○:委員
●:事務局

第11回 非営利法人ワーキング・グループ

−議事録−


平成16年7月7日(水)17:00〜19:00
場所:虎ノ門第10森ビル4階

○ それでは、今日、御出席予定の先生方は皆さんおそろいですので、早速、第11回「非営利法人ワーキンググループ」を開きたいと思います。
 最初に事務局に異動があったということですので、その点について御紹介ください。

● 7月2日付けでございますが、新たに事務局長に松田隆利事務局長が着任しております。総務省の行政管理局長から参っております。
 それから、前任の堀江事務局長でございますが、総務省の情報通信政策局長へ異動をしているところでございます。

● では、一言ごあいさつ申し上げます。総務省の行政管理局長から7月2日付けで内閣官房の事務局長を拝命いたしました松田でございます。
 先生方には、大変この間御努力をいただいておりまして、感謝申し上げたいと思っているところでございます。
 私、行政管理局長としては、政府組織とか、あるいは独立行政法人とか、そういうものの管理と、それからこの間は、個人情報保護法の制定を図り、電子政府の推進をやってきたわけでありますが、2年半前は実はここにおりまして、当時は行革事務局の特殊法人の改革室長ということで、道路公団とか、石油公団の整理合理化計画をつくって行政管理局の方へ行ったわけでありますけれども、その後、公益法人のさまざまな御議論をいただいていると、有識者会議あるいはこのワーキンググループで基礎になります非営利法人制度そのものの真剣な御議論をいただいているということで、横目には承知いたしておったところでございますが、今後一緒に検討に加わらせていただきまして、新しい基礎となる法人制度の創設といいますか、整備に向けて努力させていただきたいと思っているところでございます。
 先生方には、大変お世話になりますけれども、よろしくお願い申し上げます。

○ どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速今日の議題に入りたいと思いますけれども、資料の19に基づいて議論していきたいと思います。
 資料19につきまして、幾つかの項目に分けていきますけれども、まず、最初に「第一 基本方針」から行きたいと思いますが、追加の説明があれば、事務局の方からお願いします。

● それでは、御説明いたします。
 「第一 基本方針」「一 新たな非営利法人(仮称)制度の創設」という部分でございます。
 この部分は、先般の閣議決定の趣旨に従い、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立することができる一般的な非営利法人制度を創設するという基本方針を明らかにするものであります。
 なお、財団につきましても、この中に書き込んでおります、狭い意味での公益性、現行の民法の理念的な意味での公益性と法人格を切り離すという部分については、ワーキンググループでも御意見が一致したところというふうに認識しております。
 ※1でございますが、前半は社団形態の非営利法人を創設する意義、理念であります。 後半は、財団形態の非営利法人の制度を創設する意義、理念として、後に論点となっております、財団の目的及び事業について一定の制限を設けるべきかという点を含む形で広く薄く理念を述べると、このように言えるのではないかというものでございます。事務局でたたき台として考えたものでございます。
 このうち、「法人格取得の機会を広げる」という部分は、目的事業に一定の制限を設けるとしても、少なくとも現行の財団法人よりは広がるということを意味しております。「設立者の創意に基づく」という部分は、設立者の意思に拘束されたという意味を言い換えたものでございます。
 そして、「財産の社会的な活用」とする部分は、一定の制限を設ければ、自主的な社会性が期待されるということになりますし、設けないという結論があった場合には、反社会的ではないという程度の意味になるかと考えております。
 ※2は、確認的なことですが、公益性を取り扱う仕組みについては、ワーキンググループではなく、有識者会議で御議論いただいているところを明らかにする趣旨であります。
 「二 民法第1編第2章の改正」とございます。一の方針によれば、この部分を改める必要があるということでございます。
 ※は、改め方、立法形式として、※に書きましたような@、Aの方法があり得るのではないか、Aの場合には民法にどのような規定を残すのが相当かという論点があるという部分を明らかにしております。
 以上であります。

○ ここら辺も十分いろいろ議論された点ではありますけれども、今のようにまとめた資料につきまして、何か御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 むしろ二の方ですけれども「民法第1編第2章の改正」ということで、これは民法との関係が書いてありますけれども、今度の非営利法人が広い範囲での非営利法人をつくりますから、当然中間法人法の改正というのか、廃止というのか、そのこともどこかで触れなければいけないと思うんですが。

● それは、第二、一の※2で、定義との関係で中間法人法をどうするかと、定義の中に含まれるということが書いてございます。
 ただ、今の御指摘は法典の整理としてどうかという部分だと思いますので、そこは直接には資料には載っておりません。

○ 民法はというか、民法は大きな法律であり、その改正についてはここに書いてあるので、そうすると中間法人のこともどこかで、そろそろ書いた方がいいのかなという気もしますけれども。誤解はないかもしれないけれども、中間法人がなお残って非営利法人制度をつくるということを考える人はいないとは限らない。普通に理解すれば両者は重なるので、中間法人は当然なくなることが分かるとは思いますけれども。

● 今、申し上げました第二の一、※2での統合する方向ということは、中間法人が残るということではなく、新たな非営利法人法をつくる場合には民法典と中間法人法を廃止すると、民法典の一部分だけですけれども。とにかく法典は整備されることになろうと思います。

○ これも第二の方に関係しますけれども、当然民法の改正を伴いますけれども、なお第二の※の中のAの場合ですが、民法にどんな規定を残すかという議論もときどきはしてまいりましたけれども。今、ここで議論しても、そのことをここに書き込むわけではありませんけれども、どんな規定が残るべきか念頭においておく必要はあります。理事と法人との関係は必要なんでしょうね。理事の権限なども。しかし、そう単純に行かないかな、理事の権限もにいろんなタイプがあると、民法の中に規定するのは難しいかな。

○ むしろ権利能力の規定とか、そういうものが。

○ 権利能力もそうですね。それは一条で済むわけでしょう。そのほかに、今の54条に相当するような規定とか、ああいうのはもう要らないのかなと思うのですが。こうした規定が個別の法律の中に入ってしまうというのは果たして適当か。

○ あと33条、法人法定主義は民法に書く必要があるだろうと思います。34条のような規定を非営利法人法というのを別に置くとすると、民法とつなぐような34条のようなものを置くのかどうかが、まず最初出てくる問題ではないかなと思います。

○ 34条ですかね。

○ 要するに、非営利に関する法人は非営利法人法で定めるんですか、それは非営利法人法があれば、それでいいわけですか。

● 営利法人における35条という意味だろうと思います。

○ そうですね。営利法人における35条、ですから35条の意味もクリアーにした上で、35条に対応するような条文が要るかどうか。

○ すると何か規定が残るかなと。

○ あと43条以下はどうでしょうかね。法人の能力、それから法人の不法行為能力。

○ 43条は残すと思いますけれども。

○ 商法は、43条は準用せずに。

○ 準用せずに解釈で、43条が法人の一般規定だということで、会社にも適用があるという議論を今まで通説はしてきたものですから、これが残らないと、新しくつくる会社法の中に規定を入れるかという話になってきます。しかし、そういう議論を会社法現代化部会ではしていませんので、多分、この規定があることを前提にしているんではないかと思います。そうすると、少なくともこの規定は民法に残らないと整合性が取れないことになります。

○ 技術的な点は更に詰めることになると思いますけれども、どこかの段階で、ほかのいろんな法律でもって準用していますね、どんな規定が準用されているかというのをちょっと整理しておいていただけると、議論する上で便利ですね。

○ 準用されていれば、非営利法人法の中に同じような条文があれば、それを準用すればいいんだろうと思いますが、準用されずに、まさに民法の規定が一般法だという解釈の下に当然適用されているところは残すか、少し考えを深めて、何らかの手当をしないといけないと思います。

○ 勿論そうだと思いますね。ただ、準用するときにも、非営利法人法の規定の準用で済むのかどうかというのは、ちょっと検討しないといけないかもしれない。

○ 恐らく、一般法として民法があるのか、それとも非営利法人法があるのかという選択だと思うんです。
 さきほどの御提案の、35条に対応するものとして、34条で非営利のリンクする規定を置くというアイデアは、民法によってすべての法人をカバーするということを含んでいるのかどうかと関わると思うんです。そのうち非営利のものについては、非営利法人法が一般法として残るというんだったらそれでいいかもしれないんですが、ただ現在の特別法に基づく法人なんかは、34条と35条でカバーできないものもあるかもしれない。そうすると、やはり民法にもある程度一般的なものが残らざるを得ないのかなという気もいたします。
 それからついでですけれども、今の二の※の@とAにおいて、Aを選択するということで異論がないと思いますので、それでいいんじゃないかと思いますが。

○ そうですね。これも削っていいのかもしれないね。@の方ですね。
 ほかはよろしいですか、創設の意義のところはいろいろ議論して、ちょっとぼかした表現だけれども、さっき説明されたような含意がこの言葉の背後には入っているということです。よろしいですね。
 では、次へ行きましょう。

