうち「(1)社員総会」について御説明いたします。「@社員総会の権限」については、A案、B案と整理をした上、先生方からいただいたコメントを※に記載しております。1つ目の※は、A案、つまり社員総会を基本的意思決定機関と位置づける考え方を採用する場合には、現行の株式会社における取締役会にならった法定の理事会というものとの組合せが検討されるべきではないかという御指摘がありました。
 ※の2つ目でありますが、他方、非営利社団法人の制度を幅広い団体について法人格を付与する制度というふうに考えた場合には、その中には当然小さな団体も想定されるところであり、株式会社のような多数の者から資本を結集するための制度に倣うのでなく、B案のようなタイプか選択できるよう、あるいはそれが基本となるべきではないかという御指摘というふうに理解をしております。
 3つ目の※は、A案とB案のいずれか1タイプだけというふうにするのではなく、あるいは団体の自律的決定に委ねるような制度設計も考えられるのではないかという御指摘であります。
 会社法現代化要綱試案におきましても、株式会社のうち、いわゆる譲渡制限会社については、現行の有限会社の機関に関する規律に相当する規律の選択を認めることが提案されているということを資料に盛り込みました。
 「A議決権」でございますが、社員はそれぞれ1個の議決権を有するということを原則とした上で、定款で別段の定めを妨げないという方向であったと思います。ただ、別段の定めの内容として、いかようにも定めてよいのか、限界はないのか。限界を設ける場合には、どのような基準によるべきかということを※で記載しております。この部分で現行商法では、一定の限界を設けているところを、現在の改正で譲渡制限会社については若干緩めるような議論がされているという御紹介もありました。
 「B議事運営等」については、所要の規定を置くことで一致したところでございます。所要の規定のたたき台については、若干細かくなると思いましたものですから、機関の制度設計がある程度見えてきた段階で準備をさせていただきたいと思っております。
 「Cその他」でございます。
 以上です。

○ それでは、ここまででいかがでしょうか。

○ 単なる言葉の使い方でささいなことなんですが、(1)@の社員総会の権限のA案、B案のB案の方ですが、これは括弧して最高意思決定機関と位置づける考え方ではなくて、最高というのは、それが言わば法秩序の上で一番上で、A案を取っても最高の機関で、B案は万能、何でも決定できる。単に言葉の使い方です。

○ それは言葉としては、どういうふうにしたら宜しいでしょう。今まで万能の意味で最高意思決定機関という言葉を使ってきましたね。御指摘のとおりなんですが、万能意思決定機関という言葉ではなくて、何か座りのいい言葉はありませんか。

○ 戦前は万能の最高の意思決定機関と言っていたんです。それが戦後は万能ではなくなって、単なる最高の意思決定機関という位置づけになったものですから、単に商法上の整理でそうなっているというだけのことです。ここでの書き方として違う言葉を使いたいということであれば、それは別に。

● ここは前回の資料になかったところを付け加えてしまったので。

○ 今のA案の方ですが、法令または定款に定めた事項に限り決議できるとしますと、それ以外のものはだれが決定するということになりましょうか。

○ それは理事会でしょうかね。

○ そうすると、理事会の方に決定権を留保する趣旨という辺りから影響してくるんだと思うんです。ここだけでは多分結論を出せないですね。そうすると、理事会を置く理由は何かとなりますね。

○ アメリカでは理事会とか取締役会というのが、管理・経営の専門家であって、そういう専門家に委ねた方がいい事柄については、むしろそちらで専門的にやってもらって、株主総会は口出しをしないという考え方が取られています。

○ 所有と経営の分離ですね。そうしますと、株式会社は収益活動をやることはプロに任せるべきだということになりますけれども、非営利法人にプロがいるかという、非営利法人のプロというのはどういうものだろうと、そこが問題なるのだと思うんです。そこから解き起こす必要があるかなと思うんですが。

○ いずれにしろ、A案というのは社員総会の権限という形で書いてあるけれども、与えられた権限以外はすべて理事会の権限となりますから、理事会が基本的に決定権を持つ制度だということで、それが適当かどうかという議論をしなくてはいけない。
 これはおっしゃるとおりで、ここだけでは決めることはできないので、理事会のところとも併せて御検討いただきたいと思います。ただ、そこに行く前に、B案の意味について確認すると、これは、定款で社員総会の権限を制限して、A案に近づけるというタイプも考えられるわけですね。この辺はどんな議論をしたんでしたか。何も議論しませんでしたか。

