○:委員
●:事務局

第2回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成15年12月24日(水)10:00〜12:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ それでは始めましょう。
 今日は、非営利法人の社団形態のタイプにつきまして、たくさんの議題がございます。できるだけ多くを扱いたいと思いますが、時間の制約もありますので、すべてが扱えるかどうかはわかりません。いずれにせよ、早速議題に入りたいと思います。 この資料に基づきまして、適宜区切って御説明いただいて、区切りごとに議論していきたいと考えております。
 それでは資料に沿って、事務局の方から説明をお願いします。

● 承知しました。
 それでは、WG資料2につきまして御説明させていただきます。
 なお、右肩の資料番号は、第1回からの通し番号ということで、「WG資料2」とさせていただいております。今後もこのよう形で取り扱わせていただきたいと思っております。
 本資料につきましては、第1回のWGでお配りした資料に、前回の議論を盛り込み、また、中間法人等の準則法人における規律をベースとして作成いたしました。
 今回は、座長から御紹介があったとおり、総論と社団関係における論点を取り上げております。
 前注を付しました。前注につきましては、新たな非営利法人制度に基づく法人について仮称を置かせていただきました。新たな非営利法人の名称については、このWGで御議論いただくこととなっているため、あくまでも資料作成や議論を進める上での便宜的な措置として置くものにすぎません。
 それでは、第1の「1 非営利法人(仮称)制度を創設する意義、理念」について、ごく簡単に御説明いたします。
 (1)(2)(3)に掲げました考え方は、いずれも第1回のWG会合及び第2回の有識者会議において先生方から御指摘のあった考え方を資料に反映させたものでございます。
  (2)の注につきましては、第1回のWGでのやりとりを踏まえたものでございます。
 本日は、これらの御指摘を踏まえ、非営利法人(仮称)制度について、営利を目的としないという基準に加えて、どのような積極的な意義、理念が考えられるか等について、更に御議論を深めていただければと思います。
 それでは、説明の方は第1の1で区切らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ それでは、総論のところについていかがでしょうか。前回、既にある程度御議論いただきましたけれども、引き続きお願いいたします。
 ここで議論をすべきことは、非営利法人制度を創設する意義のレベルの話です。法律をつくるときには、法人の目的に関する規定を置くのが通例ですが、そこでどういう形で書くかという技術的な問題とは一応切り離して考えるべきだと思います。むしろ、その前提となるような制度の理念をどう考えたらよいか、という問題です。
 それほど大きな対立がないというと言い過ぎですけれども、いずれにせよ、ここに書いてあるような理念を基にしながらいろいろ議論していけば、ある程度合意が得られるだろうというふうに楽観的に思いますけれども、よろしいでしょうか。今日もたくさん議題がありますので、もし特に議論がなければ、次へ進んでいきたいと思いますけれども。
 さっきも言いましたが、いずれ立法に際しては、法人の目的としてどういうことを書くかという問題が生じますが、そのときはここで議論する理念がそのまま使えるわけではないでしょう。
 どうぞ。

○ (1)から(3)まで、いずれもごもっともな御指摘であると考えると同時に、今、おっしゃったように、今日は余り法制的なところで突っ込んでやる必要はないというお話だったと思いますけれども、仮にそういうところまで含めて考えたときに、特定非営利活動促進法の1条は、割と理念的な目的規定になっていて、中間法人法の1条は、割と形式的といいますか、素気なく何とかについて定めるとしか書いていない目的規定で、仮に法制執務的に考えるときには、どういうイメージの目的規定を考えるかということにもよって、この(1)のようなお考えはごもっともであると同時に、ちょっと中間法人的な目的規定のときではなくて、むしろNPO法的な目的規定のときにイメージできるであろうというふうに思います。
 (2)は、社団法人の射程の範囲でごもっともな指摘であると同時に、財団まで貫く目的規定として考えるときには、なお、その限界について検討が必要ではないかというふうに思います。
 (3)は、これは十分にあり得る考え方ではないかと思いますと同時に、末尾で問題提起をしておられる2つは両立し得るかというのは、私は何となく両立するのではないかと考えます。@の方は、割と技術的な側面からの非営利法人の特質を言っているものであって、Aの方は、理念的な面でのものであって、異なる次元についての御指摘でありますので、両立し得るのではないかというふうに資料を拝見したときは、お見受けいたしました。
 以上でございます。

○ どうもありがとうございました。ご指摘は、いずれもそのとおりだと思います。
それでは、ほかにご意見がなければ、今後更に非営利法人制度の意義、理念についての議論を詰めるということでよろしいでしょうか。
 それでは、次の2の「非営利の概念」についてお願いします。

● 御説明いたします。
 今回の資料では、非営利法人(仮称)における非営利の概念を検討するに当たり、(1)社員による出資、続いて(2)社員に対する利益、これは剰余金という意味でございますが、その分配。(3)残余財産の分配、及び(4)社員の持分という4つの観点に分析して御議論いただいてはどうかと考え、資料を作成いたしました。
 (2)の※では、剰余金の分配という方法以外で法人の活動によって生じた利益を社員に分配することの可否、あるいはこれを防止するために、そもそも法人に利益が上がらないよう、その活動について何らかの制約を課すことの当否を論点として提示させていただいております。
 ただ、後段の指摘につきましては、後記4参照とございますように、準則主義の下で設立された法人の事業について、何らかの制限を課すことは相当ではないのではないかというふうにも思われるところでございます。
 (4)の※の1つ目につきましては、中間法人法上の中間法人では、本文の(1)から(4)までについて、どのような整理がされているかについて確認的に掲げたものでございます。
 次の※につきましては、(4)で持分を認めるということにした場合には、後記第2・2・(2)、おめくりいただきまして3ページでございますが、社員の地位の※に掲げました事項についても更に検討の必要が生じてくるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ それでは、以上の点についてどうでしょうか。

○ 非営利といいますのは、「営利ではない」という意味にとらえてよろしいんでしょうか。

○ 今、御質問の含意がどこにあるのかわかりませんけれども、一般的にはそうだと思いますが。

○ そうしますと、営利というのは何かといいますと、「社員が分配請求権を持つ」と、それの反対ですと、「分配請求権を持たない」と。分配請求権が当然の権利ではないとしますと、「分配をしても構わないし、分配を禁止しても構わない」と。それが非営利だとしますと、社員に出資することを要件とする、あるいは持分を認めるということは、営利にとっては必須なんでしょうけれども、非営利ですと必須ではないというにすぎなくて、後は任意となると思うのですが。

○ 要するに、非営利とは利益分配請求権があることが必須ではないということで、任意でもって利益の配当請求権を認めても構わないという意味だということですか。

○ 構わないですし、禁止しても構わないと、非営利という概念で考えますと。

○ 現在の日本の商法学者の考え方からすると、私の考え方は否定されるのかもしれませんけれども、私は、本当は営利というは「当然に利益配当請求権を与える」ということではなくて、「与えることができる」のが営利だと思っているいるのですが。
 この考え方からすると、株式会社において定款でもって株主に利益分配請求権を否定することもできるということになるのですが、どうも日本ではこれはだめだとされているようですので、日本の営利法人の中には私がいうようなのはは入らないんですけれども、諸外国のカンパニーという中には、「利益配当しない」とすることができるというようなところもあるんではないでしょうか。
 そういうふうに考えると、営利というのは、「利益配当することができる」ということであって、要するに営利の方を広げて考えるという考え方ですけれども、そうすると、中間領域のところがどっちに入るかですが、今、言われたように、与えることもできるし、与えないこともできるという中間タイプがどっちに入るかという問題ですね。
 日本の法制の下では、「利益配当請求権を与えない」というのは、日本の商法では認められないと考えておられるのではないかと思いますが、私は営利とは一般には「権利として利益配当請求権を与えるタイプである」と定義されるのですけれども、それを広く解して「与えることができるというのが営利だ」というように考えることも不可能ではないと感じはしているんですけれども。どうでしょうか。

○ 委員のおっしゃったように、「与えることを禁止できるか、できないか」というのではなくて、むしろ「与えることができれば、営利だ」というのが、実際の商法の一般的な理解になるのかもしれません。

○ 「与えることができる」というのを具体的なレベルで言うのか、法律のレベルでいうのかも問題ですが。

○ ですから、3つあるのではないですかね。「与えることが禁止できないという営利」、それから「与えることができる」、それから「与えなくてはいけない」と、多分3つあって。

○ その真ん中のをどういうふうに考えるかですね。

○ そういう営利が何かという議論と、この法律がどの範囲の法人をカバーすべきかという、それに関わってくると思っていまして、これは営利社団を主に対象にする商法の観点からすると、とにかく利益を分配することが可能な社団については、営利法人として会社に関する規制を妥当することが望ましいと考えています。利益を分配することも可能な法人まで非営利法人としてカバーすることがいいのかどうかですね。それはちょっと疑問があるんではないかと思っています。

○ ちょっと伺いますが、利益の分配という点と別の観点ですが、「利益の追求を目的とするか、しないか」というのが実質論から見た営利と非営利の区別なのではないかという感じがいたしますけれども、それが今の分配の問題とどういうふうに関わってくるのかという点は、どういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。

○ その利益というのをどのレベルでの利益と考えるかという問題なのです。法人のレベルで利益を追求し、法人の内部にその利益が蓄積される、というのは 今、ここで議論している商法、あるいは民法などでいう営利ではないのです。民法や商法で営利という場合には、その利益を構成員に分配することを意味し、法人が事業によって利益を追求すること自体は、営利、非営利の概念とは違うレベルの問題だというふうに今までは整理してきました。

○ 利潤の追求というふうに言ってもいいんですけれどもね。

○ 構成員のところに利益が帰属することを目的とするのが、これが営利であるというレベルで考えていたんですね。
 ですから、今、委員が利益を追求するとおっしゃったときに、「法人として追求する」のと、「構成員がそれを得ることを目的とする」のと、どちらを念頭に置いておられるかということに関係すると思います。

○ 私は、「法人として」というつもりで言ったんですけれども。

○ 恐らく、そういう御趣旨ですね。

○ 多分、税法的には特にそういう判断になると思うんですけれども、従来、商法では、「上がった収益を構成員に分配することを目的にするかどうか」で営利性を判断してまいりました。構成員に利益を分配することを目的にしないのであれば、事実上、法人としての収益を一生懸命上げるというインセンティブに欠けることにもなるのかもしれませんが。
 むしろ、法人としての主体として、収益を上げることを目的にするかどうかは、商人概念の問題とされています。

○ どういうところで関係してくるのかわかりませんが、ここのレベルの問題ではなくて、あるいは次のテーマである非営利法人の行い得る事業という概念と少し関係するのかもしれませんね。これは、実際上は定款を書くときの定款の認証とか、あるいは登記をするときに、登記のレベルでもってどういう形でどういうふうにチェックされるかという問題と関係していまして、意外と重要な問題であると思います。