● それでは「第二 総則的事項」の一から八まで御説明いたします。
 一は定義でございます。「非営利法人(仮称)に関する定義規定を設けるものとする」としてございます。
 ※1でございますが、社団形態の法人の定義の御提案であります。括弧内に記載したような定義でどうかと考えております。
 ワーキンググループでは、新たな非営利法人制度をつくる積極的な理念を御議論いただきまして、その部分については、先ほど御説明した第一の一の※1の前半に記載しておりますが、これはあくまでも理念ということではございまして、その理念がそのまま定義に加わってくるというものではないというふうに考えております。
 ※2は、※1のように定義した社団形態の非営利法人と中間法人法上の中間法人の定義との関係を記載してございます。
 中間法人における「社員に共通する利益」という部分を、例えば現行法の解釈とは違いますが、共益に専ら限定するというような特別な意味にとらえたとしても、あるいは公益を含めた広い意味であるという中間法人の理解にいずれに至ったとしても、※1の定義の中に、これは含まれてくるんであろうというふうに思いますので、いずれにしても中間法人法は新たな社団形態の非営利法人に統合される方向で検討されるべき事柄であろうと考えております。
 ※3でございますが、財団形態の法人定義につきましては、後記第四で御検討いただく制度設計を待って定義に立ち返るということになろうかと考えております。
 二の法人格でございますが、中間法人3条ですとか、商法54条第1項、有限会社法1条2項の規定と同趣旨でございます。
 これは、先ほどの第一の二のAの考え方に立った場合、つまり別に単行法を立法するという立場に立った場合には民法33条がございますので、法人とするという規定が必要になるという考えを前提にしております。
 三は、住所でございます。これは他の法人法制と同旨の規定でございます。
 四の権利能力でございますが、これは民法43条と同趣旨の規定でございます。この点だと書き下ろすということになっておりますけれども、先ほど、もし民法に残るのであれば、準用するというやり方も、勿論できるのだろうと思います。
 ※1は、定款によって定めることのできる目的、事業の範囲について、社団形態にあっては制限をしないという、これまでの御議論を書いております。
 他方、※2は後記第四以下で御検討いただくということになっております。
 五でございますが、本文※のとおり、非営利法人の設立について、準則主義を採用することを表わすものであります。
 六ですが、中間法人や営利法人と同様、登記すべき事項、登記手続等所要の規定を設けるという意味でございます。
 実際には、現在の民法典では、登記手続に関し、非訟事件手続法が規律しておりますが、これをどうするかという問題が控えておりますが、それは更に法制的に詰める段階で検討したいと思っております。
 七の名称でございますが、準則主義の下、さまざまな対外的な活動、事業を行い得ることに照らして、その名称の保護等について規定を置こうとするものでございます。
 八の会計帳簿等でございますが、会計帳簿の作成義務を定めるものであります。
 ※につきまして、会計原則そのものは法律事項ではないのではないかと考えておりますが、作成すべき書面を法定する上では、会計原則が関係してくると思います。
 非営利法人にあっては、公益性を有する場合の取扱いとの兼ね合いもあるので、ワーキンググループ資料の4に記載しました、原則として企業会計原則による方向という表現にとどめております。親会議における議論ですとか、会計原則をどう考えるかという部分をより検討いたしまして、詰めていきたいと思っております。
 以上でございます。

○ では、そこまででいかがでしょうか。
 ちょっと後の方からなんだけれども、名称はどんなことが考えられるんですかね。

● まず、名称そのものをどうするかという問題と、その次に使用制限、名前もなかなか名案がありません。非営利法人という部分と、あとは社団と財団というのを表わす部分を、一度ワーキンググループでも御議論いただきましたところですが、これでという御提案にはなかなか至っていない状況です。

○ 議論しましたか。

● はい、「非営利社団法人」、あるいは「非営利財団法人」でよいのか、それとも財団については非営利という概念が当てはまらないとすると、単なる「財団法人」でよいのではないか。そうすると、「社団法人」、「財団法人」でもよいことになるんですが、営利法人も講学上は社団法人であるということなどのご指摘がございました。
 ただ、他方、民法典でも営利法人が講学上社団法人であるにもかからず、民法の公益社団法人のことを「社団法人」と呼んでいる、34条ノ2で名称の保護を与えておるということなどが議論になりました。

○ なるほど。

○ たしか、1回議論しただけでしたね、その後、名称の議論ではなくて、ずっと中身の議論になってきて、確かに議論がやや不足していることはあるかもしれません。

● 鋭意検討しておるのですが、先生方に、これだといって御提案できるのがなかなか思いついておりません。
 許されることであれば、「社団法人」、「財団法人」というままが一番概念としてはよいのではないかと思います。ただ、やはり現行は民法で使っているということ、100 年の歴史がございますので、果たしてそれが適当かどうか。

○ 名前はともかくとして、使用の制限というんですか、それと少し関係するのですが、例の拠出型の法人を使いたい人たちが、自分たちのは拠出型の社団法人であるという名称を使うというのはどうですか。それも規制されるのかどうか。規制というときにその意味なのですが、そういう使い方をしていいのか、それともいけないのか、そういうのはどうですか。

● そこは、いわゆる拠出型と呼ばれていますが、事務局といたしましては、それは別の法人類型を構成するものとは考えておりません。
 したがいまして、名称においては、拠出型であろうと、そうでなかろうと、法律で使用すべき文字としての名称には影響を与えないということになろうかと思います。
 ただ、法人の何々商事株式会社というときの、何々商事の部分に拠出を受け入れている旨を表わすような言葉をお書きになるのは、構わない可能性はあると思います。私はそう思いますけれども、問題ないかは御指摘いただきたいと思います。

○ 名称使用規制とか、使用制限というのは、余り民法では議論したことがなくて、どういうところまでを意味するのかというのがよくわからないのですが、今のように、自分たちは、例えばいろんな文書において、公式の書類なんかの場合はもうちょっと規制があるかもしれないけれども、普通に使うときに、我々はいわゆる拠出型非営利法人ですというような使い方をするのは、一般に名称使用制限とは無関係な問題だというふうに理解していいんですか。

● そうだろうと思います。

○ それは構わないということですね。

● はい。名称使用制限は、34条ノ2にございますように、法人の名称として使うべき文字の規制と、その使うべき文字については、他の類型の法人では使ってはならないという規制であります。

○ ですから、先ほどの例はちょうど修飾を付け加えているわけですね。

● もう少し正確に言うと、誤認すべき文字もちょっと入りますので。

○ 現行の34条ノ2は、社団法人は社団法人と付けなければならないというものは含まれていなくて。

● 失礼いたしました。

○ しかし、最近の中間法人などは、今、事務局がおっしゃった、有限責任中間法人または無限責任中間法人をその種類に応じて、まず使わないといけないとしています。
 そして、更に今度はほかの人たちがそうでない人たちが、中間法人とか、中間法人と誤認される文字を用いてはいけないという二重のもので、それをそのまま中間法人法型の規律を名称制限については、今回の非営利法人法にもスライドさせたらよろしいのではないでしょうか。

○ ですから、恐らく後半は問題ない、そうではないのにこういう名前を使ってはいけないということですね。

○ 前半の部分に。

○ 前半の部分に、今みたいに修飾を付けて積極的に宣伝したいと。

○ それは、ある程度前半の部分で非営利法人というのを使わなければいけないとして、かつそれで拠出型というのを入れていいかというのは、それは入れてはいけないというのは、なかなか難しいように思いますし、実質的には入れていいんだろうと思います。
 そうすると、拠出型でないのが拠出型というのを入れるとどうかという問題が、次に出てくる。

○ しかし、そこは規制の問題ではないと、名称で規制されているのは、仮に非営利法人が名称だとすると、その部分についての規制であって、今の修飾語の部分ね、これについては名称規制の問題は関係ない。

○ なんか一般的な、何法になるんでしょうかね、不正競争防止法になるんですかね。

○ これは何と言うか、ちょっとつまらない問題かもしれないけれども、実際上、拠出型というのを使いたい人たちは、そういう名称ないし修飾語を使いたいということがあるのではないかと思うのです。
 あるいは、またちょっと違う脈絡かもしれないけれども、自分たちは定款でもって残余財産分配を禁止したと、非分配型非営利法人であるとかいうのはどうでしょうか。

○ 今、会社の商号については、こういうことは付けてはいけないというのはあるんですか。

○ 商号自由主義ですから、法律で明文で禁止されていることを除いては書けると思いますね。

○ そういうふうに考えれば、今のは構わないということですね。登記の関係でこれを受け付けるかどうかは、また別問題だけれども。

○ もっとも、中に、そういう個別の規定がなくて、商号の名前のつけ方が公序良俗違反だといって登記を拒んだ実例はありますけれども。

○ 「株主本位○○商事」とかというのを登記しようとすると大丈夫ですか。「株主重視○○商事」とか。

○ 多分、それは特に禁止はできないのではないですかね。

○ 「必ず配当する○○商事」とか、配当がされないかもしれないんだけれども、それは登記を申請されたら却下できないんでしょうね。

○ そうすると、それと同じではないでしょうかね。

○ ただ違うのは、名称の一部に含まれているのか、名称でもないし、社団法人というものでもない、今、お考えになっているのはプラスαなんですね。ですから、ちょっと名称の問題とも違うのかなと思うんですが。

○ 名称ではないというのは、しかし登記のときにそこを名称として登記すれば名称になると思います。

○ そうです。ただ、今、おっしゃっているのは、登記上の名称と事実上使うものとが違っていて、事実上使うものに拠出型とか、非分配型というのを付けるのはどうかと。それは事実上の問題としては別に差し支えないと思うんですが、一般的な不正競争防止法等々以外にはないと思うんですが、更に、何かそれがより慣行になっていったときに、何か新たな問題はなかろうかと、そういう問題提起ではないかと思うんです。

○ それから、今、委員が議論した、更にそれを名称の中に組み込みたいと、それも一つまた別にあるかもしれないね。

○ 極端な場合、公序良俗違反だといって、登記を拒絶された例がありました。「公安調査機関」という名前を付けた例です。ただ公序良俗違反という理由で登記を拒んだのが正しい処理だったのか、ちょっとよくわかりませんけれども、そんな先例がありました。

● 公の機関と誤認させるようなものは、だめだと言われております。

○ 今まで民法の人たちは名称のことは余り気にしないで議論してきたのに、最近のいろんな動きを見ると、もう少しきちんと議論しておいた方がいいかなという感じがしました。
 ほかの点は、いかがでしょうか。

○ ほかのところですけれども、八の会計帳簿のところで、※で「原則として、企業会計原則によるものとする」と書いてあるんですが、私ちょっと、今、手元にないので自信はないんですが、企業会計原則は営利企業を前提にした会計原則だと思うんですね。 非営利法人、あるいは公益法人等については、カバーしない前提でつくられていると思うんです。ですからまさに概念等も、営利法人としての出資とか、資本と剰余金の区別とかが用いられ、そういうことを前提にしたルールになっていますので、企業会計原則によると言ってしまうと、企業会計原則が非営利法人をそもそもカバーしていないと言われる可能性があるのではないでしょうか。