● B案を基礎にしつつ、A案と実質同じようなことを定款で法人が考えていくということもあり得るだろうと思いますということを私からご説明しただけです。

○ 基本的な考え方の問題として、今のB案を出発点にしながら、社員総会の権限を定款で制限してA案に近付けるという場合は、あくまでB案が出発点なので、社員総会が基本的に何でも決議することができるという考え方を基にしています。従って、幾らA案に近づけても、先ほどの御指摘のように、A案の基本的な理念は、むしろ理事会が決定すべきだという考え方ですから、B案とA案とは隔りがあるでしょうね。

● それは制度的にこのタイプの法人の制度としてA案を選択している。それ以外のオプションがない。株式会社では、今度の改正ではまた別なのかもしれませんが、現行株式会社では取締役会は必須であるということになっており、A案が非営利団体の原則パターンでよいのか。それともB案を原則とするのか。
 B案を原則として、A案に近づけるようなことを定款自治でやっていくことは可能だけれども、ただ、定款自治でやるだけで十分なのか。A案のようなタイプも制度としてつくるのかどうかという議論も可能かと思います。

○ 理事会のことを考えながら議論しなくちゃいけませんけれども、8ページのところに理事会のDというのが関係しておりまして、あとは理事の権限とか理事の数とか、一応別に議論することはできますので、理事会の部分も含めて、今の社員総会の権限のところ、併せて御議論いただいたらいかがでしょうか。

● そうしますと、理事会のところについては、前回御指摘ございましたので、それを御紹介させていただきます。
 Dの理事会については、様々な団体が今回の法制の対象となるならば、理事が1人という場合も大いにあり得、理事を必ず複数にして理事会をつくるというタイプを強制できないだろうという御議論がございましたので、この資料の8ページDにつきましては、社員総会の権限とかなり温度差があるんでございますが、法定の機関としての理事会を置かないこととしてはどうかというふうに資料に書いてございます。
 ただ、※として、本文はそうだとしても、社員総会の権限について、A案を採用した場合には、それとぶつかってしまうのではないか。その場合には、A案との組合せでは、Dの理事会については、本文とは違う形が要るのではないかという問題意識が※に書いてございます。

○ 全体の非営利法人としての在り方として、どういう組合せなり、考え方がいいのか、御議論いただければと思います。一方の極には※6ページの※に書いてあるように、A案というものがあり、その次にA案かB案か、どちらでも選べる柔軟なものがあります。それから反対の極にB案から出発するものがあります。

● 営利法人の中に株式会社と有限会社がある。そういうのを非営利法人にそのまま当てはめれば、理事会と社員総会の権限のところは全く同じことがあって、6ページの※のような法人をつくるときにどっちにしましょうかというようなことも考え得るかと思います。ただ、非営利法人をそういう複雑にと言いますか、いわゆる別類型を設けるような形になりますので、そこまでする必要があるのか。そもそも御指摘いただいたように、理事会について専門家に任せるというようなことを考えた場合に、非営利一般としてあるのかということもあろかと思います。
 ただ、その必要がある場合もあるような気はいたします。つまりそこは社員がそう思えば、やろうとしている事業についての専門家がいるということもあろうかと思います。

○ これは最初の非営利法人の理念とも関係しますけれども、いかがでしょうか。どこまでオープンと言いますか、この場で決めていった方がいいのか。どこかの段階では決めなくちゃいけないんですけれども、当面、3月までに公益法人の親会議の方で、公益法人制度についての議論が行われますけれども、それとの関係では、ある程度非営利法人のイメージができていれば十分なので、非営利法人制度のあり方の決定そのものは、もうちょっと後にいいということなのか、どっちでしょうか。前者ですかね。