○ 率直に申しますと、さっき申しました、どの範囲の法人にこの新しい制度を適用するかということで考えて、従来の公益法人と中間法人、両方を主にカバーすることを考えますと、この中の(2)だけがメルクマールというか、それを取り込んだ立法にすることになって、(1)や(4)については、これは持分の概念を認めるかどうか、持分はその意味ではないということになるんですかね。そういうものは対象としないと。

○ 利益配当請求権があることが持分だと考えればね。

○ 非常に広い学問的概念としての非営利法人ですと、協同組合とか、あるいは相互会社みたいなものも非営利法人ということになっていますけれども、それを入れてしまうと、出資のことも入れなければいけないんですけれども、もし今度の新しい制度がそこまでをカバーしないのであれば、出資に関わるものは認めないという方がすっきりするのではないかと思います。

○ どうぞ。

○ 公益法人と営利法人の区分けについては、従前は、営利法人の方は法人の事業そのものについては何も制限しておらずに、ただ分配することを要件としているけれども、公益法人は、事業活動自体が公益性のあるものじゃないといけないとされていたのだと思います。
 今回、公益法人の目的を公益に限定することをしない、事業活動を特に限定しないとしますと、区別するものは何もないことになる。
 そうすると、法人格付与の意義が人の活動を促進するんだということしかないとなり、委員も前回もおっしゃられましたように、営利法人と非営利法人の区別を設けるものがなくなってしまうんだと思うんです。
 そうすると、人の団体が分配を目的としようと、分配を目的としない法人だろうと、法人格付与の次元では一体どこが違うのかとなる。規制は営利法人の場合は収益活動を活発にやるという事実上の問題から、それで対外的な第三者の利益保護をどう考えるか。あるいは、分配請求権を持っている人の分配請求権を確保する方策をどうするか、そこら辺の違いしかないのではないかと思うんですが。

○ 法技術的なレベルの話になってきているのかもしれませんけれども、営利法人と非営利法人を区別し、非営利法人の中には公益法人的なものと中間法人的なものが入ると、大雑把に言うと、そういうイメージの下で考えたときに、営利法人と非営利法人の境が一体何になるかという問題だと思います。
 1つは、先ほどから議論になっているように、形式的な基準ではありますけれども、構成員には利益を分配しないのを非営利とする。それが1つの基準ですね。ただ、余り積極的な基準ではないので、もう少し何か積極的な基準がほしいということなんだと思いますが、現在の中間法人も、積極的な定義を与えようとして苦労している点では同じような課題を抱えていると思うんですね。
 中間法人において、実際に定款でどう書くのかよく知りませんけれども、中間法人は定義上は、社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団ということになっています。 
 前段の方の社員の共通する利益を図ることを目的とするというときには、公益活動をすることを各社員が共通の目的としているのであれば、それも中間法人としては構わないと説明されていますね。
 今度の非営利法人では、この前段の部分が中間法人とは同じではない可能性があります。
 従来の中間法人の場合と同様に、社員の共通する利益を図ることを目的とするという書き方だけでいいのか、もうちょっと積極的に公益的な活動が入るような定義にした方がいいのか、その辺は問題点としてあると思いますけれども。

○ 営利法人の場合、やはり構成員に利益を分配して、その構成員の利益を最大化するということを目的にしているわけで、それにふさわしいルールを商法なり、有限会社法なり、その他の営利法人に関する法律で定めているわけですので、ここでそういった構成員に利益を分配するようなものまで含めた法人法制をつくって、これを使って、事実上、そういう営利法人としての活動ができるようにすることは認めるべきではないと思います。ですから、構成員の利益の分配を認めないという枠で私はいいのではないかと。それに伴って、やはり出資のところまで、この新しい制度は入れなくていいのではないかなと思います。
 公益法人との区別はつけるか、つけないかですが、広い意味では、さっき委員が御指摘のとおり、公益活動だって中間法人でできるわけですから、新しい制度を、言わば両方カバーするものとしてつくり、その中で二階建てにして、新しい非営利法人の中の一部の一定の要件を満たしたものについて公益法人としての扱いを受けるとか、何かそんな制度設計が考えられるのではないかと思います。

○ 範囲の問題と、今、最後に言われた点も重要なんですけれども、もし、非営利法人制度の上に公益法人が乗っかるような形で制度が作られるとすると、その公益法人というのは、基本的にこの非営利法人の要件をすべて満たす、その上でプラスαとして公益的な要件が加わることで公益法人的なものになると、そういう制度がつくられることになります。そうすると、この非営利法人の制度の中に公益活動を目的とする法人ががちゃんと入るようにしておかないといけないわけですね。
 そのためには、非営利法人の定義は、利益は構成員に分配しない法人というふうにしておけば、その点は全く問題ないのですが。
 そういう意味で、利益は構成員に分配しないというふうにしておけば、その点は全く問題なくて。

○ 今のことでちょっと伺いたいんですが、二階部分を構想する場合には、まず非営利法人になって、その上で二階に上る要件を満たすかどうかということを判断するわけでしょう。つまり、非営利法人という過程を通過しなければならないということになるんでしょうね。

○ そうです。ですから、非営利法人のところの規定は、柔軟である必要があります。共益的な共通の利益を追求する法人も勿論入らなければ困るし、公益的な法人も入らなければ困る。
 そういう意味で、非営利法人制度はフレキシブルな制度になっていなければ困るわけです。
 いかがでしょうか。どこまで規定するかという問題については。
 どうぞ。

○ 残余財産について、さっき委員は余り明確には御指摘にならなかったのですが、これはどうしたらよろしいでしょうか。つまり、非営利性という面と、もし二階建てをつくるという場合の公益性という面と2つの問題があるわけです。それから、理論的に、今言った2つの観点から分配を禁止すべきかどうかということと、技術的に禁止が可能かどうかということとの両方がありまして、なかなか難しい問題だなと思っています。
 特に、非営利ということが残余財産禁止を当然含むのだという考え方もあり得るわけですが、中間法人法では既にそういう考え方を取っておりませんので、今後の非営利法人法制で、この点をどうするかということもちょっと議論をした方がいいのではないかと思います。

○ せっかくここまで広げたので、何もそれをまた戻す必要はないという感じはしていますけれども。ただ、公益法人の場合には残余財産を構成員には分配しないという形の定款を設けないといけないという形になるんではないかと思います。中間法人において広げた部分、すなわち、残余財産の分配自体をしても営利ということにはならないという整理でいいのではないかと私は思いますけれども。

○ それが理論的にいいというのか、それとも技術的に規制が困難だからいいというのかで変わってくると思うのですが、少なくとも、残余財産の分配を保障するということにはならないのではないかと思うのです。

○ そうですね、そういう意味では与えることもできるし、与えないこともできると。ですから、定款で定めるという形、あるいは決議的に分配をすることを決める。その程度で残余財産を構成員に与えることは非営利性に反しないということになるのではないでしょうか。

○ そもそも正面から言うかどうかはあれですけれども。

○ 残余財産の分配の問題は、出資とも関係します。しかし、出資と残余財産の分配の関係については、私自身においても十分整理されていないのですが、最初の出資が、法人存続中は法人の財産を構成し、法人解散時には出資した分が戻ってくるというふうに考えると、それは直ちに非営利に反するということにはならないのではないかという気がするんですけれども。むしろ、出資をしない社員が残余財産の分配を受けることがあるという方が、嫌な点だと思います。

○ 実質的に言うと、残余財産を認めるべきではないという考えの根拠は、一つは利益の分配を認めないというルールの、言わば脱法というか、実質的な潜脱になるということ。
 もう一つは、さっき私が申し上げたように、出資という観念も認めないという制度にするとすれば、そちらの方の潜脱にもなると、それが実質論だと思いますね。残余財産についての権利を認めるというのが問題だということですね。
 ただ、中間法人については、さっき委員がおっしゃったように、完全にはそれを排除しない形にはなっていますが、ただ一応現在でも、当然に残余財産分配請求権を持つという規定ぶりではないわけです。あくまで総会決議で認めたときに限ると。あとは、定款であらかじめ定めておくと、それに従ってと。
 ですから、本当は定款であらかじめ構成員に分配できると定めておくことも実は問題なのではないかと私は思っているんですけれども、少なくともあらかじめそういう構成員が出資的なものに応じて残余財産の分配を受ける権利があるというところまでいってしまうと、非営利性には反するではないかなと思っています。

○ それに絡んでなんですけれども、なぜ非営利法人ですと分配をすることが許されないか、その趣旨いかんによって、どこまで趣旨が及ぶかということだと思うので、なぜ営利法人と違って非営利一般法人の場合は分配してはいけないのか、任意ではなくていけないのか、そこが詰まってこないと射程距離がわかってこないんだと、なぜいけないのかと。

○ 私の考えでは、構成員に法人から上がる利益の分配を期待する権利がある場合の利害調整のルールとしては、商法なり、有限会社法なり、その他の営利法人に関する法律が、当事者間の利害調整のルールとしてふさわしいルールを設けております。しかるに、本当は営利法人としての扱いを受けたい人たちが、利益の分配を目的としない法人に関する新しい類型の非営利法人の類型を使って、その目的を実現するとすると、最も利益分配について権利を持つタイプの法人についてふさわしい法律の定めを、言わば脱法することになるので、そういうものを使わせることにはしない方がいいということではないかと思っております。

○ これも中間法人のときに随分議論した点ではあるんですけれども。

○ 今、おっしゃった会社法の規制の及ぶべきものは及ぼすべきだという問題と、それからそもそも非営利であることの特質、企業なり組織のオーナーが存在しないことによるメリットというのが薄まってしまうというのとがあります。同じことを両方から言っているだけかもしれませんが。
 その場合に、恐らく禁止をしてもなかなか実効性がないだろうとしますと、少なくとも保障しないという限度で、その目的を達成できるのであれば、その辺りが一つの目安かなと思うんですが、先ほどの委員の御議論との関係で、保障しないということで大丈夫でしょうか。

○ 本当はもっと厳しくやれればいいんでしょうけれども、それこそ委員のおっしゃったように、法技術的に抑えることは非常に困難ですので、最低限の抑えとして保障しないということは、制度上定めておく必要があるのではないかと思っています。
 もし本当に、委員がおっしゃるように、非営利、営利をそんなに区別する必要があるのかということで、利益を分配するようなものも含み得るような法制をつくるとしたら、それは、言わば利益を分配するようなことを目的にする法人についてもふさわしい内容を持つものもつくらなければいけないことになり、それは相当複雑なものになりますし、大変な作業にもなる。
 場合によると、会社法との区別もなかなかつけ兼ねるところが出てくるので、それは余り賢明ではないのではないかと思っております。