● 前に御議論をいただきましたときに、中間法人が主に有限会社法、商法にならって立案されている部分がございまして、作成すべき書面につきましても、商法、有限会社法にならった損益計算書ですとか、附属明細書をつくるというふうにされております。そことの兼ね合いもございまして、だから順序から言えば、こちらで作成すべき会計帳簿、あるいは書面の方、法律事項を決めて、それが決まった後に、企業会計原則なのか、非営利法人会計原則なのか、そして、この会計原則につきましては、法律でNPO法27条のような条文があるような場合もありますが、非営利法人法でどんな会計原則に従うという条文は恐らくなく、「公正なる会計慣行に従う」という商法の条文にならう、あるいは中間法人の条文にならうということになろうかと思いますので、それは私どもで決めることではなく、でき上がった作成すべき書類が定められた当該非営利法人について、あるべき会計原則とは何かをどこが決めるのか、今、企業会計原則は、財務会計基準機構の企業会計基準委員会で御検討されているようですが、それと類似のものができるのか、あるいはそこが引き受けるのか、今の御指摘ですと、そこは引き受けないんではないかということになるかと思いますが、順序はそういう順序ではないかと思っております。

○ ですから、仮にこの資料を公表する文章に使うんでしたら、こういう言葉を使うのはいかがでしょうか。

● 会計原則については、ここでどうこう決めるということではないと、むしろ公正なる会計慣行に従ったやり方をしなければいけないという限度にとどめておくということでよろしいでしょうか。

○ 少なくとも、この表現は使わない方がよいのではないですかね。

○ 余り会計原則のことは知らないけれども、これは社団法人であろうが、財団法人だろうが、共通でいいですか。

○ それも検討が必要なんでしょうね。それこそ基本財産とか、財団法人については、そういう概念が出てくるとすると、違った会計のルールが必要になるかもしれないですね。

○ 公益法人会計基準検討会の方での検討は、財団法人と社団法人の在り方まで分けて検討しているんでしょうか。

● 公益法人会計の方でございますか。

○ はい。

● 検討されておると思います。

○ それの議論の成果を見てということになります。

○ 公益法人の方は、恐らくそうだと思いますね。

● あれは公益的なものですから、こちらは公益が被らないという部分があります。ただ、今、御指摘に係る公益法人会計原則の中をよく読むと、できるだけ企業会計原則によるとは書いてはあるんです。
 勿論、委員御指摘のとおり、資本の概念がないとか、いろんな面で違いがあるということは、当然のことながら御指摘がありますが、発想として企業会計原則のよいところは取り入れていこうという中身になっておったかと思います。

○ ほかにいかがでしょうか。

○ これは御異論がないんですから、確認ということになると思うんですが、2ページの一番頭の上の非営利法人の概念定義は、恐らくこれで異論がないんだと思うんですが、今後の議論の出発点と言いますか、前提ですので発言させていただきますが、お示しいただいている※1は、中間法人法が出している定義の「かつ」よりも前の部分を削って、シンプルなものにしたというものだというふうに理解しておりまして、これでよいんではないかというふうに思いますけれども、というのは、1階部分の定義であるということを明示するという上では、社員に共通する利益を図るということに限定されるわけではないわけですので、「かつ」から前のところを取るというふうに理解いたしました。

○ そうですね。

○ 剰余金という概念を中間法人法も使っているんですけれども、これは中間法人法自体に定義がありましたか。

● 中間法人自体には定義はございません。

○ これは法的に剰余金と決まるのかな。

● 中間法人法の立案過程では、ずっと「営利を目的としない」という表現であったところを法制的な観点から「営利を目的としない」というのではわかりにくいんではないかという御指摘が法制的にあったと聞いております。
 そして、その中身は何か、伝統的な理解は何かというところで、剰余金を社員に分配することを目的としないという意味だということで事務局から提案があり、了承されたという経緯があったと思います。

○ 個別に詰めると、剰余金とは何か。

○ 解散のときに、言わば最初の中間法人の場合、基金が残ったと、これは剰余金とは言わないんですか。

○ これは会計のやり方次第で変わってきます。アメリカの会社法はサープラスかどうかということで分配規制を分けるような立法が多いんですけれども、それについて、判例でいろんな解釈問題がアメリカで生じているように、剰余金概念自身が非常にフレキシブルで、原価主義会計から時価会計になってくると、意味するところが非常に変わってきてしまうといった問題があります。

○ まだ解散する前の段階の場合にも、要するに何を差し引くかと、そこが関係するということですか。

○ 何から何を差し引くかといった問題ですね。

● 商法の現代化の方で、会社の定義の方は「営利を目的とする」という部分は、どのようになるんでしょうか。

○ 議論していないんではないでしょうかね。

● そこが、ただ片仮名が平仮名になって営利を目的とするというのであれば、こちらは営利を目的としないでもいいんではないかと思うんですが。

○ 全くそれは議論していなくて、これから法制的に独立した法典にするときには、何かを入れなければならないのかもしれません。

● そこで何か、会社法の方がきちんとなるのであれば、それでないのが非営利法人なものですから。

○ ただ、以前に議論したけれども、現在の会社法が営利法人のものをすべてカバーしているのかどうかというと、商法の方で会社法でもって営利について何か定義をしても、それに外れるものは、すべて非営利というふうに当然なるわけではないかもしれない。

● 民法35条の営利の方以外という意味なんだろうと思います。そうすると、今度は民法35条をどう現代化されるかということだろうと思いますが。

○ 商法は、その整理も法制的にあると思うんですね。商法52条2項は「営利ヲ目的トスル社団ニシテ本編ノ規定ニ依リ設立シタルモノハ商行為ヲ業トセザルモ之ヲ会社ト看做ス」とありますので、完全にすべてを拾っているわけではない、あくまで商法に従って設立されたものだけが会社ということなんです。

● 52条1項の方が会社、商行為概念から来ているのが会社。

○ こちらの手間を省く上から言うと、なるべく積極的な定義を考えなくてもいいに越したことはありませんが、多分積極的な定義を書くのを避けるわけにはいかないんではないかなというふうな感じが今の御議論でいたしましたけれども、というのは、先生御指摘のとおり、すき間の部分がありますし、それから、あれは民法の現代化ではなくて民法の現代語化ですから、片仮名を平仮名に直しただけだと思うので、多分あれではもたないでしょうから、ここでやはり定義をすることが避けられないのではないのでしょうか。
 その上で、委員御指摘の剰余金という概念のあいまいさということは、ごもっともであると同時に、最終的に法制的にこれで耐え得るかどうかはともかく、当面の定義としては、中間法人法でやったことですし、作業仮説としては、これを前提にしばらく議論を進めていくということになるのであろうという気もいたしました。

○ 大まかに言うと、期首と期末の差額のことを言うんですね。

○ そうなんですけれども。

○ 先ほど先生がおっしゃられたように、アメリカで随分議論があると聞いて、ちょっと自信をなくしてしまいましたけれども。

○ だって評価の方法が変われば、それは幾らでも変わってくるものですから。

● 評価もありますが、控除科目をどうするかによっても、ちょっとそれは関係あるような気がしますけれども。利益と剰余金は一致しないということなんですか。

○ 非営利企業に関する会計原則はどうつくられるかによって決まってくることなのかなと思います。
 控除項目など剰余金概念についても、公正なる会計慣行に従うと、準じるというようなことになるのか、商法の場合は、それを商法の明文で規定しているわけですね。商法の32条の2項に、商業帳簿の作成に関する規定の解釈については、公正なる会計慣行を斟酌すべしという規定が入っているので、そのような規定が非営利法人でも必要になるのかというのが1つ問題にはなり得るかと思います。

● 御指摘の規定は、中間法人では、9条の4項で準用しております。ですから、剰余金概念も商法の32条2項を踏まえた剰余金概念だという整理にし得るとは思います。
 ただ、そこに言う公正なる会計慣行とは何かであって、中間法人は企業会計原則ではないかと思われますという程度です。ただ、企業会計原則の方が中間法人法を正面から受け止めてやっているかどうかは、わからないというか、違うんではないかという気もいたします。

○ もともとあれは証券取引法を適用するためにつくったものですから。

● 商法の方ですか。

○ いや、もともと企業会計原則は証券取引法のために作られた基準だということです。

○ そうしたら、問題点があるかもしれませんけれども。

● その辺は、委員におまとめいただいたような理解と事務局としては受け止めてよろしゅうございましょうか。

○ それから、細かなことですけれども、これは現段階では確認の意味しかありませんが、それぞれ漢数字で見出しを書いていただいているんですけれども、例えば、2ページの「四 権利能力」という呼び方なんですが、これは多分、今回の法律にする時期には、もう各法条に見出しを付けなければならないような法令様式になると思いますので、勿論、当面は、これでよろしいんですけれども、学説上は、いろいろにぎやかな議論があるところですから、その段階になったら、ちょっと悩ましいなという気持ちはしております。

○ 確かに、権利能力説はむしろ少数かもしれないからね。

○ 今度の民法の現代化の中で見出しが付くんでしょうかね。

● 見出しは付けないという選択は多分あり得ないんではないかと思います。直接確認はしておりませんが。

○ そこで付いた見出しがこっちにも影響するかもしれません。

● 単に「能力」とか。

○ 単に「能力」というときには、法制上は行為能力を指すんでしょう、違いますか。

● もしかしたらそうかもしれませんが。

○ その辺りを悩んでいただくということになるのでしょう。

○ それでは、第二の総則的な事項については、このぐらいでよろしいですか。
 それでは、次は第三の社団形態の法人ということで、ここはたくさんありますので、大体漢数字ごとぐらいに区切っていきたいと思います。最初の設立のところ、ここについて何か補足的な説明があれば、お願いします。