● 後者の方で、ある程度幅を持ったものでよろしいのではないかと考えております。ただ、親との関係がどうしてもございますから。

○ 今の8ページの理事会の※に書いてあることと関連するんですが、参考になった商法の方の要綱試案の考え方を申し上げさせていただきますと、まさにさっき御指摘のあった所有と経営の分離しているタイプの会社というか、法人と、それが一体の会社法人とに大きく2つに分ける。所有と経営が一体になっているところというのは、取締役会がなくて、取締役が1人でもよくて、ワンマン経営者でもいいと。しかも監査役も任意であって、あってもなくてもいいと。したがって、経営陣内部での経営チェックは余り働かない。その代わり株主総会が万能の機関で、株主が直接経営者の経営に対して異議を申し立てることができるようにするタイプのものとして考えている。
 それに対してもう一方のタイプは、取締役会が存在して、言わば取締役同士の間のチェック・アンド・バランスが図られ、かつ、監査役も必置であって、監査役によるチェックもかかる。その代わりそういう会社では株主総会の権限は一定のものに、法令、または定款で定められたものに限定されて、株主が直接口をはさまなくていいし、逆にはさむべきでないところもあって、経営陣にむしろ期待するという、大きくその2つに分けましょうという考え方でできているんです。
 それからしますと、この理事会の方を設けなくて、理事が一人でもいいということにしながらA案を取るというのは、そのような考え方とは矛盾してくるということもあるのではないかと思います。

○ そういう意味では、仮にA案で行くならば、前にもそういう御趣旨のこと言われたと思いますけれども、理事会を必ず設けるということとセットになっていることが適当ですね。8ページのところにそういう注が書いてあるということですね。

○ 5ページの下から2つ目の※が、「組合せが必要となるのではないか」ではなくて、「必要となる」という御議論を承っていることになります。

○ それはそういう形で整理したらどうでしょうか。

○ 大きく違ったことを申し上げるわけではないんですが、ここまでのお話を伺っておりますと、今の点、6ページの最初の※をもう少し強調してはどうかと思います。経営と所有の分離という会社にある状況が、この非営利法人にあるというわけではないと思うんですが、しかし、社員の中で順繰りに理事を回すようなタイプのものと、それから理事というのは社員とは違った性格の、まさに専門的な非営利法人の経営をするものというのが、やはり理念形としては考えられるのではないか。恐らく現状の多くは前者なのかもしれませんが、非営利法人というのを、社会を精神的にも経済的にも豊かにするために、より広く使えるようにしようと考えると、だんだん営利会社の世界で経営者というものがはっきりしてきたのを追いかけて、非営利法人の経営者というものができてくるのが望ましいと。本当にそうなるかどうかはわからないんですが、望ましいというところまでは言えるのではないか。非営利法人について、広く活用されるようにという立場でこの立法をつくるならば、専門的な非営利法人理事者というものが登場しても、また、そこで新たに手直しをしないようなタイプもつくっておく必要がある。しかし、それだけでは現状にはかなり乖離があるので、2つのタイプを置く。その際には、今の商法改正、会社法現代化要綱案試案の技術的な部分が大変参考になるので、まさに理事会という辺りを中心に採用しながら2つのタイプを考えるというのを、今の段階ではもちろんオープンでいいんですが、C案に行くんでしょうが、よく分かりませんが、そういう形で挙げていただけるとよろしいのではないかと私は思います。

○ 仮称で理事会設置法人という感じのものと、そうでないものと2類型を考えるということですね。

○ 確かに最後の※はC案くらいに挙げた方がわかりやすいかもしれないですね。ほかに社員のところはいかがでしょうか。ほかの点はそれほど異論はなかったと思いますが、それでは理事のそのほかの問題について御説明をお願いします。