○ ほかの方はいかがでしょうか。

○ 後の方の議論を先取りしてしまうのかもしれませんが、結局、この非営利法人法制全体のつくりが、今の商法及び有限会社法と、内容的にどういう関係になるかという点が重要であり、これは委員がおっしゃっているイメージを私も共有するんですが、結論としては軽いもの、容易なものになるべきなんだろうと思います。
 それはなぜかというと、社員相互間の利益の取り合いに関する調整ルールが必要ないからであり、債権者との関係でも社員の利益分配と、債権者との調整ルールもないか、あるいは営利法人法制に比べると弱くていいだろうと思います。
 そういう簡易で準則主義で、有限責任を享受できる法人格享受を可能にする法制を利用するものは、簡易なものを利用できることの見合いとして利益配当については禁止なのか、保障しないにとどめるのかは、どちらも議論があり得るかと思いますが、営利法人法制とは違った扱いになるだろうと思います。
 したがって、非営利の概念の(2)は必須なんだろうと思います。対外的活動によって得た利益を構成員に分配することを否定することは必須だろうと思います。
 あともう一つ申し上げたいのは、(3)と(4)なんですが、(3)は今の中間法人法では定款で定めてもいいし、決議で分配してもいいということになっていますが、(4)については、中間法人法においては勿論認められておりませんので、したがって解散時の社員に対する分配は可能だけれども、社員であれば、将来残余財産分配において利益に当たるものが得られるということは保障されていないということで、保障していないというだけではなくて、保障することができない形になっているんだと思うんです。禁止そのものではないんですが、あらかじめ残余財産分配という形での利益の分配を保障することができない形になっている。
 したがって、そのレベルを実現するならば、(4)は、これは委員がおっしゃったことの繰り返しかもしれませんが、(2)を実現するための手段として(4)が必然的に必要となってくると、こういう関係に当たるのではないかなと思います。

○ 中間法人のときの議論は、恐らく整理すると、そういうことだったんでしょうね。
 ほかにいかがでしょうか。この問題は、非営利法人制度の根幹に関わる問題で、これからも何度も議論していただくことになると思いますけれども、一応、ある程度議論すべき論点は出たということで、一区切りしてよろしいでしょうか。

○ 差し当たりの御議論の趨勢の確認なんですが、(1)(2)(4)は否定し、(3)はひとまず可能とした上で、なお技術的な論点を、今日の後ろの8の方の論点で検討を続けるというふうなことで受け止めてよろしいですか。

○ はい。

○ すみません、(3)については積極的に可能ということではないのではないかなと思いますが。

○ これは、先ほどまとめられた点ですね。
 それでは、この点についてはいずれまた御議論いただくとして、次の部分に移りたいと思います。事務局から、3、4、5辺りをまとめてお話しいただけますか。

● それでは、「3 定義、名称」から「5 運営の電子化」まで、まとめて御説明させていただきます。
 「3 定義、名称」につきましては、財団を含め、新たな非営利法人制度の制度設計がある程度明らかとなった段階で議論すべき事柄と思われるため、WG資料2では項目を掲げるにとどめております。
 「4 事業」につきましては、先ほども一部議論となりましたが、非営利性を事業の面から担保していくという方策については、理由如何による部分もあるとは思いますが、中間法人法立案時には、検討の上、否定されておるというところでございます。
 「5 運営の電子化」につきましては、資料に掲げた事項は、電子化を一般的に法人に義務づけるという趣旨では勿論なく、法人または社員の選択に従い、これらの電子化を許容する方向で所要の規定を置くこととしてはどうかというふうに考えております。
 資料に記載した方向でよいとなれば、次回以降、「してよいか」とする部分を「置くこととする」とした上で、細かな点について、更に事務局でたたき台を準備させていただければと考えております。御検討、よろしくお願いいたします。

○ それでは、この部分に関していかがでしょうか。

○ 4でありますけれども、もう付け加えることはないのかもしれませんが、これは格別な制限をしないということで進めていくべきだろうと思います。
 それは、今日のこれまでの議論でもありますが、公益法人については、公益事業をするという形で法人の性格を決定していたわけですが、今回のこの議論は、「何をするか」ではなくて、直前にお話ししたように、「法人と構成員との関係」、ここで特徴づけて考えるべきだろうと思います。したがって、「格別を制限しない」ということにすべきだろうと思います。
 もう一つ付け加えて申し上げたいのは、この会議で格別に制限しないということになれば、ここに1行書けば、それで意味しているところというのはよくわかるわけですが、広く社会に今やっている作業を理解してもらうためには、まさにこの事業について特段の制限をしないというところが、唯一かどうかはともかく非常に重要なポイントになると思いますので、ここを格別に制限しないということで議論を進めることになりましたら、ここは常に注意して、理解を獲得していくべきポイントになるのではないかと思います。

○ 制限しないというのは、法律の条文としては制限しないんだと思いますけれども、さっき少し触れましたように、定款の認証とか、あるいは登記のとき登記官が見るときにどういう形でチェックするのかという問題があり、今の中間法人も同じような問題があるんだと思いますけれども、それはどういうふうにしているんですか。

○ これは登記でも見ないことに。

○ 全然見ていないんですか。

○ それは中間法人についてですか。

○ ええ、中間法人です。これは商法の方でもいろいろ難しい問題があって。
 どうぞ。

● 登記実務では、具体性、明確性等の観点から審査をいたします。営利法人でございますと、営利性が付け加わるということになります。
 したがいまして、中間法人では具体性、明確性等の観点から登記官は審査をしておるということでございます。

○ 例えば、単に社員の共通の利益を追求することを目的とするなんていうのはだめで。

● 何かをすることにより、この事業をすることによって社員の共通の利益を図るという形だろうと思います。

○ わかりました。そういう意味で、事業の内容によって制限するというのとは違うということですか。
 どうぞ。

○ 例えば、物品販売業とかいうのを、今、中間法人にも書けますね。それはちょっと主たるものなのか、従たるものなのかという議論を一度しないといけないのかもしれませんが、しかし、いずれにしても、そういうものも書けると、営利法人が目的に挙げられるようなことと同様のものを挙げられるということにすべきであり、そうであるならば、ここは是非強調していくべき点ではないかと思います。

○ 結論は異論はないんですけれども、定款で書くときに、事業のところでもって物品を販売するということだけを書くというのは、どうなのですか。それだけではだめなんですね。
 中間法人の場合についていえば、事業を自分たちの共通の利益に結び付けなければいけないわけですね。中間法人の方は、そこまでテクニカルに要求していないのかもしれないけれども、本来はそうなんでしょうね。違いますか。

● 正確には法務省にお聞きしなければならないと思いますが、私の理解で申し上げますと、社員に共通する利益という概念自体が極めて広い、経済的のみならず、精神的なものも含むと、極めて広いものであると。わかりやすく言えば、何でもよいと。
 となると、物品の販売であっても社員の共通する利益を図ることに当たるというふうに言われておるのではないかと思います。
 公益について言えば、二階建ての制度設計如何によって、あるいはまた非営利法人部分とは違った議論が、登記官の目からもあり得るのかなと、まだわかりませんが、そう思いますが、少なくとも非営利法人部分については、あるいは現行の中間法人については述べたような理解であろうかと思います。

○ さっき議論した非営利という概念と関係するけれども、そういうふうに物品販売して、法人には収益が上がることはあるけれども、その利益を構成員に分配しないのであればよい、ということですね。

○ 非営利法人は、事業目的は何でもいいと、営利から公益からもお望みどおりと、ですから一点分配しないというだけで差をつけているだけですね。

○ 先ほど質問された点と関連します。やはり積極的に非営利法人の意義を強調しようとするときに、事業の問題と非営利をどういうふうに結び付けて説明できるかというところは注意しなければいけないのではないでしょうか。
 その点については、何かご意見がありますか。

○ それは、(3)のAの、私が申し上げていることをこの局面に引き直しますと、3項目ある最後のところなんだと思います。「民間非営利活動の促進」であって、利益を分配する形の「法人」あるいは「民間」の活動というのは、今、商法、有限会社法で厳しいかもしれませんけれども、受け皿があるわけで、しかし、利益を分配しない方のものについては、中間法人がありますが、中間法人の範囲だけでは狭いということになっているんだと思いますので、それよりも広いものがないと。したがって、それを受ける受け皿をつくるということになるんだろうと思います。
 そしてできれば、少し話が戻ってしまいますが、民間非営利活動の中の例示として公益
活動というのを入れますと、二階建ての二階の部分を一階は予定しているという形で、これもアナウンスメントとしては適切なんではないかなと思っております。

○ よろしいですか、先ほど、「民間非営利活動の促進」というところに触れられたものですから、さっきは議論をここではしなくてもいいと思ったので申し上げなかったんですが、ここに書かれている「民間非営利活動」とは何かというのが非常に気にかかっているんです。
 「民間非営利活動」というと、いかにもNPOの特定の、ほとんど公益目的活動のようにも受け取れるんですが、ここで議論している内容は一般非営利法人のことですから、要するに営利目的ではないとすると、一般民間非営利活動というのは、何かなというと、何ですかね。

○ 非営利法人を用いた民間活動だと思います。

○ ですから、そこが公益目的とか、何か世の中のためのいいことの活動とか、そういう意味が全く。

○ 違法なものはだめだけれども、それ以外は全部含むと。

○ と理解してよろしいんですね、それならよくわかります。

○ そうすると、実は、商法19条で定款の目的の記載をまさに商業登記でどう書くかが非常に問題になって、今、商法19条の関係で、目的の記載と商号が同じものは登記ができないという、それの審査のために目的の記載が非常に問題になっているんですけれども、中間法人と同じ事業をしている場合は、この19条の規制はないわけなんでしょうね。やはり同じように、チェックはしているんですか。

● はい。規制があります。

○ さっき委員が御指摘になった中間法人法の目的からする社員に共通する利益を図ることを目的としということを定款の中に一応書かせてはいるんですか、それともそれも書かなくていいんですか、それに該当するようなことを。

● すみません、「もって社員に共通の利益を図る」という最後にまとめみたいなものを書くべきどうかですか。

○ ええ、書かせているんですか。

● 詳細は承知しておりませんが、法律上は書かせる必要はないんだろうと思います。

○ 当然それが入っているはずだと。

● はい。と申しますのは、営利法人においても、「もって営利を図る」というのが最後に書いてございませんので、同じではないかと思います。
 ただ、実際の例は書いているものが多いようです。私が見た範囲ではございますが、分かりにくいからかもしれません。

○ 私は、できるだけ広く民間の非営利活動を認めること自体には勿論賛成なんだけれども、しかし事業に全然制限がないというのは、ちょっと気にはなる。不動産の売買をすることを目的とし、もって社員の共通の利益を図るなんていうのは、こういうのが非営利法人なのかと言われると、どういうふうに説明したらいいものかというのが気になります。
 どうぞ。