● それでは、まず、第三の(注)の部分でございますが、これは今までも何度も御確認いただいたとおり、営利法人との区別の明確化のための社員の権利義務に関する基本的要素を明らかにしてございます。
 一の1でございますが、社員となろうとする者が、定款をつくり、署名をしなければならないとしてはどうかという部分でございます。中間法人、会社にならっております。この部分が論点でございます。社員が一人になっても解散しないことで御意見は一致しておるところですが、設立時の最低人数は、まだA案、B案両論あるところでございます。 また、財団との関係もございますが、もし可能であれば、更に御議論いただければというふうに思います。
 2は、定款記載事項でございます。@からGまで一般的な記載事項を掲げました。
 Bを「設立時の」と限定した趣旨は、設立後に社員が加入しても定款変更の必要がないことを当然のことながら明らかにする趣旨でございます。
 ※1は、拠出金制度を選択する場合の定款記載事項については、後に出てまいりますという趣旨です。
 3は、準則主義の下、定款作成の申請を確保する見地から公証人の認証を要件としようとするものです。
 4につきましては、最初の理事は定款で定めることを原則といたしますが、そこで定められなかった場合には、法人の成立前であっても、社員総会を開催して選任すべきこととするものでございます。
 ※は、その際に必要となる招集手続を定めようとするものです。
 5は、会社法においても最低資本金規制が撤廃される方向であることにかんがみまして、それも含め、設立時に一定の財産の保有を義務づけることはしないとしてはどうかというものです。
 6は、一般的な登記事項を列挙したものでございます。
 ※1は、先ほどと同じ拠出金制度を導入する場合の登記事項は別途ということでございます。
 以上でございます。

○ それでは、ここの範囲でいかがでしょうか。

● できれば、最低人数のところについて、御議論を賜われればと。

○ これも大分議論はいたしましたけれども。

● なかなか会社法のような潜在的持分による社団性のクリアーというものがないこと等々、あるいは団体の活動を促進というような理念に照らすとA案もあり得るのでは、あり得るといいますか。

○ A案の方がいいんじゃないかという話ですね。

○ 委員が、1人でもそれなりに合理性はあるんではないかということを言われて。

○ 社団であるがゆえに2人ということで結構です。

○ 前にたしか出たのが、財団との関係も話題に出たと思うんですね。財団といっても、実際には人の集まりであることもあって、0人でもできるのが財団で、2人以上でできるのが社団だとすると、そうすると1人のは何かというふうなことが前に出ていたと思うんですけれども、それも含めて委員もよろしいということで。

○ はい。

○ 確かに常識的にはわかりやすいですね。今すぐ削るわけではありませんけれども、大体2人、A案の方が有力であるということで、一応はまとめさせていただいて、どこかの段階になるとA案しか残らないかもしれませんけれども、またそれはその時議論させていただきたいと思います。
 ほかの点は、どうでしょうか。

○ 細かな部分ですけれども、「6 設立の登記」の監事の氏名、住所ですが、監事の住所を書かせるか否かは、監事の職務いかんに関わってくるんだと思うんですが。対外的な活動をするかどうかということですね。
 これは、本当に細かなところで、後で幾らでも修正が効くところですけれども、監事の役目をどうするかによって住所を書かせるかどうかが決まってくるんだろうと思います。

● 御指摘のとおり、理事のように代表権を持つものではありませんので、違いはあるのかもしれませんが、ただ、事務局といたしましては、監事が法人を代表する場合もございますものですから、会社法の例も監事は住所も登記することになっております。有限会社の監査役でございますが、有限会社は監査役も任意でございますが、住所も登記するということになってございます。
 また、会社法の方で、これは撤回いたします、失礼しました。代表者の住所が残ることになったと。

○ 今、事務局がおっしゃられたのは「(4)監事の職務及び権限」の中で、16ページの「(7)代表訴訟」で、代表訴訟のときには監事が法人を代表すると、こういう立場に立つことがあると、そういう意味ですね。

● そういう趣旨であります。

○ そういう場合には、やはり住所も必要的な記載事項かもしれませんね。

○ 責任の方はどうですか、第三者に対する責任の関係は。

○ さっきちょっと事務局が言いかけられましたけれども、会社法現代化部会で、取締役の名前の登記はいいけれども、住所の登記をやめてくれというのは、経団連が非常に強く主張されたことですね。それは、要するにいろいろ脅されたり、たかられたりするときのターゲットになると。住所がわかると、いろんな変なそういうのがやってくるので、住所の登記はやめてくれということを経団連は非常に強くおっしゃったんですね。

○ 代表取締役もですか。

○ 全部含めてですね。ただ、それに対しては、裁判所の方から非常に強い異論がありまして、結局、本人の特定ができない、住所がないと、同じ姓名の人は幾らでも日本にいると思いますので、特定できないということで、結局はそういう裁判所側の実務的な理由で、結局経団連にあきらめてもらったわけで、監事も多分そういうことになると思うんですね。結局、だれかということを特定するのに必要だということで、住所と併せてということで。
 今、おっしゃいましたように、監事についても第三者に対する責任規定を入れることになりますので、第三者が訴えるときに、やはりどこのだれかということがわからないといけないので、多分住所も要るんではないでしょうか。

○ その場合の住所というのは、住民票上の住所ですね。

○ そうなんでしょうね。

○ それに固定されるんでしょうか、ほかの何か選択肢が。

○ いや、そういう話もありまして、実は経団連から、住所の登記がどうしても必要ならば例えば会社を住所地にしていいかという御意見もあったんですけれども、それでは特定性として足りないというのが、法務省のお答えだったんです。

○ 登記のときに住民登録証明を出すんですか。

● 代表権のあるもの、あるいは登記所に印鑑を提出する者は出すというふうに思います。

○ それ以外は出さずに、いいかげんな住所を書いてもよいということですか。

● わからない場合もあると思います。

○ 理事とか監事というのは、個人であることが大前提ですか。

○ それもまた大問題で、会社法の方では、法人が取締役になれるかという昔からの大議論がありまして、今回も特別の規定は入れず解釈に委ねると思うんですね。
 確かに外国で、フランスなどは法人もなれるという解釈で、現になっているんですが、今回、それに関する明文の規定を入れようという話には、少なくともなっていません。一方で、法人が無限責任社員になることができることになりましたので、実質的に同じ問題が起きてしまうのですね。無限責任社員になったときについての特別の規定を整備することになっていますから、仮に法人が理事等になれるとするときには、それと同じような手当が必要になってくると思います。

○ 今の普通の業界団体みたいなもの、あれは社団法人が普通多いと思いますけれども、業界の会社が社員で、理事は自然人がやっているんですかね、現在は。

○ 先ほどの合名会社の無限責任社員は自動的に同時に業務執行権を持つものですから、それで問題になっているわけです。

○ 組合も業務執行組合員の法人になれますかね。ですから、今の商法と民法とは少し考え方が違ったんだろうと思いますね。

○ 少なくともできないという規定は民法にはなかったのですね。

○ 現に幾らでもあるんではないでしょうかね、業務執行組合員が法人の組合というのは。

○ ただ、やはり法人の理事者としては初めて可能になったと。

○ そうですね。

● 更生管財人も法人がなれるようになっておると思います。

○ 登記に関連して、法人が理事になれるとした場合に、どういう記載をするかということで、ちょっと今議論していただいたわけだけれども、また、理事のところで更に必要であれば議論いたしましょう。
 ほかの点はいかがでしょう。
 よろしければ、また戻ってきても結構ですけれども、少し先へ行きましょう。
 では、拠出金のところへ。

● それでは「二 拠出金(仮称)」について御説明いたします。
 拠出金につきましては、前回御議論いただきましたWG資料18の御議論の結果を反映させたほか、当該資料とほぼ同じでございます。主に反映させた部分を中心に御説明いたします。
 1は、各法人が定款の定めをすることによって、採否を選択できるとするものであります。
 ※1は定義であります。前回の説明と同じであります。
 ※2、※3、※4、※5とも前回と同様でございます。
 2に移りますが、2につきましては、前回の資料では申込書の部分を書いてございましたが、御議論いただきまして、※2であります拠出金の払込取扱場所を定めればよいということ、申込用紙を準備して渡すというような記述は削っております。
 (2)の割当ては特に変更ございません。
 (3)の払込み等につきましても、先ほどの部分以外は変更はございません。
 3の現物拠出の調査につきましては、前回疑問形であったわけでございますが、御議論の結果、やはり現物拠出額財産の価格を過大評価されるなどの濫用があると、法人の財産的基礎、あるいは債権者の利益を害する危険があるということから、本文のような方向が妥当ではないかという御意見があったと思います。
 他方、それは不要ではないかという御意見は※1の方での指摘として書かせていただいております。
 ただ、とは申しましても、※2で書きましたように、500 万以下のような場合には、検査役は不要ということになりますので、実際上は検査役の選任を要するケースは少なく、むしろ、この特例を超えるような高額な場合には、検査役がむしろいた方がいいのではないかということにもなるのではないかと思っております。
 4は変更ございません。
 5も変更ございません。
 6も特に変更ございません。
 7の※2でございますが、資料上は変更がないのですが、今、修正させていただきたいと思います。「※2 上記@、Aの規律に違反して拠出金(仮称)の返還がされた場合」とございますが、これは「@、」を削っていただきまして、Aの規律と、つまり原資違反があった場合には、直接取り戻せると。社員総会の決議を欠いていたとしても、法人が不当利得返還請求できて、それを代位行使するという形になるというのが、中間法人法65条の規定でございまして、前回はこれに並んでというふうに御説明してしまいましたが、※2の方の書き方は並んでいなかったという部分でございます。大変失礼を申し上げました。
 ※3、※4は同じでございます。
 8も同じでございます。
 以上でございます。

○ それでは、ここまでの範囲で。

○ 7ページの一番上の3の「現物拠出の調査」のところなんですが、※2のところの少額である場合には、特例を設けるものとするという方向が大体動かないのであるとすれば、私は、前回の議論の理解としては、※1の御意見も※2のことがあるのならば、納得しないでもないというふうな雰囲気であったようにも受け止めたんですが、だとすると、ここのところはもう少し整理をすることが可能であろうというふうな気がいたしました。