● それでは次に「(2)理事」について御説明いたします。
 「@定数、任期、選解任、欠格事由、法人との関係等」に関する規律については、所要の規定を置くということにいたしました。※では、やはりたたき台となる規定案を置きました。ただ、アの「定数は、1人又は数人とする」という部分は今のC案で理事会というものも入れるとなると、ここにも更に※が付いて、1人ではないタイプも入ってくるということになろうかと思います。イについては、多数の御意見で任期を置いた方がいいだろうという御意見でございました。
 ウは、言うまでもないことですが、選解任は社員総会の決議によるということを掲げさせていただきました。 「A権限」につきましては、ここも今の権限のC案のようなものを考えると、この本文のとおりにはいかないと思うんですが、資料としては、まず本文では各理事が業務執行権、代表権を有することとしてよいかとしてございます。
 1つ目の※は、その各自代表を原則とした場合、代表者の定めを置く規律が望ましいだろうということで※を付けてございます。端的に言えば代表者の登記をできる形にするのが望ましいだろうという意味での※でございます。
 次の※が、先ほどの社員総会の権限とつながる部分の※です。
 「前記(1)@(社員総会の権限)についてA案を採用し」、あるいはA案を選択できるような場合には、法定の理事会との組合せが必要となり、その場合理事の権限についてはなお検討するということでございます。
 「B非営利社団法人(仮称)との取引等」で、いわゆる利益相反行為を念頭に置いておりますが、これについては所要の規定を置くということとしております。※では競業避止義務に相当する規定については、設ける必要があるかどうかということを引き続き御検討いただきたいと思っております。
 「C非営利社団法人(仮称)又は第三者に対する責任」部分については、前回の議論で新しい法人を有限責任とする場合には、理事者の責任については、この項目のような規定が必要であろうという御議論でございました。
 ※では、それぞれの責任の規定を設けるとした場合のたたき台でございます。アは法人に対する責任でございます。
 イは第三者に対する責任でございます。規定ぶりは有限責任中間法人、あるいは有限会社の所要の規定を参考にしております。
 「D理事会」については、先ほど御説明したとおりでございます。あるいは御議論いただいたとおりでございます。
 「Eその他」でございます。
 以上です。

○ それでは、理事のところはいかがでしょうか。理事会を設けたときの理事の権限についてはなお検討するということですが、この点については、何か議論しましたか。

● 議論はなくて、現行法制を見ると、単なる理事者の合議体という意味での理事会ではなくて、社員総会の権限が限定されることによって業務執行権、あるいは代表取締役の業務執行を監督する権限が理事会に与えられた場合には、それを構成する理事者と、業務執行を具体的に担当する代表理事というものの権限分化、役割分担ということが起きてくるであろうという意味で、まさに株式会社法でございますが、そういうふうにしなくてはならないのではないかという意味でなお検討と書いてございます。本文のとおりにはいかないのではないかという意味でございます。

○ ここの点はこの間の議論のときに余り問題がなかったように思います。

○ 競業避止義務ですが、確かにこういうふうにしておくと問題が起きてきて、規定が必要かなという気がするんですが、一方で現実には今の公益法人の理事などはたくさん兼職している人などはいるわけでしょう。従来それの規制がないというのは、恐らく公益的な活動については、その間の競争関係とかいったことは余り考えなくていいということだったろうと思うんです。
 確かに新しく規定される非営利法人の業務範囲が非常に広くなると、中にはかなり営業的なことをやるのも出てくるので、まさにこういう必要が出てくると一方で思うんですが、一方で従来の公益法人などで、たくさんの公益法人の理事を兼ねているような方は、こういうのが入るとお困りになるのかなと。実際の問題として、そういうことが出てくるかもしれない。場合によっては、公益法人については、まさに2階建てにして、そちらを外すということもあるのかもしれないなという気がします。

● 公益性がある場合には限定される。

○ そこはどう考えたらいいのかな。

○ これは公益ではないけれども、競争、ゼロサムという感じではない世界だと考えたんでしょうね。

○ 非営利というと、中間法人よりも更に広くなるわけですね。

○ 収益活動は正面からしていいとなると、A法人の収益を犠牲にして、B法人の収益を上げると。どちらも利益は分配はしないけれども、法人単位では収益の大きい少ないというのは出てくるということですね。

○ 出版事業とか、色々なことが考えられますからね。そうなると事実上は起きてくるだろうなと思います。実際動き出すと問題になってくるところかなと。

● 中間法人法では、まず、競業避止義務が置かれなかったのは、理事個人の事業と法人の事業が競合するという場合は実際上考えにくいのではないかという点と、仮に競合した場合には、理事の善管注意義務などを通じて適切に対応すればよいという説明であったと思います。