○ この法律の外での規制というのは、当然及ぶわけですね。

○ 何か規制があればね。

○ 業法であるとか、あるいは学校についての法律であるとか、勿論一般的な公序良俗であるとか。しかし、それを越えて、この法律自身で何か制限をするということは、やはり不可能であるし、どうもこの制度の趣旨とはちょっと相容れないのではないかという気がしまして、やはりこの法律としては制限を設けないということでいいのではないかなと思います。

○ 私もある面、やむを得ずそうならざるを得ないと思うんですけれども、さっき委員がおっしゃった意味での営利的なものがかなりこれに入ってくるということは前提に考えなければいけなくて、それを前提に、後のいろんな具体的な制度も、ですからある面、営利法人的な配慮も加えた規定を入れざるを得ない部分が出てくるのかなという気はします。

○ その問題にもつながってくるんですね。だから、入口のところで、できるだけ非営利のものに絞るような形になっていれば、後の組立ては軽いものでいいけれども、実は営利法人的なものが入ってくるというふうにされてしまうと、今の委員のような議論になって、それもちょっと困るんではないかと思うのです。

○ そうすると、やはり残余財産の分配のところが非常に重要になってきますね。

○ あと、実質的には本当は理事者の給与その他の形で出てくるものが非常に多いと思います。

○ 何かございますか。

○ 目的との関係で、少なくとも営利を目的とするということは正面から言えないはずですから、その限りでの制約というのも当然内在的にかかってくるのではないかと思います。

○ よろしいでしょうか。まだ、関連していろんなところを議論しなければいけない点だと思いますけれども、もし、この段階でもって、是非言っておきたいということがあれば、どうぞ。

● 電子化につきましては、特段このような方向でということで御異論はないと伺ってよろしゅうございましょうか。

○ よろしいですか。

○ 今、委員のおっしゃったことの確認なんですが、営利を目的としないという限りでは制限が働くという、その営利ですが、これは今、法人について考えていた営利でよろしいですか、収益を上げないということも意味していらっしゃるんでしょうか。

○ いえいえ、これは最初からここでの前提に多分なっていると思います概念です。

○ まだ少し残っているかもしれませんけれども、それでは次の第2というところに移りましょうか。

● それでは「第2 非営利社団法人(仮称)」につきましては、まず「1 設立」について御説明させていただきます。
 「(1)設立手続」につきましては、設立手続に関する事項のうち、準則主義の法人において、最低限必須となると思われるものを掲げております。
 「他の法人法制を参考としつつ」という部分につきましては、主として準則法人のうち、中間法人法及び有限会社法等を念頭に置いてございます。
 また、関連規定については、本文に掲げた5項目すべてを網羅するものではなく、冒頭のもの、すなわち定款の作成に関する規定のみを取り上げてあります。
 その他の関連規定につきましては、恐縮ですが、第1回におけるWG参考資料1の対比表の該当欄等を御参照いただければと思っております。
 「(2)財産的基盤の確保の要否」の「@設立時に一定額の財産を保有することの要否」における2つの考え方のうち、アは、有限責任中間法人における最低基金総額、または会社における最低資本金制度と同様の制度を設けるべきであるとする考え方を念頭に置いております。
 これに対して、イはそのような規制をしないという考え方でございます。
 ※には、本年10月に法制審議会、会社法現代化関係部会が明らかにした「会社法の現代化に関する要綱試案」の最低資本金制度に関する部分を抜粋いたしました。
 中間法人における財産的基盤の確保は、債権者保護及び有限責任制度の濫用の防止という観点から必要というふうな御議論だったと理解しておるところです。
 「A 成立後の純資産額保有規制」につきましては、このような規制を設けないことについて御確認いただく趣旨で掲げました。
 その結果、@の規制は設立時に限定されるものであるということが、明らかになるのではないかというふうに思います。
 「(3)その他」につきましては、設立に関しては、もとより(1)(2)に掲げた事項に尽きるわけではないということから、更にこの場で御指摘いただければ、あるいは今後検討すべきであるというふうに考えている部分でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○ では、この点についてはいかがでしょうか。

○ 財産的基盤の確保の問題は、中間法人法をつくるときに一番もめた問題で、結局、有限会社法並びということに実質的にしたわけなんですけれども、ここで御紹介いただきましたように、会社法現代化の方がどうなるか次第で、もしくは向こうの方が財産的基盤を要求しないということになりますと、多分実質的にはこちらもそれ並びに、少なくともそれより厳しいという話は出てこないということになってしまうと思いますので、向こうの方の議論が出るまで、これは待っていただいた方がよいと思います。このために費やす莫大なエネルギーを考えますと。

○ 私は、半分ぐらいは今のお考えに賛成ですけれども、仮に会社法が何かを設けることになっても、こちらは設けないということはあり得る。

○ 論理的には、それがさっきの議論と重なってくるので、実質的な営利性のあるものが入ってくると。

○ これは、基本的には何のために財産的基盤を法人に置いておかなければいけないかという観点ですね。多分これは、第三者、債権者といいましょうか、債権者の保護といいましょうか、そういう観点からあるとしますと、一番いいのは法人に財産を置いておくこと、それは事後的なAの成立後ということですけれども。
 もう一点は、財産でなければ人で置き換えるかといいますと、構成員に無限責任を負わせて、そこの代替措置を取る。会社に財産的な無限責任も含めてですけれども、それを要求しないとすると、この会社は資産がない会社だぞということを情報開示でわからせておけば、予見可能性が保たれると、大体3つぐらいの選択肢かなと。
 そうすると、財団のときに、前回、全部使い尽くしても構わないものもあるじゃないかということで、その場合には多分情報開示でやるという方法しか残っていないと。いずれにしてもあり得る選択肢かなというふうに柔軟に考えてもいいのかなという気もするんですが。

○ そうですね。

○ そういう意味では、a案、b案、c案、これに更に注が付いていまして、b案、c案を取るときに限定的な無限責任の導入、あるいは不法行為債権についてですけれども、これを導入することを検討することはどうかということが付いていまして、更にそれ以外に、今、委員御指摘のように、開示制度等と併せて議論をせざるを得なくなってきていると思いますね。

○ 問題になるのは、やはり私は不法行為債権だけだというふうに考えていいと思っているんです。勿論、取引の債権者の方が一般には多いし、そっちの方が重要なんですけれども、取引上の債権者は、むしろ調査する手段が提供されていればよくて、不法行為の債権者だけが、そういう手段なくして債権が発生しますので、それの手当として何かこういうものが必要なのかどうかという議論が必要ですね。で、私は結論的には、不法行為債権者についても特別の手当てがなくてもいいと思っているんですけれども、商法の議論では、この問題について注が付いているのですね。

○ 最低限そうですね。ただ、歴史的に見ますと、最低資本金制度などが出てきた背景は、もう一つは、設立時の詐欺的な出資募集を防止するということ等もありますので、それだけではないことは事実です。

○ どうぞ。

○ たしか中間法人法のときも基金をなぜ設けるかということが議論になりまして、一つが債権者保護というのが勿論あるわけですが、ただ300 万というのは、なんか中途半端な金額であって、実質的にどれほど保護になるのかという指摘もありました。
 もう一つは、今、委員おっしゃったこととつながるのかどうかわかりませんが、設立を濫用することによる弊害の防止で、少し何かハードルを置いた方がいいんじゃないかという議論もありました。
 しかし、一番大きかったのは、会社法制との関係ということで、多分それが最終的な最も強い理由として300 万ということになったのだというふうに記憶しています。
 そうしますと、今回、会社法の現代化が進められている段階で、最も中心となったものが変わるわけですから、結論的には委員がおっしゃったように、それを待っていていいのではないかと思います。
か。

○ よろしいですか。ここで挙げられていることで、ほかの点はいかがでしょうか。
 (1)それから今の(2)のAの問題、ここに書いてあるようなことでよろしいと思いますけれども。
 よろしいですか、それでは次に行きましょうか。それでは「2 社員」のところをお願いします。

● それでは「2 社員」について御説明いたします。
 「(1)社員の最低人数」につきましては、中間法人法では、社員が二人以上であれば、設立と存続が認められているということを参考にしたものでございます。
 「(2)社員の地位」につきましては、※に掲げました持分を認めるかどうかによって、大きく異なってくると思います。持分を認めない場合には、社員たる資格の得喪ですとか、経費支払義務につきましては、定款で定めるということになり、退社・除名については法人財産と無関係ということになるかと思われます。
 「(3)社員の責任」につきましては、本文で有限責任としてはどうか。出資が要件ではないということになりますと、出資の限度での責任という意味ではないのですが、本文に記載した意味での有限責任という言葉を用いております。
 ※は、いわゆる無限責任タイプの類型を設けるべきかを問題としております。営利法人、中間法人において、それぞれ有限、無限のタイプが置かれております。無限タイプについては、有限タイプの制度設計がどのようなものになるかによって、その要否が左右されるという面もあろうかと思います。
 「(4)少数社員権」につきましては、おめくりいただきまして、前回の会議で委員から御指摘がありましたので、1項目を掲げました。本文に掲げた規律は、有限責任中間法人の社員について認められている権能でございます。
 「(5)その他」は、1で述べましたものと同じ意味でのその他でございます。
 以上でございます。

○ いかがでしょうか。

○ 最初の社員の最低人数なんですけれども、株式会社、有限会社は現行法でも、いわゆる一人会社、社員一人だけもあり得るわけで、今回の、先ほどの会社法現代化の要綱試案では、合名会社、合資会社、これは現行法上、二人以上でないといけないんですけれども、それを一人になってもいいという提案をしていまして、従来、二人以上というのは社団性ということから説明されていたわけですけれども、これを維持する必要があるかどうか、民法的に言うとどうなんですか。

○ 社団性というのは、そんなに強く言わなくてもいいかもしれないけれども、やはり本来は2名ぐらいはあった方がいいという考えはあります。ただ、中間法人というのを、要するに、構成員や財産拠出者から独立した財産をつくるための器として使うとか、そういうのが入ってきますと、社員の数は関係ないですね。

○ あと、従来、商法で言われたものは、たとえ一時的に一人になっても、複数に戻る可能性があればいいということだったんですけれども。

○ 合名会社まで一人会社を認めるという理由はどこにあるんですか。

○ まさに、それほどやかましく言わなくてもということだと思いますけれども。

○ 合名会社は実質は組合でしょう。

○ 相続なんかの場合で、社員が死んで一時的に一人になることもあるでしょうと。

○ 途中の段階で一人になるというのは全く問題ないと思うけれども、最初から一人でも構わないという趣旨ですか。

○ そうですね、現在の試案ではそうなっていますね。

○ 我々の非営利法人のところの問題点としても、最初の設立時の問題と、途中で人数要件を欠いた場合の問題と、2つ別の問題があると思いますけれども、後者については、一人になっても、それによって解散事由にする必要はないんではないかと思います。