○ もし、私一人であれば、おっしゃるとおりと思います。※2があれば※1は要らないと、しかし、ほかにも※1がもしいらっしゃいましたら、その方についてはその方次第とさせてください。

○ そこまで強く要らないとおっしゃった方は余りいなかったかもしれませんね。

○ 現物拠出の場合に価格が適正でなければいけないというのは、株式会社でもありますけれども、あれは株主相互間の不公平を防止するという意味もございましたね。

○ 両方ありますね。

○ 非営利法人の場合は、持分がありませんから、そのような意味はないですけれども、対外的な債権者の保護といった意味ではあるんですね。

○ 相互間の公平が崩れるという問題はあるんではないでしょうか。

○ エクイティーがないですからね。エクイティーがあると、確かに持分が、言わば水割りされてしまうという問題が起きますけれども、これはあくまで拠出した額を返してもらえるというだけですね。ですから余り。

○ 300 万円の価値しかないものを、例えば600 万円と評価して、それで拠出の返還は現物でとは限りませんね。ですから、随分問題は小さくなりますが、あることはある。

○ 破綻処理のときにあり得るでしょう。

● 資料でも5ページの※1の拠出金の定義のところで、返還義務の内容を括弧で書いておりまして、金銭以外の財産については、拠出時の財産の価格に相当する金銭の返還義務としてございますので、委員御指摘の問題が生じてこようかと思っております。

○ 出したときは、すごく高い評価にしておいてもらって、返還を受けるときには、その価格を受けると。

○ あと、その問題のほかに、先々の話になりますけれども、11ページの(3)の議決権のところで、社員は原則として各1個の議決権ですが、定款で拠出金の定めがあるときに、伸縮、軽重を付けるということになると、やはり何故あいつのよりもおれの方が重いんだと、それは評価がインチキされたんだとかという議論が、ないわけではない。それは、おっしゃるように問題はかなり小さくはなりますけれども、ゼロにはならないんだと思います。

○ そうすると、基本的には検査役の選任が一応必要であると。ただ、少額の場合には、経費倒れで煩わしいので、500 万以下の場合は不要とするという仕切りですかね。

○ そういうので、もしまとまるのであれば、※1のところは要らないと。

○ ほかのところでもよろしいでしょうか。

○ どうぞ。

○ 拠出金の増加のところですが、6の※1の拠出金の募集の決定について、定款の定めにより社員総会の決議を要するものとすることができるとする方向で検討すると書いてあるのは、これは裏返せば、定款の定めを設けなければ、原則は理事が決めるということでしょうか。

● そういうことです。

○ 定款で決めてもいいと。

● 定款で決めてもいい。そこは本文であって、定款自治の範囲で更に上のランクに上げてもよいという趣旨です。
 済みません、ここではなくて、実は拠出金の総額の方のところも同じ※を付けているのですが、同じではなくて、定款で決めてもよいということを書いておりますが、これはその後、ちゃんと検討してお尋ねしようと思っていたんですが、もし定款で決めたときに、定款で決めた額より少ない場合に、打ち切り発行を認めてよいか、ちょっと気になりました。今、考えているところでは、※1で総額を定款で決めた場合は、理事の権限を縛る拠出金の上限というような理解になるのかなというふうに、今、考えておるところであります。ちょっと御指摘の論点と違うところを申し上げて強縮ですが。

○ 今のところは、6ページの一番上の(1)の※1ですね。ここで定款で定めたらどういう意味を持つかということですね。

● そのとおりです。現段階では、一番問題が起きないのではないかと思います。

○ 拠出金は理事が定めるが第一で、定款でも定められると。それで、7ページの5の担保責任の問題がありますね。理事が定めたときには、担保責任を置かないわけですね。

● 置きません。

○ それでは、定款で定めても担保責任はないということですか。

● ございません。ですので、打ち切り発行も認めて、そうすると意味が全くなくなっても困るので上限かという思考過程であります。
 余計な※を書かなければよかったのかもしれません。
 定款で他の機関の権限とされているものを別の機関の権限であると定めたときに、一般的にどういう意味を持つかという一般論なのだろうと思います。一般論で理解できれば、そういう意味を持たせるかなと思っております。

○ 意味がないんじゃないでしょうかね。だから上限とするというふうに定款に書けば上限になるんでしょうけれども、単に設立当初の拠出金というのを定款に書いただけだと、結局、5のところで担保責任がない以上、意味がないということになるんではないですか。これも解釈論かも。

● 解釈論かもしれません。拠出金が、打ち切り発行ができるというところさえ維持できれば、定款で定めることによって打ち切り発行ができないとなってしまうと、非常に不便になってしまう。あるいは、設立には影響しないでしょうが、拠出金が無効になってしまっても、それはよくない問題だろうと思っています。

○ 私もそれでいいと思います。

● 強いて意味づけする必要はないだろうという御指摘ですね。

○ これも細かいことがいろいろあるのかもしれないけれども、今まで議論した限りでは、大体こんなところだということでよろしいですね。

○ 概念の確認だけなんですが、8ページの8というところの※ですけれども、拠出金は債務であって、それを払った残りが残余財産であるという理解でよろしいわけですね。

○ はい。

○ ただ、財団の方で一部戻すというような概念を最終的に入れるときは、それは残余財産の中に入るんでしょうか。

○ 拠出した人が一部戻していいというタイプですか。

○ 多分今までそういうふうに考えてきたんではないかなと思うんですけれども。

○ 社団法人の場合と違うわけですね。

○ ですから、そこの議論を明確にしておきませんと、いろんなところで混乱が出てくると思いますので、この8ページの※はこれで問題ないと思うんですが、一応、これで確認しておいた方がいいかなと思ったわけです。

○ そうか、財団法人の場合、財団法人の方の規定も見ていただければいいのかもしれない、財団法人の残余財産のところですね。

● 今の御指摘は、財団における拠出、あるいは残余財産の帰属に関する規律は寄附行為で定めるという部分で、寄附行為で定めた場合に、初めから残余財産であって、その残余財産を寄附行為でどうするかという話なのか、寄附行為である決め方をした場合には、それでもなお残りが残余財産となるのか。両用が理論的にはあり得るのではないかと思いますが、ただ、前者のように普通は理解をされておったということではないかと思いますが。

○ 財団法人タイプについては、拠出型というのは考えていないわけですね。

● 考えておりません。

○ ですから、拠出した金額が戻るときに、要するに残余財産から戻してしまうという形になるわけですね。社団法人の場合には、拠出型でもって返還するときには、それは返還分は拠出によって法人が負担した債務を返還しただけで、残余財産を返還したことにならないと。

○ 社団の場合をもう一度いいですか。

○ 社団の場合に拠出型の場合では、拠出した金額がまた戻ってくるときに、これは残余財産から戻したのではなくて、債務を払った残りが残余財産だという言い方をする。財団法人の場合には拠出型がないので、仮に寄附行為でもって最初に出した人に戻すというふうにしたときに、それはどこから戻っているかというと、残余財産から戻していることになる。そこはちょっと形は似ているけれども、概念としてちょっと違うということですね。

○ 債権債務にならないんですね。

○ 財団法人の場合はね。

○ 財団法人の場合に、寄附行為で残余財産を設立者に返すということを可能にするとしても、指定額の範囲で、債権債務として構成しないと、単に残余財産の分配の方法をあらかじめ定めているにすぎないということですね。

○ 法律的な説明は、それでいいんだと思うんだけれども、多少、混乱する可能性があるかもしれない、ちょっとわかりにくいかもしれない。

○ 特に親会議の方で説明するときに、よく区別しませんと、混乱しそうな感じがいたします。

○ 今、財団法人に話が及びましたので両方見ているんですが、拠出という言葉は財団法人でも使われているんですね。

● 現在使われておりますが、ちょっと今の先生方のやりとりを伺って、ちょっと問題かなと思ってはいます。もともと社団の拠出金の方を拠出金(仮称)としてあって、中間法人と中身が同じであれば、これを基金のケースと呼んでしまえば、それで財団に対する財産の拠出と基金の拠出が、拠出という言葉は同じであっても、何の拠出なのかが違いますので、本当はちゃんと整理がつくんではないかと思っておりますが、拠出金(仮称)としている部分も、そろそろそこまで慎重にならなくてもよいのかなと思っております。

○ ちょっと言葉の整理はどこかでちゃんとしておきましょうか。
 ほかに拠出金の方は、とりあえずよろしいでしょうか。
 それでは、社員の方に行きましょう。

● それでは「三 社員」について御説明いたします。
 1は「社員たる資格の得喪」でございまして、定款で定めるところによる、社員の入社資格、入社手続において定款自治に任せるという趣旨でございます。民法37条の規定と同旨でございます。
 2が「社員の経費支払い義務」でございます。法人の活動の費用は社員が負担するというのが原則的な形態であるというふうに、中間法人の場合も考えられ、定款で定めるところにより、経費を負担させることができるとするものでございます。
 ※1は、社員の有限責任を明らかにするとともに、経費の意義を明らかにして、有限責任の原則と抵触しないよう配慮したものでございます。
 ※2は、中間法人にございます無限責任タイプをこちらでは設けないということでございます。もともと中間法人の無限責任タイプが設けられた経緯として、基金300 万のハードルという部分があったようにも思われるところでございます。今回の拠出金制度は任意でありますので、無限責任タイプを殊更置く必要はないんではないかという御提案でございます。
 ※3は、仮にそうなった場合の現行の中間法人法に基づく無限責任中間法人についてどうするか、社団形態の法人に移行することができるとするほか、所要の経過規定を置く必要があろうかという御提案でございます。
 「3 退社及び除名」であります。
 「(1)任意退社」。社員の一方的な意思表示によって退社を認めるものでございます。多数決原理を採用する本法人において、少数者の離脱の自由を自主的に保障する趣旨でございます。
 ※1の部分については、ただし書の予告期間を定めること、予告期間の最長期を限定すること。やむを得ない事由がある場合には、予告期間にかかわらず退社ができること、中間法人法にならった規定案を掲げてございます。
 (2)は「法定退社」でございます。
 (3)は「除名」でございます。
 いずれも中間法人法にならったものでございます。※の部分は、社員の意思に反して退社させるものであるため、正当な事由要件とするほか、弁明の機会、特別決議、社員に対する通知を書いてございます。
 4が「社員名簿」でございます。非営利法人の社員は、出資等が法律上社員となることの要件とされておりませんものですから、社員を確定し、確知するためには社員名簿の記載が重要となってくると思われます。
 氏名又は名称及び住所とするのは、社員を特定するため、先ほどの御議論は役員でございましたが、こちらは社員を特定するためでございます。
 ※は、法人の事務手続の簡易化、迅速化を図る趣旨で置いてはどうかというふうに考えておるところです。
 以上です。