○ これはもうちょっと検討しましょう。私は置いてもよさそうな気もするけれども、公益法人は幾ら何でも要らないだろうという気はするし、幾つも兼ねるというタイプの競業とかね。
 ほか、よろしいでしょうか。
 では、「監事」のところをお願いします。

● では、急いで「監事」を御説明いたします。
 「(3)監事」について、「@必置の要否」については、前回結論は出ていなかったと思いますので、「必置とするかどうか」としております。1つ目の※は、適正化という観点から必置とするような考え方もあり得るんではないか。
 次の※で小規模な団体では社員自らが監督すればいいのではないかという立場。
 3つ目の※が、先ほどのお話の中にもございましたが、もし、社員総会の権限を縛り、理事会を設けるとした場合には、理事相互の監視のみならず、監事を置くというような機関設計になり得るのではないかという問題意識でございます。
 「A定数、任期、選解任、欠格事由、法人との関係等に関する法律について、他の法人法制を参考としつつ、所要の規定を置くこととする」については、理事と同じでございますか、アイウといたしましたのは、監事についても、ウきちんと社員総会の決議によるということを新しい法制では考えるべきであろうということを明示する意味でございます。
 「B権限」につきましては、会計監査だけでなく、業務監査をも加える方向で検討するという御意見が大勢であったというふうに理解しております。
 1つ目の※、この業務監査を加える方向とすることについては、必置とするか否かにはかかわらないこととしているがどうか。
 ※の2つ目、会社法現代化要綱試案では、監査役について、一律業務監査権限を付与する方向で検討するとされております。
 3つ目の※は、業務監査を加えるということになった場合に、主に中間法人を参考にいたしましたが、ここに記載しましたような業務監査を実効あらしめる権能を監事に与えてはどうかということでございます。
 「C非営利社団法人(仮称)又は第三者に対する責任」でございます。理事と同様でございます。
 以上でございます。

○ では、ここまででいかがでしょうか。

● 監事の必置も含め、社員総会、理事会と連続した論点かとも思っております。

○ 小規模な団体において、監事が必置だとしても、社員が監事を兼ねるということはもちろんできるのでしょう。そうであれば、監事を必置としても大して困ることはなさそうな気がするけれども。

○ 困るとすれば、監事ということになると、責任も付いてくるものですから、特にこれは第三者責任というか、規定を入れることがありますから、そういうのでいやがる人が出てくる可能性があり得る。そういうのをなかなか依頼する人がいないと。そういう問題ではないですかね。
 あとは当然ワンマンな理事さんがいるときにはいやがることは確かだと思います。

● 責任と権限が増えると更になり手が少ない。

○ ただ、理事のなり手はいるわけですからね。監事の方が何となく割に合わない仕事みたいに考えられていて、なり手が少ないということでしょうか。

● 実際上の問題と、制度としてどうあるべきかという問題があるようです。

○ 私はそんなに問題はなさそうだと思ったんだけれども、さっき議論したように、監事にとっては第三者責任とか、その他の責任ばかり重くて、他方で業務についての権限がないのが監事だから、なり手が少ないのはしようがないと思うけれども。

○ 業務監査権限も与えるということには。

○ 監査の方の権限はもちろんあるけれども、業務執行の権限はないですね。

○ さっきの議論(社員総会、理事及び監事)はパラレルですけれども、@の3つ目の※のように、細部に分けて考えることになるのかなという気はします。

○ 中間法人は。

● 中間法人もNPO法人も必置でございます。

○ 監事になるのはいやだという話はよく聞きますね。

○ しかし、余りそれは正当な理由ではない。

○ 確かにそうですね。今日の御議論の中で、社員総会、理事会の在り方について類型指向的なことがかなり有力に出てきたような気がしますので、監事の議論もそれと連続させる仕方で一括してたたき台の案をおつくりいただくのがよいのであろうという感じもいたします。

○ それはまた案を考えていただきましょう。
 時間も来ましたので、一応ここで今日は終えまして、代表訴訟以下については、また次回以降お願いしたいと思います。本日は長いことありがとうございました。

● 次回は2月2日、再来週の月曜日の5時からということで、こちらでよろしくお願い申し上げます。


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