○ 従来の商法は、解散事由にしているわけですね。

○ また人数が回復する見込みがあるのであれば構わない。

○ 回復する見込みを要求するわけですか。

○ 要件としては要求しないけれども。

○ 解散の方は、6の(1)で分けて議論すべき事柄かと思うんですけれども、恐らく一人になったときに、現在の中間法人法ですと、退社予告期間の制度を定めておいて、間もなく、例えば社員が二人いるときに、片方がいち抜けたと突然言われると困るので、「いち抜けたと言うよ」という予告期間の制度を置いているというやり方でいくか、それから司法書士法人の場合には、6か月間一人の期間があって、それを超えたら解散になるというふうなモラトリアムを定めている。ああいった既存立法例のどれかを採用することによって、突然「いち抜けた」と言われると一人になってしまって解散になるという帰結を避けるというような配慮をしておけば、一人になったということを解散事由にするということはあり得るのではないかと思いますけれども。

○ 税法的にどうですかね、法人になる以上は、一人でも法人税法のメリットを受けられるということを認めていいかということが問題になりますでしょうか。

○ 今も認めているんじゃないですか、ワンマンカンパニーなんかあるわけでしょう。

○ それと同じように、こちらも同じと。

○ 総論のところで議論して、理念との関係で、例えば委員がおっしゃるような、人の結合体の自由闊達な活動とかいうことを強調するのであれば、やはり一人の法人ということが持つ整合性というか、違和感というのが濃厚になってくると思いますし、そうではなくて、純然たる財産管理に関する法技術にすぎないというふうに割り切れば、一人非営利法人というのもあり得るかと思います。総論の議論との関連性というのも大きいのではないかと思います。

○ ただ、両方の理念を認めると、理念からはなかなか結論が出てこなくなる。

○ 財産管理の法律だけを強調するという今回の非営利法人法制というのがあり得るとすれば別ですけれども、それがないとすれば、最初から一人だけというのは、それはなしじゃないかなという気がします。

○ それをも許容するという制度なんだから、一人でもいいじゃないかという議論はあり得ないではない。

○ ないことはないと思いますが。

○ いや、私は別にそれに積極的に賛成しているわけではないけれども、商法の方の議論の動向が、合名会社でさえ最初から一人でいいということになったときに、こっちの方はだめだという積極的な理由は一体なんなのかということなのです。

○ 理念との関係で、例えば社団性であるとか、あるいは構成員相互間の契約であるとか、そういう方から考えていくと、やはり二人以上いないと変ではないかという議論はあり得ると思うんですけれども、しかし、その二人を要求することで実質的に何を確保しようとしているのかということを考えていきますと、必ずしも絶対ではないんではないかなという気がいたします。

○ 濫用防止なのかな。

○ 共通の利益ということにはなりませんか、一人だと。

○ それは難しいですね。自分だけですから。それは理念との関係でおかしいということですね。

○ 租税法の関係では、一人でも課税できるということになるんだと思いますね。

○ それでは、これはいろいろ御意見があるのかもしれませんし、今の段階で、必ずしも確定的な案ではないでしょうが、一応二人以上で、ただ商法の方の議論、これはもう確定ですか、これもまだ議論の最中ですか。

○ むろん、まだ試案の段階ですから確定ではないんですけれども、恐らく余り動かないんではないかと思います。

○ 余り異論がないということですか。

○ はい。

○ 個人でやるよりも、法人をつくってやる方がメリットがあるという状況はいろいろ考えられますね。

○ それは営利の場合には、それを正面から認めていいんだと思うんですね。だけど、非営利法人の場合には、非営利の活動を人々が集まって行うというところを強調するかどうかです。それとも、単に個人の活動を促進するために社員1人の非営利法人をつくっていいかどうかという問題ですね。
 非営利のときに、個人が法人を利用するメリットをそこまで強く認める必要があるのかどうか、気になります。非営利法人制度は、団体活動の促進するためのものであるとなると、営利法人と非営利法人とは人数要件が異なるということもありうるのかと思います。

○ そうですね、基本的な法人格を与えるかどうかというところの議論をしているわけで、いろんな恩典を享受させるかどうかというのは別の話のような気がするんです。
 そうすると、今までは法人格がないから、不便だから法人格を与えようというときに、個人だったら人間ですから、人格を立派に持っているものですから、あえてほかにもう一つ付け加えて与える必要性は全然なくて、やはり一人で法人になるというのは、何か変だなという気がいたしますね。

○ 法人格自体は、勿論個人ももともと持っているんですけれども、法人を設立することで、非営利の活動の面でも更に自分の活動を促進するメリットがあれば、そのようなメリットの享受を認めていいのかもしれないけれども、そういう利益は、恐らく非営利の分野では余りないのではないですか。営利の分野ではそれがあると思いますが。

○ やはり有限責任を享受するということは、一人の単独個人の活動においてもあり得るんだと思うんですね。
 したがって、私は実質からいうと、一人の非営利法人ですか、商法の動向がどうであれ、認めていいのではないかなと思います。
 なぜならば、社団法人であれば二人以上、財団法人であれば社員がいないと、ちょうど一人というところが抜けてしまっているわけで、それを積極的に説明することは難しいのではないかなと思うんです。
 やはり、今までそこに手が付かなかったのは社団ということが理由だったので、商法はそこを乗り越えてしまったわけですけれども、やはり人の集まりに法人格を与えるというのが、ずっと吹っ切れなかったんだと思うんですが、しかし、民間活動を促進すると、それで準則主義で法人格を得て有限責任を享受するというところを骨子とするならば、程度の差は、二人以上と一人のところにあるのかもしれませんが、決定的な差はないのではないかというふうに思います。
 ただ、社団に法人格を与えるという、そのテーゼとの関係は、やはり何とも答えは用意できておりません。

○ 個人が積極的に非営利の活動の際に、有限責任を享受することにメリットがあって、それを法制度として促進すべきであるというのはどういうふうに説明したらよいでしょうか。
 営利活動は、まさに営利に伴う活動から生じる責任というのは、限定して営利活動を促進させるというメリットがあって、非営利の場合も同じだということですか。

○ それは、先ほどの事業の範囲というところにも入りますが、結局やれることは、程度の差はあるかもしれませんけれども、同じようなことで、取引が活発な非営利活動というのもあり得るだろうと思いまして、そこで一人でやるときには、名目的にもう一人つかまえてこない限り、有限責任を享受できないということは余り実質的な理由はないのではないかというふうに思います。

○ 私も別に積極的にご意見がおかしいというわけではなくて、そういう考え方もあり得ると思っています。確かに、非営利活動の場合にも、法人を設立すれば有限責任があるから積極的に非営利活動ができるという面があるので、有限責任の享受が重要な要素であることは否定しません。しかし、非営利活動は、有限責任の享受それ自体を目的にしているわけではないですね。実体は個人活動であるが、有限責任を享受するために法人格を使うのがいいんだというということを、どういうふうに正当化したらいいのか、御説明にもかかわらず、まだ個人としては釈然としないところがあります。

○ 有限責任のメリットを受けることの具体的な、さきほど挙げられた御説明だと営利法人と似たような取引云々という取引時のお話だったのがちょっと気になるんですね。
 それだと、むしろ営利法人の規律の方でどうぞという形になってくるので、こちらの方で何か非営利の民間活動をやる関係で、例えば自分のプライベートな財産関係とは分離して、何か社会的な活動をやりたい人が、そこだけ有限責任の別な責任財産主体を独立させて切り離したい。それで、自分の個人的な財産関係に影響が及ばないようにしたいんだというようなことへの社会的なニーズが、積極的に論証できればあり得るのではないかと思うんですが、そこがそれほどインパクトがなければ、それほどまでして一人社団をやる必要があるかというところも、たまたま現行の中間法人法は二人以上を要求しているわけですので、あれを乗り越える何か法制上の説明が多分必要になってくるような気がします。

○ 私が今言いたかったことは、委員がまさにおっしゃってくだってくださったことなんですけれども。

○ 取引をするならば営利法人というのは、必ずしもそうではないと思うんです。取引をしても、そこで仮に上がったとしても収益を構成員に分配しないということで、今、検討対象として非営利法人としての特徴は維持できるんだろうと思うんです。
 あとは、もうこれ以上は申し上げませんが、事業とか、活動とかをプライベートな世界と区別するというニーズはあるように思います。それで取引の中には売買とか、そういうのもあるでしょうけれども、お金を借りるということもあるでしょうから、非営利活動をしようという個人が借入をする際に、自分の個人の財産とは分離しておきたいと考え、そうすると、財産の分離だろうということで、私としては、そこは営利法人と非営利法人に相違はないだろうと思っております。

○ では、この点はまだ議論がございますけれども、ほかの点も含めてご議論をどうぞ。

○ 中間法人について二人というのは、先ほど委員がおっしゃった点だと思うんですが、中間法人を定義するために社員に共通の利益というところから出発しましたので、したがって、そこから二人ということが説明できるのではないかなと思います。

○ 二人か一人かということなのですが、まだ、ここでは決められないと思うのです。というのは、一つには、社会的なニーズがどのぐらいあるかということにもよると思います。
 もう一つは、財団法人制度がどうなるかということとの関係でも決まってくるのではないかと思います。財団法人制度と社団法人制度とが、かなり違ったものになってきた場合に、一人であっても社団法人制度を利用できるという必要性が出てくるのではないかということで、これはちょっと残しておくということでどうでしょうか。

○ ほかの点は、いかがでしょうか。社員の責任などは、財産的な基盤といいますか、一定の財産を保有することを要求するかどうかということとも関係しますので、そこと連動させて議論した方がいいんだと思いますけれども。
 少数社員権は、このとおりでよろしいですね。特にほかになければ、次の問題に移りたいと思います。

● それでは「3 管理」につきましては、まず「(1)社員総会」について御説明いたします。
 「@ 社員総会の権限」に掲げた考え方のうち、アは、社員総会を基本的意思決定機関と位置づける考え方でございます。
 これに対して、イは、いわゆる最高意思決定機関と位置づける考え方です。
 有限責任中間法人における社員総会及び株式会社における株主総会がアの考え方に立脚しております。 民法上の社団法人、特定非営利活動法人及び有限会社における社員総会は、イの考え方に立脚しておるということのようです。
 「A 議決権」については、持分を観念しないタイプを前提といたしますと、社員がそれぞれ一個の議決権を有することが原則になろうかというふうに思います。
 「B 議事運営等」につきましては、有限責任中間法人の規律をたたき台としてはいかがかと考えております。
 Cは、その他でございます。
 以上です。

○ いかがでしょうか。

○ @の社員総会の権限なんですけれども、中間法人法はアの考えを取って、民法の公益法人はイを取っていますね。これはどういう考え方の違いから来ているんでしょうか。
 実は今、商法の会社法改正の要綱試案で一つの大きい問題になっていまして、従来は株式会社である以上は、取締役会を構成させて、そしてアのタイプだったんです。
 ところが、今度、有限会社と株式会社の一体化を進める方向で、株式会社の中に取締役会を要求しないで、かつイのタイプという、これをワンセットで入れようという。