○ どうぞ。

○ 9ページの2のところの※に関わる点なんですが、中間法人の無限責任中間法人を残さないということが前提になっていて、それは特に反対ではないんですけれども、次のように考えたらよろしいでしょうかという質問です。
 今、準備している非営利法人法では、最低基金制度はないと。最低基金を設けずにも、有限責任が享受できると。
 したがって、中間法人法をつくるときには、最低基金制度が有限責任を享受するためにあるので、基金を設けられないけれども、法人格を取得したいというものに対して、無限責任中間法人を用意したと。
 しかし、今般は基金がなくていいので、そこでわざわざ無限責任非営利法人制度をつくる必要がないということになろうかと思うんですが。
 そうすると、あとちょっと気になるのは、何て言うんでしょうか、基金もないと、したがって取引をしようと思っても有限責任なので、ちゃんと取引してもらえないと。それで無限責任であれば取引をしてもらえるというようなものが、もしあるとすると、それは保証を付ければいいのだから、わざわざ無限責任のものをつくる必要はないだろうと、そういうふうに整理できるでしょうね。

○ 中小企業なんかと同じというかね。

○ それなりに、無限責任中間法人にも郷愁があるので、なんか命が短かったなと。今のはノイズですけれども。私自身で申し上げて納得したところであります。

● 御参考までに、16年4月末時点で無限責任中間法人は137 法人登記されてございます。

○ 確認ですけれども、ここにお書きになっているのは、この137 は移行してもいいし、移行しなくてもよいというチョイスが与えられるという意味ですね。

● それは経過措置の中身でございまして、ここでははっきりは書いておりません。それで移行できるものだけ、移行は置いた方がよいだろうということを書いてありまして、それ以外にも個別の法人が解散するまで、なお中間法人法が生き残るとすれば、できるとも思います。 ただ、その必要が果たしてあるかどうかは、御議論いただいて。

○ 若干ノスタルジーが残る可能性もあると思うので、ただそうまでするかという政策的な判断の是非ということはあるでしょう。それから確かに御指摘のとおり、新しくつくるものについては、その選択肢はないということは間違いないわけです。

○ ただ、無限責任タイプですと、計算規定なんかもあっさりしたものでよくなりますし、そういう意味では、単に有限責任、無限責任というだけではなくて、簡素化もできますから、ニーズがないわけでもないという気はします。特に、今度できるものは、かなりガバナンスをしっかりしようという形で規定されてきますので、無限責任ならば、そこまで計算なんかを対外的な関係できちんとやったり、監査は要らないよということも考えられないわけではないという気はします。

○ これは単なるノスタルジーではなくて、既に債権者がいるときに無限責任タイプから有限責任タイプに移行するときに、どうするのかという問題が生じる。

● それは移行の際に債権者保護手続は入れなければならないというふうに思っておりますが、合名会社同士が合併して、株式会社になる場合に、債権者保護手続を経た上でということにならうことになろうかと思います。

○ そのときの債権者の選択肢はどんなものがありますか。

● 債務を弁済してもらうということです。

○ そうですか。

● 異議がある人は返してもらう、あるいは法人が相当の担保を供するということになろうかと思います。

○ 法制的には、全無限責任中間法人が解散するまでは、中間法人法は残るというのはあり得るわけですか。

● あり得るのではないかと思います。

○ さっき先生がおっしゃったことは、全体の設計に関わる、かなり大きなウェートを持った論点だと思うんですね。この※3の問題提起を超えている問題であって、無限責任中間法人に対するニーズが将来的にはあるんだと考えれば、全体の設計を変えなければいけませんから、そこのところは、今日結論が出る話ではないと思います。おっしゃった需要が理論的にあり得ることは間違いないにしても、それを政策的に、果たして立法に取り込むまでの大きさと測定するか、そうではないかということは、ちょっと注意をして議論をする必要がありましょうか。

○ 現に商法の方では、有限責任タイプの株式会社や有限会社があるのに、なお一方で合名会社等が存続しているということは、一万数千あるわけですので、それなりのニーズが実際はあることはあるんだろうと思うんですね。
 ただ、今回のはわざわざ立法してやるほどのニーズかどうかというだけの話じゃないですかね。

○ 有限責任中間法人は幾つになりますか。

● 829でございます。本年4月末現在です。

○ 割合あるんですね、829に対し137ということはですね。株式会社に対する合名会社の比率よりはるかにウェートは高いですね。

● 株式会社が114万、合名会社が1万9,000でございます。ただ、合名会社は、実は休眠合名会社が多数ございまして、明治以来の合名会社がそのまま登記簿に残っているのが、ずっと1万9,000の中にで残っているという事情も他方ではあります。

○ いや、それに比べると、中間法人の中での無限責任タイプのウェートが非常に大きいという感じがしますけれども。

● 300万円が大変なのか、ちょっと計算規定が。

○ 実際にどういうところが使っているのか非常に興味がありますね、どういうところが137になっているのかね。ちょっと実態がわかれば、教えてください。

○ インターネットですぐ見られますよ。去年の4月ぐらいでも40〜50ぐらいだったと思いますけれども、急に増えた感じがしますね。

● ただ毎月3〜8法人ずつ増えていっております。他方、有限の方は53〜72法人と増えていっております。

●事務局 平成14年12月末の時点で無限責任中間法人は48です。15年末の時点で115、16年4月末で137です。

○ 伸び方が気になります。ぎゅっと伸びてきているのが気になりますね。

○ 事業組合が結構多かったですね。

○ 社員が法人であるような場合とか、だから拠出金が集められないというタイプと、それと構成員がどっちみち法人なのでというタイプと両方あり得るかもしれない。

○ 後者の方だとすると、なおニーズがあるかもしれないですね。

● 無限責任の社員には法人はなれません。

○ 今の規定ではね。

● 今の規定ではです。

○ でも、今度株式会社が変わりますからね。

● そういう意味で中間法人も変われば、法人が無限責任社員になれるんだろうと思います。

○ ちょっと、今、一概に切り捨てるわけにはいかないかもしれませんね。仮に、無限責任タイプもなお許容するんだというときに、どういう形での許容が考えられますか、定款だけで選べると。

○ いろんな意味で合名会社に近いものになると思いますね。

○ 何を登録するかじゃないですか、選べるのは恐らく選べるだろうと、どちらも。

○ さっきの基金の問題がないので、軽くするようなものが余りないわけですね。

○ ガバナンスと計算関係でしょうね。

○ 債権者の保護のために、基金が必要的でないことの入れ替わりで、今まで議論してきたようなものを少し減らすと。

○ 何か軽くすることにメリットがあればということで、さっきの計算がその一つなんですね。

● 社員が業務執行社員になるというところ、御指摘のとおりで理事を新たに選ぶ必要はないということもあろうかと思います。ただ、有限責任タイプでも実際上は兼任しているでしょうから、実態は同じだとは思いますけれども。

○ これはまだニーズを調査していないけれども、やはり無限責任タイプをやめては困るという人たちが、基金と関係なくあるとすると、無視はできないかもしれないね、今、少なくとも数は。

● ※の御提案はちょっと留保というより、むしろ、そうでない可能性も秘めておるという理解の方がよろしいんでしょう。

○ ただ、にもかかわらず、※3にお書きになったこと自体は、別におかしくないでしょう、移行の道を設けること自体はですね。

● 多分※2だと思います。設けないものとすると御提案しておりますが、そうではなく考えてみる必要があるんではないかと。

○ 設けないこととすることでよいか、としましょうか。

○ そうやってつじつまを合わせますけれども、これはちょっと引き続き検討しましょう。

○ それを設ける場合には名称も変わるんでしょうね。

○ そうですね、それは中間法人法にならうんでしょうかね。

○ それは必然的にそうなる、要するに大きな非営利法人の中のね。

○ 対第三者で明示しておく必要はあるでしょうね。

○ それは便利かもしれないけれども。

○ 取引する相手が有限責任。

○ たまたま無限責任であれば、それは債権者からすれば有利だというだけであって。

○ それはそうかもしれませんけれども、逆の見方もあって、無限責任かと思ったら有限責任だったということもあり得るわけですから、それはやはり明示された方がいいんじゃないですか。

○ それが区別されていたんでしょうね。

○ ええ合名会社と。

○ 中間法人も。

○ 中間法人も必要ですね。

● ちょっと名称が長くなってしまいますが。

○ では、それも併せてもう少し検討しよう。ただ、これも机上の空論は幾らでもできるけれども、本当にニーズがあるかどうかというところは、ちょっと調べることができればね。
 では、ほかに、社員のところでいかがですか。
 よければ、先に行きましょうか、管理のところです。