○ これは、私も気になっていた点なんです。

○ それとの見合いで、これはどういう考え方に基づいて、つまり基本的な思想は社員がかなりオールマイティーに決めることができるところでは、上の方の理事会というのも、きちんとしたものをつくる必要はないという考えだと思うんです。
 したがって、後の理事会等に関する規定との見合いで、アにするかイにするかというのが基本的な考え方として出てきます。

○ 今の案でも、理事会は必須ではないわけですね。理事会は設けることはできるけれども、理事会がない場合もあって、そういう場合にアというのは一体どういう意味を持つかということですね。

○ 現在の民法だから、一応理事会がなく、かつイなんだということなんでしょうけれども。

○ 少し古い考え方かもしれませんが、やはり社団法人なので、社団の意思の決定というのは、社員総会が最終的に権限を持っているべきだと。理事というのは、それに基づいて行動する機関にすぎないという考え方なんだと思いますけれども。ただ、そういう考え方を取らないで、もう少し機能的に考えると、これはアでもイでもいいと思います。問題は、アの場合についてですけれども、アの場合に、総会に帰属しない権限は、今度はどこに行くのかという問題があります。

● 法務省の解説によりますと、有限責任中間法人において、なぜアかという部分を拝見しますと、どうもその社員数が極めて多数に及ぶということを想定し、社員総会の決議事項を想定した上で、イのような考え方を取りますと、有限責任中間法人の事業運営に係る意思決定に機動性を欠くようなことも懸念されると。
 どうも、今、委員から御指摘のあった切り口とは、またちょっと違う理由によって、基本的意思決定機関という位置づけをされたような解説がございます。勿論、更に深い理由があるのかもしれませんが。

○ ただ、社員数が多くて、理事者の方が強い権限を持たなければいけないというのは、まさに理事会の方から重いものとしてつくるかどうかということだと思うんです。

● ところが、有限責任中間法人の方は理事会は置かない。複数であれば、過半数で決するという規定がございますから、いわゆる実質的な会議体による意思決定というのはあると思うんですが、各自代表が原則でございますので、いわゆる株式会社の取締役会、権限分配をするために必要な機関という意味ではないと思います。

○ ですから、チェックの方は緩くて権限は大きいということになっているんですね。

○ 理事会との関係は中間法人のときには十分議論しなかったような気がするんですね。商法の方は取締役会がありますので、それが受け皿になるのでよいのですが、中間法人のように理事会が必須ではない場合ですと、総会に帰属しない権限は、個別の理事の過半数で決めるとしても、すべて個別の理事の権限になってしまう。

○ 理事会との関係で御議論いただくべきことだと思いますと同時に、今回、無限責任中間法人にあたるようなものが、恐らく新しい法制には取り込まれなくて、社員数が極めて小さい、小規模の法人も同一の規律の下に置かれると思いますので、それを考えますと、イでいけるようなものというのを配慮しておくということが、その観点からは留意されてという気がいたします。

○ 無限責任のパターンは入らないと、まだちょっとペンディングかもしれませんが、これは基本的にどういう目的で法人格を与えるかと、人の自由闊達な活動をといいますと、そのためにはどういう制度がよろしいのかという観点からしますと、社員が加入しやすくするということも必要でしょうけれども、加入しやすくするためには、安心して加入するためには組織がしっかりしているということもあるかもしれませんが、今、委員がおっしゃった、小さな団体で、ちょっとした社会福祉といいましょうか、活動するのにちょっと数人集まって、掃除でも結構ですけれども、やろうというときに、そこまでかたくやるのかと。そうすると、柔らかい組織というのも必要だといいますと、割と柔軟に考えておかなければいけなくて、かたくもできるし、柔らかくもできるというんでしょうか、ある程度自律に任せているとしたらいいのかなという感じがしますが、ですから、幾つかの選択肢が選べるようにといいましょうか、選択肢を用意しておければいいのかなという気がするんですが。

○ その点は、全くおっしゃるとおりだと思います。どういう選択肢が選べるようにするかの問題ですね。
 選択肢としては、まず、無限責任と有限責任の選択の問題がありますが、無限責任のタイプというのは今度の非営利法人制度ではなくなる可能性が高い。これはまだここでも決めたわけではないかもしれませんけれども、そういう御意見も強いと思います。有限責任、無限責任の問題は、これはさっき御議論いただいた、法人の財産設立時に一定の額を要求するかどうかということと密接に絡んでいると思いますが、これを要求しないとなりますと、無限責任のタイプというのを残しておく意味が余りない。設立時の財産的要件のほかにも、無限責任タイプの方が規制が緩い点があればともかく、そのような点がなければ無限責任タイプは独立に残しておく必要は必ずしもないかもしれないというのが、委員のご発言の背後にあったと思います。
 それから、今言われた、総会の権限の問題に関しても、緩いタイプというんでしょうか、小さい法人にも適用できるようなタイプと、それから大きい法人の場合の望ましいタイプの両方が含まれるようなフレキシブルな法人制度が必要なんではないかと思います。
 フレキシブルな制度にするとすると、どういう形の規律になるんでしょうか。

● イの考え方に立脚しつつ、定款で権限を縛っていくような法人。

○ 恐らく、それしかないですね。
 ほかの点も含めていかがでしょうか。

○ 次の議決権ですけれども、現行法がこうですから、こうならざるを得ないと思うんですけれども、本当は実質的に考えて、例えば定款である一人の社員だけにオールマイティーの議決権を与えるというのは、本当はいいのかなと考えてしまうんですけれども、現行法がこうですから、多分動かすことができないと思いますけれども。

○ 動かすことができないということはないと思いますけれども、積極的な理由があれば。

○ 議論はあると思います。

○ つまり、非営利の団体であってもね。

○ はい。

● 別段の定め範囲についての解釈論はあり得るんだろうと思いますが。

○ 別な定めをすることは妨げないというふうにすると、ある程度のものは許容される。

○ ある程度というのは、実際上はチェックできないんではないかと思いますね。

○ 今の御趣旨は、別段の定めができるというのはおかしいという意味だったんですか。

○ それに限界がないかということです。株式会社の場合は、一応限界を設けていますので、ただ、その限界を今、だんだん緩くしていまして、どこまで緩められるかというのが非常に問題になっています。
 有限会社は、これと一緒なんですね、全く限界がないと。

○ 有限会社の規定を参考にしたということですね、わかりました。では、今のような問題がなおあるということで、今後引き継いで議論をしていきたいと思います。
 ほかの点はよろしいですか。議事運営等について、何か。
 それでは時間があれば、また御議論いただけるかもしれませんが、次の理事の問題に移りたいと思います。

● 「(2)理事」について御説明します。
 まず「@ 定数、任期、選解任、欠格事由、法人との関係等」につきましては、所要の規定を置く必要があると思われますが、※に掲げた理事の定数及び任期につきまして、特に御議論をいただけるのではないかというふうに思っております。
 営利を目的としない幅広い団体を視野に入れて考えますと、定数の下限を高く設定するというのはいかがかというふうな気もいたします。
 また、任期につきましては、法人の民主的運営ということを考えますと、法定した方が望ましいのではないかと思われるところでございます。
 「A 権限」につきましては、対内的な業務執行と対外的代表の2つについて所要の規定を置く必要があるのではないかということで、このような形にしております。
 「B 非営利社団法人(仮称)との取引等」は、いわゆる利益相反行為の制限を念頭に置くものであります。
 ※では、競業避止義務に相当する規定の要否についても課題として掲げてございます。
 「C 非営利社団法人(仮称)又は第三者に対する責任」については、中間法人、営利法人に所要の規定が置かれております。理事の責務を明確にするという観点からは、民法の一般原則に対する特則を法人法制上明確化しておくという必要があろうかと思われます。
 「D 理事会」につきましては、法定の要否を論点として掲げました。会議体による意思決定の適正性という観点からは意義があると思われますが、他方、すべての非営利法人(仮称)に理事会が必須なのか、複数の理事の存在を前提に会議体による意思決定の必要がある団体については、別途定款で理事会制度を設ければ足りるのではないかというような考え方もあり得るかと思います。
 Eは、その他でございます。
 以上です。

○ それでは、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○ 任期ですけれども、やはり私はあった方がいいとは思うんですけれども、御存じのとおり、今、商法で大議論をやっておりまして、譲渡制限のある会社については、任期を廃止しろという中小企業団体等から非常に強い要求があって、それに反対しているのが学者と司法書士会という状態になっていまして、ただ、2年よりは延ばす方向は認めるけれども、仮に延ばすとしたらどこまでかというのは、また議論になっているところであります。
 1つあるのは、任期の定めが完全になくなってしまいますと、現在でも民法の公益法人や有限会社は任期の定めがないので、結局、幽霊法人がどんどん増えていくと、言わば休眠法人の整理がつかなくなるというのは、実質上は、まさに法人制度が濫用されるということにつながっていくおそれがあるかなという気がします。

○ 公益法人は、実際上は指導・監督基準の中で、任期を要求していますね。

○ 今おっしゃった指導・監督基準がなくなるわけですから、その意味でも、やはりこちらの方は任期があっていいんじゃないかなという気がします。

○ 譲渡制限のある場合ですか、任期の定めを外してほしいというのは。どういう理由なのでしょうか。譲渡制限のある営利法人では、取締役がある意味で経済的な支配権を象徴するような地位になっているのかと思いますが、そのようなことと理論的な関係があるんでしょうか。どうも理由がよくわからないんですが。

○ 理論があるのかどうかわかりませんけれども、要するに登記料を節約したい、面倒である、突き詰めて言えばそうだと思うんですけれども。

○ どっちみち再選されるわけでしょう。

○ そうなんです。だから無駄だという感覚しか。

○ 登記手続にかなりの費用がかかりますからね。

○ 今、それが非常にやかましくて、いろんな各種の手数料をとにかくなるべく節約したいということで、そういうプレッシャーが非常にかかっている。
 さっきの問題と絡んでいるんですけれども、まさにさっきの社員総会の権限で、有限会社タイプのなんでも決められて、そして取締役会がないタイプについては、もう既に法務省の方も任期の定めがないという方向でお考えで、今、争点になっているのは、譲渡制限があって、しかし、そういう有限会社タイプではない、つまり総会の権限が一定に限定されていて、取締役会のあるところは、せめて任期を入れたいと。