● それでは「四 管理」でございます。
 (注)を付しております。いわゆる本文に書いておりますものは、社員総会万能タイプというものでございます。(注)には理事会設置タイプを置くことの要否については、なお検討としてございます。
 これまでワーキンググループで理事会設置タイプの可否について、御検討をいただいているところですが、定款で同じ規律を実現できるのではないかという御指摘に対して、なかなか法制的にしっかりとした回答が見出し難いところであり、本資料では(注)に落としております。別途理事会設置タイプを設けるべき必要性や理由がしっかりと見出せない限り、試案からは落とす方向となるのではないかと、現時点では考えております。
 引き続き1から御説明いたします。「社員総会」でございます。
  (1)の「社員総会の権限」でございますが、有限会社法にならいまして、最高万能の意思決定機関と位置づけるものとしてございます。
 (2)は「招集」でございます。※で少数社員による招集請求も書いてございます。本文では招集権が理事にあることを明らかにするものであり、※は理事による社員総会開催の不当な遅延や拒絶に対処するため、あるいは理事の責任を追及するために、社員が社員総会の開催を主導することを可能にしようとするものであります。
 Aは、最低限毎年1回、一定の時期に社員総会を招集すべきことを理事に義務づけるものでございます。
 (3)は「議決権」であります。原則として、本文のとおり、1社員につき1議決権といたしますが、法人の個性に応じて柔軟な規定、定款で別の定めをすることを妨げないとするものでございます。
 ※は、その別段の定めについて限界がないかという問題が御議論になっているところだと思います。
 ここで、無議決権社員というのを認めるかどうかという問題が、まず、限界の1つとして考えられるのではないかと思いますが、商法では御案内のとおり、無議決権株式というのが、最近、一般的に入りましたが、商法のように株価のみに関心があるというような存在は非営利法人においては、なかなか考えにくいのではないかという点などを考えますと、1人1議決権を完全に奪うというようなことは難しいんではないかというふうに思います。
 ただ、それを明文で書くのかどうか。本文の1人1議決権というところの解釈から導くべきではないかという問題もあろうかと思います。また、別段の定めについては、いろんなバリエーションが考えられるかと思います。
 (4)でございますが「決議方法」であります。通常決議の要件について定めるものであります。一般的な他の法人法制にならっております。
 (5)は「その他」でございまして、社員総会については、更に細かな規定がございますが、個別に書いておりませんが、その他で掲げたようなものについても所要の規定を置く必要があるのではないかと考えております。
 「2 理事」であります。(1)は「理事の選任」であります。1人以上の理事を必置とするということが@です。
 Aに社員総会が選任するということを書いてございます。
 (2)は「理事の任期」でございます。理事の任期について、民法上規定はないのですが、新たにつくる法律では任期を法定してはどうかということ。2年という御提案をしております。2年というのは、指導監督上の原則として2年というのとも合致しておりますし、中間法人法、営利法人法の任期とも合致しておるところというふうに思っております。
 なお、※の中で「定時社員総会が終結するときまで」と書いてございますが、この「とき」というのは削っていただければというふうに思います。
 (3)は「理事の解任」でありますが、社員総会の決議によって解任することができるものとする。
 ※は少数社員による理事の解任の請求についても所要の規定を置く。ここに書いてあるような規定を置くことでどうかと考えております。
 (4)の「業務の執行」、理事が行うという部分、(5)の「法人の代表」、(6)の「法人との取引」等につきましては、中間法人にならった規定案を書いてございます。
 (7)の「法人に対する責任」、(8)の「第三者に対する責任」も中間法人法にならったものを御提案しております。
 (9)の「代表訴訟」、(10)の「社員の差止請求権」も同じでございます。
 ちょっと省略し過ぎかもしれませんが「3 監事」まで御説明をいたします。
 「3 監事」につきましては、ここは中間法人法とは異なり、監事の設置は定款の定めることによりということで、任意と考えております。
 次の(2)の「監事の任期」でございますが、ここは中間法人にならった任期を御提案しておるところですが、果たしてこれでよいのか、何か別に考慮すべきことがあるのかどうか御議論いただければというふうに思っております。
 (3)は「監事の解任」であります。
 (4)の「監事の職務及び権限」につきまして、@で業務監査と会計監査両方を監査するということを考えております。
 Aでありますが、業務監査権までも与えるということになりますと、その実効性を確保する権限も与える必要があるのではないかというふうに考え、※で細かく列挙しております。
 アイウエオとございますが、これは中間法人法の監事に与えられておる権限、任務を列挙しております。
 (5)の「法人に対する責任」から(6)の「第三者に対する責任」、(7)の「代表訴訟」、(8)の「その他」についても、おおむね中間法人法にならった規定案を書いております。
 ちょっと簡略ですが、以上であります。

○ それでは、ちょっとたくさんありますけれども、どこからなりともお願いいたします。
 さっきの議決権は、無議決権社員というのはだめなんだという気はしますけれども、非営利法人ですから、まさに社員として参加することが最大の目的であり、その議決権がないというのは、やはり意味がない。

○ 定款の別段の定めの中に議決権がないという別段の定めはあり得ないということですね。

● 現行民法の解釈でも議決権を奪うというような別段の定めは許されないというような教科書の説明が多いように見受けられます。勿論、社員でない関係者としてしまえば構わないと思いますけれども。

○ ニーズがあるかどうかわかりませんが、普通ではちょっと考えられないですね。まだ議論があればあれですけれども、うまくそれが言葉上書けるのかどうかは、また別の問題ですけれども、それ以外のいろんな制限で若干議論があり得るかもしれない。さっき委員がちょっと言われたけれども、拠出の額に応じて、例えば拠出額を一口幾らというふうにして、その口数に応じた議決権を与えるというのはどうかというのは、ちょっと議論の余地があるかもしれませんね。非営利性との関係で。
 協同組合はどうなっていますか。

● 協同組合は1人1議決権であります。

○ それは変更することもできないとなっていますか。

● 生協法でありますが、組合員は、その出資口数の多少にかかわらず、各々1個の議決権及び選挙権を有する。

○ ここまではっきり書いてあるとだめなんだろうね。

● ただし、生協法の連合会については会員たる消費生活協同組合数に応じて定款で別の定めをすることができるとされております。
 ということは、逆に言えば、更に生協そのものの場合にはだめだということになろうかと思います。

○ 拠出金の額に応じて、議決権を与えても、直ちに非営利性に反するわけではないんでしょうね。
 むしろ、民主主義というか、そっちの問題なのかもしれませんね。たくさん拠出した人が、それだけで多数の議決権を持っていて、過半数の議決権を持っていて、その人だけで決められると。だからといって、非営利に反するわけではない。ちょっと嫌な感じはしないではない。

○ 社員以外にも拠出金を出すということはあり得るわけですね。

○ あり得ますね。

○ そうすると、拠出金を出して社員である者と、ない者との間の違いであるとか、それから社員の中で拠出金を出しているものと、出していないものとの違いであるとか、そういうことで、今おっしゃったなんか気持ちが悪いところがあるんだと思います。 その結果、例えば少数社員権にも影響を及ぼしたりとか、あるいは残余財産の分配のときに、拠出金を多く持っている人が、自分に有利な割当てをすることも可能であると。そういう辺りが何となく嫌だということかなと思いますが、より基本的に言うと、人々の集まりであるはずなのに、何か別のルールが入ってくるということの気持ち悪さだと思います。

○ そうですね。

○ 現行法で言いますと、株式会社は持分に応じた議決権が強制されているわけなんですけれども、それに対して、有限会社の方には定款で別段の定めをすることができるという、一般的な規定があります。

○ 今のは持分に応じた議決権が原則で、それを1人1票にするということもできるということですね。

○ 逆もできるし、あるいは一部の持分に非常にウェートをかけた議決権を与えることもできると。
 株式会社の方について言えば、そういう議決権の例外というのは、発行済株式の半分までしか認められないと、法律自体に書いてありますので、そういうふうな例外を認めるにしても、一定の限度がありますよということを明文で定めることもあり得る。

○ 他方で、営利法人だとどう定めてもいいという気もするけれども、しかし、出資というか、利益を分配することを目的としている法人だからこそ、かえってある種の合理的な内容じゃなければいけないということも言えるわけですね。
 ちょっと※のところも問題ですけれども、限界を設けるとしたら、あるいはそのこと自体の当否も含めてですけれども、どんなことがあるかという問題の1つですね。

○ 冒頭の注記の理事会設置タイプは、正面から規定を置かないという方向にならざるを得ないのではないかという御判断もごもっともであろうというふうに承るとともに、ここのところでわからないんですけれども、定款で自在につくれるということの意味は、定款で社員総会の権限を削減しながら監事を置かないという組み合わせも可能になるということに理屈としてはなるわけでしょうか。

○ 理事会設置タイプを置かないということになるとね、前は一種のセットを考えていたけれども。

● 理事の権限が大幅に広がるということですね。

○ しかも監事は置かないということもありうるということですか。

● はい。ただ、その定款は、やはり社員総会の特別決議で変更ができるというところで、ぎりぎりのところは担保できると思います。

○ 定款変更の際にきちんと説明されることを期待するということになるわけですね。それじゃいいんですかね。

○ 定款変更は、特別決議というのは、決議方法の11ページの(4)の一般原則とは違った議決ルールに従うわけですか。

● 定款変更につきましては、資料の18ページの六で、決議要件は2を考えており、それで※を書きましたが、この決議要件についての定款による別段の定めは置かないと。

○ そうすると、決議要件の特例は、この定款変更だけですか。

● いえ、除名もございます。

○ 実際、この決議方法は、定足数なんかはどんなに低くてもいいのか、選任決議によっては、株式会社なんかですと、取締役の選任等については、定足数の定めについて一定の限界を設けていますから、定款変更と今の除名以外は要らないということですかね。