○ なるほど、難しいですね。商法の議論の反映というか、矛盾なくといいますか、こちらもそれなりに整合的に考えることになるかもしれませんね。

○ 任期を入れますと、やはり登記するのは当然ですね。そうすると登記懈怠の場合は、商法と同じように、過料の制裁というふうにつながりますね。

○ それに、当然休眠法人の問題も出てくると。

○ そうすると、裁判所がずっと登記懈怠で決定書を書くんですね。大変な作業なんですけれども。

○ 実際上のいろんな問題を抜きにすれば、本来、任期というのは理論的にはあってしかるべきなんでしょうね。では、これは一応そういう方向で考えることにしましょうか。
 理事の代表、権限とか、その辺りはいかがでしょうか。これも本当にいいのかどうかわかりませんけれども、公益法人にせよ、中間法人にせよ、各理事が単独で代表権を持っているということになっています。しかし、営利法人は違うわけですか。

○ 有限会社がそうなんですね。株式会社は全部取締役会で選んだ代表取締役が権限を持つと。

○ そこは、今度両者が一緒になったときに有限会社タイプみたいなものはどうなるのですか。

○ ですから、譲渡制限のある株式会社でも、やはり取締役会があるところは、従来どおりの代表取締役で、ないところが有限会社と同じように各自代表と。
 戦前の株式会社は各自代表だったわけなんですね。もともとドイツから来た制度で、それが戦後、アメリカ型の取締役会制度を入れたんです。

○ 理事の代表権については、どういう規定を設けるべきかに関して、公益法人のところでは少し議論があるんではないかと思います。公益法人のように積極的に公益事業を遂行しなければいけないようなタイプの法人においては、各自代表というのは適当ではないという議論があるんですね。
 つまり、公益活動というのは各自が判断するよりは、理事会という集団で判断するべきだという議論です。公益法人については、むしろ各自代表の制度を廃して理事会で判断するという考え方が出てくるかもしれない。
 こういう議論がされたときに、非営利法人のところはどうするか、公益活動を目的とする法人の受け皿としても使えるように考えておいた方がいいと思うんですが。

○ 理事会制度を法定すべきかというのは、そういう意味での理事会なんでしょうか、それとも理事が複数いる場合は理事会と。

○ 両方ありますけれども、先ほど紹介した議論は、主に公益法人のことを念頭に置いていますけれども、もうちょっと一般の非営利法人の問題としても、複数の理事の場合には考えられる問題です。

○ 別の論点でもいいですか。

○ はい。

○ 第三者責任なんですが、これが有限責任の場合に、やはり特に置く必要があるということでしょうか。実際上の意味はそうだと思うんですね。

○ そうですね。

○ 現行法上は、特に公益法人は、これの規定がないので理事の人はかなり安心していると思うんですけれども、これが入ると実際上は破綻などすると、理事の責任を追及される場合が出てくると思いますので、結構重い意味を持つかなとは思います。

○ 理事の責任問題というのは、まだ私の頭の中で整理できていないけれども、公益法人タイプで、かつ無報酬の理事とか、そういうものにどういう責任を負わすべきかという問題がありますね。会社の代表訴訟のところの議論にも少し関係していますけれども、会社の代表訴訟では取締役の責任について報酬の限度があるでしょう、あの議論がいいとは必ずしも思わないけれども、無報酬の公益法人の理事なんかについてどう考えたらいいかという問題が出てきそうです。

○ 多分、そういう議論が出てくる可能性はありますね。

○ 商法の直近の議論はよくわかりませんが、266 条ノ3のタイプについても、報酬を上限とするような考え方はありますか。

○ それは、今のところは出ていません。

○ 260 条の責任に報酬を上限とする考え方がありますか。

○ 260 条の責任の方です。

○ 266 条ノ3の方は、故意、重過失、だからということもあるのかな。

○ そこまで考えているわけではないと思いますけれども。

○ 細かいところまでは、まだ十分詰める段階にないかもしれませんけれども、一応第三者に対する責任などは置いておかしくないということですかね。

○ 少なくとも有限責任だと入れないとまずいんではないでしょうかね。

○ 無報酬タイプでも必要なんじゃないでしょうか。それが嫌ならば、やはり保守的な運営をするということで、コントロールしたらいいんじゃないでしょうか。

○ 理事会を法定すべきかというのも、これも先ほどの御意見の流れだと、必ずしも必須ではなくて、設けることができるぐらいがいいんだという御意見が強いんではないかと思いましたけれども、いかがでしょうか。

○ さまざまなものが入るならば、まず、理事が一人というのも大いにあり得るでしょうから、理事を必ず複数にして理事会をつくるというようなタイプは強制できないだろうと思います。
 それで、委員がおっしゃったように、複数いたときに理事会を必須にするかどうかは次のオプションとしてあるんだろうと思いますが、そこもやはり多様なものがあっていいというのが基本ではないかと思います。

○ やはり、小さい団体で、社員全員で決めていきたいというタイプの場合には、理事会がなくてもいいのかもしれません。
 それでは、大体の方向性はそういうことでよろしいですか。
 先ほども申し上げましたように、現在非営利法人のことを議論していますが、公益法人タイプというのを考えたときには、いろいろ調整をする必要があるんではないかと思いますけれども、それはまた次の段階で御議論いただくということでよいですね。
 それでは、次の監事から代表訴訟までの説明をお願いします。

● それでは「(3)監事」及び「(4)代表訴訟」について御説明いたします。
 まず「(3)監事」の方の「@ 必置の要否」についてですが、これが問題となるのではないかと思われます。
 民法上の社団法人・有限会社では、監事・監査役は任意でございます。特定非営利活動法人・有限責任中間法人・株式会社では、監事・監査役が必須の機関とされております。
 この点につきましても、非営利社団法人(仮称)制度が一般的に幅広い団体を視野に入れる制度であるとするならば、すべての団体に必須とまでは言えないのではないかと思われます。
 他方、法人運営の一層の適正化を図るという観点を重視して、監事制度を必須とするという考え方もあり得ると思われるところです。
 「A 定数、任期、選解任、欠格事由、法人との関係等に関する法律について、他の法人法制を参考としつつ、所要の規定を置くこととしてよいか」については、理事とおおむね同様の規定を置くことになろうかと思われます。
 なお、監事を必須としない場合であっても、監事の地位の明確化ということを考えると、これらの規定は必要ではないかというふうに考えられると思います。
 「B 権限」につきましては、ア、会計監査に限る。イ、会計監査に加え、業務監査をも行うという2つの考え方があるかと思います。
 有限会社はアの考え方。民法上の社団法人、特定非営利活動法人、有限責任中間法人及び株式会社においてはイの考え方となっております。
 イの考え方に立った場合、※で掲げるような権限の整備も必要となってこようかと思われます。
 ※で掲げたものは、有限責任中間法人において置かれている規定でございます。
 「C 非営利社団法人(仮称)又は第三者に対する責任について、他の法人法制を参考としつつ、所要の規定を置くこととしてよいか」及び「D その他」については、理事と同様でございます。
 「(4)代表訴訟」につきましては、有限責任中間法人、有限会社、株式会社に規定がございます。
 また、保険業法上の相互会社や協同組合等についても商法の規定を準用するものがございます。
 理事相互、あるいは理事と監事の情実により、理事の法人に対する責任が不問にふされる危険を防ぐという意味では、必要となってくるのではないかと考えられるところでございます。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ いかがでしょうか。さっき理事のところを議論していて、今の監事、それから代表訴訟も含めて全体として見たときに、一方で理事、監事の権限の問題と、それから責任の問題があるのですね。もしかしたら、整理の仕方を考えた方がいいのかもしれない。項目を改める必要はないかもしれませんけれども、例えば理事のところでも、権限の問題と、それから責任の問題とがある。
 責任の問題は、結局いろいろガバナンスの問題につながっています。公益的な法人も含めて、非営利法人のガバナンスはどうあるべきかという問題を十分意識しているということを示すために、責任の問題を少し別に扱った方がいいんじゃないかという気が、今ちょっとしました。
 それから、さっき言い忘れた部分ですけれども、監事やその代表訴訟に関していかがでしょうか。

○ 有限会社は、監査役というのは必置ではなくて任意なんですが、中間法人で必置にした理由はどういうことだったんでしょうか。

○ 記憶がないな。

○ 残余財産の分配が自由になったということがあって、そうすると営利法人の規律をできるだけ可能なことはしておこうと、それで300 万と、それから監事の必置というようなこともあったのかなと思いますが。

○ 監査役は、基本的になんのために置いているかといいますと、株式会社の場合は、株主分配請求権をきちんと確保する仕組みと、それと債権者の保護といいましょうか、その観点から財産の会計をきちんとやると、2つの面からあったんだと思います。
 公益法人、中間法人の場合は、社員に対する分配という観点は必要がありませんので、そうすると、債権者に対する配慮ということしか、多分意義はないんだと思いますが、ここでも非営利一般法人の場合も同じようなことで、そうすると、どこまで債権者の保護という観点から監事を置かなければいけないのか、その権限はどの程度かという議論ですね。

○ はい、おっしゃるとおりですね。
 どうぞ。

● 先ほどの委員の御質問の件ですが、やはり法務省の本などを参照いたしますと、先ほどの社員総会の権限と似た議論がされておりまして、有限責任中間法人においては、相当多数の社員によって組織され、かつ社員同士の結び付きがさほど緊密ではない社団が、この有限責任タイプを選択すると。
 したがって、理事の業務執行に対する社員が適切なコントロールを期待し難い場合があるという点においては株式会社に共通する側面があると、そういう考え方が紹介されております。

○ そういう意味では、監事の権限のところに少し関係するんですけれども、委員が言われたことと関係しますけれども、会計の監査だけではなく、多少業務監査的なことも期待しているということになりますか、今の御説明からすると。

○ 今の権限の話でいいますと、有限会社がアで、株式会社がイだとおっしゃいましたけれども、株式会社でも特例法上の小会社はアで、ただ、現在の要綱試案では、有限会社等を含めて全部イの方にするという方向で検討しています。多分そうなると思います。
 会計の専門家でもない人が会計だけ見るというのは、どれだけの意味があるだろうというのがありまして、やる以上は、やはり業務監査も含めてやってもらった方がいいんじゃないかということなんですけれども。

○ そういう意味では、監事というか、あるいは監査というものに何を期待するかということについては、議論が少し変わりつつあると。むしろ積極的にガバナンスの一端を担うということですかね。

○ 有限会社の場合は、社員数が限定されていますから、まさに少数で監視するから監事は必ず置かなくてもいいということだと思うんですけれども、確かに中間法人等は社員数の限定がありませんから、そういう問題があると思います。

○ これも規定の仕方は、まさに監事を必須の機関とするかどうかという辺りでもかかわる問題ですけれども、小さい法人の場合には、必ずしもそんなことをしなくてもいいということがあります。ただ、そういう規定の仕方、あるいは@の書き方を抜きにすれば、基本的な考え方としてどうなんでしょうか、監事の権限辺りが一番重要な問題だと思いますけれども。
 これは財団法人にも関連する問題で、財団法人は、社員がいないので、更に一層監事の権限というものに期待しなければいけないところがあります。しかし、社団法人の場合には、社員がいるから、そこまで監事に期待しなくてもいいんだという議論はあり得るとは思いますけれども、大きな流れはイの方なんですか。
 責任は大体理事と同じでよろしいでしょうね。
 代表訴訟はいかがでしょうか。これも一応中間法人には既にあることはあるんですが。

○ 理事と一緒でいいんではないでしょうか。

○ ここは、理事、監事併せての(4)ということで、よろしいでしょうか。
 それでは、次に行きましょうか。

● それでは「4 計算等」について御説明いたします。
 WG資料1では、「会計原則の在り方」、「財産状況等の開示」としていた部分を「計算等」という項目に改めました。
 「(1)会計帳簿並びに計算書類等の作成及び承認」につきましては、有限責任中間法人法の規定にならった項目としております。
 ※につきましては、法人の活動の成果、つまり損益の状況がどのようなものであるかを明らかにするため、損益計算を中心とした会計原則を取られるべきではないかと考えたものでございます。
 勿論、資本の概念がないなど、企業会計原則そのものというわけにはいかないため、「原則として」としております。
 注の部分は、公益法人会計の分野においても、企業会計原則を取り入れた新たな基準案がとりまとめられているということなどを御紹介する趣旨でございます。
 「(2)計算書類の開示」及び「(3)定款等の開示」につきましては、非営利法人(仮称)は、公益性の有無に関わらないものであるため、有限責任中間法人にならった規定を置くこととしてはどうかというふうにしております。
 ※もその考えを前提に、社員及び債権者に対する開示で足りると考えてよいかとしております。
 ただ、個別の書類に関する開示の在り方については、御議論、御意見があろうかというふうに思っております。
 なお、注は民法上の公益法人にあっては、一般公開、インターネットによる公開が要請されておるとのことです。
 ちなみに、インターネットの実施率は、白書の60ページのとおり、国所管、都道府県所管の全体を含めますと、35.7%の法人でインターネット公開がされておるということでございます。
 (3)は、その他でございます。
 以上です。

○ いかがでしょうか。

○ 社員名簿の閲覧、謄写というのは、どういう趣旨から出てくるんでしょうかね。

○ この辺は少し問題があるところですね。

○ 何のために。

○ 無限責任だったら当然必要ですね。

○ 有限責任のときに、なんで社員の名簿の閲覧などが必要なのかですね。

● 中間法人法の説明によりますと、株式会社あるいは有限会社の株主名簿あるいは社員名簿に相当するものだというふうに説明がされておるところでございます。

○ その際に、払い込みをしていない人がいる場合に、それを追及できる可能性を残すというような議論はありませんでしたでしょうか。

● 現時点で、ちょっと分からないのですが、あり得るのではないかと思います。そうしますと、こちらはそういうことはないのだろうと思います。

○ 総会決議のときに、その働きかけを。そんなことはないですかね。

○ それは余り適当ではないですね。

○ そうすると、余り開示する積極的な理由は見出せないような気がしますね。隠すこともないですけれども、権利として見ることができるという理由がですね。

○ 中間法人法のときも議論がありまして、例えば同窓会なんかを考えてみますと、それを誰でも見られるというのは、ちょっとおかしいのではないかと。
 そうすると、たしか中間法人法でも何か制約が入ったと思いますけれども、一定の制限が必要ではないかということが前提となっていると思います。
 ただ、そもそも全く要らないのではないかということまではいかなかったんですね。

○ これは取引相手から見るとどうなんですか。問題の多い人が社員になっているかということは関係ありませんか。信頼性とか何とかで。

○ そういうのを判断するかどうかですけれどもね。ただ、そっちは社員よりは理事とかですね。

○ 実質的にどんな人がなっているか、見てみたい気はしますね。

○ 理事は、単なる表の顔で、実は裏に。

○ こういうのが開示されますと、いろんな名簿屋とか、実はトラブルによくなる。今、商法の方では、会社の取締役等の住所の開示をやめろというのが、非常に経済界から強く言われていまして、そこが開示されるといろんなのがやってくると、中には恐喝まがいが来るとか、そういうことが特に問題になるかもしれないですね。

○ 個人情報としての取り扱いというような観点も含めながら検討した方がいい論点であるかもしれない。

○ 少し社員名簿については慎重に考えた方がいいという御意見があるんではないかと思いますので、そういう方向で少し調整してみるということでいかがでしょうか。ほかの点は、計算関係は大体よろしいですね。

○ 私は、これでいいと思うんですが、むしろそういう立場に反対で言うんですけれども、現在、合名会社、合資会社は、貸借対照表さえ作成すればよくて、損益計算書は作成しなくていいんですね。あれは国会の修正というか、改悪だったので、むしろこちらの方が正しいと。

○ ありがとうございます。それでは、できるところまでやりたいと思います。

● それでは「5 定款の変更」から「7 合併及び組織変更」までをまとめて御説明したいと思います。
 「5 定款変更」につきましては、WG資料1にはなく、今回追加したものでございます。
 御承知のとおり、民法起草者の教科書には定款の変更が必要な事態が生じたときは、当該法人は一旦解散するのが本筋であるが、実際上の不便が少なくないという理由で、相当の条件により定款の変更を許すこととしたという趣旨の記述があります。
 また、※の特別決議の要件については、他の法人法制で定められている要件を参考としつつ、なお検討するということにしてはいかがと考えております。
 「6 解散」のうち「(1)解散事由」につきましては、有限責任中間法人法81条1項に列挙された解散事由を掲げております。過不足の有無について、先ほど「一人となったこと」について御議論がございましたが、御議論をいただければと思います。
 「(2)休眠法人の整理」につきましては、非営利社団法人(仮称)は準則主義を採用しており、監督官庁がありませんので、有限責任中間法人及び株式会社同様に休眠法人のみなし解散の制度を置く方向で検討するとしてはいかがかと思います。
 非営利社団法人(仮称)の設立が容易になりますと、設立後、実際に活動しなくなった法人というのも多く生じてこようかと思います。実体のない法人が活動中の法人と全く同様に登記簿に登記されており、登記簿上全く見分けがつかないという事態は社会的に見ても相当ではないのではないかと思われるところでございます。
 (3)は、その他です。
 「7 合併及び組織変更」のうち、(1)の非営利社団法人(仮称)の合併については、ニーズがあると思われますので、所要の規定を置くこととしてはどうかとしております。 これに対し、(2)組織変更の手続の要否については、なお検討するとしております。 といいますのも、社団における組織変更の要否につきましては、非営利社団法人(仮称)に2つ以上の異なる類型が設けられるかどうか、また、社団と財団との間の組織変更の要否については、財団の在り方がどうなるかという問題がいずれも先決問題となるためです。 以上でございます。

○ いかがでしょうか。定款の変更については、定款の中身もいろんなのがありますけれども、商法でも定款に書かれた目的の変更も構わないと考えるんですか。

○ それは当然そうです。

○ 当然というか、できることはできるんでしょうけれども、ドイツ民法なんかでは、目的の変更は社員全員一致が必要なんですね。目的変更だけは重い手続を要求している。その他の変更は多数決だったと思いますけれども。

○ 日本の場合は、そうはなっていないですね。当然、定款変更の手続規定は強行規定なんですね。前に合名会社でそれが問題になって。

○ それを緩くしたら、できたって意味がないから。

● 定数の4分の3以上等々については、定款で別段の定めというのもある例がある。社員総会がやらなければいけないという意味は、もうここは動かせないと解釈されておると思います。理事会とか、そういうところで定款変更は勿論できないという意味では強行規定だと思います。

○ 定足数なんかも、定款変更の決議要件を定款変更で変えることはできるんですかね。

● そこは判断によって法文をしっかりするかどうかと。

○ きちんと定めておかないとね。

○ 両面的に自由にするのは問題かもしれないですね、過半数でもいいとかと緩める方は。全員一致に近づける方で強めるというのはあり得ることかもしれませんが。

○ 非営利法人というのは、あるいは公益法人もそうかもしれないけれども、理念的に考えると、目的というのがまさに一番重要で、それで結び付いていて、会社で営利を上げればいいというのとちょっと違うので、多少重みがあってよさそうな気がするんだけれども。

○ それで言えば、財団法人の方をどうするというのはありますね。寄付行為の変更規定をどうやって入れるのか、非常に難しいですね。

● 財団法人につきましては、設立者の当初の意思を後に変更するということになりますので、勿論限界が社団より多くなると思います。ただ、同じ議論は社団についてもあり得ると。ただ原案は、そこは特に限定はしておりません。御意見いただければ、その区分けのようなことも今後の検討とさせていただきたいと思います。

○ 細かいところはともかくとして、基本的には定款変更できないというのは恐らく困るので、一定のしかるべき手続の下でできるというのが望ましいということでよろしいでしょうか。
 解散、合併等の方はいかがでしょうか。時間の関係で、今日の議論はここまででよろしいですね。ここまでというのは、一応解散、合併のところまでしたという意味です。
 解散事由も、ほかの法制と大体同じようなことであり、解散のところはよろしいですか。
 合併の方は、いろいろ組織変更とか、これは相当技術的な問題もありますけれども、一応中間法人でも書かれているのですね。

● 合併はあります。組織変更につきましては、法制審の議論の中では、公益法人からの組織変更という部分がございましたが、中間法人法の本則といいますか、有限責任中間法人、無限責任中間法人の間での組織変更はございません。

○ 仮に今度の制度で、公益法人的な法人と、それからベースとなる非営利法人があったときに、その間での移行というのは、組織変更にはならないと考えていいんですね。

● そこはそうするかどうか、組織変更なのか、あるいは定款で行き来ができるのか、行き来できないのか。行き来できないというのはないのだと思います。もともとの設立から区分けされてしまうので。

○ そうか、組織変更という形での移行という立場もあり得るんですね。

● 理論的にはあり得るんだと思います。

○ 公益法人はまた別途つくる話だと。

○ そこはどうするかですね。比較的独立した法人とするかどうかですね。

○ 公益法人も非営利法人の一つのカテゴリー、種類というふうに考えるとどうなんでしょうか、組織変更というよりは公益法人の要件を満たして、指定か、認定か何か受けて公益法人に変わるというと、それは組織変更とは呼ばないと。

○ 呼ばないでやることが恐らく可能なんでしょうね。それが一番非営利法人と公益法人を同じ土俵に乗せるという立場からすれば、一番それが整合的な考え方なんではないでしょうか。

○ それをもう少しよく議論した方がいいかもしれませんね。

○ この点は、新しい法人制度の大枠という大きな問題と関係しますので、そっちの大前提の方を、いずれももう少し詰めるということでよろしいでしょうか。
 それでは、積み残しが少しありますけれども、また、今まで議論したところも、まだ十分とは言えませんけれども、今日は時間の関係でここまでということにして、次回に8以下をしたいと思います。
 それでは、今日の会議はこれで終わりにいたします。どうもありがとうございました。


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