○ 総社員のじゃないですか。

○ でもこれは原則としてでしょう、※で定款で別段の定めをすることができるですから。

○ 一般決議の方ですか。一般決議の方は定足数を幾らでも下げられる。

○ 定款変更の方は定足数の問題はないでしょう。

○ ええ、それはないわけですね。

○ かなり大幅に自治に任せているけれども。

○ 理事の選任ぐらいは、一定の定足数はあってもいいかなという気もしないではないんですけれども。

○ 4分の3というのは重くありませんかね。商法は大体3分の2ですね。

○ 有限会社は4分の3です。

○ それと併せて。

● 中間法人法にもならっております。民法も総社員の4分の3、ただ民法は定款で別段の定めができます。

○ 特にこれまでのものと変更すべき具体的な理由はありませんので、結構です。

○ 先ほどの説明でも余り変えたところはないんですね。

● 変えたところは、監事が任意になっておるところ、任意になっているけれども、有限会社法のように会計監査にとどまらず、業務監査を認め、かつそのための各種細かな権限、15ページの※で与えてはどうかと、その考えは任意であったとしても、置かれた以上、任務が重くなるわけでありますし、また、法人、第三者に対して監事は責任を負うことになりますので、やるべきことについての任務、権限をきちんと付与してはどうかという趣旨で御提案しております。

○ この関係で、ちょっと確認だけさせていただきたいんですけれども、14ページの監事の選任で、今、事務局から言われたように、これは置くかどうかは任意なんですね。しかし、一旦置いた以上は、しっかりと仕事をしてもらうと。その関係で監事の任期というのを決めるんですね。一見すると、監事を置くかどうか任意だとしたら、任期も1年でも2年でも3年でもよさそうな感じもします。監査役の任期も株式会社だと一定程度を長くしていますね、あれは監査役の地位を高めるためで、必須の機関だからなんでしょうね。

○ ただ、今度は必置でなくなります。有限会社法を取り込むことになりますからね。

○ それでも任期は法定するということなんですか。

○ 最終案をちょっと正確に覚えていないんですけれども、原則4年ですか、ただ定款で取締役の方は10年まで延ばせることにして、監査役はどうなっていましたか。

● ちょっと今出ないかもしれません、すみません。

○ 取締役が10年延ばせるんだから、監査役は何年だったですかね、覚えていないんですけれども。

○ おっしゃっているのは、監事を置くかどうかが任意なのに、一旦置くとすると、相当かたいルールが待っているというところでしょうか。

○ ただいま事務局が説明された、置いた以上はしっかり仕事しろと。

○ では監査役を置かないときは社員権を強化するとか、そういうことも本当は問題になるはずなんですね。今回の会社の方も、監査役の権限を計算関係だけに限定した場合については、少数株主権を非常に強化するという案になっているんですね。ですから、代わりに社員が直接理事の行為を監督することを容易にするということは、本当はあるんじゃないかと思いますけれども。

● 部会資料の22というものでございますが、監査役の任期は原則として4年とするものとする。ただし、株式譲渡制限会社については、定款で任期を最長「10年」まで伸長することができるものです。
 失礼しました、部会資料の27でも同様で10年となっております。

○ では、取締役に合わせたんですね。

● NPO法は逆に言いますと、役員の任期は2年以内で定款で定めるものとしております。理事も監事も一緒、それで監事は必置です。

○ ある意味でアンバランスですね。

● この部分は、中間法人法あるいは株式会社法の監事、監査役に、任意の部分は違うのですが、それでもなお、ならわないべきであるという積極的な理由が思い当たらず、任意だとしても。

○ 理事の任期についても、2年以下ということになっているわけですね。ですから、今度は株式会社の方が甘くなる。譲渡制限があるということで。

○ 今の問題も結論は出せませんけれども、ほかに論点だけあれば、出しておいていただきたいと思います。

○ 理事に戻るんですけれども、理事の「(11)その他」の中に入るかなと思いますが、法人との関係で、忠実義務についての規定をどうするかということがあると思うんです。
 というのは、2階の部分で、理事の忠実義務というのが、法人に対するものだけなのか、社会に対するものなのかというような議論があります。そうすると、2階部分では忠実義務に関する規定が入ってくるかもしれない。とすると、1階部分で何も書いておかないと、かえってアンバランスにならないかということでして、今、決めるということではなくて、一応論点としてお出ししておきたいと思います。

○ 少なくとも、法人に対する関係での忠実義務というのは、一般的に認められているんだと思いますけれども、今の資料だと法人との関係の、今のような法人とどういう関係になるかというのは。

● すみません、先生御指摘のとおり、明示で書いていないところを、むしろ(11)のその他のところの「等」のところに読み込んでいただいて、資料のどこにあたるかといえば、そこであります。
 善管注意義務については、委任関係に立つと思いますので、入ると思います。
 忠実義務につきましては、中間法人法で商法の254条ノ3が準用されておりません。その法務省の解説を読むと、忠実義務の内容は善管注意義務とほぼ同じだからという理由でございます。
 ただ、とはいえ、商法の方でもその部分について実質改正はされないように伺っておりますので、商法254条3項と254条ノ3の規定はいずれも現代語化されるのであろうと思います。
 その上で、中間法人は公益性のあるものを何かの仕組みで乗っけるということはなかったわけでありますが、今般の非営利法人に当たっては、委員御指摘の部分を踏まえ、忠実義務についてもどう取り扱うべきかということになろうかと思います。

○ 公益法人の方については、恐らく親会議の方でも、どういう規定にするかは別として、忠実義務を認めることについては、社会一般についてはまた別かもしれないけれども、少なくとも法人との関係は認めることになる。恐らく異論はないんだろうと思いますけれども。
 これに対して、非営利法人のところでは、一般的な規定が設けにくいのかな。設けにくい理由は、先ほどの最高裁の判決に基づく善管注意義務と忠実義務の関係があるからですね。ここだけ突出するわけにいかなないと、そういうことなのかな。

○ では何で商法は規定を残すんだということになります。新しくつくる会社法の中にも、やはり忠実義務のような規定は入りますので。

○ 入るけれども、その解釈は、最高裁の判例に従って、善管注意義務と同じだという理解の下で。

○ いや、それだったら何で善管注意義務の規定と両方並べて入るのかということになってしまいますね。

○ 正確にはどんな表現になるんですか。

○ そこまではまだ。

● 恐らく、その部分について商法の方では実質改正をしないという方針に立たれて、実質改正をしないということは片仮名を平仮名にするということで残るのではないかなと。

○ 要するに、現在のと同じようなものを残すだけですね。その解釈は最高裁の解釈によるかもしれないけれども。

● 最高裁が判例変更しない限り。

○ そうすると、商法と同じように書くと。したがって、善管注意義務の方は中間法人法のように、あるいは商法と同じように委任の規定に従うと書いて、更にそれに加えて忠実に職務を行うですとか、商法と同じようなものを書くと。

○ 少なくともそこまではできそうですね、ちょっと姑息な手段だとは思いますけれども。

○ むしろ、商法学者は現在、忠実義務というのは善管注意義務とは異なる独立の意味があるという方が多数の理解だと思いますけれども、そこからいろんな解釈というものを導いているわけなんですけれどもね。

○ 本当に公益法人に特化された法人類型であれば、正面からそういうのを出せるんだけれども、そこがちょっと問題です。非営利法人は、公益法人にも使われる法人類型であるが、1階部分だというのが。

○ 非営利法人でも、やはり善管注意義務と区別された意味での忠実義務というのは規定を置くかどうかはともかく覆うということですね。

○ 結論としては覆うと思っていますけれども。

○ 公益か非営利かによっては違わないんではないでしょうか。

○ それも実は考えていまして、アメリカですと忠実義務の1つの大きい内容が、競業避止義務なんですね。競業避止義務は非営利法人には入らないわけでしょう。

● 原案では入っておりません。

○ 確かに公益法人を考えると、複数の公益法人の理事をやったりするというのはよくある話ですし、それがおかしいとも思いませんから、ですから競業避止義務は入らないんでしょう。
 ということは、逆に言うと、忠実義務の内容も非営利法人だと営利法人と違う部分もあるのかなという気はしますね。

○ しかし、残ることは確かですね。理事の利益のために職務をしてはいけないということは残るべきです。

○ 法人を食いものにしてはいかぬというような意味では必ず残るはずで。

○ どういう形で入れられますかね。本来は法人の類型に余り関係なく、入っていい規定なんですけれどもね、営利だろうが何であろうがすべてに。

○ 利益の帰属が異なる複数のものについて、何か裁量を持っているということから生ずる問題だろうと思います。

○ 民法典に入れる。

○ そういうのを民法典に残すというのは、1つのやり方ですね。

● 入れていただくと言っても、入れてもらえるわけではないので。

○ いずれにしても、論点として今のお話ですと、顕現させておいた方がいいんですかね、ここに※か何か、それを入れるべきかどうかということを検討して。

○ そうですね、もう少し明確に出しておいた方がいいような気がしますね。

● (11)の方では、とても賄い切れない事柄であることを認識いたしました。失礼しました。

○ 重要な問題ですからね、ちょっと独立に。
 まとめる必要はないかもしれないけれども、入れることについては、恐らく余り異論はない。ただ、技術的にどうやって入れるかということについての難しさがあるということなんですね。

● それは、やはり明文がないと導けない、そんなことはないはずですね、善管注意義務からは導けないのですか、やはりちょっと違うのでしょうか。

○ 導けるという説もあると思います。

● でも明文がなかったら、善管注意義務に引っかけるか、何か一般規定に引っかけるかしかないですね。

○ 善管注意義務と広い意味では、元は一緒だという意見があるわけですからね、そういうふうにできるかもしれないけれども。だけど商法の方でそういう規定があるのに、こっちをわざわざ落とすというのは、余り得策ではないかもしれませんね。
 もう一つ議論しようと思いましたが、計算はいろいろ議論があるかもしれないので、それでは、今日はここで一応おしまいにしましょうか。

● ありがとうございました。

○ それでは、次回以降の日程をもう一回確認してください。

● 次回は、7月28日水曜日でございます。時間は本日より1時間遅い午後6時からこの場所でやらせていただきたいと思います。本日の続きをよろしくお願いいたします。
 夏休み前は、次回が最終回ということになります。よろしくお願い申し上げます。

○ どうもありがとうございました。それでは、これで。

以上


-
もどる